説明

自動釣銭機

【課題】複数の金種の硬貨を釣銭として出金する自動釣銭機407において、低価格で簡単な構成で、短時間に釣銭硬貨を取り出して確認できるようにする。
【解決手段】金種ごとに特定の種別を設定する種別設定手段12と、釣銭金額に応じて前記設定された種別ごとの枚数を計数する種別枚数計数手段10と、前記種別ごとに分割して出金するか否かを判定するための分割出金判定情報14を設定する分割出金設定手段11と、前記種別ごとの枚数の情報15と前記分割出金判定情報14に基づいて、分割して出金するか否かを判定し前記種別ごとに分割または一度に出金させる分割出金判定手段13を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗のレジで使用されるPOSレジスタ等に接続される自動釣銭機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗のレジで使用されるPOSレジスタおよび自動釣銭機は、図7に示したような外観構成をしており、上側にPOSレジスタ401が配置され、下側に自動釣銭機407が配置されている。
【0003】
そして、自動釣銭機407は、紙幣入出金部410と硬貨入出金部414からなり、硬貨入出金部414の前面側には、顧客から受け取った硬貨を投入する硬貨入金口415と、顧客へ釣銭として支払う硬貨を払い出す硬貨出金口416と、受け入れ不能と判別された硬貨を収納する硬貨リジェクト口417が設けられている。
【0004】
また、紙幣入出金部410の前面側には、顧客から受け取った紙幣を入金したり顧客へ釣銭として支払う紙幣を払い出したりする紙幣入出金口411と、紙幣を収納する紙幣回収カセット412が設けられており、その上部には自動釣銭機407の状態を表示し自動釣銭機407の操作を行う操作表示部409が設けられている。
【0005】
また、POSレジスタ401には、硬貨入出金部414の硬貨や紙幣入出金部410内の紙幣の回収および補充指示を入力するためのキーなどが備えら、POSレジスタ401の操作を行うとともに商品の金額などが表示される操作表示部402や、レシートを印字するレシート印字部403などが設けられている。
【0006】
次に、POSレジスタ401および自動釣銭機407の内部の構成を、図8を用いて以下説明する。同図に示したように、POSレジスタ401の内部は、前記操作表示部402と、前記レシート印字部403と、自動釣銭機407との通信を行う通信部404が具備されており、これらが制御部405に接続されてPOSレジスタ全体の制御が行われる。また、制御部405にはPOSレジスタの各種設定値などを記憶する記憶部406が接続されている。
【0007】
一方、自動釣銭機407の内部は、POSレジスタ401と通信を行う通信部408と、前述した操作表示部409、紙幣入出金部410、硬貨入出金部414が具備されており、これらが制御部419に接続され、自動釣銭機407全体の制御が行われる。また、制御部419には自動釣銭機407の各種設定値などを記憶する記憶部420が接続されている。
【0008】
そして、紙幣入出金部410には、紙幣入出金口411、紙幣回収カセット412、紙幣残留検知センサ413が具備されており、硬貨入出金部414には、硬貨入金口415、硬貨出金口416、硬貨リジェクト口417および硬貨残留検知センサ418が具備されている。
【0009】
以上の構成より従来のPOSレジスタ401と自動釣銭機407は、以下のように動作していた。これらの動作として本発明に係る商品の購入代金支払いと釣銭の出金動作を図9の動作フローチャートを用いて説明する。
【0010】
ここで、自動釣銭機407の動作としては、顧客から受け取った商品の購入代金(以下、「預り金」という)を自動釣銭機407に入金し自動釣銭機407にて計数し、計数した預り金と購入金額との差額を釣銭として出金する入金先行動作と、預り金の金額をPOSレジスタに入力し、釣銭を出金させた後、預り金を自動釣銭機に入金して計数する釣銭先行動作があるが、以下の説明では便宜上釣銭先行動作を例として説明する。
【0011】
まず、レジ係員が、商品のバーコードをPOSレジスタ401に接続される図示しないバーコードリーダで読み込ませると(ステップS501)、商品の名称や単価、数量および合計金額等がPOSレジスタ401の操作表示部402に表示される(ステップS502)。
【0012】
