説明

自動焦点調節装置および撮像装置

【課題】コントラストAFにおいて移動する被写体への追従性を高めること
【解決手段】自動焦点調節装置は、被写体の一対の像信号の位相差を検出することによって焦点検出を行うSAF手段40と、撮影レンズと撮像素子16の一方をウォブリングして被写体の像のコントラスト値の変化を観察することによって合焦位置への追従を行うコントラストAF手段50と、コントラストAF手段50によるウォブリング中にSAF手段40による焦点検出を行わせ、SAF手段40による焦点検出結果に対してコントラストAF手段50による微小往復駆動の振幅分のずれを補正するカメラMPU20と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動焦点調節装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コントラスト方式を使用したオートフォーカス(以下、「コントラストAF」と略す)と焦点検出センサを使用した位相差AFを組み合わせたハイブリッドAFを開示している。特許文献2は、撮像素子に焦点検出用画素と瞳分割手段を設けて位相差AF(撮像面位相差AF(以下、「SAF」と称する場合がある))機能を持たせたことを開示している。
【0003】
特許文献3は、フォーカスレンズと撮像素子の一方を一方向に駆動しコントラスト値のピーク位置を探す山登りAFと、前記一方を微小往復駆動(ウォブリング)して焦点調節の追従を行うウォブリングAFを有するコントラストAFを開示している。例えば、コントラストAFを用いた動画撮影においてデフォーカス量が大きい時に山登りAFを行い、合焦位置近傍でウォブリングAFを行って動体追従を行うことができる。特許文献4は、2次結像光学系による位相差AFを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−251065号公報
【特許文献2】特開2009−003122号公報
【特許文献3】特開2009−014850号公報
【特許文献4】特開2007−403063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコントラストAFは移動する被写体への追従に時間がかかる、あるいは、追従できないという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、コントラストAFにおいて移動する被写体への追従性を高めることが可能な自動焦点検出装置および撮像装置を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の自動焦点調節装置は、一対の被写体の像信号の位相差を検出することによって焦点検出を行う第1の焦点検出手段と、撮影レンズと撮像素子の一方をウォブリングして被写体の像のコントラスト値の変化を観察することによって合焦位置への追従を行う第2の焦点検出手段と、前記第2の焦点検出手段によるウォブリング中に前記第1の焦点検出手段による焦点検出を行わせ、前記第1の焦点検出手段による焦点検出結果に対して前記第2の焦点検出手段によるウォブリングの振幅のずれ分を補正する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コントラストAFにおいて移動する被写体への追従性を高めることが可能な自動焦点調節装置および撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が適用可能なデジタルカメラのブロック図である。
【図2】ウォブリングAFを説明するためのグラフである。
【図3】本実施例の焦点調節方法を説明するためのグラフである。
【図4】本実施例の焦点検出方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示すS180の詳細なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施例のデジタルカメラ(撮像装置)の焦点調節に関連する主要部分のブロック図である。本実施例のデジタルカメラは交換レンズ式一眼レフカメラであり、カメラ本体10とレンズユニット60とを有する。但し、本発明が適用可能な撮像装置は、デジタルビデオカメラやレンズ一体型のカメラなど種類は問わない。
