説明

自動車室内用の照明装置

【課題】自動車室内用の照明装置において、配光板における発熱を抑制する。
【解決手段】配光板20は、入射してくる光源14の直接光を透過させる第一入射領域24と、直接光の入射角が臨界角より大きいために、入射してくる直接光を反射する第二入射領域26とを含む。そして、反射板16は、その反射光を第二入射領域26に入射させ透過させるように配置されている。これにより、直接光と反射光という2つの光が配光板20の一つの領域に集光せずに別々の領域に別れて入射、透過するので、配光板20を透過する光の密度が低下して、その結果、配光板20の発熱を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車室内用の照明装置、特に運転席と助手席の間の天井に設けられた照明装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車室内には、夜間など周囲が暗くなったときに車室内を照らす照明装置が備えられている。この照明装置には、例えば、運転席と助手席との間の天井に設けられ、運転席や助手席に座る搭乗者が地図などを参照するときに手元を照らす装置が含まれる。
【0003】
図1には、このような照明装置110が示されている。照明装置110の筐体112は内部が中空であり、その天井面には、光源114と、光源114が出射する直接光を反射して、反射光を出射する反射板116とが設けられている。筐体112の下面には、車室の天井の一部となる意匠カバー118が設けられており、その意匠カバー118には、直接光と反射光を透過、屈折させて、それらの光を照射対象面に配光する配光板120が設けられている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−153015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1のような従来の照明装置110においては、光源114から放射状に出射する直接光の一部が反射板116により配光板120に集光されるので、照射対象面をより明るく照射することができる。しかしながら、反射板116から配光板120に反射光として集光される光と、光源114からの直接光とが配光板120の同じ領域において透過、屈折してしまい、配光板120が発熱してしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、配光板における発熱を抑制することができる自動車室内用の照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光源と、前記光源が出射した直接光を反射して、反射光を出射する反射板と、前記直接光と前記反射光を透過、屈折させて、それらの光を照射対象面に配光する配光板と、を有する自動車室内用の照明装置において、前記配光板は、入射してくる前記直接光を透過させる第一入射領域と、前記直接光の入射角が臨界角より大きいために、入射してくる前記直接光を反射する第二入射領域と、を含み、前記反射板は、前記反射光を第二入射領域に入射させ透過させるように配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記直接光を反射して、前記反射板に入射させるように反射光を出射する第二反射板を有し、前記反射板は、前記第二反射板が出射した反射光も反射して、前記第二入射領域に入射させることができる。
【0009】
さらに、前記配光板は、フレネルレンズであり、複数の入射面を領域分けすることにより、前記第一及び第二入射領域を構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の自動車室内用の照明装置は、配光板における発熱を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る自動車室内用の照明装置の実施形態について、図を用いて説明する。図2は、本実施形態の自動車室内用の照明装置10の構成を示す図であり、図3は、図2を拡大した図である。そして、図4は、図3のA方向から見た図である。
【0012】
照明装置10は、運転席と助手席の間の天井に設置された、いわゆるオーバーヘッドコンソールに設けられている。照明装置10の筐体12には、光源14と、光源14が出射する直接光を反射する反射板16とが収容されている。筐体12の内部は中空であり、この内部の天井面に、照明装置10の下面方向にある照射対象面を照射できるように光源14が下向きに設けられている。光源14の周囲には、反射板16と後述する第二反射板22が設けられている。照射対象面とは、運転席や助手席に座る搭乗者が地図などを参照するときに光で照らされる手元付近を含むように規定される面のことである。
【0013】
筐体12の下面には、車室の天井の一部となる意匠カバー18が設けられている。意匠カバー18には、直接光と反射板16からの反射光とを透過、屈折させて、それらの光を照射対象面に配光する配光板20が設けられている。
【0014】
配光板20は、光を屈折させるレンズであり、例えばプリズムの集合体からなるフレネルレンズである。このフレネルレンズは、断面がのこぎり状であり、複数の入射面20aを有する。複数の入射面20aの角度は、任意に決定され、全て同じ角度にも異なる角度にもすることができる。配光板20は、透光性を有する材質からなり、例えばポリカーボネートである。このポリカーボネートの臨界角は39度である。このため、光の入射角が39度より大きい場合、ポリカーボネートは光を反射する。入射角とは、光の入射方向と入射面の法線とがなす角度である。
【0015】
