説明

自動貸金庫装置

【課題】金庫ボックスの格納数をできるだけ多くすること。
【解決手段】複数の仕切部14で延在方向に画され、金庫ボックス90を格納可能な格納部13を複数有する格納棚12と、格納棚12の後方に設けられブース台と、格納棚12の前方の位置とブース台との間で、金庫ボックス90を格納棚12の前後方向に搬送可能な中間搬送機構部60と、各格納部13との間及び中間搬送機構部60との間で金庫ボックス90を移載可能な移載ユニットと、移載ユニットを、各格納部13に対して金庫ボックス90を出し入れする位置と、中間搬送機構部60に対して金庫ボックス90を受け渡しする位置との間で移動させる棚側搬送機構部とを備え、中間搬送機構部60は、複数の仕切部14のうち格納棚12の延在方向に隣合う仕切部14に対して取り付けられることにより、隣合う仕切部14間に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金庫ボックスを自動で出し入れする自動貸金庫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金庫利用者が各々の金庫ボックスを出し入れするための利用ブースが、格納棚が設けられた金庫室に対して格納棚の延在方向側方に隣接して設けられた自動貸金庫装置が開示されている。この自動貸金庫装置においては、金庫室内のうち格納棚のブース台側側方に、格納棚に対して金庫ボックスを出し入れする棚側搬送機構部とブース台との間で格納棚の延在方向に沿って金庫ボックスを搬送する水平搬送機構部が設けられている。この水平搬送機構部は、金庫室の床上に設置された支持部材によって支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−227271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動貸金庫装置によっては、金庫利用者が各々の金庫ボックスを取り出すためのブース台が、金庫室に対して格納棚の後方に隣接して設けられるものもある。この場合、中間搬送機構部(水平搬送機構部)が、棚側搬送機構部とブース台との間で、格納棚(棚装置)に直交する水平方向に金庫ボックスを搬送するように設けられる。このため、格納棚の延在方向側方に中間搬送機構部の配設スペースを確保するように格納棚の延在方向寸法を小さく設計したり、格納棚の仕切部の下端部を部分的に除去することにより仕切部を跨いで中間搬送機構部の配設スペースを確保したりすることもある。
【0005】
しかしながら、上記のようにして中間搬送機構部の配設スペースを確保する場合、格納部を設けるスペースが少なくなってしまう。また、中間搬送機構部を支持部材により支持する場合、支持部材の配設スペースが必要となり、その分格納部を設けるスペースも少なくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、金庫ボックスの格納数をできるだけ多くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る自動貸金庫装置は、複数の仕切部で延在方向に画され、金庫ボックスを格納可能な格納部を複数有する格納棚と、前記格納棚の後方に設けられ、金庫利用者が金庫ボックスに対して物品を出し入れするためのブース台と、前記格納棚の前方の位置と前記ブース台との間で、前記金庫ボックスを前記格納棚の前後方向に搬送可能な中間搬送機構部と、前記各格納部との間及び前記中間搬送機構部との間で前記金庫ボックスを移載可能な移載ユニットと、前記移載ユニットを、前記各格納部に対して前記金庫ボックスを出し入れする位置と、前記中間搬送機構部に対して前記金庫ボックスを受け渡しする位置との間で移動させる棚側搬送機構部とを備え、前記中間搬送機構部は、前記複数の仕切部のうち前記格納棚の延在方向に隣合う仕切部に対して取り付けられることにより、前記隣合う仕切部間に配設されている。
【0008】
第2の態様に係る自動貸金庫装置は、第1の態様に係る自動貸金庫装置であって、前記中間搬送機構部は、間隔をあけて設けられている一対の側壁部を有するフレームと、前記一対の側壁部それぞれに対して、外側に回転可能に支持されている2組の複数のプーリと、前記2組の複数のプーリに対して、1組ごとに掛けられている一対の搬送ベルトとを有している。
【0009】
第3の態様に係る自動貸金庫装置は、第2の態様に係る自動貸金庫装置であって、前記中間搬送機構部は、前記一対の側壁部間に配設され、前記2組の複数のプーリのうち少なくともそれぞれ1つを回転駆動するモータを有している。
【0010】
第4の態様に係る自動貸金庫装置は、第3の態様に係る自動貸金庫装置であって、前記モータは、前記一対の側壁部間に設けられている伝達部を介して、前記プーリを回転駆動する。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様に係る自動貸金庫装置によると、中間搬送機構部が、格納棚の延在方向に隣合う仕切部に対して取り付けられることにより、中間搬送機構部を支持する他の構成を省略できるため、当該支持する構成の配設スペースにも格納部を設けることができる。また、中間搬送機構部が、隣合う仕切部間に配設されているため、格納棚を延在方向において配設スペースいっぱいに設計することができると共に、中間搬送機構部周辺の仕切部を残してその仕切部も利用して側方にも格納部を設けることができる。これにより、金庫ボックスの格納数をできるだけ多くすることができる。
【0012】