【0011】
レンズユニット60は、カメラ本体10に交換可能に構成されており、撮影レンズ62、レンズMPU70を有する。カメラ本体10とレンズユニット60とは、二点鎖線で示すマウントに設けられた不図示のコネクタを介して機械的かつ電気的に接続されている。
【0012】
撮影レンズ62は、一点鎖線で示す光軸方向に移動して焦点調節を行う不図示のフォーカスレンズを含み、被写体の光学像を形成する。図1において、Lは撮影レンズ62の光軸である。
【0013】
レンズMPU70は、撮影レンズ62に係る全ての演算、制御を行い、撮影レンズ62のフォーカスレンズの駆動を制御する。また、レンズMPU70は、レンズMPU70からの指示により、フォーカスレンズを微小往復(ウォブリング)することも可能である。また、レンズMPU70は、現在のレンズ位置を検出し、カメラMPU20からの要求に対してレンズ位置情報を通知する。
【0014】
カメラ本体10は、メインミラー11、ファインダー光学系13、撮像素子16、画像処理回路18、カメラMPU20、メモリ22、撮像面位相差AF手段(SAF手段)40、コントラストAF手段50を有する。カメラMPU20、SAF手段40及びコントラストAF手段50は自動焦点調節装置を構成する。
【0015】
撮影レンズ62と撮像素子16との間には、ファインダー光学系13による観察時には撮影レンズ62から撮像素子16までの光路内に配置され、撮影時には光束外へ退避するメインミラー11が配置されている。メインミラー11はハーフミラーにより構成され、ファインダー観察時には、撮影レンズ62からの光束はファインダー光学系に導かれる反射光と、不図示のサブミラーに入射する透過光とに分離される。反射光は、不図示のピント板のマット面上に結像し、マット面上の像は、ペンタプリズムおよび接眼レンズを介して撮影者によって観察される。
【0016】
撮像素子16はCCDセンサやC−MOSセンサとその周辺回路で構成され、横方向m画素、縦方向n画素の受光ピクセル上に1つの光電変換素子が配置され、被写体像を光電変換する。撮像素子16は、全画素独立出力が可能なように構成されている。また一部の画素が焦点検出用画素となっており、撮像面でSAFが可能となっている。
【0017】
具体的には、撮像素子16は、撮影レンズの射出瞳の全域を通る光を受光して被写体像を光電変換する複数の撮影用画素と、撮影レンズの射出瞳の一部の領域を通る光を受光して被写体像を光電変換する複数の焦点検出用画素を有する。すなわち、撮像素子16は、撮影レンズ62の射出瞳の異なる領域を通過した光束を各焦点検出用画素に導く瞳分割手段を更に有する。
【0018】
例えば、撮像素子16は、2行×2列の画素のうち、対角に配置される一対のG画素は撮影用画素として残し、R画素とB画素を焦点検出用画素に置き換える。瞳分割手段は、特許文献2の図6や図7に記載されているようなマイクロレンズや開口部を有する配線層などである。
【0019】
このように、撮像素子16は撮像用画素と焦点検出用画素を有する。焦点検出用画素は離散的に配置され、焦点検出時には離散的な画素出力を繋ぎ合わせた画像信号を用いて焦点検出を行う。一方、撮影時には、焦点検出用画素はキズ画素として扱われ、周囲の画素から補間演算などによりキズ補正処理されることで撮影画像を形成する。
【0020】
画像処理回路18は、撮像素子16と不図示のA/D変換器を経た画像データにγ変換、カラー補間、JPEG圧縮など所定の処理を施す。得られた画像データのうち焦点検出に対応する画像データは、画像処理回路18で焦点検出用画像データに変換され、カメラMPU20へ送られる。
【0021】
カメラMPU(制御部)20は、カメラ本体10に係る全ての演算や制御を行うマイクロコンピュータ(プロセッサ)である。カメラMPU20はレンズMPU70と通信可能に接続され、レンズMPU70に対して撮影レンズ62の位置の取得や所定の駆動量でのレンズ駆動要求を発行したり、レンズユニット60に固有の光学情報(焦点距離など)を取得したりする。
【0022】