本発明に係る配光板20は、入射してくる直接光を透過させる第一入射領域24と、直接光の入射角が臨界角より大きいために、入射してくる直接光に対してはこれを反射する第二入射領域26を含む。そして、本発明に係る反射板16が、反射光を第二入射領域26に入射させ透過させるように配置されていることを特徴とする。
【0016】
第一入射領域24にある各入射面20aに向かい入射してくる直接光の入射角は、それぞれ臨界角未満である。したがって、第一入射領域24においては、直接光を透過させることができる。一方、第二入射領域26にある各入射面20aに向かい入射してくる直接光の入射角は、臨界角より大きい。したがって、第二入射領域26においては、直接光を透過させることができず、全て反射してしまう。
【0017】
本実施形態においては、図3に示される符号28の入射角が39度(臨界角)未満であり、かつ最も臨界角に近い角度である。したがって、そこにある入射面20aが配光板20に直接光を透過させることができる限界の入射面20aである。この入射面20aより紙面の左側の入射面20a、すなわち第二入射領域26においては、直接光の入射角が39度(臨界角)以上となり直接光を反射してしまう。
【0018】
第二入射領域においては、直接光を反射してしまうが、前述のように反射光が入射、透過することができる。したがって、配光板20においては、直接光が第一入射領域24に入射、透過して、反射光が第二入射領域26に入射、透過することになる。このように、直接光と反射光という2つの光が配光板20の一つの領域に集光せずに別々の領域に別れて入射、透過することにより、配光板20を透過する光の密度を低減することができ、その結果、配光板20の発熱を抑制することが可能となる。なお、反射板16からの反射光が全て第二入射領域26に入射する必要はなく、反射光が僅かに第一入射領域24に入射、透過してもよい。
【0019】
また、従来の照明装置110においては、直接光と反射光を配光板120の一つの領域に集光していたので、一つの入射面に異なる方向から光が入射し透過していた。そのため、その入射面を通過した光は配光板120から異なる方向に出射してしまい、配光特性を低下させていた。しかしながら、本発明に係る照明装置10においては、第一入射領域24の入射面20aに直接光が入射して透過し、第二入射領域26の入射面20aに反射光が入射して透過する。したがって、各入射領域24,26の入射面20aを通過した光は配光板20から一つの方向に出射することができ、配光特性を向上することができる。
【0020】
本実施形態の反射板16は、光源14より車両前方(紙面の左側)に配置されている。反射板16は、光源14を焦点とする断面略放物線状である。
【0021】
また、本実施形態の第二反射板22は、光源14より車両後方(紙面の右側)に配置されている。第二反射板22は、図4に示されるように略円弧状であり、光源14が出射する直接光を反射して、反射板16に入射させる。反射板16は、第二反射板22からの反射光も反射して、第二入射領域26に入射させる。なお、反射板16と第二反射板22を光源14に対し車両の前後に分けて配置したのは、照明装置10の設置スペースを小さくするためである。
【0022】
第二反射板22の反射光を反射板16に入射させることにより、反射板16が出射する反射光の光量を増加させることができる。これにより、各入射領域24,26を透過する直接光と反射光との輝度の差を少なくすることができるので、照射対象面の明るさのムラを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の自動車室内用の照明装置の構成を示す図である。
【図2】本実施形態の自動車室内用の照明装置の構成を示す図である。
【図3】図2の拡大図である。
【図4】図3のA方向から見た図である。
【符号の説明】
【0024】
10 照明装置、14 光源、16 反射板、20 配光板、22 第二反射板、24 第一入射領域、26 第二入射領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源が出射した直接光を反射して、反射光を出射する反射板と、
前記直接光と前記反射光を透過、屈折させて、それらの光を照射対象面に配光する配光板と、
を有する自動車室内用の照明装置において、
前記配光板は、
入射してくる前記直接光を透過させる第一入射領域と、
前記直接光の入射角が臨界角より大きいために、入射してくる前記直接光を反射する第二入射領域と、
を含み、
前記反射板は、前記反射光を第二入射領域に入射させ透過させるように配置されている、
ことを特徴とする自動車室内用の照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車室内用の照明装置において、
前記直接光を反射して、前記反射板に入射させるように反射光を出射する第二反射板を有し、
前記反射板は、前記第二反射板が出射した反射光も反射して、前記第二入射領域に入射させることを特徴とする自動車室内用の照明装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動車室内用の照明装置において、
前記配光板は、フレネルレンズであり、
複数の入射面を領域分けすることにより、前記第一及び第二入射領域が構成されることを特徴とする自動車室内用の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−61848(P2009−61848A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229951(P2007−229951)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】