さらに、購入する商品がある場合には、前述と同様に商品のバーコードを読み取らせ、全ての商品のバーコードの読み取りが完了すると(ステップS503)、レジ係員は操作表示部402に表示されている合計金額を確認して顧客から預り金を受け取り、操作表示部402から預り金の金額を入力する(ステップS504)。
【0013】
すると、POSレジスタ401の制御部405は商品の合計金額と預り金を比較し、釣銭の有無を判定し(ステップS505)、釣銭が有る場合は、自動釣銭機407に対して通信部404を介して釣銭の出金指示を送信し(ステップS506)、釣銭が無い場合は、釣銭の出金指示をしないで、レシート印字部403で取引結果をレシートに印字する(ステップS5078)。
【0014】
そして、POSレジスタ401は、自動釣銭機407からの出金完了報告を待つ(ステップS5087)。
【0015】
そして、通信部408を介してステップS506のPOSレジスタ401からの出金指示を受信した自動釣銭機407の制御部419は(ステップS509)、紙幣入出金部410と硬貨入出金部414に対して出金指示をする(ステップS510)。
【0016】
そして、出金指示を受けた紙幣入出金部410は釣銭紙幣を計数して紙幣入出金口411へ釣銭紙幣を出金し、硬貨入出金部414は釣銭硬貨を計数して硬貨出金口416に釣銭硬貨を出金する。
【0017】
ところで、硬貨の釣銭が釣銭金額の最大999円の場合、自動釣銭機407内に格納された各金種の硬貨にいずれも不足がなければ、500円硬貨1枚、100円硬貨4枚、50円硬貨1枚、10円硬貨4枚、5円硬貨1枚、1円硬貨4枚の合計15枚が一度に全て硬貨出金口416に出金されることになる。高額硬貨が不足していれば、さらに釣銭枚数が増加する。
【0018】
再び図9に戻って、自動釣銭機407は、釣銭の出金が完了すると(ステップS511)、通信部408を介して出金完了報告をPOSレジスタ401に送信する(ステップS512)。
【0019】
POSレジスタ401が通信部404から前記出金完了報告を受信すると(ステップS507)、レシート印字部403で取引結果をレシートに印字する(ステップS508)。レジ係員は紙幣入出金口411および硬貨出金口416から釣銭を取り出し、釣銭金額を確認してレシートとともに顧客に渡す。
【0020】
そして、制御部405は自動釣銭機407に対し通信部404を介して預り金の入金指示を送信し(ステップS513)、自動釣銭機407からの入金完了報告を待つ(ステップS514)。
【0021】
自動釣銭機407は通信部408から入金指示を受信すると(ステップS515)、制御部419は紙幣入出金部410と硬貨入出金部414に対して入金指示をする(ステップS516)。
【0022】
レジ係員が、預り金を紙幣入出金口411および硬貨入金口415から入金すると(ステップS517)、紙幣入出金部410と硬貨入出金部414は入金された紙幣と硬貨を計数し、入金が完了すると(ステップS518)、通信部408を介して入金完了報告をPOSレジスタ401に送信し、入出金処理を終了する(ステップS519)。
【0023】
そして、POSレジスタ401は通信部404から自動釣銭機407からの入金完了報告を受信すると(ステップS514)、商品の販売動作を終了する。
【0024】
以上のように従来の自動釣銭機では、一度に全ての硬貨を硬貨出金口416に出金するために、釣銭硬貨の金種および枚数が多くなる金額の場合には、硬貨出金口416で多数の金種の硬貨が混ざり合い、釣銭に過不足がないかを確認するのに時間がかかるという問題や、枚数が多く一度につかみ取り難いといった問題があった。
【0025】
この問題を解決する技術として、大きさ順もしくは金額順に繰り出す硬貨繰出部と、繰り出された硬貨を平積みする硬貨保留筒と、平積みされた硬貨を平積みされた状態で硬貨払出口から吐出させる吐出筒を備え、釣銭金額を短時間に確認できるようにした技術はあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2001−351136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
