説明

自動皮膚穿刺分析のための分析システム

試料生成のために皮膚を穿刺し、試料中に含まれる検体を検出することによって皮膚穿刺分析を自動的に実施する分析システムである。分析システム110は、その各々が穿刺要素および分析要素を含む複数の区画116を有するカートリッジ112と、駆動アセンブリ123を有する再使用可能な携帯型機器113とを備える。駆動アセンブリ123は、手動生成された機械力により次の動作のうちの少なくとも1つを駆動するように適合される。
(a)穿刺要素の1つが駆動アセンブリ123に連結される連結動作と、
(b)カートリッジ112に含まれ、駆動アセンブリ123に連結された1つの穿刺要素の穿刺および試料採取動作と、
(c)テストエレメント114が元のカートリッジの区画に輸送される再カートリッジ化動作。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(ヒトまたは動物)被験者の皮膚を穿刺することにより体液試料を生成し、試料液体中の1以上の成分(検体)の存在または濃度を検出することによって皮膚穿刺分析を自動的に実施するために適したシステムに関する。使用される皮膚部位および穿刺深さに応じて、体液は血液または間質液あるいはその混合体である。
【背景技術】
【0002】
皮膚穿刺に基づく分析は、医学的診断および治療のいくつかの分野において重要である。特に重要なのは、糖尿病管理の分野である。糖尿病によりもたらされる深刻な長期の損害は、患者が、一定の血糖値を維持するための実際の必要量に近い、要求されるインスリン注射を適合するために、自身の血糖値を一日数回制御する場合に回避可能であると判断されている。このことは、患者自身または医学訓練をしていない他の人による、いわゆる「ホームモニタリング」を必要とする。
【0003】
これに関連して使用される分析システムは、一般的に、特定の種類の使い捨ての分析要素(テストストリップなど)と、分析要素に適合してここで生じる分析反応の結果を評価することに適した機器とを備える。分析要素は、試料中に含まれる検体と反応することにより、所望の分析結果に特徴的な測定量の測定可能な変化をもたらす試薬システムを含む。主として2種類のこのような分析システムが既知であり、すなわち、測定量が変色または他の光学的に測定可能な量である光学システムと、測定量が電流または他の電気的に測定可能な量である電気化学システムである。
【0004】
糖尿病管理に加えて、ホームモニタリングを含む同様の要求を有する医学的診断および治療分野の他の重要な分野が存在する。これらには、たとえば、血中コレステロールの定期的制御および血液凝固パラメータの制御がある。本発明は、特に、これらおよび他のホームモニタリングでの適用に好適であるが、これに限定されない。同様の要求はまた、たとえば、いわゆる「ニアペイシェントテスト」にも存在する。
【0005】
初期の皮膚穿刺分析システムにおいては、穿刺機器を使用した皮膚穿刺工程と、分析システムの分析要素を使用した別の分析工程とを含む複数の工程がユーザによって実施されなければならなかった。2つの工程の間において、皮膚から分析要素への試料の移送が必要であった。
【0006】
複雑な2つの工程の操作によりもたらされる問題を克服するために、自動皮膚穿刺分析システムが提案される。このようなシステムは、特にユーザの試料移送操作工程なしに完全自動操作により皮膚穿刺分析に必要なすべての工程を実施することが可能である。時として、このようなシステムは「G&Mシステム」と表され、これは、ユーザの干渉なしに必要な試料を獲得(G)し、所望の分析値を測定(M)するためである。
【0007】
ほとんどのG&Mシステムは、「テストエレメント」とも表される統合型の穿刺および分析要素により作動する。このようなテストエレメントの穿刺要素および分析要素の2つの要素は、一般的に別々に製造されるが、製造業者により組立てられるか、少なくとも使用前、すなわち穿刺動作の始動前に組立てられる。システムに属する機器において、このような要素は統一品目として処理される。別のG&Mシステムにおいて、別個の穿刺および分析要素が供され、少なくとも分析手順の一部の間において処理される。
【0008】
G&Mシステムの例は次の文献に記載されている。
【0009】
これらの既知の手法は、G&Mシステムの基本的な問題、すなわち完全自動分析に必要な操作工程の複雑さを反映する。いくつかの先行技術の手法は、テストエレメントの特定の設計(統合型の穿刺および分析要素)のみに集約され、それぞれの分析システムに属する機器によりどのようにテストエレメントが快適に操作されるべきかについての解決法を提供しない。たとえば、このような先行技術のシステムでは、各分析においてテストエレメントが機器に手動で挿入される必要がある。
【0010】
いくつかのシステムは、複数のテストエレメントを含むカートリッジまたはマガジンを使用することによってより快適な解決法を提供する。このようなシステムは、ユーザが自身の指または他の体部を機器に押圧し、機器の動作を始動する以外の手動操作工程を実施する必要なしに自動的に複数の分析が実施可能であるため、向上した快適性を提供する。しかしながら、これらのシステムは、一般的に、完全自動分析に必要なすべての動作工程の電気化学的実現を可能にするために大きい体積および重量を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第01/72220号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/088835号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/009759号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第1360933号明細書
【特許文献5】国際公開第2006/059232号パンフレット
【特許文献6】欧州特許第1709906号明細書
【特許文献7】国際公開第2007/045412号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このことに基づき、本発明は、カートリッジ化された穿刺要素で皮膚穿刺分析を自動的に実施するための改善されたシステムを提供する技術的課題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によると、この問題は、体液試料の生成のために皮膚を穿刺し、該試料中に含まれる検体を検出することによって皮膚穿刺分析を自動的に実施するための分析システムにより解決され、該分析システムが、その各々が穿刺要素と分析要素とを含む複数の区画を有するカートリッジであって、穿刺要素が皮膚の穿刺を実施する穿刺先端部と液体試料を分析要素に移送するための試料移送毛管とを有し、分析要素が試料中に含まれる検体と反応して所望の分析結果に特徴的な測定量の測定可能な変化をもたらす試薬システムを備えた、カートリッジと、ハウジングと、分析に必要なハウジング内の部分の駆動動作のための駆動アセンブリとを有する再使用可能な携帯型機器と、を備えており、駆動アセンブリが、手動生成された力により少なくとも次の動作、
