説明

自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物

【課題】茶渋、ガラスの曇りや油汚れなどの洗浄力に優れ、製造効率を低下させることなく製造可能であり、その外観が透明で適度な粘性を持つ自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)非架橋型ポリカルボン酸系高分子、(B)アルキルグリコシド化合物、及び(C)カチオン化セルロースを含む液体洗浄剤組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体洗浄剤組成物、具体的には自動食器洗浄機用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物の技術において、茶渋、ガラスの曇りや油汚れに対する洗浄成分として非架橋型ポリカルボン酸系高分子とポリオキシアルキレンアルキルエーテルを併用する技術が検討されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−23268号公報
【特許文献2】特開2003−277800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非架橋型ポリカルボン酸系高分子やポリオキシアルキレンアルキルエーテルは水に溶解しにくい場合があるため、透明な外観を有する液体洗浄剤組成物が得にくいという問題があった。他方、自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、自動食器洗浄機に投入する際の使い勝手をよくするため、通常、適度な粘度が必要とされる。そのため、液体洗浄剤組成物の粘性を上げる添加剤として、架橋型ポリカルボン酸系高分子などが一般的に使われている。
しかしながら、架橋型ポリカルボン酸系高分子は、膨潤、溶解させるために長時間を要し、製造効率を低下させるという問題があった。
従って本発明は、茶渋、ガラスの曇りや油汚れなどの洗浄力に優れ、製造効率を低下させることなく製造可能であり、その外観が透明で適度な粘性を持つ自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、カチオン化セルロースが茶渋洗浄効果を有することを見出し、それと、非架橋型ポリカルボン酸系高分子及びアルキルグリコシド化合物とを併用することで、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、(A)非架橋型ポリカルボン酸系高分子、
(B)以下の式(1)で表されるアルキルグリコシド化合物、及び
R1(OR2xGy (1)
(式中R1は炭素数2〜10の直鎖又は分枝のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Gは炭素数5から6の還元糖に由来する残基であり、xは平均値が0〜5であり、yは1.0〜4.2を表す。)
(C)カチオン化セルロース
を含む自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成物は、非架橋型ポリカルボン酸系高分子に加えて、架橋型ポリカルボン酸系高分子の代わりにカチオン化セルロースを使用し、アルキルポリグルコシドを配合することにより、従来の液体洗浄剤組成物と同等以上のガラスの曇り洗浄力、油洗浄力を有するとともに、さらに、向上した茶渋洗浄力を有する。本発明によればまた、より短い時間で透明外観及び適度な粘度を有するジェル状液体洗浄剤組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(A)非架橋型ポリカルボン酸系高分子
本発明に用いる(A)非架橋型ポリカルボン酸系高分子は、自動食器洗浄機の洗浄成分として、特に茶渋汚れに対して効果的に洗浄力を発揮し、同時に、ガラス製食器の仕上がり性を向上させることができる。
本発明に用いる(A)非架橋型ポリカルボン酸系高分子としては、標準物質をポリアクリル酸ナトリウムとしたゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が1,000以上であるものが好ましく、1,500〜200,000の範囲のものがより好ましく、2,000〜100,000の範囲のものがさらに好ましく、10,000〜100,000の範囲のものがよりさらに好ましく、40,000〜60,000の範囲のものが最も好ましい。非架橋型ポリカルボン酸系高分子の重量平均分子量が1,000以上であると、ガラスの曇り洗浄剤としての性能が向上し、200,000以下であると、液体洗浄剤組成物の粘度の過度の増加が抑制される。
【0008】