しかしながら、上記従来の自動釣銭機では、釣銭金額を短時間に確認できるようになるが、大きさ順もしくは金額順に繰り出された硬貨を平積みする硬貨保留筒や平積みされた硬貨を吐出させる吐出筒などを設ける必要があり、構成が複雑になり装置コストも高くなってしまうといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、前述の課題を解決するために次の構成を採用する。すなわち、複数の金種の硬貨を釣銭として出金する自動釣銭機において、金種ごとに特定の種別を設定する種別設定手段と、釣銭金額に応じて前記設定された種別ごとの枚数を計数する種別枚数計数手段と、前記種別ごとに分割して出金するか否かを判定するための分割出金判定情報を設定する分割出金設定手段と、前記種別ごとの枚数の情報と前記分割出金判定情報に基づいて、分割して出金するか否かを判定し前記種別ごとに分割または一度に出金させる分割出金判定手段と、を設けた。
【発明の効果】
【0029】
本発明の自動釣銭機によれば、以上のように構成したので、低価格で簡単な構成で、短時間に釣銭硬貨を取り出して確認できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1の自動釣銭機の要部構成を説明する図である。
【図2】実施例1の自動釣銭機の高額硬貨設定レジスタおよび低額硬貨設定レジスタの例示図である。
【図3】実施例1のPOSレジスタおよび自動釣銭機の動作フローチャート図である。
【図4】実施例2の自動釣銭機の要部構成を説明する図である。
【図5】実施例2の自動釣銭機の分割出金閾値レジスタの例示図である。
【図6】実施例2の自動釣銭機の分割出金判定処理の動作フローチャート図である。
【図7】POSレジスタおよび自動釣銭機の外観構成図である。
【図8】POSレジスタおよび自動釣銭機の内部構成図である。
【図9】従来のPOSレジスタおよび自動釣銭機の動作フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を用いて本発明に係わる実施の形態例を説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明では、硬貨の釣銭を例として説明するが、紙幣の釣銭にも本発明を適用することができる。
【実施例1】
【0032】
(構成)
実施例1のPOSレジスタと自動釣銭機の構成は、図7および図8の従来のPOSレジスタ401と自動釣銭機407の外観図および内部構成図にて説明した構成と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0033】
図1(a)は実施例1の自動釣銭機407の要部機能ブロック図であり、図1(b)は実施例1の自動釣銭機407の記憶部420の要部構成を示す図である。
【0034】
図1において、分割出金設定手段11は、分割出金するか否か表す値を分割出金設定レジスタ101に格納するとともに、当該値を分割出金判定情報14として分割出金判定手段13に渡す機能を有する。
【0035】
なお、分割出金するか否かの設定は、POSレジスタ401の操作表示部402を用いてあらかじめ設定しこれを分割出金判定情報として受信し分割出金設定レジスタ101に格納するようにすればよく、例えば、分割出金をする場合は「1」、分割出金しない場合は「0」を設定しておくようにすればよい。勿論、自動釣銭機407の操作表示部409を用いて当該値を設定し分割出金設定レジスタ101に格納するようにしてもよい。
【0036】
また、種別設定手段12は、あらかじめ高額、低額等のような種別に各金種を設定できる機能を有し、当該設定値を高額硬貨設定レジスタ102および低額硬貨設定レジスタ103に格納する機能を有する。
【0037】
図2は、前述の高額硬貨設定レジスタ102および低額硬貨設定レジスタ103の構成を示す例示図であり、高額硬貨設定レジスタ102および低額硬貨設定レジスタ103をそれぞれ8ビットで構成し、「1」となっている硬貨を高額硬貨または低額硬貨として種別を分けることを示している。
【0038】
図2の例では、500円、100円、50円硬貨を高額硬貨とし、10円、5円、1円硬貨を低額硬貨として種別を分ける例を示している。
【0039】
再び図1に戻って、種別枚数計数手段10は、POSレジスタ401からの出金指示とともに送付されてくる釣銭情報から出金する硬貨枚数を計数するとともに、種別設定手段12により設定された種別ごとに各金種の硬貨枚数を計数し、分割出金判定手段13に種別ごとの枚数情報15として渡す機能を有する。
【0040】
分割出金判定手段13は、分割出金設定出手段11からの分割出金判定情報14に基づいて分割して種別ごとに出金するか否かを判定し、分割または分割することなく一度に、種別枚数計数手段10からの種別ごとの枚数情報15に基づいて硬貨出金口416に出金させる機能を有する。
【0041】
(動作)
