説明

自動車ガラスにおける位置決め用スペーサーの接着方法

【課題】自動車ガラスにおける黒セラミック部分に位置決め用スペーサーを接着するにあたり、接着剤の厚みを良好に維持できるものでありながら、接着作業効率の低下無く、接着面全体を接着剤により良好に接着できるようにする接着方法の提供。
【解決手段】位置決め用スペーサーの接着面14において、突起15と接着面14の周縁との最小離間距離をsとし、突起15の長径をdとしたとき、s>0.9dの関係を満足する位置に突起15を設けるとともに、接着剤の塗布領域を、接着面14における周縁と突起15との間を除く領域とし、接着剤の総塗布量が突起15の高さと接着面14の面積との積より多くなるように塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ガラスにおける位置決め用スペーサー(クリップとも呼ばれている)の接着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車におけるフロント窓ガラスやリア窓ガラスに対して位置決め用スペーサーを取り付ける場合、位置決め用スペーサーにスペーサープライマーを接着面全体に塗布し、接着面に接着剤を塗布した後、自動車ガラスにおける黒セラミック部位に押し当て、接着剤をスペーサーの接着面と自動車ガラスとの間で押し展ばして接着するといった手順が採られている。このような接着形態を採用する場合、接着剤層の厚みを均一にするのが困難であるため、接着面の周縁部に接着剤厚さを維持するための突起を設け、この突起の先端を自動車ガラス表面に当接させることにより、接着面と自動車ガラス表面との間隔を維持することが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
しかし、このような突起を設けた場合、ビード塗布のような簡易な塗布形態では、図5(b)に示すように、接着剤Bが突起15を完全に回り込めずに二手に分かれたまま接着面の周縁部14から食み出てしまい、外部から接着面14の周縁部と自動車ガラス表面との間に連通する隙間が形成されてしまう。そしてこのような隙間が形成されると、自動車ガラスを車体に取り付ける際、この隙間にガラスプライマーが侵入し、位置決め用スペーサーとガラス表面の黒セラミックとがガラスプライマーによって接着されてしまうことがあった。特に、現在良く採用されている曲面ガラスは、位置決め用スペーサーの接着部位が凹面となるため、位置決め用スペーサーの周縁部とガラス表面とがより近くに位置し、このようなガラスプライマーによる接着が起こり易い。
そして、このような事態が発生すると、位置決め用スペーサーの接着面の大部分は接着剤によりガラス表面の黒セラミックと接着されるが、その近傍の接着剤が行き渡らない部位では隙間に侵入したガラスプライマーがガラス表面の黒セラミックと接着され、ある程度の温度変化を受けたときに、接着剤とガラスプライマーとの熱収縮量の差に起因して、ガラスプライマーが黒セラミックを剥離させてしまうことがあった。このような黒セラミックの剥がれは、車外から見るとガラスが割れているように見え、好ましいものではない。
この問題点は、突起の周囲に予め接着剤を塗布しておく等、広範かつ丁寧な塗布形態を採用することにより解決することもできるが、作業効率の低下をもたらすため好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−8023号公報
【特許文献2】特開2008−127439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、接着剤の厚みを良好に維持できるものでありながら、接着作業効率の低下無く、接着面全体を接着剤により良好に接着できる接着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
接着面の周縁部に周方向に間隔を空けて3以上の突起を有する位置決め用スペーサーを、その接着面に接着剤を塗布した後、自動車ガラスにおける黒セラミック部位に押し当て、接着剤をスペーサーの接着面と自動車ガラスとの間で押し展ばして接着する接着方法であって、
前記突起と前記接着面の周縁との最小離間距離をsとし、前記突起の長径をdとしたとき、前記スペーサーはs>0.9dの関係を満足する位置に前記突起を有するものであり、
