説明

自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置

【課題】金庫ボックスを昇降移動させる際に、金庫ボックスの重量をより正確に検出できるようにすること。
【解決手段】金庫室外の利用台に対して金庫ボックスを昇降移動させる昇降装置130であり、昇降可動部150を有する昇降駆動機構部140と、載置された金庫ボックス90の重量に応じて弾性部材174を弾性変形させて昇降可動部150に対して変位可能に設けられた載置側可動部170を有する昇降載置台160と、載置側可動部170の変位に応じた信号を出力する重量検出部190とを備える。昇降可動部150と昇降載置台160のいずれか一方に設けられた転動体200と、それらの他方に設けられた受片210とを少なくとも一組有し、載置側可動部170に対する昇降可動部150の一方側の捻れ移動を受けると共に上下方向における受片210に対する転動体220の転がり移動を許容するように、受片210が転動体220に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金庫ボックスを自動で出し入れする自動貸金庫装置において、金庫ボックスを昇降移動させる際に金庫ボックスの重量を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動貸金庫システムとして、特許文献1に開示のものがある。特許文献1では、個室の取扱台に重量検出器を設け、取扱台上に置かれた保管箱が重量超過である場合に、その旨の表示するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平3−44954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたような自動貸金庫システムにおいて、昇降装置を経て保管箱を取扱台上に搬送し、或は、取扱台上から保管スペースに搬送されることがある。この場合、保管箱が昇降装置に載置された状態で、当該保管箱の重量を検出するため、当該昇降装置自体に重量検出器を組込む必要がある。
【0005】
昇降装置に重量検出器を組込む構成としては、例えば、昇降駆動される可動体上にバネ等を介して載置台を上下動可能に支持すると共に、可動体と載置台との間にバネを介在させた構成が考えられる。この場合、載置台上に保管箱を載置すると、バネ付勢力に抗して載置台が可動体側に近接するので、可動体と載置台との距離を検出することで、保管箱の重量を検出することができる。
【0006】
しかしながら、上記構成では、載置台と可動体との間で相対的なねじれが発生してしまうと、保管箱の重量に応じた量で載置台が上下動し難くなり、重量検出精度が悪くなる恐れがある。特に、昇降駆動機構としてボールスプライン機構によって前記可動体を昇降移動させる構成を採用した場合、昇降移動に伴って前記可動体は回転してしまうため、上記問題が生じやすくなる。
【0007】
そこで、本発明は、金庫ボックスを昇降移動させる際に、金庫ボックスの重量をより正確に検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の態様は、金庫室外に設けられた利用台に対して金庫ボックスを昇降移動させる自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置であって、昇降駆動される昇降可動部を有する昇降駆動機構部と、前記金庫ボックスを載置可能な載置用フレーム部と、前記昇降可動部との間に弾性部材を介在させた状態で前記昇降可動部上方に配設され、前記昇降可動部と共に昇降移動すると共に前記載置用フレーム部に載置された金庫ボックスの重量に応じて前記弾性部材を弾性変形させて前記昇降可動部に対して変位可能に設けられた載置側可動部とを有し、前記載置用フレーム部上に載置された前記金庫ボックスを前記利用台で利用可能にする上昇位置と前記金庫室に対して搬出入可能にする下降位置との間で昇降移動可能に支持された昇降載置台と、前記昇降可動部に対する前記載置側可動部の変位に応じた重量検出信号を出力する重量検出部とを備え、前記昇降可動部と前記昇降載置台のいずれか一方に設けられた転動体と、前記昇降可動部と前記昇降載置台のいずれか他方に設けられた受片とを少なくとも一組備え、前記載置側可動部に対する前記昇降可動部の一方側の捻れ移動を受けると共に上下方向における前記受片に対する前記転動体の転がり移動を許容するように、前記受片が前記転動体に当接している。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置であって、前記転動体と前記受片とが少なくとも2組設けられ、少なくとも1組の前記転動体と前記受片とが前記載置側可動部に対する前記昇降可動部の一方側の捻れ移動を受けるように設けられると共に、少なくとも1組の前記転動体と前記受片とが前記載置側可動部に対する前記昇降可動部の他方側の捻れ移動を受けるように設けられている。
【0010】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置であって、前記転動体は、前記受片に対して上下方向に転がるように回転可能に支持された円形部材である。
【0011】
第4の態様は、第1〜第3のいずれか1つの態様に係る自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置であって、前記昇降駆動機構部は、回転駆動部の駆動により回転駆動される昇降駆動軸部を有し、前記昇降可動部は、前記昇降駆動軸部の回転によって昇降駆動される。
【0012】
