説明

自動車用の清掃具

【課題】 走行中の振動等によって取付具が緩んだり、或いは抜け外れたりすることを確実に防止できる自動車タイヤ用の清掃具を提供する。
【解決手段】 トラック等の自動車タイヤTの側面の汚れを落とす清掃体A2と、この清掃体A2をタイヤT側面に垂れ下がらせて接触させるように取り付ける取付具A1と、から構成され、前記取付具A1は、自動車タイヤT上方の車体Bを跨ぐように形成した本体部1’に、相対向する一対の軸孔11、12を各々形成した取付具本体1と、前記軸孔12の一方から車体Bを貫通して、他方の軸孔11まで貫通される軸部21とを備え、この軸部21の基端には、前記一方の軸孔12を貫通しない頭部22が一体形成された貫通軸2と、前記貫通軸2の頭部22と取付具本体1とを連結して係止し、前記貫通軸2の回転を規制する回転規制部材3と、から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック、乗用車、トラクター等の自動車のタイヤ側面の汚れを落として、タイヤ側面の汚れを防止する自動車用の清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車タイヤの清掃は、洗車時に、ブラシでタイヤを擦って、タイヤに付着した泥汚れ等を洗い流すようにすることが多く、特に、自動車タイヤのタイヤ側面(以下、単に「側面」ともいう。)は、外部から見え易いため、常に綺麗にしておくことが望まれるが、このタイヤ側面に付着した泥汚れ等をブラシで擦って汚れを洗い流す作業は、非常に手間が掛かるという欠点がある。
【0003】
そこで、タイヤ側面をきれいな状態に保つことができる様々な自動車用の清掃具が提案されている。
【0004】
具体的には、例えば従来の自動車用の清掃具は、トラック等の自動車タイヤの側面の汚れを落とすため、帯状に形成された清掃体と、前記清掃体をタイヤ側面に垂れ下がらせて接触させるように取り付ける取付具とを備えてなるものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この自動車用の清掃具は、自動車タイヤの上方に設置されているタイヤハウスの外縁部に前記取付具のボルトを貫通させると共に、先端をナットで締付けて当該取付具をタイヤハウスの外縁部に固定し、この固定した取付具に前記清掃体の上端を連結して、当該清掃体の下方をタイヤ側面に垂れ下がらせて接触するように取付けられている。
【0006】
そのため、前記清掃体が、走行中に回転する自動車タイヤの側面に接触し、この回転力を利用して自動車タイヤの側面の汚れを落とすことができるのである。
【0007】
このように、従来の自動車用の清掃具は、取付具を車体にボルトで圧設して取付けるか、或いは、前記の通り、ボルトをタイヤハウスに貫通させたうえで、先端にナットを螺合して取付ける構造のものである。
【0008】
【特許文献1】特開平11−115693号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、走行中の自動車タイヤは、路面の凹凸による衝撃を吸収しながら高速回転しており、この吸収された振動は、同時に車体に伝播される。
【0010】
そのため、この伝播された振動によって、車体に取付けられた取付具のボルト、ナットが弛んで外れてしまう恐れがあり、この取付具が走行中に外れてしまうと、この外れた自動車用の清掃具を後続の自動車が巻き込んで大事故に繋がるという危険があった。
【0011】
又、このように、車体に取付けられた取付具のボルト、ナットが走行中に弛んで自動車用の清掃具が外れてしまうと、自動車タイヤ側面の汚れを落とすことができなくなるなどの課題が有る。
【0012】