前記接着剤の塗布領域を、前記接着面における周縁と突起との間を除く領域とし、
前記接着剤を、総塗布量が前記突起の高さと前記接着面の面積との積より多くなるように塗布する、
ことを特徴とする、自動車ガラスにおける位置決め用スペーサーの接着方法。
【0007】
(作用効果)
本発明は、単に接着面に突起を設けるだけでなく、その位置を接着面の周縁から十分に内方に離間させて接着剤の回り込み距離を確保するとともに、接着剤の塗布領域を接着面における周縁と突起との間を除く領域として塗布作業を容易にし、更に接着剤を接着面の周縁全体から確実に食み出す量で塗布するものである。これによって、塗布作業の容易性を維持したまま、接着剤が突起の両側を回り込んで合流しつつ、接着面の周縁全体から一様に食み出すようになり、接着面の周縁部と自動車ガラス表面との間に隙間が形成されなくなる。そしてその結果、突起の存在により接着剤の厚さを維持できるものでありながら、自動車ガラスを車体に取り付ける際のガラスプライマーの侵入に起因する黒セラミックの剥離が防止することができる。
【0008】
<請求項2記載の発明>
前記スペーサーは、接着面が長方形の四つ角を所定の曲率半径で円弧状に角取りした形状を有しており、
前記接着面は、縦方向長さが5.0〜50.0mm、且つ横方向長さが10.0〜100mmの長方形であり、前記突起は、前記接着面の四隅近傍に設けられるとともに、これら四隅近傍の各突起と長手方向中央部との間にそれぞれ設けられており、
前記接着面の横方向長さをxとし、縦方向長さをyとし、前記曲率半径をrとしたとき、次の関係式を満たすものであり、
y/4 ≦ r ≦ y/2 …(1)
y/4 > s > y/7 …(2)
前記接着剤を、前記接着面の縦方向中央部に横方向に沿ってビード塗布するとともに、その塗布に際して、ビードの両端とその延長線が前記接着面の周縁と交差する位置との離間距離が、ビードと横方向縁との離間距離以下となるように塗布する、
請求項1記載の自動車ガラスにおける位置決め用スペーサーの接着方法。
【0009】
(作用効果)
前述した接着剤厚の均等化や接着剤の回り込み不足の問題は、横長のスペーサーにビード塗布を行う場合に顕著な問題である。よって、本発明はこのような場合に好適であり、その場合、特にスペーサーの寸法・形状及びビード塗布領域を上記のとおりにすると特に好ましい。
【0010】
<請求項3記載の発明>
前記接着剤のSOD粘度が30〜80Pa・sである、請求項1又は2記載の自動車ガラスにおける位置決め用スペーサーの接着方法。
【0011】
(作用効果)
接着剤の粘度は適宜定めることができるが、粘弾性や硬化するまでの作業性を考慮し、上記範囲内であると特に好ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり本発明によれば、接着剤の厚みを良好に維持できるものでありながら、接着作業効率の低下無く、接着面全体を接着剤により良好に接着できるようになり、もって車体取付後における黒セラミックの剥離を防止できる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】自動車ガラスを示す斜視図である。
【図2】位置決め用スペーサーの斜視図である。
【図3】位置決め用スペーサーの底面図である。
【図4】接着剤の塗布状態を示す、位置決め用スペーサーの底面図である。
【図5】接着剤の広がり方を示す、要部拡大図である。
【図6】車体取付状態を示す断面図である。
【図7】実験の各工程の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。
図1は自動車ガラスGの例を示している。この自動車ガラスGは、フロント窓ガラスやリア窓ガラスにおいて良く見られるように周縁部に黒セラミックプリントCが施されたものであり、この黒セラミックプリント部分Cにおける所定位置C1,C2に、位置決め用スペーサー10が接着されるものである。自動車ガラスGは、接着部位C1,C2が平坦なものであっても良いが、立体的な曲面であっても良い。後者の場合、接着剤の厚みを均等に維持するのが困難であるため、本発明に特に好適である。
【0015】