第5の態様は、第4の態様に係る自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置であって、前記昇降駆動軸部の下端部が軸受によって回転可能に支持され、前記昇降駆動軸部の下側部分と前記回転駆動部の駆動軸部とに巻掛けられた伝達ベルトを通じて、前記回転駆動部の回転が前記昇降駆動軸部に伝達され、前記伝達ベルトによって前記昇降駆動軸部が引張られる力を受けるように、前記転動体と前記受片とが当接している。
【発明の効果】
【0013】
第1の態様によると、前記載置側可動部に対する前記昇降可動部の一方側の捻れ移動を受けるように、前記受片が前記転動体に当接している。このため、前記載置側可動部に対する前記昇降可動部の捻れは抑制される。また、上下方向における前記受片に対する前記転動体の転がり移動を許容するように、前記受片が前記転動体に当接しているため、前記載置側可動部に対する前記昇降可動部の捻れが抑制された状態で、載置側可動部は上下方向に沿って円滑に移動する。これにより、金庫ボックスの重量をより正確に反映させて、載置側可動部を昇降可動部に対して上下変位させることができ、金庫ボックスの重量をより正確に検出できる。
【0014】
第2の態様によると、両方向の捻れが抑制されるため、金庫ボックスの重量をより確実に正確に検出できる。
【0015】
第3の態様によると、簡易な構成で、金庫ボックスの重量をより確実に正確に検出できる。
【0016】
第4の態様によると、昇降可動部は、前記昇降駆動軸部の回転によって昇降駆動されるため、昇降載置台に対して捻れ易い。そこで、上記のように効果的に捻れを抑制することで、金庫ボックスの重量をより正確に検出できる。
【0017】
第5の態様によると、昇降駆動部の傾きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係る自動貸金庫装置を示す概略斜視図である。
【図2】同上の自動貸金庫装置を示す概略平面図である。
【図3】同上の自動貸金庫装置を示す概略側面図である。
【図4】利用台を示す概略斜視図である。
【図5】ブース側昇降装置を示す概略正面図である。
【図6】ブース側昇降装置を示す概略正面図である。
【図7】ブース側昇降装置を示す概略側面図である。
【図8】ブース側昇降装置を示す概略側面図である。
【図9】ブース側昇降装置を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態に係る自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置について説明する。
【0020】
<全体構成>
まず、自動貸金庫装置の全体構成について説明する。図1は自動貸金庫装置10を示す概略斜視図であり、図2は同自動貸金庫装置10を示す概略平面図であり、図3は同自動貸金庫装置10を示す概略側面図である。
【0021】
この自動貸金庫装置10は、金庫室17内に格納された金庫ボックス90を、金庫室17とは別の部屋である利用ブース28で利用できるようにしたものであり、格納棚12と、棚側移動機構部40と、ブース側移動機構部30とを備えている。この自動貸金庫装置10では、格納棚12に格納された金庫ボックス90が上記棚側移動機構部40、ブース側移動機構部30等を介して利用ブース28側に搬送される。これにより、利用者は当該利用ブース28内の利用台100で金庫ボックス90に対する物品(通常は、貴重品)等の出し入れを行う。また、利用者による金庫ボックス90の利用終了後、利用ブース28内の利用台100側の金庫ボックス90がブース側移動機構部30、棚側移動機構部40等を介して格納棚12に格納される。
【0022】
各構成別に説明すると、格納棚12は、金庫室17内に格納されており、金庫ボックス90を格納可能な格納部13を複数有している。ここでは、格納棚12は、適宜間隔を有して略鉛直姿勢で隣接された複数の側板12a間に、複数の載置板12bが略水平面に沿った姿勢で鉛直方向に間隔をあけて複数配設固定された構成とされている。これにより、側板12a及び載置板12bによって画される略直方体空間が、金庫ボックス90を格納可能な格納部13として、縦横に並ぶようにして複数設けられる。かかる格納棚12は、平面視において所定方向に長い長尺状、より具体的には、所定方向に長い長方形状を呈している。もっとも、格納棚は、上記構成に限られず、複数の棒状部材を組合わせた骨組状のフレーム構造によって構成されていてもよい。要するに、格納棚は、金庫ボックスを格納可能な格納部を複数有していればよい。
【0023】
ここでは、金庫室17内には、一対の格納棚12が設けられている。すなわち、一対の格納棚12が、その長手方向を一方向に揃えた姿勢で、間隔を有して対向配置されている。換言すれば、一対の格納棚12は、間隔を有して並列状に配設されている。この一対の格納棚12間を、棚側移動機構部40が走行する。もっとも、一対の格納棚12が設けられることは必須ではなく、他方の格納棚12が省略されていてもよい。上記金庫室17は、立入りを管理された管理エリア、より具体的には、周囲が金庫壁18によって取囲まれた金庫室17内に設置される。
【0024】
少なくとも一方の格納棚12は、その背面に金庫室17の1つの金庫壁18が面するように設けられている。この一方の格納棚12には、ブース側移動機構部30を組込むための外部搬送用スペース14が設けられている(図3参照)。ここでは、一方の格納棚12の長手方向に沿って間隔をあけて複数箇所(2箇所)に外部搬送用スペース14が設けられている。各外部搬送用スペース14は、下方から所定数の載置板12bを省略することで、上下に連通する空間に形成されている。もっとも、外部搬送用スペース14は一つであってもよく、他の位置に設けられていてもよい。
【0025】
また、一方の格納棚12には、メンテナンス担当者が出入り可能なメンテナンス用スペース120が設けられている(図3参照)。メンテナンス用スペース120は、1又は複数の上下列において、下方から所定数の載置部12b及び対応する側板12aを省略することで、上下に連通する空間に形成されている。