第2の態様に係る自動貸金庫装置によると、搬送ベルトが架けられた複数のプーリが、フレームの一対の側壁部に対して外側に回転可能に支持されているため、2組のプーリを同じ間隔でフレームの一対の側壁部の内側に取り付ける場合と比べて、中間搬送機構部全体の幅寸法を小さくすることができる。また、搬送ベルトを容易にプーリから外すことができ、搬送ベルトの交換等のメンテナンスの作業性に優れる。
【0013】
第3の態様に係る自動貸金庫装置によると、プーリを駆動するモータが一対の側壁部間に配設されているため、フレームの外方にモータが配設される場合と比較して、中間搬送機構部をコンパクトにすることができる。
【0014】
第4の態様に係る自動貸金庫装置によると、一対の側壁部間に設けられている伝達部を介してプーリを回転駆動するため、プーリ及び搬送ベルトと、モータ及び伝達部とが側壁部を隔てて存在しており、それぞれのメンテナンスの作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】自動貸金庫装置の概略平面図である。
【図2】自動貸金庫装置を格納棚の前方から見た概略図である。
【図3】中間搬送機構部の設置態様を示す側面図である。
【図4】中間搬送機構部の設置態様を示す正面図である。
【図5】中間搬送機構部の設置態様を示す平面図である。
【図6】中間搬送機構部を示す側面図である。
【図7】中間搬送機構部を示す正面図である。
【図8】中間搬送機構部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態に係る自動貸金庫装置について説明する。
【0017】
<全体構成>
まず、自動貸金庫装置10の全体構成について説明する(図1及び図2参照)。自動貸金庫装置10は、一対の格納棚12と、ブース台20と、ブース側搬送機構部30と、棚側搬送機構部40と、移載ユニット50と、中間搬送機構部60とを備えている。この自動貸金庫装置10では、一対の格納棚12に格納された金庫ボックス90が、棚側搬送機構部40及び移載ユニット50、中間搬送機構部60、ブース側搬送機構部30を介してブース台20に搬送される。これにより、金庫利用者は、ブース台20において金庫ボックス90に対する物品(通常は貴重品)等の出し入れを行う。また、金庫利用者による金庫ボックス90に対する物品等の出し入れ終了後、金庫ボックス90は、ブース台20から、ブース側搬送機構部30、中間搬送機構部60、棚側搬送機構部40及び移載ユニット50を介して一対の格納棚12に格納される。
【0018】
金庫ボックス90は、金庫利用者が貴重品等の物品を収納するための筐体であり、物品を出し入れする開口を開閉可能な蓋が設けられていてもよい。
【0019】
格納棚12は、金庫ボックス90を格納可能な格納部13を複数有している(図1、図2参照)。この格納棚12は、一方向(以下、格納棚12の延在方向)に適宜間隔をあけて立設された複数の仕切部14の間に、複数の棚板15が略水平面に沿った姿勢で鉛直方向に間隔をあけて多段に配設された構成とされている。これにより、仕切部14によって格納棚12の延在方向に画されると共に、棚板15により鉛直方向に画される略直方体空間が、金庫ボックス90を格納可能な格納部13として、縦横に並ぶようにして複数構成されている。そして、格納棚12は、平面視において、一方向に長く延在する長方形状を成している。
【0020】
上記仕切部14は、長尺な板状部材が切断、屈曲等されて形成されている。より具体的には、仕切部14は、格納棚12を延在方向に画する仕切板状の部材である(図5参照)。この仕切部14の後端部14aは、格納棚12の前後方向に略直交する板状に形成されている。また、仕切部14には、棚板15を引っ掛け、ボルト固定等で固定するための孔部が鉛直方向に並んで複数形成されている。この孔部は、上記後端部14aにも形成されている。
【0021】
もっとも、格納棚12は、上記構成に限られず、全体が複数の棒状部材を組み合わせた骨組状のフレーム構造によって構成されていてもよい。この場合、仕切部は、格納棚の前後に並んで立設される複数の棒状部材を含む部分である。要するに、格納棚は、複数の仕切部で延在方向に画され、金庫ボックス90を格納可能な格納部を複数有していればよい。
【0022】
一対の格納棚12は、延在方向を一方向に揃えた姿勢で、間隔をあけて対向配置されている(図1参照)。この一対の格納棚12は、金庫ボックス90を出し入れ可能な前面側を互いに向かい合わせた姿勢で配置されている。一対の格納棚12の間には、棚側搬送機構部40及び移載ユニット50を配設可能な幅の隙間があけられている。この隙間が、棚側搬送機構部40が走行する空間であり、当該隙間の底面が棚側搬送機構部40が走行可能な走行路である。
【0023】
なお、格納棚12は、一対設けられる場合に限定されず、1つであってもよい。この場合、格納棚12の前方に、棚側搬送機構部40が走行可能な空間及び走行路が設けられていればよい。
【0024】
また、一対の格納棚12は、周囲が金庫壁によって取り囲まれ、立ち入りを管理された金庫室17内に配設されている。金庫ボックス90の格納数の観点から言うと、一対の格納棚12は、延在方向において金庫室17いっぱいに配設されるように設計されているとよい。
【0025】
一対の格納棚12のうち、一方の格納棚12には、当該格納棚12の前方の位置と後方の位置との間で金庫ボックス90を搬送する中間搬送機構部60を配設するための中間搬送用スペース18が設けられている(図1、図2参照)。より具体的には、中間搬送用スペース18は、隣合う仕切部14の間に配設された多段の棚板15を、下方から所定数省略することにより設けられている。この中間搬送用スペース18は、後述するブース台20(利用ブース28)に対応して1箇所又は複数箇所に設けられる。ここでは、2つのブース台20が設けられるため、当該2つのブース台20に対応して2箇所に中間搬送用スペース18が設けられている。中間搬送機構部60の配設態様については、後でより具体的に説明する。