以上の構成にて実施例1のPOSレジスタ401および自動釣銭機407は、以下のように動作する。この動作を図3の動作フローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明では、便宜上釣銭を出金させた後に預り金を自動釣銭機407に入金して計数する釣銭先行動作を例として説明するが、預り金の入金を先に行い釣銭として出金する入金先行動作であってもよい。
【0042】
また、以下の説明では、単価680円の商品Aを1個と単価432円の商品Bを1個購入し、合計1,112円を5千円札1枚で支払い、3,888円の釣銭が発生する場合を例とし、また、分割出金設定レジスタ101は分割出金の「1」が設定されており、高額硬貨設定レジスタ102および低額硬貨設定レジスタ103は図2のように設定されている場合を例として説明する。
【0043】
まず、レジ係員は、商品Aのバーコードを図示しないバーコードリーダで読み込ませる(ステップS201)。すると、POSレジスタ401の操作表示部402には商品Aの名称、単価680円、数量1と現在までの合計金額680円が表示される(ステップS202)。
【0044】
次に、商品Bのバーコードをバーコードリーダで読み込ませると(ステップS203)、操作表示部402には前述の商品Aの名称、単価、数量等の購入情報に追加して商品Bの名称と単価432円、数量1と現在までの合計金額1,112円が表示される(ステップS204)。
【0045】
そして、レジ係員は、顧客から5,000円を預かると、操作表示部402から預り金の金額5,000円を入力する(ステップS205)。
【0046】
そして、預り金の金額が入力されると、POSレジスタ401の制御部405は商品の合計金額1,112円と預り金として5,000円を比較し、自動釣銭機407に対して通信部404を介して釣銭として5,000円−1,112円=3,888円の出金指示を送信する(ステップS206)。
【0047】
そして、POSレジスタ401は、自動釣銭機407からの出金完了報告を待つ(ステップS207)。
【0048】
次に、自動釣銭機407が通信部408から出金指示を受信すると(ステップS209)、制御部419は紙幣入出金部410と硬貨入出金部414に対して出金指示をする(ステップS210)。
【0049】
出金指示を受けた紙幣入出金部410は釣銭紙幣として千円札3枚(3,000円)を計数して紙幣入出金口411へ出金すると(ステップS211)、レジ係員は紙幣入出金口411から千円札3枚(3,000円)を取り出し、金額を確認する。
【0050】
そして、紙幣残留検知センサ413が紙幣の取り出しを確認すると(ステップS212)、硬貨入出金部414は釣銭硬貨888円を出金するが、まず、分割出金判定手段13は、図1の分割出金設定レジスタ101にて分割出金設定がされているか否かを確認する(ステップS213)。
【0051】
本例では、分割出金設定レジスタ101には分割出金設定手段11により分割出金設定として「1」が設定されているので分割出金であると判断し、記憶部420に記憶されている高額硬貨設定レジスタ102を参照し、図2のように種別設定手段12により高額硬貨として500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨が設定されているので、種別枚数計数手段10により500円硬貨1枚、100円硬貨3枚、50円硬貨1枚を計数し硬貨出金口416に出金する(ステップS214)。
【0052】
すると、レジ係員は硬貨出金口416から500円硬貨1枚、100円硬貨3枚、50円硬貨1枚の計5枚の硬貨を取り出し、金額850円を確認する。
【0053】
そして、レジ係員が硬貨を硬貨出金口416から受け取ったことを硬貨残留検知センサ418で確認し(ステップS215)、受取りが完了しているときは、記憶部420に記憶されている低額硬貨設定レジスタ103を参照すると、図2のように種別設定手段12により低額硬貨として10円硬貨、5円硬貨、1円硬貨が設定されているので、種別枚数計数手段10は残りの釣銭38円として10円硬貨3枚、5円硬貨1枚、1円硬貨3枚を計数して硬貨出金口416に出金する(ステップS216)。
【0054】
すると、レジ係員は硬貨出金口416から10円硬貨3枚、5円硬貨1枚、1円硬貨3枚、計7枚の硬貨を取り出し、金額38円を確認する。
【0055】