【0026】
金庫室17の近傍、ここでは、一方の格納棚12の背面側に隣設して利用ブース28が設けられている。ここでは、上記複数(2つ)の外部搬送用スペース14に対応して、複数(2つ)の利用ブース28が設けられており、各利用ブース28内に利用台100が設けられている。ここで、利用ブース28は、通常、立入りを管理された管理エリアであり、より具体的には、周囲がブース壁によって囲まれると共に施錠可能な扉29(図3参照)を通じて入退室可能なエリアである。
【0027】
金庫室17と利用ブース28とは、一方の格納棚12の背面側の金庫壁18によって仕切られている。金庫壁18のうち1つの利用ブース28と金庫室17との間の部分、つまり、金庫室17のうち一方の格納棚12の背面側の壁部分には、メンテナンス用開口26が設けられている。メンテナンス用開口26は、上記メンテナンス用スペース120に対応して(ここでは、形状及び大きさが略同じ)メンテナンス担当者が出入り可能な程度の開口に形成されている。また、メンテナンス用開口26は、メンテナンス扉27によって開閉可能とされている(図2参照)。
【0028】
利用台100は、外部搬送用スペース14に対応する位置で、利用ブース28内で金庫壁18に隣設して設けられている。利用台100は、必ずしも管理された利用ブース28内に存在する必要はなく、金庫室17の外方で利用者によって利用可能な位置に設けられていればよい。そして、金庫室17内に格納された金庫ボックス90が、当該金庫室17と利用台100との間で搬出入される。利用台100に搬送された金庫ボックス90は、当該利用台100において搬出入に適した位置と利用者による利用に適した位置との間で昇降移動される。この利用台100については、後でもさらに説明する。
【0029】
なお、金庫室17に対する利用ブース28、利用台100の位置等は、本自動貸金庫装置10の施工対象となる建物のレイアウト上の都合等によって決定される。例えば、利用ブース28及び利用台100が、格納棚12の長手方向延長上に存在していてもよい。
【0030】
棚側移動機構部40は、格納棚12に対して金庫ボックス90を出し入れすると共に金庫室17内で金庫ボックス90を搬送可能に構成されている。より具体的には、棚側移動機構部40は、移載ユニット60と棚側搬送機構部41とを有している。
【0031】
移載ユニット60は、一対の格納棚12の双方に対して金庫ボックス90を移載可能に構成されている。そして、移載ユニット60が各格納棚12のいずれかの格納部13と対向する位置に配設された状態で、当該対向する格納部13に格納された金庫ボックス90を自己に取込むように移載して載置状に支持し、或は、自己に載置状に支持した金庫ボックス90を対向する格納部13に送込むように移載して当該格納部13に載置状に格納する。
【0032】
この移載ユニット60が金庫ボックス90を移載する構成としては、爪状部分を格納部13に対して進退移動させて当該爪状部分を金庫ボックス90に係合させるようにして引込み或は押出す構成、或は、フォーク状部分を格納部13に対して進退移動させて当該フォーク状部分で金庫ボックス90を持上げるようにして移載する構成等、周知構成を含む種々構成を採用することができる。
【0033】
棚側搬送機構部41は、上記移載ユニット60を、一対の格納棚12の任意の格納部13に対向させる位置と、ブース側移動機構部30に対向させる位置との間で移動させるように構成されている。
【0034】
より具体的には、棚側搬送機構部41は、走行台車42と、支柱44とを備えており、一対の格納棚12間の隙間の延在方向に沿って走行可能に構成されると共に、移載ユニット60を支柱44に沿って格納棚12の最下段の格納部13と最上段の格納部13との間で昇降移動させるようになっている。これにより、移載ユニット60が、各格納部13及び各ブース側移動機構部30に対向する位置に移動されるようになっている。
【0035】
ブース側移動機構部30は、上記2つの利用台100それぞれに対応して設けられ、それぞれ上記棚側移動機構部40との間で金庫ボックス90を移載可能に構成されると共に、金庫ボックス90を利用台100に対して搬出入可能に構成されている。より具体的には、ブース側移動機構部30は、ブース側水平移動部32と、ブース側昇降装置130とを有している。ブース側水平移動部32は、一方の格納棚12の外部搬送用スペース14に設けられ、ブース側昇降装置130は利用台100内に設けられている。
【0036】
ブース側水平移動部32は、一対の格納棚12間の隙間に隣接する位置と、ブース側昇降装置130との間で金庫ボックス90を往復移動させるように構成されている。このようなブース側水平移動部32としては、複数のローラが所定方向に沿って適宜間隔をあけて略並列姿勢で回転可能に支持されると共に、当該ローラがモータ等の駆動により搬送方向に沿って回転駆動されるようにしたコンベア等、周知の水平移動機構を含む種々構成を採用することができる。
【0037】
ブース側昇降装置130は、利用台100内に設けられており、上記ブース側水平移動部32から金庫ボックス90が移載されると、当該金庫ボックス90を利用台100内の上方に向けて上昇させて金庫ボックス90を利用可能な状態にする。また、金庫ボックス90の利用が終了すると、ブース側昇降装置130は、金庫ボックス90を、利用台100内でブース側水平移動部32に移載可能な位置に下降させる。このブース側昇降装置130に係る構成については、後でさらに詳述する。
【0038】
また、この自動貸金庫装置10は、制御ボックス96と、全体制御部97と、入力部98とを備えている。
【0039】
