説明

自動焦点アセンブリ

カメラアセンブリ(12)は、レンズアセンブリ(16)と撮像センサ(18)との間の第1の変位と、レンズアセンブリと撮像センサとの間の第2の変位とを選択的にもたらす自動焦点アセンブリ(14)を備えうる。自動焦点アセンブリは、少なくとも1つの位置決め子(46)とアクチュエータ(58)とを備える。アクチュエータは、位置決め子を第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成され、第1の位置において位置決め子は第1の変位に対応する第1の平面にある第1の表面に接触し、第2の位置において位置決め子は第2の変位に対応する第2の平面にある第2の表面に接触する。第1の変位と第2の変位との間の距離が第1の平面と第2の平面との間の距離に直接対応するように、第1の平面と第2の平面とを離隔しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、全般的にはカメラ用の自動焦点アセンブリに関し、特に2つ以上の被写体距離範囲をカメラに設定する精密な自動焦点アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯および/または無線電子機器がますます普及してきている。例えば、携帯電話、携帯型メディアプレーヤ、および携帯型ゲーム機が広く普及している。さらに、ある種の電子機器に付随する特徴は、ますます多様化してきている。例えば、多くの携帯電話は今やカメラを備えている。
【0003】
携帯電話においてはサイズおよび電力の制約により、多くのカメラ付き携帯電話は固定焦点カメラアセンブリを使用してきた。しかし、これらのカメラ用の撮像センサの解像度の向上(例えば、300万から500万画素またはそれ以上)に伴い、許容しうる鮮明さを固定焦点構成で達成することはより困難になる。さまざまな被写体距離で鮮明な写真を撮り易くし、固定焦点カメラに比べ、より良い画質が得られるように、自動焦点システムをカメラ付き携帯電話に追加することが提案されてきた。しかし、自動焦点システムを追加すると、多くのユーザの予想以上にカメラシステムのコストが上昇しうる。
【0004】
また、自動焦点システムは、カメラ付き携帯電話には通常実用的ではない複雑かつ高感度の部品アセンブリを必要とする。例えば、従来の自動焦点システムは、撮像センサに対してレンズを変位させる機械式アクチュエータに頼っている。使用されてきた各種のアクチュエータとして、圧電アクチュエータ、磁石に対して作動するボイスコイルを用いて実現された電気機械アクチュエータ、およびステッピングモータアクチュエータが挙げられる。これらの種類のアクチュエータはそれぞれ、利点と欠点とを有する。例えば、一部のアクチュエータは、他のアクチュエータより正確および/または高速であるが、より高性能のアクチュエータは一般により高価であり、より低精度および/または低速のアクチュエータより制御が困難である。より低精度および/または低速のアクチュエータは、より安価であり、製造が容易である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
カメラアセンブリの焦点合わせを改良するために、本開示は、改良された自動焦点アセンブリを説明する。この自動焦点アセンブリは、特にカメラ付き携帯電話および他の小型カメラでの使用に適している。開示される自動焦点システムは、費用効率が高いだけでなく、複雑な部品アセンブリを用いることなく高度な性能を達成する。一実施態様においては、制御部材を回転させることによってレンズアセンブリの変位が切り替えられる。制御部材に設けられた複数の貫通孔に位置決め子(例えば、球軸受)を配置しうる。制御部材が第1の位置にあるとき、これらの位置決め子は、制御部材に隣接して配置された変位部材の対応する受容部(例えば、開口部または凹部)に収容されうる。第1の位置において、レンズアセンブリは、撮像センサに対して第1の光学変位を有しうる。制御部材が回転して第1の位置から変位部材に対する第2の位置に向かうと、各ボールは各開口部を離れて変位部材の表面に載る。これにより、レンズアセンブリは、撮像センサに対する第2の光学変位に位置付けられる。さまざまな光学変位によってそれぞれ異なる被写体距離範囲がカメラシステムにもたらされるため、第1の位置と第2の位置との間の作動によってカメラアセンブリの焦点が切り替わる。
【0006】
撮像センサに対するレンズアセンブリの高精度の位置決めは、電子制御を殆ど用いずに実現することもできる。少なくとも1つの実施態様においては、位置センサおよび/またはフィードバックシステムを使用せずに実現しうる。上記の例示的実施態様においては、撮像センサに対するレンズアセンブリの高精度の変位は、変位部材の物理的な厚みの制御という比較的単純な作業によって容易に実現しうる。同時に、レンズアセンブリの変位量は制御部材の過回転によって殆ど、または全く、影響されないので、制御部材の回転量を厳密に制御する必要はない。したがって、この例示的実施態様においては、制御部材を回転させるために比較的単純なアクチュエータを採用しうる。一実施態様において、アクチュエータは「筋肉ワイヤ」等の形状記憶合金(SMA)でもよい。また、カメラアセンブリの製造時における自動焦点部品の較正および/または調整は、殆ど、または完全に、不要になりうる。さらに、カメラアセンブリの焦点の制御には、比較的単純な制御装置を採用しうる。さらに、自動焦点アセンブリを双安定にすることもできる(例えば、駆動せずに第1の位置から第2の位置に、またはこの反対方向に移動させえる)。したがって、位置切り替えの間の消費電力が極めて小さくなるか、または皆無になる。
【0007】
本開示の一側面によると、カメラアセンブリは撮像センサと、レンズアセンブリと、レンズアセンブリと撮像センサとの間の第1の変位とレンズアセンブリと撮像センサとの間の第2の変位とを選択的にもたらす自動焦点アセンブリとを備え、自動焦点アセンブリは、少なくとも1つの位置決め子とアクチュエータとを備え、アクチュエータは、第1の変位に対応する第1の平面にある第1の表面に位置決め子が接触する第1の位置と、第2の変位に対応する第2の平面にある第2の表面に位置決め子が接触する第2の位置との間で位置決め子を移動させるように構成され、第1の変位と第2の変位との間の距離が第1の平面と第2の平面との間の距離に直接対応するように第1の平面と第2の平面とは離隔されている。
【0008】
カメラアセンブリの一実施態様によると、アクチュエータは、位置決め子を第1の位置と第2の位置との間で移動させる力を制御部材に加える。