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、走行中の振動等によって取付具が緩んだり、或いは抜け外れたりすることを確実に防止できる自動車タイヤ用の清掃具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、請求項1に係る自動車用の清掃具においては、トラックなどの自動車タイヤの側面の汚れを落とす清掃体と、この清掃体をタイヤ側面に垂れ下がらせて接触させるように取り付ける取付具と、から構成され、前記取付具は、自動車タイヤ上方の車体に取り付けられるように形成した本体部に、相対向する一対の軸孔を各々形成した取付具本体と、前記軸孔の一方から車体を貫通して、他方の軸孔まで貫通される軸部を備え、この軸部の基端には、前記一方の軸孔を貫通しない頭部が一体形成された貫通軸と、前記貫通軸の頭部と取付具本体とを連結、係止して前記貫通軸の回転を規制する回転規制部材と、から構成したことを特徴とするものである。
【0014】
ここで、自動車とは、トラック、トレーラー、一般乗用車の他、トラクターのような農作業用の車両も含む意味である。
【0015】
また、回転規制部材は、貫通軸の回転を規制できるものであれば限定されるものではなく、具体的には、例えば針金、紐、ワイヤーロックやスクリューロック等の各種ロック機構、塑性可能なバネ部材などを用いることができる。
【0016】
また、取付具及び/又は清掃体には、帯電防止剤を被覆、含浸させることで、清掃体とタイヤ側面との接触による静電気の発生を防止できる。
【0017】
この帯電防止剤としては、陰イオン性帯電防止剤[カルボン酸塩、スルホン酸(塩)]、陽イオン性帯電防止剤(アミン、第四級アンモニウム塩)、非イオン性帯電防止剤[多価アルコール(エステル)]、両性帯電防止剤(カルボン酸系帯電防止剤、スルホン酸系帯電防止剤)、無機塩、水溶性ポリマー又はケイ素化合物等、種々のものが挙げられるが、このような帯電防止剤を、例えば、取付具では、表面に被覆させて用い、一方、清掃体では、前記帯電防止剤を含浸させて用いれば良いのである。
【0018】
更に、本発明において、前記帯電防止剤は、静電気の発生が防止できることに加えて、取付具及び清掃体は、車体とタイヤ側面とを接触させる媒体として機能するのであり、車体に帯電された静電気が、清掃具を介してタイヤから地面に放電されるため、清掃具を車体のアースとしても兼用できるのである。
【0019】
又、請求項2に係る自動車用の清掃具においては、請求項1における清掃体が、帯状に形成されているものであり、このように、清掃体を帯状に形成すると、タイヤ側面との接触面積が多くなるので望ましいのである。
【0020】
ここで、帯状とは、全体形状を単に帯状に形成したものに限られず、その清掃体の下端から上方に向けて複数の切り込みを形成して複数の帯状に形成したもの、或いは、複数の帯状のものを束ねて房状に形成したものなども含む意味である。
【0021】
更に、請求項3に係る自動車用の清掃具は、前述の自動車用の清掃具における貫通軸の軸部には、ネジ山を形成すると共に、このネジ山に螺合されるネジ溝を前記一対の軸孔の少なくとも一方に形成したものであり、このように構成すると、貫通軸と軸孔のネジ孔とが螺合されるので、貫通軸と本体部とを一層確実に螺着できるのである。ここにおいて、ネジ溝は、両方の軸孔に形成すれば、貫通軸を螺合して貫通させる手間が少々増えるが、反面、貫通軸と本体部を更に一層確実に螺着できるのである。
【0022】
請求項4に係る自動車用の清掃具においては、前述の自動車用の清掃具における貫通軸の頭部又は取付具本体の本体部の少なくとも一方には、回転規制部材を貫通する係止孔を設けたものが好ましいのであり、このように構成すると、回転規制部材を貫通する係止孔を設けているので、取付け後の貫通軸の頭部と取付具本体とを回転規制部材によって、至極簡単に且つ極めて容易に連結できるのである。
また、貫通軸には、ボルトを用いることも可能であり、その場合には、ボルトの頭部に係止孔を形成すれば良いのである。
【0023】
請求項5に係る自動車用の清掃具においては、前述の自動車用の清掃具における貫通軸の軸部先端には、車体を貫通可能な切削部を形成したことを特徴とするものであり、このように構成すると、この切削部は、車体を貫通可能な機能を備えていれば良く、タッピングネジなどを用いることができる。
【0024】
このように構成すると、貫通軸の軸部先端に、車体を貫通可能な切削部が形成されているので、取付具の取付作業時に、貫通軸が車体を切削しながら同時に貫通し得る結果、その取付作業を極めて迅速に行うことができるのである。
