説明

自動車玩具及び打撃ユニット

【課題】対戦相手に対する打撃及び自動車玩具を弾き飛ばす動きを多彩なものとして、ゲームの興趣性の向上を図る。
【解決手段】自動車玩具100であって、進行方向前側に設けられ、対戦相手となる相手方自動車玩具を打撃する第1打撃部材33と、第1打撃部材を付勢するための第1打撃用ばね34と、第1打撃用ばねの付勢力に抗して第1打撃部材を始動位置に係止する第1係止部材35とを備え、第1打撃部材は、相手方自動車玩具の衝突に基づいて第1係止部材35による係止が解除されると、第1打撃用付勢部材の付勢力によって移動範囲の後端側の始動位置から前方に移動して相手方自動車玩具を打撃する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車玩具及びこれに備わる打撃ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゼンマイやモータ等の駆動源により車輪を回転駆動させて自走する自動車玩具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、近年では、自動車玩具どうしを衝突させて対戦するゲームが知られている。この対戦ゲームに使用される自動車玩具の前側部には、対戦相手を打撃する打撃部が搭載されている。そして、ループ状等の無端の走行コースで、二台の自動車玩具を走行方向が互いに反対向きとなるように走行させて、これら自動車玩具の打撃部どうしを突き当てるように衝突させることにより対戦相手を弾き飛ばして勝敗を決する。
【特許文献1】特開2006−230723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、打撃部は、自動車玩具の前側部に不可動状態で固定されている。このため、対戦相手に対する打撃が打撃部を突き当てるだけとなって、自動車玩具を弾き飛ばす動きに変化をもたせることができなかった。
ここで、打撃部の形状を変更することで、打撃部を突き当てる状態を変化させることができるが、それだけでは自動車玩具を弾き飛ばす動きが変化に乏しく、ゲームの興趣性を向上させることができなかった。
特に、遊技者は、対戦ゲームを繰り返し行うことで、衝突の際の自動車玩具の向きや走行速度によって自動車玩具を弾き飛ばす動きをある程度予測できるようになるため、ゲームの興趣性を欠くことになってしまう。
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、対戦相手に対する打撃及び自動車玩具を弾き飛ばす動きを多彩なものとすることができ、これにより、ゲームの興趣性の向上を図ることができる自動車玩具及びこれに備わる打撃ユニットの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の自動車玩具は、
進行方向側に設けられ、対戦相手となる相手方自動車玩具を打撃する打撃部材と、
前記打撃部材を付勢するための打撃用付勢部材と、
前記打撃用付勢部材の付勢力に抗して前記打撃部材を始動位置に係止する係止部材と、
を備え、
前記打撃部材は、前記相手方自動車玩具の衝突に基づいて前記係止部材による係止が解除されると、前記打撃用付勢部材の付勢力によって前記始動位置から所定方向に動作して前記相手方自動車玩具を打撃することを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動車玩具において、
前記打撃部材は、当該自動車玩具の進行方向前側に設けられ、前後方向に沿って往復移動可能に構成されるとともに、移動範囲の後端側の前記始動位置に配置された状態で、前記係止部材による係止が解除されると、前記打撃用付勢部材の付勢力によって前記始動位置から前方に移動することを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の自動車玩具において、
前記係止部材を付勢するための係止用付勢部材を備え、
前記係止部材は、所定方向の軸を中心に回動可能に構成されるとともに、前記係止用付勢部材の付勢力に抗して前記打撃部材の所定部位と係合する係合爪を具備し、前記相手方自動車玩具との衝突に基づいて前記打撃部材が前記始動位置から更に後方に移動すると、前記係合爪と前記所定部位の係合が解除されて、前記係止用付勢部材の付勢力によって前記打撃部材から離れる方向に回動することを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の自動車玩具において、
前記打撃部材は、当該自動車玩具の進行方向前側に設けられ、上下方向の軸を中心として回動可能に構成されるとともに、前記始動位置に配置された状態で、前記係止部材による係止が解除されると、前記打撃用付勢部材の付勢力によって前記始動位置から所定方向に回動することを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の自動車玩具において、
前記係止部材は、左右方向及び上下方向に対して平行とならない一直線方向に沿って往復移動可能に構成されるとともに、前記始動位置に配置された前記打撃部材の所定部位と係合する係合部を具備し、前記係合部と前記所定部位が係合した係止位置に配置された状態で、前記相手方自動車玩具との衝突に基づいて前記係止位置から前記一直線方向に沿って後方に移動すると、前記係合部と前記所定部位の係合が解除されることを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の自動車玩具において、
前記係止部材を前方に付勢するための係止用付勢部材を備え、
前記打撃部材の所定方向に対する回動に従って当該打撃部材の押圧部により前記係合部が押圧されて前記係止部材が前記係止用付勢部材の付勢力に抗して前記一直線方向に沿って後方に移動していく過程で、前記押圧部による前記係合部の押圧が解除されると当該係止部材が前記係止用付勢部材の付勢力により前記一直線方向に沿って前方に移動して前記係合部が前記打撃部材の前記所定部位と係合することによって、前記打撃部材が前記始動位置に配置されることを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の自動車玩具において、
前記打撃部材は、当該自動車玩具の進行方向前側に設けられ、左右方向の軸を中心として上下に回動可能に構成されるとともに、前記始動位置に配置された状態で、前記係止部材による係止が解除されると、前記打撃用付勢部材の付勢力によって前記始動位置から上方に回動することを特徴としている。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の自動車玩具において、
前記係止部材は、左右方向及び上下方向に対して平行とならない一直線方向に沿って往復移動可能に構成されるとともに、前記始動位置に配置された前記打撃部材の所定部位と係合する係合部を具備し、前記係合部と前記所定部位が係合した係止位置に配置された状態で、前記相手方自動車玩具との衝突に基づいて前記係止位置から前記一直線方向に沿って後方に移動すると、前記係合部と前記所定部位の係合が解除されることを特徴としている。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の自動車玩具において、
前記係止部材を付勢するための係止用付勢部材を備え、
前記係止部材は、前記係止用付勢部材の付勢力によって前記打撃部材を始動位置に係止することを特徴としている。
【0014】
請求項10に記載の発明は、
自動車玩具の進行方向側に設けられた打撃ユニットであって、
対戦相手となる相手方自動車玩具を打撃する打撃部材と、
前記打撃部材を付勢する打撃用付勢部材と、
前記打撃用付勢部材の付勢力に抗して前記打撃部材を始動位置に係止する係止部材と、
を備え、
前記打撃部材は、前記相手方自動車玩具の衝突に基づいて前記係止部材による係止が解除されると、前記打撃用付勢部材の付勢力によって前記始動位置から所定方向に動作して前記相手方自動車玩具を打撃することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、打撃用付勢部材の付勢力によって打撃部材が始動位置から所定方向に動作して相手方自動車玩具を打撃することができるので、対戦相手に対する打撃及び自動車玩具を弾き飛ばす動きを多彩なものとすることができる。さらに、衝突の際の自動車玩具の向きを変更することで、打撃部材による対戦相手に対する打撃位置を変更することができ、自動車玩具を弾き飛ばす動きをより多彩なものとすることができる。
