説明

自動販売機の冷却加温装置

【課題】凝縮器に備えられたファン後方の距離が確保しにくい薄型自販機においても適用可能であり、適正な運転が出来る自動販売機を提供することを目的とする。
【解決手段】圧縮機5と凝縮器2と庫内熱交換器19とを有する冷却加温ユニット11を備えた自動販売機で、本体下部に区画形成された機械室内に圧縮機5と凝縮器2と排水蒸発装置15を配置し、凝縮器2近傍に少なくとも3つのファン12、13、14と、各ファンからの空気をそれぞれ異なる方向へ導くエアガイド16とを備え、各ファンの運転をそれぞれ独立して運転可能としたものであり、凝縮器2の温度を適正な温度でコントロールする事が出来、且つ圧縮機5の冷却と排水蒸発装置15の蒸発を環境、運転条件に応じて個別もしくは同時に行う事が出来、ファン後方の距離が確保しにくい自販機においても適用可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動販売機の冷却加温装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の自動販売機の冷却加温装置として特許文献1のものがある。
【0003】
以下、図面を参照しながら上記従来の自動販売機の冷却加温装置について説明する。
【0004】
図5に示すように冷却ユニット101は図示しない冷却ユニットの一部である蒸発器を構成しており庫内と区画された自動販売機本体ケース下部に設置されている。冷却ユニットには凝縮器102、圧縮機105が設置され配管にて接続されている。凝縮器用ファン103は凝縮器102後方に設置されており、エアガイド104は凝縮器102上部に接続され、エアガイド104上部にあたるガイド104aにて凝縮器102上部からの吐出空気を蒸発皿107側へ導く様、形成されている。
【0005】
排気ファン106は圧縮機105後方に配置されている。蒸発皿107には高圧高温の冷媒パイプの一部を引き出して形成された蒸発パイプ108と、排水を吸い上げ蒸発させる為の蒸発シート109と、排水を蒸発皿107に導く為のドレンガイドが設けられている。
【0006】
以上のように構成された自動販売機の冷却ユニットについて、以下その動作を説明する。
【0007】
凝縮器用ファン103により凝縮器102前面から外気を吸い込み凝縮器102と熱交換を行う。熱交換を行った外気は高温空気となり、凝縮器用ファン103から吐出される。凝縮器102下部から吐出された空気は凝縮器102の約半分程の高さである圧縮機105を空冷し、後方にある排気ファン106にて排気される。一方凝縮器102上部から吐出された空気はエアガイド104にあるガイド104aにより向きを変え、冷却ユニット横に設置された蒸発皿107の方へ導かれる。自動販売機の庫内を冷却した場合、図示しない冷却ユニット101の蒸発器により庫内空気が凝縮され排水される。その排水はドレンガイド110により蒸発皿107に導かれ溜まる。溜まった排水は高温の蒸発パイプ108の影響を受け、温度が高くなる。溜まった排水は蒸発シートにて吸い上げられ、ガイド104aにて導かれた空気の影響を受けて蒸発を促進する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−57139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記従来の自動販売機の冷却加温装置では、奥行きの狭い薄型自販機に採用した場合、単一である凝縮器用ファンとエアガイドの距離が狭くなり、動圧が上がる事により風量が下がってしまう。これにより凝縮器用ファンからの空気の一部を蒸発皿に導いている為、排水量が多い高温多湿条件では蒸発性能が不足するという課題を有していた。また、風量低下により凝縮温度が上昇し冷却能力が下がるという課題を有していた。また、単一凝縮器ファンにて圧縮機冷却と排水の蒸発を同時に行っている為、ヒートポンプ運転等の加温運転では圧縮機の温度が下がり過ぎてしまうという課題を有していた。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、凝縮器に備えられたファン後方の距離が確保しにくい自販機においても適用可能であり、適正な運転が出来る自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来の課題を解決するために、本発明の自動販売機は、圧縮機と凝縮器と庫内熱交換器とを有する冷却加温ユニットを備えた自動販売機で、本体下部に区画形成された機械室内に前記圧縮機と前記凝縮器と排水蒸発装置を配置し、前記凝縮器近傍に少なくとも3つのファンと、前記ファンからの空気をそれぞれ異なる方向へ導くエアガイドとを備え、前記ファンの運転をそれぞれ独立して運転可能とし、ファンを個別に風量制御するものである。
【0012】
これにより、凝縮器温度を適正な温度でコントロールする事が出来、且つ圧縮機冷却と排水蒸発を環境、運転条件に応じて適正に行う事が出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明の自動販売機の冷却加温装置は、凝縮器温度を適正な温度でコントロールする事が出来、且つ圧縮機冷却と排水蒸発を環境、運転条件に応じて適正に行う事が出来るので、凝縮器に備えられたファン後方の距離が確保しにくい自販機にも適用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1を示す自動販売機の冷却加温装置の平面図