【0025】
請求項6に係る自動車用の清掃具においては、前述の自動車用の清掃具における清掃体には、取付具と着脱可能に連結される連結部を設けてなるものであり、この連結部は、清掃体を取付具に着脱可能に連結し得る構造のものであれば特に限定されるものではない。
【0026】
前記連結部としては、例えば清掃体の上端部に釦状の係止部を設けると共に、この係止部と着脱可能な釦状の係合部とを間隔をあけて設け、清掃体の上端部を取付具本体に巻き返したうえで、前記の係止部と係合部とを係合すると、清掃体を取付具に至極簡単に且つ極めて容易に着脱自在に取り付けることができるのである。一方、清掃体を取り外す場合には、前記係止部を係合部から離脱させて、その係止を解除すれば、清掃体を取付具から容易に取り外すことができる。
【0027】
また、前記連結部として、面ファスナーのような係止部と係合部とを利用したり、釦とこの釦が嵌まる係合孔とを利用したり、磁石等を用いることができる。
【0028】
特に、このように構成すると、使用によって清掃体が擦り減ったり、破れ等により自動車におけるタイヤ側面の清掃が不完全になった場合、この清掃体のみを新しいものに取り換えて再使用できるので極めて有益である。
【0029】
請求項7に係る自動車用の清掃具においては、トラックなどの自動車タイヤの側面の汚れを落とす清掃体と、この清掃体をタイヤ側面に垂れ下がらせて接触させるように取り付ける取付具と、から成る自動車タイヤ用の清掃具において、前記取付具は、自動車タイヤ上方の車体に溶接などによって固定されると共に、前記清掃体は前記取付具と着脱可能に連結される連結部を設けてなり、この連結された前記清掃体を自動車タイヤの側面に垂れ下がらせて接触させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0030】
前述の請求項1〜6では、取付具が車体と着脱可能な構造であるのに対し、請求項7に係る自動車用の清掃具においては、取付具が車体に完全に固定されると共に、この固定された取付具に対して、清掃体が着脱可能に構成されている点に特徴を有するものである。
【0031】
そのため、一旦、車体に固定した取付具を取り外すことはできない反面、取付具を自動車タイヤ上方の車体に溶接等によって完全に固定しているので、取付具が走行中の車体の振動等によって緩んだり、或いは抜け外れたりすることを確実に防止できるので、極めて安全である上、車体に固定した取付具に清掃体を繰り返し取り換えることにより長期間にわたって使用できるのである。
【0032】
一方、取付具を、前記の構造にした場合、清掃体の取替え作業をどのようにして行うかが問題となるが、ここでは、固定した取付具に、着脱可能な清掃体をタイヤ側面に垂れ下げて接触する構造にすることによって解決している。
【0033】
請求項8に係る自動車用の清掃具においては、トラックなどの自動車タイヤの側面の汚れを落とす清掃体と、この清掃体をタイヤ側面に垂れ下がらせて接触させるように取り付ける取付具と、から成る自動車タイヤ用の清掃具において、前記取付具は、前記清掃体の上端部に固着された磁石であり、この取付具を自動車タイヤ上方の車体と着脱可能に連結してなり、この連結された前記清掃体を自動車タイヤの側面に垂れ下がらせて接触させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0034】
このものでは、清掃体の上端部に取付具が取り付けられていると共に、この取付具として磁石を用い、自動車の車体と取付具が磁石によって着脱可能になるように構成されている点、に特徴を有するものである。
【0035】
そのため、取付具を自動車の車体に磁着させて素早く取付けることができるうえ、その取付け後は、磁石の磁力によって、走行中の車体の振動等で緩んだり、或いは外れたりすることを防止できるのである。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、次のような効果がある。