一方、ステップS213にて、分割出金設定レジスタ101が分割出金をしないとして「0」が設定されている場合は、高額硬貨と低額硬貨に分けて出金することなく、500円硬貨1枚、100円硬貨3枚、50円硬貨1枚と、10円硬貨3枚、5円硬貨1枚、1円硬貨3枚、計12枚を一度に出金し、ステップS217に進む。
【0056】
以上のように、分割出金設定として「1」が設定されているときは、高額硬貨と低額硬貨を分けて出金するので、一度に出金する場合と比較し、金種、枚数が少なくなり、硬貨出金口416からつかみ取りやすくなるとともに、金額の確認も容易となる。
【0057】
そして、レジ係員が硬貨を硬貨出金口416から受け取ったことを硬貨残留検知センサ418で確認し(ステップS217)、受取りが完了していれば、通信部408を介して出金完了報告をPOSレジスタ401に送信する(ステップS218)。
【0058】
そして、POSレジスタ401は、通信部404から出金完了報告を受信すると(ステップS207)、レシート印字部403で取引結果をレシートに印字する(ステップS208)。レジ係員は印字されたレシートと前述の釣銭を顧客に渡す。以降は従来技術と同様に預り金の入金処理を行う(ステップS513〜S519)。
【0059】
なお、以上の実施例の説明では、高額硬貨と低額硬貨の2つの種別に分割して出金するように説明したが、さらに多くの種別に分割して設定できるようにし当該設定に基づいて分割して出金するようにしてもよい。また、高額硬貨および低額硬貨を出金するときにそれぞれその旨を音声ガイダンス等するようにするとなおよい。
【0060】
(実施例1の効果)
以上のように実施例1の自動釣銭機によれば、金種ごとに特定の種別を設定する種別設定手段と、釣銭金額に応じて前記設定された種別ごとの枚数を計数する種別枚数計数手段と、前記種別ごとに分割して出金するか否かを判定するための分割出金判定情報を設定する分割出金設定手段と、前記種別ごとの枚数の情報と前記分割出金判定情報に基づいて、分割して出金するか否かを判定し前記種別ごとに分割または一度に出金させる分割出金判定手段を設け、前記分割出金判定情報は、種別ごとに分割して出金するか否かをあらかじめ設定した設定値とするようにしたので、低価格で簡単な構成で、短時間に釣銭硬貨を取り出して確認できるようにすることができる。
【実施例2】
【0061】
(構成)
実施例2のPOSレジスタおよび自動釣銭機の外観構成および内部構成は、実施例1の構成と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0062】
図4(a)は実施例2の自動釣銭機の要部機能ブロック図であり、図4(b)は実施例2の自動釣銭機の記憶部420の要部構成を示す図である。同図に示したように、実施例2の自動釣銭機では、分割出金設定手段21を、詳細後述の分割出金閾値を設定できるようにし、分割出金判定手段23を、種別ごとに分割して出金するか否かを前記分割出金閾値に基づいて判定できる構成としている。
【0063】
また、図4(b)に示したように、実施例2の自動釣銭機407の記憶部420の要部構成として、分割出金設定レジスタ101に代えて、分割出金をするか否かを判定するための閾値を種別ごとに設定する分割出金閾値レジスタ201を設けている。
【0064】
図4(a)において、分割出金設定手段21は、分割出金するか否かの基準となる種別ごとの枚数を閾値として設定し詳細後述の分割出金閾値レジスタ201に格納するとともに、分割出金判定手段23に分割出金判定情報24として渡す機能を有する。
【0065】
分割出金判定手段23は、分割出金設定出手段21からの分割出金判定情報24と種別枚数計数手段10からの種別ごとの枚数情報15に基づいて、分割して種別ごとに出金するか否かを判定し、種別ごとに分割または一度に、硬貨出金口416に出金させる機能を有する。
【0066】
その他の要部機能ブロックおよび記憶部420の要部構成は実施例1と同様であるので同様の構成については、その詳細な説明を省略する。
【0067】
図5は、前述の分割出金閾値レジスタ201の例示図を示したものであり、分割出金閾値として高額硬貨の閾値枚数として4ビット、低額硬貨の閾値枚数として4ビットで構成するようにしている。図5の例では、高額硬貨枚数はバイナリコード「0011」で3枚、低額硬貨枚数もバイナリコード「0011」で3枚に設定されていることを示している。なお、高額硬貨の閾値枚数として3ビット、低額硬貨の閾値枚数として5ビットなどの上記と異なるビット配分で設定するようにしてもよい。
【0068】
(動作)
以上の構成にて実施例2のPOSレジスタ401および自動釣銭機407は、以下のように動作する。この動作を図6の動作フローチャートを用いて説明する。
