説明

自動番組送出制御装置及びスケジュール表示方法

【課題】表示部に表示される放送イベントのうち実行可能な放送イベントを識別表示することが可能な自動番組送出制御装置及びスケジュール表示方法を提供する。
【解決手段】自動番組送出制御装置は、運行データに含まれる放送スケジュールに基づいて制御データ生成部13で制御データを生成する。そして、制御データ生成部13は、生成された制御データをRTP20へ出力すると共に、生成された制御データの制御データ長を表示データ生成部14へ出力する。表示データ生成部14は、放送スケジュールにこの制御データ長を反映させて表示データを生成し、この表示データを表示部30へ出力する。これにより、自動番組送出制御装置は、表示部30において、実行可能な放送イベントと実行不可の放送イベントとを区別して表示することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送番組を保持する番組送出装置に対して番組スケジュール通りに放送番組を送出させる自動番組送出制御装置及びスケジュール表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上波の放送システムにおいて、自動番組送出制御装置は、放送番組を放送する際の番組スケジュールに従って番組送出装置を制御し、この番組送出装置に保持される放送番組を送出させる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
自動番組送出制御装置は、SCP(Schedule Control Processor)、RTP(Real Time Processor)及び表示部を具備する。SCPは、番組スケジュールに基づき、番組送出装置から放送番組を送出させるための制御データを生成する。このとき、SCPは、RTPのメモリ容量に応じた容量の制御データを順次生成する。RTPは、生成された制御データを受け取り、これに従って番組送出装置に対する制御を行う。また、SCPは、制御データの生成と並行して、番組スケジュールを表示部で表示させるための表示データを生成し、表示部へ供給する。表示部は、この表示データを受け取り、番組スケジュールを表示する。
【0004】
しかしながら、RTPに供給される制御データの容量はRTPのメモリ容量以下に制限されているため、RTPが番組送出装置を制御することで実行される放送イベントの数は、表示データに基づいて表示される放送イベントの数よりも少ない。つまり、表示部には、実行可能な放送イベント以外の放送イベントも表示されていることとなる。そのため、SCPに異常等が発生する場合、RTPへ新たな制御データが供給されなくなり、表示部に表示されている放送イベントであるにも関わらず実行できないという問題がある。
【特許文献1】特開2008−148107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来の自動番組送出制御装置では、SCPにおいて制御データと表示データとが並列に生成されているため、表示部に表示される放送イベントであっても実行できない場合があった。
【0006】
本発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、表示部に表示される放送イベントのうち実行可能な放送イベントを識別表示することが可能な自動番組送出制御装置及びスケジュール表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る自動番組送出制御装置は、放送番組を保持する番組送出装置に番組スケジュール通りに前記放送番組を送出させる自動番組送出制御装置において、前記番組スケジュールに基づいて前記番組送出装置に前記放送番組を送出させるための制御データを、前記番組スケジュールのうち指定される範囲の指定スケジュール毎に順次生成する制御データ生成手段と、前記番組スケジュールを、前記番組スケジュールにおける前記制御データが生成された指定スケジュールを区別して表示させるための表示データを生成する表示データ生成手段と、前記制御データを受け取り、当該制御データに従って前記番組送出装置に対する制御を行う制御手段と、前記表示データを受け取り、当該表示データに基づいて番組スケジュールを表示する表示手段とを具備する。
【0008】
また、本発明に係るスケジュール表示方法は、放送番組を保持する番組送出装置に番組スケジュール通りに前記放送番組を送出させる自動番組送出制御装置に用いられるスケジュール表示方法において、前記番組スケジュールに基づいて前記番組送出装置に前記放送番組を送出させるための制御データを、前記番組スケジュールのうち指定される範囲の指定スケジュール毎に順次生成し、前記番組スケジュールを、前記番組スケジュールにおける前記制御データが生成された指定スケジュールを区別して表示させるための表示データを生成し、前記制御データに従って前記番組送出装置に対する制御を行い、前記表示データに基づいて番組スケジュールを表示することを特徴とする。
【0009】