(a)穿刺位置に配置されたカートリッジの区画内の穿刺要素の1つが駆動アセンブリに連結される連結動作と、
(b)カートリッジに含まれ、駆動アセンブリに連結された1つの穿刺要素の穿刺および試料採取動作であって、該動作は、穿刺先端部が最大移動点に到達するまでの穿刺方向における前方移動段階と、最大移動点後の穿刺方向に反対の後方移動段階であって、該後方移動段階の間においては、試料移送毛管に試料を吸引可能にするために前方移動段階に比べて速度が減速される、穿刺および試料採取動作と、
(c)テストエレメントが元のカートリッジの区画内に輸送される再カートリッジ化動作と、を駆動するように適合される。
【0014】
また好ましくは、駆動アセンブリが、手動生成された機械力によって、未使用のテストエレメントを含む区画を穿刺位置に輸送するためのカートリッジの指標動作を駆動するように適合される。
【0015】
本発明に関連して、一方ではユーザの快適性、他方では小型で軽量という矛盾する要求に関する決定的な改善が、分析を自動的に実施するための機器内部において必要な本質的動作が手動生成された力、すなわち電気モータおよび電気エネルギーの消費なしに駆動される場合に達成可能であることが見出された。理想的には、機器は、その測定および評価電子機器のみに対して電気エネルギーを必要とする。これは、現在では、エネルギー消費がきわめて低く、必要な電力が、3cm3未満、好ましくは2cm3未満の体積および/または15g未満、好ましくは10g未満の重量のきわめて小さい電池(通常はボタン電池)により提供可能なように設計可能である。好ましくは、このような小さいおよび/または低重量の電池は、システムの唯一の電気エネルギー源である。最も好ましくは、機器の電気エネルギー消費はきわめて低いため、少なくとも1000回の分析が単一の電池により実施可能である。この分析数は、システムの典型的な平均寿命であると考えられる。したがって、好ましいシステムは、通常の耐用年限の間に交換される必要のない「耐用年限電池」を備える。
【0016】
これに基づき、本発明は、最大80cm3、好ましくは最大50cm3の(カートリッジが搭載された機器の)体積で、最大60g、好ましくは最大40gの重量を有する、好ましくはペン様の寸法および形状の完全自動の指穿刺分析システムを初めて教示する。同時に、すべての必要な動作を含む穿刺作用のきわめて正確な制御が達成される。
【0017】
以下において、本発明によるシステムの異なる側面を示す図面に基づき、本発明をより詳細に説明する。図示および記載された特徴は、個別にまたは組み合わせて本発明の実施の形態を設計するために使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】分析システムの断面図である。
【図1b】分析システムの断面図である。
【図1c】図1aおよび1bに示されたシステムの断面図である。
【図2】分析システムの部分の分解斜視図である。
【図3】分析システムの内部の斜視図である。
【図4】分析システムの回転式時間遅延ダンパーの斜視図である。
【図5a】カムロータおよび対応するカム従動子を有するカム制御部の正面図である。
【図5b】カムロータおよび対応するカム従動子を有するカム制御部の正面図である。
【図5c】カムロータおよび対応するカム従動子を有するカム制御部の正面図である。
【図5d】カムロータおよび対応するカム従動子を有するカム制御部の正面図である。
【図6a】分析システムのテストエレメントの斜視図である。
【図6b】テストエレメントの分解図である。
【図7】機器のいくつかの部分が機能的に協働する分析システムのカートリッジの断面図である。
【図8】分析システムのカートリッジおよびテストエレメントの分解斜視図である。
【図9a】図1aの断面図であり、システムの異なる動作状態を示す。
【図9b】図1bの断面図であり、システムの異なる動作状態を示す。
【図9c】図1cの横断面図であり、システムの異なる動作状態を示す。
【図10a】図1aの断面図であり、システムの第2の異なる動作状態を示す。
【図10b】図1bの断面図であり、システムの第2の異なる動作状態を示す。
【図10c】図1cの横断面図であり、システムの第2の異なる動作状態を示す。
【図11a】図1aの断面図であり、システムの第3の異なる動作状態を示す。
【図11b】図1bの断面図であり、システムの第3の異なる動作状態を示す。
【図11c】図1cの横断面図であり、システムの第3の異なる動作状態を示す。
【図12a】図1aの断面図であり、システムの第4の異なる動作状態を示す。
【図12b】図1bの断面図であり、システムの第4の異なる動作状態を示す。
【図12c】図1cの横断面図であり、システムの第4の異なる動作状態を示す。
【図13】本発明の第2の実施の形態による、カートリッジおよびこれと機能的に協働する機器の部品の断面図である。
【図14】図13に示された実施の形態のカートリッジおよびテストエレメントの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下において、数字および文字により表された図は集合的に数字のみで示され、たとえば、図1a〜1cは集合的に図1と示される。図1〜12は、生物の体液中の1以上の成分の濃度を測定するための好ましい分析システムの第1の例示的実施の形態を示す。
【0020】
分析システム110は、カートリッジ112および機器113を備える。機器113はハウジング118を有する。カートリッジ112は6つのテストエレメント114を含み、各々のテストエレメントは別個の区画116に収容される。カートリッジ112およびテストエレメント114は後により詳細に説明する。
【0021】
機器113は、皮膚に対して押圧されるように適合された皮膚接触面120を有する前端119を有する。これは、細長形状(「鉛筆型」)を有し、前端119と反対の後端121を有する。以下、「前方」という用語は後端から前(穿刺方向に一致)端の方向を表すために使用され、「後方」はその反対方向を表すために使用される。
【0022】
機器113は、手動生成された力により複数の動作を駆動する駆動アセンブリ123を備える。駆動アセンブリ123は、ばね投入部材128を試料保持カムロータ130に接続するねじりぜんまい126を備える。試料保持カムロータ130は、穿刺カムロータ132を回転リンク134に係合させるため、試料保持カムロータ130および穿刺カムロータ132はスピンドル136の周りに一致して回転するが、穿刺カムロータ132は試料保持カムロータ130に対して軸方向に調整可能である。さらに穿刺カムロータ132は、トリガ突起145(図1c)を備える。
【0023】
インタフェース138においてばね投入部材128とスピンドル136との間にある一方クラッチ(図示せず)は、ばね投入部材128のスピンドル136に対する逆回転を阻止する。リリーストリガ139は穿刺カムロータ132のトリガ突起145に係合し、連結した試料保持カムロータ130と穿刺カムロータ132との正回転を阻止し、これによって、ユーザにより穿刺作用を開始するために動作されるまでねじりぜんまい126のトルクに対抗する。リリーストリガ139は、ハウジング118の軸スロット141をスライドする突起140と、ハウジング118の外径上をスライドするガイドリング143とを備える。