請求項1に係る自動車用の清掃具によれば、取付具の貫通軸が、取付具本体の軸孔の一方から車体を貫通して、他方の軸孔まで貫通され、しかも、この貫通軸の頭部と取付具本体は、回転規制部材で連結して係止されているため、取付けられた貫通軸が走行中の車体の振動等によって緩んだり、或いは抜け外れたりすることを確実に防止できる効果を奏するのである。
【0037】
請求項2に係る自動車用の清掃具によれば、清掃体を帯状に形成しているので、清掃体とタイヤ側面との接触面積を多くでき、タイヤ側面を広い範囲で清掃できるなどの効果を奏するのである。
【0038】
請求項3に係る自動車用の清掃具によれば、貫通軸の少なくとも一方は、ネジ機能を備えているので、貫通軸と取付具本体を螺合して連結できるので、貫通軸の緩みや、抜け外れを一層確実に防止できるなどの効果を奏するのである。
【0039】
請求項4に係る自動車用の清掃具によれば、前述の自動車用の清掃具における貫通軸の頭部又は取付具本体の本体部の少なくとも一方には、回転規制部材を貫通する係止孔を設けてなり、回転規制部材を貫通する係止孔を設けているので、取付け後の貫通軸の頭部と取付具本体とを回転規制部材によって、至極簡単に且つ極めて容易に連結できるなどの効果を奏するのである。
【0040】
請求項5に係る自動車用の清掃具によれば、前述の自動車用の清掃具における貫通軸の軸部先端には、車体を貫通可能な切削部を形成したことを特徴とするものであり、この切削部は、車体を貫通可能な機能を備えているので、取付具の取付作業時に、貫通軸が車体を切削しながら同時に貫通し得る結果、その取付作業を極めて迅速に行うことができるなどの効果を奏するのである。
【0041】
請求項6に係る自動車用の清掃具によれば、自動車用の清掃具における清掃体には、取付具と着脱可能に連結される連結部を設けてなるものであり、この連結部は、清掃体を取付具に着脱可能に連結し得る構造に構成されているので、使用によって清掃体が擦り減ったり、破れ等により自動車におけるタイヤ側面の清掃が不完全になった場合、この清掃体のみを新しいものに取り換えて再使用できるので極めて有益であるなどの効果を奏するのである。
【0042】
請求項7に係る自動車用の清掃具によれば、取付具を自動車タイヤ上方の車体に溶接等によって完全に固定し、この固定した取付具に、着脱可能な清掃体をタイヤ側面に垂れ下げて接触する構造にしているので、取付具が走行中の車体の振動等によって当該取付具が抜け外れたりすることを確実に防止できるのであり、また、使用によって清掃体が磨耗した際には、この磨耗した清掃体だけを新たなものに取り替えれば良く、取付具の取替え作業を不要にできるなどの効果を奏するのである。
【0043】
請求項8に係る自動車用の清掃具によれば、取付具を自動車の車体に磁着させて素早く取付けることができるうえ、その取付け後は、磁石の磁力によって、走行中の車体の振動等で緩んだり、或いは外れたりすることを防止できるなどの効果を奏するのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0045】
実施例1
図1は、本発明に係る自動車用の清掃具Aの一実施例を自動車に取付けた状態を示す使用状態図であり、図2は、図1で示す自動車用の清掃具Aの分解斜視図であり、図3は、図1で示す自動車用の清掃具Aの要部断面図であり、図4は、本発明に係る自動車の清掃具の他例を示す部分斜視図である。
【0046】
この自動車用の清掃具Aは、トラック等の自動車タイヤTの側面の汚れを落とす清掃体A2と、この清掃体A2をタイヤT側面に垂れ下がらせて接触させるように取り付ける取付具A1と、から構成している。以下、各部材について詳説する。
前記取付具A1は、取付具本体1と、貫通軸2と、回転規制部材3と、により構成されてなる。
【0047】
前記取付具本体1は、図3に示すように、自動車タイヤT上方の車体Bを跨ぐように略U形状或いは略V形状(不図示)に本体部1’を形成し、その両端に、相対向する一対の軸孔11、12を各々形成している。
【0048】
ここで、車体Bとは、例えば、トラック、トレーラーの自動車では、自動車タイヤTの上方に位置する荷台側端から下方に延設された延設部、或いは、自動車タイヤTの上方に位置するタイヤハウス縁部(不図示)等が挙げられる。