これにより、相手方自動車玩具との対戦ゲームの興趣性の向上を図ることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、打撃部材は、打撃用付勢部材の付勢力によって移動範囲の後端側の始動位置から前方に移動して、相手方自動車玩具を前方に突き放つようにして打撃することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、相手方自動車玩具との衝突に基づいて打撃部材が移動範囲の後端側の始動位置から更に後方に移動すると、係止部材の係合爪と打撃部材の所定部位の係合が解除され、係止部材が係止用付勢部材の付勢力によって打撃部材から離れる方向に回動することができ、これにより、打撃部材は、打撃用付勢部材の付勢力によって始動位置から前方に移動して、相手方自動車玩具を突き放つようにして打撃することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、打撃部材は、打撃用付勢部材の付勢力によって始動位置から上下方向の軸を中心として左右方向に回動して、相手方自動車玩具を左右方向に払い除けるようにして打撃することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、相手方自動車玩具との衝突に基づいて係止部材が係止位置から後方に移動すると、係止部材の係合部と打撃部材の所定部位の係合が解除され、これにより、打撃部材は、打撃用付勢部材の付勢力によって始動位置から上下方向の軸を中心として回動して、相手方自動車玩具を左右方向に払い除けるようにして打撃することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、打撃部材を上下方向の軸を中心として所定方向に回動させるだけで、係止部材の係合部と打撃部材の所定部位とを係合させることができるので、係止部材の係合部と打撃部材の所定部位との係合を簡便に行うことができる。
さらに、係止部材の係合部と打撃部材の所定部位が係合することで、打撃部材を始動位置に配置することができるので、打撃部材の始動位置への配置を簡便に行うことができる。また、係止用付勢部材の付勢力によって係止部材が打撃部材を始動位置に係止することができるので、自動車玩具の走行により振動や衝撃が加わっても、打撃部材が始動位置からずれ難くなって、打撃部材を始動位置に配置した状態を維持することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、打撃部材は、打撃用付勢部材の付勢力によって始動位置から左右方向の軸を中心として上方向に回動して、相手方自動車玩具を上方向に跳ね上げるようにして打撃することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、相手方自動車玩具との衝突に基づいて係止部材が係止位置から後方に移動すると、係止部材の係合部と打撃部材の所定部位の係合が解除され、これにより、打撃部材は、打撃用付勢部材の付勢力によって始動位置から左右方向の軸を中心として上方向に回動して、相手方自動車玩具を上方向に跳ね上げるようにして打撃することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、請求項7又は8に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、係止用付勢部材の付勢力によって係止部材が打撃部材を始動位置に係止することができ、自動車玩具の走行により振動や衝撃が加わっても、打撃部材が始動位置からずれ難くなって、打撃部材を始動位置に配置した状態を維持することができる。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、打撃用付勢部材の付勢力によって打撃部材が始動位置から所定方向に動作して相手方自動車玩具を打撃することができるので、対戦相手に対する打撃及び自動車玩具を弾き飛ばす動きを多彩なものとすることができる。さらに、衝突の際の自動車玩具の向きを変更することで、打撃部材による対戦相手に対する打撃位置を変更することができ、自動車玩具を弾き飛ばす動きをより多彩なものとすることができる。
これにより、相手方自動車玩具との対戦ゲームの興趣性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0026】
[実施形態1]
図1は、本発明を適用した実施形態1の自動車玩具100を示す斜視図である。また、図2は、自動車玩具100の対戦ゲームに用いられる走行コースCを模式的に示す斜視図である。また、図3は、自動車玩具100の分解斜視図である。
【0027】
図1及び図2に示すように、実施形態1の自動車玩具100は、所定の走行コースC上を対戦相手となる相手方自動車玩具100と互いに反対向きに走行して、当該相手方自動車玩具100と衝突することにより対戦相手を弾き飛ばす対戦ゲームに用いられるものである。
なお、以下の説明では、自動車玩具100の進行方向側を前側とし、反対側を後側とする。さらに、正面視にて、前後方向に直交する一方向を左右方向(幅方向)とし、前後方向及び左右方向の双方に直交する方向を上下方向とする。
【0028】
先ず、走行コースCについて説明する。
図2に示すように、走行コースCは、例えば、平面視にて外形略長円形状をなすループ状軌道を構成している。即ち、走行コースCは、直線状部C1と曲線状部C2が交互に組み合わされてなり、直線状部C1及び曲線状部C2の幅方向両側部には、走行面に対して略直角に起立したガードレールRが形成されている。
【0029】
曲線状部C2の走行幅、即ち、ガードレールRの間隔は、例えば、自動車玩具100が一台走行可能な幅に設定されている。
直線状部C1の走行幅、即ち、ガードレールRの間隔は、例えば、自動車玩具100が二台走行可能な幅に設定され、直線状部C1の曲線状部C2との接続部分は、曲線状部C2側になるにつれて走行幅が次第に狭まって自動車玩具100が一台走行可能な程度となっている。
【0030】
また、直線状部C1の曲線状部C2との接続部分の各々における外側のガードレールRには、自動車玩具100の走行方向変更部材11(後述)と接触して自動車玩具100の走行方向を変更するための変更部材接触部Tが設けられている。
変更部材接触部Tは、頂点がガードレールRの内面よりも突出するような断面略三角形状に形成されている。これにより、走行中の自動車玩具100の走行方向変更部材11が変更部材接触部Tに接触することで、当該自動車玩具100の走行ラインを変更可能となっている(詳細後述)。
【0031】
従って、曲線状部C2では、二台の自動車玩具100が前端どうしを突き合わせるようにした正面衝突となるが、直線状部C1では、走行ラインによっては、正面衝突、オフセット衝突、斜め衝突等のさまざまな形態での衝突が生ずる他、衝突せずにすれ違う場合も生ずることとなり、対戦ゲームの興趣性の向上を図ることができる。
【0032】
自動車玩具100は、図1〜図3に示すように、自動車の外形を模した形状に形成され、ボディ1と、ボディ1に取り付けられ、後輪(駆動輪)211を回転駆動させる駆動ユニット2と、ボディ1に取り付けられ、対戦相手を打撃する第1打撃ユニット3を備えている。
【0033】
先ず、ボディ1について図4(a)及び図4(b)を参照して説明する。
図4(a)及び図4(b)は、ボディ1を示す斜視図であり、図4(a)は、左右両側の走行方向変更部材11L、11Rを内向きに回動させた状態を表し、図4(b)は、右側の走行方向変更部材11Rのみを外向きに回動させた状態を表している。
【0034】
ボディ1は、例えば、プラスチックで構成され、図4(a)及び図4(b)に示すように、その内面後側に駆動ユニット取付用凹部12が設けられ、内面前側に打撃ユニット取付用凹部13が設けられている。
【0035】
駆動ユニット取付用凹部12は、ボディ1の内面後部にて左右方向に並んで2つ設けられている。また、各駆動ユニット取付用凹部12は、上下方向に延在する筒状に形成されている。
そして、2つの駆動ユニット取付用凹部12、12に駆動ユニット2の2つの後側突状部22、22(後述)を挿入して弾性的に係合させることで、ボディ1に駆動ユニット2が取り付けられるようになっている。
【0036】
打撃ユニット取付用凹部13は、ボディ1の内面前部にて左右方向に並んで2つ設けられている。また、各打撃ユニット取付用凹部13は、上下方向に延在する筒状に形成されている。
そして、2つの打撃ユニット取付用凹部13、13に打撃ユニットの2つの前側突状部321、321(後述)を挿入して弾性的に係合させることで、ボディ1に第1打撃ユニット3が取り付けられるようになっている。
【0037】
また、ボディ1の表面前側には、自動車玩具100の走行方向を変更するための走行方向変更部材11が設けられている。
走行方向変更部材11は、ボディ1の表面前部の左右両側に一つずつ設けられ、その基端部が上下方向の軸を中心として回動自在に軸着されている(図4(b)参照)。
なお、図4(b)にあっては、右側の走行方向変更部材11Rのみを回動させた状態を表している。
【0038】