【0026】
また、一方の格納棚12には、制御ユニット96を配設するための制御ユニット収納用スペース19が設けられている。この制御ユニット収納用スペース19は、下方から所定数の棚板15を省略すると共に、1つの仕切部14を下方から所定高さまで除去することにより、縦横に連通する空間とされている。なお、仕切部14を除去した部分については、補強等して強度を保持されている。
【0027】
一方の格納棚12の後方(背面側)に、ここでは、金庫室17に隣接して利用ブース28が設けられており、この利用ブース28内にはブース台20が設けられている(図1、図2参照)。ここでは、2つの中間搬送用スペース18に対応して2つの利用ブース28が設けられており、各利用ブース28内にブース台20が設けられている。この利用ブース28は、通常、立ち入りを管理されたエリアであり、周囲がブース壁によって取り囲まれると共に施錠可能な扉29を通じて入退室可能に構成されている。また、利用ブース28と金庫室17との間も、仕切壁26によって仕切られている。また、仕切壁26のうち上記制御ユニット収納用スペース19に対向する部分には、メンテナンス用扉27が開閉可能に設けられている。このメンテナンス用扉27は、通常、錠装置によって施錠された状態に保たれている。そして、自動貸金庫装置10のメンテナンス時等に、権限あるメンテナンス管理者等が鍵を用いてメンテナンス用扉27を開くことにより、当該メンテナンス管理者が制御ユニット96にアクセス可能となる。
【0028】
ブース台20は、上部に天板22を有する略筐状に形成されている。天板22には、略矩形状の天板開口23が形成されており、ブース台20内部に搬送される金庫ボックス90が、当該天板開口23を通じて突出されるように配設される。このように、ブース台20の天板22に突出するように金庫ボックス90が配設されることで、金庫利用者は、金庫ボックス90に対して物品の出し入れを行うことができる。なお、天板開口23は、その内部に金庫ボックス90が配設されていない状態では、開閉可能な蓋により塞がれているとよい。
【0029】
また、ブース台20の内部空間は、上記仕切壁26を貫通して、金庫室17内の一方の格納棚12に設けられている中間搬送用スペース18に連通している。すなわち、金庫ボックス90は、連通部分を通じて格納棚12の前方の位置とブース台20内の位置との間で搬送される。
【0030】
移載ユニット50は、各格納棚12との間及び中間搬送機構部60との間で金庫ボックス90を移載可能に構成されている(図1のP1、P3参照)。この移載ユニット50は、各格納部13と対向する位置に配設された状態で、当該対向する格納部13に格納された金庫ボックス90を自己に取り込むように移載して載置状に支持し、或いは、自己に載置状に支持した金庫ボックス90を対向する格納部13に送り込むように移載して当該対向する格納部13に載置状に格納する。同様に、移載ユニット50は、中間搬送機構部60により格納棚12の前方の位置に搬送された金庫ボックス90を取り込むように移載し、或いは、自己に支持した金庫ボックス90を中間搬送機構部60上に送り込むように移載する。
【0031】
この移載ユニット50の構成としては、例えば、爪状部分を格納部13又は中間搬送機構部60上に進退移動させて当該爪状部分を金庫ボックス90に係合させるようにして引き込み或いは押し出しする構成を採用することができる。他にも、フォーク状部分の格納部13又は中間搬送機構部60上に進退移動させて当該フォーク状部分で金庫ボックスを持ち上げるようにして移載する構成等、周知技術を含む種々の構成を採用することができる。
【0032】
棚側搬送機構部40は、上記移載ユニット50を、一対の格納棚12の任意の格納部13に対して金庫ボックス90を出し入れする位置と、中間搬送機構部に対して金庫ボックス90を受け渡しする位置との間で移動させるように構成されている。この棚側搬送機構部40は、走行機構部42と昇降機構部44とを有している。
【0033】
走行機構部42は、一対の格納棚12の間の走行路を格納棚12の延在方向に沿って走行可能に構成されている(図1のP2、図2参照)。より具体的には、走行機構部42は、一対の格納棚のうち任意の格納部13に対向する位置と、中間搬送機構部60に対向する位置との間で往復移動するように走行可能である。ここでは、走行機構部42は、図示省略のモータの回転駆動によって、車体に設けられた車輪を回転させることで走行する構成を採用している。もっとも、走行機構部42は、一対の格納棚12の間を延在方向に沿って走行可能な構成であれば、種々の構成を採用することができる。
【0034】
昇降機構部44は、移載ユニット50を、格納棚12の最下段の格納部13と最上段の格納部13との間で昇降移動させ、当該移載ユニット50を、格段の格納部13及び中間搬送機構部60に対向する各位置に昇降移動させるように構成されている(図2参照)。昇降機構部44としては、走行機構部42の車体上に立設した一対の支柱に対して移載ユニット50を昇降可能に支持し、一方の支柱の上下端部に設けられた一対の歯車に環状ベルト(環状チェーン等)を巻掛け、移載ユニット50を一対の歯車体間で環状ベルトに連結し、一方の歯車体をモータ等の駆動部で回転させることで、環状ベルトを回転させて、移載ユニット50を昇降移動させる構成を採用することができる。他にも、昇降機構部44としては、リニアモータにより移載ユニット50を昇降させる構成、モータとボールネジを用いた構成等、種々の構成を採用することができる。