【0049】
前記貫通軸2は、図3に示すように、一方の軸孔12から車体Bを貫通して、他方の軸孔11まで貫通される軸部21を備えると共に、基端には、一方の軸孔12を貫通しない頭部22を一体形成してなる。
【0050】
この頭部22には、回転規制部材3を貫通する係止孔23を形成するのが望ましい。
本実施例では、貫通軸2の軸部21先端にネジ山21aを形成すると共に、このネジ山21aに螺合されるネジ溝11aを他方の軸孔11に形成して、貫通軸2と取付具本体1が螺合して連結される構造にしている。
【0051】
前記回転規制部材3は、貫通軸2と取付具本体1とを連結して係止し、この貫通軸2の回転を規制するものであって、本実施例では、回転規制部材3として針金を用い、これを想像線で示している。
【0052】
この回転規制部材3は、貫通軸2の頭部22に形成された係止孔23に、回転規制部材3の一端を貫通し、その一端を更に本体部1’に巻廻させたうえで他端に結合することで、貫通軸2と取付具本体1とを連結して係止できる。
【0053】
また、図4で示すように、一方の係止孔12側に位置される取付具本体1の本体部1’の外側に突部4を突設し、この突部4にも回転規制部材3を貫通する係止孔41を設けておけば、貫通軸2の係止孔23と突部4の係止孔41とを、車体Bに邪魔されることなく、回転規制部材3で連結することができるので、その作業性を著しく高めることができるのである。
【0054】
このような構造の取付具A1によれば、貫通軸2が、取付具本体1の一方の軸孔12から車体Bを貫通して、更に他方の軸孔11まで貫通され、しかも、この貫通軸2の頭部22と取付具本体1は、回転規制部材3で連結して係止されるため、取付けた貫通軸2が走行中の車体Bの振動等によって緩んだり、或いは抜け外れたりすることを確実に防止できる。
【0055】
そして、この取付具A1には、自動車タイヤTの側面に垂れ下がらせて接触させるようにして清掃体A2を取り付けている。
【0056】
清掃体A2は、例えば、厚手の不織布や織布、ゴム製シート、ポリプロピレン繊維やポリエステル繊維等の合成樹脂製繊維で形成された不織布や織布、合成樹脂製のシートを帯状に形成して変形自在とし、吊下げ具100によって取付具A1に吊下げられている。
【0057】
そして、前記清掃体Aの表面には、所望により、図2及び図4に示すように、△△株式会社などの会社名の他、文字、記号等による表示部104を印刷、刺繍等で形成しても良く、このような表示部104を形成すれば、清掃体Aを社名や取扱い商品等が表示された広告媒体としても使用できるのである。
【0058】
なお、表示部104は、図3で示すように、清掃体AがタイヤT側面に接触しない範囲lの位置で形成すれば、表示部104がタイヤT側面との接触磨耗によって損傷しない上、泥等による汚れの虞れが無いので好ましい。
【0059】
また、帯状に形成するとは、図1〜図4で示すように、全体形状を単に帯状に形成したものに限らず、図5(a)で示すように、図1で示す清掃体A2の下端から上方に向けて複数の切り込み105を形成して複数の帯状片115を連設したもの、或いは、図5(b)で示すように、図5(a)を束ねて房状に形成したものも含まれる。
【0060】
一方、吊下げ具100は、ハンガー状に形成された吊下げ部101と、この吊下げ部101と回転自在に連結した引っ掛け部102とからなる。
【0061】
前記吊下げ部101には、清掃体A2の上端部を固定して取付けており、ここでは、清掃体A2の上端を吊下げ部101に巻廻して折り返したうえで、前記上端部をリベット103にて固定して取付けている。
【0062】
また、清掃体A2は、図6に示すように、上部に連結部50を設けて、吊下げ具100の吊下げ部101と着脱可能に連結して取付けることもできる。
【0063】