カメラMPU20は、SAF手段40とコントラストAF手段50によって焦点検出された検出結果に基づいてレンズMPU70を介してフォーカスレンズを駆動するAF制御を行う。カメラMPU20は、コントラストAF手段50のウォブリングAFによるウォブリング中にSAF手段40による焦点検出を行わせる。そして、カメラMPU20は、SAF手段40による焦点検出結果であるデフォーカス量を後述する数式1及び2を用いて、コントラストAF手段50のウォブリングAFによる微小往復駆動(ウォブリング)の振幅のずれ分を補正する制御手段として機能する。
【0023】
メモリ22は、カメラMPU20の動作に必要な情報を格納する。例えば、メモリ22は、後述する焦点調節方法を実行するためのプログラムや、それに使用される後述する第1の閾値、第2の閾値、第3の閾値などを格納する。
【0024】
SAF手段40は、撮像素子16に埋め込まれた焦点検出用画素を利用して位相差検出方式によって撮影レンズ62の焦点状態を検出する第1の焦点検出手段である。即ち、SAF手段40は、撮影レンズ62の一対の瞳領域を通過する光束により撮像素子16の焦点検出用画素に形成される一対の被写体像の位相差を撮像面で検出し、周知の相関演算によって撮影レンズ62の焦点状態を検出する。
【0025】
SAFの原理は、特許文献2の図5〜7などで説明されているものと同様であり、SAF手段40は、特許文献2の図8に開示された合成手段、連結手段、演算手段を有する。
【0026】
なお、本発明で適用可能な位相差AFは、SAFに限定されない。例えば、専用のセンサ(ラインセンサ)を使用した(内測または外測の)位相差AFや、一眼レフタイプのカメラで多用される、特許文献4に開示されているミラー光路分割による2次結像タイプの位相差AFであってもよい。
【0027】
コントラストAF手段50は、画像処理回路18にて得られた画像情報のコントラスト成分によりコントラスト検出方式で焦点検出を行う第2の焦点検出手段である。
【0028】
コントラストAFは、焦点を検出する領域を規定する焦点検出枠といわゆる山登り方式によってフォーカスレンズを移動してコントラスト値がピークとなるフォーカスレンズの位置を検出する山登りAFモードを有する。
【0029】
また、コントラストAFは、合焦位置付近で撮影レンズ62と撮像素子16の間隔を変化するようにその一方を微小往復駆動してコントラスト値の変化を観察することによって被写体の合焦位置への追従を行うウォブリングAFモードを有する。なお、本実施例では、上述したように、ウォブリングAFで駆動されるものは撮影レンズ62のフォーカスレンズである。
【0030】
図2は、ウォブリングAFにおけるフォーカスレンズの動作を説明するためのグラフで、横軸は時間、縦軸はフォーカスレンズの位置を示している。図2において、Aの間に撮像素子16に蓄積された画像信号(斜線楕円で示す)に対するコントラストAF手段50で演算されるコントラスト評価値EVが時刻Tで取り込まれる。また、Bの間に撮像素子16に蓄積された画像信号(斜線楕円で示す)に対する評価値EVが時刻Tで取り込まれる。時刻Tでは、評価値EVとEVを比較し、EV>EVであれば振幅中心を移動させる。一方、EV>EVであれば振幅中心を移動させない。これを繰り返し行うことで、焦点調節の追従を行う。
【0031】
なお、本実施例のAFではフォーカスレンズを移動するが撮像素子16を移動してもよく、撮影レンズ62によって形成される焦点位置と撮像素子16の相対位置を変化させることができれば足りる。
【0032】
SAFは、撮像素子16による瞳分割を行っているため、撮影レンズ62のケラレなどにより焦点検出精度が低下する。そこで、本実施例は比較的大ボケ時やコントラストAFの補助的な役割として使用する際にはSAFを用い、合焦近傍ではコントラスト方式AFを用いることで、大ボケ時の焦点調節時間短縮を行うと共に移動被写体に対しても高精度な焦点合わせを実現する。また、本実施例は、コントラスト方式AFを行っている最中にも、常にSAFを行うことで被写体の移動を検知して焦点調節の追従を行う。
【0033】