左側の走行方向変更部材11Lは、基端部と反対側の先端部がボディ1の左側面よりも突出しない基準位置から左側に略90°回動自在に構成され、回動角度に応じて先端部の左側面からの突出量を変更自在となっている。一方、右側の走行方向変更部材11Rは、基端部と反対側の先端部がボディ1の右側面よりも突出しない基準位置から右側に略90°回動自在に構成され、回動角度に応じて先端部の右側面からの突出量を変更自在となっている。
【0039】
また、各走行方向変更部材11は、所定厚の板状に形成されている。また、各走行方向変更部材11の先端部は、基準位置に対して略90°回動させた状態で、前側縁部よりも後側縁部の方が長くなるように傾斜して形成されている。
これにより、左側の走行方向変更部材11Lがボディ1の左側面から突出した状態で、自動車玩具100が走行コースCを時計回りに走行する際に走行コースCの変更部材接触部Tと接触することで自動車玩具100が右側に弾かれて当該自動車玩具100の走行ラインが右斜め前方となるように変更される。
同様に、右側の走行方向変更部材11Rがボディ1の右側面から突出した状態で、自動車玩具100が走行コースCを反時計回りに走行する際に走行コースCの変更部材接触部Tと接触することで自動車玩具100が左側に弾かれて当該自動車玩具100の走行ラインが左斜め前方となるように変更される。
なお、自動車玩具100の走行ラインの変更度合は、左右の走行方向変更部材11L、11Rのボディの外側面からの突出量を変更することで調整することができる。
【0040】
次に、駆動ユニット2について図5を参照して説明する。
図5は、駆動ユニット2を示す斜視図である。
図5に示すように、駆動ユニット2は、後輪211を回転駆動させるゼンマイユニット21が駆動ユニットフレーム22に搭載されて構成されている。
【0041】
ゼンマイユニット21は、所謂、プルバック式のゼンマイユニット21であり、駆動輪となる2つの後輪211、211と、内部に配設されゼンマイ(図示略)と、ゼンマイの駆動力を後輪駆動軸(図示略)を介して2つの後輪211、211に伝達するためのギヤ等の動力伝達機構(図示略)とを備えている。
そして、ゼンマイユニット21は、後輪211を走行面に押し付けた状態で後退させて後輪211を後転させるとゼンマイが巻き上げられ、押し付けを解除すると巻き上げられたゼンマイの巻き戻り力で後輪211を前転させて前進走行することができるようになっている。
【0042】
駆動ユニットフレーム22は、例えば、プラスチックで構成され、前後方向前端部から略中央部にかけて、ゼンマイユニット21が着脱自在に取り付けられるゼンマイユニット取付部221が設けられている。
また、ゼンマイユニット取付部221の後側には、2つの駆動ユニット取付用凹部12、12に挿脱自在な2つの後側突状部22、22が立設されている。
【0043】
2つの後側突状部22、22は、2つの駆動ユニット取付用凹部12、12の間隔に対応させて所定の間隔を空けて左右方向に並設されている。また、各後側突状部22は、例えば、断面略正六角形状を有し、駆動ユニットフレーム22表面から上方向に延出するように形成されている。
後側突状部22の外径、即ち、正六角形の対角線の長さは、駆動ユニット取付用凹部12の内径と略等しいか、或いは、これよりもわずかに大きくなっている。なお、後側突状部22の断面形状は、正六角形状に限られるものではない。
【0044】
また、駆動ユニットフレーム22の後側突状部22よりも後側には、ガードレールRの内面に接触する後側ガイドローラ23が設けられている。
後側ガイドローラ23は、駆動ユニットフレーム22の後端部に左右方向に並んで2つ設けられている。また、2つの後側ガイドローラ23、23の各々は、ほぼ等しい形状を有している。
各後側ガイドローラ23は、上下方向の軸を中心として回転自在に取り付けられており、駆動ユニット2がボディ1に取り付けられた状態で、当該後側ガイドローラ23の外周端部がボディ1の側面よりも左右方向外側に配置されるようになっている。
【0045】
これにより、自動車玩具100が走行コースCを走行する際に、ガードレールRの内側面に後側ガイドローラ23の外周部が接触して後側ガイドローラ23が回転することで、自動車玩具100がガードレールRに沿って走行するように案内される。
また、自動車玩具100のボディ1がガードレールRの内側面に接触することを防止することができ、走行速度の低下を抑制することができるだけでなく、ボディ1に傷がつくのを防止することができる。
【0046】
次に、第1打撃ユニット3について図6〜図8を参照して説明する。
図6は、第1打撃ユニット3の動作前の状態を示す斜視図であり、図7は、第1打撃ユニット3の動作後の状態を示す斜視図である。
【0047】
図6及び図7に示すように、第1打撃ユニット3は、2つの前輪31、31が回転自在に取り付けられた第1打撃ユニットフレーム32に、対戦相手を前後方向に突き放つようにして打撃する第1打撃部材33と、第1打撃部材33を前側に付勢するための第1打撃用ばね(打撃用付勢部材)34と、第1打撃用ばね34の付勢力に抗して第1打撃部材33を始動位置に係止する第1係止部材35と、第1係止部材35を付勢するための第1係止用ばね(係止用付勢部材)36が搭載されて構成されている。
【0048】
第1打撃ユニットフレーム32は、例えば、プラスチックで構成され、前後方向後側部分に前輪回転軸311を介して前輪31が回転自在に取り付けられている。
また、前輪31の前側には、2つの打撃ユニット取付用凹部13、13に挿脱自在な2つの前側突状部321、321が立設されている。
【0049】
2つの前側突状部321、321は、2つの打撃ユニット取付用凹部13、13の間隔に対応させて所定の間隔を空けて左右方向に並設されている。また、各前側突状部321は、例えば、断面略正六角形状を有し、第1打撃ユニットフレーム32表面から上方向に延出するように形成されている。
前側突状部321の外径、即ち、正六角形の対角線の長さは、打撃ユニット取付用凹部13の内径と略等しいか、或いは、これよりもわずかに大きくなっている。なお、前側突状部321の断面形状は、正六角形状に限られるものではない。
【0050】
また、第1打撃ユニットフレーム32の前側突状部321よりも前側には、ガードレールRの内面に接触する前側ガイドローラ322が設けられている。
前側ガイドローラ322は、第1打撃ユニットフレーム32の前後方向略中央部の左右両側に2つずつ設けられている。また、4つの前側ガイドローラ322、…の各々は、ほぼ等しい形状を有している。
左右両側の各々2つの前側ガイドローラ322、322は、上下方向の同一軸状に回転自在に取り付けられており、第1打撃ユニット3がボディ1に取り付けられた状態で、当該前側ガイドローラ322の外周端部がボディ1の側面よりも左右方向外側に配置されるようになっている。
【0051】
これにより、自動車玩具100が走行コースCを走行する際に、ガードレールRの内側面に前側ガイドローラ322の外周部が接触して前側ガイドローラ322が回転することで、自動車玩具100がガードレールRに沿って走行するように案内される。
また、自動車玩具100のボディ1がガードレールRの内側面に接触することを防止することができ、走行速度の低下を抑制することができるだけでなく、ボディ1に傷がつくのを防止することができる。
【0052】
第1打撃ユニットフレーム32の左右両側の2つずつの前側ガイドローラ322、322の間には第1取付面部323(図8(a)等参照)が設けられ、当該第1取付面部323に第1打撃部材33及び第1係止部材35が取り付けられた第1取付部材37が配設されている。
【0053】
第1取付部材37は、第1打撃ユニットフレーム32の第1取付面部323に対して着脱自在に取り付けられるものである。
また、第1取付部材37は、内側に第1打撃部材33が挿通される打撃部材挿通部371が設けられている。
【0054】
打撃部材挿通部371は、第1打撃部材33の挿通方向に沿った断面が略矩形状に形成され、左右両側壁には、第1打撃部材33の凸部332(後述)が係合するガイド部372が形成されている。
ガイド部372は、左右両側壁の各々を左右に貫通して形成され、凸部332の上下方向の幅とほぼ等しいか、或いはこれよりもわずかに大きい上下幅を有している。また、ガイド部372は、第1取付部材37の後端部から前側に前後方向に沿って長尺に形成されており、その長さは第1打撃部材33の前後方向に対する往復移動距離(移動範囲)に応じて設定されている。
【0055】
そして、打撃部材挿通部371の後端側から挿入された第1打撃部材33の凸部332がガイド部372と係合して摺動することで第1打撃部材33の前後方向に対する往復移動を案内可能となっている。
なお、第1打撃部材33は、凸部332がガイド部372の前端部に当接することで前側に抜け止めされるとともに、凸部332が第1取付面部323の前面に当接することで後側に抜け止めされている。
【0056】
また、打撃部材挿通部371の上面の後端には、第1係止部材35を軸支する係止部材軸受部373が設けられている。
