説明

自動臨床アナライザの機能毎に区分化されたオペレータ・インタフェース・モジュール

関連データにアクセスするためにオペレータが必要とする労力を最小限に抑えるようにオペレータ・インタフェース上に臨床アナライザの状況を表示する方法である。一態様において、この方法は、臨床アナライザの作業可能局面について通常、非通常の情報を表示して、権限のある技術者のみが非通常作業情報画面にアクセスできるようにしたことを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2003年7月18日に出願された米国特許出願番号第60/488,689号の優先権を主張している。
本発明は、自動臨床アナライザにおいて患者の生物学的流体を処理する方法に関連する。特に、本発明は、オペレータが関連データにアクセスするのに必要とする労力を最小限に抑えるようにオペレータ・インタフェースにアナライザの状況を表示し、アナライザの動作を制御する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
オペレータまたは技術者のエラーを最小限に抑えながら結果をより迅速に提供することによって臨床分析を改善する自動臨床アナライザは知られている。評価分析処理量および患者サンプルおよび試薬の取り扱い効率に関する臨床検査室での要求が高まっていることにより、オペレータが関連データにアクセスするのに必要とする労力を最小限に抑える「ユーザーフレンドリーな」方法でこのようなアナライザの状況を表示し、その動作を制御することが重要な要因となっている。
【0003】
自動臨床アナライザは、代表的にはイリノイ州ディアフィールドのDade Behring Inc.によって販売されているDimension(R)臨床化学アナライザで使用され、コンピュータ・ベースの電気機械管理プログラミングの分野で当業者によって広く使われているような機械語で書かれたコンピュータ・プログラムに基づいてコンピュータで実行されるソフトウェアによって制御される。このようなコンピュータは、アナライザによって行われる評価分析を実施するためのアプリケーション・ソフトウェア・プログラムを実行するが、とりわけ以下の項目を制御、追跡するようにプログラムされることも必要である:
【0004】
・試薬容器が新しく未使用であるかどうかということ
・必要に応じた較正・品質管理手順
・装入・送出用サンプル・チューブ移送システム
・サンプル・アリコートをアナライザ内に保持することになっている場合に患者の身元や実施すべき検査
・サンプル・チューブ、サンプル・チューブ・ラックおよびアリコート容器アレイの位置
・サンプル採取プローブ
・環境室内のサンプル・アリコートの在庫目録およびアクセス可能性
・アリコート容器アレイ移送システム
・液体試薬プローブを含む試薬吸引・分配アーム
・キュベット・容器装填ステーション
・洗浄ステーション67
・容器シャトル、試薬用回転コンベヤ、シャトルおよびトレイ
・時間経過に沿った試薬および評価分析化学溶液消費量、および試薬容器毎に消費されたすべての試薬の消費日、および、特に定めた期間についての、試薬容器当り、較正バイアル容器当り、品質管理容器当り、評価分析当り、および較正基準当りの各バイアル容器毎に消費された評価分析化学溶液の量、ならびに
・毎時少なくとも1000回の評価分析スケジュールに組むこと。
【0005】
臨床アナライザ内で行われる多数の作業についての前記説明から明らかなように、解決されるべき複雑な問題は、ユーザ・インタフェース・モジュール上で臨床アナライザ・オ
ペレータまたはアナライザ技術者に所与の状況に関連する情報を「ユーザーフレンドリーな」方法で表示する方法である。
【0006】
米国特許第6,544,476号が、複数のグループに分けたそれぞれの作業機能グループに対応する作業機能選択ボタンを示す領域と、選択された作業機能選択ボタンに対応する作業機能画面を示す領域とを有する表示画面を開示している。コントローラが、アクセス可能であると決定されたレベルに基づいてアクセスすることを許された複数のグループに対応する作業機能選択ボタンのうちの1つを制御し、また、アクセス不可としてアクセスするのを許されなかった複数のグループのうちの残りの1つに対応する作業機能選択ボタンのうちの残りの1つも制御する。
【0007】
米国特許第6,275,150号が、サンプルおよび検査の特定を含む作業命令を入力し、命令を機器に伝える生医学アナライザ・システム用ユーザ・インタフェースを開示している。機器は、必要な検査を実施し、結果をコンピュータに送り、コンピュータで結果が保存される。検査結果は、例外再検討基準と比較され、オペレータ再検討のための例外検査結果を特定する。例外検査結果は、また、コンピュータのディスプレイ上にグラフィック・アイコンで示される。例外検査結果は、機器から集められ、コンピュータに保存された確証データとオペレータが比較してもよい。その後、オペレータが例外検査結果について処分を選んでもよい。この発明の別の態様では、警報状態が機器によってコンピュータに伝えられる。次に、ユーザ・インタフェースが、機器および影響を受けた部分のグラフィック画像を使用することによって警報状態をオペレータに伝える。その後、影響を受けた構成要素を選ぶことによって付加的な情報をオペレータに与えてもよい。
【0008】
米国特許第6,080,364号が、複数の分析ユニットを移送ラインに沿って配置した自動アナライザを開示している。このアナライザは、較正または精度管理についての点検画面のための表示リクエスト手段と、較正または精度管理に関する複数の状態の分類に従ってインストールされた複数の分類キャプションを有する点検画面を表示する画面ディスプレイと、表示リクエストに関連した各分類キャプションに対応する詳細な情報の表示を指示するための指示ボタンと、或る指示が指示ボタンによって出力されたときに点検画面にある対応する分析項目の較正または精度管理を実行するために対応する状態の分析項目名および分析ユニット名を表示するコントローラとを含む。
【0009】
米国特許第5,885,530号が、機器にオンボード格納された種々の異なったタイプの試薬および免疫測定ビーズを用いて或る範囲の異なるタイプの免疫測定から選択を行いながら広範囲にわたる被検物質に検査を実施できる自動免疫測定システムを開示している。オペレータ介入なしに反射的に検査結果に基づいて検査を命令し、実施し、再評価分析する能力を含めたコンピュータ入力から自動的に検査が実施されるにつれてユーザ・インタフェースが縮小される。
【0010】
米国特許第5,316,726号が、コンピュータ制御式のアナライザおよびディスプレイを開示している。このディスプレイは、アナライザ内で実施されているすべての作業をリアルタイム表示する。多数のサンプルをアナライザに装填することができ、サンプルを検査する順序は、いつでもオペレータの決めた優先権に従って再編成できる。種々の免疫測定を各サンプルに実施することができ、いくつかの異なった免疫測定を任意の1つのサンプルに実施できる。特定のサンプルに実施されている免疫測定のタイプに関連した情報がバーコードリーダによって集められ、この情報はコンピュータに送られてディスプレイ上に表示される。