【図2】本発明の実施の形態1を示す自動販売機の冷却加温装置の側面図
【図3】図2におけるD−D断面図
【図4】図2におけるE−E断面図
【図5】従来の自動販売機の冷却加温装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0015】
請求項1に記載の発明は、圧縮機と凝縮器と庫内熱交換器とを有する冷却加温ユニットを備えた自動販売機で、本体下部に区画形成された機械室内に前記圧縮機と前記凝縮器と排水蒸発装置を配置し、前記凝縮器近傍に少なくとも3つのファンと、前記ファンからの空気をそれぞれ異なる方向へ導くエアガイドとを備え、前記ファンの運転をそれぞれ独立して運転可能とし、ファンを個別に風量制御することにより、凝縮器温度を適正な温度でコントロールする事が出来、且つ圧縮機冷却と排水蒸発を環境、運転条件に応じて適正に行う事が出来る。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記ファンの数は、前記排水蒸発装置に近い側を多く配置するものであり、排水蒸発能力をより高めることが出来る。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1の発明において、前記ファンの数は、前記凝縮器に対して上方を下方より多く配置するものであり、排水蒸発装置の上方に置かれた蒸発シートにより多くの空気を効率良く送る事が出来、排水蒸発能力をより高めることが出来る。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記ファンとエアガイドまでの距離をそれぞれ異なる寸法としたものであり、風量を最も少なくしたい時は距離の短い前記ファンを単独で運転を行い、風量を多くしたい場合は距離の長い前記ファンを単独で運転を行う。さらに風量を多くしたい場合は前記ファンを複数で同時に運転を行う。風量の違う前記ファンを組み合わせて運転を行う事により凝縮器温度を適正な温度でコントロールする事が出来る。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記ファンとエアガイドは前記圧縮機と前記凝縮器との間に配置したものであり、前記ファンからの空気を後方の前記圧縮機だけでは無く、側方の前記排水蒸発装置、もしくは双方とも同時に等、自由に風の向きを変える事が出来る。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記機械室の奥行方向に前記圧縮機と前記ファンとエアガイドと前記凝縮器とを並べて配置し、前記圧縮機と前記ファンとエアガイドと前記凝縮器の側方で前記機械室の略全奥行に跨って前記排水蒸発装置を配置したものであり、前記ファンからの空気を前記エアガイドにより後方の前記圧縮機に、側方の前記排水蒸発装置、もしくは双方とも同時に等、自由に風の向きを変える事が出来、前記凝縮器用ファン後方の距離が確保しにくい自販機においても適用可能となる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における自動販売機の冷却加温装置の平面図、図2は本発明の実施の形態1における自動販売機の冷却加温装置の側面図、図3は図2におけるD−D断面図、図4は図2におけるE−E断面図である。
【0023】
図1において、庫内と区画された自動販売機本体ケース下部の機械室内に冷却加温ユニット11が設置されている。冷却加温ユニット11は凝縮器2と、圧縮機5と、凝縮器2の近傍に複数のファン12、ファン13、ファン14とを備えている。
【0024】
また、ファン12、13、14の後方にはそれぞれのファンに対応し、それぞれ異なる方向へ導くためのガイド16a、ガイド16b、ガイド16cを有するエアガイド16を備えている。
【0025】
また、自動販売機庫内からの排水を蒸発させる為の排水蒸発装置15を冷却加温ユニット11の側面に備え、排水蒸発装置15の上方には蒸発を促進させるための蒸発シート9を有している。
【0026】
なお、ファン12、ファン13、ファン14を個別に制御する為のファンコントロール部17と、庫内を冷却もしくは加温する為の庫内熱交換器19、もしくは凝縮器2の温度を検知する為の温度検知手段18を備えている。
【0027】
そして、ファン12〜14は、凝縮器2に対して上方を下方より多く配置しており、且つ排水蒸発装置15に近い側を多く配置されている。
【0028】
また、エアガイド16はファン12、13、14の後方にそれぞれ設けてあり、それぞれのファン12、13、14とエアガイド16までの距離が違う複数のガイド16a、ガイド16b、ガイド16cを備えている。具体的には、ファン12からガイド16aまでの距離をA、ファン13からガイド16bまでの距離をB、ファン14からガイド16cまでの距離をCとすると、A<B<Cとなるように設定している。
【0029】
そして、ファン12はガイド16aまでの距離が短い為、後方にスペースが出来る事から、構造物(例えば配管)等の設置が可能であり、下方で排水蒸発装置15に近い側に設置する。ファン13は上方で排水蒸発装置15に最も近くに設置して排水蒸発装置15の
蒸発シート9にガイド16bにより吐出空気を導けるように設置する。ファン14は上方に設置し主に圧縮機5の冷却を行い、且つその排熱の一部を排水蒸発装置15に導く様、ガイド16cを設置している。
【0030】
以上のように構成された自動販売機について、以下その動作、作用を説明する。
【0031】
