説明

自動販売機

【課題】本発明は、商品補充後であっても、適温商品を販売でき、かつ賞味期限のある商品の場合、賞味期限切れとならないように販売可能とする自動販売機を提供することにある。
【解決手段】コラム毎に搬出端の商品より手前側に位置する商品の有無を検知する売切検知スイッチを備え、該売切検知スイッチによる検知により、少なくとも搬出端の商品有の状態でも対応するコラムの売切ランプを点灯する自動販売機において、前記売切検知スイッチによる検知時点から該検知継続時間を計測する計測手段と、該計測手段による計測時間が予め設定されている所定時間が経過したかを判断する判断手段と、該判断手段により時間が経過したと判断した場合に、前記売切状態を解除して売切ランプを消灯する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納されている商品の売切を検知して表示する自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機の売切検知スイッチは、商品収納棚と商品搬出装置との関係上、最下部(搬出端)の商品ではなく、最下部から2番目の商品の有無を検知する位置に設けられている。
【0003】
このため、商品収納部下部に商品が1個残った状態で売り切れ状態を検知する自動販売機において、商品が売り切れ状態になったことを検知し、表示部を点灯させ、商品補充直後、補充した商品の温度に関係なく、表示部を消灯して販売動作可能とし、商品が補充された直後に、商品が適温となっている最初の1本を販売した後、一定時間の間、販売を休止するようにした自動販売機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、収納商品を完売させるために売切検知スイッチが動作した後、販売動作が行われ、商品搬出装置が1回動作すると、完売したとして、売切ランプを点灯するようにした自動販売機が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−217402号公報
【特許文献2】特開平4−88598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、これに対し、上記特許文献1における自動販売機では、商品が補充された直後に、商品が適温となっている最初の1本を販売できるようにしているが、賞味期限のある商品であっても、賞味期限に関係なく、適温となっている最初の1本を販売してしまう可能性があり、賞味期限のある商品が収納されている場合における対策が不十分であるという課題があった。
【0007】
これに対し、上記特許文献2における自動販売機では、賞味期限切れを防ぐために、売切検知スイッチが動作した後、最後の1本まで販売してから売切ランプを点灯するようになっており、上記特許文献1とは異なり、商品補充後、例え、1本であっても、すぐに適温の商品を販売したいという要望に応えられないという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、商品補充後であっても、適温商品を販売でき、かつ賞味期限のある商品の場合、賞味期限切れとならないように販売可能とする自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、コラム毎に搬出端の商品より手前側に位置する商品の有無を検知する売切検知スイッチを備え、該売切検知スイッチによる検知により、少なくとも搬出端の商品有の状態でも対応するコラムの売切ランプを点灯する自動販売機において、前記売切検知スイッチによる検知時点から該検知継続時間を計測する計測手段と、該計測手段による計測時間が予め設定されている所定時間が経過したかを判断する判断手段と、該判断手段により時間が経過したと判断した場合に、前記売切状態を解除して売切ランプを消灯する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、上記構成において、前記売切を解除したコラム内の商品が「0」本となると、対応するコラムの売切ランプを再点灯することを特徴とする。
【0011】
さらに、該計測手段による計測時間が予め設定されている所定時間より長い第2の所定時間が経過した場合には、商品の有無に関係なく、売切ランプを再点灯することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、コラム毎に搬出端の商品より手前側に位置する商品の有無を検知する売切検知スイッチを備え、該売切検知スイッチによる検知により、少なくとも搬出端の商品有の状態でも対応するコラムの売切ランプを点灯する自動販売機において、売切検知スイッチによる検知時点から所定時間経過した場合には、売切状態を解除して、売切ランプを消灯することにより、庫内に残っている商品が販売可能となるため、収納されている商品が賞味期限のある商品であっても、十分に販売可能となる。
【0013】
また、第2の所定時間を設定することにより、第2の所定時間が経過しても商品が滞っている場合には、再度、賞味期限切れとして売切とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の対象となる自動販売機を示す概略正面図である。
【図2】本発明の対象となる自動販売機を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の対象となる自動販売機を示す概略断面側面図である。
【図4】図3における概略拡大側面図であり、図4(a)は商品有の状態を示し、図4(b)は売切検知スイッチが作動した状態を示すものである。