【0011】
日本特許出願公開1−250758が、所定レベルに対応する特定の範囲のアナライザ機能のみをオペレータが使用できることを提案している。自動アナライザの作業機能は、分析パラメータ、システム・パラメータ、登録および保守に分類され、そして、オペレータのレベルが、前もってそれぞれのオペレータの識別コードに従ってセットされる。オペレータが識別コードを入力したとき、入力された識別コードに対応する作業レベルの作業機能のみが表示される。オペレータのレベルは上位、中位、下位の3つのレベルにセットされ、上位レベルのオペレータはすべての作業を行うことができ、中位レベルのオペレータは作業の一部を行うことができ、下位レベルのオペレータは分析パラメータおよび保守の一部のみを実施できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、機能毎に関連データを区分化することによってオペレータが関連データにアクセスするのに必要とする労力を最小限に抑えるようにオペレータ・インタフェース上に臨床アナライザの状況を表示する方法を提供する。これを達成するのに、アナライザの制御および作動状況に関連する情報を表示するようになっているビューイング画面を有するビジュアル・ユーザ・インタフェース装置を設け、アナライザの通常作業において使用される通常作業情報をビューイング画面の第1区分に表示するようにビューイング画面を区分化し、作業アナライザの詳細検査で使用される非通常作業情報をビューイング画面の第2区分に表示するようにビューイング画面を区分化する。さらに、アナライザ内のすべての作業可能システムが正常範囲内で機能している場合には、アナライザ状況要約タブを第1カラーで表示し、アナライザが通常作業から外れて機能する状態に近づき始めている場合には、アナライザ状況要約タブのカラーを第2カラーに変え、アナライザ内の任意システムまたはコンポーネントが通常作業範囲を外れて機能し始めた場合には、アナライザ状況要約タブのカラーを第3カラー範囲に変える。
【0013】
本発明は、本出願の一部をなす添付図面と関連して行った以下の詳細な説明からより完全に理解して貰えよう。
図面において、
図1は、本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
図2は、図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
図3は、図1のアナライザで役に立つ反応容器の斜視図である。
図3Aは、図1のアナライザで役に立つ較正溶液バイアル容器の斜視図である。
図4は、図1のアナライザで役に立つアリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの斜視図である。
図4Aは、図1のアナライザで役に立つサンプル採取プローブである。
図4Bは、図1のアナライザで役に立つ洗浄ステーションである。
図5は、図1のアナライザで役に立つアリコート容器アレイである。
図6は、図1のアナライザで役に立つ容器移送システムの概略平面図である。
【0014】
図7は、図1のアナライザで役に立つ容器シャトルの斜視図である。
図8は、図1のアナライザで役に立つ容器トレイ・シャトルの斜視図である。
図9は、本発明のビューイング画面の一例である。
図9Aは、本発明の表示画面へのアクセスの一例を示している。
図10〜13は、図9の画面からアクセスできる通常作業情報の例である。
図14は、図9の画面からどのようにして非通常作業情報にアクセスできるかを示している。
図15〜18は、図9の画面からアクセスできる非通常作業情報を示している。
図19は、本発明の機器状況要約の一例を示している。
図19Aは、本発明の機器状況メッセージの一例を示している。
図19Bは、本発明の機器保守メッセージの一例を示している。
図20は、図19の画面からアクセスできるトラブル解決情報を示している。
【0015】
〔発明の説明〕
図1は、図2と共に、本発明を有利に実行できる自動化学アナライザ10の諸要素を概略的に示している。このアナライザ10は、キュベット・ポート20を形成した外側キュベット回転コンベヤ14と、容器ポート22を形成した内側キュベット回転コンベヤ16とを支持している反応回転コンベヤ12を含む。外側キュベット回転コンベヤ14と内側キュベット回転コンベヤ16は開放溝18によって分離されている。キュベット・ポート20は、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号09/949,132に開示されているような複数の反応キュベット24を受け入れるようになっている。反応キュベットは、在来の臨床評価分析および免疫測定評価分析のための種々の試薬およびサンプル液を収容している。一方、容器ポート22は、超高感度発光免疫測定専用の試薬を収容している複数の反応容器25を受け入れるようになっている。反応回転コンベヤ12は、一定方向に段階的に移動するように回転可能である。この段階的移動は一定の停止時間によって分けてあり、この停止時間中、回転コンベヤ12は静止状態に保たれ、センサ、試薬添加ステーション、混合ステーションなどのようなコンピュータ制御される評価分析操作装置13が、必要に応じて、キュベット24および反応容器25内に収容されている評価分析混合物に作用する。
【0016】
アナライザ10は、イリノイ州ディアフィールドのDade Behring Inc.の販売しているDimension(R)臨床化学アナライザで使用されており、コンピュータ・ベースの電気機械制御プログラミングの分野で当業者によって広く使用されているような機械語で書かれたコンピュータ・プログラムに基づいてコンピュータ15で実行されるソフトウェアによって制御される。コンピュータ15は、アナライザ10内の種々の分析手段17により行われる評価分析を実施するためのアプリケーション・ソフトウェア・プログラムも実行する。分析手段17は、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号60/488,336(代理人整理番号DCS-9159)に開示されているように、光度測定評価分析を実施するようになっている分析モジュール17Aを含み、比濁評価分析を実施するようになっている分析モジュール17Bを含み、発光評価分析を実施するようになっている分析モジュール17Cを含んでいてもよい。コンピュータ15は、公知のインタフェース・ソフトウェア・アプリケーションを使用して、検査室情報システム(LIS)および/または病院情報システム(HIS)と相互連携しており、したがって、検査室作業員が、必要に応じて、患者、患者評価分析リクエスト、評価分析結果、アナライザ状況などに関する情報に直接アクセスすることができる。コンピュータ15は、代表的には、キーボード15Kおよびモニタまたはフラットパネル・タッチ・ビューイング画面15Sなどからなるオペレータ・インタフェース・モジュール15Mを含み、ここでは、本明細書で説明したようなアナライザ10の作業可能状況についての情報を呼び出し、表示することもできるし、または、アナライザ10内の故障の場合などにそれを自動的に表示できる。