即ち、図6(a)・(b)は、連結部50の一例を示す清掃体A2の部分斜視図であり、この連結部50としては、例えば、図6(a)で示すように、清掃体A2の上端に凸状の係止部51を設けると共に、この係止部51と着脱可能な凹状の係合部52を間隔をあけて下方に設け、清掃体A2の上端部を吊下げ部101に折り返して巻回したうえで、係止部51を係合部52に係合すれば、清掃体A2を吊下げ具100の吊下げ部101に着脱自在に連結して取付けることができるのである。一方、清掃体A2を取り外す場合には、係止部51を係合部52から離脱させて、その係合を解除すれば、清掃体A2を取付具の吊下げ具100から容易に取り外すことができる。
【0064】
又、例えば、図6(b)で示すように、連結部50として、清掃体A2の上端部に面ファスナーのような係止部51を設けると共に、この係止部51と着脱可能な係合部52を下方に形成しても良いのである。
【0065】
前記引っ掛け部102は、取付具本体1に掛止可能なフック状に形成された掛止部112と、この掛止部112を開閉可能にするように外側に向けて弾性付勢して取付けられた弾性開閉部122と、より形成されてなる。
【0066】
そして、前記弾性開閉部122の弾性力に抗して、これを内側に押しながら、掛止部112を、図2の矢印で示すように、取付具本体1に引っ掛けたうえで、弾性開閉部122を離せば、その弾性力によって弾性開閉部122が掛止部112を閉止され、取付具本体1からの抜け外れを防止しながら清掃体A2を取付具本体1に吊下げることができるのである。
【0067】
前述のように構成した本発明に係る自動車用の清掃具Aは、以下の要領で自動車の車体Bに取付けられる。
【0068】
先ず、取付具A1を自動車タイヤT上方の車体Bに固定する位置を決める。このとき、取付具A1に連結される清掃体A2の下部が、自動車タイヤTの側面に接触する位置となるように構成する。なお、走行時、風圧により清掃体A2が進行方向よりも後方に流されることを考慮すれば、図1に示すように、取付具A1をタイヤTの中心よりも前方の進行側に取り付け、そこから清掃体A2が、斜め後ろ方向に垂れ下がってタイヤTの側面に接触する位置が望ましい。
【0069】
この取付具A1の固定する位置を特定したならば、自動車タイヤT上方の車体Bを跨ぐようにして取付具本体1を仮保持しながら、他方の軸孔12から車体Bに向けて鉛筆等で目印を付し、この目印の位置に合わせて電気ドリル等で貫通軸2が挿通される大きさの貫通孔を開設する。
【0070】
次いで、前記貫通孔に取付具本体1の軸孔11、12を合わせたうえで、他方の軸孔12から一方の軸孔11に向けて貫通軸2を挿通させ、この取付具本体1を車体Bに固定する。
【0071】
又、図7で示すように、貫通軸2の軸部21先端に、車体Bを貫通可能な切削部21bを形成しておけば、貫通軸2が車体Bを切削しながら同時に貫通できるので、その作業を迅速に行うことができるのである。
【0072】
そして、この貫通した貫通軸2の頭部22と取付具本体1とを、回転規制部材3によって連結させて係止することができるのである。
【0073】
最後に、車体Bに固定された取付具A1の取付具本体1に、前記要領で清掃体A2を連結すれば、この清掃体A2がタイヤT側面に垂れ下がって接触するように取付けられる。
【0074】
このように取付けられた本発明に係る自動車用の清掃具Aにおける清掃体A2は、走行中に回転する自動車タイヤTの側面に接触され、この回転力を利用して自動車タイヤTの側面の汚れを落とすことができるのである。
【0075】
実施例2
図8は、本発明に係る自動車用の清掃具Aの他の実施例を示す要部断面図である。
ここで、図1〜図7と共通する部位には、同一の番号を付してその説明は省略し、本実施例の特徴についてのみ説明する。
【0076】
この自動車用の清掃具Aは、前述の取付具A1が車体Bと着脱可能な構造であったのに対し、ここでは、取付具A1が車体Bに溶接Y等によって完全に固定されると共に、この固定した取付具A1に対して、清掃体A2が着脱可能に構成された構造である点で相違するものである。
【0077】
すなわち、この自動車用の清掃具Aは、前述と同じ要領にして、取付具本体1に貫通軸2を貫通させ、取付具本体1を車体Bに取付ける。
【0078】
次いで、この貫通された貫通軸2と、取付具本体1との接合部分を、スポット溶接などによって溶接Yし、両者を完全に固定する。なお、本実施例では、溶接Yを容易にするために貫通軸2としてボルトを用いている。
