説明

自動車玩具

【目的】 簡単な構造で、障害物に対して確実な回避走行を行う自動車玩具を提供することを目的とする。
【構成】 搭載したモータ11の正転駆動により前進走行する自動車玩具1において、障害物Oに衝突することにより作動するスイッチ手段6,9と、スイッチ手段6,9の作動で一定時間モータ11を逆転駆動させるコントローラ19と、前進時に直進操舵し後退時にターン操舵する操舵機構26,28とを備えた。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、障害物に衝突すると、ターンしながら後退した後、前進することで、障害物を巧みに回避して走行するように構成された自動車玩具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の自動車玩具として、例えば、マーベラス機構を組み込んだものが知られている。図6は、この種の自動車玩具を模式的に表した底面図である。
同図に示すように、この自動車玩具では、そのシャーシ61に大型の円板62が回動自在に取り付けられており、この円板62に一対の駆動輪63,63が取り付けられている。駆動輪63,63の車軸64にはクラウンギヤ65が固定され、このクラウンギヤ65に図外のモータにより回転されるピニオン66が噛み合っている。モータは一方向に回転されるようになっており、これに伴いピニオン66およびクラウンギヤ65も一方向に回転されて、自動車玩具は図中の実線で示す矢印の方向に前進走行される。この場合、クラウンギヤ65が駆動輪63の車軸64を介して回転自在な円板62に取り付けられているため、ピニオン66とクラウンギヤ65とは、太陽歯車と遊星歯車の関係になっている。したがって、ピニオン66の回転力は、クラウンギヤ65に一切、回転抵抗がなければ、クラウンギヤ65を自転させる力として働く、しかし、幾分かでも回転抵抗があると、その分、ピニオン66の回転力はクラウンギヤ65を公転させる力として働く。遊星歯車側のクラウンギヤ65が太陽歯車側のピニオン66廻りに公転すると、両駆動輪63,63が回動して自動車玩具の前進時の操舵が不安定になってしまう。そこで、この回転力(公転力)を殺すために、円板62には、一端をシャーシ61に固定した弱い付勢力のスプリング67が取り付けられている。これにより自動車玩具の直進性が保たれている。
【0003】
一方、自動車玩具が障害物に衝突すると、駆動輪63は路面との摩擦で停止される。すなわち、クラウンギヤ65の自転が停止される。すると、ピニオン66の回転力がクラウンギヤ65を公転させる力として作用する。このクラウンギヤ65の公転は円板62に取り付けた両駆動輪63,63を回動させ、駆動輪63は、上記スプリング67の付勢力と釣り合うところまで回動される。この場合、スプリング67の付勢力は、駆動輪63の回転(回動)角度が90度から180度の間になるように調整されており、駆動輪63は、例えば、図6に示す位置まで回動される。ここで、駆動輪63の回動が抑制されると、再度、ピニオン66の回転力がクラウンギヤ65を自転させる力として働く。この状態では、駆動輪63が角度90度以上に操舵されているため、自動車玩具は図中の2点鎖線で示す矢印の方向、すなわち斜めに後退走行する。この後退が始まると、駆動輪63の回転抵抗が小さくなり、ピニオン66の駆動輪63を公転させる力が、クラウンギヤ65を自転させる力に移行される。すると、スプリング67の付勢力が、ピニオン66の公転力に勝って駆動輪63を元の直進位置に復旧させる。すなわち、自動車玩具は前進走行に戻る。このように自動車玩具は、前進と後退を繰り返しながら障害物を回避してゆく。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、このようなマーベラス機構を用いた従来の自動車玩具では、駆動輪63と路面との摩擦が一定していないと、スプリング67の付勢力とピニオン66の回転力とのバランスが崩れ、操舵が極めて不安定になる。また、後退走行の時間や距離も調整し難く、しかも、構造が複雑で故障し易いものとなっていた。