【0009】
カメラアセンブリの一実施態様によると、制御部材は位置決め子を制御部材の受容部に捕捉する。
【0010】
カメラアセンブリの一実施態様によると、制御部材の受容部は貫通孔である。
【0011】
カメラアセンブリの一実施態様によると、第1の表面は、位置決め子が第2の表面に接触するように、位置決め子がその中に収容される受容部を含む変位部材の表面である。
【0012】
カメラアセンブリの一実施態様によると、変位部材の受容部は貫通孔である。
【0013】
カメラアセンブリの一実施態様によると、第2の表面は、変位部材に隣接して配置された、自動焦点アセンブリとレンズアセンブリとを保持するカメラモジュール筐体の表面である。
【0014】
カメラアセンブリの一実施態様によると、位置決め子は球形である。
【0015】
カメラアセンブリの一実施態様によると、変位部材の厚みにより、第1の変位と第2の変位との間の距離が規定される。
【0016】
カメラアセンブリの一実施態様によると、位置決め子は、第1の変位と第2の変位との間でレンズアセンブリの接触面にさらに接触することによって、レンズアセンブリに力を加える。
【0017】
カメラアセンブリの一実施態様によると、レンズアセンブリと位置決め子との間の接触を維持するための力がレンズアセンブリに加えられる。
【0018】
カメラアセンブリの一実施態様によると、この力は1つ以上のばねによって加えられる。
【0019】
カメラアセンブリの一実施態様によると、第2の表面は、変位部材以外の部材の一部である。
【0020】
カメラアセンブリの一実施態様によると、位置決め子が第1の位置にあるときは位置決め子と第1の表面との間の接触を維持するために、また位置決め子が第2の位置にあるときは位置決め子と第2の表面との間の接触を維持するために、力がレンズアセンブリに加えられる。
【0021】
カメラアセンブリの一実施態様によると、アクチュエータは、形状記憶合金(SMA)部材の収縮によって制御部材を動かして位置決め子を第1の位置から第2の位置に移動させるように制御部材に取り付けられたSMA部材を含む。
【0022】
カメラアセンブリの一実施態様によると、アクチュエータは、位置決め子を第2の位置から第1の位置に戻すための反力を制御部材に加える。
【0023】
カメラアセンブリの一実施態様によると、この力と反力とは、同じSMA部材のそれぞれ別の部分の収縮によって与えられる。
【0024】
カメラアセンブリの一実施態様によると、カメラアセンブリは、携帯電話の一部である。
【0025】
上記の特徴およびさらなる特徴は、以下の説明および添付図面を参照することによって明らかになるであろう。以下の説明および図面においては、本発明の原理を採用しうる方法の一部を示すものとして本発明の特定の実施態様が詳細に開示されているが、本発明の範囲は、これらの実施態様に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、本願明細書に添付の特許請求の範囲に含まれるあらゆる変更、修正、および均等物を含む。
【0026】
一実施態様に関して説明および/または図示されている特徴は、他の1つ以上の実施態様において同じ方法または同様の方法で使用することも、および/または他の実施態様の特徴と組み合わせて、または代わりに、使用することもできる。
【0027】
述語「備える(comprises)」および「備えた(comprising)」は、本願明細書で使用される場合は、述べられている特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を示すものと解釈されるものとし、他の1つ以上の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはこれらのグループの存在または追加を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】自動焦点アセンブリを有するカメラアセンブリを備えた例示的電子装置の正面図である。
【図2】自動焦点アセンブリを有するカメラアセンブリを備えた例示的電子装置の裏面図である。
【図3】当該カメラアセンブリ用の例示的自動焦点アセンブリの分解図である。
【図4】図3の自動焦点アセンブリ用に組み立てられた制御部材およびアクチュエータ部材の斜視図である。
【図5】図1および図2の電子装置の概略ブロック図である。
【図6】図1および図2の電子装置が動作しうる通信システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、図面を参照しながら複数の実施形態を説明する。これらの説明および図面を通して、同様の参照符号は同様の要素を示す。これらの図は必ずしも一定の縮尺ではないことを理解されるであろう。
【0030】
改良された自動焦点アセンブリのさまざまな実施形態を添付図面と併せて以下に説明する。図示の各実施形態における自動焦点アセンブリは、2つの被写体距離範囲に対応する2つの位置を有するが、自動焦点アセンブリの他の実施形態においては、2つより多くの被写体距離を有しうる。開示される自動焦点アセンブリは、一般にレンズを20から30の離散位置のうちの何れかに位置付ける従来の多くの高性能自動焦点アセンブリとは異なる。従来の高性能自動焦点アセンブリは約10センチメートルから無限大までの被写体距離において鮮明な写真の撮影を容易にしうるが、開示されるアプローチは、カメラ付き携帯電話の大半のユーザが許容しうる写真の撮影に役立ちうる。
【0031】
他方、固定焦点方式は、固定された被写体距離を有する。固定焦点システムにおいては、カメラは、かなり大きな被写体距離範囲を得るために、レンズの被写界深度に頼る。特定の固定焦点カメラの厳密な範囲は、レンズの焦点距離、口径、画素数、および撮像センサの光学フォーマットにより決まる。センサの画素数の増加に伴い、被写界深度は浅くなる(他のパラメータは同じままであると仮定)。
【0032】
固定焦点カメラは、通常、その過焦点距離(LH)に焦点が合わせられる。つまり、許容しうる画像が撮影されうる被写体距離は、過焦点距離の約半分(LHの2分の1)である近接距離(LNEAR)から無限大に等しい遠距離(LFAR)まである。過焦点距離は、式1を用いて計算しうる。この式中、fは、レンズアセンブリの焦点距離であり、Nは口径(F値)であり、Cはぼけ円(撮像センサに入射する光束に対して許容される最大の円であり、別名は最大許容錯乱円)である。
過焦点距離LH=f2/NC 式1