【0017】
温度制御された試薬保管領域26、27、28が図3Aに示すように複数の細長い多区画試薬容器30を格納しており、これらの試薬容器30は、多数のウェル32内に所与の評価分析を行うのに必要な試薬を収容しており、各ウェルは、3.4ミリリットルほどの所与の試薬を収容している。試薬容器30は、それが新しくて未使用であるかどうか、または、それが既に使用されているかどうか(最初にアナライザ上へ置いたときはいつでも汚染されるおそれがある)をアナライザ10が自動的に決定するのを可能にする特徴を有する。図3Aは、較正溶液バイアル30V内に既知の被検物質濃度の較正溶液を担持している較正バイアル・キャリア30Aを示しており、これらの溶液は、アナライザ10内で周知の較正、品質管理手順を実行するためのものである。較正バイアル・キャリア30Aは、また、アナライザ10の試薬保管領域26、27、28内に格納される。
【0018】
入力レーン34Aおよび出力レーン34Bを有する双方向装入・送出サンプル・チュー
ブ移送システム36が、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,311に開示されているように、試験しようとしている検体液を収容し、サンプル・チューブ・ラック42内に装着された個々の装入サンプル・チューブ40を液体サンプル採取アーム44のサンプル採取範囲内へ移送する。サンプル・チューブ40に収容された検体液は、その上に取り付けられたバーコード記号を在来のバーコードリーダを用いて読み取ることによって識別され、項目の中でも特に患者の身元、実施されるべき検査、サンプル・アリコートをアナライザ10内に保持すべきであるかどうか、またその場合にどのくらいの期間保持するのかという諸点を決定する。また、サンプル・チューブ・ラック42上にバーコード記号を設け、アナライザ10全体にわたって据え付けた多数の在来のバーコードリーダを使用してサンプル・チューブ40およびサンプル・チューブ・ラック42の位置を確認、制御、追跡することもよく行なわれている。
【0019】
サンプル採取プローブ44は、移動可能な液体サンプル採取プローブ48を含み、サンプル採取アーム44の動きが、図4に示すように、サンプル・チューブ移送システム36およびアリコート容器アレイ移送システム50と交差する円弧を描くようになっている。サンプル採取プローブ44は、図4Aに示すように、水平方向駆動部44Hと、垂直方向駆動部44Vと、洗浄モジュール44Wと、ポンプ・モジュール44Pと、以下の表1に記載する主要な機能を有する清掃モジュール44Cとを含み、サンプル採取プローブ44は、必要な評価分析を実施するのに必要なサンプルの量に応じてサンプル・チューブ40から液体サンプルを吸い込み、アリコート・サンプルを図5に示すようなアリコート容器アレイ52内の複数の容器52Vの1つまたはそれ以上のものに分配するように作動可能であり、また、環境室38内でアナライザ10によって或るサンプル・アリコートを保持するようにも作動可能である。
【0020】
【表1】

【0021】
環境室38は、コンピュータ15によって作動させられて、同じ患者検体に先の一回目の検査に続いて2回目の検査を確実に受けさせるようになっている。処理効率の理由で、時には、所定期間にわたって環境室38内に保持されていたサンプル・アリコートを自動的に再処理することが望ましい。検査されるべき装入サンプルは、サンプル・チューブ4
0の上に取り付けられたバーコード記号によって特定され、サンプル・アリコートを保持すべきであるかどうか、また、その場合、どのくらいの期間保持するかを決定できる。検査されるべき患者の検体から採取された第1のサンプル・アリコートに加えて、第2のサンプル・アリコートもこの同じ患者の検体から採取され、環境室38内に保持される。第1のサンプル・アリコートについての検査が完了し、報告され、医師による分析を得た後の或る期間で患者のサンプルを再検査するかまたは追加検査することが望ましくなった場合には、第2のサンプル・アリコートを迅速に環境室38内から取り出し、アナライザ10で検査することができ、それによって、時間を節約すると共にまったく同じ患者の検体を検査に供することができる。
【0022】
在来のイオン選択性電子プローブ49を備えた在来のイオン選択性電子測定ステーション47をアリコート容器アレイ移送システム50の近くに設置して、プローブ49によって容器52Vから吸引し、イオン選択性電子測定ステーション47に分配したサンプル・アリコートについてイオン被検物質測定を実行すると便利であるかもしれない。
【0023】
アリコート容器アレイ移送システム50は、アリコート容器アレイ保管・分配モジュール56と、反応回転コンベヤ12に接近して設置したサンプル吸引・分配アーム54の下方にある多数のアリコート容器アレイ・トラック57内でアリコート容器アレイ52を双方向に移動させるようになっている多数のリニア駆動モータ58とを含む。サンプル吸引・分配アーム54は、コンピュータ15によって制御され、制御した量のサンプルを、在来の液体プローブ54Pを使用して、トラック57内のサンプル採取位置に位置した個々の容器52Vから吸引し、次いで液体プローブ54Pが分配位置に動かされ、ここにおいて、適量の吸引サンプルがキュベット・ポート20にある1つまたはそれ以上のキュベット24に分配され、1つまたはそれ以上の被検物質についてアナライザ10が検査を行う。サンプルが反応キュベット24に分配された後、在来の移送手段が、必要に応じて、アリコート容器アレイ移送システム50、環境室38、廃棄領域(図示せず)間でアリコート容器アレイ52を動かす。
【0024】
多数の試薬吸引・分配アーム60、61および62(各々が少なくとも1つの在来の液体試薬プローブ60P、61P、62Pを含んでいる)が、それぞれ、独立して装着してあり、それぞれ、試薬保管領域26、27、28間で移動可能となっている。プローブ60P、61P、62Pは、試薬添加位置で適切な試薬容器30のウェル32から指定評価分析を行うのに必要な試薬を吸引できる在来型の機構である。その後、プローブ60P、62Pは、試薬が反応キュベット24に分配される試薬分配位置に戻される。プローブ60P、61P、62Pはまた、必要に応じて較正溶液バイアル30Vから較正溶液および制御溶液を吸引し、アナライザ10の適切な作業を確実にするのに必要な較正手順および制御手順を実行する。その後、プローブ60P、61P、62Pは、較正溶液分配位置に戻される。この分配位置において、溶液が反応キュベット24に分配され、分析手段17によって分析される。
【0025】
