説明

自動車のためのウィンドガラスワイパ装置

【課題】ウィンドガラスワイパ装置を収容するためのブラケットチューブへの駆動ユニットの組付けを簡単にし、かつ少数の個別構成部分を減らす。
【解決手段】駆動ユニット(2)がクランプ結合によって直接にブラケットチューブ(1)に結合され得るようにブラケットチューブ(1)の少なくとも所定の区分が形成されているようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のためのウィンドガラスワイパ装置であって、当該ウィンドガラスワイパ装置の駆動ユニットを収容するための少なくとも1つのブラケットチューブが設けられている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のウィンドガラスワイパ装置は、現在、主としてコンパクトな構成アッセンブリとして製造されており、ワイパ軸受けと、ウィンドガラスワイパ装置のための駆動ユニットとは、互いに固く結合されている。このような形式の結合部は、ワイパ軸受けと駆動ユニットとが互いに対して位置固定されていないいわゆる「ルーズリンク(Loose-Link)」式のウィンドガラスワイパ装置に比べて、製造公差および自動車への組込みの点で大きな利点を有している。公知先行技術によれば、駆動ユニットは、通常はたとえば鋳造ブラケットと、このブラケットチューブにクランプもしくは溶接されたモータホルダとによって実現されるか、あるいはまた駆動ユニットとブラケットチューブとの直接的なねじ締結によって実現される。この場合、「ブラケットチューブ」とは、一般にパイプ状の保持エレメントを意味しており、この保持エレメントは、ウィンドガラスワイパ装置に所属する構成アッセンブリ、たとえば駆動ユニット、レバーおよびワイパ軸受けを収容するために働く。この保持エレメント自体は自動車のボディ部分に取り付けられる。このような形式の解決手段の1例は、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第10329568号明細書に示されている。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10329568号明細書
【0003】
しかし、公知先行技術による解決手段に共通している不都合は、ブラケットチューブへの駆動ユニットの組付けが、一方では手間のかかることであり、他方では多数の個別構成部分を必要とすることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のウィンドガラスワイパ装置を改良して、ブラケットチューブへの駆動ユニットの組付けが簡単となり、かつ少数の個別構成部分で十分となるようなウィンドガラスワイパ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明による構成では、自動車のためのウィンドガラスワイパ装置であって、当該ウィンドガラスワイパ装置の駆動ユニットを収容するための少なくとも1つのブラケットチューブが設けられている形式のものにおいて、駆動ユニットがクランプ結合によって直接にブラケットチューブに結合され得るようにブラケットチューブの少なくとも所定の区分が形成されているようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によるウィンドガラスワイパ装置のブラケットチューブの少なくとも所定の区分が、駆動ユニットがクランプ結合によって直接にブラケットチューブに結合され得るように形成されていることによって、ウィンドガラスワイパ装置の、単純かつ容易に監視可能な製造プロセスが実現され得る。特に、ウィンドガラスワイパ装置が必要とする製造公差の維持が簡単になり、駆動ユニットのための別個のホルダが不要となることに基づいて構成部分の数が減じられる。
【0007】
ブラケットチューブの少なくとも所定の区分が、2つの脚部を有するプロファイルもしくは異形成形材として形成されており、駆動ユニットが、このアングルプロファイル(山形プロファイル)の両脚部の間にクランプ可能な少なくとも1つの突出部を有していることによって、駆動ユニットの、ブラケットチューブに対する簡単なセンタリングおよび位置決めが達成される。
【0008】
このためにはブラケットチューブの少なくとも所定の区分が、規定された開き角度、すなわちU字形の両脚部がU字形の基部に対して垂直な線に対して成す角度を有するU字形のプロファイルとして形成されており、駆動ユニットの少なくとも1つの突出部が、規定された円錐頂角を有するドームとして形成されていてもよく、この場合、ドームの円錐頂角はU字形のプロファイルの開き角度よりも大きい。このことによってブラケットチューブへの駆動ユニットの改善された位置決めとクランプ結合とが可能になる。
【0009】
ブラケットチューブに設けられた複数の孔を用いてブラケットチューブに対して駆動ユニットを相対的に位置決めするための、駆動ユニットに設けられた位置決めピンの配置事例は、駆動ユニットおよびブラケットチューブの位置決めがさらに改善され、組付けが簡略化され得るという利点を有している。
【0010】
この場合、ドームがねじ山を有しており、このねじ山にブラケットチューブがねじ締結され得ると有利である。このことは、たとえば、いわゆるねじ成形型のタッピングねじ(Gewindefurchschrauben)を使用して行うことができる。位置決めピンが、ドームの近傍に配置されていると有利であり、たとえば駆動ユニットに鍛接されている。これによって2つの空間方向での位置決めが可能になる。
【0011】
駆動ユニットの製造の複雑さは、駆動ユニットに設けられた突出部もしくは位置決めピンが、駆動ユニットの型抜き方向に配置されていることによりさらに減じられ得る。このことによって、たとえばアルミニウムダイカストやプラスチック射出成形のための工具の構造がより簡単にされる。
【0012】
配置の簡略化は、位置決めピン自体がブラケットチューブの孔内にクランプされることによっても達成され得る。当然ながら、プロファイルの脚部と、ドームとの間に付加的にクランプ結合が実現されていてもよい。
【0013】
突出部もしくは位置決めピンが、駆動ユニットの伝動装置ハウジングに配置されていると特に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面に付き詳しく説明する。
【0015】
実施例の説明