上記構成による自動番組送出制御装置及びスケジュール表示方法では、制御データ生成手段は、番組スケジュールにおける所定範囲のスケジュールを実行させるための制御データを生成する。そして、表示データ生成手段は、制御データが生成された範囲のスケジュールを番組スケジュールと区別して、表示手段に番組スケジュールを表示させるようにしている。これにより、自動番組送出制御装置は、表示手段において、番組スケジュールにおいて実行可能なスケジュールを実行不可能なスケジュールと区別して表示することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表示部に表示される放送イベントのうち実行可能な放送イベントを識別表示可能な自動番組送出制御装置及びスケジュール表示方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明に係る自動番組送出制御装置の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る自動番組送出制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示す自動番組送出制御装置は、SCP(Schedule Control Processor)10を具備し、SCP10には、RTP(Real Time Processor)20及び表示部30が接続されている。RTP20には、複数の番組送出装置が接続されている。番組送出装置は、放送番組として番組データ及びCMデータ等を保持している。
【0013】
自動番組送出制御装置は、放送番組を放送する際の番組スケジュールを含む運行データを受信する。そして、自動番組送出制御装置は、この番組スケジュールに基づいてSCP10で制御データ及び表示データを生成する。制御データは、番組スケジュールにおける放送イベントを実行するために番組送出装置を制御するためのものであり、RTP20へ供給される。また、表示データは、番組スケジュールを表示するためのものであり、表示部30に供給される。
【0014】
RTP20は、受け取った制御データに従って、接続される複数の番組送出装置を制御する。この制御により、番組送出装置は、保持する放送番組を送出/停止する。
【0015】
表示部30は、受け取った表示データに基づいてオンエアに係る放送イベントを時系列で表示する。
【0016】
上記SCP10は、例えばマイクロプロセッサからなるCPU(Central Processing Unit)11を備える。SCP10は、このCPU11により、内部データ変換処理部12、制御データ生成部13及び表示データ生成部14を制御する。
【0017】
内部データ変換処理部12は、受信された運行データを内部コードに対応する内部データに変換する。内部データ変換処理部12は、内部データを制御データ生成部13及び表示データ生成部14へ供給する。
【0018】
制御データ生成部13は、内部データに含まれる番組スケジュールに基づいて制御データを生成する。ここで、RTP20のメモリ容量は予め設定されている。そのため、制御データ生成部13は、番組スケジュールにおける放送イベントのうち、所定の数の放送イベントを実行するための制御データを上述の容量以内で生成し、RTP20へ出力する。このとき、制御データ生成部13は、番組スケジュールにおける放送イベントのうち、先頭イベントから順に所定の数の放送イベントを選出し、その放送イベントを実行するための制御データを順次生成する。
【0019】
また、制御データ生成部13は、制御データを生成する度に、その制御データの制御データ長を表示データ生成部14へ出力する。ここで、制御データ長とは、生成した制御データが対応する放送イベントの数である。
【0020】
表示データ生成部14は、内部データ変換処理部12からの内部データと、制御データ生成部13からの制御データ長とを受け取る。表示データ生成部14は、内部データに含まれる番組スケジュールに制御データ長として通知された放送イベント数を反映させて表示データを生成する。生成された表示データは、表示部30へ出力される。
【0021】
また、表示データ生成部14は、制御データ生成部13から制御データ長を受け取る度に、この制御データ長に示される放送イベント数を反映させて表示データを生成する。
【0022】
次に、上記構成における自動番組送出制御装置の動作を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るCPU11の処理動作を示すフローチャートである。
【0023】
CPU11は、運行データが受信されると、内部データ変換処理部12に内部データを作成させる(ステップ2a)。CPU11は、作成された内部データを制御データ生成部13へ出力させ(ステップ2b)、制御データ生成部13に制御データを生成させる(ステップ2c)。CPU11は、制御データ生成部13にこのとき生成された制御データをRTP20へ出力させると共に、その制御データの制御データ長を表示データ生成部14へ出力させる(ステップ2d)。
【0024】