【0005】
本考案は、簡単な構造で、障害物に対して確実な回避走行を行う自動車玩具を提供することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本考案は、搭載したモータの正転駆動により前進走行する自動車玩具において、障害物に衝突することにより作動するスイッチ手段と、スイッチ手段の作動で一定時間モータを逆転駆動させるコントローラと、前進時に直進操舵し後退時にターン操舵する操舵機構とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この場合、スイッチ手段は、障害物に衝突することにより上下方向に回動するバンパーと、バンパーの尾端側に当接して、バンパーの回動動作で作動するスイッチとから成ることが好ましい。また、この場合に、バンパーは、バンパー本体と、バンパー本体から断面「L」字状に延びる回動アームと、バンパー本体に対し上方にオフセットさせて回動アームに設けられた支点とを有することが更に好ましい。
【0008】
また、これらの場合、操舵機構は、操舵輪と、操舵輪の車軸を受ける車軸受けとを有し、車軸受けは、車の中心線に直交して車軸の後方位置を規制する第1の規制端と、第1の規制端に角度を存して車軸の前方位置を規制する第2の規制端とで扇状に形成され、車軸は、第1の規制端と第2の規制端との間で移動自在に構成されていることが好ましい。
【0009】
【作用】
前進走行している自動車玩具が障害物に衝突すると、スイッチ手段が作動してコントローラを介して一定時間、モータを逆転駆動させる。このモータの逆転駆動により自動車玩具は一定時間、後退走行する。この後退走行に伴い、操舵機構は自動車玩具をターン操舵する。後退走行が開始して一定時間が経過すると、モータが正転駆動の状態に復旧し、自動車玩具は、前進走行に移る。この前進走行に伴い、操舵機構は自動車玩具を直進操舵する。したがって、自動車玩具は障害物に衝突すると、いったんターンしながら後退し、その後、直進走行し、これを繰り返しながら走行する。この場合、コントローラで設定される後退時間と、操舵機構で設定されるターン操舵の操舵角度とにより、障害物に対する自動車玩具の回避走行のパターンが決定されるため、自在に調整ができる。
【0010】
また、この場合に、スイッチ手段を、障害物に衝突することにより上下方向に回動するバンパーと、バンパーの回動動作で作動するスイッチとで構成すれば、自動車玩具の外観を損なうことなくスイッチ手段を構成でき、しかも、スイッチの作動にての原理を応用することができ、確実にスイッチを作動させることができる。さらに、バンパーを、バンパー本体と、バンパー本体から延びる回動アームと、バンパー本体に対し上方にオフセットさせて回動アームに設けられた支点とで構成すれば、スイッチを作動させるために、障害物に衝突したときにバンパーが受ける衝突力の他に、自動車玩具が障害物を乗り越えようとする力をも活用することができ、より一層確実にスイッチを作動させることができる。
【0011】
一方で、これらの場合に、操舵機構の車軸受けが、後方位置を規制する第1の規制端と前方位置を規制する第2の規制端とで扇状に形成され、操舵輪の車軸が、第1の規制端と第2の規制端との間で移動自在に構成されていれば、自動車玩具が前進するときに、車軸が車軸受け内で後方に移動して第1の規制端に規制され、後退するときに、前方に移動してターン操舵位置に規制される。第1の規制端は車の中心線に直交しており、第2の規制端はこれに角度を存して設けられているので、自動車玩具は、前進時と後退時とでそれぞれ直進操舵とターン操舵とに自動的に操舵される。
【0012】
【実施例】