入力部98は、キーボード、タッチパネル等、本自動貸金庫装置10に対する諸指示を受付け可能に構成されており、受付けた諸指示を全体制御部97に入力可能なように当該全体制御部97に接続されている。入力部98は、利用ブース28内に設けられていてもよいし、別箇所に設けられていてもよい。
【0040】
全体制御部97は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されている。そして、全体制御部97は、予め格納されたソフトウエアプログラム及び入力部98を通じて金庫ボックス90の取出し或は格納指令等に応じて、ブース側移動機構部30、制御ボックス96等に諸指令を与える。
【0041】
なお、全体制御部97に接続された表示部97dが上記利用台100上に配設されている。この表示部97dには、通常状態では、利用者による指示入力画面等が表示される。また、メンテナンス担当者の指示に基づいて、本自動貸金庫装置の諸動作状態を示す情報(各部のセンサの状態等)が表示部97dに表示されるとよい。
【0042】
制御ボックス96は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成された駆動制御部96aを含んでいる(図3参照)。駆動制御部96aは、予め格納されたソフトウエアプログラム等に従って、棚側移動機構部40における少なくとも一部の駆動制御を行うように構成されている。ここでは、駆動制御部96aは、上記全体制御部97より格納位置を指定して金庫ボックス90を取出し或は格納する旨の指令が与えられると、当該指令に応じて棚側移動機構部40の移動動作制御及び金庫ボックス90の出し入れ動作制御を行うようになっている。
【0043】
この自動貸金庫装置10による金庫ボックス90の出し入れ動作について説明する。
【0044】
まず、一対の格納棚12の各格納部13にそれぞれ金庫ボックス90が格納されている。なお、金庫ボックス90を各格納棚12に格納するに際して、各格納部13の位置と金庫ボックス90の特定情報とを対応づけた格納位置情報が作成され、当該格納位置情報が全体制御部97の記憶部又は当該全体制御部97からアクセス可能な記憶部に記憶されている。
【0045】
この状態で、入力部98を通じて所定の金庫ボックス90の特定情報及び当該金庫ボックス90を利用したい旨の指示が入力される。入力部98に対する入力は、本自動貸金庫装置10の利用者が行ってもよいし、別途存在する係員等が行ってもよい。すると、全体制御部97は、格納位置情報を参照して特定された金庫ボックス90が存在する格納部13の位置を特定し、当該格納位置を指定して金庫ボックス90を取出す指令を、制御ボックス96の駆動制御部96aに与える。これにより、駆動制御部96aは、当該特定された格納部13に対向する位置に移載ユニット60を移動させるように、棚側移動機構部40に動作指令を与える。これにより、移載ユニット60は当該特定された格納部13に対向する位置に移動する。この状態で、駆動制御部96aから棚側移動機構部40に金庫ボックス90の取込み指令が与えられ、移載ユニット60は特定された格納部13から金庫ボックス90を取込むようにして移載動作を行う(図2の矢符P1参照)。
【0046】
上記動作が終了すると、駆動制御部96aは、移載ユニット60をブース側水平移動部32と対向する位置に移動させるように、棚側移動機構部40に動作指令を与える。これにより、移載ユニット60は、一方の外部搬送用スペース14に対応する位置で、ブース側移動機構部30と対向する位置に配設される(図2の矢符P2参照)。この状態で、駆動制御部96aから棚側移動機構部40に金庫ボックス90の送出し指令が与えられ、移載ユニット60は、自己に載置された金庫ボックス90をブース側水平移動部32に送込むようにして移載動作を行う(図2の矢符P3参照)。
【0047】
上記移載動作が完了すると、全体制御部97からブース側水平移動部32及びブース側昇降装置130に金庫ボックス90を利用台100側へ搬送する指令が与えられ、ブース側水平移動部32は金庫ボックス90を搬送してブース側昇降装置130に送込む(図2の矢符P4参照)。金庫ボックス90がブース側昇降装置130に移載されると、全体制御部97からブース側昇降装置130に金庫ボックス90を上昇させる旨の指令が与えられ、ブース側昇降装置130は金庫ボックス90を上昇させる。これにより、金庫ボックス90は、利用台100の天板開口106の直下に配設される。そして、利用者は、当該金庫ボックス90を、自己に貸与された鍵等を用いて解錠し、蓋を開いて利用することができる。
【0048】
金庫ボックス90を格納部13に格納する場合には、上記とは逆の動作が行われる。
【0049】
すなわち、利用者が金庫ボックス90の利用終了後、蓋を閉じて施錠した後、入力部98に対して金庫ボックス90を格納する旨の指示を入力する。入力部98に対する入力は、本自動貸金庫装置10の利用者が行ってもよいし、別途存在する係員等が行ってもよい。
【0050】
格納指示入力後、全体制御部97による制御下、ブース側昇降装置130が金庫ボックス90を下降移動させ、その後、ブース側昇降装置130及びブース側水平移動部32は金庫ボックス90をブース側昇降装置130からブース側水平移動部32に搬送する。
【0051】
この後、全体制御部97及び駆動制御部96aによる制御下、棚側移動機構部40は、移載ユニット60をブース側水平移動部32と対向する位置に移動させ、続いて、移載ユニット60はブース側水平移動部32上の金庫ボックス90を取込むように移載する。続いて、棚側移動機構部40は、移載ユニット60を、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動させる。金庫ボックス90を格納すべき格納部13の位置は、取出し前に格納されていた位置であってもよいし、他の空き位置であってもよい。後者の場合、格納位置情報を当該格納位置に合わせて更新するとよい。そして、移載ユニット60は、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動した状態で、自己に載置された金庫ボックス90を当該格納部13に送込むようにして移載する。これにより、金庫ボックス90が格納部13に格納され、動作を終了する。