一例として、画素数300万、画素ピッチ1.75ミクロンの撮像センサと、焦点距離3.7ミリメートルのレンズとを備えるカメラは、約52度の水平視野を実現しうる。ぼけ円が画素ピッチの2倍であると、このカメラのぼけ円は約3.5ミクロンになる。式1を解くと、過焦点距離は約1.4メートルになる。したがって、この例示的カメラの近焦点距離(LNEAR)は、約70センチメートルになる。
【0033】
ユーザが70センチメートルより近い物体の写真を撮ろうとすると、ぼやけた写真になる可能性が高い。本願明細書に記載の自動焦点方式は、利用可能な近接距離を短くする。一実施形態において、開示される自動焦点方式は、第2の焦点設定を追加する。上記の300万画素カメラの例に従うと、約70センチメートルから無限大までの第1の被写体範囲をもたらすために、第1の焦点設定を約1.4メートルにしうる。第2の焦点設定を約47センチメートル、すなわち例示的過焦点距離の約3分の1、に設定しうる。第2の設定において、近接距離は約35センチメートル、すなわち過焦点距離の約4分の1になり、遠距離は約70センチメートルになる。したがって、カメラで撮影する物体の近さに応じて第1の設定と第2の設定とを切り替えることによって、約35センチメートルから無限大までの有効な焦点範囲を2つのレンズ位置だけで設定しうる。この例においては、第1の焦点設定と第2の焦点設定との間のレンズアセンブリの変位は、約20ミクロンである。
【0034】
この自動焦点アセンブリについて、主に、携帯電話用のデジタルカメラ(例えば、デジタルスチルカメラおよび/またはデジタルビデオカメラ)向けのレンズアセンブリの位置決めというコンテキストで説明する。この自動焦点アセンブリは他の運用コンテキストでも使用しうることを理解されたい。他の運用コンテキストとして、専用カメラ、別の種類のカメラ付き電子装置(例えば、携帯情報端末(PDA)、メディアプレーヤ、ゲーム機、「ウェブ」カメラ、コンピュータ、その他)、プロジェクタ等が挙げられるが、これだけに限定されるものではない。さらに、同義語「電子装置」および「電子機器」は、携帯型無線通信装置を含む。「移動無線端末」と以降称する述語「携帯型無線通信装置」は、携帯電話、ポケットベル、コミュニケータ、電子手帳、PDA、スマートフォン、携帯型通信装置等のあらゆる装置を含む。
【0035】
先ず図1および図2を参照すると、電子装置10が図示されている。図示の電子装置10は携帯電話である。電子装置10は、デジタル静止画および/またはデジタルビデオクリップ撮影用のカメラアセンブリ12を備えている。したがって、強調すべき点は、電子装置10は携帯電話である必要はなく、専用カメラまたは上記のような他の装置でもかまわないことである。
【0036】
さらに図3を参照すると、電子装置10は自動焦点アセンブリ14を備えうる。図示の実施形態において、自動焦点アセンブリ14は、レンズアセンブリ16を第1の位置と第2の位置との間で動かす。レンズアセンブリ16は、第1の位置では撮像センサ18に対して第1の変位になり、第2の位置では撮像センサ18に対して第2の変位になる。第1および第2の位置は、それぞれ第1の焦点範囲および第2の焦点範囲をカメラアセンブリ12にもたらす。
【0037】
自動焦点アセンブリ14と、レンズアセンブリ16と、撮像センサ18とを1つに組み立てると、電子装置10の筐体22の内部に搭載されうるカメラモジュール20が形成される。レンズアセンブリ16は、レンズ保持部26によって保持されるレンズ24を1つ以上備えうる。撮像センサ18は、カメラアセンブリ12の視野に含まれる情景の画像を取り込み、レンズアセンブリ16はこの視野からの光を撮像センサ18に収束させる。カメラモジュール20の保護カバーとなる窓28を筐体22の開口部に被せてもよい。窓28は、レンズおよび/またはフィルタとしても機能しうる。別の実施形態においては、窓28を省くことも、あるいはレンズアセンブリ16の一部として形成することもできる。カメラモジュール20は、他の光学部品、例えば、フィルタ、プリズム、ミラー、光学ズーム機構、撮像センサ18に対して静止したままの1つ以上のレンズ、その他を備えうる。
【0038】
カメラアセンブリ12は、カメラモジュール20の一部を形成しうる追加部品、あるいはカメラモジュール20とは別に電子装置10によって保持されうる追加部品、を備えうることを理解されるであろう。例えば、カメラアセンブリ12は、カメラモジュール20の動作およびカメラアセンブリ12の他の動作を制御する電子制御装置(図示せず)を備えうる。カメラアセンブリ12の他の部品として、例えば、フラッシュ30、露出計32、電子ビューファインダとしても対話型ユーザインタフェースの一部としてとしても機能する表示部34、ユーザ入力を受け付けるためのキーパッド36および/またはボタン38、光学ビューファインダ(図示せず)、およびカメラに一般に付随する他の何れかの部品が挙げられる。
【0039】
次に図3および図4を参照して、自動焦点アセンブリ14の図示の実施形態の詳細を説明する。図示の実施形態の自動焦点アセンブリ14は、レンズアセンブリ16を動かすように構成されている。自動焦点アセンブリ14の作動原理は、代わりに撮像センサ18を動かすために、あるいは撮像センサ18とレンズアセンブリ16との両方を動かすために、適用しうることを理解されるであろう。
【0040】
自動焦点アセンブリ14は、受け台40と、変位部材42と、制御部材44と、複数の位置決め子46と、ばね48とを含む、積み重ねられた複数の部品を備えうる。レンズアセンブリ16は、ばね48と制御部材44との間に配置しうる。受け台40は、カメラモジュール20用の筐体の一部を形成しうる。
【0041】
図示の鉛直配置された複数の部品に対応する方向および関連を示す用語を用いて、これらの部品の相互関係を説明する。各部品の向き、部品の順番の変更、および/または部品の追加および/または削除に応じて、さまざまな方向および関連を示す用語を使用しうることを理解されるであろう。
【0042】
図示のように、これらの部品の多くは、光が筐体22の開口部(窓28によって覆われている場合もある)から、レンズアセンブリ16を通り、撮像センサ18の機能部分に到達するための光学経路を形成するために、中心の貫通孔を含みうる。
【0043】