本発明に用いる(A)非架橋型ポリカルボン酸系高分子は、カルボキシル基を有するモノマーのホモポリマーであってもよく、カルボキシル基を有するモノマーと、カルボキシル基を有する他のモノマー又はカルボキシル基を有さないモノマーとのコポリマーであってもよい。ホモポリマー又はその塩としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、ポリクロトン酸又はその塩、ポリイタコン酸又はその塩、ポリマレイン酸又はその塩等があげられる。カルボキシル基を有するモノマーと、カルボキシル基を有する他のモノマーとのコポリマー又はその塩としては、例えば、(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合体又はその塩、アクリル酸−クロトン酸共重合体又はその塩があげられる。カルボキシル基を有するモノマーと、カルボキシル基を有さないモノマーとのコポリマーとしては、エチレン−マレイン酸共重合体又はその塩、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体又はその塩が挙げられる。
【0009】
これらの中でも、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合体又はその塩、エチレン−マレイン酸共重合体又はその塩が好ましい。特にアクリル酸/マレイン酸共重合体又はその塩、及びポリアクリル酸又はその塩がより好ましい。さらに特にアクリル酸/マレイン酸共重合体の塩が好ましい。アクリル酸/マレイン酸共重合体は、アクリル酸/マレイン酸のモル比が70/30〜30/70であるものが好ましい。
非架橋型ポリカルボン酸系高分子が塩の形態である場合には、ナトリウム塩及びカリウム塩などが好ましい例としてあげられる。
使用する(A)成分は、合成しても良く、又は市場で入手できるものを使用しても良い。市場で入手可能な物としては、例えば日本触媒(株)製のアクアリックTL400(アクリル酸/マレイン酸共重合体 重量平均分子量:50000)、BASF社製のソカランCP7、CP5及びCP12S(共にアクリル酸/マレイン酸共重合体 CP7 重量平均分子量:50000、CP5 重量平均分子量:70000、CP12S 重量平均分子量3000)、ソカランPA30及びPA40(ポリアクリル酸 重量平均分子量:PA30 8000、PA40 15000)及び日本触媒のDLシリーズ(ポリアクリル酸、重量平均分子量3000〜200000)等が挙げられる。
【0010】
(B)アルキルグリコシド化合物
本発明におけるアルキルグリコシド化合物は、本発明の組成物において、油洗浄力と外観の透明性を確保する役割を果たす。
本発明で使用するアルキルグリコシド化合物は、下記式(1)で表される:
R1(OR2xGy (1)
式中、R1は炭素数2〜10、好ましくは炭素数4〜10であり、より好ましくは炭素数4〜8の直鎖又は分枝、好ましくは分岐のアルキル基又はアルケニル基である。
R2は炭素数2〜4、好ましくは炭素数2のアルキレン基を示す。
Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基である。Gの好ましい原料は入手が容易であること、価格の点からグルコースである。
xは平均値が0〜5、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0である。
yは平均値が1.0〜4.2、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0(即ち、単糖)である。
前記アルキルグリコシドが、2-エチルヘキシルグルコシドであるのが特に好ましい。
【0011】
式(1)のアルキルグリコシド化合物は、公知の方法で製造することも市販品を使用することもできる。市販品としては、例えばライオンアクゾ社製AG6202(2−エチルヘキシルグルコシド)やAG6206(ヘキシルグルコシド)やAG6210(オクチル/デシルグルコシド)が挙げられる。
【0012】
(C)カチオン化セルロース
本発明で使用するカチオン化セルロースは、カチオン基を有するセルロース誘導体の総称である。本発明の組成物において、(A)成分と共存することで適度の粘性を発現するとともに、茶渋洗浄力を向上させる役割を果たす。
セルロース誘導体がカチオン化されているか否かは、試薬を用いた滴定法や公定書の方法等で調べることができる。例えば、カチオン化セルロースがカチオン基中に窒素原子を有するものである場合には、化粧品種別配合成分規格(1997年4月18日第1刷発行、株式会社薬事日報社、210ページ又は医薬部外品原料規格2006(株式会社薬事日報社、555ページ)に記載の方法で確認できる。例えば、以下の方法で確認できる。試料を105℃で3時間乾燥し、その約1gを精密にはかり取り、水を加えて溶かして1000ml溶液にする。この溶液5mlをはかり取り、水を加えて50mLにして、トルイジンブルー試液4滴を加え0.0025mol/Lポリビニル硫酸カリウム液で滴定する。滴定の終点は液の青色が赤紫色に変わるときとする。同様に、試料を加えていない水50mlに対してトルイジンブルー試液4滴を加え0.0025mol/Lポリビニル硫酸カリウム液で滴定する。上記の滴定量を基に、窒素の量を次の式より求める。下記式の結果が0である場合、セルロースは窒素原子を有するカチオン基でカチオン化されていない。
窒素(N)の量(%)=((A-B)×70.03)/(S×(100-C))
A:試料を含んだ溶液に対する0.0025mol/Lポリビニル硫酸カリウム試液の滴定量(mL)