【0052】
<利用台及びブース側昇降装置について>
まず、利用台100について説明する。図4は利用台100を示す概略斜視図である。
【0053】
利用台100は、4方を囲む側板102と天板104とを備えており、内部に略方形状の内部空間が形成されている。
【0054】
金庫壁18に隣設して配設される側板102には、外部搬送用スペース14に対応する開口102hが形成されている。利用台100の内部空間は、開口102hから金庫壁18の開口を通って金庫室17内の外部搬送用スペース14に連通している。金庫室17内の金庫ボックス90はその連通部分を経由して利用台100内に搬送される。なお、側板102の一部は利用ブース28の壁部と共用されていてもよい。
【0055】
天板104には、略方形状の天板開口106が形成されている。ここでは、天板開口106は、天板104の金庫室17よりの部分に形成されている。天板開口106の平面視形状は、金庫ボックス90の平面視形状よりも小さい。従って、金庫ボックス90が天板104の直下に配設された状態で、天板開口106の周辺部が金庫ボックス90の外周囲四方上に被さっている。これにより、金庫ボックス90を、天板開口106を通って取出せないようになっている。なお、金庫ボックス90の上部には、天板開口106よりも小さい扉92が設けられており、天板開口106を経由して扉92を開くことにより、金庫ボックス90の内容物を出し入れできるようになっている。
【0056】
また、天板104には、蓋開閉機構部110が設けられている。蓋開閉機構部110は、蓋112及び蓋開閉駆動部114を有している。蓋112は、天板開口106よりも大きな略方形板状に形成されている。蓋112は、当該天板開口106を閉塞する閉位置と天板開口106の側方の開位置との間で、図示省略のスライドガイドによって天板104の下面に沿って往復移動可能に支持されている。蓋開閉駆動部114は、天板104の下方に配設された一対のプーリ116と、一対のプーリ116に巻掛けられた蓋駆動ベルト117と、一方のプーリ116を正逆両方向に回転駆動可能なモータ等の駆動部118とを備えている。上記蓋112は、蓋駆動ベルト117のうち一対のプーリ116間を走行する部分に連結されている。そして、駆動部118の回転駆動によって一対のプーリ116に巻掛けられた蓋駆動ベルト117を正方向或は逆方向に循環回転させることで、蓋112が閉位置と開位置との間で往復移動されるようになっている。通常、金庫ボックス90の利用時、つまり、金庫ボックス90が天板104の直下に配設された状態では、蓋112は開位置に移動して天板開口106が開口した状態となり、当該天板開口106を通じて金庫ボックス90を利用できるようになる。一方、金庫ボックス90の非利用時、つまり、金庫ボックス90が天板104の直下にはない状態では、蓋112は閉位置に移動して天板開口106は塞がれた状態となる。
【0057】
利用台100内に配設されるブース側昇降装置130について説明する。図5及び図6はブース側昇降装置130を示す概略正面図であり、図7及び図8はブース側昇降装置130を示す概略側面図であり、図9はブース側昇降装置130を示す概略平面図である。なお、図5及び図7は昇降載置台160が下降位置に移動した状態を示しており、図6及び図8は昇降載置台160が上昇位置に移動した状態を示している。
【0058】
ブース側昇降装置130は、昇降駆動機構部140と、昇降載置台160と、重量検出部190とを備えている。
【0059】
すなわち、ブース側昇降装置130は、ベース板132と、ベース板132の四隅に立設された支柱部134とを備え、支柱部134の上端部に蓋開閉機構部110が支持固定されている。上記昇降駆動機構部140と、昇降載置台160と、重量検出部190とは、ベース板132上に組付けられている。
【0060】
昇降駆動機構部140は、昇降駆動軸部142と昇降可動部150とを有し、ベース板132の一側部よりの位置に設けられている。
【0061】
昇降駆動軸部142は、外周囲に螺旋溝が形成された棒状部材に形成されている。この昇降駆動軸部142は、ベース板132の一側部よりの位置に設けられた軸受143によって、略鉛直姿勢で回転可能に支持されている。なお、この昇降駆動軸部142の上端部は、軸受等によって支持されていない自由端である。
【0062】
この昇降駆動軸部142は、回転駆動部144の駆動によって正逆両方向に回転駆動可能に構成されている。より具体的には、昇降駆動軸部142の側方位置(ベース板132の中央よりの位置)に回転駆動部144が設けられている。回転駆動部144は、正逆両方向に回転可能なモータ等であり、その駆動軸部144aの軸方向は昇降駆動軸部142の軸方向と略一致している。そして、昇降駆動軸部142の下側部分と駆動軸部144aとに伝達ベルト145aが巻掛けられている。ここでは、昇降駆動軸部142の下端部と駆動軸部144aのそれぞれにプーリ145が取付固定され、それら2つのプーリ145に伝達ベルト145aが巻掛けられている。そして、回転駆動部144の回転が伝達ベルト145aを通じて昇降駆動軸部142に伝達されて、昇降駆動軸部142が正逆両方向に回転駆動されるようになっている。なお、この状態では、昇降駆動軸部142は伝達ベルト145aによって回転駆動部144側に引張られる力を受けている。
【0063】