【0069】
なお、図6の動作フローチャートは、図3の実施例1の自動釣銭機407の動作フローチャートのステップ213の処理A、すなわち分割出金判定処理に置き換わるものであり、その他の動作は、実施例1のPOSレジスタ401および自動釣銭機407の動作と同様であるので、同様の動作については、その詳細な説明は省略する。
【0070】
また、以下の説明では、実施例1のPOSレジスタ401および自動釣銭機407の動作と同様に、単価680円の商品Aを1個と単価432円の商品Bを1個購入し、合計1,112円を5千円札1枚で支払い、3,888円の釣銭が発生する場合と、別の例として、単価680円の商品Aを1個と単価500円の商品を1個購入し、合計1,180円を5千円札1枚で支払い、3,820円の釣銭が発生する場合を例として説明する。
【0071】
まず、最初の実施例1の動作と同様の例の場合では、硬貨の釣銭は888円であり、処理A(分割出金判定処理)において、記憶部420に記憶されている高額硬貨設定レジスタ102を参照すると、高額硬貨として種別設定手段12により図2のように500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨が設定されているので、高額硬貨は、種別枚数計数手段10により500円硬貨1枚、100円硬貨3枚、50円硬貨1枚で計5枚と計数され、これが種別ごとの枚数情報15となる。
【0072】
一方、高額硬貨の分割出金閾値枚数は、分割出金設定手段21により分割出金閾値レジスタ201に3枚として設定されているので、これが分割出金判定情報24となる。従って、高額硬貨の枚数(5枚)が分割出金閾値枚数(3枚)以上となるので、分割出金判定手段23は分割出金を行なうとして次のステップに進む(ステップS301)。
【0073】
そして、低額硬貨として種別設定手段12により図2のように10円硬貨、5円硬貨、1円硬貨が設定されているので、低額硬貨は、種別枚数計数手段10により10円硬貨3枚、5円硬貨1枚、1円硬貨3枚と計数され、これが種別ごとの枚数情報15となる。
【0074】
一方、低額硬貨の分割出金閾値枚数は、分割出金設定手段21により分割出金閾値レジスタ201に3枚として設定されているので、これが分割出金判定情報24となる。従って、低額硬貨の枚数(7枚)が分割出金閾値枚数(3枚)以上となるので、分割出金判定手段23は分割出金を行なうと判定し(ステップS302)、実施例1の自動釣銭機407と同様、ステップS214に進み、以降の分割出金の処理を実施例1と同様に行う。
【0075】
また、別の例、すなわち、単価680円の商品Aを1個と単価500円の商品を1個購入し、合計1,180円を5千円札1枚で支払い、3,820円の釣銭が発生した場合では、硬貨の釣銭は、500円硬貨1枚、100円硬貨3枚、10円硬貨2枚となり、高額硬貨として種別設定手段12により図2のように500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨が設定されているので、高額硬貨は、種別枚数計数手段10により500円硬貨1枚、100円硬貨3枚の計4枚と計数され、これが種別ごとの枚数情報15となる。
【0076】
一方、高額硬貨の分割出金閾値枚数は、分割出金設定手段21により分割出金閾値レジスタ201に3枚として設定されているので、これが分割出金判定情報24となる。従って、高額硬貨の枚数(4枚)が分割出金閾値枚数(3枚)以上となるので、分割出金判定手段23は分割出金を行なうとして次のステップに進む(ステップS301)。
【0077】
そして、低額硬貨として種別設定手段12により図2のように10円硬貨、5円硬貨、1円硬貨が設定されているので、低額硬貨は、種別枚数計数手段10により10円硬貨2枚の計2枚と計数され、これが種別ごとの枚数情報15となる。
【0078】
一方、低額硬貨の分割出金閾値枚数は、分割出金設定手段21により分割出金閾値レジスタ201に3枚として設定されているので、これが分割出金判定情報24となる。従って、低額硬貨の枚数(2枚)が分割出金閾値枚数(3枚)未満となるので、分割出金判定手段23は分割出金を行なわないと判定し(ステップS302)、500円硬貨1枚、100円硬貨3枚、10円硬貨2枚の合計6枚の硬貨を硬貨出金口416に一度に出金し、ステップS217に進み、以降の処理を実施例1と同様に行う。
【0079】