B:試料を含んでいない溶液に対する0.0025mol/Lポリビニル硫酸カリウム試液の滴定量(mL)
S:試料の量(1g)
C:(強熱残分(%)/乾燥残分(%))×100×0.8229
強熱残分:電気炉で500〜600℃、5時間加熱した後の残分を意味する。
乾燥残分:乾燥機で105℃、3時間乾燥させた後の残分を意味する。
0.8229:強熱残分(硫酸ナトリウム)を塩化ナトリウムに換算するときの係数
【0013】
本発明のカチオン化セルロースは、グルコース単位当たり平均0.09〜0.6個、好ましくは0.1〜0.5のカチオン基を有することが好ましい。カチオン基の個数をこの範囲とすることで、非架橋型ポリカルボン酸系高分子とカチオン基の相互作用が適度に働き、所望の組成物粘度を得ることができる。カチオン基が0.09より少ないと相互作用が十分働かないため十分な粘度が得られにくく、0.6を超えると相互作用が強すぎて、粘度が過度に高くなり使用性が悪くなることがある。
カチオン化セルロースのカチオン基が窒素原子を含むものである場合、グルコース単位当たり、平均0.5〜2.4質量%、好ましくは0.8〜2.0質量%の窒素原子を有することが好ましい。窒素原子の量をこの範囲にすることで、非架橋型ポリカルボン酸系高分子とカチオン基の相互作用が適度に働き、所望の組成物粘度を得ることができる。窒素原子が0.5%より少ないと相互作用が十分働かないため十分な粘度が得られにくく、2.4%を超えると相互作用が強すぎて、粘度が過度に高くなり使用性が悪くなることがある。
カチオン化セルロース水溶液の粘度は、50〜10,000mPa・sが好ましく、より好ましくは100〜5,000mPa・sであり、さらに好ましくは200〜3000 mPa・sであることが好ましい。前記カチオン化セルロース水溶液の粘度は、カチオン化セルロースの1%水溶液を調製し、25℃での粘度を、No2もしくはNo3ローターを備えたBM型粘度計で、6〜60rpmで60秒後の数値を測定することにより求めることができる。
【0014】
カチオン化セルロースは、例えばセルロースのアルキレンオキシド誘導体と、グリシジル基置換アンモニウム塩を反応させて製造できる。
セルロースのアルキレンオキシド誘導体は、セルロースを構成するグルコースの水酸基とエチレンオキシド(EO)又はプロピレンオキシド(PO)等のアルキレンオキシドとを反応させることにより得られるものであり、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。このセルロースのアルキレンオキシド誘導体としては、セルロースの無水グルコース1単位当たりアルキレンオキシドを1.5〜3.0モル付加したものが好ましい。
上記グリシジル基置換アンモニウム塩は、下記式(I)で表すことができる。
【0015】
【化1】

【0016】
上記式(I)中、R3〜R5は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜15、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜3を有する直鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基を表す。
-はフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン等のハロゲンイオン、水酸化物イオン、又はグリコール酸、酢酸、酒石酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、サリチル酸、コハク酸、リンゴ酸、酪酸、p−トルエンスルホン酸、高級脂肪酸、L又はDL−ピロリドンカルボン酸、酸性アミノ酸、ピログルタミン酸等の有機酸陰イオンを表す。
グリシジル基置換アンモニウム塩の具体例は、例えばグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリエチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。これらの中でもグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドがより好ましい。
【0017】
本発明で用いるカチオン化セルロース化合物としては、以下の式(2)で表されるものが好ましい。
【0018】
【化2】

【0019】
上記式のtは50〜10000、好ましくは75〜7500の数である。上記式のR6〜R13は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は以下の式(3)又は(4)の基を表す。
【0020】
【化3】

【0021】
式中のR14、R15及びR16は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はメチル基である。R17-1、R17-2及びR17-3は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜15、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜3を有する直鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基を表す。p、q及びsは同一でも異なっていてもよく、それぞれ0〜10、好ましくは0〜3の整数である。rは1〜3、好ましくは1〜2の整数である。X-はハロゲンイオン、水酸化物イオン又は有機酸陰イオンであり、ハロゲンイオンが好ましく、塩素イオンがより好ましい。