ばね48の上端は、筐体22の下面に接触しうる。他の実施形態においては、ばね48の上端は、カメラモジュール20の専用筐体部材(図示せず)等、別の表面に接触しうる。ばね48の下端は、レンズ保持部26の上面に接触しうる。レンズ保持部26は、レンズ保持部の縦軸に沿って段が付けられた半径を有しうる。位置決め子46に対する接触面51となる下面を有するフランジ50がレンズ保持部26の上部に設けられるように、この段付き半径を配置することもできる。レンズ保持部26の下部は、制御部材44と、変位部材42と、受け台40のうちの1つ以上の中心貫通孔に嵌入しうる。また、フランジ50と、制御部材44と、変位部材42とは環状(例えば、輪)として図示および説明されているが、これらの部品は他の形状を有しうる。円形および/または球形として図示および/または説明されている他の構造を他の形状にすることもできる。
【0044】
自動焦点アセンブリ14を組み立てると、各位置決め子46が制御部材44によって横方向に捕捉されるように、各位置決め子46は制御部材44の受容部に嵌入しうる。図示の実施形態においては、制御部材44が各位置決め子46の縦方向中央部分を取り囲むように、各位置決め子46は、制御部材44の対応する貫通孔52に嵌入する。このように、各位置決め子46は制御部材44によって横方向に捕捉されるため、制御部材44が回転すると、それに応じた周方向に各位置決め子46が自動焦点アセンブリ14の縦軸を中心として移動する。各位置決め子46の上部は、フランジ50の接触面51に接触しうる。制御部材44は、半径方向に突出したレバー54を備えうる。周方向の力をレバー54に加えると、制御部材44が回転し、これに応じて各位置決め子46が移動しうる。
【0045】
図示の実施形態の各位置決め子46は、球体である。例えば、各位置決め子46は、玉軸受でもよい。別の実施形態においては、位置決め子46を制御部材44の下面にある凹部内に位置付けて捕捉してもよい。あるいは、位置決め子46は、制御部材44の下面に形成または一体化された隆起または回転止めでもよい。これらの実施形態においては、位置決め子46は接触面51に接触しない。代わりに、制御部材44の上面が接触面51に接触しうる。また、位置決め子46が制御部材44の上面を貫通して延在する場合でも、制御部材44の上面は、自動焦点アセンブリ14の一方または両方の位置において、接触面51に接触しうる。
【0046】
制御部材44を変位部材42の上に載せてもよく(場合によっては接触させてもよく)、位置決め子46の下部が収容されうる受容部を変位部材に設け、制御部材の受容部(例えば、穴52)と変位部材42の受容部とが鉛直方向に位置合わせされたときに位置決め子46の下部が変位部材42の受容部に収容されるようにしてもよい。図示の実施形態においては、変位部材42の受容部は貫通孔56である。この実施形態においては、自動焦点アセンブリ14が第2の位置にあるとき、制御部材44の貫通孔52と変位部材42の貫通孔56とが鉛直方向に位置合わせされるため、レンズアセンブリ16の変位は、第1の位置に比べ、撮像センサ18により近くなる。この位置において、各位置決め子46の下部は、受け台40の上面に接触しうる。したがって、受け台40の上面と接触面51との間の距離は、位置決め子46のほぼ直径になる。
【0047】
周方向の力をレバー54に加えると、それに応じた回転方向に制御部材44が付勢されうる。この力の存在下で、各位置決め子46は貫通孔56をずり上がって脱出し、変位部材42の上面に載ることによって自動焦点アセンブリ14の第1の位置を実現する。また、ばね48に抗してレンズアセンブリ16を上方に押すため、この上向きの力を受けてばね48が圧縮されうる。この位置において、受け台40の上面と接触面51との間の距離は、位置決め子46の直径に変位部材42の厚みを加えた距離にほぼ等しくなる。貫通孔52と貫通孔56とを位置合わせする方向に制御部材44を付勢する力をレバー54に加えることによって、自動焦点アセンブリ14を第1の位置から第2の位置に戻しうる。図示のばね48はコイルばねとして図示されているが、レンズアセンブリ16を下方に圧迫するために、1つ以上の板ばねまたは他の弾性部材を配置することもできる。また、レンズアセンブリ16を下方に引っ張るために、1つ以上のコイルばねを受け台40とレンズアセンブリ16との間に配置することもできる。
【0048】
撮像センサ18に対するレンズアセンブリ16の変位の差は、自動焦点アセンブリ14を第1の位置と第2の位置との間で移動するときの変位部材42の厚みによって変わることを理解されるであろう。自動焦点アセンブリ14が第1の位置にあるときにカメラアセンブリ12の第1の焦点範囲にある物体が申し分なく撮像されるように、変位部材42の厚みと各位置決め子46の直径とを制御しうる。上記のように、第1の焦点範囲は、過焦点距離の約半分から無限大までにしうる。また、自動焦点アセンブリ14が第2の位置にあるときに第2の焦点範囲が過焦点距離の約4分の1から過焦点距離の約半分になるように、変位部材42の厚みと各位置決め子46の直径とを制御しうる。他の焦点範囲を実現するために、他の複数の厚みを使用できることを理解されるであろう。上記の300万画素カメラの例に従うと、第1の焦点範囲として約70センチメートルから無限大、および第2の焦点範囲として約35センチメートルから約70センチメートルを実現するために、変位部材42の厚みを約20ミクロンにしうる。
【0049】
レンズアセンブリ16の変位を精密に制御し易くするために、レンズアセンブリ16、制御部材44、変位部材42、および受け台40の該当する上面および下面を略平行な複数の平面に位置付けうる。
【0050】
別の実施形態においては、変位部材42を省き、自動焦点アセンブリ14が第2の位置にあるときに位置決め子46を収容するための制御された深さを有する複数の凹部を受け台40の上面に形成しうる。別の実施形態においては、隆起した複数の段(例えば、複数の矩形ブロック)を受け台に設けることもできる。自動焦点アセンブリ14が第2の位置にあるときは各位置決め子46が受け台40の段と段との間の領域に載るようにし、制御部材44が回転して自動焦点アセンブリ14が第1の位置になったときは各位置決め子46が段の上に載るようにしてもよい。これらの実施形態においては、受け台40を変位部材と見なしうる。
【0051】
別の実施形態においては、制御部材44を省き、代わりに位置決め子46を捕捉するポケットをレンズアセンブリ16の接触面51に設けうる。この実施形態においては、レンズアセンブリ16の変位は、レンズアセンブリ16または変位部材42の回転によって実現しうる。また、この実施形態においては、レンズ保持部26を制御部材と見なしうる。
【0052】
