説明

自動車用エアージャッキ

【課題】セット操作を正確に行え、しかも、ジャッキアップ能力を最大限に生かすことのできる自動車用エアージャッキを提供する。
【解決手段】バルブ4を通じて注入するエアーによって膨張する袋主体1に台盤材3と、これに相対する荷受材2を設け、該荷受材2に自動車に着脱自在に止着する止着手段5を設ける。そして、荷受材2を、ゴム等の弾性素材で構成すると共に、ジャッキポイントaを挟入する挟入溝8を設けて前記止着手段5とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積雪時のチェーン装着、タイヤ交換或いは脱輪時等に際し、自動車をジャッキアップするために用いる自動車用エアージャッキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
密封袋内にエアーを注入して該密封袋を膨張させ、その膨張圧(エアーの圧力)で自動車をジャッキアップする、エアージャッキは公知である(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−161038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアージャッキも例えば、パンタグラフジャッキ等と同様、車両と地上との間に介在させて密封袋体をエアー注入により膨張させて前記車両のジャッキアップを図るものであるが、セットに際して密封袋体が折り畳まれて縮小状態にあるので、膨張させたとき荷受面(自動車の荷重を受ける)が正しい位置(ジャッキポイント)からずれ勝ちとなる。
【0005】
また、エアージャッキは、自動車の荷重を受ける荷受面が、ジャッキポイント位置にあって、しかも、密封袋体の膨張圧が集中したときに効率の良いジャッキアップ機能を果たすのであるが、エアー注入による膨張圧により荷受面がジャッキポイントよりずれて、すなわち、接地面よりずれて車両に対する浮上力が低減するときがある。
【0006】
本発明は、斯様な従来例の欠点に着目し、セット操作を正確に行え、しかも、ジャッキアップ能力を最大限に生かすことのできる自動車用エアージャッキを提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
バルブを通じて注入するエアーによって膨張する袋主体に台盤材と、これに相対する荷受材を設け、該荷受材に自動車に着脱自在に止着する止着手段を設けた構成とするのである。
【0008】
なお、ゴム等の弾性素材で構成した荷受材の上面にジャッキポイント(ロッカーフランジ)を挟入する挟入溝を設けたことを止着手段とすることにより、構成部品が少なくて済み、荷受材の加工を楽に行え、低コストで車両を傷つけることのないジャッキを提供できる。
【0009】
また、磁石による磁着を止着手段とすることにより脱着が容易で車両の加工が不要なジャッキを提供でき、ジャッキポイント(ロッカーフランジ)に設けた横孔に掛止杆を差し込むことを止着手段とすることにより自動車に荷受材を確実に止着できるジャッキを提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
エアージャッキは、荷受部と台部の間を構成する袋体の材料が不定形であるため、エアーを注入すると水平方向に自在に動いた方向が定まらず、正しい位置にセットしにくいが、本発明によれば、止着手段によってジャッキポイントに止着するためセットが容易で、従って、自動車のジャッキアップ操作を円滑に行えることができ、実用的である。
【実施例】
【0011】
図面は本発明に係る車両用エアージャッキの一実例を示し、図1は縦断面図、図2は折り畳んだ状態の縦断面図、図3は図2の平面図、図4は図3の正面図、図5は第二実施例の一部の縦断面図、図6は第三実施例の一部縦断面図、図7は第四実施例の縦断面図である。
【0012】
図中、Aは本発明に係る車両用エアージャッキで、エアージャッキAは袋主体1と、該袋主体1の上端に設けた荷受材2および下端部に設けた台盤材3とで構成したものである。
【0013】
袋主体1は、袋主体1の下端部に対応する部分に袋主体1の内外を連通するエアーバルブ4を固着するようにして、積層樹脂シートを角筒袋状に二次加工して構成したもので、素材である積層樹脂シートは、ことの性質上、高気密性を備え、軽量で、しかも、折り畳みのできるもので構成する(例えば、特開2004−161308号公報には袋主体に用いるに好適とする積層シートが提案されている)。