【0035】
中間搬送機構部60は、一方の格納棚12の前方の位置とブース台20との間で、金庫ボックス90を格納棚12の前後方向に搬送可能に構成されている(図1のP4参照)。より具体的には、中間搬送機構部60は、モータ64によって伝達部65、プーリ66を介して一対の搬送ベルトを回動駆動させることにより、当該一対の搬送ベルト67上に載置される金庫ボックス90を一方向(格納棚12の前後方向)に往復移動させる(図6〜図8参照)。この中間搬送機構部60は、一方の格納棚12に設けられている中間搬送用スペース18内に設けられている(図2参照)。これにより、中間搬送機構部60は、金庫ボックス90を、中間搬送用スペース18を通じて格納棚12の前方の位置と後方の位置との間で搬送可能になっている。
【0036】
中間搬送機構部60の構成については、後でより具体的に説明する。
【0037】
ブース側搬送機構部30は、ブース台20の内部であって、天板開口23の下方に設けられている(図1参照)。また、ブース側搬送機構部30の配設位置は、一方の格納棚12の後方で中間搬送機構部60に隣接する位置である。より具体的には、ブース側搬送機構部30は、上記中間搬送機構部60により一方の格納棚12の後方の位置に金庫ボックス90が搬送されると、当該金庫ボックス90を中間搬送機構部60から受け取って天板開口23の下方位置に搬送すると共に天板開口23から突出させるように上昇させ、或いは、天板開口23から突出される金庫ボックス90を下降させると共に中間搬送機構部60に受け渡す位置に搬送するように構成されている。
【0038】
このようなブース側搬送機構部30の金庫ボックス90を昇降移動させる構成としては、上記昇降機構部44と同様に、モータと環状ベルト等を利用した構成、リニアモータを用いた構成、モータとボールネジを用いた構成等、周知技術を含む種々の昇降機構を採用することができる。
【0039】
また、ここでは、ブース側搬送機構部30は、中間搬送機構部60と共に協同的な搬送動作を行うことにより、中間搬送機構部60との間で金庫ボックス90を移載可能に構成されている(図1のP4参照)。すなわち、ブース側搬送機構部30は、中間搬送機構部60と同じ方向に沿って金庫ボックス90を移動させることも可能に構成されている。ブース側搬送機構部30としては、ベルトが掛けられた複数のプーリがモータ等に駆動されることにより、ベルトが搬送方向に沿って回転駆動されるようにしたコンベアを含む構成を採用できる。他にも、ブース側搬送機構部30としては、複数のローラが所定方向に沿って適宜間隔をあけて略並列姿勢で回転可能に支持されると共に、当該ローラがモータ等の駆動により搬送方向に沿って回転駆動されるようにしたコンベア等、周知の水平移動機構を含む種々の構成を採用することができる。
【0040】
もっとも、中間搬送機構部60とブース側搬送機構部30との間における金庫ボックス90の移載は、別途、モータ等の駆動により金庫ボックス90を押圧移動させるプッシャー機構を設け、当該プッシャー機構の駆動によって行ってもよい。
【0041】
また、ブース側搬送機構部30は省略されてもよく、この場合、中間搬送機構部60により、金庫ボックス90が天板開口23の下方位置まで搬送され、当該位置で金庫利用者が金庫ボックス90を利用可能にされた構成であってもよい。
【0042】
また、この自動貸金庫装置10は、制御ユニット96と入力部98とを備えている(図2参照)。入力部98は、キーボード、タッチパネル等、本自動貸金庫装置10に対する諸指示を受け付け可能に構成されており、受け付けた諸指示を制御ユニット96に入力可能なように当該制御ユニット96に接続されている。入力部98は、利用ブース28内に設けられていてもよいし、別箇所に設けられていてもよい。制御ユニット96は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されている。この制御ユニット96は、上記ブース側搬送機構部30と中間搬送機構部60と棚側搬送機構部40と移載ユニット50とのそれぞれに対して諸動作指令を付与可能に接続されている。そして、この制御ユニット96は、予め格納されたソフトウエアプログラム及び入力部98を通じて入力された諸指示に従って、次述するように、本自動貸金庫装置10の全体動作を制御する。
【0043】
<動作について>
以下、自動貸金庫装置10による金庫ボックス90の出し入れ動作について説明する。
【0044】
初期の状態として、一対の格納棚12の各格納部13内にそれぞれ金庫ボックス90が格納され、移載ユニット50、中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30には金庫ボックス90が支持されていない状態であるものとする。なお、金庫ボックス90を各格納棚12に格納するに際して、各格納部13の位置と金庫ボックス90の特定情報とを対応づけた格納位置情報が作成され、当該格納位置情報が制御ユニット96の記憶部又は当該制御ユニット96からアクセス可能な記憶部に記憶されている。
【0045】
この状態で、入力部98に対して所定の金庫ボックス90の特定情報及び当該金庫ボックス90を利用したい旨の指示を入力する。入力部98に対する入力は、本自動貸金庫装置10の利用者が行ってもよいし、別途存在する係員等が行ってもよい。すると、制御ユニット96は、格納位置情報を参照して特定された金庫ボックス90が存在する格納部13の位置を特定し、当該特定された格納部13に対向する位置に移載ユニット50を移動させるように、棚側搬送機構部40に動作指令を与える。これにより、移載ユニット50は当該特定された格納部13に対向する位置に移動する(図1のP2、図2参照)。この状態で、制御ユニット96から移載ユニット50に金庫ボックス90の取込み指令が与えられ、移載ユニット50は特定された格納部13から金庫ボックス90を取り込むようにして移載動作を行う(図1のP1参照)。