図3は、本実施例のハイブリッドAFにおける被写体への追従を説明するためのグラフであり、横軸は時間、縦軸は撮影レンズ62のフォーカスレンズの位置である。実線Sは、被写体の像面移動軌跡をフォーカスレンズの軌跡に変換したものであり、被写体Sは、説明を簡略化するため時間T0からT1の間は静止し、時間T1以降はフォーカスレンズが等速で移動すると仮定している。点線Uは、フォーカスレンズが本実施例のハイブリッドAFにより被写体に追従している様子を示している。
【0034】
楕円1a〜1bは、撮像素子16で画像信号を蓄積する期間を示す。まず、楕円1aにおいて画像信号が蓄積され、楕円1bまでの間に蓄積された画像信号が読み出されて、コントラストAFによる評価値とSAF(位相差AF)によるデフォーカス量が算出される。
【0035】
楕円1bでは、楕円1aのデフォーカス量が所定値以上(第1の閾値以上)である場合には、SAFによる結果のみでフォーカスレンズが駆動され、楕円1cに移動する。楕円1cでは、同様に楕円1bで蓄積された画像信号に対して、評価値とデフォーカス量が算出される。このとき、デフォーカス量が所定値以上である場合でも、前回(楕円1a)と今回(楕円1b)のデフォーカス量の変化量が所定値以下(第2の閾値以下)である場合は、フォーカスレンズの駆動が行われずに楕円1dとなる。
【0036】
楕円1dでは、楕円1cにおける評価値とデフォーカス量が算出される。デフォーカス量が所定値以下(第2の閾値以下)である場合にはウォブリングAFに移行する。楕円1d〜楕円1iは、ウォブリングAFによりフォーカスレンズの制御を行う。そして、ウォブリングAFを行う楕円1d〜1iの期間においてもSAFによりデフォーカス量を算出する。デフォーカス量の変化を観察することで移動被写体の追従を行う。
【0037】
ウォブリングAF中にSAFを行うとウォブリングAFの影響で、被写体があたかも動体であるかのようにデフォーカス量が変化してしまう。例えば、楕円1gから楕円1hの期間にかけては被写体が静止している。しかし、ウォブリングAFの影響で、楕円1gで蓄積された画像信号によるデフォーカス量に対して楕円1hで蓄積された画像信号によるデフォーカス量は変化してしまうため、被写体を移動被写体と判定してしまう。
【0038】
そこで、本実施例では、ウォブリングAF中にSAFを行う場合、ウォブリングAFによる振幅分のズレを補正することによって高精度な位相差AFを行う。まず、撮影レンズ62のFナンバーをF、そのときの撮像素子16上における許容錯乱円径をδと定義すると、ウォブリングAFの撮像素子16上における振幅Wは次式で表すことができる。
【0039】
【数1】

【0040】
ここで、kは振幅の大きさを決める係数で、1/4や1/3など1以下の数値が用いられることが多い。そして、ウォブリングAF中のSAFのデフォーカス量をPとすると、ウォブリングAFによる影響を補正したデフォーカス量Pは次式で表すことができる。
【0041】
【数2】

【0042】
なお、数式2において、±の符号は、ウォブリングAFの振幅によるフォーカスレンズの位置が至近側もしくは無限側のどちらかによって補正する方向が変わるためである。
【0043】
以上の補正でウォブリングAF中に高精度にSAFを実現することができる。従って、本実施例では、楕円1d〜楕円1iの期間においては、デフォーカス量の変化量が所定値以下となるため、静止被写体と判定されてウォブリングAFのみによる追従が実施される。
【0044】
楕円1jでは、楕円1iにおける評価値とデフォーカス量が算出される。このとき、被写体Sが移動しているが、楕円1iにおける結果しかないため、被写体の移動を検知できず、ウォブリングAFが継続されている。
【0045】
楕円1kでは、楕円1jにおける評価値とデフォーカス量が算出される。ここでは、デフォーカス量の変化量が所定値以上(第2の閾値以上)であるから、この変化量に対応したフォーカスレンズ位置にウォブリングAFの振幅中心位置を移動する。このときSAFの結果には、数式2によるウォブリングAFによる影響を補正したものが用いられる。
【0046】
楕円1lでも、楕円1kと同様に、ウォブリングAFの振幅中心移動が行われる。
【0047】
楕円1mでは、楕円1lにおける評価値とデフォーカス量が算出される。楕円1mでは、楕円1j、楕円1k、楕円1lと位相差AFによるデフォーカス量の変化が3回以上(第3の閾値以上)連続して観測されている。このため、SAFの結果から予測される被写体の像面移動速度を算出して、この被写体の像面移動速度に基づいて振幅中心の移動が行われる。