図2及び図3は、フロント窓ガラスの位置決め用スペーサー(クリップ)の例10を示している。この位置決め用スペーサー10は、図6からも判るように、ガラスGに対して接着される細長状の基板部11と、この基板部11の中央から室内側に突出し、自動車ボディの取り付け孔12に掛け止められる掛止突起13とを有する部品であり、基板部11の底面が接着面14を構成する。位置決め用スペーサー10の材質は適宜定めることができるが、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂等のエンジニアリングプラスチックを好適に用いることができる。
【0016】
位置決め用スペーサー10の寸法・形状は適宜定めることができる。フロントやリア窓ガラス用としては、ガラス支持力を十分なものとするために、縦方向長さyが5.0〜50.0mm、特に10.0〜20.0mm、且つ横方向長さxが10.0〜100mm、特に20.0〜80.0mm、且つx>2yである、横長形状の接着面14を有するものが多い。このような横長形状の場合は、四つ角を円弧状に角取りするのが好ましく、その場合の曲率半径rはy/4以上、y/2以下であるのが好ましい。
【0017】
位置決め用スペーサー10の接着面14の周縁部には、周方向に間隔を空けて突起15が並設されている。突起15の形状は適宜定めることができるが、曲面ガラスに対しても良好に当接できる点で球面状をなしているのが好ましい。突起15の寸法も適宜定めることができるが、突起15の長径(最も長い部分の径)dが過度に大きいと、接着剤Bの回りこみ距離が長くなるため、1.0〜2.0mm程度が好適である。また、突起15の高さhは維持すべき接着剤の厚みに応じて適宜定めることができるが、通常は0.2〜1.0mm程度とするのが好ましい。
【0018】
突起15の位置は、接着剤Bが確実に両側を回り込んで合流するように接着面14の周縁から十分に内方に離間させる。すなわち、突起15と接着面14の周縁との最小離間距離(離間距離が最小となる方向における離間距離)をsとし、突起の長径をdとしたとき、s>0.9dの関係を満足する位置に突起15が設けられる。より好ましいのは、s>1.2dの関係を満足する位置である。
【0019】
具体的に、前述の各寸法条件を満足する場合、突起15は、接着面14の四隅近傍に設けるとともに、これら四隅近傍の各突起15と長手方向中央部との間にも突起をそれぞれ設けることにより、ガラスG表面に対して安定して接触させることができ、位置決め用スペーサーの姿勢を安定させることができる。その場合、前述の離間距離sはy/7より大きくy/4未満であるのが好ましい。
【0020】
接着に際しては、位置決め用スペーサー10の接着面14の全面にスペーサープライマーP1を塗布し、さらに接着面14の所定部位に接着剤Bを塗布した後、自動車ガラスGにおける黒セラミック部位Cに押し当て、接着剤Bをスペーサー10の接着面14と自動車ガラスGとの間で押し展ばして接着する。この際、接着剤Bの塗布領域は、接着面14のうち周縁と突起15との間を除く領域とし、容易に塗布できるようにする。特に、図4に示すように、接着面14の長手方向に沿ってビード塗布するのが好ましい。具体的に図示形態のような横長形状の接着面14の場合、接着剤Bを、ビードBの両端とその延長線が接着面14の周縁と交差する位置との離間距離jが、ビードBと横方向縁との離間距離k以下となるように、接着面14の縦方向中央部に横方向に沿ってビード塗布するのが特に好ましい。特に好ましいビード塗布長さは、0.9×k≦j≦0.2×kである。ビード塗布を行う場合、ビードBの塗布幅(太さ)wは適宜定めることができるが、通常3〜10mm、特に4〜8mm程度であるのが好ましい。
【0021】
接着剤Bの総塗布量は突起15の高さhと接着面14の面積との積(接着面14とガラスG表面との隙間の容積に略等しい)よりも多くする。これにより、ガラスGに対して圧着する際、接着剤Bを接着面14の周縁全体から確実に食み出させることができる。
【0022】
黒セラミック部分Cに位置決め用スペーサー10が接着された自動車ガラスGは、車体取付に際して、位置決め用スペーサー10に隣接又は近接する部位にガラスプライマーP2が塗布され、このプライマー塗布部分において図6に示すようにダイレクトグレージング用接着剤20を介して車体に対して接着される。このガラスプライマーとしては、イソシアネート含有プライマー等を用いることができる。なお、図6中の符号21はダムシーラントラバーをそれぞれ示している。
【0023】