【0046】
上記動作が終了すると、制御ユニット96は、移載ユニット50を中間搬送機構部60と対向する位置に移動させるように、棚側搬送機構部40に動作指令を与える。これにより、移載ユニット50は、一方の格納棚12の前方の位置で、中間搬送機構部60と対向する位置に配設される。この状態で、制御ユニット96から移載ユニット50に金庫ボックス90の送り出し指令が与えられ、移載ユニット50は、自己に載置された金庫ボックス90を中間搬送機構部60に送り込むようにして移載動作を行う(図1のP3参照)。これにより、金庫ボックス90が中間搬送機構部60のうち、一方の格納棚12の前方の位置に載置される。
【0047】
上記移載動作が完了すると、制御ユニット96から中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30に金庫ボックス90をブース台20側へ搬送する指令が与えられる。もっとも、この指令は、移載動作開始時、移載動作中に与えられてもよい。すると、中間搬送機構部60は、一方の格納棚12の前方の位置から後方の位置に向けて金庫ボックス90を搬送してブース側搬送機構部30上に送り込み、ブース側搬送機構部30の搬送動作と協同してブース側搬送機構部30上に移載する(図1のP4参照)。さらに、ブース側搬送機構部30の搬送動作により、金庫ボックス90が天板開口23の下方まで水平移動される。
【0048】
金庫ボックス90がブース側搬送機構部30上の天板開口23の下方の位置に搬送されると、制御ユニット96からブース側搬送機構部30に金庫ボックス90を上昇させる旨の指令が与えられ、ブース側搬送機構部30は金庫ボックス90を上昇させる。これにより、金庫ボックス90は天板開口23から突出するようにしてブース台20に配設される。そして、金庫利用者は、当該金庫ボックス90を、自己に貸与された鍵等を用いて解錠し、蓋を開いて利用することができる。
【0049】
金庫ボックス90を格納部13に格納する場合には、上記とは逆の動作が行われる。
【0050】
すなわち、金庫利用者が金庫ボックス90の利用終了後に蓋を閉じて施錠した後、入力部98に対して金庫ボックス90を格納する旨の指示を入力する。入力部98に対する入力は、本自動貸金庫装置10の利用者が行ってもよいし、別途存在する係員等が行ってもよい。
【0051】
格納指示入力後、制御ユニット96による制御のもと、ブース側搬送機構部30が金庫ボックス90を下降移動させ、その後、ブース側搬送機構部30及び中間搬送機構部60は金庫ボックス90をブース台20内部から一方の格納棚12の前方の位置に搬送する(図1のP4参照)。
【0052】
この後、制御ユニット96による制御下、棚側搬送機構部40は、移載ユニット50を中間搬送機構部60と対向する位置に移動させ(図1のP2、図2参照)、続いて、移載ユニット50は中間搬送機構部60上の金庫ボックス90を取り込むように移載する(図1のP3参照)。続いて、棚側搬送機構部40は、移載ユニット50を、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動させる(図1のP2、図2参照)。金庫ボックス90を格納すべき格納部13の位置は、取出し前に格納されていた位置であってもよいし、他の空き位置であってもよい。後者の場合、格納位置情報を当該格納位置に合わせて更新するとよい。そして、移載ユニット50は、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動された状態で、自己に載置された金庫ボックス90を当該格納部13に送り込むようにして移載する(図1のP1参照)。これにより、金庫ボックス90が格納部13に格納され、動作を終了する。
【0053】
<中間搬送機構部について>
中間搬送機構部60は、複数の仕切部14のうち格納棚12の延在方向に隣合う仕切部14に対して自身が取り付けられることにより、当該隣合う仕切部14間に配設されている(図4、図5参照)。より具体的には、中間搬送機構部60は、上述した中間搬送用スペース18内に配設される(図2参照)。この中間搬送用スペース18は、隣合う仕切部14間の棚板15を下方から所定段省略して設けられている。すなわち、本中間搬送機構部60は、仕切部14を除去することなく配設可能に構成されている。なお、ここでは、格納棚12の延在方向に突出する各仕切部14の後端部14a同士の間隔が、金庫ボックス90より狭く形成されているため、金庫ボックス90を通過させる位置と中間搬送機構部60を配設する位置では、当該後端部14aの先端部分が切り欠かれている(図4参照)。もっとも、仕切部14のうち切り欠かれる部分は、中間搬送用スペース18を画している隣合う仕切部14の後端部14aの先端部分だけであり、当該隣合う仕切部14の他側方には、棚板15を取り付けて格納部13を設けることが可能である。ここで、隣合う仕切部14とは、中間搬送用スペース18を画している隣合う仕切部14のことを言う。
【0054】
この中間搬送機構部60は、フレーム62と、モータ64と、伝達部65と、2組の複数のプーリ66と、一対の搬送ベルト67とを有している(図6〜図8参照)。
【0055】