反応キュベット装填ステーション61および反応容器装填ステーション63が、それぞれ、外側キュベット回転コンベヤ14および内側容器回転コンベヤ16に接近して設置してあり、そして、たとえば移動可能なロボットアーム65を使用して、後に説明するように反応キュベット24を横向きにキュベット・ポート20に装填し、また、反応容器25を容器ポート22に装填するようになっている。操作に当たって、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,360に開示されているように、評価分析を最終的に行った使用済みのキュベット24は洗浄ステーション67で洗浄され、乾燥させられる。コンピュータ15は、使用済みの反応キュベット24を清掃するように洗浄ステーション67を作動させる。その結果、反応キュベット24において次に実施されるべき或る「例外的な」評価分析がスケジュールにあるときはいつでも、使用済みの反
応キュベット24は、自動的に、付加的な浄化または清掃作業を受ける。ここで用いる「清掃および浄化」なる用語は、洗浄、すすぎ、乾燥を含む。使用済み反応キュベット24のこの選択的な清掃は、部分的には、図4Bでわかるように、多数の洗浄・乾燥マニホルド67Mを設けることにより達成される。洗浄・乾燥マニホルド67Mは、各々、独立して選択的に起動され、その反応キュベット24で次に実施するようスケジュールに入れた評価分析の内容に応じて清掃作業を実施したり、しなかったりする。さらに、洗浄ステーション67は、コンピュータ15によって作動させられる。その結果、キュベット24における生化学反応からのバイオハザード廃棄残留物を、キュベット24における化学反応からの化学的廃棄物残留物から分離し、真空ライン67Vによって安全な生化学的廃棄物保管部67Bおよび化学的廃棄物保管部67Cに安全に廃棄する。
【0026】
本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/318,804に開示されているような理由のために他の指示がない限り、以降の評価分析が清掃された使用済みのキュベット24で行われる。コンピュータ15は、使用済みの反応キュベット24において次に実施されるようにスケジュールに入れられた評価分析が清掃された使用済みの反応キュベット24で先に実施された評価分析から残っている任意の汚染物質によって悪影響を受けるかもしれないときにはいつでも清掃された使用済みの反応キュベット24を再使用しないことを決定するようにプログラムされる。さらに、コンピュータ15は、清掃された使用済みの反応キュベット24において次に実施されるように或る評価分析がスケジュールに入っているときにはいつでも、清掃された使用済みの反応キュベット24を自動的に取り出し、廃棄して、新しい未使用の反応キュベット24と交換するようにアナライザ10を作動させてもよい。コンピュータ15は、場合により、或る評価分析が清掃された使用済みの反応キュベット24において次に実施されるべくスケジュールに入っており、同じ評価分析が清掃された使用済みの反応キュベット24において先に実施され、その評価分析結果が通常の検査範囲から外れているときにはいつでも、清掃された使用済みの反応キュベット24を自動的に取り出し、廃棄して、新しい未使用の反応キュベット24と交換するようにアナライザ10を制御してもよい。キュベット取り出しステーション59が、再び装填ステーション61、63に示すような移動可能なロボットアーム65を使用してキュベット・ポート20から使用不可な反応キュベット24を取り出すようになっている。
【0027】
評価分析需要で使い尽くされたときに評価分析試薬および較正溶液を再供給するために、アナライザ10は、図6に示す単一の双方向リニア容器シャトル72を含み、この容器シャトル72は、その下方の装填位置に容器30およびキャリア30Aを自動的に位置決めするモータ駆動式レーキ73を有する容器装填トレイ29から試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aを取り出すようになっている。シャトル72は、さらに、試薬保管領域27または28内の少なくとも1つのスロット付き試薬容器トレイ27Tまたは28Tのスロットに試薬容器30または較正バイアル・キャリア30Aをそれぞれ配置するようにもなっている。同様にして、シャトル72は、さらにまた、試薬容器トレイ27T、28Tから試薬容器30または較正バイアル・キャリア30Aを取り出し、試薬保管領域26内の2つの同心の試薬用回転コンベヤ26A、26Bのいずれかにこれらの試薬容器30または較正バイアル・キャリア30Aを配置するようになっている。シャトル72は、また、2つの同心の試薬用回転コンベヤ26A、26B間で試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aを移動させるようにもなっている。円弧状双頭矢印で示すように、試薬用回転コンベヤ26Aは、左右両方向に回転し、その上に配置された試薬容器30または較正バイアル・キャリア30Aのうち任意特定のものを試薬吸引アーム60下方に置くことができる。試薬用回転コンベヤ26Bが、また、試薬吸引アーム60および62によってアクセスできる試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aを収容してもよいが、回転コンベヤ26Bは試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aの過剰分を格納するようにのみなっていると好ましい。試薬容器トレイ27T、28T内に配置された試薬容器30のうち任意の1つは、試薬保管領域27、28にある試薬容器シャトル27S、28Sのそれぞれによって、容器シャトル72下方にある装填位置または吸引・分配アーム61、62の下方にある試薬吸引位置にそれぞれ置くことができる。試薬吸引アーム60、62は点線で示してあって、回転コンベヤ26Bに格納された試薬容器30、試薬容器トレイ27T、28Tそれぞれの表面上方に位置していることを表している。外側キュベット回転コンベヤ14に支持された反応キュベット24も点線で示してあるが、これは試薬容器30の表面よりも上方に位置していることを同様に表している。図6は、また、第1の試薬容器移送装置75によって試薬操作回転コンベヤ26Bに接続した試薬調製ステーション74も示している。試薬調製ステーション74は、必要に応じて化学物質添加、再混合、乾燥試薬粉末水和などのような多数の試薬調製作業を実施するようになっている。さらに、モータ駆動式ベルト・シャトル78が第2の試薬容器移送装置77によって試薬用回転コンベヤ26Bに接続してあり、同じような装備のアナライザ間での試薬容器30の交換が可能となっている。図6に示すような容器シャトル・システムは、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,310に記載されている。
【0028】