係止部材軸受部373は、打撃部材挿通部371の上面の左右両側部から上側に起立して形成され、第1係止部材35が左右方向の軸心周りに回動自在となるように回動軸374を軸支するものである。回動軸374の周囲には、第1係止用ばね36が配設されている。
第1係止用ばね36は、例えば、ねじりコイルばねが適用され、回動軸374にコイル部分が外挿され、一端部が打撃部材挿通部371の上面のばね固定部375に固定されるとともに、他端部が第1係止部材35に固定されている。
そして、第1係止用ばね36によって上方向(第1打撃部材33から離れる方向)に付勢された状態で、第1係止部材35が係止部材軸受部373に軸着されている。
【0057】
第1係止部材35は、第1打撃部材33を始動位置(後述)に係止する係止位置に配設された状態(図8(a)参照)で、回動軸374が挿通される挿通孔が形成された基端部351から前側に延出された腕部352と、腕部352の先端部に連続して形成され、先端が第1打撃部材33側(下向き)に屈曲した屈曲部353とを備えている。
【0058】
腕部352の基端部351側の部分は、第1係止用ばね36のコイル部分を左右方向に挟むように二股状に分かれて形成され、各肢部分に左右方向に貫通した挿通孔が形成されている。
【0059】
屈曲部353の先端部には、第1打撃部材33の係合凹部333と係合する係合爪354が形成されている。
係合爪354は、当該第1係止部材35が係止位置に配設された状態(図8(a)参照)で、屈曲部353の後面(内面)から後側に延出されてなり、屈曲部353の後面に対して略直角に形成されている。
【0060】
このように構成された第1係止部材35は、図6〜図8に示すように、左右方向の回動軸374を中心として第1係止用ばね36の付勢力に抗して第1打撃部材33側に回動させて当該第1打撃部材33の係合凹部333に係合爪354を係合させることで、第1打撃部材33を始動位置に係止する係止位置に配置された状態となる(図8(a)参照)。
この状態で、係合爪354と係合凹部333の係合が解除されると、第1係止部材35は、第1係止用ばね36の付勢力によって上方向(第1打撃部材33から離れる方向)に回動する(図8(c)参照)。
【0061】
第1打撃部材33は、第1取付部材37の内側に収納されて、前側に付勢する第1打撃用ばね34を介して第1打撃ユニットフレーム32に取り付けられている。
また、第1打撃部材33は、外形が略直方体状に形成された胴体部331を備えている。
【0062】
胴体部331の左右側面には、ガイド部372に係合する凸部332がそれぞれ形成されている。凸部332は、胴体部331の左右側面から突出されてなり、外形が略直方体状に形成されている。
また、胴体部331の前側上部には、前端から後側に凹んで形成され、係合爪354が係合する係合凹部333が設けられている。
係合凹部333の下側には、当該第1打撃部材33が第1係止部材35により始動位置に係止された状態(図8(a)参照)で、第1係止部材35の屈曲部353の前面よりも前側に突出した2つの突出部334、334が形成されている。2つの突出部334、334は、当該第1打撃部材33の前端面の左右両縁部に設けられている。
【0063】
また、胴体部331の内側には、後端から前側に凹んで形成され、第1打撃用ばね34の一端部が配置されるばね配置凹部335が設けられている。
【0064】
第1打撃用ばね34は、例えば、圧縮コイルばねが適用され、ばね配置凹部335と反対側の他端部は、第1打撃ユニット3が第1打撃ユニットフレーム32に取り付けられた状態で、当該第1打撃ユニットフレーム32の第1取付面部323の前面に当接するようになっている。
これにより、第1打撃部材33が第1打撃ユニットフレーム32に対して相対的に後側に移動することで第1打撃用ばね34が圧縮された状態となり、この第1打撃用ばね34の圧縮が解除されることにより、第1打撃部材33を第1打撃ユニットフレーム32に対して相対的に前側に移動させる。
【0065】
また、第1打撃部材33は、第1打撃用ばね34を圧縮させるようにして後側に移動して第1係止部材35により始動位置に係止される。即ち、第1打撃部材33の始動位置は、前後方向の移動範囲の後端側に設けられている。
そして、第1打撃部材33は、第1係止部材35による係止が解除されると、第1打撃用ばね34の付勢力によって始動位置よりも前方に移動範囲の前端まで移動する。
【0066】
次に、第1打撃ユニット3の動作について図8(a)〜図8(c)を参照して説明する。
図8(a)〜図8(c)は、第1打撃ユニット3の動作を説明するための断面図であり、図8(a)は、図6のI−I線における第1打撃ユニット3の断面図であり、図8(b)は、第1係止部材35による第1打撃部材33の係止が解除された状態を説明するための断面図であり、図8(c)は、図7のII−II線における第1打撃ユニット3の断面図である。
なお、図8(a)〜図8(c)にあっては、凸部332、ガイド部372を模式的に二点鎖線で表している。
【0067】
先ず、第1打撃部材33の始動位置、即ち、第1係止部材35の係止位置について説明する。
第1打撃部材33が第1打撃用ばね34の付勢力に抗して後側に移動させるとともに、第1係止部材35を第1係止用ばね36の付勢力に抗して下向きに回動させて、第1係止部材35の係合爪354を第1打撃部材33の係合凹部333に係合させる。
これにより、図8(a)に示すように、第1打撃部材33は第1打撃用ばね34の付勢力に抗して始動位置に配置されるとともに、第1係止部材35は第1係止用ばね36の付勢力に抗して係止位置に配置された状態となる。
【0068】
かかる状態で、図8(b)に示すように、第1打撃部材33が始動位置から更に後方に移動すると、即ち、対戦ゲームにて対戦相手である相手方自動車玩具100との衝突に基づいて第1打撃部材33が始動位置から更に後方に移動すると、係合凹部333と係合爪354の係合が解除される。
すると、第1係止部材35が、第1係止用ばね36の付勢力によって上方向に第1打撃部材33から離れるように回動するとともに、第1係止部材35による係止が解除された第1打撃部材33が、第1打撃用ばね34の付勢力によって移動範囲の前端まで移動する(図8(c)参照)。
これにより、対戦ゲームにて、相手方自動車玩具100と衝突した際に、当該相手方自動車玩具100を第1打撃部材33により付き放つことができる。
【0069】
以上のように、実施形態1の自動車玩具100によれば、相手方自動車玩具100との衝突に基づいて第1打撃部材33が移動範囲の後端側の始動位置から更に後方に移動すると、第1係止部材35の係合爪354と第1打撃部材33の係合凹部333の係合が解除され、第1係止部材35が第1係止用ばね36の付勢力によって上方向に回動することができ、これにより、第1打撃用ばね34の付勢力によって第1打撃部材33が始動位置から前方に移動して相手方自動車玩具100を前方に突き放つように打撃することができるので、対戦相手に対する打撃及び自動車玩具100を弾き飛ばす動きを多彩なものとすることができる。さらに、衝突の際の自動車玩具100の向きを変更することで、第1打撃部材33による対戦相手に対する打撃位置を変更することができ、自動車玩具100を弾き飛ばす動きをより多彩なものとすることができる。
これにより、相手方自動車玩具100との対戦ゲームの興趣性の向上を図ることができる。
【0070】
また、第1打撃用ばね34の付勢力によって第1打撃部材33が前方に付勢されることで第1係止部材35により第1打撃部材33を始動位置に係止することができるので、自動車玩具100の走行により振動や衝撃が加わっても、第1打撃部材33が始動位置からずれ難くなって、第1打撃部材33を始動位置に配置した状態を維持することができる。
【0071】
なお、上記実施形態1にあっては、第1係止部材35として左右方向の軸を中心として回動自在に構成されたものを例示したが、第1係止部材35の回動軸の延在方向はこれに限られるものではなく、左右方向以外の軸、例えば、上下方向、前後方向、これらの方向と所定の角度で交わる方向であっても良い。
また、第1係止部材35に係合爪354を設けるとともに第1打撃部材33に係合凹部333を設け、これらを係合させるようにしたが、例えば、第1打撃部材に係合部を設けるとともに第1係止部材に係合用凹部を設けるようにしても良い。
【0072】
[実施形態2]
以下に、実施形態2の自動車玩具200について、図9〜図12を参照して説明する。
図9は、本発明を適用した実施形態2の自動車玩具200を示す分解斜視図である。
図10は、第2打撃ユニット203の動作前の状態を示す斜視図であり、図11は、第2打撃ユニット203の動作後の状態を示す斜視図である。
【0073】
実施形態2の自動車玩具200は、図9〜図11に示すように、ボディ1に対戦相手を左右方向に払い除けるようにして打撃する第2打撃部材233を備える第2打撃ユニット203が取り付けられている。
なお、実施形態2の自動車玩具200は、第2打撃ユニット203の構成以外の点で上記実施形態1の自動車玩具100と略同様の構成をなし、その説明は省略する。