以下、添付の図面に基いて本考案の一実施例に係る自動車玩具について説明する。図1は自動車玩具(以下、「自動車」と略す)の外観を表わした外観斜視図であり、図2はその内部構造を表した分解斜視図である。両図に示すように、この自動車1は、それぞれ一対の前輪2,2および後輪3,3が取り付けられたシャーシ4と、このシャーシ4上に搭載されたボディー5と、ボディー5の前端に取り付けられたバンパー6とを備え、スポーツカーを模して構成されている。シャーシ4には、主として後部に駆動系が、中間部から前部にコントロール系が、そして前部に操舵系が搭載されており、この自動車1は、シャーシ4の中間部に形成された電池ボックス7に収容された乾電池を電源として、後端部中央に設けたメインスイッチ8をONすることで、直進走行するようになっている。
【0013】
一方、この自動車1が直進走行中に何らかの障害物Oに衝突すると、バンパー6を介して後述するサブスイッチ9がONされ、これらスイッチ手段を含むコントロール系が作動して、自動車1を一定時間、後退走行させる(図4参照)。この後退走行に伴い直進状態に操舵されていた操舵系が、自動的にターン状態に操舵され、自動車1は後退しながらターンする。次に、前進走行に移ると、操舵系が自動的に直進状態に操舵され、自動車1は直進走行する。このように、実施例の自動車1は、直進と後退ターンを繰り返しながら、巧みに障害物Oを回避して走行する。
【0014】
次に、図2ないし図4を参照して自動車の内部構造を詳細に説明する。図2に示すように、シャーシ4の後部はギヤボックス10となっており、これに自動車1の駆動系が設けられている。駆動系は、モータ11の回転を各種ギヤを介して後車軸12に伝え、この後車軸12を介して後輪3,3を回転させるようになっている。モータ11の回転軸11aに取り付けられたピニオン13には、後車軸12に回転自在に軸支された第1中間歯車14が噛み合っており、この第1中間歯車14に、シャーシ4に回転自在に軸支された第2中間歯車15が噛み合っている。そして、第2中間歯車15が後車軸12に固定された出力歯車16に噛み合っていて、これら第1、第2両中間歯車14,15により適宜、モータ11の回転が減速されて両後輪3,3が回転されるようになっている。もっとも、この場合、後車軸12に対し、右側の後輪3をフリー回転状態で取つ付け、左側の後輪3を固定して、左側の後輪3だけ駆動させるようにしてもよい。このようにすれば、自動車1を後退走行させるときに、右側の後輪3が停止状態となるため、旋回半径を小さくすることができる。なお、図中の符号17は、ギヤボックス用のカバーである。また、符号18,18は、シャーシ4の後端に形成された一対のフックであり、これにボディー5の後端に設けたフック用の穴(図示せず)が係合することにより、ボディー5がシャーシ4に取り付けられるようになっている。
【0015】
コントロール系は、シャーシ4の電池ボックス7上に設けらたコントローラ19と、シャーシ4の前部に設けられたバンパー6およびサブスイッチ9からなるスイッチ手段とで構成されている。サブスイッチ9は、障害物Oに衝突して回動するバンパー6により作動するようになっており、その押釦部9aを下向きにして電池ボックス7の前端中央部にセットされている。一方、コントローラ19は、基板上に各種電子デバイスを組み込んで構成されており、電池ボックス7上にスペーサ20,20を介して取り付けられている。
【0016】
ここで、図5を参照して、コントローラ19のコントロール回路について詳細に説明する。図5(a)にはコントローラ19の内部回路図が示され、図5(b)にはこの回路のモータ出力のタイムチャートが示されている。
【0017】
図5(a)を参照して、IC2は、モノステータブル・マルチバイブレータである。IC2のA端子はローアクティブ入力となっており、常時は、抵抗R3によりH電圧に保持されている。この状態においては、IC2のQ1端子の出力はLで、Q2端子の出力はHとなっている。したがって、PNPトランジスタTR8にベース電流(IB)が流れるため、エミッタ電流(IE)が流れ、モータ11のa端子に電圧を加える。また、PNPトランジスタTR10のIBが流れると、IEが流れるため、モータ11のb端子は、アース電位に保持される。これにより、モータ11は正転駆動される。
【0018】