図7に示す容器シャトルは、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,311に開示されている自動テンショナ72Tによって、モータ72Mで駆動される駆動ベルト72Bの未知の長さ変化を自動的に補正するようになっており、また、駆動方向の急な変化にもかかわらず駆動ベルト72Bを一定張力に維持するようになっている。その結果、クランプ72Cによって駆動ベルト72Bに取り付けられた試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aは、双頭矢印で示すような駆動ベルト72Bの方向に沿って正確に位置決めすることができ、駆動ベルト72Bが摩滅したときに試薬容器シャトル72下方または保管領域26、27または28内の意図した位置に配置できる。試薬容器シャトル27S、28Sは、設計が互いに類似しており、図8に示すように、駆動ベルト28Bの一方の脚部に固定してあって、双頭矢印で示すように駆動ベルト28Bの方向に沿って前後に自由に駆動される試薬容器トレイ28Tを含む。したがって、トレイ28Tのスロット内にある試薬容器30を試薬容器シャトル72下方にあるピックアップ位置に自動的に位置決めすることができる。
【0029】
アナライザ10についての先の説明から当業者にとって明らかなように、コンピュータ15の制御下でのアナライザ10の能力には、容器装填トレイ29、試薬容器トレイ27T、28T、試薬用回転コンベヤ26A、26B間で試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aを自動的に移動させるという能力がある。シャトル27S、28Sによって、アナライザ10は、さらに、試薬用回転コンベヤ26A、26Bの能力と組み合わせて、試薬吸引アーム60P、61P、62P下方に任意の試薬容器30または較正バイアル・キャリア30Aを置けるように、試薬容器トレイ27T、28T内の試薬容器30および較正バイアル容器をプローブ61P、62Pのそれぞれによる適切な吸引位置へ(または、シャトル72下方の装填位置へ)移動させることができる。したがって、アナライザ10は、多数の異なった試薬および較正溶液を異なった吸引位置に位置決めするという融通性を持った自動ランダム・アクセス試薬・較正溶液再供給システムを含むことになる。
【0030】
アナライザ10内で最適な評価分析処理量を維持する際における鍵となる要因は、内部の試薬が使い尽くされるようになる前に試薬保管領域26、27、28内に試薬容器30を適切な時機に再供給する能力である。較正と較正の間の時間、直前の較正から実施した評価分析の数、正常範囲から外れた評価分析結果の数、あるいはアナライザの性能の変化のいずれかをベースにして、必要に応じて較正手順および管理手順を行い得るように内部に収容されている溶液が使い尽くされるようになる前にバイアル・キャリア30Aに適切な時機に較正溶液および品質管理溶液を再供給する能力も同様に重要である。使い尽くさ
れる前に較正手順および管理手順で使用される付加的な必要のある較正溶液および品質管理溶液(便宜上、本明細書では標準化学溶液と呼ぶ)を適切な時機にアナライザ10に与え、中断せずにアナライザ10の評価分析処理能力を維持することによってこのチャレンジに応じることができる。
【0031】
評価分析処理能力の継続性を維持するために、コンピュータ15は、時間経過に沿った試薬および評価分析化学溶液の消費量、および試薬容器毎に消費されたすべての試薬の消費日、および、特に定めた期間についての試薬容器当り、較正バイアル容器当り、品質管理容器当り、評価分析当り、および較正基準当りの各バイアル・キャリア30A毎に消費された評価分析化学溶液の消費を追跡するようにプログラムする。本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/622,435に開示されているように、コンピュータ15は、特に定めた時間周期にわたる将来の評価分析在庫目録需要を決定するように特に定めた時間周期にわたって在庫目録需要分析を行い、試薬容器30および較正/品質管理バイアル・キャリア30Aが実際に必要となる前に将来の適切な時機に必要となる試薬容器30および較正/品質管理バイアル・キャリア30Aすべてのリストをオペレータ・インタフェース・モジュール15Dでオペレータに表示するようにプログラムする。
【0032】
コンピュータ15の行う分析の非常に簡略化した形を表2に示す。表2において、前4回の火曜日での、それぞれ1255、1140、1050である総CO2量、クレアチニン、BUNについての最新履歴火曜日特定評価分析需要を使って平均評価分析需要を月曜日に行っている。総CO2量、クレアチニンおよびBUNの評価分析を実施するのに必要な試薬を収容している異なった試薬容器30の1つ毎に行うことができる評価分析の回数を考慮し、そして、先に示した異なった試薬容器30のオンボード在庫目録を考慮することで、総CO2量についての1つの付加的な試薬容器30が火曜日について必要とされ、そして、クレアチニンおよびBUNについての2つの付加的な試薬容器30が火曜日について必要とされることは明らかである。この情報は、コンピュータ・ディスプレイ・モジュール15Mに表示され、その結果、必要な異なった試薬容器30が適切な時機にアナライザのトレイ29に供給され、必要に応じて、図6に示す容器移送システムによってアナライザ10を通じて往復動させられ、アナライザ10内で連続処理能力を維持する。
【0033】
【表2】

【0034】
この分野において知られているように、アナライザ10のようなアナライザは、表2の3つの評価分析に限らない。それどころか、代表的には、アナライザ10の保管領域26、27、28において常にオンボードの状態でこれらの「オンボード評価分析」の約50%を実施するのに必要な試薬で180〜200もの多くの異なった評価分析を実施するようになっている。アナライザ10の或る実施形態例では、評価分析処理量を向上させるために、すべての「オンボード評価分析」を実施するのに必要とする試薬を収容している試薬容器30が保管領域26に保持されることになり、一方、それほど必要とされない「オンボード評価分析」のすべてを実施するのに必要な試薬を収容している試薬容器30は保管領域27、28に振り分けられるかもしれない。このように作動するとき、保管領域26に保持された試薬容器30を使用して毎時約250〜500の評価分析をコンピュータ15でスケジュールに入れることができ、一方、保管領域27、28の各々に保持された試薬容器30を使用して毎時約500の評価分析をコンピュータ15でスケジュールに組むことができる。こうして、コンピュータ15は、毎時1,250〜1,500の評価分析をスケジュールに組み込むことができる。これらの評価分析処理量値には、アリコート容器ウェル52Vにおいて1時間当たり約125の異なったサンプルについてイオン選択性電子測定ステーション47で付加的に実施されるナトリウム、カリウム、塩化物についての約375回のイオン被検物質測定を含んでいない。
【0035】