【0074】
第2打撃ユニット203は、第2打撃ユニットフレーム32Bに、第2打撃部材233と、第2打撃部材233を付勢するための第2打撃用ばね(打撃用付勢部材)234と、第2打撃用ばね234の付勢力に抗して第2打撃部材233を始動位置に係止する第2係止部材235と、第2係止部材235を前側に付勢するための第2係止用ばね(係止用付勢部材)236が搭載されて構成されている。
【0075】
第2打撃ユニットフレーム32Bの左右両側に設けられた前側ガイドローラ322の間には、第2取付面部323Bが設けられ、当該第2取付面部323Bに第2打撃部材233及び第2係止部材235が取り付けられた第2取付部材237が配設されている。
なお、第2打撃ユニットフレーム32Bは、第2取付部材237、第2打撃部材233、第2打撃用ばね234、第2係止部材235、第2係止用ばね236を搭載する以外の点で第1打撃ユニットフレーム32と略同等の構成をなし、その説明は省略する。
【0076】
第2取付部材237は、第2打撃ユニットフレーム32Bの第2取付面部323Bに対して着脱自在に取り付けられるものである。
第2取付部材237の下端部には、内側に第2係止部材235が挿通される第2係止部材挿通部2371が設けられている。
【0077】
第2係止部材挿通部2371は、前後両端が開口してなり、第2係止部材235の挿通方向に沿った断面が略矩形状に形成され、左右内側面に第2係止部材235の第1凸部2352(後述)が係合する溝状の第1ガイド部2372が形成されている。また、第2係止部材挿通部2371の上壁に、第2係止部材235の第2凸部2353(後述)が係合する第2ガイド部2373が形成されている。
【0078】
第1ガイド部2372は、第1凸部2352の上下方向の幅とほぼ等しいか、或いはこれよりもわずかに大きい上下幅を有している。また、第1ガイド部2372は、第2係止部材挿通部2371の後端部から前側に前後方向に沿って長尺に形成されており、その長さは第2係止部材235の前後方向に対する往復移動距離に応じて設定されている。
第2ガイド部2373は、第2係止部材挿通部2371の上壁を上下に貫通して形成され、第2凸部2353の左右方向の幅とほぼ等しいか、或いはこれよりもわずかに大きい左右幅を有している。また、第2ガイド部2373は、第2係止部材挿通部2371の後端部から前側に前後方向に沿って長尺に形成されており、その長さは第1ガイド部2372の長さとほぼ等しくなっている。
【0079】
そして、第2係止部材挿通部2371の後端側から挿入された第2係止部材235の第1凸部2352が第1ガイド部2372と係合するとともに第2凸部2353が第2ガイド部2373と係合して摺動することで第2係止部材235の前後方向に対する往復移動を案内可能となっている。
なお、第2係止部材235は、第1凸部2352が第1ガイド部2372の前端部に当接するとともに、第2凸部2353が第2ガイド部2373の前端部に当接することで前側に抜け止めされている。また、第2係止部材235は、第2係合部2354が第2取付面部323Bの前面に当接することで後側に抜け止めされている。
【0080】
ここで、第2係止部材235について説明する。
第2係止部材235は、第2取付部材237の第2係止部材挿通部2371に挿通されて、前側に付勢する第2係止用ばね236を介して第2打撃ユニットフレーム32Bに取り付けられている。
また、第2係止部材235は、外形が略直方体状に形成された胴体部2351を備えている。
【0081】
胴体部2351の前端面の左右両側縁部は、内側に凸の円弧状に面取りされている。
また、胴体部2351の左右側面には、第1ガイド部2372に係合する第1凸部2352、2352がそれぞれ形成されている。第1凸部2352は、胴体部2351の左右側面から突出されてなり、外形が略直方体状に形成されている。
また、胴体部2351の上側面には、第2ガイド部2373に係合する第2凸部2353が形成されている。第2凸部2353は、胴体部2351の上側面から突出されてなり、外形が前後方向に長尺な略直方体状に形成されている。第2凸部2353の上下長は、第2ガイド部2373に係合した状態で、第2係止部材挿通部2371の上壁から突出しない程度に設定されている。
【0082】
第2凸部2353の後端部には、第2打撃部材233の被係合部A2(後述)と係合する第2係合部2354が設けられている。
第2係合部2354は、第2凸部2353の上端よりもさらに上側に突出されてなり、外形が略直方体状に形成されている。なお、第2係合部2354の上下長は、第2凸部2353が第2ガイド部2373と係合した状態で、第2係止部材挿通部2371の上壁から突出して被係合部A2と係合可能な程度に設定されている。
【0083】
また、胴体部2351の内側には、後端から前側に凹んで形成され、第2係止用ばね236の一端部が配置されるばね配置凹部2355が設けられている。
【0084】
第2係止用ばね236は、例えば、圧縮コイルばねが適用され、ばね配置凹部2355と反対側の他端部は、第2打撃ユニット203が第2打撃ユニットフレーム32Bに取り付けられた状態で、当該第2打撃ユニットフレーム32Bの第2取付面部323Bの前面に当接するようになっている。
これにより、第2係止部材235が第2打撃ユニットフレーム32Bに対して相対的に後側に移動することで第2係止用ばね236が圧縮された状態となり、この第2係止用ばね236の圧縮が解除されることにより、第2係止部材235を第2打撃ユニットフレーム32Bに対して相対的に前側に移動させる。
【0085】
また、第2係止部材挿通部2371の上部には、上下方向に沿って上側に起立した起立壁2374が形成されている。
起立壁2374の下端部の左右方向略中央部には、第2係合部2354及び第2打撃部材233の被係合部A2が配置される開口部(図示略)が形成されている。開口部は、起立壁2374を前後方向に貫通して形成されている。
また、開口部の上側には、第2打撃部材233を軸支する第2打撃部材軸受部2375が設けられている。
【0086】
第2打撃部材軸受部2375は、起立壁2374の前面部の左右方向略中央部から前側に突出して2つ形成され、第2打撃部材233が上下方向の軸心周りに回動自在となるように回動軸2376を軸支するものである。回動軸2376は、第2係止部材235の第2係合部2354と前後方向に並ぶように配置され、回動軸2376の周囲には、第2打撃用ばね234が配設されている。
第2打撃用ばね234は、例えば、ねじりコイルばねが適用され、回動軸2376にコイル部分が外挿され、一端部が第2取付部材237の起立壁2374のばね固定部(図示略)に固定されるとともに、他端部が第2打撃部材233に固定されている。
そして、第2打撃用ばね234によって平面視にて反時計回りに付勢された状態で、第2打撃部材233が第2打撃部材軸受部2375に軸着されている。
【0087】
第2打撃部材233は、第2係止部材235により始動位置(後述)に係止された状態(図11参照)で、回動軸2376が挿通される挿通孔が形成された基端部233Aから右側前方に延出された第1腕部2331と、第1腕部2331の先端下部から下向きに延出された第2腕部2332とを具備し、対戦相手を払い除ける払い除け部2333を備えている。
【0088】
基端部233Aの後端部には、係合部を後側に押圧する押圧面部A1が形成され、押圧面部A1に連続して、第2係合部2354と係合する被係合部A2が形成されている(図12(a)等参照)。
押圧面部A1は、基端部233Aの後端部の外周面の一部により構成され、平面視にて円弧状をなす外周面部に連続して被係合部A2側になるにつれて拡径するような形状に形成されている。
被係合部A2は、押圧面部A1の先端部に連続して形成された平面部と、この平面部の押圧面部A1と反対側の端部に連続して形成された基端部233Aの外周面部により鉤状に形成されている。
【0089】
そして、押圧面部A1は、第2打撃部材233の時計回りの回動に従って第2係合部2354を後側に押圧していく。このとき、第2係止部材235が第2係止用ばね236の付勢力に抗して後側に移動していく。
また、押圧面部A1の先端部が第2係合部2354の前端面の左端部よりも左側に配置されるまで第2打撃部材233が回動すると、当該押圧面部A1による第2係合部2354の押圧が解除される。このとき、第2係止部材235が第2係止用ばね236の付勢力により前側に移動することとなって、第2係合部2354が被係合部A2と係合した状態となる。
【0090】
第1腕部2331は、基端部233A側が上側の第2打撃部材軸受部2375とほぼ等しい高さを有し、第2腕部2332側になるにつれて低くなるように斜めに傾斜した形状をなしている。
第2腕部2332は、第1腕部2331の下面に対して略直角となるように屈曲して形成され、第1腕部2331よりも厚さが薄く形成されている。
また、第2腕部2332の下端部は、反時計回り方向に突出して形成されており、当該第2打撃部材233が反時計回りに回動する際に対戦相手を引っ掛けるようにして払い除け可能となっている。
