説明

自動車用バンパーの表示装置

【構成】 ライセンスプレート2を備えるバンパー1に、ライセンスプレート2の表面に光を照射するライセンスランプ7を内蔵する。ライセンスランプ7からの光の照射される薄肉部4aを、オーナメント部4の形状に応じてバンパー1に形成する。
【効果】 夜間において、オーナメント部4を浮き上がらせることができ、オーナメント部4の視認性を高めることが可能となることから、オーナメント部4の見栄えを改善でき、自動車の見栄えを向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車種名や製造社名を示すエンブレム等の意匠部を備える自動車用バンパーの表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車用バンパーに、例えば実開平2−103850号公報に示されているように、自動車登録番号標(通称ナンバープレート)であるライセンスプレートを取り付けることがあり、このような自動車では、夜間におけるライセンスプレートの視認性を高めるため、ライセンスプレートの表面を照明するライセンスランプが表示装置としてバンパーに設けられている。
【0003】また、自動車には、その車種や製造社名等を一瞥して認識できるように、車種名などを示す英字や数字、あるいはエンブレム等のオーナメントが意匠部としてバンパーに設けられることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のような従来の構成は、夜間において、意匠部がライセンスプレートのように照明されないため視認性に欠け、意匠部の見栄えが劣化するという問題を生じている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の自動車用バンパーの表示装置は、以上の課題を解決するために、自動車のバンパーに光源が内蔵され、この光源からの光の照射される薄肉部が、意匠部の形状に応じて上記バンパーに形成されていることを特徴としている。
【0006】本発明の請求項2記載の自動車用バンパーの表示装置は、以上の課題を解決するために、自動車のバンパーにライセンスプレートが取り付けられ、上記バンパーに穿設された開口を通して上記ライセンスプレートの表面に光を照射する光源が上記バンパーに内蔵されている自動車用バンパーの表示装置において、上記光源からの光の照射される薄肉部が、意匠部の形状に応じて上記バンパーに形成されていることを特徴としている。
【0007】
【作用】上記の請求項1記載の構成によれば、光を遮断して通過させないバンパーにおいて薄肉部が形成されており、その薄肉部に光源からの光が照射されると、その薄肉部を通して車外に洩光させることができ、よって、夜間において上記の意匠部の視認性を高めることが可能となる。
【0008】上記の請求項2記載の構成によれば、光を遮断して通過させないバンパーにおいて薄肉部が形成されており、その薄肉部に光源からの光が照射されると、その薄肉部を通して車外に洩光させることができる。よって、夜間において上記の意匠部の視認性を高めることが可能となる。このとき、ライセンスプレートの表面を照射する光源を、夜間において意匠部を浮き上がらせるための光源と兼用するので、特に意匠部用光源を設ける必要はない。
【0009】
【実施例】本発明の一実施例について図1ないし図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。自動車用バンパーの表示装置は、図2に示すように、自動車の前後に配設された衝突などの際における緩衝用としてバンパー1に、自動車登録番号標(通称ナンバープレート)であるライセンスプレート2の照明用として内蔵されている。
【0010】このようなライセンスプレート2は、バンパー1の中央部に設けられたライセンスプレート用凹部3に取り付けられていて、ライセンスプレート2を保護するようになっている。
【0011】すなわち、ライセンスプレート用凹部3は、図1(a)に示すように、バンパー1における衝突時等の接触面であるバンパーフェイス1aのほぼ中央部から、内向きに折れ曲がってほぼ水平方向にライセンスプレート2の幅に応じた幅で所定長さ延びる凹部上壁3aと、その凹部上壁3aの端辺から下方に垂下する凹部奥壁3bとを有している。
【0012】よって、ライセンスプレート2が、ライセンスプレート用凹部3内における凹部奥壁3bに取り付けられることで、バンパーフェイス1a面から奥まった位置となることから、接触等によるライセンスプレート2の損傷を低減している。
【0013】そして、このようなバンパー1には、図3に示すように、ライセンスプレート用凹部3とバンパー上面1bとの間におけるバンパーフェイス1a上に、車種名やターボ等の機能などを示す英字等の文字や数字など、または製造社名等を示すエンブレム等からなる意匠部としてのオーナメント部4が設けられている。