以上のように位置決めスペーサー10を接着することによって、図4及び図5(a)に二点鎖線で示すように、塗布作業の容易性を維持したまま、接着面14に塗布した接着剤Bが突起15の両側を回り込んで合流しつつ、接着面14の周縁全体から一様に食み出すようになり、接着面14の周縁部と自動車ガラスG表面との間に隙間が形成されなくなる。そしてその結果、突起の15存在により接着剤Bの厚さを維持できるものでありながら、自動車ガラスGを車体に取り付ける際のガラスプライマーの侵入に起因する黒セラミックの剥離が防止することができる。これに対して、図5(b)に示すように、接着剤Bが突起15を完全に回り込んで合流できずに二手に分岐した状態で、各分岐部が接着面の周縁部14から一度食み出てしまうと、それ以降はいくら押し付けても両分岐部は合流できず、外部から接着面14の周縁部と自動車ガラスG表面との間に連通する隙間15sが形成されてしまう。そしてこのような隙間が形成されると、自動車ガラスGを車体に取り付ける際、この隙間15sにガラスプライマーが侵入し、位置決め用スペーサー10とガラスG表面の黒セラミックCとがガラスプライマーによって接着されてしまう。これらの対比からも判るように、突起15と接着面14の周縁との最小離間距離sは、突起15と接着剤の合流点との最小離間距離s1より長いことが重要であり、本発明の条件であるs>0.9dは、このs及びs1の関係と対応するものである。
【0024】
他方、位置決め用スペーサーをガラスGに接着するための接着剤B、及び自動車ガラスと自動車ボディを接着する際の接着剤20としては、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系、変性シリコーン系等、公知の接着剤を使用することができ、1液型、2液型を問わず使用することができる。自動車には様々な振動が加わる為、比較的柔らかい接着剤が好ましく、特にウレタン系やシリコーン系が好適である。
【0025】
特に、位置決め用スペーサーをガラスGに接着するための接着剤BのSOD粘度は30〜80Pa・sのが好ましく、60〜70Pa・sであるのが特に好ましい。このような粘度範囲の接着剤であれば本発明の効果が十全に発揮される。
【実施例1】
【0026】
突起の直径dと、突起15と接着剤Bの合流点との最小離間距離s1との関係を調べるために、次のような実験を行った。図7は、実験の各工程を撮影した写真である。先ず、図7(a)に示すように、平坦な上面を有し、突起15に見立てた丸棒31(直径1.8mm)が上面から垂直に突出されている下板30を用意し、この下板30の上面における丸棒31の一方側に接着剤Bをビード塗布した。接着剤Bとしては横浜ゴム社製のハマタイトを用いた。また、接着剤Bの太さは6.0mmとし、塗布長さは30mmとし、ビードの長手方向中央と丸棒31の径方向とが直交するようにした。図7(b)に示すように、丸棒31と同じ直径の貫通孔を有し、下面が平坦な上板32を用意し、この上板32の貫通孔に下板30から突出する丸棒31を挿し通して、上板32を下板30上面に降下させ、図7(c)に示すように、接着剤Bが丸棒31を回り込んで合流するまで、上板32と下板30との間で接着剤Bを押し潰した。この際、突起15と接着剤Bの合流点との最小離間距離s1を定規により計測した。この試験を10回行った結果を表1に示した。同表から、最小離間距離s1の最大値は1.6mmであり、これと突起の直径d=1.8mmとの比をとると1.6/1.8=0.88≒0.9となる。よって、この結果から、突起15と接着面の周縁との最小離間距離sが0.9dより大きければ、接着剤Bが突起15を回り込んで確実に合流することが推定された。
【0027】
【表1】

【実施例2】
【0028】
図2及び図3に示されるものと同様のサンプルを作成した。
接着面14の縦方向長さyは14mm、横方向長さxは40mmとし、角取りの曲率半径は7.0mmとし、突起15は直径dが1.8mmの半径球面状とした。また、突起15と接着面14の周縁との最小離間距離sは角の4箇所については2.77mmとし、長手方向中央寄りの4箇所については2.15mmとした。以下、これをサンプルAという。
【0029】
サンプルAに対して、突起15の位置を縦方向に移動して最小離間距離sを0mmとしたものを作成した。以下、これをサンプルBという。
【0030】