ファン12、13、14により凝縮器2前面から外気を吸い込み凝縮器2と熱交換を行う。熱交換を行った外気は高温空気となり、ファン12、13、14から吐出される。
【0032】
このとき、ファン12からガイド16aまでの距離をA、ファン13からガイド16bまでの距離をB、ファン14からガイド16cまでの距離をCとすると、A<B<Cとなるように設定しているので、距離が短いほど動圧が高く、その結果、ファン動圧が最も高くなるファン12が最も風量が少なくなり、ファン13は中、ファン14は最も風量が多くなる。
【0033】
ヒートポンプ運転等の加温運転において、庫内熱交換器19もしくは凝縮器2の凝縮温度が目標温度より低く適正な運転が出来ない場合、ファン12だけの運転を行う。ファン12は最も風量が少なく且つ圧縮機5の冷却には関与していない為、凝縮温度を最も上げる事が出来、庫内熱交換器19もしくは凝縮器2の温度を上げて目標温度に到達させる事が出来る。
【0034】
また庫内熱交換器19もしくは凝縮器2の凝縮温度が目標温度より高く適正な運転が出来ない場合、もしくは冷却による排水量が増える条件の場合(例えば中外気温時)ファン13だけの運転もしくはファン13+ファン14の運転を行う。ファン13は風量が中間、ファン14は風量が多いので、圧縮機5の冷却及び風量が増える事から庫内熱交換器19の温度を下げて目標温度に到達させる事が出来る。また排水蒸発装置15に溜まった排水も蒸発する事が出来る。
【0035】
また、ファン13+ファン14運転においても庫内熱交換器19の凝縮温度が目標温度より高く適正な運転が出来ない場合、もしくは冷却運転で凝縮器2及び圧縮機5の温度が目標温度より高く、且つ排水量がさらに多い場合、ファン12+ファン13+ファン14の運転を行う。風量は最も多くなる事から庫内熱交換器19の温度を下げて目標温度に到達させる事が出来る。また凝縮器2及び圧縮機5の温度を下げて目標温度に到達させる事が出来る。また冷却運転による排水量の増加においても蒸発量を増加する事が出来る。
【0036】
これにより、環境等の外的要因が変化しても目標凝縮温度で運転し続ける事が出来、且つ圧縮機5の冷却、排水の蒸発も条件に合わせて個別に、もしくは同時に行う事が出来る。
【0037】
またファン12とファン13を排水蒸発装置15に近く設置している為排水蒸発量をより多くする事が出来る。
【0038】
またファン12、13、14を凝縮器2に対して上方を下方より多く配置している為、排水蒸発装置15の上方に置かれた蒸発シート9により多くの空気を効率良く送る事が出来、排水蒸発量をより多くする事が出来る。
【0039】
したがって、凝縮器に備えられたファン後方の距離が確保しにくい自販機においても適用可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように本発明にかかる自動販売機の冷却加温装置は、凝縮器温度を適正な温度でコントロールする事が出来、且つ圧縮機冷却と排水蒸発を環境、運転条件に応じて適正に行う事が出来るので、冷却加温装置を備えたあらゆる機器に適用出来る。
【符号の説明】
【0041】
2 凝縮器
5 圧縮機
9 蒸発シート
11 冷却加温ユニット
12、13、14 ファン
15 排水蒸発装置
16 エアガイド
16a、16b、16c ガイド
17 ファンコントロール部
18 温度検知手段
19 庫内熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と凝縮器と庫内熱交換器とを有する冷却加温ユニットを備えた自動販売機で、本体下部に区画形成された機械室内に前記圧縮機と前記凝縮器と排水蒸発装置を配置し、前記凝縮器近傍に少なくとも3つのファンと、前記ファンからの空気をそれぞれ異なる方向へ導くエアガイドとを備え、前記ファンの運転をそれぞれ独立して運転可能とすることを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記ファンの数は、前記排水蒸発装置に近い側を多く配置することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記ファンの数は、前記凝縮器に対して上方を下方より多く配置することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記ファンとエアガイドまでの距離をそれぞれ異なる寸法としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記ファンとエアガイドは前記圧縮機と前記凝縮器との間に配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の自動販売機。
【請求項6】
前記機械室の奥行方向に前記圧縮機と前記ファンとエアガイドと前記凝縮器とを並べて配置し、前記圧縮機と前記ファンとエアガイドと前記凝縮器の側方で前記機械室の略全奥行に跨って前記排水蒸発装置を配置したことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の自動販売機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−178100(P2012−178100A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41347(P2011−41347)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】