フレーム62は、間隔をあけて設けられている一対の側壁部62aを有している。より具体的には、フレーム62は、平面視略矩形に形成され、底部62bの側端部から底部62bに略直交する向きに一対の側壁部62aが立設されている。このフレーム62は、一対の側壁部62aの各外側にプーリ66及び搬送ベルト67を配設し、当該プーリ66及び搬送ベルト67が隣合う仕切部14に干渉しない程度に小さい幅寸法に設定されている。
【0056】
フレーム62は、隣合う仕切部14に対して、一対の第1支持部63aと、第2支持部63bとによって固定されている(図3〜図5参照)。
【0057】
一対の第1支持部63aは、板状部材を略直角に屈曲して形成された略L字形状の部材である。この一対の第1支持部63aは、各一片が水平面上に配設される姿勢で、各他片が隣合う仕切部14の側部に対して固定されている。より具体的には、一対の第1支持部63aは、格納棚12の前後方向視において、各一片が隣合う仕切部14の内側に向けて突出する姿勢で設けられている。ここでは、第1支持部63aの他片は、仕切部14に形成されている棚板15取り付け用の孔部を利用してボルトで固定されている。
【0058】
第2支持部63bは、板状部材を略直角に屈曲させて形成され、幅方向に長尺な略L字形状の部材である。第2支持部63bは、一片が水平面上に配設される姿勢で、他片の幅方向両端部が隣合う仕切部14の各後端部14aに対して固定(ここでは、ボルトで固定)されている。
【0059】
そして、フレーム62が一対の第1支持部63aの各一片及び第2支持部63bの一片の上に載置状に支持された状態で、当該各一片がフレーム62の底部62bに対してボルトで固定されている。これにより、フレーム62は、底部62bを略水平にした姿勢で、隣合う仕切部14間に支持される。
【0060】
また、第2支持部63bの幅方向両端部が固定される仕切部14の後端部14aに形成されているボルト固定用の孔部は、高さ方向に長い長孔状に形成されている(図示省略)。すなわち、中間搬送機構部60は、第2支持部63bによる支持位置で、高さ、傾きを微調整可能に構成されている。さらに、ここでは、中間搬送機構部60の高さ、傾きを微調整するための調整ブラケット63cが設けられている(図3、図4参照)。より具体的には、調整ブラケット63cは、幅広な略L字形状に形成された部材であり、第2支持部63bより下方の位置で一片が水平面上に配設される姿勢で、幅方向両端部が隣合う仕切部14の各後端部14aに対して固定(ここではボルト固定)されている。そして、フレーム62の底部62bには、調整ブラケット63cと上下方向で対向する位置に雌ねじ(ここではナット)が設けられた孔部が形成されており、この孔部にボルトが螺合されている。このボルトは先端部が調整ブラケット63cの一片に当接するように設けられ、当該ボルトを締付け或いは緩めることにより、上記仕切部14の後端部14aの長孔の範囲内で、第2支持部63bの固定位置を調整することができる。これにより、中間搬送機構部60の高さ、傾きを微調整することができる。
【0061】
2組の複数のプーリ66は、一対の側壁部62aそれぞれに対して、1組ずつ、外側に回転可能に支持されている(図6〜図8参照)。ここでは、一つの側壁部62aに対して4つのプーリ66が支持され、計8つのプーリ66が備えられている。より具体的には、複数のプーリ66は、それぞれ、回転軸が格納棚12の延在方向に沿う姿勢で支持されている。すなわち、プーリ66は、隣合う仕切部14間で内側に軸受けを設けて支持されている。この複数のプーリ66は、各上端部を結ぶ方向が直線状(ここでは格納棚12の前後方向に沿った直線状)になるように配設されている。ここでは、複数のプーリ66は、全て同径に形成され、各組の複数のプーリ66は、格納棚12の前後方向に沿って並列状に設けられている。もっとも、複数のプーリ66は、各上端部が直線状に位置する態様で支持されていれば、異なる径であってもよい。そして、各組の複数のプーリ66は、互いに一対の側壁部62aを挟んで対向している。以下、一対の側壁部62aを挟んで対向するプーリ66をそれぞれ対のプーリ66という。
【0062】
各組の複数のプーリ66のうち、格納棚12の前後方向における最前部及び最後部の対のプーリ66は、一対の側壁部62aに渡された軸部材に支持されている。最後部(図6、図8の最も右側)の対のプーリ66は、後述するモータ64により伝達部65を介して駆動されるように構成されている。このため、特に、最後部の対のプーリ66が支持されている軸部材は、ボールベアリング等の転がり軸受けを用いて支持されていることが好ましい。
【0063】
上記2組の複数のプーリ66には、1組ごとに搬送ベルト67が掛けられている。この搬送ベルト67は、複数のプーリ66が回転されると共に回動される。すなわち、搬送ベルト67は、最前部及び最後部のプーリ66の上端部間で、格納棚12の前後方向に沿って略直線移動される。この略直線移動される部分は、複数のプーリ66の上端部で支持されることにより、略直線状に延在している。そして、一対の搬送ベルト67上に金庫ボックス90が載置状に支持された状態で、プーリ66が回転されて搬送ベルト67が回動されると、当該金庫ボックス90が格納棚12の前後方向に搬送される。
【0064】
ここで、複数のプーリ66は、少なくとも上端部が、一対の側壁部62aの先端部より上方に突出するように一対の側壁部62aに対して支持されている(図6、図7参照)。すなわち、一対の側壁部62aそれぞれに支持される複数のプーリ66に掛けられている一対の搬送ベルトは、複数のプーリ66の上端部上で略直線移動される部分が一対の側壁部62aの先端部より上方の位置で移動される。これにより、上記のように一対の搬送ベルト67上に載置された金庫ボックス90を、一対の側壁部62aに干渉させることなく搬送することができる。
