説明

自動販売機の制御装置

【課題】処理対象日に関する情報を容易に修正することが可能で、予め設定されたサービスを良好に行うことができる自動販売機の制御装置を提供すること。
【解決手段】取得した現在日時から現在が割引販売対象日に該当すると判断した場合に、予め設定されたサービスを行う自動販売機に適用される制御装置であって、割引販売日に関する休日情報31Mがメモリ30Mの書換可能な領域に予め設定されており、取得した現在日時と休日情報31Mとを比較して現在が割引販売対象日に該当すると判断した場合に、割引販売を開始するための設定を行う制御手段30を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の制御装置に関し、より詳細には、取得した現在日時から現在が割引販売日休日に該当すると判断した場合に、予め設定されたサービスを行う自動販売機に適用される制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、取得した現在日時から現在が休日に該当すると判断した場合に、予め設定された割引サービスを行う自動販売機が特許文献1に提案されている。このような自動販売機では、休日に関する情報がプログラムの固定データとして予め設定されており、かかる情報と現在時刻とに基づいて休日(割引販売対象日)であるか否かを判断していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−123328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、休日としては、こどもの日(5月5日)のように日が決められているものの他に、海の日(7月の第3月曜日)のように年により日が変更されるものが存在している。そして、今後、年によっては、休日が新たに加えられたり変更されたりすることが考えられる。しかしながら、従来の自動販売機では、休日に関する情報がプログラムの固定データとして設定されていたことから、休日が新たに加えられたり変更されたりすると、その都度プログラムを修正しなければならず、変更手続が煩雑なものになる虞れがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、処理対象日に関する情報を容易に修正することが可能で、予め設定されたサービスを良好に行うことができる自動販売機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機の制御装置は、取得した現在日時から現在が処理対象日に該当すると判断した場合に、予め設定された処理に対応するサービスを行う自動販売機に適用される制御装置であって、処理対象日に関する処理対象日情報が記憶手段の書換可能な領域に予め設定されており、取得した現在日時と処理対象日情報とを比較して現在が処理対象日に該当すると判断した場合に、前記サービスを開始するための設定を行う制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、処理対象日か否かの判断基準となる処理対象日情報が、記憶手段の書き換え可能な領域に格納されているので、処理対象日に関する情報を容易に修正することが可能である。また、制御手段が取得した現在日時と処理対象日情報とを比較して現在が処理対象日に該当すると判断した場合に、予め設定された処理に対応するサービスを開始するための設定を行うので、サービスを良好に行うことができる。従って、処理対象日に関する情報を容易に修正することが可能で、予め設定されたサービスを良好に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である制御装置を適用した自動販売機を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示した制御手段が実施する割引判定制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の制御装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態である制御装置を適用した自動販売機を示すブロック図である。ここで例示する制御装置は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の容器入り飲料を商品として販売する自動販売機に適用されるものである。図には明示していないが、自動販売機の本体キャビネットには、複数の商品収納ラックが設けてあり、これらの商品収納ラックにコラムが設定してある。コラムは、同一種類の商品が収容される収容単位であり、販売する商品に応じて1、もしくは複数の商品収納ラックが対応している。商品収納ラックには、それぞれに収容した商品の搬出制御を行うためのベンドメック10が設けてあるとともに、個々のベンドメック10に商品の売り切れを検出する売切センサ12が設けてある。
【0011】
図1に示すように、上記自動販売機には、コラムに対応した選択ボタン14及び売切ランプ16が設けてあるとともに、貨幣処理装置18及び一体表示器20が設けてある。選択ボタン14は、利用者が購入商品を選択するためのもので、図には明示していないが、本体キャビネットの前面開口を開閉する外扉の前面に商品見本とともに配設してある。個々の選択ボタン14は、利用者によって押圧操作された場合にそれぞれの出力信号を後述の制御手段30に対して出力する。売切ランプ16は、利用者に対して商品が販売可能であるか否かを表示するためのもので、個々の選択ボタン14に対応して設けてある。貨幣処理装置18は、コインメカニズムやビルバリデータと称されるものであり、利用者によって貨幣が投入された場合にこれを鑑別し、その鑑別結果を後述の制御手段30に出力するものである。一体表示器20は、投入金額や釣銭金額等、商品を購入する場合に必要となるデータを表示するためのもので、例えば液晶表示器によって構成してある。
【0012】
また、上記自動販売機にはリモコン22が設けられている。リモコン22は、商品収納ラックに対するコラムの設定や、コラムと選択ボタン14との対応付け、販売価格の設定等、商品の販売に関わる各種設定や確認を行うためのもので、各種機能キーやテンキー等の入力部221と、液晶表示器等の表示部222とを備えて構成してある。入力部221が操作された場合には、その出力信号が後述する制御手段30に出力される。図には明示していないが、このリモコン22は、自動販売機の管理者やルート作業者と称されるオペレータが操作するものであり、施錠された外扉を解錠して開放した場合にのみ操作することが可能である。
【0013】
自動販売機の制御手段30は、図1に示すように、売切センサ12、貨幣処理装置18、選択ボタン14、リモコン22から出力信号が与えられた場合、予めメモリ30Mに格納したプログラムや初期データに従ってベンドメック10、売切ランプ16、一体表示器20、リモコン22の動作を制御するもので、入力制御部31、出力制御部32、販売管理制御部33、割引判定制御部34を備えて構成してある。
【0014】
入力制御部31は、各機器から与えられる指令や信号を入力して処理するものである。出力制御部32は、各機器に対して指令や信号等を出力して処理するものである。