以上のように、釣銭硬貨の枚数が多く釣銭金額の確認が難しくなる場合は、分割出金して釣銭金額の確認を容易にし、釣銭硬貨の枚数が少なく釣銭金額の確認が容易な場合は、分割出金せずに一度に出金するようにし処理時間を短くする。
【0080】
なお、以上の実施例の説明では、高額硬貨の枚数が高額硬貨の分割出金閾値の枚数以上となり、かつ低額硬貨の枚数が低額硬貨の分割出金閾値の枚数以上のときに分割出金とするように説明したが、高額硬貨の枚数が高額硬貨の分割出金閾値の枚数以上となった場合、または低額硬貨の枚数が低額硬貨の分割出金閾値の枚数以上となった場合に分割出金とするようにしてもよい。また、高額硬貨および低額硬貨を出金するときにその旨を音声ガイダンス等するようにするとなおよいことは実施例1と同様である。
【0081】
(実施例2の効果)
以上のように実施例2の自動釣銭機によれば、金種ごとに特定の種別を設定する種別設定手段と、釣銭金額に応じて前記設定された種別ごとの枚数を計数する種別枚数計数手段と、前記種別ごとに分割して出金するか否かを判定するための分割出金判定情報を設定する分割出金設定手段と、前記種別ごとの枚数の情報と前記分割出金判定情報に基づいて、分割して出金するか否かを判定し前記種別ごとに分割または一度に出金させる分割出金判定手段を設け、前記分割出金判定情報は、種別ごとの基準枚数であって、前記分割出金判定手段は、前記種別ごとの枚数と前記種別ごとの基準枚数とを比較して判定し当該判定結果に基づいて前記種別ごとに分割または一度に出金させるようにしたので、実施例1の効果に加え、釣銭硬貨の枚数に応じて分割または一度に出金させるようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上述べたように、本発明は、特に硬貨を釣銭として取扱うレジの自動釣銭機や、自動販売機、券売機などに広く用いることができる。
【符号の説明】
【0083】
10 種別枚数計数手段
11 分割出金設定手段
12 種別設定手段
13 分割出金判定手段
14 分割出金判定情報
15 種別ごとの枚数情報
101 分割出金設定レジスタ
102 高額硬貨設定レジスタ
103 低額硬貨設定レジスタ
201 分割出金閾値レジスタ
401 POSレジスタ
402 操作表示部
403 レシート印字部
404 通信部
405 制御部
406 記憶部
407 自動釣銭機
408 通信部
409 操作表示部
414 硬貨入出金部
415 硬貨入金口
416 硬貨出金口
417 硬貨リジェクト口
419 制御部
420 記憶部
処理A 分割出金判定処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金種の硬貨を釣銭として出金する自動釣銭機において、
金種ごとに特定の種別を設定する種別設定手段と、
釣銭金額に応じて前記設定された種別ごとの枚数を計数する種別枚数計数手段と、
前記種別ごとに分割して出金するか否かを判定するための分割出金判定情報を設定する分割出金設定手段と、
前記種別ごとの枚数の情報と前記分割出金判定情報に基づいて、分割して出金するか否かを判定し前記種別ごとに分割または一度に出金させる分割出金判定手段と、を設けたことを特徴とする自動釣銭機。
【請求項2】
前記分割出金判定情報は、種別ごとに分割して出金するか否かをあらかじめ設定した設定値とするようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動釣銭機。
【請求項3】
前記分割出金判定情報は、種別ごとの基準枚数であって、
前記分割出金判定手段は、前記種別ごとの枚数と前記種別ごとの基準枚数とを比較して判定し前記種別ごとに分割または一度に出金させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動釣銭機。
【請求項4】
前記分割出金判定手段は、すべての種別の出金枚数がそれぞれ対応する種別の基準枚数以上であったとき、または、いずれかの種別の出金枚数が対応する種別の基準枚数以上であったときは、種別ごとに分割して出金するようにしたことを特徴とする請求項3記載の自動釣銭機。
【請求項5】
前記種別は、高額硬貨または低額硬貨としたことを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか記載の自動釣銭機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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