昇降可動部150は、昇降駆動軸部142の回転によって昇降駆動するように構成されている。より具体的には、昇降可動部150は、長方形板状の昇降可動本体部152と、昇降駆動軸部142と螺合可能なネジ部154とを有している。昇降可動本体部152の中央部には昇降駆動軸部142を挿通可能な孔が形成されると共にネジ部154が固定されている。ネジ部154は、昇降駆動軸部142と螺合しており、昇降可動部150を昇降駆動軸部142の軸周りでは回転しないようにした状態で、昇降駆動軸部142を回転させることによって、ネジ部154が昇降駆動軸部142の螺旋溝に応じて昇降移動するようになっている。昇降可動部150を昇降駆動軸部142の軸周りでは回転しないようにする構成については後述する。
【0064】
もっとも、昇降可動部150自体は、上記構成の他、いわゆるエアシリンダ、油圧シリンダ、いわゆるリニアモータ等の駆動によって昇降駆動する構成であってもよい。
【0065】
昇降載置台160は、載置側可動部170と一対の載置用フレーム部180とを有している。
【0066】
載置側可動部170は、弾性部材であるコイルバネ174を介在させた状態で昇降可動部150の上方に配設され、昇降可動部150と共に昇降移動するようになっている。
【0067】
より具体的には、載置側可動部170は、長方形板状に形成されており、その中間部に昇降駆動軸部142を挿通可能な孔171が形成されている(図7、図8及び図9参照)。そして、孔171内に昇降駆動軸部142を挿通させた状態で、載置側可動部170が昇降可動部150上に配設されている。また、昇降可動部150と載置側可動部170間において、昇降駆動軸部142にコイルバネ174が外嵌めされている。これにより、載置側可動部170は、コイルバネ174の弾性支持力によって昇降可動部150の上方に支持されており、載置側可動部170に加わる上下方向の力に応じてコイルバネ174が弾性変形して昇降可動部150に対して載置側可動部170が変位するようになっている。
【0068】
また、載置側可動部170の長手方向と昇降可動部150の長手方向とは一致しており、載置側可動部170の両端部に孔171hが形成されると共に昇降可動部150の両端部に孔151hが形成されている(図7,図8参照)。そして、ピン部材176が孔171h及び孔151hを上下に貫通するように設けられると共に、ピン部材176の上下の頭部が孔171h或は孔151hに抜止め状に係止している。そして、載置側可動部170と昇降可動部150との間隔寸法がピン部材176の長さ以上に大きくならないように規制している。
【0069】
一対の載置用フレーム部180は、載置側可動部170より水平方向に延出する部分を有し、当該水平に延出する部分に金庫ボックス90を載置可能に構成されている。
【0070】
より具体的には、載置用フレーム部180は、鉛直方向に沿って延在する縦フレーム部182と水平方向に沿って延在する横フレーム部186とが略L字状に連なる形状とされている。
【0071】
一対の縦フレーム部182は、昇降駆動軸部142を挟む位置に配設され、上記載置側可動部170の両端部は、一対の縦フレーム部182の内面にねじ止等によって連結固定されている。これにより、一対の載置用フレーム部180が所定間隔をあけた並列姿勢に支持されると共に、載置側可動部170と共に昇降移動するようになっている。
【0072】
また、一対の縦フレーム部182の両外面側に、一対のガイドロッド184が立設され、一対の縦フレーム部182の外面に取付固定された被ガイド体185に当該ガイドロッド184が移動可能に挿通されている。一対の被ガイド体185がガイドロッド184に沿って移動可能に支持されることによって、本昇降載置台160が昇降移動可能に支持されている。
【0073】
また、一対の横フレーム部186は、一対の縦フレーム部182の上端部からベース板132の中央側に向けて片持ち状に延出している。一対の横フレーム部186の上側縁部に、内側に向けてフランジ状に張出す載置板部180pが形成され、一対の載置板部180p上に金庫ボックス90を載置できるようになっている。
【0074】
なお、この一対の横フレーム部186間に次述する中継部162が配設される。
【0075】
中継部162は、支持柱部169によってブース側水平移動部32に対して隣設する位置に支持されており、上記ブース側水平移動部32との間で金庫ボックス90を授受可能に構成されている(図5及び図6参照)。ここでは、中継部162は、一対のプーリ支持フレーム163のそれぞれに、複数の送り用プーリ164が間隔を有して直線状に並ぶように回転可能に支持されると共に、当該複数の送り用プーリ164全体に巻掛けるように送り用ベルト165が装着された構成とされている。また、送り用モータ166の回転駆動力が伝達ベルト167を介して一端側の送り用プーリ164に伝達されるようになっている。そして、送り用モータ166の回転駆動によって、送り用ベルト165が正逆両方向に回転駆動され、これにより、ブース側水平移動部32より送込まれる金庫ボックス90を中継部162上に取込み、また、中継部162上の金庫ボックス90をブース側水平移動部32に向けて送込むようになっている。
【0076】
上記一対の横フレーム部186は、中継部162に対して相対的に上下移動するようになっている。即ち、昇降載置台160は、上記一対の載置板部180pを中継部162による金庫ボックス90の載置位置よりも低い位置に配設した下降位置(図5及び図7参照、つまり、金庫ボックスを金庫室に対して搬出入可能にする下降位置)と、一対の載置板部180p上に載置された金庫ボックス90を利用台100で利用可能にする上昇位置(図6及び図8参照)との間で昇降移動可能に支持されている。また、載置用フレーム部180に載置された金庫ボックス90の重量に応じた力が載置側可動部170に伝達され、当該金庫ボックス90の重量に応じてコイルバネ174が弾性変形して載置側可動部170が昇降可動部150に対して変位する構成とされている。そして、中継部162上に金庫ボックス90を載置した状態で、一対の横フレーム部186を下降位置から上昇させると、中継部162上の金庫ボックス90が一対の載置板部180p上に持ち替えられるように載置支持され、上昇移動するようになっている。また、一対の載置板部180p上に金庫ボックス90を載置した状態で、当該一対の横フレーム部186を下降させると、一対の載置板部180p上の金庫ボックス90が中継部162上に持ち替えられるように載置支持されるようになっている。