さらに別の実施形態においては、制御部材44を省き、代わりに位置決め子46をレンズ保持部26の一部として形成しうる。例えば、位置決め子46は、フランジ50の下側に形成された回転止めの形態を取りうる。これらの回転止めは、例えば、角が面取りされた、または丸みを帯びた、多角形でもよい。また、変位部材42を省き、代わりに複数の受容部を受け台40に形成してもよい。これらの受容部は、位置決め子46の断面輪郭に近い断面輪郭を有してもよい。例えば、受容部は、自動焦点アセンブリ14が第2の位置にあるときに位置決め子46の底面に接触する底面を有する凹部にしうる。自動焦点アセンブリ14が第1の位置に動くと、回転止めが凹部を滑り出るため、回転止めの底面は受け台40の上面に載る。このようにして、凹部の底と受け台40の表面との間の鉛直距離によって、レンズアセンブリ16の変位を制御しうる。第2の位置から第1の位置への移動およびこの逆の移動を容易にするために、回転止めの縁部と凹部の側壁とを対応する角度にすることもできる(例えば、回転止めのための傾斜路として機能するように凹部の側壁に角度を付けてもよい)。この実施形態においては、受け台40を変位部材と見なし、レンズ保持部26を制御部材と見なしうる。同様の一実施形態においては、回転止めを受け台40に配置し、凹部をレンズ保持部26に形成しうる。
【0053】
さらに別の実施形態においては、スペーサ部材を変位部材42と受け台40との間に配置することも、および/またはスペーサ部材を位置決め子46の上部と接触面51との間に配置することもできる。この1つまたは複数のスペーサ部材を用いることによって、レンズアセンブリ16と撮像センサ18との間に所望の光学変位を実現することもできる。1つまたは複数のスペーサ部材が存在する場合でも、レンズアセンブリ16と撮像センサ18との間の光学変位は、変位部材42の厚みによって制御しうる。
【0054】
さらに別の実施形態においては、各部品を異なる順番で配置しうる。例えば、ばね48を接触面51の下に配置し、制御部材44と、変位部材42と、位置決め子46とをレンズアセンブリ16の上に配置することもできる。
【0055】
別の実施形態においては、自動焦点アセンブリ14は2つより多い位置を有しうる。例えば、変位部材42の上面と下面とは、平行な平面になくてもよい。代わりに、変位部材42の上面は、段付き面または傾斜面にしたり、面取りしたり、複数のカム面を有したり、深さがそれぞれ異なる複数の凹部を有したりすることもできる。位置決め子46が変位部材42のさまざまな箇所に位置合わせされ、それに応じた数だけレンズアセンブリ16が変位されるように、制御部材44の回転を制御することこともできる。
【0056】
図示の実施形態のための自動焦点アセンブリ14の全般的動作は、以下のように要約しうる。各部品が位置合わせされて各位置決め子46が制御部材44の貫通孔52と変位部材42の貫通孔56とを貫通すると、ばね48によってレンズアセンブリ16が押されてレンズアセンブリ16と各位置決め子46とが接触し、位置決め子46と受け台40とが接触する。制御部材44を回転させると、各位置決め子46は変位部材42の貫通孔56から出て変位部材42の上面に載る。この回転構成においては、ばね48がレンズアセンブリ16を下方に押すことによって、レンズアセンブリ16と位置決め子46とが接触し、位置決め子46と変位部材42とが接触する。各位置決め子46が上方に移動すると、レンズアセンブリ16も上方に移動する。このようにして、レンズアセンブリ16と受け台40との間の距離は変位部材42の厚みに等しい(または応じた)量だけ増える。したがって、撮像センサ18に対するレンズアセンブリ16の変位も変位部材42の厚みに応じた量だけ変化する。制御部材44の回転により、貫通孔52および56が再び位置合わせされると、各位置決め子46は変位部材42の表面を離れ、ばね48の力で穴56の中に入る。この結果、各位置決め子46とレンズアセンブリ16とは、変位部材42の厚みに応じた距離だけ光学的に撮像センサ18に近付く。
【0057】
察知されるとおり、自動焦点アセンブリ14は、制御部材44の回転量の精度に依存せずに、レンズアセンブリ16の極めて正確な変位をもたらす。制御部材44の回転量が閾値である限り、レンズアセンブリ16の変位を実現しうる。この閾値は、例えば、位置決め子46の少なくとも半径にすることもできるが、これより多少大きいことが好ましい。例示的一実施形態における閾値の適切な範囲は、位置決め子46の直径の約4分の3から位置決め子46の直径の約2倍にしうる。
【0058】
制御部材44をアクチュエータ58によって回転させることもできる。上記のように、アクチュエータ58の精度が高くなくても、レンズアセンブリ16の変位を高精度で実現しうる。例示的アクチュエータ58として、1つ以上のモータと、1つ以上の電磁アクチュエータと、1つ以上の圧電アクチュエータとが挙げられる。
【0059】
図示の実施形態に示されるように、アクチュエータ58は、形状記憶合金(SMA)製の部材60を備えうる。図示の実施形態においては、部材60はSMAワイヤ部材である。これは「筋肉ワイヤ」とも称される。SMAワイヤ部材は、適温に加熱されると長さが縮むという特性を示す。この適温は、一般に摂氏約80度から摂氏約90度である。例えば、多くのSMAワイヤは、摂氏約90度に加熱されると、長さが約3パーセントから約8パーセント縮む。ワイヤの加熱は、電流をワイヤに通して抵抗加熱を生じさせることによって実現しうる。このワイヤは数度冷えると軟化しうるので、比較的弱い機械的力を加えることによって元の長さに拡張されうる。適したSMAワイヤ部材は、米国カリフォルニア州フレモントのニチノール・デバイス・アンド・コンポーネンツ(Nitinol Devices and Components)社、米国カリフォルニア州コスタメサのダイナロイ(Dynalloy)社から商標「FLEXINOL」で、およびその他の製造業者および供給元から販売されている。
【0060】
引き続き図3および図4を参照すると、図3は、カメラモジュール20の保持部品に組み込まれた部材60を示し、図4は、制御部材44に組み込まれた部材60を示す。カメラアセンブリ12を完全に組み立てると、部材60は、カメラモジュール20および制御部材44の両保持部品に組み込まれる。
【0061】
部材60は、第1の電気端子62(図4にノードとして模式的に図示)に機械的に固定されて電気的に接続される第1の端部を有しうる。部材60の第2の端部は、第2の電気端子64(図4にノードとして模式的に図示)に機械的に固定されて電気的に接続されうる。部材60の第1および第2の端部間の部材60の1つの箇所は、第3の端子66に少なくとも電気的に接続されうる。図示の実施形態においては、部材60は、第1および第2の端部のほぼ中間点において第3の端子66に機械的かつ電気的に接続される。一代替実施形態においては、第1のSMA部材を第1の端子62と第3の端子66との間に接続し、第2のSMA部材を第2の端子64と第3の端子66(または第4の端子)との間に接続しうる。