【図5】本発明の実施形態にかかる自動販売の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1ないし図4は、本発明の実施の対象となる自動販売機の一例を示すものである。
【0017】
図1は概略正面図、図2は概略斜視図、図3は概略断面側面図である、図4は図3の概略拡大側面図である。
【0018】
なお、図4に示す概略拡大側面図において、図4(a)は商品有りの状態を示し、図4(b)は売切検知スイッチが作動した状態を示すものである。
【0019】
ここで例示する自動販売機1は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料、ビン入り飲料、缶ボトル入り飲料等の商品を冷却、もしくは加熱した状態で販売するためのもので、本体キャビネット10を備えている。本体キャビネット10は、複数の鋼板を組み合わせることによって構成したもので、前面が開口した箱状を成している。
【0020】
本体キャビネット10の内部には、内箱20が設けてある。内箱20は、本体キャビネット10と同様に、複数の鋼板を組み合わせることにより、前面が開口した箱状に構成したものである。図には明示していないが、本体キャビネット10と内箱20との間には、内箱20の内部を断熱構造とするために断熱材が充填してある。
【0021】
内箱20の内部には、複数の収容室21が設けてある。複数の収容室21は、内箱20の内部に断熱仕切壁22を設けることによって構成したもので、互いに熱的に独立している。各収容室21の下方部には、シュータ23が設けてある。シュータ23は、後述する商品収納ラック30から払い出された商品を案内するためのもので、手前側に向けて下方に傾斜している。図には明示していないが、収容室21の内部においてシュータ23より下方となる領域には、内部を所望の温度に維持するための冷却ユニットや加熱ユニットが設けてある。
【0022】
また、上記自動販売機1には、本体キャビネット10の一側縁部に内扉40及び外扉50を保持させてある。内扉40は、収容室21の前面開口を開閉するためのもので、中空の鋼板パネルに断熱材を充填する等、断熱機能を有するように構成してある。外扉50は、本体キャビネット10の前面開口を開閉するためのものである。
【0023】
外扉50の前面には、上部に商品見本展示室51と、該展示室51内に配置される複数の商品見本52と、該商品見本52に対応して設けられる販売可能ランプおよび売切ランプを備える商品選択ボタン53と、紙幣を挿入する紙幣挿入口54と、硬貨を投入する硬貨投入口55と、投入貨幣を返却する返却レバー56と、釣銭などを返却する硬貨返却口55aと、投入金額表示を行う金額表示を含む一体表示器57と、シュータ23によって案内された商品を取り出すための商品取出口58と、シリンダー錠付きのハンドル59とが設けてある。
【0024】
一方、上記自動販売機1には、内箱20に設けた収容室21のそれぞれに商品収納ラック30が配設してある。それぞれの商品収納ラック30は、商品収納域31が上下方向に沿って蛇行状に延在するサーペンタイン式のものである。
【0025】
商品収納ラック30には、商品収納域31の下端部に商品搬出装置32が設けてあるとともに、上端部に商品収納域31に連設する態様でトップトレイ33が設けてある。
【0026】
商品搬出装置32には、商品収納域31側に突出することにより搬出端である下から1番目の商品SH1を保持する下ペダル32aと、下ペダル4の上方に隣接して商品収納域31側に突出することにより下から2番目の商品SH2を保持する上ペダル32bと、この下から2番目の商品の有無を検知するために、商品収納域31側に付勢突出され、商品による押圧力の解除を検知して、商品の売り切れを検知するための売切検知スイッチ32cとが設けてある。
【0027】
商品搬出装置32は、販売指令が与えられた場合に、商品収納域31に対して下ペダル32aを後退動作させることにより、商品収納域31に収納された搬出端の商品を一つずつ下方に払い出すためのものである。
【0028】
商品収納ラック30では、トップトレイ33を介して商品が横倒し状態で投入されると蛇行しながら下方に案内され、横倒しの状態のまま商品搬出装置32で停止する。以降、トップトレイ33を介して投入された商品は、直前に投入された商品の上に積み上げられた状態で商品収納域31に順次収納されることになる。
【0029】
次に、図5は、本発明の実施例を示すブロック図であり、101は自動販売機全体を制御するとともに、制御プログラムを記憶するメモリ101a、自動販売機の動作に係る設定データを含む各種データを記憶するメモリ101b、本実施形態における売切検知スイッチ32cの売切検知継続時間を計測するタイマ101cなどを備える主制御部である。
【0030】
主制御部101には、各種設定を行うためのリモコン102、硬貨投入口55から投入された硬貨の真偽、種類などを選別し、計数および釣銭を払い出す硬貨処理装置103、紙幣挿入口54から挿入された紙幣の真偽、種類などを識別する紙幣識別装置104、冷却機およびヒータなどからなる冷熱装置105,商品を搬出する商品搬出装置32,搬出端である下から2番目の商品の有無を検知する売切検知スイッチ32cなどを制御する本体制御部106、販売可能ランプ53aおよび売切ランプ53bを備える商品選択ボタン53、一体表示器58がそれぞれ接続されている。
【0031】
主制御部101のメモリ101bには、リモコン102によりコラム毎に設定された売切を解除するための第1の所定時間と、再度、売切とするための第2の所定時間とが記憶されており、主制御部101において、この第1,第2の初手時間とタイマ101cの計測時間とを比較して、時間経過を判断するものである。