【0077】
もっとも、載置用フレーム部は上記構成に限られず、金庫ボックス載置した状態で昇降移動可能で、かつ、金庫ボックスの重量に応じた力をコイルバネ174に伝達できる構成であればよい。また、載置用フレーム部が金庫ボックスを授受する構成も上記例に限られず、金庫ボックスを押し動かす構成等を採用することができる。
【0078】
重量検出部190は、昇降可動部150に対する載置側可動部170の変位に応じた重量検出信号を出力可能に構成されている。かかる重量検出部190としては、昇降可動部150及び載置側可動部170のいずれか一方側に設けられた検出子の位置を、光センサ、磁気センサ等によって検出する構成、歪みセンサを利用した構成等各種構成を作用することができる。
【0079】
また、上記昇降可動部150に転動体200が設けられると共に、昇降装置130に受片210が設けられている。
【0080】
より具体的には、昇降装置130における一対の縦フレーム部182のうちベース板132の中央よりの一側に受片210が形成されている。受片210は、一対の縦フレーム部182の一側より内向きに屈曲され、上下方向に沿って細長い板状に形成されている。
【0081】
また、昇降可動部150の両端部に転動体200が設けられている。転動体200は、円形部材の一種である円板状に形成されており、転動体支持片202によって、上記受片210に対して昇降可動部150より当接可能な位置に支持されている。また、転動体200は、転動体支持片202によって一対の縦フレーム部182を結ぶ方向と一致する回転軸周りに回転可能に支持されている。
【0082】
昇降駆動軸部142の軸周りにおいて、各転動体200がそれぞれ受片210に当接することによって、載置側可動部170に対する昇降可動部150の捻れ移動が受止められて、当該捻れが抑制されるようになっている。特に、一方側の転動体200が昇降駆動軸部142の軸周りにおいて一回転方向から当接し(例えば、図9では上側の転動体200が右回転方向から当接している)、他方側の転動体200が昇降駆動軸部142の軸周りにおいて逆回転方向から当接している(例えば、図9では下側の転動体200が左回転方向から当接している)。つまり、少なくとも一組の転動体200と受片210とが載置側可動部170に対する昇降可動部150の一方側の捻れ移動を受けるように設けられ、少なくとも他の一組の転動体200と受片210とが載置側可動部170に対する昇降可動部150の他方側への捻れ移動を受けるように設けられている。
【0083】
また、上記のように各転動体200が受片210に当接する態様は、伝達ベルト145aによって昇降駆動軸部142が引張られる力を受ける態様でもある。すなわち、上記したように、伝達ベルト145aは昇降駆動軸部142をベース板132の中央部に向けて引張るように巻掛けられている。このため、昇降駆動軸部142にはベース板132の中央よりも傾くような力が加えられている。上記昇降可動部150に設けられた転動体200は、ベース板132の外方よりベース板132の中央に向けて受片210に当接している。このため、上記のように昇降駆動軸部142を傾かせようとする力が受止められている。
【0084】
また、上記転動体200は、受片210に対して上下方向の転がり移動を許容されている。すなわち、転動体200は、円形部材の一種である円板状に形成されており、水平方向に沿って軸周りに回転可能に支持されている。このため、転動体200は、受片210の表面を転がるようにして上下方向に移動できるようになっている。これにより、載置側可動部170に対して昇降可動部150が比較的自由に上下変位できるようになっている。
【0085】
なお、転動体200は、受片に対して転がり移動できる形状であれば、円板状或は円柱状等の円形部材であってもよく、また、球状等であってもよい。
【0086】
このように構成されたブース側昇降装置130によると、昇降可動部150と共に昇降可動部150が昇降移動する。昇降移動する際に、昇降駆動軸部142の回転によって、載置側可動部170に対して昇降可動部150が捻れ移動しようとすると、いずれかの転動体200が受片210に当接する構成によって当該捻れさせようとする力が受止められる。これにより、載置側可動部170に対する昇降可動部150の捻れが抑制される。しかも、上下方向において、受片210に対する転動体200の転がり移動を許容するように、転動体200が受片210に当接している。このため、一対の載置板部180p上に載置された金庫ボックス90の重量に応じた力が載置側可動部170に加わると、載置側可動部170は上下方向に沿って円滑に移動する。このため、金庫ボックス90の重量をより正確に反映させて、昇降可動部150に対して載置側可動部170を変位させることができる。そして、当該変位量に応じて、重量検出部190から重量検出信号が出力される。このため、金庫ボックス90の重量をより正確に検出することができる。
【0087】
昇降駆動軸部142の回転駆動によって昇降可動部150を昇降移動させた構成においては、昇降駆動軸部142の回転によって昇降可動部150が回転し易くなるため、上記効果は有効といえる。もっとも、その他のシリンダ、いわゆるリニアモータ等で昇降可動部150を昇降移動させる構成においても、その上方の載置側可動部170との間で相対的な捻れの変位が生じる可能性はあるため、そのような構成に採用してもよい。