【0048】
楕円1m〜楕円1pにおいては、SAFによる予測AFとウォブリングAFの両者に基づいて移動被写体Sへの追従が行われる。このときSAFの結果には、数式2によるウォブリングAFによる影響を補正したものが用いられる。
【0049】
以上、本実施例ではウォブリングAFとSAFにより移動被写体に対しても良好な追従を行い、そのときのSAFはウォブリングAFによる振幅移動の影響を補正することで高精度なAFを実現することができる。
【0050】
次に、カメラMPU20が行う焦点調節方法について説明する。図4は、カメラMPU20が行う焦点調節を説明するためのフローチャートである。図4において、「S」はステップの略であり、これは後述する図5にも当てはまる。
【0051】
まず、カメラMPU20は、不図示の操作部が操作されて焦点検出動作が開始されたと判断すると(S110)、撮像素子16からの画像信号を蓄積する(S120)。その後、カメラMPU20は、蓄積された画像信号を読み出して(S130)、画像処理回路18を介してコントラストAF手段50へ送り、コントラストAF手段50を介してコントラストAFの評価値を算出する(S140)。
【0052】
次に、カメラMPU20は、S120で画像信号を蓄積したときにウォブリングAFによるレンズ駆動を行っているか否かを判断する(S150)。
【0053】
カメラMPU20は、S150においてウォブリングAFを行っていると判断した場合は(S150のYes)、カメラMPU20は、コントラストAF手段50を介して数式1及び2を用いてSAFの補正されたデフォーカス量を算出する(S160)。一方、カメラMPU20は、S150において行っていないと判断した場合は(S150のNo)、カメラMPU20は、SAF手段40を介してSAFの検出結果によるデフォーカス量のみを算出する(S170)。
【0054】
S160またはS170の後で、カメラMPU20は、S140〜S170で算出された評価値またはデフォーカス量に基づいて撮影レンズ62のフォーカスレンズを駆動する(S180)。
【0055】
図5は、S180の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、カメラMPU20は、SAFによる焦点検出結果であるデフォーカス量が所定値以上であるか否かを判定する(S181)。
【0056】
カメラMPU20は、デフォーカス量が所定値以上(第1の閾値以上)であると判定した場合は(S181のYes)、前回と今回の位相差AFのデフォーカス量の変化量が所定値以下(第2の閾値以下)であるかどうかを判定する(S182)。カメラMPU20は、前回と今回のSAFのデフォーカス量の変化量が所定値よりも大きいと判定すると(S182のNo)、カメラMPU20は、SAFの結果のみで撮影レンズ62のフォーカスレンズを駆動する(S183)。
【0057】
一方、カメラMPU20は、デフォーカス量が所定値よりも大きい(第1の閾値よりも大きい)と判定した場合は(S181のNo)、前回と今回のSAFのデフォーカス量の変化量が所定値以下(第2の閾値以下)であるかどうかを判定する(S184)。
【0058】
カメラMPU20は、前回と今回の位相差AFのデフォーカス量の変化量が所定値以下であると判定すると(S184のYes)、ウォブリングAFで撮影レンズ62のフォーカスレンズを駆動する(S185)。ここでは、撮影レンズ62のFナンバー情報と、予め記憶された許容錯乱円径δ、係数kに基づいてウォブリングの振幅が設定される。
【0059】
一方、カメラMPU20は、前回と今回のSAFのデフォーカス量の変化量が所定値よりも大きいと判定すると(S184のNo)、SAFのデフォーカス量の変化量が所定値以上である場合が3回以上(第3の閾値以上)連続したか否かを判定する(S186)。
【0060】
カメラMPU20は、3回以上連続(第3の閾値以上連続)していないと判定すると(S186のNo)、デフォーカス量を用いてウォブリングAFの振幅中心の移動量を算出し、その分だけ振幅中心を移動する(S187)。このときSAFの結果には、数式2によるウォブリングAFによる影響を補正したものが用いられる。