直ぐ上に説明したような処理量値は、本発明の譲受人に譲渡され審査係属中の米国特許出願番号10/151,424(代理人整理番号DCS-9128)に開示されているように、コンピュータ15によるアナライザ10の作業中、異なった評価分析を実施することになっている異なった装入サンプル40が、反応回転コンベヤ14で評価分析を完了するのに必要とする時間に従って多数の個別の評価分析グループに分割されるために達成できる。慎重に設計した停止時間、反応容器24の数および評価分析装置13の位置と共に採用した時間当たりの妥当な評価分析区分化により、ただ1回の作業可能サイクルよりも短い第1の中間時間長分析と第2のそれより短い時間長分析が可能となる。それによって、分析してしまった反応混合物を非生産的な不活動期間にわたって反応回転コンベヤ上に留める在来のアナライザと比較してアナライザ10の体積処理量を増大させることができる。特に、反応回転コンベヤ14のただ1回の完全な作業サイクル中、多数の反応容器24内で中間時間長分析が最初に完了し、各中間時間長分析が完了する毎に、これらの反応容器24は、反応回転コンベヤ14から取り出され、新しいか清掃済みの反応容器24と交換される。次いで、この交換した反応容器24においてより短い時間長評価分析が完了する。全作業サイクル中、より長い時間長分析は反応回転コンベヤ14に留まる。
【0036】
アナライザ10についての前記説明からわかるように、コンピュータ15は、以下の項目を制御するようにプログラムする:
・分析モジュール17A、17B、17C
・試薬容器30が新しく未使用であるかどうかを決定すること
・必要に応じて周知の較正手順および品質管理手順を行うこと
・装入・送出用サンプル・チューブ移送システム36
・サンプル・アリコートをアナライザ10内に保持することになっている場合には患者の身元、実施されるべき検査
・サンプル・チューブ40、サンプル・チューブ・ラック42およびアリコート容器アレイ52の位置を制御し、追跡すること
・サンプル採取プローブ44の動作
・環境室38内のサンプル・アリコートの在庫目録およびアクセス可能性
・イオン選択性電子プローブ49およびイオン選択性電子測定ステーション47
・アリコート容器アレイ移送システム50
・液体試薬プローブ60P、61P、62Pを含む試薬吸引・分配アーム60、61、62
・反応キュベット装填ステーション61および反応容器装填ステーション63
・洗浄ステーション67
・リニア容器シャトル72、試薬用回転コンベヤ26A、26B、シャトル27S、28S、試薬容器トレイ27T、28T
・時間経過に沿った試薬および評価分析化学溶液の消費量、および試薬容器毎に消費されたすべての試薬の消費日、および、特に定めた期間にいての試薬容器当り、較正バイアル容器当り、品質管理容器当り、評価分析当り、および較正基準当りの各試薬容器30毎に消費された評価分析化学溶液の消費量を追跡すること、ならびに
・毎時1,250〜1,500の評価分析をスケジュールに組むこと。
【0037】
コンピュータ15によって制御されるなどしてアナライザ10内で行われる多数の作業についての上記説明から明らかなように、解決されるべき複雑な問題は、所与の状況に関連する情報を「ユーザーフレンドリーな」方法で表示モジュール15M上で臨床アナライザ・オペレータまたはアナライザ技術者にどのようにして表示するかである。
【0038】
本発明の主要な特徴は、表示モジュール15Mのビューイング画面15Sの有意な部分、好ましくは大部分がアナライザ10の通常作業で使用される通常作業情報を表示するようにビューイング画面15Sを区分化することである。図示の好ましい実施形態では、ビューイング画面15Sの少なくとも90%が、アナライザ10の通常作業で使用される通常作業情報を表示する。通常作業情報は、たとえば、サンプル命令を入力すること、分析されているサンプルの状況をチェックすること、サンプル結果を読み取ること、翌日にトレイ29に装填する必要のある試薬容器30および較正/品質管理バイアル・キャリア30Aなどを読み出すことについての情報を含む。それと対照的に、ビューイング画面15Sの10%未満の部分は、アナライザ10の作業に関する詳細情報審査で使用される非通常作業情報または高度な作業情報を表示する。高度な作業情報は、たとえば、アナライザ10が実施することになっている異なった評価分析の各々を現在実施するように試薬容器30ロットが使用されていること、各試薬ロットの有効期限、各試薬ロットの較正状況、新規な較正と先の較正との間の較正係数の相対的な比較、現存の較正許容基準が何かなどについての情報を含む。
【0039】
図9は、通常作業情報がビューイング画面15Sの90%よりも大きい下方部分を占有している、9Rで示すビューイング画面15Sの一例である。そして、この情報は、画面15Sの底にあるタブ列9B、9Cおよびホーム/バック/フォワード・ボタン9Dを使用するだけで容易にアクセスすることができる。図9は、オペレータ特定基準に基づいて画面を構成して、通常の使用者が取り扱うことができないほどの複雑さを経験することがないようにコンピュータ15をプログラムした本発明の一例である。この構成は、文書化プログラムおよび訓練プログラムとの関連を有し、また、広範囲にわたる全体的な作業知識を与えることを必要とせずにアナライザ10において連続処理能力を維持するのに必要な本質的な機能を達成するようにオペレータを訓練するのをかなり容易にする。それと対照的に、従来技術システムは、「機能毎に」構築されており、その場合、たとえば、較正の複雑なものすべてが同じ画面・スペースに表示される。通常のオペレータは、高い能力がある、訓練を受けたオペレータにとって利用できる機能と同じ機能に直面するが、これらの問題に対処する訓練を受けていない。本発明の通常画面例では、通常のオペレータがアナライザ10の処理量を維持することについての複雑な非通常作業面に気づく必要さえない。問題が生じた場合には、警告が表示され、通常のオペレータは、問題を解決しようとすることを必要とするところに注目し、それを達成するツールを手で閉じる。通常画面は、単純な情報を表示しており、間違ったボタンを押すことによって保管部の在庫目録を破壊するなどのエラーを行うことはあり得ないとは言えないまでも非常に難しい。臨床化学システムの非通常面のすべてについて知識のある高度の訓練を受けた、権限のある技術者が利用できるアドバンスドモード・インタフェースがある。ログイン/ログアウト領域9Dが図9Aに示してあり、ここでは、通常のオペレータおよびアナライザ10を作動させることについての非通常の高度な局面について訓練を受けた、権限を備えた技術者が、共に、領域9Eにおける個人情報番号に順次にタッチした後に連携した画面にアクセスすることができる。比較的少ない連携情報画面のみが9Cにあり、各カテゴリにおける約5つの項目が9Bにある。領域9Rにあるアクティブなボタンはタッチ起動式である。以下に説明する図10〜13は、アナライザ10の通常作業で使用される通常作業情報のほんの例示であり、すべてを網羅することは意図していない。便利であるという理由のためだけで、画面15S内の領域を示すのに図9〜13で点線を使用している。