【0079】
このように取付具A1は、自動車タイヤ上方の車体Bに溶接Yによって完全に固定されるため、取付具A1が走行中の車体Bの振動等によって緩んだり、或いは抜け外れたりすることはないのである。
【0080】
そして、図6で示したように、連結具50を設けた清掃体A2を用いれば、本実施例のような車体Bに完全に固定された取付具A1であっても、清掃体A2をタイヤT側面に垂れ下げて接触させて取付けできるので、走行中に回転する自動車タイヤTの汚れを落とすことができる。
【0081】
一方、清掃体A2が磨耗等によって新たなものと取替える場合には、係止部51を係合部52から離脱させて、その係止を解除すれば、清掃体A2を取付具A1から容易に取り外すことができるのであり、次いで、清掃体A2を新たなものに取り替えれば良いのである。このように構成すると、取付具1の取替え作業を不要にして、これを確実に車体Bに固定できるうえ、清掃体A2の取替えも至極簡単に且つ極めて容易に行うことができるのである。また、清掃体A2を新たに取り替えるだけなので、極めて廉価になるのである。
【0082】
実施例3
図9は、本発明に係る自動車用の清掃具Aの更に他の実施例を示す要部斜視図及び概略図である。
【0083】
ここで、図1〜図8と共通する部位には、同一の番号を付してその説明は省略し、本実施例の特徴についてのみ説明する。
【0084】
この自動車用の清掃具Aは、清掃体A2の上端に取付具A1を固着して、取付具A1と清掃体A2を一体化すると共に、この取付具A1として磁石を用い、自動車の車体Bと取付具A1が磁石によって着脱可能にされる構造に特徴を有するのである。
【0085】
すなわち、従来のものは、取付具をボルト、ナットで固定する構造であった為、走行中の自動車タイヤから伝播される振動によって前記ボルト、ナットが弛んで外れてしまう恐れがあったが、本発明では、取付具A1自体を磁石で形成して、その磁力によって車体Bに固定するものである。
【0086】
更に説明すれば、従来のものは、取付具A1を車体Bに固定する力自体は、前記ボルト、ナットの方が磁石に比べて強いが、振動に対しては、前記ボルト、ナットの方が外れ易いと言える。
【0087】
それは、従来のものは、ボルト、ナットの場合では、一旦緩みが生じると、その緩みを止めることができず、次第にボルトとナットとの螺合力が弱まるので、やがて取付具が外れてしまう危険が高いのに対し、本発明の磁石を用いた場合には、振動によって万一ズレが生じたとしても、その磁力が衰えることはなく常に安定しているため、そのズレた位置で磁着され、取付具A1が外れてしまう危険はないのである。
【0088】
現に、自動車の鍵を保管するキーケース等を車体B裏に取付ける手段として磁石が使用されており、磁石が車体Bから外れる危険のないことは実証済である。
【0089】
この自動車用の清掃具Aを取付けるには、清掃体A2がタイヤT側面に垂れ下がって接触するようにして、取付具A1を自動車タイヤT上方の車体Bに磁着するだけで固定される。
【0090】
このように、本発明の清掃体Aによれば、取付具Aを自動車の車体Bにワンタッチで素早く取付けできるので誰でも簡単に取付けできるうえ、その取付け後は、磁石の磁力によって、走行中の車体Bの振動等で緩んだり、或いは外れたりすることを防止できるのである。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、自動車のタイヤ側面の汚れを落として、タイヤ側面の汚れを防止する安全な自動車用の清掃具として有効に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、本発明に係る自動車用の清掃具の一実施例を自動車に取付けた状態を示す使用状態図である。
【図2】図2は、図1で示す自動車用の清掃具の分解斜視図である。
【図3】図3は、図1で示す自動車用の清掃具の要部断面図である。
【図4】図4は、図1で示す取付具の他の実施例を示す自動車用の清掃具の分解斜視図である。
【図5】図5(a)は、本発明で用いられる清掃体の他例を示す部分斜視図であり、図5(b)は、本発明の清掃体の更に他の例を示す部分斜視図である。