【0061】
一方、カメラMPU20は、3回以上連続したと判定すると(S186のYes)、SAFの検出結果を用いて、SAF手段40による焦点検出結果から予測される被写体の像面移動速度を算出し、それに基づいて振幅中心を移動する(予測AF)。その後、カメラMPU20は、ウォブリングAFによる振幅移動分を加えてフォーカスレンズを駆動する(S188)。
【0062】
一方、カメラMPU20は、前回と今回の位相差AFのデフォーカス量の変化量が所定値以下であると判定すると(S182のYes)、フォーカスレンズ駆動が行われずに本フローを終了する。同様に、カメラMPU20は、S183、S185、S187またはS188の後で本フローを終了する。
【0063】
再び図4に戻り、最後に、カメラMPU20は、焦点検出動作の終了となったかどうかを判断し(S109)、そうであればフローを終了し、そうでなければフローはS102に戻る。
【0064】
本実施例によれば、ウォブリングAF中にSAFを行う際に、ウォブリングAFの振幅移動による影響を補正することによって動画撮影における大ボケ時の焦点調節時間を短縮すると共に、移動被写体に対しても高精度に焦点調節を実現することができる。このため、コントラストAFにおいて移動する被写体への追従性を高めることができる。
【0065】
図4及び図5に示す焦点調節方法はコンピュータが実行可能なプログラムとして実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
撮像装置は被写体を撮像する用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
16 撮像素子
20 カメラMPU(コンピュータ、制御手段)
40 撮像面位相差AF手段(SAF手段、第1の焦点検出手段)
50 コントラストAF手段(第2の焦点検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の被写体の像信号の位相差を検出することによって焦点検出を行う第1の焦点検出手段と、
撮影レンズと撮像素子の一方をウォブリングして被写体の像のコントラスト値の変化を観察することによって合焦位置への追従を行う第2の焦点検出手段と、
前記第2の焦点検出手段によるウォブリング中に前記第1の焦点検出手段による焦点検出を行わせ、前記第1の焦点検出手段による焦点検出結果に対して前記第2の焦点検出手段によるウォブリングの振幅のずれ分を補正する制御手段と、
を有することを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の焦点検出手段による焦点検出結果であるデフォーカス量が第1の閾値よりも小さく、前記デフォーカス量の変化量が第2の閾値よりも大きい場合に、前記第1の焦点検出手段による焦点検出結果の変化量に対応する量だけ前記第2の焦点検出手段によるウォブリングの振幅中心を移動することを特徴とする請求項1に記載の自動焦点調節装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記デフォーカス量の変化量が前記第2の閾値よりも大きい結果が第3の閾値以上連続していない場合に、前記第2の焦点検出手段による焦点検出結果を使用して焦点調節を行い、
前記デフォーカス量の変化量が前記第2の閾値よりも大きい結果が前記第3の閾値以上連続した場合に、前記第1の焦点検出手段による焦点検出結果から予測される被写体の像面移動速度を算出し、当該被写体の像面移動速度に基づいて前記振幅中心を移動することを特徴とする請求項2に記載の自動焦点調節装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の自動焦点調節装置を有する撮像装置。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−53315(P2012−53315A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196359(P2010−196359)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】