【0040】
図10は、サンプル・ボタン10Aにタッチし、次いでラック詳細ボタン10Bにタッチすることによってアクセスできるサンプル・ラック詳細画面の一例である。サンプル・ラック42上のサンプル・チューブ40の状況が、状態表示領域10Cの各サンプル・チューブ40毎に表示されている。図10は、また、後に説明する機器状況要約タブ10Sとして本発明の別の重要な特徴も示している。
【0041】
図11は、供給ボタン11Aにタッチし、次いで試薬ボタン11Bにタッチすることによってアクセスすることができる試薬需要画面の一例である。保管領域26、27、28内の試薬キャリア30の状況が、たとえば、現在処理されつつある評価分析の各々について表示されている。
【0042】
図12は、サンプル12Aにタッチし、次いでラック・カラーマップ・ボタン12Bにタッチすることによってアクセスすることができるサンプル・ラック・カラー画面の一例である。ラック42を着色することで、情報表示領域12Cに示すようにサンプル・チューブ40を区別する際の助けとなり、また、検査に続けて環境室38内に保管するための付加的なサンプルを吸引することをオペレータが確認できる。各ラック・カラーは、或る特定のサンプル・チューブ40のタイプ(すなわち、流体のタイプ)を収容することを指定し、または余剰サンプル採取が許容できることを指定するために使用する。すべてのラック42がバーコードを持っており、ラック・カラーとラック・バーコードとの間の組み合わせはオペレータが設定する。したがって、要するに、コンピュータ15、オペレータが、共に、このカラーが何であるかを「知っている」ことになる。オペレータは、チューブ40を装填するとき、正しいラック42に正しい容器/流体/余剰流体を置くように注意する。小児科チューブを通常のチューブから区別して小児科サンプル・チューブの底を通してプローブ66を差し込むことを回避することが重要である。
【0043】
図13は、結果ボタン13Aにタッチし、次いでサンプル結果ボタン13Bにタッチすることによってアクセスすることができるサンプル結果画面の一例である。種々の評価分析についての検査結果に関する情報は、領域13Dで特定される患者について領域13Cで入手可能である。
【0044】
図9は、9Aで示すように、高度な作業情報が画面15Sの表示領域の10%未満である残りの上方部分をどのように占有しているかも示している。高度な作業情報画面(一般的にはマウスで処理する)には、トップ右にある高度メニュー9Mを使ってアクセスする。高度情報画面は、メイン画面15Sの内容領域ではなく独立したウィンドウに現れる高密度コンポーネントベースの画面である。高度情報画面は、図14〜17に示すように、キャリブレータ・QCセットアップ、データベース保守・管理、別個の作業として行われる診断、使用者管理、方法セットアップ、オープン・チャネル、サンプル・キャリア・カラー割り振り、試薬自動調製機器構成などを含む。
【0045】
図14は、高度作業情報画面(図15〜18)において、承認済みPINによって普通にログインした後に権限のある作業員がどのようにして高密度の高度情報にアクセスするのかを示している。マウスまたはキーボードを使用することによって、メニュー9Mが小さくても、「方法12A」を起動する(この後にポップアップ・メニュー12Bが現れる)ことによって評価分析関連方法情報へのアクセスを開始できる。
【0046】
較正についての高度な情報を得るためには、たとえば、権限を持った人間がメニュー14BにあるCALを選ぶ。ここから、高度な情報を含む画面をコンピュータ15によって画面15Sに表示させる。
【0047】
図15は、試薬ロット15Aによる評価分析較正についての高密度の詳細で高度な情報
(有効期限15Bおよび較正状況15Cを含む)を有する画面の一例である。領域15Dの適切な部分を起動させることによって、再較正を直ぐに行うことになっているか、既にアナライザ10で再較正をオンボード実行しているかというような付加的な較正情報を得ることができる。
【0048】
図16は、領域16Aに示すようにいずれかのタイプの較正によっていずれかのオペレータが或る特定の方法を較正した日付についての情報を含む、評価分析較正詳細についての高密度の詳細で高度な情報を有する画面の一例である。較正プロセスの実際の結果は、被検物質検査結果に含む領域16Bおよび実際の較正信号結果を含む領域16Cに見いだすことができる。このタイプの高度情報は、たとえばトラブルシューティング作業において高い能力のある作業員以外の者でも普通にアクセスすることができる。
【0049】
図17は、領域17Aに示すようにいずれかのタイプの較正によっていずれかのオペレータによって或る特定の方法を新たに較正した日付についての情報を含む、先に用いられた較正プロセスと比較したような現在の較正プロセスの詳細についての高密度の詳細で高度な情報を有する画面の一例である。校正曲線係数の実際の値は、新旧の較正についての領域17Bに見いだすことができ、領域17Cでは、新旧の較正についての較正復元のための実際の値を見いだすことができる。領域17Dは、新旧の較正についての較正復元のための実際の値を有する。このタイプの高度情報は、異常な環境以外でも、まれにアクセスされることになる。
【0050】
図18は、分析結果を受け入れるかまたは拒否するのにアナライザ10が使用している較正合格基準の詳細についての高密度の詳細で高度な情報を有する画面の一例である。図18は、領域18Aに示すようにいずれかのタイプの較正についていずれかのオペレータが合格基準を起動した日付についての情報を含む。実際の合格基準は領域18Bに見いだすことができ、領域18Cでは、個々の合格基準の詳細を見いだすことができる。ここで再び、このタイプの高度情報は、アナライザ10の評価分析信頼性を取扱うという特殊な理由のために高い能力のある作業員しかアクセスできない。
【0051】
図19は、本発明の別の重要な特徴を示している。ここでは、図9にしめす機器状況要約タブ10Sが、緑色のタブ領域のような「安全な」タブ領域を含む。アナライザ10内のすべての作業可能システムが通常の範囲内で機能している場合には、便宜上、機器状況要約タブ全体が「安全カラー」、すなわち、緑色で表示される。アナライザ10内の任意のシステムが正常範囲から外れて機能し始めた場合には、機器状況要約タブ10S内に19Aおよび19Bのような「アラーム」タブ領域が、赤色のタブのような特殊なカラーで現れることになる。これが、アナライザ10が完全な作動モードにないことをオペレータに知らせる。オペレータが19A、19Bのような「アラーム」タブ領域を見つけ、たとえば、「アラーム」タブ領域19B(イオン選択性電子測定ステーション47が機能していないことを示す表示が行われている)にタッチしたとき、測定ステーション47のどの部分が機能していないかを正確に特定するカラーその他で強調した非機能特定メッセージ19Eを有し、場合により、測定ステーション47のどの部分が機能し続けているかを正確に特定するメッセージ19Fも含む19Dのようなトラブルシューティング・タブを出現させるようにコンピュータ15をプログラムする。次いで、オペレータが非機能特定メッセージ19Eにタッチすると、図20に示すようなトラブル解決タブ20Aが現れ、問題を修正し、測定ステーション47を完全機能状態に復元するのにどんなステップを採用すべきかをオペレータに説明する。