【0091】
次に、第2打撃ユニット203の動作について図12(a)〜図12(f)を参照して説明する。
図12(a)〜図12(f)は、第2打撃ユニット203の動作を説明するための断面図であり、図12(a)は、図10のIII−III線における第2打撃ユニット203の断面図であり、図12(b)は、図10のIV−IV線における第2打撃ユニット203の断面図であり、図12(c)及び図12(d)は、第2係止部材235による第2打撃部材233の係止が解除された状態を説明するための断面図であり、図12(e)は、図11のV−V線における第2打撃ユニット203の断面図であり、図12(f)は、図11のVI−VI線における第2打撃ユニット203の断面図である。
なお、図12(a)、図12(c)、図12(e)にあっては、第2打撃部材233、第2ガイド部2373、第2凸部2353、第2係合部2354を模式的に二点鎖線で表している。
【0092】
先ず、第2打撃部材233の始動位置、即ち、第2係止部材235の係止位置について説明する。
第2打撃部材233が第2打撃用ばね234の付勢力に抗して上下方向の回動軸2376を中心として平面視にて時計回りに回動させると、押圧面部A1が第2係合部2354を後側に押圧して第2係止部材235が第2係止用ばね236の付勢力に抗して後側に移動していく。そして、押圧面部A1の先端部が第2係合部2354の前端面の左端部よりも左側に配置されるまで第2打撃部材233が回動すると、当該押圧面部A1による第2係合部2354の押圧が解除されて、第2係止部材235が第2係止用ばね236の付勢力により前側に移動して第2係合部2354が被係合部A2と係合した状態となる。
これにより、図12(a)及び図12(b)に示すように、第2打撃部材233は第2打撃用ばね234の付勢力に抗して始動位置に配置されるとともに、第2係止部材235は第2係止用ばね236の付勢力により係止位置に配置された状態となる。
【0093】
かかる状態で、図12(c)及び図12(d)に示すように、第2係止部材235が係止位置から更に後方に移動すると、即ち、対戦ゲームにて対戦相手である相手方自動車玩具200との衝突に基づいて第2係止部材235が係止位置から更に後方に移動すると、第2係合部2354と被係合部A2の係合が解除される。
すると、第2打撃部材233が、第2打撃用ばね234の付勢力によって反時計回りに回動するとともに、当該回動により押圧面部A1による第2係合部2354の後側への押圧が解除されていって第2係止部材235が、第2係止用ばね236の付勢力によって移動範囲の前端まで移動する(図12(e)及び図12(f)参照)。
これにより、対戦ゲームにて、相手方自動車玩具200と衝突した際に、当該相手方自動車玩具200を第2打撃部材233により払い除けることができる。
【0094】
以上のように、実施形態2の自動車玩具200によれば、相手方自動車玩具200との衝突に基づいて第2係止部材235が係止位置から後方に移動すると、第2係止部材235の第2係合部2354と第2打撃部材233の被係合部A2の係合が解除され、これにより、第2打撃用ばね234の付勢力によって第2打撃部材233が始動位置から上下方向の軸を中心として反時計回りに回動して、相手方自動車玩具200を左右方向に払い除けるようにして打撃することができるので、対戦相手に対する打撃及び自動車玩具200を弾き飛ばす動きを多彩なものとすることができる。さらに、衝突の際の自動車玩具200の向きを変更することで、第2打撃部材233による対戦相手に対する打撃位置を変更することができ、自動車玩具200を弾き飛ばす動きをより多彩なものとすることができる。
これにより、相手方自動車玩具200との対戦ゲームの興趣性の向上を図ることができる。
【0095】
また、第2打撃部材233を上下方向の軸を中心として時計回りに回動させるだけで、第2係止部材235の第2係合部2354と第2打撃部材233の被係合部A2とを係合させることができるので、第2係止部材235の第2係合部2354と第2打撃部材233の被係合部A2との係合を簡便に行うことができる。
さらに、第2係止部材235の第2係合部2354と第2打撃部材233の被係合部A2が係合することで、第2打撃部材233を始動位置に配置することができるので、第2打撃部材233の始動位置への配置を簡便に行うことができる。また、第2係止用ばね236の付勢力によって第2係止部材235が第2打撃部材233を始動位置に係止することができるので、自動車玩具200の走行により振動や衝撃が加わっても、第2打撃部材233が始動位置からずれ難くなって、第2打撃部材233を始動位置に配置した状態を維持することができる。
【0096】
なお、上記実施形態2にあっては、第2係止部材235が前後方向に移動自在な構成を例示したが、第2係止部材235の移動方向はこれに限られるものではなく、左右方向及び上下方向に対して平行とならない方向であれば適宜任意に変更することができる。
【0097】
[実施形態3]
以下に、実施形態3の自動車玩具300について、図13〜図16を参照して説明する。
図13は、本発明を適用した実施形態3の自動車玩具300を示す分解斜視図である。
図14は、第3打撃ユニット303の動作前の状態を示す斜視図であり、図15は、第3打撃ユニット303の動作後の状態を示す斜視図である。
【0098】
実施形態3の自動車玩具300は、図13〜図15に示すように、ボディ1に対戦相手を上方向に跳ね上げるようにして打撃する第3打撃部材333を備える第3打撃ユニット303が取り付けられている。
なお、実施形態3の自動車玩具300は、第3打撃ユニット303の構成以外の点で上記実施形態1の自動車玩具100と略同様の構成をなし、その説明は省略する。
【0099】
第3打撃ユニット303は、第3打撃ユニットフレーム32Cに、第3打撃部材333と、第3打撃部材333を付勢するための第3打撃用ばね(打撃用付勢部材)334と、第3打撃用ばね334の付勢力に抗して第3打撃部材333を始動位置に係止する第3係止部材335と、第3係止部材335を前側に付勢するための第3係止用ばね(係止用付勢部材)336が搭載されて構成されている。
【0100】
第3打撃ユニットフレーム32Cの左右両側に設けられた前側ガイドローラ322の間には、第3取付面部323C(図16(a)参照)が設けられ、当該第3取付面部323Cに第3打撃部材333及び第3係止部材335が取り付けられた第3取付部材337が配設されている。
なお、第3打撃ユニットフレーム32Cは、第3取付部材337、第3打撃部材333、第3打撃用ばね334、第3係止部材335、第3係止用ばね336を搭載する以外の点で第1打撃ユニットフレーム32と略同等の構成をなし、その説明は省略する。
【0101】
第3取付部材337は、第3打撃ユニットフレーム32Cの第3取付面部323Cに対して着脱自在に取り付けられるものである。
第3取付部材337の下端部には、内側に第3係止部材335が挿通される第3係止部材挿通部3371が設けられている。
【0102】
第3係止部材挿通部3371は、前後両端が開口してなり、第3係止部材335の挿通方向に沿った断面が略矩形状に形成され、左右内側面に第3係止部材335の凸部3352(後述)が係合する溝状のガイド部3372(図16(a)参照)が形成されている。
【0103】
ガイド部3372は、凸部3352の上下方向の幅とほぼ等しいか、或いはこれよりもわずかに大きい上下幅を有している。また、ガイド部3372は、第3係止部材挿通部3371の後端部から前側に前後方向に沿って長尺に形成されており、その長さは第3係止部材335の前後方向に対する往復移動距離に応じて設定されている。
【0104】
そして、第3係止部材挿通部3371の後端側から挿入された第3係止部材335の凸部3352がガイド部3372と係合して摺動することで第3係止部材335の前後方向に対する往復移動を案内可能となっている。
なお、第3係止部材335は、凸部3352がガイド部3372の前端部に当接することで前側に抜け止めされるとともに、凸部3352が第3取付面部323Cの前面に当接することで後側に抜け止めされている。
【0105】
ここで、第3係止部材335について説明する。
第3係止部材335は、第3取付部材337の第3係止部材挿通部3371に挿通され、前側に付勢する第3係止用ばね336を介して第3打撃ユニットフレーム32Cに取り付けられている。
また、第3係止部材335は、外形が略直方体状に形成された胴体部3351を備えている。
【0106】
胴体部3351の左右側面には、ガイド部3372に係合する凸部3352(図16(a)参照)がそれぞれ形成されている。凸部3352は、胴体部3351の左右側面から突出されてなり、外形が略直方体状に形成されている。
また、胴体部3351の前側下部には、第3打撃部材333の被係合部A2(後述)と係合する第3係合部3353が設けられている。