【0062】
部材60を支持し案内するために用いられる複数の支柱を受け台40に連結するか、または受け台40に一体に形成しうる。これらの支柱は、部材60に通す電流に干渉しないように非導電性にしてもよい。一実施形態においては、支柱の代わりに、カメラモジュール20の筐体の側壁を使用しうる。
【0063】
図示の実施形態においては、端子62、64、および66は、受け台40の後縁部に沿って受け台40の中央に取り付けられている。第1の端子から出た部材60を受け台40の左後隅にある第1の支柱68に通し、次に受け台40の左前隅にある第2の支柱70に通してもよい。次に、部材60をレバー54の第1の穴72に縦に通し、第2の支柱70と第1の支柱68とを通して第3の端子66に戻す。第3の端子66から出た部材60を受け台40の右後隅にある第3の支柱74に通し、次に受け台40の右前隅にある第4の支柱76に通してもよい。次に、部材60をレバー54の第2の穴78に縦に通し、第4の支柱76と第3の支柱74とを通して第2の端子64に戻す。
【0064】
第3の端子66は、第1の端子62と第3の端子66と間に接続される部材60の第1の部分80と、第2の端子64と第3の端子66との間に接続される部材60の第2の部分82とに対する共通グラウンドとして機能しうる。制御信号を第1の部分80に印加すると(例えば、電流を第1の端子62と第3の端子66との間で第1の部分80に通すと)、部材60の第1の部分80が収縮するため、制御部材44が時計回りに回転しうる。同様に、制御信号を第2の部分82に印加すると(例えば、電流を第2の端子64と第3の端子66との間で第2の部分82に通すと)、部材60の第2の部分82が収縮するため、制御部材44が反時計回りに回転しうる。一実施形態においては、位置決め子46を変位部材42の穴56から追い出すために制御部材44を時計回りに回転させ、位置決め子46を穴56に戻すために制御部材44を反時計回りに回転させうる。別の実施形態においては、位置決め子46を変位部材42の穴56から追い出すために制御部材44を反時計回りに回転させ、位置決め子46を穴56に戻すために制御部材44を時計回りに回転させうる。部材60を制御部材44の周囲にめぐらせると、部材60が十分な長さになるため、部材60の収縮によって制御部材44を十分に回転運動させうる。
【0065】
一実施形態においては、図示の実施形態のコイルばね48の代わりに、支柱によって支持された複数のクリップ、複数の板ばね、複数の弾性部材、または複数の伸縮部材を用いることもできる。例えば、第1の弾性ストラップを隣接する2つの支柱(例えば、支柱68および70)で支持し、第2の弾性ストラップを隣接する別の一対の支柱(例えば、支柱74および76)で支持することもできる。下方への圧力をレンズアセンブリ16に加えるために、これらのストラップをレンズ保持部26の上面に係合することもできる。別の実施形態においては、レンズアセンブリに加える下方への力をレンズアセンブリ16に間接的に及ぼすこともできる。例えば、力を補助リングに及ぼし、この補助リングがレンズアセンブリ16に作用するようにしてもよい。
【0066】
上記のように、図1および図2に図示の電子装置10は携帯電話である。携帯電話として実装された場合の電子装置10の特徴について、図5をさらに参照しながら説明する。電子装置10は、「レンガ」または「ブロック」状フォームファクタの筐体を有するものとして図示されているが、「フリップ開閉」フォームファクタ(例えば、「二つ折り」筐体)またはスライド型フォームファクタ(例えば、「スライダ」筐体)等、他の筐体種別も使用可能であることを理解されるであろう。
【0067】
上記のように、電子装置10は表示部34を備えうる。表示部34は、ユーザが電子装置10のさまざまな特徴を利用できるように動作状態、時刻、電話番号、問い合わせ先、各種メニュー等の情報をユーザに表示する。表示部34は、電子装置10が受信した内容、および/または電子装置10のメモリ84(図5)から取り出した内容、を視覚的に表示するためにも使用しうる。表示部34は、写真、携帯テレビのコンテンツ、およびゲーム関連のビデオ等、画像、ビデオ、および他のグラフィックスをユーザに提示するために使用しうる。
【0068】
キーパッド36および/またはボタン38は、さまざまなユーザ入力操作を可能にする。例えば、キーパッド36は、電話番号、電話先リスト、連絡先、覚書、テキスト等の英数字情報の入力を可能にする英数字キーを備えうる。さらに、キーパッド36および/またはボタン38は、発呼または応答のための「呼送信(call send)」キー、呼の終了または「切断」のための「呼終了(call end)」キー等の特殊機能キーを含みうる。表示部34に表示されたメニュー内のナビゲーションを容易にするために、特殊機能キーはメニューのナビゲーションおよび選択用のキーをさらに含みうる。例えば、ユーザからの方向指示入力を受け付けるために、ポインティングデバイスおよび/またはナビゲーションキーを設けることもできる。特殊機能キーは、再生の開始、停止、一時停止、トラックのスキップまたは繰り返し等を行うためのオーディオビジュアルコンテンツ再生キーを含みうる。携帯電話に付随する他のキーとして、音量キー、消音キー、電源オン/オフキー、ウェブブラウザ立ち上げキー、カメラキー等が挙げられる。キーまたはキーのような機能は、表示部34に付随するタッチスクリーンとして具現化することもできる。また、表示部34およびキーパッド36および/またはボタン38を互いに組み合わせることによってソフトキー機能を実現することもできる。
【0069】
電子装置10は、電子装置10による呼の確立および/または被呼/発呼装置との信号のやり取りを可能にする呼回路を備えうる。この場合の被呼/発呼装置は、一般には別の携帯電話または固定電話にしうる。ただし、被呼/発呼装置は、別の電話機である必要はなく、他の何らかの装置、例えばインターネットウェブサーバ、コンテンツ提供サーバ等でもよい。呼は、何れか適切な形態を取りうる。例えば、呼は、セルラー方式の回線交換網経由で確立される従来の呼とすることも、あるいはセルラー網のパケット交換機能経由で、またはWiFi(例えば、IEEE 802.11規格に基づく網)、WiMax(例えば、IEEE 802.16規格に基づく網)等の代替パケット交換網経由で、確立されるVoIP(Voice over Internet Protocol)呼とすることもできる。別の例として、セルラー網または代替網経由で確立されるビデオ対応呼が挙げられる。