一方、サブスイッチ9がONすると、IC2のA端子はアース電位に一瞬保持される。すると、抵抗R4とコンデンサC5による時定数tw=CX・RXで定まる時間、L電圧が、Q2端子から出力され、同時に、Q1端子からtw時間、H電圧が出力される(図5(b))。すると、TR12はモータ11のb端子に電圧を加え、a端子をアース電位に保持する。これにより、モータ11は逆転駆動される。そして、tw時間が経過すると、IC2は元の状態に復旧し、モータ11は正転駆動の状態に戻る。なお、R7、R9、R11およびR13は、ベース電流制御抵抗である。
【0019】
このように、このコントロール回路は、定常状態ではモータ11を正転駆動し、サブスイッチ9がONすることで、一定時間、逆転駆動する。そして、この逆転駆動の時間はコントロール回路を構成するR4とC5による時定数で決定される。したがって、抵抗R4またはとコンデンサC5という小部品を交換するだけで自動車1の後退走行の時間、ひいては後退距離を簡単に調整することができる。
【0020】
次に、図2および図3により、サブスイッチ9をONするバンパー6廻りの機構について説明する。バンパー6は、ボディー5の前端に露出するバンパー本体21と、バンパー本体21の中間部から上方に延び、更に屈曲して後方に延びる「L」字状の回動アーム22と、回動アーム22の屈曲部にバンパー本体21に対し上方へオフセットさせて設けた回動軸23とで構成されている。そして、回動アーム22の後部中央が、下向きに設けたサブスイッチ9の押釦部9aに当接するようになっている。すなわち、バンパー6は、前方から力が加わると、その後端がてこの原理で定常位置から上方向に回動し、サブスイッチ9の押釦部9aを押してこれをONするようになっている。
【0021】
一方、バンパー6は、その回動軸23の部分で支持部材24に回動自在に取り付けられており、この支持部材24がシャーシ4の前部にねじ止め固定されるようになっている。支持部材24には、前部両側を起立させた軸受部24a,24aと、両軸受部24a,24aを挟んで中間に後述する操舵輪26が臨む切欠部24bと、後部中間に突起部24cとが形成されている。そして、この軸受部24a,24aに回動軸23を介してバンパー6が取り付けられ、この突起部24cにコイルスプリング25が取り付けられるようになっている。コイルスプリング25は、上端がバンパー6の回動アーム22に下方から当接してこれを上方に付勢するようになっており、バンパー6を定常の姿勢に保持すると共に、バンパー6がサブスイッチ9の押釦するときの押釦力を補完している。
【0022】
すなわち、図3に示すように、サブスイッチ9の押釦部9aとコイルスプリング25とは、バンパー6の回動アーム22を挟んで対向しており、定常状態では、サブスイッチ9は、回動アーム22を介してコイルスプリング25によりONされない程度に付勢されている(同図(a))。自動車1が障害物Oに衝突すると、バンパー6が回動軸23を中心に上下方向に回動し、サブスイッチ9の押釦部9aが押されてサブスイッチ9がONされる(同図(b))。サブスイッチ9がONされると、コントローラ19が駆動して、モータ11が一定時間逆転され、自動車1が後退走行する。そして、この後退走行の際に、操舵系が働いて自動車1は直進状態からターン状態に自動的に操舵される。
【0023】
操舵系、すなわち操舵機構は、操舵輪26と操舵輪26の車軸27を受ける車軸受け28とで構成されている。 操舵輪26は、両前輪2,2に代わって本来の前輪の機能を有しており、このため、操舵輪26が路面に接地し、両前輪2,2が路面から浮いた状態になっている。図2に示すように操舵輪26は、その車軸27の部分でシャーシ4に形成した車軸受け28の部分に取り付けられている。そして、シャーシ4の前部には、中央に前後方向に延びる長溝29が形成され、また、車軸受け28がこの長溝29を跨ぐようにして扇状に形成されている。
長溝29は、その前部の右側が外側に湾曲して拡開した形状となっており、この部分に操舵輪26が臨み、操舵輪26の直進操舵と右ターン操舵とに対応できるようになっている。
【0024】