【0022】
【化4】

【0023】
式中のR18-1、R18-2及びR18-3は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜15、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜3を有する直鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基を表す。uは0または1〜4、好ましくは1〜3の整数である。vは0〜4、好ましくは1〜2の整数である。X-は上で定義した通りであり、ハロゲンイオンが好ましく、塩素イオンがより好ましい。
カチオン化セルロースが前記式(2)で表される場合、前記式(3)又は(4)の基がグルコース単位当たり平均0.09〜0.6個、好ましくは0.1〜0.5個含まれるのが好ましい。
【0024】
カチオン化セルロースとしては、上記式(2)中、R6〜R13がそれぞれ独立して水素原子又は上記式(4)で表される化合物が好ましい。中でも、R6、R7、R8、R9、R10、R12及びR13が水素原子であり、R11が式(4)で表される化合物が好ましく、特に、式(4)中、R18-1、R18-2及びR18-3がいずれもメチル基である化合物が好ましい。さらに特に、塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。とりわけ、固形分濃度2質量%の水溶液を25℃においてB型粘度計で測定したときの粘度が300〜800mPa・sであるものが好ましい。
カチオン化セルロースとしては、上記式(2)中、R6、R8、R10及びR13が水素原子であり、R7及びR11が式(4)(式中、R18-1、R18-2及びR18-3がいずれもメチル基である)であり、R9及びR12が式(4)(式中、R18-1及びR18-3がメチル基であり、R18-2がドデシル基である)である化合物もまた好ましい。
カチオン化セルロースは市販のものを使用しても良く、例えばライオン社製 レオガードMGP、レオガードMGP-P、レオガードGP、レオガードLP、Amerchol社製 softCAT PolymerSK-L、softCAT PolymerSK-MH、Rhodia社製MIRAPOL PQ-10、ダイセル化学工業社製ジェルナーシリーズ等が好適なものとして挙げられる。
【0025】
その他の成分
本発明の洗剤には、本発明の目的に反しない限り、食器を洗浄するための洗剤に通常含まれる如何なる成分も含むことができる。その他の成分として、例えばエタノール、ソルビトール及び水等の溶媒、植物抽出物、防腐剤、抗菌・殺菌剤、消臭剤、安定剤、界面活性剤、高分子、香料、芒硝(硫酸ナトリウム)及びpH調整剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、液体洗浄剤組成物の油洗浄力を更に向上させるノニオン界面活性剤、特にポリオキシアルキレンアルキルエーテルを添加するのが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、式:
R19-O-(CH2CH2O)n-(AO)m-H
で表すことができる化合物である。式中、R19は炭素数2〜30の直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基であり、炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。AOは、炭素数3以上、好ましくは3〜4のアルキレンオキサイド基である。nはエチレンオキサイドの付加モル数であり、1〜20の数、好ましくは3〜15である。mは炭素数3以上のアルキレンオキサイドの付加モル数であり、1〜20の数、好ましくは2〜10である。
その他の成分として、アミラーゼやプロテアーゼ等の酵素も配合してよい。
【0026】
各成分の配合量
(A)成分は、液体洗浄剤組成物の全体質量に対して、4〜40質量%、好ましくは、8〜30質量%、より好ましくは11〜30質量%配合できる。配合量を4質量%以上にすることで茶渋洗浄力とガラスのくもり洗浄力が発揮でき、40質量%以下にすることで液体洗浄剤組成物の著しい増粘と濁りの発生を抑制できる。
(B)成分は、液体洗浄剤組成物の全体質量に対して、1〜15質量%、好ましくは、3〜10質量%、より好ましくは4〜8質量%配合できる。配合量を1質量%以上にすることで透明外観の生成とともに、油洗浄力を向上でき、15質量%以下にすることで、液体洗浄剤組成物の保存時安定性や食器洗い庫内での発泡性を抑制できる。