【0014】
前記荷受材2は、袋主体1の上壁部片1aの表(上)面に重ね合わせて接着剤で止着したもので、止着手段5を設けたものである。
【0015】
また、前記台盤材3は、底壁材3aと該底壁材3aの周端に沿わせて立設した周壁材3bとで構成し、底壁材3aの上面に袋主体1の底面を接着材(図示省略)で接着して袋主体1と一体的にしたもので、周壁材3bで取り囲む空間域を折り畳んだときの袋主体1を収納するに充分な収納室6と成し、袋主体1を収納室6に収納したとき、前記荷受材2は該収納室6の蓋材を構成する(図2)。
【0016】
なお、袋主体1、荷受材2および台盤材3は平面視方形状を成すが、その他の多角形或いは円形でも差し支えのないことは勿論である。
【0017】
第一実施例
図1乃至図4で示す第一実施例は、前記荷受材2をゴム又は樹脂より成る弾性材で構成し、自動車のジャッキポイントaの受部2aの隣接位置の上面位置に挟入溝8を設け、該挟入溝8に自動車の前記ジャッキポイントa(のロッカーフランジ)を強制的に挟入する(相対的)ようにして前記止着手段5としたものである。
【0018】
そして、第一実施例においては、荷受材2の弾性変形を利用してジャッキポイントa(のロッカーフランジ)を挟入溝8に挟挿して挟入溝8において挟持させると、袋主体1は台盤材3の存在によって自重で伸展して自動車と地上面間にエアージャッキAは配され、バルブ4を通じてエアーを袋主体1内に圧入すると、袋主体1は膨張して自動車をジャッキアップするのである。
【0019】
第二実施例
図5で示す第二実施例は、荷受材2の荷受部2a位置に磁石9を埋設してこれを前記ジャッキポイントaに磁着させるように前記止着手段としたもので残余の点は第一実施例と同様である。
【0020】
なお、この実施例はジャッキポイントa(のロッカーフランジ)の係合溝10を荷受材2の上面に設け、荷受材2を上方向にして自動車に止着するようにしている。
【0021】
第三実施例
図6で示す第三実施例は磁石9´をジャッキポイントa(のロッカーフランジ)と磁着する位置にして荷受材2に設けて止着手段としたもので、荷受部2aの側面に磁石9´を埋設することにより該磁石9´を横方向からジャッキポイントに吸着させるようにしたもので、残余の点は第二実施例と同様である。
【0022】
第四実施例
図7の第四実施例は、荷受部2aの側面に掛止ピン11を突設し、該掛止ピン11をジャッキポイントa(のロッカーフランジ)に設けた横孔12に差し込んで掛止させて荷受材2側を自動車に止着するようにして止着手段5としたものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】縦断面図。
【図2】折り畳んだ状態の縦断面図。
【図3】図2の平面図。
【図4】図3の正面図。
【図5】第二実施例の一部の縦断面図。
【図6】第三実施例の一部縦断面図。
【図7】第四実施例の縦断面図。
【符号の説明】
【0024】
1 袋主体
2 荷受材
3 台盤材
4 バルブ
5 止着手段
8 挟入溝
a ジャッキポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブを通じて注入するエアーによって膨張する袋主体に台盤材と、これに相対する荷受材を設け、該荷受材に自動車に着脱自在に止着する止着手段を設けた、自動車用エアージャッキ。
【請求項2】
荷受材を、ゴム等の弾性素材で構成すると共に、上面にジャッキポイントを挟入する挟入溝を設けて止着手段とした、請求項1記載の自動車用エアージャッキ。
【請求項3】
自動車に磁着する磁石を荷受材に設けて止着手段とした、請求項1記載の自動車用エアージャッキ。
【請求項4】
荷受材にジャッキポイントに設ける横孔に差し込む掛止杆を設けて止着手段とした、請求句1記載の自動車用エアージャッキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−249144(P2009−249144A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101333(P2008−101333)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(390003447)川▲崎▼工業株式会社 (13)