車軸受け28は、扇状の部分を残してその周囲のシャーシ4の表面を突出させて形成され、長溝29を挟んで右側が扇の要部分に相当し、左側が扇の周縁部分に相当する形状になっている。詳細には、車軸受け28は、車の中心線に直交して操舵輪26の車軸27の後方位置を規制する第1規制端28aと、第1規制端28aに所望のターン角度を存して車軸27の前方位置を規制する第2規制端28bとを有して、扇状に形成されている。そして、操舵輪26は、その右側の車軸27の端部で車軸受け28の要部分に支持されると共に、その左側の車軸27の端部で車軸受け28の周縁部分に支持され、車軸27は、第1規制端28aと第2規制端28bとの間で移動自在になっている。一方、操舵輪26は、路面抵抗により前進時は後に押される力を受け、後退時は前に押される力を受ける。すなわち、操舵輪26の車軸27は自動車1が前進するときは車軸受け28の第1規制端28aに押しつけられ、後退するときは第2規制端28bに押しつけられる。したがって、操舵輪26は前進時は直進状態に、後退時は右ターン状態にそれぞれ自動的に操舵される。なお、車軸受け28は、その上部に取り付けられるバンパー6の支持部材24により閉蓋されるようになっている。
【0025】
ここで、図4を参照して、自動車1の走行パターンを説明する。いま、図中の一点鎖線Aで示す方向から自動車1が直進走行してきて、障害物Oに衝突した状態を考える。自動車1が障害物Oに衝突すると、バンパー6が前倒し状態に上下方向に回動され、サブスイッチ9がONする。サブスイッチ9がONすると、コントローラ19が働いてモータ11を逆転させ、自動車1を後退走行させる。自動車1が後退し始めると路面抵抗により操舵輪26が右ターン状態に自動操舵され、自動車1は一定時間、一点鎖線Bに示すように右側にターンしながら後退する。後退走行の一定時間が経過すると、今度は前進走行に移行する。そして、自動車1が前進し始めると、操舵輪26が直進状態に自動復旧し、一点鎖線Cで示す方向に直進走行してゆく。なお、この実施例では、一点鎖線AおよびCで示すように、自動車1は障害物Oに対して直角にこれを回避するようになっている。
しかし、これは例示であって、車軸受け28の形状による操舵輪26の操舵角度と、コントローラ19による後退時間の調整により、適宜この回避角度は調整される。例えば、図4において、左の後輪3を駆動輪とし、右の後輪3をフリーにしておき、操舵角を比較的大きく調整しておけば、障害物Oに衝突した後の自動車1の後退は、左の後輪3が後退方向に回転し、その反動で右の後輪3が前進方向に回転する。このため、自動車1はその場でスピンターンし、続く前進時に、図中の一点鎖線Aとは逆方向に走行させることができる。
【0026】
このように本実施例によれば、自動車1が障害物Oに衝突するとバンパー6が回動するようになっているので、てこの原理を応用でき小さな衝突力でも確実にサブスイッチ9をONさせることができる。これは、バンパー本体21に対して回転軸23が十分にオフセットして設けられ、かつ上方にオフセットしていることで、自動車1が障害物Oに衝突するときに障害物Oを乗り上げようとする力をも有効に利用することができるためである。例えば、自動車1が障害物Oに斜めに衝突するような場合、それが進行方向に平行に近い極端なものであっても、このてこの構造によりサブスイッチ9を確実にONさせることができる。したがって、障害物Oに斜めに突っ込んだ自動車1が、そのまま停止してしまうようなことがない。また、自動車1の回避角度は、操舵輪26の操舵角度とコントローラ19による後退時間との2つの要素で調整できるので、調整が極めて容易になっている。
【0027】
一方、操舵系においては、操舵輪26の車軸27を扇状の車軸受け28にセットするようになっているので、走行時に操舵輪26が受ける路面抵抗で自動的な操舵ができ、簡単な構造で自動車1の直進および後退ターン走行が可能となっている。なお、本考案がラジコンカー等に応用できることは、いうまでもない。
【0028】
【考案の効果】
以上のように本考案によれば、障害物の衝突に際し、スイッチ手段の作動で一定時間モータを逆転駆動させて、自動車玩具を後退走行させると共に、操舵機構でターン操舵するようにしているので、モータの逆転時間とターン角度との組み合わせにより、所望の走行パターンを構成でき、障害物を確実に回避することができる。