【0014】このようなバンパー1は、図3のA−A矢視断面図である図1に示すように、リヤエンドパネル5を覆い、かつ、凹部奥壁3bがそのリヤエンドパネル5と所定間隔でほぼ沿うように設けられ、その凹部奥壁3bの上部には、ライセンスプレート2を取り付けるための一対の取付孔3cが設けられる一方、凹部奥壁3bの下部には、ライセンスプレート2の視認性を高めるために、ライセンスプレート2を若干上方に向くように傾斜させる傾斜用凸部3dが立設されている。
【0015】また、ライセンスプレート2を確実に支持するため、下端辺に上方に折り曲げられた一対の係止片6aを有する支持板6が、それら係止片6aにライセンスプレート2の下端片を当接させ、ライセンスプレート2と共に一対の取付ボルト7・7を各取付孔3cに通して凹部奥壁3bに締結されている。
【0016】前記のバンパー1内には、夜間にライセンスプレート2の表面を照明して視認性を高めるための光源として、ライセンスランプ7が凹部上壁3aの上方に設置されていて、このようなライセンスランプ7はランプホルダー7a、およびブラケット8を介して前記のリヤエンドパネル5に、ライセンスプレート2の表面に対して光を照射できるように取り付けられている。
【0017】さらに、凹部上壁3aには、ライセンスランプ7からの光を通過させてライセンスプレート2の表面に照射するために照射用開口3eが穿設されており、また、ライセンスランプ7からの光をライセンスプレート2上に集光するためのレンズ部9が、ライセンスランプ7を覆うように設置されている。一方、オーナメント部4がライセンスランプ7に近接して設置されているので、ライセンスランプ7からの光はオーナメント部4の背面にも照射できるようになっている。
【0018】そして、オーナメント部4がライセンスランプ7に近接するようにバンパーフェイス1aから内方に没入した凹部形状に設けられ、その上、図1(b)に示すように、バンパーフェイス1aの肉厚、例えば 3.5mmと比べて、上記のオーナメント部4の底部に、例えば 1.5mmというように薄肉部4aが形成されており、その薄肉部4aの表面に、車種名、ターボ等の機能、会社章等のエンブレム等を示す意匠部としての、例えば「XY−3」を模った光不透過材、例えば金属板が貼り付けられて厚肉部4bが形成されている。なお、厚肉部4bの表面を、バンパーフェイス1aの色と異なるように着色してもよい。
【0019】これにより、夜間にライセンスランプ7からの光が薄肉部4aの背面に照射されると、その薄肉部4aを通して厚肉部4bの周囲から光を漏洩させることができ、外方から見ると、厚肉部4bにより形成される「XY−3」の文字および記号を備えるオーナメント部4を浮かび上がらせることができる。したがって、オーナメント部4の視認性を高めることが可能となる。
【0020】このように上記実施例の構成では、昼間において視認性が充分にあるオーナメント部4を、意匠部を形成するよう薄肉部4aにより形成することで、夜間においても視認性を高めることが可能となる。また、上記の構成は点灯が義務付けられているトンネル内においても同様に有効である。
【0021】なお、上記構成では、薄肉部4a上に意匠を模った金属板等の光不透過材を貼り付けて厚肉部4bを形成したオーナメント部4の例を挙げたが、上記の構成に限定されることはなく、一変形例として、図4および図5に示すように、バンパーフェイス1a上に、例えば意匠部としての「XY−3」の文字および記号の周囲に沿って溝を形成して、その底部を薄肉部4aとする構成としてもよい。
【0022】上記構成においても、夜間にライセンスランプ7からの光がオーナメント部4の背面に照射されると、薄肉部4aを通して光を漏洩させることができ、「XY−3」を示すオーナメント部4をバンパーフェイス1a上に浮かび上がらせることが可能となり、オーナメント部4の視認性を高めることが可能となる。
【0023】また、他の変形例として、図6および図7に示すように、バンパーフェイス1a上に、溝の底部で意匠部である例えば「XY−3」の文字および記号を示すように溝を形成して、その底部を薄肉部4aとする構成としてもよい。上記構成では、夜間にオーナメント部4の背面にライセンスランプ7からの光を照射すると、薄肉部4aを通して光を漏洩させることが可能であり、「XY−3」を示すオーナメント部4をバンパーフェイス1a上に発光させることができ、よって、オーナメント部4の視認性を高めることが可能となる。
【0024】また、さらに他の変形例として、図8および図9に示すように、バンパーフェイス1aの背面に、例えば意匠部としての「XY−3」の文字および記号の周囲に沿うように溝を形成して、その底部を薄肉部4aとする構成としてもよい。上記構成では、夜間にライセンスランプ7からの光がオーナメント部4の背面に照射されると、薄肉部4aを通して光を漏洩させることが可能となり、「XY−3」を示すオーナメント部4をバンパーフェイス1a上に浮かび上がらせることができ、したがって、オーナメント部4の視認性を高めることが可能である。