第3係合部3353は、胴体部3351の前端上部よりもさらに前側に突出されてなり、外形が略直方体状に形成されている。なお、第3係合部3353の前後長は、第3打撃部材333が下向きに回動する過程で、被係合部A2の後端部が当該第3係合部3353の先端部に接触して後側に押し込まれる程度に設定されている。また、第3係合部3353と被係合部A2が係合した状態で、第3係合部3353の先端部は被係合部A2の先端よりも突出する程度に設定されている。
【0107】
また、胴体部3351の内側には、後端から前側に凹んで形成され、第3係止用ばね336の一端部が配置されるばね配置凹部3355(図16(a)参照)が設けられている。
【0108】
第3係止用ばね336は、例えば、圧縮コイルばねが適用され、ばね配置凹部3355と反対側の他端部は、第3打撃ユニット303が第3打撃ユニットフレーム32Cに取り付けられた状態で、当該第3打撃ユニットフレーム32Cの第3取付面部323Cの前面に当接するようになっている。
これにより、第3係止部材335が第3打撃ユニットフレーム32Cに対して相対的に後側に移動することで第3係止用ばね336が圧縮された状態となり、この第3係止用ばね336の圧縮が解除されることにより、第3係止部材335を第3打撃ユニットフレーム32Cに対して相対的に前側に移動させる。
【0109】
また、第3係止部材挿通部3371の上部には、第3打撃部材333を軸支する第3打撃部材軸受部3373が設けられている。
第3打撃部材軸受部3373は、第3係止部材挿通部3371の上面の左右両側部から上側に起立して形成され、第3打撃部材333が左右方向の軸心周りに回動自在となるように回動軸3374を軸支するものである。回動軸3374の周囲には、第3打撃用ばね334が配設されている。
第3打撃用ばね334は、例えば、ねじりコイルばねが適用され、回動軸3374にコイル部分が外挿され、一端部が第3係止部材挿通部3371の上側のばね固定部3375に固定されるとともに、他端部がばね端巻回部材3341に巻回されている。
なお、ばね端巻回部材3341は、外形が略円柱状に形成され、その外周面の略中央部に形成された溝部に第3打撃用ばね334の他端部が巻回された状態となっている。
そして、第3打撃用ばね334は、端部どうしが開く方向への付勢力を生じるものであり、第3打撃部材軸受部3373に軸着された第3打撃部材333が下方向に回動して、ばね端巻回部材3341と接触することで、第3打撃部材333を上方向(第3係止部材335から離れる方向)に付勢する。
【0110】
第3打撃部材333は、第3係止部材335により始動位置(後述)に係止された状態(図14参照)で、回動軸3374が挿通される挿通孔が形成された基端部から前側下向きに延出された2つの腕部3331、3331と、腕部3331の先端部に連続して形成され、対戦相手を跳ね上げるための跳ね上げ部3332とを備えている。
【0111】
各腕部3331は、左右方向に所定の厚さを有する板状の部材であり、挿通孔が形成された基端部で第3打撃用ばね334のコイル部分を左右方向に挟むように配設されている。
また、2つの腕部3331、3331の先端部どうしは、先端部接続部3333により接続されており、当該先端部接続部3333と2つの腕部3331、3331の先端部どうしの間にばね端巻回部材3341が配置されるようになっている。
【0112】
跳ね上げ部3332は、第3係止部材335により始動位置(後述)に係止された状態(図14参照)で、第3取付部材337の前面であって第3係止部材挿通部3371の周囲に当接する起立壁部3334と、この起立壁部3334の前面の左右両側から前側に突出する2つの突出部3335、3335と、これら突出部3335どうしを接続して、第3係止部材335の第3係合部3353と係合する被係合部3336とを備えている。
【0113】
起立壁部3334は、正面視にてほぼ門形状に形成され、第3係止部材335により始動位置(後述)に係止された状態(図14参照)で、その内側に第3係止部材挿通部3371が配設されるようになっている。また、起立壁部3334の第3係止部材挿通部3371側の面は、略平坦に形成され、第3係止部材挿通部3371の周囲の平坦面に当接可能となっている。
【0114】
突出部3335の上面部は、腕部3331の傾きと略等しい傾きの斜面となっており、当該跳ね上げ部3332が上方向に回動した際に、突出部3335の上面部にて対戦相手を掬い上げるようにして跳ね上げるものである。
【0115】
突出部3335の下部の先端部側に、当該2つの突出部3335、3335の下部どうしをつなぐように板状の被係合部3336が配設されている。
即ち、被係合部3336と2つの突出部3335、3335と起立壁部3334とによって、第3係止部材挿通部3371に挿通された第3係止部材335が内側に配置される開口部が形成され、当該開口部の内側に配置された第3係止部材335の第3係合部3353の下面と被係合部3336の上面が接触して第3係合部3353と被係合部3336が係合するようになっている。
【0116】
次に、第3打撃ユニット303の動作について図16(a)〜図16(c)を参照して説明する。
図16(a)〜図16(c)は、第3打撃ユニット303の動作を説明するための断面図であり、図16(a)は、図14のVII−VII線における第3打撃ユニット303の断面図であり、図16(b)は、第3係止部材335による第3打撃部材333の係止が解除された状態を説明するための断面図であり、図16(c)は、図15のVIII−VIII線における第3打撃ユニット303の断面図である。
なお、図16(a)〜図16(c)にあっては、凸部3352、ガイド部3372を模式的に二点鎖線で表している。
【0117】
先ず、第3打撃部材333の始動位置、即ち、第3係止部材335の係止位置について説明する。
第3打撃部材333が第3打撃用ばね334の付勢力に抗して左右方向の回動軸3374を中心として第3係止部材335側に回動させると、被係合部3336の後端部が第3係合部3353の先端部に接触して第3係止部材335が後側に押し込まれていき、被係合部3336の上面が第3係合部3353の下面よりも下側に位置することで、第3係止部材335の押圧が解除されて前側に移動する。
これにより、図16(a)に示すように、第3打撃部材333は第3打撃用ばね334の付勢力に抗して始動位置に配置されるとともに、第3係止部材335は第3係止用ばね336の付勢力により係止位置に配置された状態となる。
【0118】
かかる状態で、図16(b)に示すように、第3係止部材335が係止位置から更に後方に移動すると、即ち、対戦ゲームにて対戦相手である相手方自動車玩具300との衝突に基づいて第3係止部材335が係止位置から更に後方に移動すると、第3係合部3353と被係合部3336の係合が解除される。
すると、第3打撃部材333が、第3打撃用ばね334の付勢力によって上方向に第3係止部材335から離れるように回動するとともに、第3打撃部材333との係合が解除された第3係止部材335が、第3係止用ばね336の付勢力によって移動範囲の前端まで移動する(図16(c)参照)。
これにより、対戦ゲームにて、相手方自動車玩具300と衝突した際に、当該相手方自動車玩具300を第3打撃部材333により跳ね上げることができる。
【0119】
以上のように、実施形態3の自動車玩具300によれば、相手方自動車玩具300との衝突に基づいて第3係止部材335が係止位置から後方に移動すると、第3係止部材335の係合部と第3打撃部材333の被係合部3336の係合が解除され、これにより、第3打撃用ばね334の付勢力によって第3打撃部材333が始動位置から左右方向の軸を中心として上方向に回動して、相手方自動車玩具300を上方向に跳ね上げるようにして打撃することができるので、対戦相手に対する打撃及び自動車玩具300を弾き飛ばす動きを多彩なものとすることができる。さらに、衝突の際の自動車玩具300の向きを変更することで、第3打撃部材333による対戦相手に対する打撃位置を変更することができ、自動車玩具300を弾き飛ばす動きをより多彩なものとすることができる。
これにより、相手方自動車玩具300との対戦ゲームの興趣性の向上を図ることができる。
【0120】
また、第3係止用ばね336の付勢力によって第3係止部材335が第3打撃部材333を始動位置に係止することができ、自動車玩具300の走行により振動や衝撃が加わっても、第3打撃部材333が始動位置からずれ難くなって、第3打撃部材333を始動位置に配置した状態を維持することができる。
【0121】
なお、上記実施形態3にあっては、第3係止部材335が前後方向に移動自在な構成を例示したが、第3係止部材335の移動方向はこれに限られるものではなく、左右方向及び上下方向に対して平行とならない方向であれば適宜任意に変更することができる。