【0065】
また、搬送ベルト67は、金庫ボックス90を安定して載置状に支持する観点から、金庫ボックス90を、幅方向において、金庫ボックス90の幅寸法より狭い範囲で、より端部側で支持するように大きい間隔をあけて配設されるとよい。本構成によれば、プーリ66が内側の一対の側壁部62aの位置で軸受けにより支持されているため、より外側の位置に搬送ベルト67を設けることができる。
【0066】
この搬送ベルト67は、歯なしの平らな帯状に形成されたゴムベルトである。より具体的には、搬送ベルト67は、比較的(歯つきのゴムベルトに比べて)伸縮性が高いゴム製であり、伸張した状態で各組のプーリ66に対して掛けられている。このように、搬送ベルト67として歯なしの比較的伸縮性の高いゴムベルトを採用しているため、メンテナンス等の際に、搬送ベルト67の着脱を容易に行うことができる。
【0067】
もっとも、搬送ベルト67は、内側に歯が形成されたベルトであってもよく、この場合には、プーリ66が歯つきベルトに噛み合う歯車であるとよい。また、搬送ベルト67は、ゴム製に限られず、可撓性を有する樹脂製等のベルトであってもよい。
【0068】
ここで、上述した最前部の対のプーリ66が支持されている軸部材は、上方に向けて開口するように一対の側壁部62aに形成された凹部内に挿入されることにより支持されている(図6参照)。これにより、当該凹部の開口から軸部材を引き抜くだけで最前部の対のプーリ66を取り出すことができ、搬送ベルト67の着脱をより容易に行うことができる。
【0069】
また、一対の搬送ベルト67の上端部が配設される位置の上側方には、搬送ベルト67上で搬送される金庫ボックス90を案内するための一対の案内部61が設けられている(図3〜図5参照)。案内部61は、一方向に長尺な板状部材である。一対の案内部61は、金庫ボックス90の幅寸法より大きい(ここでは僅かに大きい)間隔をあけて、隣合う仕切部14の内側に、格納棚12の前後方向に沿って配設されている。この一対の案内部61は、それぞれ隣合う仕切部にボルト等で固定されている。そして、搬送ベルト67に載置されて搬送される金庫ボックス90は、この一対の案内部61の間を通って、案内部61に当接することにより格納棚12の前後方向に沿って案内される。また、案内部61の両端部は、金庫ボックス90を誘い込むように、端部に近づくほど格納棚12の延在方向に広がるように形成されている。
【0070】
モータ64は、2組の複数のプーリ66のうち、少なくともそれぞれ1つ(ここでは、最後部の対のプーリ66)を回転駆動する。ここでは、モータ64は、伝達部65を介して最後部の対のプーリ66を回転駆動する。
【0071】
伝達部65は、モータ64の軸部に相対回転不能に固定されたモータ側歯車65aと、最後部の対のプーリ66を支持する軸部材に相対回転不能に固定されたプーリ側歯車65bと、モータ側歯車65aとプーリ側歯車65bとに掛けられたチェーン65cとを有している。もっとも、伝達部65は、モータ64の軸部の回転力を、最後部の対のプーリ66を支持する軸部の回転力として伝達できればよく、プーリとベルトとを組み合わせた構成、歯車同士を噛み合わせた構成等、種々の構成を採用することができる。
【0072】
上記モータ64と伝達部65とは、一対の側壁部62a間に配設されている(図7、図8参照)。より具体的には、モータ64は、回転軸が一対の側壁部62aを結ぶ方向(格納棚12の延在方向)に沿う姿勢で、フレーム62の底部62bに固定されている。また、モータ側歯車65aが一対の側壁部62a間に位置するモータ64の軸部に固定され、プーリ側歯車65bが一対の側壁部62a間に渡されている最後部の対のプーリ66を支持する軸部材に固定され、このモータ側歯車65aとプーリ側歯車65bに掛けられたチェーン65cも一対の側壁部62a間に位置する。
【0073】
また、フレーム62の一対の側壁部62a間には、駆動制御基板69が配設されている(図8参照)。この駆動制御基板69は、モータ64の駆動用のモータドライバIC、制御ユニット96との通信を行うためのインターフェース回路、電源スイッチ等と接続される入出力回路等が搭載される基板である。駆動制御基板69は、フレーム62の底部62bに立設された支持部材69aに支持されることにより、一対の側壁部62a間に設けられている。ここでは、駆動制御基板69は、格納棚12の前後方向に略直交する姿勢で、支持部材69aに支持されている。
【0074】
上記のように一対の側壁部62aに設けられるモータ64、伝達部65及び駆動制御基板69(支持部材69a)は、少なくとも、搬送ベルト67の上端部より下方に位置するように設けられている。ここでは、フレーム62は、一対の側壁部62aの先端部が、モータ64及び駆動制御基板69(支持部材69a)の上端部より高くなるように形成されている。すなわち、一対の搬送ベルト67上に載置されて搬送される金庫ボックス90に対して、フレーム62内のモータ64、伝達部65及び駆動制御基板69(支持部材69a)が干渉することを防止するように構成されている。好ましくは、一対の側壁部62aは、モータ64及び伝達部65とプーリ66の軸部とが干渉しない範囲で、より小さい高さ寸法に設定されてコンパクト化されるとよい。
【0075】
また、一対の側壁部62aの間隔は、モータ64、伝達部65及び駆動制御基板69(支持部材69a)を、プーリ66の軸部と干渉しない範囲でより狭く設定されているとよい。これにより、一対の側壁部62aと、隣合う仕切部14との間のスペースを大きくすることができ、一対の側壁部62aに対して外側に支持されるプーリ66及び搬送ベルト67のメンテナンス等の作業性を向上させることができる。