【0032】
次に、図6のフローチャートを用いて、本実施の形態の処理の流れを説明する。
【0033】
まず、商品搬出指令に基づき、商品搬出装置32を駆動し、下ペダル32aを後退させて搬出端である下から1番目の商品SH1を商品取出口58に搬出して商品の販売を行い(ステップS01)、次に、商品無を売切検知スイッチ32cが検知したか否かを判断し(ステップS02)、図4(b)に示すように、売切検知スイッチ32cが商品収納域31側に付勢突出され、商品の売切を検知すれば、本体制御部104を介して主制御部101に売切状態が送信され、主制御部101は、該当する商品選択ボタン53の売切ランプ53bを点灯するとともに(ステップS03)、タイマ101cをスタートさせ、該当するコラムの売切検知継続時間の計測を開始する(ステップS04)。
【0034】
次に、この売切検知継続時間が予め設定されている第1の所定時間経過したかを判断する(ステップS05)。
【0035】
ここで、第1の所定時間経過すれば(ステップS05,Yes)、主制御部101は、該当する商品選択ボタン53の売切ランプ53bを消灯し(ステップS06)、該当するコラムの最後の1本の販売を可能とする。
【0036】
一方、第1の所定時間経過する前に(ステップS05,No)、外扉50が開放され、商品が補充されれば(ステップS07,Yes)、主制御部101は、該当する商品選択ボタン53の売切ランプ53bを消灯して(ステップS08)、タイマ101cによる計測を終了する(ステップS12)。
【0037】
次に、第1の所定時間が経過し、売切ランプ53bを消灯して、商品の販売が可能な状態において、売切検知継続時間が賞味期限切れの商品を販売しない範囲で設定されている第2の所定時間経過したかを判断する(ステップS09)。
【0038】
この第2の所定時間経過前に(ステップS09,No)、該当コラムの商品が選択されると、商品搬出指令に基づき、商品搬出装置32を駆動し、下ペダル32aを後退させて搬出端の商品SH2を商品取出口58に搬出して商品の販売を行い(ステップS10,Yes)、主制御部101は、該当する商品選択ボタン53の売切ランプ53bを再点灯するとともに(ステップS11)、タイマ101cによる計測を終了する(ステップS12)。
【0039】
一方、第2の所定時間が経過すれば(ステップS09,Yes)、商品の賞味期限が経過あるいは近づいたとして、主制御部101は、該当する商品選択ボタン53の売切ランプ53b再点灯するとともに(ステップS11)、タイマ101cによる計測を終了する(ステップS12)。
【0040】
このように、最後の1本残した状態で商品を売切とする自動販売機において、何らかの理由で補充が遅れた場合、第1の所定時間が経過していれば、一旦、売切を解除して、最後の1本を販売可能とすることにより、賞味期限付き商品であっても、賞味期限前に販売可能となる。
【0041】
また、仮に、売切を解除しても、第1の所定時間より長く設定されている第2の所定時間が経過しても、その商品が売れなければ、賞味期限切れの商品を販売しないようにするために、再度、売切状態とし、この場合には、補充時に、最後の1本は、回収するようにアラームを出すようにすればよい。
【0042】
なお、第1の所定時間経過前に、外扉50が開放され、商品の補充が行われれば、売切を解除するが、最後の1本については、商品の補充間隔から鑑みてすぐに売れるようであれば、そのままにしてもよいが、補充前に払い出すようにしてもよい。
【0043】
また、賞味期限のある商品を収納するコラムに限定して、第2の所定時間経過有無による売切制御を割り当ててもよい。
【0044】
さらに、上記実施の形態では、補充時に売切を解除しているが、適温でない場合には、別途、準備中ランプを設けて、所定時間、販売不可状態としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 自動販売機
32 商品搬出装置
32b 売切検知スイッチ
53 商品選択ボタン
53b 売切ランプ
101 主制御部
101a,101b メモリ
101c タイマ
102 リモコン
104 本体制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラム毎に搬出端の商品より手前側に位置する商品の有無を検知する売切検知スイッチを備え、該売切検知スイッチによる検知により、少なくとも搬出端の商品有の状態でも対応するコラムの売切ランプを点灯する自動販売機において、前記売切検知スイッチによる検知時点から該検知継続時間を計測する計測手段と、該計測手段による計測時間が予め設定されている所定時間が経過したかを判断する判断手段と、該判断手段により時間が経過したと判断した場合に、前記売切状態を解除して売切ランプを消灯する制御手段とを備えたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機において、前記売切を解除したコラム内の商品が「0」本となると、対応するコラムの売切ランプを再点灯することを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動販売機において、該計測手段による計測時間が予め設定されている所定時間より長い第2の所定時間が経過した場合には、商品の有無に関係なく、売切ランプを再点灯することを特徴とする自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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