これらサンプルの接着面の縦方向中央部に、図4に示すように横方向に沿って接着剤Bをビード塗布した後、平坦なガラス表面に突起15が当接するまで押し付けて接着した。接着剤Bとしては横浜ゴム社製のハマタイトを用いた。また、接着剤Bの塗布には円孔ノズルを用いた。接着剤の幅wは4mm及び6mmを目標として塗布した。塗布条件(j,k:図4参照)を変化させて接着剤Bが突起を回り込んで合流するか否か評価した。
【0031】
塗布条件及び評価結果を表2に示した。なお、表2の評価結果中、○は図4に二点鎖線で示すように接着剤Bが全ての突起15を回り込んで合流し、接着面14の周縁部全体から小判状に食み出したものを意味し、×は突起15において接着剤が二手に分かれたまま合流できずに接着面の周縁部から食み出て、外部から接着面の周縁部とガラス表面との間に連通する隙間が形成されたものがあることを意味するものである。突起を回り込んだ接着剤の突起からの距離が2mm(y/7)以上の場合は評価が○となった。
【0032】
また、角における接着剤の展開半径r1を次のように測定した。すなわち、サンプルの各角部における接着剤Bの周縁に対して、図4に示すように、横方向と平行で且つ接着剤の周縁に接する接線L1と、縦方向と平行で接着剤の周縁に接する接線L2とを定め、接線L1と接着剤の周縁との接点と、接線L1と接線L2との交点との距離rxを計測するとともに、接線L2と接着剤の周縁との接点と、接線L1と接線L2との交点との距離ryを計測し、これらの平均ra((rx+ry)/2)を求め、全ての角部の平均をr1(4ra/4)とする。
【0033】
結果を表2に示した。同表から、接着剤展開半径r1は(1/2)yから(1/4)yの間にあることが分かる。従って、長方形をした接着面の四つ角の曲率半径rはこの間の適当な半径であれば、接着剤が接着面を覆うことが可能となる。
【0034】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、自動車ガラスの黒セラミック部分に対し、位置決め用スペーサー(クリップ)を取り付ける際に利用可能である。
【符号の説明】
【0036】
10…位置決め用スペーサー、14…接着面、15…突起、20…接着剤、21…ダムシーラントラバー、G…自動車用フロント窓ガラス、C…黒セラミック、B…接着剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着面の周縁部に周方向に間隔を空けて3以上の突起を有する位置決め用スペーサーを、その接着面に接着剤を塗布した後、自動車ガラスにおける黒セラミック部位に押し当て、接着剤をスペーサーの接着面と自動車ガラスとの間で押し展ばして接着する接着方法であって、
前記突起と前記接着面の周縁との最小離間距離をsとし、前記突起の長径をdとしたとき、前記スペーサーはs>0.9dの関係を満足する位置に前記突起を有するものであり、
前記接着剤の塗布領域を、前記接着面における周縁と突起との間を除く領域とし、
前記接着剤を、総塗布量が前記突起の高さと前記接着面の面積との積より多くなるように塗布する、
ことを特徴とする、自動車ガラスにおける位置決め用スペーサーの接着方法。
【請求項2】
前記スペーサーは、接着面が長方形の四つ角を所定の曲率半径で円弧状に角取りした形状を有しており、
前記接着面は、縦方向長さが5.0〜50.0mm、且つ横方向長さが10.0〜100mmの長方形であり
前記突起は、前記接着面の四隅近傍に設けられるとともに、これら四隅近傍の各突起と長手方向中央部との間にそれぞれ設けられており、
前記接着面の横方向長さをxとし、縦方向長さをyとし、前記曲率半径をrとしたとき、次の関係式を満たすものであり、
y/4 ≦ r ≦ y/2 …(1)
y/4 > s > y/7 …(2)
前記接着剤を、前記接着面の縦方向中央部に横方向に沿ってビード塗布するとともに、その塗布に際して、ビードの両端とその延長線が前記接着面の周縁と交差する位置との離間距離が、ビードと横方向縁との離間距離以下となるように塗布する、
請求項1記載の自動車ガラスにおける位置決め用スペーサーの接着方法。
【請求項3】
前記接着剤のSOD粘度が30〜80Pa・sである、請求項1又は2記載の自動車ガラスにおける位置決め用スペーサーの接着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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