【0122】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施形態1〜3にあっては、自動車玩具100、200、300の進行方向前側に第1〜第3打撃ユニット3、203、303を備えるようにしたが、これに限られるものではなく、第1〜第3打撃ユニット3、203、303を備える位置は適宜任意に変更することができる。例えば、自動車玩具の後部どうしを衝突させて対戦するゲームにあっては、自動車玩具の進行方向後側に第1〜第3打撃ユニットを備えるようにしても良い。
【0123】
さらに、上記実施形態1〜3にあっては、打撃部材として第1〜第3打撃部材33、233、333を例示したが、これに限られるものではなく、相手方自動車玩具の衝突に基づいて係止部材による係止が解除されると、打撃用付勢部材の付勢力によって始動位置から所定方向に動作して相手方自動車玩具を打撃するものであれば如何なる構成のものであっても良い。
【0124】
また、上記実施形態1〜3にあっては、打撃用付勢部材として第1〜第3打撃用ばね34、234、334を例示したが、これに限られるものではなく、第1〜第3打撃部材33、233、333を付勢するためのものであれば如何なる構成のものであっても良い。
さらに、上記実施形態1〜3にあっては、係止用付勢部材として第1〜第3係止用ばね36、236、336を例示したが、これに限られるものではなく、第1〜第3係止部材35、235、335を付勢するためのものであれば如何なる構成のものであっても良い。
【0125】
また、上記実施形態1〜3にあっては、第1〜第3係止用ばね36、236、336を備えるようにしたが、これに限られるものではなく、第1〜第3係止用ばね36、236、336を備えるか否かは適宜任意に変更することができる。
【0126】
さらに、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明を適用した実施形態1の自動車玩具を示す斜視図である。
【図2】図1の自動車玩具の対戦ゲームに用いられる走行コースを模式的に示す斜視図である。
【図3】図1の自動車玩具の分解斜視図である。
【図4】図1の自動車玩具に備わるボディを示す斜視図である。
【図5】図1の自動車玩具に備わる駆動ユニットを示す斜視図である。
【図6】図1の自動車玩具に備わる第1打撃ユニットの動作前の状態を示す斜視図である。
【図7】図6の第1打撃ユニットの動作後の状態を示す斜視図である。
【図8】図6の第1打撃ユニットの動作を説明するための断面図である。
【図9】本発明を適用した実施形態2の自動車玩具を示す分解斜視図である。
【図10】図9の自動車玩具に備わる第2打撃ユニットの動作前の状態を示す斜視図である。
【図11】図10の第2打撃ユニットの動作後の状態を示す斜視図である。
【図12】図10の第2打撃ユニットの動作を説明するための断面図である。
【図13】本発明を適用した実施形態3の自動車玩具を示す分解斜視図である。
【図14】図13の自動車玩具に備わる第3打撃ユニットの動作前の状態を示す斜視図である。
【図15】図14の第3打撃ユニットの動作後の状態を示す斜視図である。
【図16】図14の第3打撃ユニットの動作を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0128】
100、200、300 自動車玩具
1 ボディ
2 駆動ユニット
3 第1打撃ユニット
33 第1打撃部材
34 第1打撃用ばね(打撃用付勢部材)
35 第1係止部材
354 係合爪
36 第1係止用ばね(係止用付勢部材)
203 第2打撃ユニット
233 第2打撃部材
234 第2打撃用ばね(打撃用付勢部材)
235 第2係止部材
2354 第2係合部
236 第2係止用ばね(係止用付勢部材)
303 第3打撃ユニット
333 第3打撃部材
334 第3打撃用ばね(打撃用付勢部材)
335 第3係止部材
3353 第3係合部
336 第3係止用ばね(係止用付勢部材)
C 走行コース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向側に設けられ、対戦相手となる相手方自動車玩具を打撃する打撃部材と、
前記打撃部材を付勢するための打撃用付勢部材と、
前記打撃用付勢部材の付勢力に抗して前記打撃部材を始動位置に係止する係止部材と、
を備え、
前記打撃部材は、前記相手方自動車玩具の衝突に基づいて前記係止部材による係止が解除されると、前記打撃用付勢部材の付勢力によって前記始動位置から所定方向に動作して前記相手方自動車玩具を打撃することを特徴とする自動車玩具。
【請求項2】
前記打撃部材は、当該自動車玩具の進行方向前側に設けられ、前後方向に沿って往復移動可能に構成されるとともに、移動範囲の後端側の前記始動位置に配置された状態で、前記係止部材による係止が解除されると、前記打撃用付勢部材の付勢力によって前記始動位置から前方に移動することを特徴とする請求項1に記載の自動車玩具。
【請求項3】
前記係止部材を付勢するための係止用付勢部材を備え、
前記係止部材は、所定方向の軸を中心に回動可能に構成されるとともに、前記係止用付勢部材の付勢力に抗して前記打撃部材の所定部位と係合する係合爪を具備し、前記相手方自動車玩具との衝突に基づいて前記打撃部材が前記始動位置から更に後方に移動すると、前記係合爪と前記所定部位の係合が解除されて、前記係止用付勢部材の付勢力によって前記打撃部材から離れる方向に回動することを特徴とする請求項2に記載の自動車玩具。
【請求項4】
前記打撃部材は、当該自動車玩具の進行方向前側に設けられ、上下方向の軸を中心として回動可能に構成されるとともに、前記始動位置に配置された状態で、前記係止部材による係止が解除されると、前記打撃用付勢部材の付勢力によって前記始動位置から所定方向に回動することを特徴とする請求項1に記載の自動車玩具。
【請求項5】
前記係止部材は、左右方向及び上下方向に対して平行とならない一直線方向に沿って往復移動可能に構成されるとともに、前記始動位置に配置された前記打撃部材の所定部位と係合する係合部を具備し、前記係合部と前記所定部位が係合した係止位置に配置された状態で、前記相手方自動車玩具との衝突に基づいて前記係止位置から前記一直線方向に沿って後方に移動すると、前記係合部と前記所定部位の係合が解除されることを特徴とする請求項4に記載の自動車玩具。
【請求項6】
前記係止部材を前方に付勢するための係止用付勢部材を備え、
前記打撃部材の所定方向に対する回動に従って当該打撃部材の押圧部により前記係合部が押圧されて前記係止部材が前記係止用付勢部材の付勢力に抗して前記一直線方向に沿って後方に移動していく過程で、前記押圧部による前記係合部の押圧が解除されると当該係止部材が前記係止用付勢部材の付勢力により前記一直線方向に沿って前方に移動して前記係合部が前記打撃部材の前記所定部位と係合することによって、前記打撃部材が前記始動位置に配置されることを特徴とする請求項5に記載の自動車玩具。
【請求項7】
前記打撃部材は、当該自動車玩具の進行方向前側に設けられ、左右方向の軸を中心として上下に回動可能に構成されるとともに、前記始動位置に配置された状態で、前記係止部材による係止が解除されると、前記打撃用付勢部材の付勢力によって前記始動位置から上方に回動することを特徴とする請求項1に記載の自動車玩具。
【請求項8】
前記係止部材は、左右方向及び上下方向に対して平行とならない一直線方向に沿って往復移動可能に構成されるとともに、前記始動位置に配置された前記打撃部材の所定部位と係合する係合部を具備し、前記係合部と前記所定部位が係合した係止位置に配置された状態で、前記相手方自動車玩具との衝突に基づいて前記係止位置から前記一直線方向に沿って後方に移動すると、前記係合部と前記所定部位の係合が解除されることを特徴とする請求項7に記載の自動車玩具。
【請求項9】
前記係止部材を付勢するための係止用付勢部材を備え、
前記係止部材は、前記係止用付勢部材の付勢力によって前記打撃部材を始動位置に係止することを特徴とする請求項7又は8に記載の自動車玩具。
【請求項10】
自動車玩具の進行方向側に設けられた打撃ユニットであって、
対戦相手となる相手方自動車玩具を打撃する打撃部材と、
前記打撃部材を付勢する打撃用付勢部材と、
前記打撃用付勢部材の付勢力に抗して前記打撃部材を始動位置に係止する係止部材と、
を備え、
前記打撃部材は、前記相手方自動車玩具の衝突に基づいて前記係止部材による係止が解除されると、前記打撃用付勢部材の付勢力によって前記始動位置から所定方向に動作して前記相手方自動車玩具を打撃することを特徴とする打撃ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−247660(P2009−247660A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100141(P2008−100141)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【出願人】(591056846)株式会社東京ユニーク (15)
【Fターム(参考)】