【0025】なお、図示しないが、各薄肉部4a…に囲まれて形成される各厚肉部4b…からなる「XY−3」上に、視認性を高めるため金属板等を貼り付けてもよいし、また、着色等を施してもよい。
【0026】このようにオーナメント部4に薄肉部4aを意匠部を形成するように設けることで、夜間において、オーナメント部4の見栄えを改善でき、よって、自動車の見栄えも向上させることが可能となり、その上、ユーザーの使用感も向上させることができる。
【0027】なお、上記実施例の各構成では、オーナメント部4を浮き上がらせるための光源として、ライセンスランプ7を兼用した例を挙げたが、別にオーナメント部用ランプを設けてもよい。この場合では、オーナメント部4の設置位置に制限はなく、バンパー1の任意の位置に設けることができる。また、上記のようなオーナメント部用ランプを設けるのであれば、オーナメント部4の設置位置としてはバンパー1上に限定されず、車外から視認できる車体上に、上記のようなオーナメント部4を設けることが可能となる。
【0028】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の自動車用バンパーの表示装置は、以上のように、自動車のバンパーに光源が内蔵され、この光源からの光の照射される薄肉部が、意匠部の形状に応じて上記バンパーに形成されている構成である。
【0029】それゆえ、上記構成は、夜間において、意匠部を浮き上がらせることができ、意匠部の視認性を高めることが可能となることから、意匠部の見栄えを改善でき、自動車における見栄えを向上させることが可能となるという効果を奏する。
【0030】本発明の請求項2記載の自動車用バンパーの表示装置は、以上のように、自動車のバンパーにライセンスプレートが取り付けられ、上記バンパーに穿設された開口を通して上記ライセンスプレートの表面に光を照射する光源が上記バンパーに内蔵されている自動車用バンパーの表示装置において、上記光源からの光の照射される薄肉部が、意匠部の形状に応じて上記バンパーに形成されている構成である。
【0031】それゆえ、上記構成は、夜間において、意匠部を浮き上がらせることができ、意匠部の視認性を高めることが可能となることから、意匠部の見栄えを改善でき、自動車の見栄えを向上させることが可能となるという効果を奏し、その上、夜間においてライセンスプレートの表面を照射する光源を、意匠部を浮き上がられるための光源と兼用できて、複雑化を回避できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車用バンパーの表示装置の説明図であって、(a)は図3におけるA−A矢視断面図であり、(b)は自動車用バンパーの表示装置におけるオーナメント部の拡大断面図である。
【図2】上記の自動車用バンパーの表示装置が取り付けられる自動車の斜視図である。
【図3】上記の自動車用バンパーの要部正面図である。
【図4】上記の自動車用バンパーの表示装置の一変形例における自動車用バンパーの要部正面図である。
【図5】上記の図4におけるB−B矢視要部断面図である。
【図6】上記の自動車用バンパーの表示装置の他の変形例における自動車用バンパーの要部正面図である。
【図7】上記の図6におけるC−C矢視要部断面図である。
【図8】上記の自動車用バンパーの表示装置のさらに他の変形例における自動車用バンパーの要部正面図である。
【図9】上記の図8におけるD−D矢視要部断面図である。
【符号の説明】
1 バンパー
2 ライセンスプレート
4 オーナメント部(意匠部)
4a 薄肉部
7 ライセンスランプ(光源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】自動車のバンパーに光源が内蔵され、この光源からの光の照射される薄肉部が、意匠部の形状に応じて上記バンパーに形成されていることを特徴とする自動車用バンパーの表示装置。
【請求項2】自動車のバンパーにライセンスプレートが取り付けられ、上記バンパーに穿設された開口を通して上記ライセンスプレートの表面に光を照射する光源が上記バンパーに内蔵されている自動車用バンパーの表示装置において、上記光源からの光の照射される薄肉部が、意匠部の形状に応じて上記バンパーに形成されていることを特徴とする自動車用バンパーの表示装置。

【図2】
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【図5】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図6】
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【図8】
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