【0024】
回転時間遅延ダンパー142は穿刺カムロータ132の前端に固定されているため、その回転軸は穿刺カムロータ132の回転軸と一致する。図4により詳細に示されるように、時間遅延ダンパー142は、外部ハウジング144と、内部回転部材146と、該内部回転部材146に取り付けられた連結ピン148とを備える。制限停止部150,152は外部ハウジング144に取り付けられて連結ピン148に係合するため、連結ピン148と内部回転部材146との回転は、たとえば170度の最大回転範囲に制限される。内部回転部材146は、たとえばシリコングリースなどの粘性材料によって外部ハウジング144に連結される。これによって、角速度依存トルクは、内部回転部材146と外部ハウジング144との間に生じる。さらに、時間遅延ダンパー142は、内部回転部材を回転するねじりバイアスばね(図示せず)を備えるため、他の負荷が加えられていない場合には、連結ピン148は制限停止部150に係合する。
【0025】
さらに、分析システム110は、試料保持カムロータ130および穿刺カムロータ132のカム凹所130a,132aとそれぞれ係合する、試料保持カム従動子156および穿刺カム従動子158を組み込んだカム滑動部154を備える。該カム滑動部154はハウジング118内に形成された溝160を軸方向にスライドするため、これは、試料保持カムロータ130と穿刺カムロータ132が回転または軸方向に移動する場合に直線軸方向運動を行う。組み合わされた把持部および光結合部162はカム滑動部に取り付けられるため、これはドラムカートリッジ112内の区画116に入り、テストエレメント114と係合して移動するように配列される。低力ばね(図示せず)は後方向にカム従動子を付勢し、試料保持カム従動子156と試料保持カムロータ130との間の接触を保証する。
【0026】
2つのカムロータ130,132と2つのカム従動子156,158は、共に、2つのカム駆動機構、すなわち試料保持カム駆動機構157および穿刺カム駆動機構159を備えたカム制御部155を形成する。カム制御部155およびカム滑動部154の要素は図5により詳細に示される。
【0027】
穿刺カムロータ132のカム凹所132aは、穿刺カム従動子158に接触し、カム滑動部154を加速させるリフト傾斜部200を備え、これによって、カムロータが回転する際にテストエレメント114が皮膚を穿刺する。さらに、これはテストエレメント114を停止し、皮膚からの後退を加速させる戻り傾斜部202と、穿刺カム従動子158に接触しない間隙領域204とを備えるため、試料保持カム従動子156は、試料保持カムロータ130のカム凹所130aと接触し、試料採取工程中のテストエレメント114の動作を制御する。試料保持カム凹所130aは、試料保持カム従動子156と接触しない間隙領域206を備えるため、穿刺カム従動子158は穿刺カムロータ132と接触し、穿刺工程中のテストエレメント114の動作を制御する。これは、試料保持カム従動子156と接触して、試料採取工程中にテストエレメント114を皮膚の一定の部分貫通深さに保持する非傾斜試料保持領域208と、カム滑動部154およびテストエレメント114をテストエレメント114が皮膚から引き出される測定位置に戻す後退傾斜部210とをさらに備える。時間遅延ダンパー142は、試料採取時間を延長するために試料採取工程中にカムロータの回転速度を減速する。
【0028】
この構成により、穿刺先端部が最大移動点(穿刺カム132aにより制御される)に到達するまでの穿刺方向への前方移動段階と、最大移動点後の穿刺方向と反対の後方移動段階とを含むテストエレメントの穿刺および試料採取動作の正確な制御が可能となり、後方移動段階(試料保持カム130aおよび時間遅延ダンパー142により制御される)の間においては、試料移送毛管に試料を吸引可能にするために前方移動段階に比べて速度が減速される。たとえば、ピン状のカム従動子と協働するカム凹所を好適に適合するカム従動子と協働する別の(突出)カム形状に代えるなどの変形が明らかに可能である。
【0029】
ロータ130,132の軸方向において2つのカム130a,132a間の距離を調節することにより、前方段階に比べて後方段階の間の穿刺要素の長手(軸方向)位置を調節可能であり、これによって、「保持および休止機能」(試料吸引)中の針先端部の位置の独立した調節を可能にする。この位置は、特に、穿刺要素の最大移動点とは独立している。好ましい穿刺および試料採取動作のこの特徴についてのさらなる詳細は、国際公開第2007/073870号パンフレットから理解できる。
【0030】
分析システム110の駆動アセンブリ123のスピンドル136は、ハウジング118の後方において適合する雌ねじ穴166に係合する回転運動に対して直線状の雄ねじ164を備える。これにより、スピンドル136は、ハウジング118に対して軸方向に手動で動かされると回転する。手動の作動つまみ168は、回転接続部170を介してスピンドル136に取り付けられている。作動つまみ168が軸方向に手動で押し引きされると、これは作動装置124として作動し、スピンドル136の同時の軸方向および回転運動要素をもたらす。
【0031】
ばね投入部材128、ねじりぜんまい126、試料保持カムロータ130、穿刺カムロータ132、時間遅延ダンパー142、カム滑動部154、および把持および光結合部162は、スピンドル136と共に軸方向に移動する。ばね投入部材128は、インタフェース138の一方クラッチを介してスピンドル136と係合し、作動装置124が前方に押されるとスピンドルと共に回転し、これによってねじりぜんまい126を緊張させる。作動装置124が後方に引かれると、相対的回転が逆動して一方クラッチが解放されるため、ばね投入部材128はスピンドル136と共に回転しない。後により詳細に説明するように、これらの動作要素は、ねじりぜんまい126を作動させ、ドラムカートリッジ114を次の位置に指標し、テストエレメント116を使用のために準備するようカートリッジ区画のシールを開口し、把持および光結合部162をテストエレメント116と係合するために使用される。
【0032】
図示された実施の形態において、駆動アセンブリ123に必要な手動生成される力は、作動装置の往復運動により駆動アセンブリに印加され、該往復運動は、(作動装置が前方に完全に押された)定位置から(作動装置が後方に完全に押された)延伸位置まで、そして定位置へと戻る後方移動からなる。定位置において機器は保管のために最小体積を必要とするため、好ましくは、定位置は機器113の保管位置である。さらに、これに関連して、特定の実施の形態において説明したように、作動装置124の各々の後方および前方運動は、連結動作、穿刺および試料採取動作、および再カートリッジ化動作のうちの少なくとも1つに対して機械エネルギーを供する。最も好ましくは、ドラムカートリッジ112を指標するための指標動作は、後に説明するように、作動装置の往復運動の少なくとも一部により供される。
【0033】