【0070】
電子装置10は、テキストメッセージ、インスタントメッセージ、電子メールメッセージ、マルチメディアメッセージ、画像ファイル、動画ファイル、音声ファイル、着信音、ストリーミング音声、ストリーミング動画、データ供給(ポッドキャストおよびRSS(Really Simple Syndication)データ供給等)等のデータを送信、受信、および/または処理するように構成することもできる。なお、テキストメッセージは、一般に「SMS」とも称される。これは、「Simple Message Service」の略である。SMSは、テキストメッセージの交換のための一般的な規格である。同様に、マルチメディアメッセージは、一般に「MMS」とも称される。これは、「Multimedia Message Service」の略である。MMSは、マルチメディアメッセージの交換のための一般的な規格である。データの処理は、メモリ84へのデータの保存、ユーザにデータと対話させるためのアプリケーションの実行、データに付随したビデオおよび/または画像コンテンツの表示、データに付随した音声の出力等を含みうる。
【0071】
電子装置10は、電子装置10のこれらの機能および動作を総合的に制御するように構成された一次制御回路86を備えうる。制御回路86は、自動焦点アセンブリ14の作動の制御を担当しうる。あるいは、自動焦点アセンブリ14の制御は、カメラアセンブリ12の別個の制御装置(図示せず)に担当させることもできる。制御回路86は、中央処理装置(CPU)、マイクロコントローラ、またはマイクロプロセッサ等の処理装置88を備えうる。処理装置88は、電子装置10を作動させるために、制御回路86内のメモリ(図示せず)および/または別個のメモリに保存されたコードを実行する。
【0072】
データ保存責任の中でも特に、メモリ84は、カメラアセンブリ12によって撮影された画像を保存するために使用しうる。あるいは、これらの画像を別個のメモリに保存することもできる。メモリ84は、例えば、バッファ、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、または他の適した装置のうちの1つ以上でもよい。一般的な構成において、メモリ84は、データの長期保存用の不揮発性メモリ(例えば、NANDまたはNORアーキテクチャのフラッシュメモリ)と、制御回路86用のシステムメモリとして機能する揮発性メモリとを備えうる。揮発性メモリは、例えば同期型ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)で実現されたRAMでもよい。メモリ84は、データバス経由で制御回路86とデータをやり取りしうる。メモリ84と制御回路86との間に付属の制御線およびアドレスバスを設けることもできる。
【0073】
処理装置88は、電子装置10のさまざまな機能を実現するコードを実行しうる。電子装置10を作動させて各種の論理機能を実行させるためのプログラミング方法は、コンピュータプログラミング、特に携帯電話または他の電子装置用のアプリケーションのプログラミング、の分野における当業者には明らかであろう。
【0074】
引き続き図1、図2、および図5を参照すると、電子装置10は、無線回路92に結合されたアンテナ90を備える。無線回路92は、アンテナ90を介して信号を送受信するための無線周波数送信部および受信部を備える。無線回路92は、移動通信システムで動作するように構成し、データおよび/またはオーディオビジュアルコンテンツの送受信に用いることもできる。移動無線網および/または放送網との連係用の受信機の種類として、GSM(Global System for Mobile Communications)、CDMA (Code Division Multiple Access)、WCDMA(Wideband CDMA)、GPRS(General Packet Radio Service)、WiFi、WiMax、DVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)、ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)等のほか、これらの規格の次世代版が挙げられるが、これだけに限定されるものではない。アンテナ90および無線回路92は、1つ以上の無線送受信機を表しうることを理解されるであろう。
【0075】
電子装置10は、無線回路92によって送受信されるオーディオ信号を処理するための音声信号処理回路94をさらに備える。音声信号処理回路94には、ユーザが電子装置10を介して従来どおり聴いて話せるように、スピーカ96およびマイクロフォン98が結合されている。無線回路92および音声信号処理回路94は、総合的動作を実行するように、それぞれ制御回路86に結合されている。オーディオデータを制御回路86から音声信号処理回路94に送ることによってユーザに再生することもできる。オーディオデータとして、例えば、メモリ84に保存され制御回路86によって取り出されたオーディオファイルからのオーディオデータ、または移動無線サービスからストリーミングオーディオデータの形態等で受信されたオーディオデータが挙げられる。音声処理回路94は、何れか適切なバッファ、デコーダ、アンプ、その他を備えうる。
【0076】
ビデオデータを表示部34の駆動に用いられるビデオ信号に変換するビデオ処理回路100によって表示部34を制御回路86に結合することもできる。ビデオ処理回路100は、何れか適切なバッファ、デコーダ、ビデオデータプロセッサ、その他を備えうる。ビデオデータは、制御回路86によって生成することも、メモリ84に保存されたビデオファイルから取り出すことも、無線回路92で受信した着信ビデオデータストリームから得ることも、あるいは他の何れか適切な方法で入手することもできる。
【0077】