【0088】
なお、昇降可動部150と載置側可動部170との間に介在させる弾性部材としてコイルバネ174を用いた場合、昇降可動部150と載置側可動部170とが接近すると、コイルバネ174が伸縮して両者の間に捻れの力が作用する。上記転動体200と受片210とはそのような捻れの力をも受けることができる。この点からも、金庫ボックス90の重量をより正確に検出することができる。
【0089】
また、一方側の転動体200が昇降駆動軸部142の軸周りにおいて一回転方向から当接し、他方側の転動体200が昇降駆動軸部142の軸周りにおいて逆回転方向から当接するため、昇降可動部150を正逆いずれの方向に回転させた場合でも、載置側可動部170に対する昇降可動部150の捻れを抑制できる。これにより、金庫ボックス90の重量をより確実に正確に検出することができる。
【0090】
また、転動体200として、円板状或は円柱状等の円形部材とすることで、所定の軸周りで回転可能に支持すればよいため、簡易な構成とすることができる。
【0091】
また、上記転動体200と受片210とは、昇降可動部150の傾きを抑制する方向にも当接しているため、当該昇降可動部150の傾きを有効に抑制することができる。
【0092】
なお、上記実施形態では、2つの転動体200がそれぞれ別々に受片210に当接する構成であると説明したが、1つの転動体或は3つ以上の転動体が設けられる構成であってもよい。また、2つの転動体200が1つの受片に両面側から当接する構成としてもよい。さらに、昇降可動部150側に受片を設け、載置側可動部170に転動体200を設けてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 自動貸金庫装置
12 格納棚
17 金庫室
90 金庫ボックス
100 利用台
104 天板
106 天板開口
130 ブース側昇降装置
140 昇降駆動機構部
142 昇降駆動軸部
143 軸受
144 回転駆動部
145a 伝達ベルト
150 昇降可動部
154 ネジ部
160 昇降載置台
170 載置側可動部
174 コイルバネ
180 載置用フレーム部
184 ガイドロッド
185 被ガイド体
190 重量検出部
200 転動体
210 受片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金庫室外に設けられた利用台に対して金庫ボックスを昇降移動させる自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置であって、
昇降駆動される昇降可動部を有する昇降駆動機構部と、
前記金庫ボックスを載置可能な載置用フレーム部と、前記昇降可動部との間に弾性部材を介在させた状態で前記昇降可動部上方に配設され、前記昇降可動部と共に昇降移動すると共に前記載置用フレーム部に載置された金庫ボックスの重量に応じて前記弾性部材を弾性変形させて前記昇降可動部に対して変位可能に設けられた載置側可動部とを有し、前記載置用フレーム部上に載置された前記金庫ボックスを前記利用台で利用可能にする上昇位置と前記金庫室に対して搬出入可能にする下降位置との間で昇降移動可能に支持された昇降載置台と、
前記昇降可動部に対する前記載置側可動部の変位に応じた重量検出信号を出力する重量検出部と、
を備え、
前記昇降可動部と前記昇降載置台のいずれか一方に設けられた転動体と、前記昇降可動部と前記昇降載置台のいずれか他方に設けられた受片とを少なくとも一組備え、前記載置側可動部に対する前記昇降可動部の一方側の捻れ移動を受けると共に上下方向における前記受片に対する前記転動体の転がり移動を許容するように、前記受片が前記転動体に当接している、自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置であって、
前記転動体と前記受片とが少なくとも2組設けられ、
少なくとも1組の前記転動体と前記受片とが前記載置側可動部に対する前記昇降可動部の一方側の捻れ移動を受けるように設けられると共に、少なくとも1組の前記転動体と前記受片とが前記載置側可動部に対する前記昇降可動部の他方側の捻れ移動を受けるように設けられている、自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置であって、
前記転動体は、前記受片に対して上下方向に転がるように回転可能に支持された円形部材である、自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置であって、
前記昇降駆動機構部は、回転駆動部の駆動により回転駆動される昇降駆動軸部を有し、前記昇降可動部は、前記昇降駆動軸部の回転によって昇降駆動される、自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置。
【請求項5】
請求項4記載の自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置であって、
前記昇降駆動軸部の下端部が軸受によって回転可能に支持され、
前記昇降駆動軸部の下側部分と前記回転駆動部の駆動軸部とに巻掛けられた伝達ベルトを通じて、前記回転駆動部の回転が前記昇降駆動軸部に伝達され、
前記伝達ベルトによって前記昇降駆動軸部が引張られる力を受けるように、前記転動体と前記受片とが当接している、自動貸金庫装置における利用台用の昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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