分析システム110の駆動アセンブリ123はドラム指標爪172を備え、該ドラム指標爪は、爪先端部174とドラムカートリッジ112の外径に形成されたカムロータ様指標溝176との相互作用を通じて、手動の作動作用の一部として回転式にドラムカートリッジ112に指標するばね投入部材128の軸運動要素を使用する。指標爪172は、手動のばね作動動作の一部として各々の試験サイクルの間に軸方向に一循環してドラムカートリッジ112を回転させ、試験直前に新しいテストエレメント114を位置にもたらす。またこれは、ドラムカートリッジ112を軸方向に動かし、後により詳細に説明する箔開口部192と係合させる。ドラム指標爪172は、ハウジング118に形成された溝177に軸方向にスライドするため、ばね投入部材128が軸方向に移動してドラム指標爪172に組み込まれた突起178,180と接触すると、直線軸方向運動を実行する。
【0034】
さらに、分析システム110は、穿刺動作中に穿刺カムロータ132の軸位置を制御することにより穿刺貫通深さを制御する穿刺貫通調整要素182を備える。該貫通調整要素182は、ハウジング118の軸方向スロット186をスライドする突起184と、ハウジング118の外径上をスライドする案内リング188とを備える。貫通調整要素の軸位置は、ねじリングまたは同様の装置(図示せず)により設定される。さらに、バイアスばね(図示せず)が穿刺カムロータ132と試料保持カムロータ130との間に使用され、穿刺要素カムロータ132と穿刺要素貫通調整要素182との間に連続的接触を保証する。
【0035】
さらに、分析システム110は、ハウジング118の外壁から半径方向内側に突出し、テストエレメント114の後退後にカムロータの回転を停止するよう位置決めおよび寸法決めされた角カムロータ停止部190を備える。箔開口部192は、ドラムカートリッジ112の保管区画116の前方開口部に配列しているため、後により詳細に説明するように、カートリッジ112の箔バリアを開口する。ゴム錐体部196に包囲された穿刺口194は、皮膚接触面120と、皮膚を穿刺して検体測定のための流体試料の採取を可能にする開口部とを供する。穿刺口194は、ドラムカートリッジ112の潜在的な指標位置のうちの1つに適合される。この位置は穿刺位置197である。
【0036】
ドラム軸198は、ドラムカートリッジ112に対する回転支承および誘導を供する。ハウジング118の前端119での開口部(図示せず)は、使用済のドラムカートリッジ112を除去し、新しいカートリッジとの交換を可能にする。光学および電子サブシステム、電池、表示部および制御インタフェース(図示せず)の収容部は、ハウジング118の略円筒形のペン様体積内にある。
【0037】
図6aおよび6bは、テストエレメント114の斜視図および分解図である。図示された実施の形態において、テストエレメント114は統合型の穿刺および分析要素であり、各々は穿刺部114aおよび分析部114bを含む。図示された実施の形態において、穿刺部114aは、患者の皮膚を貫通する穿刺先端部300aを有する穿刺要素300により形成される。さらに図示された実施の形態において、分析要素301は、グルコース検出のための試薬システムを含むグルコース測定フィルム302により形成される。分析要素301(すなわち、グルコース測定フィルム302)は試薬システムを含み、これは本実施の形態において、血糖など体液に含まれる検体の濃度に応じて変色する。
【0038】
液体試料は、穿刺先端部300aから試料移送毛管(毛管溝とも示される)305を経由してグルコース測定フィルム302がある反応部位303に輸送される。図示された実施の形態において、毛管溝は穿刺要素300を形成するスロット付鋼針内のスロット304により形成される。穿刺要素300内のスロット304は穿刺要素300の後端まで延びているため、穿刺要素は、穿刺要素300の鋭い先端部300aにて結合する2つの平行な側壁を含む。穿刺要素は分析要素の反応部位と永久的に流体接続しており、穿刺要素の毛管溝は、穿刺要素の先端部から毛管力による液体試料の輸送のために試薬システムへ通じている。この輸送に対しては、外力または運動は必要ない。
【0039】
しかしながら、このような永久的な流体接触は本発明のすべての実施の形態において必須ではない。むしろ、本発明は、穿刺要素と分析要素とは互いに分離しているが、両者がカートリッジの区画内に配置されている実施の形態も含む。このような実施の形態において、分析要素は好ましくはカートリッジの区画内に固定されるが、穿刺要素は、穿刺動作および穿刺要素を試料移送位置にもたらすことを可能にするため区画内にて可動であり、試料移送位置にて、穿刺要素は、穿刺要素から分析要素への必要な試料の移送のために分析要素に接触する。このような設計は、2007年8月31日に提出された欧州特許出願公開第07017059号明細書および対応する国際特許出願第PCT/EP2008/006588号明細書により詳細に記載されている。
【0040】
テストエレメント114は、その分析部114bの一部としてテストエレメント本体306をさらに備える。これはいくつかの機能を有し、プラスチック材料により形成され得る。第1の機能として、テストエレメント本体306は、駆動アセンブリ123の把持手段420との係合を可能にするため、テストエレメント本体の後端に近接した把持切欠き310により形成された係合部を備える。これらの把持切欠き310は、把持手段308と係合可能な後端突起311を残すように設計される。
【0041】
さらに、第2の機能として、テストエレメント本体306は光ファイバー滑動部として設計され、該光ファイバー滑動部は、図示された実施の形態においては光ファイバーである、いくつかの導光管314(光導体としても示される)を備える。好ましくは、テストエレメント本体306は、テストエレメント306の後端において光学ポート316によりアクセス可能な3つの光導体314を備える。2つの光導体314は光励起ファイバーである。第3の光導体は読取ファイバーとして機能し、これはグルコース測定フィルム302により発せられた光を検出するために使用可能である。図示された実施の形態において、フィルム302と試薬システムとは、(テストエレメント114の組立状態において)導光管314の遠位端面にある。いずれの場合においても、光導体314の遠位端が、光学測定が実施の可能なように試料と試薬システムとの反応が生じる反応部位に配置されることが好ましい。このために、好ましくは、試薬システムの試薬の少なくとも一部を光導体314の遠位端面に固定すべきである。
【0042】
図示された実施の形態において、後により詳細に説明するように、機器の係合部材はテストエレメント114の機械的係合のための手段を含むのみならず、テストエレメント114の後端において光学ポート316に光学的に接触する光係合手段をも含む。それゆえ、把持および光結合部162として係合部材が指定されるのである。
【0043】