【0076】
これまで、中間搬送機構部60を格納棚12のうち下方の位置に配設する例で説明したが、中間搬送機構部60は、必要に応じて格納棚12の高さ方向の任意の位置に配設可能である。すなわち、中間搬送機構部60は隣合う仕切部14の間に配設することが可能であるため、仕切部14を除去して補強等することを省略でき、中間搬送用スペース18を他の位置に設けることが比較的容易である。なお、ここでは、中間搬送機構部60を金庫室17の床上に載置して固定せず、仕切部14に固定しているため、中間搬送機構部60を最下段の格納部13より上方に配設する場合には、中間搬送機構部60の下方に棚板15を配設して格納部13を設けることもできる。
【0077】
上記構成に係る自動貸金庫装置10によると、中間搬送機構部60が、格納棚12の延在方向に隣合う仕切部14に対して取り付けられることにより、中間搬送機構部60を支持する他の構成を省略できるため、当該支持する構成の配設スペースにも格納部13を設けることができる。また、中間搬送機構部60が、隣合う仕切部14間に配設されているため、格納棚12を延在方向において配設スペースいっぱいに設計することができると共に、中間搬送機構部60周辺の仕切部14を残してその仕切部14も利用して側方にも格納部13を設けることができる。すなわち、中間搬送機構部60が固定されている隣合う仕切部14の側方の位置にも、当該仕切部14を利用して棚板15を配設し、格納部13を設けることができる。これにより、金庫ボックス90の格納数をできるだけ多くすることができる。
【0078】
また、搬送ベルト67が掛けられた複数のプーリ66が、フレーム62の一対の側壁部62aに対してそれぞれ外側で回転可能に支持されている。このため、2組のプーリ66を同じ間隔でフレーム62の一対の側壁部62aの内側に取り付ける場合と比べて、中間搬送機構部60全体の幅寸法を小さくすることができる。すなわち、本中間搬送機構部10では、プーリ66の軸受けを内側に設けているため、軸受け分の寸法だけ幅寸法を小さくできる。換言すると、本中間搬送機構部60によると、内側にプーリ66と搬送ベルト67とを設ける場合と比べて、同じ幅寸法でより外側に搬送ベルト67を設けることができ、より安定して金庫ボックス90を搬送することができる。また、搬送ベルト67をプーリ66の外側にずらすことで容易にプーリ66から外すことができ、搬送ベルト67の交換等のメンテナンスの作業性に優れる。
【0079】
また、プーリ66を駆動するモータ67が一対の側壁部62a間に配設されているため、フレーム62の外方にモータ64が配設される場合と比較して、中間搬送機構部60をコンパクトにすることができる。そして、コンパクトな中間搬送機構部60によると、仕切部14に対する取り付けを容易にすることができる。
【0080】
また、一対の側壁部62a間に設けられている伝達部65を介してプーリ66を回転駆動するため、プーリ66及び搬送ベルト67と、モータ64及び伝達部65とが側壁部62aを隔てて存在しており、それぞれのメンテナンスの作業性に優れる。
【符号の説明】
【0081】
10 自動貸金庫装置
12 格納棚
13 格納部
14 仕切部
20 ブース台
40 棚側搬送機構部
50 移載ユニット
60 中間搬送機構部
62a 側壁部
64 モータ
65 伝達部
66 プーリ
67 搬送ベルト
90 金庫ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の仕切部で延在方向に画され、金庫ボックスを格納可能な格納部を複数有する格納棚と、
前記格納棚の後方に設けられ、金庫利用者が金庫ボックスに対して物品を出し入れするためのブース台と、
前記格納棚の前方の位置と前記ブース台との間で、前記金庫ボックスを前記格納棚の前後方向に搬送可能な中間搬送機構部と、
前記各格納部との間及び前記中間搬送機構部との間で前記金庫ボックスを移載可能な移載ユニットと、
前記移載ユニットを、前記各格納部に対して前記金庫ボックスを出し入れする位置と、前記中間搬送機構部に対して前記金庫ボックスを受け渡しする位置との間で移動させる棚側搬送機構部と、
を備え、
前記中間搬送機構部は、前記複数の仕切部のうち前記格納棚の延在方向に隣合う仕切部に対して取り付けられることにより、前記隣合う仕切部間に配設されている、自動貸金庫装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動貸金庫装置であって、
前記中間搬送機構部は、
間隔をあけて設けられている一対の側壁部を有するフレームと、
前記一対の側壁部それぞれに対して、外側に回転可能に支持されている2組の複数のプーリと、
前記2組の複数のプーリに対して、1組ごとに掛けられている一対の搬送ベルトと、
を有している、自動貸金庫装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動貸金庫装置であって、
前記中間搬送機構部は、前記一対の側壁部間に配設され、前記2組の複数のプーリのうち少なくともそれぞれ1つを回転駆動するモータを有している、自動貸金庫装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動貸金庫装置であって、
前記モータは、前記一対の側壁部間に設けられている伝達部を介して、前記プーリを回転駆動する、自動貸金庫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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