【0015】
販売管理制御部33は、商品の販売に関わる処理を統括的に制御するものである。具体的には、入力部221の操作により商品収納ラックに対してコラムが設定され、更にコラムに対して選択ボタン14及び販売価格が対応付けられた場合、販売管理制御部33によってコラムの番号と商品収納ラックと選択ボタン14と販売価格とが互いに対応付けられ、これらがメモリ30Mに格納されることになる。
【0016】
また、販売管理制御部33は、貨幣処理装置18に貨幣が投入された場合、投入貨幣が販売価格以上となった時点で該当する選択ボタン14を有効化する。有効化した選択ボタン14が押圧操作された場合、販売管理制御部33は、対応するコラムの商品収納ラックに設けられたベンドメック10を動作させて商品を1つずつ払い出す動作を行う。
【0017】
更に、販売管理制御部33は、売切センサ12を通じて商品収納ラックの商品を監視し、商品無しを検出した場合、対応するコラムの売切ランプ16を点灯して売切状態であることを報知する処理を行う。
【0018】
割引判定制御部34は、制御手段30に内蔵される時計から取得した時計データと、メモリ30Mに予め格納してある休日情報31Mとから本日が休日であるか否かを判断し、休日である場合には割引販売対象日として割引指令を販売管理制御部33に与えるものである。かかる割引指令が与えられた販売管理制御部33では、販売価格から割引額を差し引いた価格を割引後販売価格として設定する。
【0019】
ここで、休日情報31Mは、メモリ30Mの書き換え可能な領域に格納されている。この休日情報31Mは、休日に関するものであり、元日(1月1日)やこどもの日(5月5日)等の日付が含まれるとともに、海の日(7月の第3月曜日)や体育の日(10月の第2月曜日)等が含まれている。海の日や体育の日のように日付で特定できないものについては、次のようにして格納されている。ここでは海の日を例にして説明する。まず、月データLが1〜12まであるが、海の日は7月であるのでL=7となる。次に回数データMが1週〜5週まであるが、海の日は第3月曜日であるのでM=3となる。そして曜日データNが月〜日まであるが、海の日はN=1となる。従って、休日情報31Mにおいては、海の日は、L=7,M=3,N=1として格納されている。
【0020】
図2は、上述した制御手段30が実施する割引判定制御処理の処理内容を示すフローチャートである。以下、図2を適宜参照しながら制御手段30が実行する処理の内容について説明する。
【0021】
割引判定制御処理において制御手段30は、内蔵する時計より時計データを取得する(ステップS101)。この時計データには、年月日時分が含まれている。時計データを取得した制御手段30の割引判定制御部34は、メモリ30Mから休日情報31Mを読み出す(ステップS102)。メモリ30Mから休日情報31Mを読み出した制御手段30の割引判定制御部34は、ステップS101で取得した時計データから本日の日付セットを行う(ステップS103)。この日付セットは、本日の日付を月データ、回数データ及び曜日データに分けたものである。本日の日付が海の日となる場合には、L=7,M=3,N=1とセットする。
【0022】
そして、ステップS103で行った日付セットと、ステップS102で読み出した休日情報31Mとを比較して、制御手段30はL=7,M=3,N=1があるか否かを判断する(ステップS104)。L=7,M=3,N=1がない場合(ステップS104:No)、制御手段30は後述する処理を実施することなく手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0023】
一方、L=7,M=3,N=1がある場合(ステップS104:Yes)、制御手段30は本日が休日、つまり割引対象日であると判断して、割引指令を販売管理制御部33に送出する(ステップS105)。かかる割引指令が与えられた販売管理制御部33では、メモリ30Mに格納された手順に従って割引額を決定する(ステップS106)。割引額を決定した後、制御手段30は、販売価格から割引額を除したものを割引後販売価格として設定し(ステップS107)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0024】
このように本実施の形態である自動販売機の制御装置においては、割引対象日か否かの判断基準となる休日情報31Mが、メモリ30Mの書き換え可能な領域に格納されているので、休日に関する情報を容易に修正することが可能である。また、制御手段30が取得した現在日時と休日情報31Mとを比較して現在が休日に該当すると判断した場合に、割引販売(サービス)を開始するための設定を行うので、割引販売を良好に行うことができる。従って、休日に関する情報を容易に修正することが可能で、予め設定された割引販売を良好に行うことができる。
【0025】
また、休日情報31Mがメモリ30Mの書き換え可能な領域に格納されているので、従来のようにプログラム開発は不要であり、毎年全データを変更するのではく必要なデータのみを追加修正するだけでよく、利用者の利便性を向上させることもできる。
【0026】
以上本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0027】
上述した実施の形態では、休日が割引販売対象日であるとして説明したが、本発明においては、割引販売対象日は休日だけに限られず、任意の日付を割引販売対象日として運用することができる。尚、上述した実施の形態においては、処理対象日のサービスとして、割引販売について説明したが、無料提供や省エネ等のサービスであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明に係る自動販売機の制御装置は、処理対象日が設定される自動販売機に有用である。
【符号の説明】
【0029】
10 ベンドメック
12 売切センサ
14 選択ボタン
16 売切ランプ
18 貨幣処理装置
20 一体表示器
22 リモコン
221 入力部
222 表示部
30 制御手段
30M メモリ
31 入力制御部
32 出力制御部
33 販売管理制御部
34 割引判定制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得した現在日時から現在が処理対象日に該当すると判断した場合に、予め設定された処理に対応するサービスを行う自動販売機に適用される制御装置であって、
処理対象日に関する処理対象日情報が記憶手段の書換可能な領域に予め設定されており、取得した現在日時と処理対象日情報とを比較して現在が処理対象日に該当すると判断した場合に、前記サービスを開始するための設定を行う制御手段を備えたことを特徴とする自動販売機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−194873(P2012−194873A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59292(P2011−59292)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】