ドラムカートリッジ112、テストエレメント114、および把持および光結合部162の要素が図7および8により詳細に示される。ドラムカートリッジ112は、乾燥剤を含むプラスチック材料から有利には成形される円筒形のドラム本体400を備え、さらに、その各々がテストエレメント114を備えた、たとえば6つの軸方向の区画116を備える。金属箔バリア402は、湿気を除去して滅菌を保持するために区画116の前方を閉鎖する。箔バリア402は、区画116と整列した予備成形ドア406を含む可撓性のキャップ404により被覆され、ドアはテストエレメント114の延伸前にドラムカートリッジが前進させられる際に箔開口部192により押し開けられる。ドア406は、金属箔バリア402を邪魔にならないよう切断および折り曲げ、箔開口部192の開口中心部が、延伸したテストエレメント114の通路および案内部を供する。このことは、穿刺要素300の穿刺先端部300aとの接触なしに箔バリア402の開口を可能にする。好ましくは、このような接触は、皮膚穿刺分析工程中は完全に回避される。
【0044】
区画116の後端での密閉機能は、テーパ状プラグシール408により供される。テストエレメント本体306は、区画116の内壁412に形成されたテーパ状プラグスリーブ410に挿入される。テーパ状プラグスリーブは区画116のテーパ部412と係合してテーパ状プラグシール408を形成する。テーパ状プラグシール408は製造工程中に係合され、テストエレメント114が穿刺運動のために前方に押し出される際に解放される。テーパ状プラグシール408から後方に延びたテストエレメント把持切欠き310はアクセスポケット414の奥に配置され、操作中にテーパ状プラグシール408を誤って開口する可能性を最小限化する。ドラムカートリッジ112およびその内容物は、密閉後にEビーム滅菌などの浸透処理により滅菌される。
【0045】
把持および光学結合部162は、可撓性アーム422および光結合部424によりもたらされる一対の機械的把持部420を備える。アクセスポケット414のテーパ状側部は案内面として作用し、把持および結合部がドラムカートリッジ112内に前進してテストエレメント把持切欠き310と係合する際に、テストエレメントの機械的把持部422を閉じる。ばね(図示せず)により供された力は、テストエレメント本体306の後端にて光学結合部424と光学ポート316との間の接触を供するために使用される。可撓性ケーブル426は、光導体、導電体またはその両方を備えて、光結合部424をハウジング118内の光学および電子サブシステム(図示せず)に機能的に接続する。
【0046】
分析システム110は、発光ダイオード(LEDs)またはレーザダイオードなどの1以上の光源をさらに備える。これらの光源は、たとえばハウジング118に接触または取り付けられたプリント基板などの固定構造体上に配置可能である。さらに1以上の光検出器が使用可能であり、検体濃度の測定のために必要な信号を供するために、ハウジング118内のたとえば同一のプリント基板上に配置可能である。光信号は、参照符号426により示され、概略的にのみ示された可撓性光導体を介して光結合部424および光学ポート316に供することができる。前述のとおり、光ファイバーの代わりに他の種類の可撓性光導体を使用することも可能である。光学式光源は測定機器の移動光結合部に配置可能であり、また電力は、可撓性導電体を介して分析システム110の固定部から供給可能である。同様に、光学式光検出器は移動光結合部に配置可能であり、電力および信号接続部は、可撓性導電体を介して分析システム110の固定部に構成可能である。さらなる実施の形態において、光学式光源は機器113の固定構造体に配置可能であり、光は可撓性光導体を介して移動テストエレメントから伝達可能である。
【0047】
穿刺要素と分析要素とを組み合わせであり、分析要素が光導装置を協働するテストエレメントについてのさらなる情報は、前述の先行技術文献7(国際公開第2007/045412号パンフレット)から得られる。
【0048】
本発明は、所望の分析結果に対する特徴である測定量が光学的に測定可能な量であり、システムが、光学的に測定可能な測定量を測定するための(前述のような)光学式測定装置を備えたシステムについて特に好適である。特に好ましい実施の形態において、光学測定装置の光検出器は穿刺位置に適合して配置されているため、穿刺位置に配置された区画116に固定された分析要素の測定量の変化は、これにより単純かつ直接的に測定可能である。いずれの場合であっても、所望の分析結果に対する特徴である測定可能量の測定は、再カートリッジ化動作後、すなわち穿刺要素のカートリッジの区画116内への配置後に好ましくは実施される。
【0049】
図1および9〜13は、動作順序における5つの工程を示す複数の図である。
【0050】
ユーザは、テストエレメント114を含む密閉された使い捨て式のドラムカートリッジ112を機器113に搭載することにより、分析システム110を完成させる。図1は、手動の作動工程中の分析システム110を示し、手動の作動つまみ168およびスピンドル136は完全に引き出されている。この動作の間に、ばね投入部材128、ねじりぜんまい126、試料保持カムロータ130、穿刺カムロータ132、時間遅延ダンパー142、カム滑動部154、および把持および光結合部160は、スピンドル136により軸方向外(すなわち後方)に移動するため、把持および光結合部160をドラムカートリッジ112から完全に引き出す。インタフェース138においてばね投入部材128とスピンドル136との間にある一方クラッチ(図示せず)は、外方ストローク中のばねの逆巻きを阻止する。この動作は、さらに、穿刺カムロータ132のトリガ突起145をハウジング118の環状カムロータ停止部190から解放するため、トリガ突起145はリリーストリガ139と再度係合する。同様に、この動作は、時間遅延ダンパー142の連結ピン148を解放するため、ねじりバイアス伸縮ばねは時間遅延ダンパーを元の位置にリセットする。ドラム指標爪172の後方接触突起180は、同一の外方運動の間にばね投入部材128の後面と接触し、これによってドラムカートリッジ112の外径上の指標溝176に対して後退する。これにより、箔開口部196との係合からドラムカートリッジ112を後退させ、ドラムカートリッジ112を回転させるため、次の区画116およびテストエレメント114が操作位置にもたらされる。
【0051】
図9は、手動の作動工程の完了時の分析システム110を示し、手動の作動つまみ168およびスピンドル136は完全に押し込まれている。この位置において、ばね投入部材128、ねじりぜんまい126、試料保持カムロータ130、穿刺カムロータ132、時間遅延ダンパー142、カム滑動部154、および把持および光結合部160は、スピンドル136により軸方向(すなわち前方)に移動する。この動作の最初の部分において、ドラム指標爪172の前方接触突起178は、ばね投入部材128の前面に接触し、指標溝176に対して前方に押されてドラムカートリッジ112を前方に押すため、これは箔開口部192と係合する。箔開口部192は区画116の前方開口部に入り、これによって可撓性キャップ404の予備成形ドア406が押し開けられる。ドアが開くと、ドア406は金属箔バリア402を邪魔にならないよう切断および折り曲げ、箔開口部192の開口中心部は延伸したテストエレメント114のための通路を供する。またこの動作は、指標爪172を指標溝176中の位置にリセットするため、ドラムカートリッジ112を次回の作動サイクルにおいて回転する準備ができる。