【0029】
この場合、スイッチ手段を、障害物に衝突することにより上下方向に回動するバンパーと、バンパーの回動動作で作動するスイッチとで構成しているので、自動車玩具の外観を損なうことなく、かつ、スイッチの作動を確実なものとすることができ、障害物の形状や位置にとらわれることなく、障害物を安定的に回避することができる。さらに、バンパー本体の支点を上方にオフセットさせるようにしているので、障害物に対するスイッチの作動をより確実なものとすることができる。
【0030】
一方で、操舵機構の車軸受けが、後方位置を規制する第1の規制端と前方位置を規制する第2の規制端とで扇状に形成され、操舵輪の車軸が、第1の規制端と第2の規制端との間で移動自在に構成しているので、自動車玩具が前進するときの直進操舵と、後退するときのターン操舵とを、簡単な構造で自動的に確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の自動車玩具の外観の斜視図である。
【図2】実施例の自動車玩具の分解斜視図である。
【図3】バンパーの作動状態を表したバンパー廻りの裁断側面図である。
【図4】自動車玩具の障害物回避走行を示す説明図である。
【図5】自動車玩具のコントローラ回路の回路図である。
【図6】従来の自動車玩具の主要部の底面図である。
【符号の説明】
1 自動車
4 シャーシ
6 バンパー
9 サブスイッチ
11 モータ
19 コントローラ
21 バンパー本体
22 回動アーム
23 回転軸
26 操舵輪
27 車軸
28 車軸受け
28a 第1規制端
28b 第2規制端
O 障害物

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 搭載したモータの正転駆動により前進走行する自動車玩具において、障害物に衝突することにより作動するスイッチ手段と、当該スイッチ手段の作動で一定時間前記モータを逆転駆動させるコントローラと、前進時に直進操舵し後退時にターン操舵する操舵輪機構とを備えたことを特徴とする自動車玩具。
【請求項2】 前記スイッチ手段は、障害物に衝突することにより上下方向に回動するバンパーと、当該バンパーの尾端側に当接して、前記バンパーの回動動作で作動するスイッチとから成ることを特徴とする請求項1に記載の自動車玩具。
【請求項3】 前記バンパーは、バンパー本体と、当該バンパー本体から断面「L」字状に延びる回動アームと、前記バンパー本体に対し上方にオフセットさせて当該回動アームに設けられた支点とを有することを特徴とする請求項2に記載の自動車玩具。
【請求項4】 前記操舵機構は、操舵輪と、操舵輪の車軸を受ける車軸受けとを有し、当該車軸受けは、車の中心線に直交して前記車軸の後方位置を規制する第1の規制端と、当該第1の規制端に角度を存して前記車軸の前方位置を規制する第2の規制端とで扇状に形成され、前記車軸は、前記第1の規制端と前記第2の規制端との間で移動自在に構成されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の自動車玩具。

【図1】
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【図3】
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【図6】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】実開平5−84397
【公開日】平成5年(1993)11月16日
【考案の名称】自動車玩具
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−31648
【出願日】平成4年(1992)4月15日
【出願人】(000003584)株式会社トミー (248)
【出願人】(592103280)株式会社ホリキリ (1)