【0052】
当業者には明らかなように、上記の方法で数多くの変更をなすことができ、それでもなお本発明の本質を達成できる。これらの理由により、本発明は、本明細書で明示し、説明した実施形態に限定されることがなく、特許請求の範囲によって、のみ限定されるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
【図2】図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
【図3】図1のアナライザで役に立つ反応容器の斜視図である。
【図3A】図1のアナライザで役に立つ較正溶液バイアル容器の斜視図である。
【図4】図1のアナライザで役に立つアリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの斜視図である。
【図4A】図1のアナライザで役に立つサンプル採取プローブである。
【図4B】図1のアナライザで役に立つ洗浄ステーションである。
【図5】図1のアナライザで役に立つアリコート容器アレイである。
【図6】図1のアナライザで役に立つ容器移送システムの概略平面図である。
【図7】図1のアナライザで役に立つ容器シャトルの斜視図である。
【図8】図1のアナライザで役に立つ容器トレイ・シャトルの斜視図である。
【図9】本発明のビューイング画面の一例である。
【図9A】本発明の表示画面へのアクセスの一例を示している。
【図10】図9の画面からアクセスできる通常作業情報の例である。
【図11】図9の画面からアクセスできる通常作業情報の例である。
【図12】図9の画面からアクセスできる通常作業情報の例である。
【図13】図9の画面からアクセスできる通常作業情報の例である。
【図14】図9の画面からどのようにして非通常作業情報にアクセスできるかを示している。
【図15】図9の画面からアクセスできる非通常作業情報を示している。
【図16】図9の画面からアクセスできる非通常作業情報を示している。
【図17】図9の画面からアクセスできる非通常作業情報を示している。
【図18】図9の画面からアクセスできる非通常作業情報を示している。
【図19】本発明の機器状況要約の一例を示している。
【図19A】本発明の機器状況メッセージの一例を示している。
【図19B】本発明の機器保守メッセージの一例を示している。
【図20】図19の画面からアクセスできるトラブル解決情報を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動臨床アナライザの作業に関連した情報を表示する方法であって、アナライザの制御および作動状況に関連する情報を表示するようになっているビューイング画面を有するビジュアル・ユーザ・インタフェース装置を設けること、アナライザの通常作業において使用される通常作業情報をビューイング画面の第1区分に表示するようにビューイング画面を区分化すること、そして、アナライザの作業の詳細な検査で使用される非通常作業情報がビューイング画面の第2区分に表示されるようにビューイング画面を区分化することからなり、ビューイング画面の第1区分がビューイング画面の少なくとも約90%となっている上記方法。
【請求項2】
ビューイング画面の第1区分がビューイング画面の少なくとも約90%となっている、請求項1の方法。
【請求項3】
ビューイング画面の第2区分がビューイング画面の少なくとも約10%となっている、請求項1の方法。
【請求項4】
通常作業情報が、サンプル・オーダ(sample order)、分析されているサンプルの状況、サンプル結果、次の日にアナライザに装填する必要のある試薬容器および較正/品質管理バイアル容器を入力することについての情報を含む、請求項1の方法。
【請求項5】
非通常作業情報が、アナライザが実施するようになっている異なった評価分析の各々を現在実施するのにどの試薬容器ロットが使用されているか、各試薬ロットの有効期限、各試薬ロットの較正状況、新旧の較正間の相対較正係数比較、現存の較正合格基準は何かについての高密度の詳細で高度な情報を含む、請求項1の方法。
【請求項6】
さらに、アナライザ内のすべての作業可能システムが正常範囲内で機能している場合に第1カラーで表示されるアナライザ状況要約タブを設けること、アナライザ内の任意システムまたはコンポーネントがアナライザを正常動作から外れて機能させる状態に接近し始めている場合にアナライザ状況要約タブのカラーを第2カラーに変えること、そして、アナライザ内の任意システムまたはコンポーネントが正常作動範囲から外れて機能し始めた場合にアナライザ状況要約タブのカラーを第3カラー範囲に変えることを含む、請求項1の方法。
【請求項7】
さらに、第3カラーのときにアナライザ状況要約タブをタッチ起動させることを含み、このタッチによって、非機能システムまたはコンポーネントを完全機能状態に復元する方向でトラブル解決タブを出現させる、請求項6の方法。
【請求項8】
さらに、ショー・ミー・ボタンをタッチ起動させることを含み、このタッチによって、非機能システムまたはコンポーネントを完全機能状態に復元するのに実行すべきステップおよびアナライザのどの部分をどんな順序で復元すべきかを示す一連のアニメ等を出現させる、請求項7の方法。
【請求項9】
さらに、第2カラーのときにアナライザ状況要約タブをタッチ起動することを含み、このタッチによって、アナライザを機能状態に維持しようとしているときにどんなアクションを採用し、完了させる必要があるかを正確に特定する方向でトラブル解決タブを出現させる、請求項6の方法。
【請求項10】
さらに、ショー・ミー・ボタンをタッチ起動させることを含み、このタッチによって、非機能システムまたはコンポーネントを完全機能状態に復元するのに実行すべきステップ
およびアナライザのどの部分をどんな順序で復元すべきかを示す一連のアニメ等を出現させる、請求項9の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2007−524083(P2007−524083A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520363(P2006−520363)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022881
【国際公開番号】WO2005/008218
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(500029718)デイド・ベーリング・インコーポレイテッド (20)
【氏名又は名称原語表記】DADE BEHRING INC.
【Fターム(参考)】