図1は、本発明による組付け原理を概略的に示している。この場合、ブラケットチューブ1は、駆動ユニット2を取り付けることが望まれる区分において、U字形のプロファイル、つまりU字形の異形成形材として形成されている。この駆動ユニット2は、主としてモータ21と、伝動装置ハウジング22とを有している。U字形のプロファイルの孔5内に、伝動装置ハウジング22に配置された位置決めピン7が係合し、これによって駆動ユニット2をブラケットチューブ1に対して位置決めする。同様に、同じく伝動装置ハウジング22に配置されているドーム6が、U字形のプロファイルの両脚部の間に係合し、ねじ3によって、ねじ山を介してブラケットチューブ1にねじ締結される。この場合、1つまたは複数の孔5が、組付けを簡略化するために、長孔として形成されていてよい。図1からはさらにドーム6および位置決めピン7が、伝動装置ハウジング22の型抜き方向の突出部として配置されていることが判る。
【0016】
図2a,図2b,図2cは、クランプ結合の種々異なる変化形を部分図で示している。
【0017】
図2aは、最も単純な第1の実施例を示す。この場合、ブラケットチューブ1の、クランプ結合のために使用される区分は、脚角度、すなわちU字形の両脚部がU字形の基部に対して垂直な線に対して成す角度が約5°であるU字形のプロファイルとして形成されている。このU字形のプロファイルには、ドーム6が係合する。この場合ドーム6は、約6°の円錐頂角を有しており、これによって、ドーム6を、ブラケットチューブ1のU字形のプロファイル内でセンタリングすることが簡単になる。同様に、図2aには、ドーム6の孔内にあるねじ山4が図示されている。このねじ山4を介して、ねじ(図示せず)を使用して、ブラケットチューブ1をドーム6に緊締させることができる。
【0018】
図2bは、本発明によるクランプ装置の第1の変化形を示す。このクランプ装置では、ブラケットチューブ1の、クランプ結合のために使用される区分が、H字形のプロファイルとして形成されている。この場合、ドーム6は、図2aに示した実施例と実質的に異なっていない。
【0019】
同様に図2cは、ブラケットチューブ1の、H字形のプロファイルとして形成された区分を示している。この場合、駆動ユニットに設けられた対応する領域が、図2aおよび図2bに示した実施例とは異なって実現されている。H字形のプロファイルの下側の両脚部は、この場合、約15mmの外寸(外側寸法)を有している。図2aおよび図2bに示された実施例とは異なって、ブラケットチューブ1の、クランプ結合のために使用される区分は、脚部の内面ではなく、脚部の外面でクランプされる。このことは、図2cに示したように、ドーム6の、クランプ結合のために使用される領域が、2つのほぼV字形の溝を有していることによって達成される。この場合、これらの溝の外側の境界線は、溝の約3分の1の高さのところで、たとえば14.5mmの間隔を保っている。これによって、ブラケットチューブ1とドーム6とのねじ締結時に、ブラケットチューブ1の下側の両脚部のクランプが、外側から達成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるウィンドガラスワイパ装置の概略図である。
【図2a】駆動ユニットとブラケットチューブの間のクランプ結合を示した部分図である。
【図2b】駆動ユニットとブラケットチューブの間のクランプ結合の別の可能性を示した部分図である。
【図2c】駆動ユニットとブラケットチューブの間のクランプ結合のさらに別の可能性を示した部分図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ブラケットチューブ
2 駆動ユニット
3 ねじ
4 ねじ山
5 孔
6 ドーム
7 位置決めピン
21 モータ
22 伝動装置ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のためのウィンドガラスワイパ装置であって、当該ウィンドガラスワイパ装置の駆動ユニット(2)を収容するための少なくとも1つのブラケットチューブ(1)が設けられている形式のものにおいて、駆動ユニット(2)がクランプ結合によって直接にブラケットチューブ(1)に結合され得るようにブラケットチューブ(1)の少なくとも所定の区分が形成されていることを特徴とする、自動車のためのウィンドガラスワイパ装置。
【請求項2】
ブラケットチューブ(1)の少なくとも所定の区分が、2つの脚部を有するプロファイルとして形成されており、駆動ユニット(2)が、少なくとも1つの突出部(6)を有しており、該突出部(6)が、前記プロファイルの両脚部の間にクランプ可能である、請求項1記載のウィンドガラスワイパ装置。
【請求項3】
ブラケットチューブ(1)の少なくとも所定の区分が、規定された開き角度を有するU字形のプロファイルとして形成されており、駆動ユニットの前記突出部(6)が、規定された円錐頂角を有するドームとして形成されており、ドームの円錐頂角が、U字形のプロファイルの開き角度よりも大きく形成されている、請求項2記載のウィンドガラスワイパ装置。
【請求項4】
駆動ユニット(2)に、ブラケットチューブ(1)に設けられた複数の孔(5)を用いてブラケットチューブ(1)に対して駆動ユニット(2)を相対的に位置決めするための位置決めピン(7)が配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のウィンドガラスワイパ装置。
【請求項5】
ドーム(6)が、ねじ山を有しており、該ねじ山に、ブラケットチューブ(1)がねじ締結されるようになっている、請求項3または4記載のウィンドガラスワイパ装置。
【請求項6】
駆動ユニット(2)の前記突出部(6)もしくは前記位置決めピン(7)が、駆動ユニット(2)の型抜き方向に配置されている、請求項2から5までのいずれか1項記載のウィンドガラスワイパ装置。
【請求項7】
前記位置決めピン(7)が、ブラケットチューブ(1)の前記孔(5)内にクランプされることにより、クランプ結合が実現されている、請求項4から6までのいずれか1項記載のウィンドガラスワイパ装置。
【請求項8】
駆動ユニット(2)が、伝動装置ハウジング(22)を有しており、該伝動装置ハウジング(22)に、前記突出部(6)が配置されている、請求項2から7までのいずれか1項記載のウィンドガラスワイパ装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【公開番号】特開2009−137580(P2009−137580A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311811(P2008−311811)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】