続いて、CPU11は、内部データ変換処理部12に内部データを表示データ生成部14へ出力させる(ステップ2e)。CPU11は、表示データ生成部14に内部データと制御データ長とに基づいて表示データを生成させる(ステップ2f)。CPU11は、表示データ生成部14に生成された表示データを表示部30へ出力させ(ステップ2g)、処理を終了する。なお、CPU11は、制御データ生成部13に内部データに基づいて制御データを順次生成させ、生成された制御データをRTP20へ出力させると共に、制御データ長を表示データ生成部14へ出力させるようにしている。
【0025】
図3は、表示部30の表示例を示す模式図である。表示部30は、放送イベントを時系列に表示している。PG1,2は番組の放送を示し、CM1〜4はコマーシャルの放送を示す。
【0026】
ステップ2dにおいて表示データ生成部14に供給された制御データ長の値が3である場合、表示データ生成部14は、番組スケジュールにおける最初の放送イベントから3つの放送イベントを黒色文字で表示し、その他の放送イベントを灰色文字で表示するように表示データを生成する。なお、表示データ生成部14に新たな制御データ長が供給されると、表示部30へはその数に応じた表示データが供給され、表示部30における灰色文字が黒色文字に更新される。
【0027】
このような処理により、表示部30は、RTP20の制御により実行することが可能な放送イベントと、その他の放送イベントとを識別して表示することができるようになる。
【0028】
以上のように、上記一実施形態では、制御データを作成した後に、この制御データのデータ長を参照して表示データを作成するようにしている。これにより、自動番組送出制御装置は、表示部30において、実行可能な放送イベントと実行不可の放送イベントとを区別して表示することが可能となる。
【0029】
したがって、表示部30に表示される放送イベントのうち実行可能な放送イベントを識別表示することが可能な自動番組送出制御装置及びスケジュール表示方法を提供することができる。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、制御データ長をイベント数により示していたが、これに限定されるものではない。
【0031】
さらに、本発明は実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動番組送出制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1のCPUの処理動作を示すフローチャートである。
【図3】図1の表示部の表示例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0033】
10…SCP
11…CPU
12…内部データ変換処理部
13…制御データ生成部
14…表示データ生成部
20…RTP
30…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送番組を保持する番組送出装置に番組スケジュール通りに前記放送番組を送出させる自動番組送出制御装置において、
前記番組スケジュールに基づいて前記番組送出装置に前記放送番組を送出させるための制御データを、前記番組スケジュールのうち指定される範囲の指定スケジュール毎に順次生成する制御データ生成手段と、
前記番組スケジュールを、前記番組スケジュールにおける前記制御データが生成された指定スケジュールを区別して表示させるための表示データを生成する表示データ生成手段と、
前記制御データを受け取り、当該制御データに従って前記番組送出装置に対する制御を行う制御手段と、
前記表示データを受け取り、当該表示データに基づいて番組スケジュールを表示する表示手段と
を具備することを特徴とする自動番組送出制御装置。
【請求項2】
前記制御データ生成手段は、前記指定スケジュールにおける放送イベントを実行させるように前記制御データを生成し、
前記表示データ生成手段は、前記番組スケジュールを、当該番組スケジュールにおける放送イベントと前記指定スケジュールにおける放送イベントとを区別して表示させるための表示データを生成することを特徴とする請求項1記載の自動番組送出制御装置。
【請求項3】
放送番組を保持する番組送出装置に番組スケジュール通りに前記放送番組を送出させる自動番組送出制御装置に用いられるスケジュール表示方法において、
前記番組スケジュールに基づいて前記番組送出装置に前記放送番組を送出させるための制御データを、前記番組スケジュールのうち指定される範囲の指定スケジュール毎に順次生成し、
前記番組スケジュールを、前記番組スケジュールにおける前記制御データが生成された指定スケジュールを区別して表示させるための表示データを生成し、
前記制御データに従って前記番組送出装置に対する制御を行い、
前記表示データに基づいて番組スケジュールを表示することを特徴とするスケジュール表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−74708(P2010−74708A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242176(P2008−242176)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】