電子装置10は、1つ以上の入出力インタフェース102をさらに備えうる。1つまたは複数の入出力インタフェース102は、一般的な携帯電話入出力インタフェースの形態でもよく、1つ以上の電気コネクタを備えうる。一般と同様に、1つまたは複数の入出力インタフェース102は、電子装置10の内部の電源部(PSU)104のバッテリを充電するために、電子装置10をバッテリチャージャに結合するために使用しうる。さらに、または代わりに、1つまたは複数の入出力インタフェース102は、電子装置10との有線インタフェースを有するヘッドセットアセンブリ(例えば、パーソナルハンズフリー(PHF)装置)に電子装置10を接続するために使用しうる。さらに、1つまたは複数の入出力インタフェース102は、データのやり取りのために、電子装置10をパーソナルコンピュータまたは他の装置にデータケーブルを介して接続するために使用しうる。1つまたは複数の入出力インタフェース102を車両の電源アダプタまたは電気アウトレットの電源アダプタに接続すると、電子装置10は1つまたは複数の入出力インタフェース102を介して動作電力を受電しうる。外部電源がないときは、PSU104が電子装置10の動作用の電力を供給しうる。
【0078】
電子装置10は、電子装置10のさまざまな構成要素、例えば制御回路86やメモリ84等、をクロック制御するためのシステムクロック106をさらに備えうる。
【0079】
電子装置10は、全地球測位システム(GPS)受信部、ガリレオ衛星システム受信部等の位置データ受信部108をさらに備えうる。位置データ受信部108は、電子装置10の位置判定に関与しうる。
【0080】
電子装置10は、付属装置、別の移動無線端末、コンピュータ、または別の装置との通信を確立するためのローカル無線インタフェース110、例えば赤外線送受信機および/またはRFインタフェース(例えば、Bluetoothインタフェース)、をさらに備えうる。例えば、対応する無線インタフェースがヘッドセットアセンブリに設けられている実施形態においては、ローカル無線インタフェース110は、電子装置10をヘッドセットアセンブリ(例えば、PHF装置)に作動的に結合しうる。
【0081】
さらに図6を参照すると、通信システム112の一部として動作するように電子装置10を構成しうる。システム112は、電子装置10からの発信呼および電子装置10への着信呼の管理、電子装置10へのデータ送信、および何れか他のサポート機能の実行のためにサーバ116(または複数のサーバ)を有する通信網114を含みうる。サーバ116は、伝送媒体を介して電子装置10と通信する。伝送媒体は、何れか適切な装置またはアセンブリでよく、例えば、通信塔(例えば、セルタワー)、別の携帯電話、無線アクセスポイント、衛星等でもよい。この網の複数の部分は、無線伝送経路を含みうる。網114は、複数の電子装置10および他の種類のエンドユーザ装置の通信アクティビティをサポートしうる。察知されるように、サーバ116は、サーバ機能を実行するために用いられる一般的なコンピュータシステムとして構成することもでき、サーバ116の機能を具現化する論理命令を含むソフトウェアを実行するように構成されたプロセッサと、このようなソフトウェアを格納するためのメモリとを備えうる。
【0082】
特定の実施形態を図示および説明してきたが、本願明細書を読まれて理解された当業者が添付の特許請求の範囲に含まれる均等物および変更を思いつかれることは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像センサ(18)と、
レンズアセンブリ(16)と、
前記レンズアセンブリと前記撮像センサとの間の第1の変位と、前記レンズアセンブリと前記撮像センサとの間の第2の変位とを選択的にもたらす自動焦点アセンブリ(14)であって、前記自動焦点アセンブリは、少なくとも1つの位置決め子(46)とアクチュエータ(58)とを備え、前記アクチュエータは前記位置決め子を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成され、前記第1の位置において前記位置決め子は、前記第1の変位に対応する第1の平面にある第1の表面に接触し、前記第2の位置において前記位置決め子は、前記第2の変位に対応する第2の平面にある第2の表面に接触し、前記第1の変位と前記第2の変位との間の距離が前記第1の平面と第2の平面との間の距離に直接対応するように前記第1および第2の平面は離隔されている、自動焦点アセンブリ(14)と、
を備えるカメラアセンブリ(12)。
【請求項2】
前記アクチュエータは前記位置決め子を前記第1の位置と第2の位置との間で移動させる力を制御部材(44)に加える、請求項1に記載のカメラアセンブリ。
【請求項3】
前記制御部材は前記位置決め子を前記制御部材の受容部(52)に捕捉する、請求項2に記載のカメラアセンブリ。
【請求項4】
前記制御部材の前記受容部は貫通孔である、請求項3に記載のカメラアセンブリ。
【請求項5】
前記アクチュエータは、形状記憶合金(SMA)部材(60)の収縮によって前記制御部材の動きを実現することによって前記位置決め子を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるように前記制御部材に取り付けられたSMA部材(60)を備える、請求項2に記載のカメラアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の表面は、前記位置決め子が前記第2の表面に接触するように前記位置決め子が収容される受容部(56)を備える変位部材(42)の表面である、請求項1または2に記載のカメラアセンブリ。
【請求項7】
前記変位部材の前記受容部は貫通孔である、請求項6に記載のカメラアセンブリ。
【請求項8】
前記変位部材の厚みが、前記第1の変位と前記第2の変位との間の前記距離を規定する、請求項6または7に記載のカメラアセンブリ。
【請求項9】
前記位置決め子は、前記第1の変位と前記第2の変位との間で前記レンズアセンブリに力を加えるために、前記レンズアセンブリの接触面にさらに接触する、請求項6乃至8の何れか1項に記載のカメラアセンブリ。
【請求項10】
前記位置決め子が球形である、請求項1乃至9の何れか1項に記載のカメラアセンブリ。
【請求項11】
前記カメラアセンブリは携帯電話(10)の一部である、請求項1乃至10の何れか1項に記載のカメラアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−537239(P2010−537239A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521491(P2010−521491)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/IB2008/000280
【国際公開番号】WO2009/024839
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】