【図6】図6(a)は、本発明で用いられる清掃体に取り付けられた連結部の一例を示す清掃体の部分斜視図であり、図6(b)は、本発明で用いられる清掃体に取り付けられた連結部の他例を示す清掃体の部分斜視図である。
【図7】図7は、貫通軸の他の実施例を示す自動車用の清掃具の分解斜視図である。
【図8】図8は、本発明に係る自動車用の清掃具の他の実施例を示す要部断面図である。
【図9】図9は、本発明に係る自動車用の清掃具の更に他の実施例を示す要部斜視図及び概略図である。
【符号の説明】
【0093】
A 自動車用の清掃具
A1 取付具
A2 清掃体
B 車体
T タイヤ
Y 溶接
1 取付具本体
1’ 本体部
11 軸孔
12 軸孔
11a ネジ溝
2 貫通軸
21 軸部
21a ネジ山
21b 切削部
22 頭部
23 係止孔
3 回転規制部材
51 係止部
52 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックなどの自動車タイヤの側面の汚れを落とす清掃体と、この清掃体をタイヤ側面に垂れ下がらせて接触させるように取り付ける取付具と、から構成され、
前記取付具は、自動車タイヤ上方の車体に取り付けられるように形成した本体部に、相対向する一対の軸孔を各々形成した取付具本体と、
前記軸孔の一方から車体を貫通して、他方の軸孔まで貫通される軸部を備え、この軸部の基端には、前記一方の軸孔を貫通しない頭部が一体形成された貫通軸と、 前記貫通軸の頭部と取付具本体とを連結、係止して前記貫通軸の回転を規制する回転規制部材と、から構成したことを特徴とする自動車用の清掃具。
【請求項2】
清掃体が帯状に形成されている請求項1に記載の自動車用の清掃具。
【請求項3】
貫通軸の軸部には、ネジ山を形成すると共に、このネジ山に螺合されるネジ溝を前記一対の軸孔の少なくとも一方に形成しなる請求項1又は2に記載の自動車用の清掃具。
【請求項4】
貫通軸の頭部又は取付具本体における本体部の少なくとも一方には、回転規制部材を貫通する係止孔を設けてなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の自動車用の清掃具。
【請求項5】
貫通軸の軸部先端には、車体を貫通可能な切削部を形成してなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の自動車用の清掃具。
【請求項6】
清掃体には取付具と着脱可能に連結される連結部が設けられている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の自動車用の清掃具。
【請求項7】
トラックなどの自動車タイヤの側面の汚れを落とす清掃体と、この清掃体をタイヤ側面に垂れ下がらせて接触させるように取り付ける取付具と、から成る自動車タイヤ用の清掃具において、
前記取付具は自動車タイヤ上方の車体に溶接などによって固定されると共に、前記清掃体は前記取付具と着脱可能に連結される連結部を設けてなり、
この連結された前記清掃体を自動車タイヤの側面に垂れ下がらせて接触させるように構成されていることを特徴とする自動車用の清掃具。
【請求項8】
トラックなどの自動車タイヤの側面の汚れを落とす清掃体と、この清掃体をタイヤ側面に垂れ下がらせて接触させるように取り付ける取付具と、から成る自動車タイヤ用の清掃具において、
前記取付具は、前記清掃体の上端部に固着された磁石であり、この取付具を自動車タイヤ上方の車体と着脱可能に連結してなり、
この連結された前記清掃体を自動車タイヤの側面に垂れ下がらせて接触させるように構成されていることを特徴とする自動車用の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−143079(P2006−143079A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338009(P2004−338009)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(504432138)
【Fターム(参考)】