【0052】
同一の軸方向動作において、把持および光結合部162は、アクセスポケット414中に前進してテストエレメント114の後部と係合し、可撓性アーム422がもつ一対の機械的把持部420はアクセスポケット414のテーパ状側部に接触し、カムロータの作用によりテストエレメント把持切欠き310と係合させられる。またこの作用は、光結合部424を、テストエレメント本体306の後端において光学ポート316とのばね付勢により接触させる。さらに、把持および光結合部162との係合後の動作は、テーパ状プラグシール408を退かせ、テストエレメント114を穿刺動作のための開始位置に移動させる。この作用は図7および8からより詳細に明らかとなる。
【0053】
さらに、同一の軸方向運動において、スピンドル136の回転動作に対して直線状の雄ねじ部164は、ハウジング118の後方の適合する雌ねじ穴166と係合して回転するため、インタフェース138の一方クラッチを介してばね投入部材128を回転させ、したがってねじりぜんまい126を緊張させる。穿刺カムロータ132のトリガ突起145とリリーストリガ139と間の接触は、連結した試料保持カムロータ130と穿刺カムロータ132との前回転を阻止し、よってねじりぜんまい126のトルクに対抗する。
【0054】
図10は、穿刺要素300の最大穿刺深さの場合の分析システム110を示す。この穿刺作用は、ユーザがリリーストリガ139を手動でスライドすることにより開始され、これによって、リリーストリガは穿刺カムロータ132のトリガ突起145から外れ、予備緊張したねじりぜんまい126が、連結した試料保持カムロータ130、穿刺カムロータ132および時間遅延ダンパー142の回転をもたらす。穿刺カムロータ132のリフト傾斜部200は穿刺カム従動子158と接触し、カム滑動部154を前進加速させてテストエレメント114の皮膚への穿刺をもたらす。穿刺要素の最大穿刺は穿刺カムロータ132の軸位置により決定され、これは、穿刺要素貫通調整要素182が穿刺作用開始前に設定される位置により制御される。
【0055】
図11は、試料および保持段階にある分析システム110を示す。最大穿刺後、穿刺カム従動子158は、テストエレメント114を停止させ、皮膚から後退を加速させる戻り傾斜部202と接触する。後方移動する穿刺カム従動子158は、その後、穿刺カムロータ間隙領域204が回転整列し、試料保持カム従動子156が試料保持カムロータ130の非傾斜試料保持領域208と接触すると穿刺カムロータ132との接触から退く。これにより、テストエレメント114の後方動作を停止し、カムロータの回転継続時に試料採取工程中の皮膚へのテストエレメントの一定の部分穿刺深さを保持する。部分穿刺段階の継続時間は時間遅延ダンパー142により延長される。回転する時間遅延ダンパー142の連結ピン148は、部分穿刺段階の初期において穿刺要素貫通調整要素182の突起184の側部に接触し、内部ダンパー回転部材146の回転を停止する。回転カムロータに取り付けられたダンパーハウジング144は回転を継続し、内部ダンパー部材146とダンパーハウジング144との相対的回転をもたらす。この相対的回転はカムロータの回転を低下させる速度依存トルクを生成し、部分穿刺試料採取段階の継続時間を延長する。
【0056】
図12は、測定段階にある分析システム110を示す。試料採取段階後、試料保持カムロータ130の後退傾斜部210は、カム滑動部154およびテストエレメント114を測定位置に戻し、テストエレメント114は皮膚から後退する。カムロータの回転は、穿刺カムロータ132のトリガ突起145が、たとえば345度のカムロータの全回転後、ハウジング118の角カムロータ停止部190に接触すると停止する。これは、この時点においてユーザが解放位置にてまだリリーストリガ139を保持していることがあり、この場合にはこれがトリガ突起145と係合して停止しないために必要となる。トリガ突起145とリリーストリガ139との接触をもたらす、たとえば15度の最終カムロータの回転は、分析システム110が次回の使用のために作動される場合に生じる。カムロータは全サイクルにおいて360度回転するが、角カムロータ停止部に接触するカムロータトリガ突起によって試験の終了時においては、恐らく345度で停止する。このことは、ユーザがリリーストリガを引いたままにしており、これがカムロータトリガ突起を妨害することがないためである。カムロータトリガ突起とリリーストリガとの接触を戻す最終回転は、次回の試験直前の作動工程の一部である。
【0057】
図13および14は、分析システム110の好ましい実施の形態における代替的なドラムカートリッジ510を示し、これは、テストエレメント114を含む区画116を密閉する代替的手段を備える。ドラムカートリッジ510は、軸穴513を有する円筒形のドラム本体512を備え、これは有利には乾燥剤を含むプラスチック材料から成形され、さらにその各々がテストエレメント114を含む、たとえば6つの軸方向の区画116を備える。またドラム本体512はシール溝516を備えた端面514を有し、内部円形シール溝518、外部円形シール溝520および放射状シール溝522がある。シール溝516は、端面514の区画116の各々の開口部が、内部円形シール溝518と外部円形シール溝520とを接続するシール溝によって包囲されるように配置される。ドラム本体512は、溝516に適合し、端面514の表面を越えて突出するように寸法決めされたゴム滑動シール形材524をさらに備える。シール板526は、開口出口ポート528および平面のシール面530を備える。シール板526は、アセンブリ係合留め部534を有するスピンドル532をさらに備えてスピンドル532の周りでのドラム本体536の回転を可能にする一方、シール面530と滑動シール524との間の圧縮力を保持する。このことは、湿気を除去して滅菌を保持するために区画116の前方を閉鎖する一方で、ドラム本体512とその内容物をシール板526に対して回転可能にする有効な密閉性を形成する。各々のテストエレメント114は、開口出口ポート528の位置、すなわち穿刺位置まで回転されて、穿刺および試料採取を可能にする開通路を供するまで別個の区画116内で密閉されたままである。ドラムカートリッジ512がこの開通路位置から半分の位置(本例では30度)回転される場合、すべての区画116が密閉される。テストエレメントが段階的に使用されると、シール板526の部分は汚染され得る。しかしながら未使用のテストエレメントを含む区画116とシール板526の汚染部分との間の接触はない。
【0058】
後方のシール機能はテーパ状のプラグシール408により供される。テストエレメント本体306は、区画116内のテーパ部分412と係合するテーパ状のプラグスリーブ410に挿入されてテーパ状のプラグシール408を形成する。テーパ状のプラグシール408は製造工程中に係合させられ、テストエレメント114が穿刺動作のために押し出される際に解放される。テーパ状プラグシール408から後方に延びたテストエレメント把持切欠き310はアクセスポケット414の奥に配置され、操作中にテーパ状プラグシール408を誤って開口する可能性を最小限化する。ドラムカートリッジ510およびその内容物は、密閉後にEビーム滅菌などの浸透処理により滅菌される。把持および光結合部162は、可撓性アーム422および光結合部424によりもたらされる一対の機械的把持部420を備える。アクセスポケット414のテーパ状側部はカムロータ面として作用し、把持および結合部がドラムカートリッジ112内に前進してテストエレメント把持切欠き310と係合する際に、テストエレメントの機械的把持部422を閉じる。ばね(図示せず)により供された力は、テストエレメント本体306の後端にて光結合部424と光学ポート316との間の接触を供するために使用される。可撓性ケーブル426は、光導体、導電体またはその両方を備えて、光結合部424をハウジング118内の光学および電子サブシステム(図示せず)に機能的に接続する。
【0059】
要約すると、本発明のシステムは、特定の実施の形態を参照して説明したように、手動で生成さされた力によって、前述において特定された少なくとも次の(a),(b)および(c)の動作、すなわち、結合動作、穿刺および試料採取動作、および再カートリッジ化動作を駆動するように適合された駆動アセンブリを有する。これらは集合的に「必須の手動生成動作」と示される。
【0060】
また好ましくは、次のさらなる動作(「任意の手動生成動作」)が手動生成された機械力を使用して駆動アセンブリにより駆動される。
【0061】
(d)未使用の使い捨てテストエレメントを含むカートリッジの区画を穿刺位置に輸送するためのカートリッジの指標動作である。これは、カートリッジの自動的指標付けが望ましい場合(常にそうではない)に特に重要である。
【0062】
(e)穿刺要素が区画内にて穿刺要素から分析要素への試料の移送が可能な試料移送位置に移動される試料移送動作である。システムが毛管力、すなわちいかなる動作がなくとも、液体試料を穿刺位置から分析位置に輸送可能にする統合型の穿刺および分析要素を備える場合には、明らかにこの種の動作は駆動アセンブリにより供される必要がない。
【0063】
(f)カートリッジの区画内に含まれる要素(穿刺要素および分析要素を含む)の滅菌性を保つために供される箔バリアを開口するための箔バリア開口動作である。好ましくは、この開口は、穿刺要素の穿刺先端部の箔バリアへ接触を必要とすることなく実施されるべきである。
【0064】
好ましくは必須の動作(「任意の手動生成動作」)を駆動する力、またより好ましくは(該当する場合は)任意の動作(「任意の手動生成動作」)を駆動する力は、作動装置の直線(一次元)運動により生成される。力の生成は、作動装置を(前方に)押すことにより、または作動装置を(後方に)引くことにより生成可能である。好ましくは、押しと引きの両方の動作が使用され、各々は少なくとも1つの動作に必要な力を生成する。
【0065】
説明した例において、「手動で生成された力」という用語は、作動装置に印加された力が移動を要する各々の部分または要素の動作へ即座の変換される場合と、作動装置に印加された力が特にばね要素の緊張により保存される機械エネルギーに変換される場合とを示す。後者は(好ましくは)金属ばねでよいが、たとえば弾性ゴム要素またはガス圧縮要素など機械エネルギーを保存可能な他の種類のばね装置を使用することもできる。
【0066】
さらに、作動が直線(一次元)運動の形態で生じるのみならず、これによって駆動される動作、すなわち特に少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つ、さらに最も好ましくは次のすべての動作が直線(一次元)様式で生じることが好ましい(関与する特定のシステムに該当する場合)。
【0067】
連結動作(a)
穿刺および試料採取動作(b)
再カートリッジ化動作(c)
指標動作(d)
試料移送動作(e)および
箔バリア開口動作(f)
【0068】
好ましくは、少なくとも穿刺および試料採取動作(b)および再カートリッジ化動作(c)は中断のない連続動作の一部であることが好ましい。好ましくは、この連続動作はまた連結動作(a)を含む。
【0069】
前述の特定の実施の形態はカムロータおよびダンパーを使用して、試料保持および休止機能をもたらす。他の選択肢も可能であり、本発明の範囲内である。この保持機能は、試料保持位置でのテストエレメントの戻り動作を停止し、試料採取後に解放されるラッチにより供することできる。一変形例において、ユーザは数秒後にこのラッチを手動で解放する。また分析システムは、可聴音または同様の手段によりラッチを解放するようユーザに合図してもよい。この合図は継続時間に基づくものでもよく、または流体試料の存在を感知する分析システムでもよい。別の変形例において、たとえばソレノイドラッチなどの自動ラッチが、時間または流体試料の検出に基づき分析システムによって制御可能である。
【0070】
明らかに、本発明によるシステムの多くのさらなる変形例が可能である。次は、いくつかの非限定的な例である。
【0071】
説明した駆動アセンブリは、特定のG&Mプロセスに必要な、経時的な穿刺要素の動作を説明する「穿刺曲線」の多くの異なる形状に対する適合を可能にする。たとえば、前述の国際公開第2007/073870号パンフレットに記載されているように、(穿刺要素の動作なしの)一定の試料採取段階は、好ましくは穿刺方向に対するゆっくりした動作に置換可能である。これは、試料保持カムロータの非傾斜の試料保持領域をわずかに傾斜したカム部分に置換することにより容易に達成可能である。
【0072】
説明した実施の形態において機器の皮膚接触面を形成するゴム錐体部は硬質リングに置換可能であり、該硬質リングは、2007年4月30日に提出された米国特許出願第60/914897号明細書および対応する国際特許出願第PCT/EP2008/003355号明細書に記載されているように、穿刺深さの再現性に関して一定の利点を有し得る。
【0073】
―本発明は、光学式テストエレメント、すなわち光学的測定量を生成するテストエレメントを使用するシステムに対して特に好適であるが、所望の分析結果に特徴的な変更において、光学的テストエレメントの代替物として既知である電気化学分析要素において使用することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液試料の生成のために皮膚を穿刺し、該試料中に含まれる検体を検出することによって皮膚穿刺分析を自動的に実施するための分析システムであって、該分析システム(110)が、
その各々が穿刺要素(300)と分析要素(301)とを含む複数の区画(116)を有するカートリッジ(112)であって、穿刺要素(300)が皮膚の穿刺を実施する穿刺先端部(300a)と液体試料を分析要素(301)に移送するための試料移送毛管(308)とを有し、分析要素(301)が試料中に含まれる検体と反応して所望の分析結果に特徴的な測定量の測定可能な変化をもたらす試薬システムを備えた、カートリッジと、
ハウジング(118)と、分析に必要なハウジング(118)内の部分の駆動動作のための駆動アセンブリ(123)とを有する再使用可能な携帯型機器(113)と、を備えており、
駆動アセンブリ(123)が、手動生成された力により少なくとも次の動作、
(a)穿刺位置(197)に配置されたカートリッジ(112)の区画内の穿刺要素(300)の1つが駆動アセンブリ(123)に連結される連結動作と、
(b)カートリッジ(112)に含まれ、駆動アセンブリ(123)に連結された1つの穿刺要素(300)の穿刺および試料採取動作であって、該動作は、穿刺先端部が最大移動点に到達するまでの穿刺方向における前方移動段階と、最大移動点後の穿刺方向に反対の後方移動段階であって、該後方移動段階の間においては、試料移送毛管に試料を吸引可能にするために前方移動段階に比べて速度が減速される、穿刺および試料採取動作と、
(c)テストエレメント(114)が元のカートリッジの区画内に輸送される再カートリッジ化動作と、
を駆動するように適合された分析システム。
【請求項2】
駆動アセンブリが、手動生成された機械力によって、未使用のテストエレメントを含む区画(116)を穿刺位置に輸送するためのカートリッジ(112)の指標動作を駆動するように適合されてなる請求項1記載の分析システム。
【請求項3】
穿刺要素(300)を有する穿刺部(114a)と分析要素(301)を有する分析位置(114b)とを含む統合型の穿刺および分析要素であるテストエレメント(114)であって、該テストエレメント(114)の分析部(114b)が試薬システムを含む反応部位(303)を備えた、テストエレメントを備え、穿刺要素(300)が分析要素(301)の反応部位(303)と永久的に流体接続しており、毛管溝(305)が毛管力による液体試料の試薬システムへの輸送のために反応部位(303)に通じてなる請求項1または2記載の分析システム。
【請求項4】
テストエレメント(114)の分析部(114b)が、光学測定を実施するために反応部位に配置された遠位端(317)を有する導光管(314)を備えてなる請求項3記載の分析システム。
【請求項5】
試薬システムの少なくとも試薬の一部が、導光管(314)の遠位(後)端面に固定されてなる請求項4記載の分析システム。
【請求項6】
分析システム(301)が、穿刺要素(300)とは別にカートリッジ(112)の区画(116)内に固定されており、
液体試料が、穿刺要素の動作の結果、穿刺要素(300)から分析要素(301)へ区画内を移送され、該移動が、手動生成された力により駆動アセンブリによって駆動されて、穿刺要素を試料移送のために分析要素(301)と接触する試料移送位置にもたらす請求項1または2記載の分析システム。
【請求項7】
所望の分析結果に特徴的な測定量が光学的に測定可能な量であり、システムが光学的に測定可能な測定量を測定するための光学測定装置を備えており、また好ましくは、光学測定装置の光検出器が穿刺位置に適合して配置されているため、穿刺位置に配置された区画(116)に固定された分析要素(301)の光学測定量の変化が測定可能である請求項6記載の分析システム。
【請求項8】
カートリッジ(112)が、ドラムカートリッジである請求項1〜7のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項9】
カートリッジの区画(116)が、その内部に含まれた要素(300,301)の滅菌を保持し、環境汚染物を除去する少なくとも1つのバリアを備え、該少なくとも1つのバリアが、区画(116)の開口部を被覆する箔バリア(402)と、テストエレメント(114)と区画(116)の壁(412)との間のテーパ状のプラグシール(408)と、の少なくとも1つを含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項10】
機器が区画(116)の箔バリア(402)を開口するための箔開口部(192)を備えており、これによって、箔バリア(402)の開口が穿刺要素(300)から独立して行われ、箔バリアの開口に必要な動作が手動生成された力により駆動アセンブリ(123)によって駆動される請求項9記載の分析システム。
【請求項11】
手動生成された力が作動装置(124)の往復運動により駆動アセンブリに印加され、該作動装置の往復運動が、穿刺方向と反対の定位置から延伸位置への後方移動と、穿刺方向において定位置へ向かう前方移動とからなり、機器(113)が定位置において作動装置(124)と共に保管されるように適合されてなる請求項1〜10のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項12】
作動装置(124)の各々の後方および前方移動が、連結動作、穿刺および試料採取動作、および再カートリッジ化動作のうちの少なくとも1つに対して機械エネルギーを供する請求項11記載の分析システム。
【請求項13】
駆動アセンブリが2つのカム駆動機構(157,159)を有するカム制御部(155)を備えており、各々のカム駆動機構(157,159)が、カム(130a,132a)を有するカムロータ(130,132)と、カム(130a,132a)に係合するカム従動子(156,158)とを含み、これによって穿刺要素の動作の第1の部分が、カム従動子(158)と一方のカム駆動機構(159)のカム(132a)との間の相対的運動により決定され、穿刺要素の動作の第2の部分が、カム従動子(156)と他方のカム駆動機構(157)のカム(130a)との間の相対的運動により決定される請求項1〜12のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項14】
2つのカム(130a,132a)の距離が、穿刺要素の動作の後方段階の調整のために、ロータ(130,132)の軸方向において調整可能である請求項13記載の分析システム。
【請求項15】
機器(113)のハウジング(118)の体積が、最大80cm3、好ましくは最大50cm3である請求項1〜14のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項16】
カートリッジ(112)が内部に挿入された機器(113)の重量が、最大60g、好ましくは最大40gである請求項1〜15のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項17】
所望の分析結果に特徴的な測定可能量の測定が、再カートリッジ化動作の後に実施される請求項1〜16のいずれか1項に記載の分析システム。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−540129(P2010−540129A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527367(P2010−527367)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008435
【国際公開番号】WO2009/046957
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】