(C)成分は、液体洗浄剤組成物の全体質量に対して、0.05〜5質量%、好ましくは、0.1〜2.5質量%、より好ましくは0.3〜1.5質量%配合できる。配合量を0.05質量%以上5質量%以下にすることで茶渋洗浄力と液体洗浄剤組成物に透明な外観と適度な粘性を与えられる効果が得られ、従来、適度な粘度を付与するために配合されていた架橋型ポリカルボン酸系高分子が有する、膨潤、溶解させるために長時間を要し、製造効率を低下させるという問題を解決することができる。
さらに、(B)成分と(C)成分の質量%比(B)/(C)が好ましくは4〜30、より好ましくは5〜15である。上記比率とすることで液体洗剤組成物の外観の透明性が向上する。
上記その他の成分の配合量は、本発明の目的を妨げない範囲であれば特に制限は無い。
【0027】
本発明の組成物の製造方法
(A)成分、(B)成分及び(C)成分並びに必要に応じてその他の成分を任意の順番で配合し、混合することで製造できる。
【0028】
本発明の組成物の粘度
本発明の組成物は、100〜6,000mPa・s、好ましくは200〜5000mPa・s、より好ましくは300〜4000mPa・sを有するのが好ましい。なお粘度は、液体洗浄剤組成物の1%水溶液を調製し、25℃での粘度を、No1〜No3ローターを備えたBM型粘度計で、6〜60rpmで120秒後の数値を測定することにより求めることができる。
本発明の組成物は、常温において液状からジェル状の形態である。
【0029】
組成物のpH
本発明の組成物のpHは7.0〜7.6、好ましくは7.1〜7.5、より好ましくは7.2〜7.4である。pHは、pH計(ガラス電極)で測定できる。
【実施例】
【0030】
以下の表1に記載する配合量で自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を調製した。調製は、A成分と、B成分と、C成分と、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、pH調整剤及び酵素以外の共通成分とを任意の順番で300mlビーカーに入れて700~1000rpmで最大で90分攪拌を行い、最後にイオン交換水を加えて100質量部になるように調製した。
用いた各成分及び配合量(表中の数字は組成物全体に対する有効成分の質量%を示す)を以下に示す。
<非架橋型ポリカルボン酸系高分子 (A)>
(a1)アクリル酸/マレイン酸共重合物ソーダ塩、日本触媒(株)製、商品名アクアリックTL−400 (重量平均分子量50,000)
(a2)アクリル酸/マレイン酸共重合物ソーダ塩、BASF製、商品名ソカランCP7 (重量平均分子量50,000)
<アルキルグリコシド化合物(B)>
2−エチルヘキシルグルコシド(R1=2-エチルヘキシル基、x=0、y=1.0、G=グルコース) ライオン・アクゾ(株)製 商品名「AG6202」
<カチオン化セルロース(C)>
(c1)ライオン・アクゾ(株)製 商品名「レオガードMGP-P」 (粘度:1000mPa・s、カチオン基の個数:0.4、窒素原子の量:1.8質量%(式(2)中、R6〜R10=水素原子、R11=式(4)の基、R12及びR13=水素原子、t=1250、R18-1〜R18-3=メチル基、u=1、v=1、X-=塩素イオン)
(c2)Amerchol社製 商品名「SoftCAT PolymerSK−L」(粘度:2400mPa・s、カチオン基の個数:0.2、窒素原子の量:1.1質量%(式(2)中、R6、R8、R10、R13=水素原子、R7及びR11=式(4)の基でかつR18-1〜R18-3=メチル基、u=1、v=1、R9及びR12=式(4)の基でかつ、R18-1、18-3=メチル基、R18-2=ドデシル基、u=1、v=1、t=1500、X-=塩素イオン)
<(C)の比較品>
カチオン化グアガム ローディア社製 商品名「JAGUAR C-17」
架橋型ポリカルボン酸系高分子 住友精化社製 商品名 アクペックHV-505ED
【0031】
<その他の成分(配合量は有り姿での液体洗浄剤組成物の全体量に対する質量%)>
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ライオン化学製 商品名 NNAEP-3030
・共通成分X:
・塩化ポリオキシエチレン (15)アルキルメチルアンモニウム ライオン・アクゾ(株)製 商品名「エソカードC/25」2%
・ソルビット液 ROQUETTE社製 商品名「NEOSORB 70/02B」 12%
・ラベンダーエキス シムライズ(株)製 商品名「Flowerpon Lavender」 0.1%、
・5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン マグネシウム塩及び水の混合液 ローム・アンド・ハース製 商品名「ケーソンCG」 0.01%
・2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール BASF社製 商品名「マイアサイド」0.01%
・アミラーゼ ノボザイムスジャパン(株)製 商品名「ターマミルウルトラ300L」 1%
・プロテアーゼ ノボザイムスジャパン(株)製 商品名「サビナーゼ16XL」 1%
<pH調整剤>
水酸化ナトリウム溶液を用いてpH7.3にした。
【0032】
〔組成物の製造容易性(易製造性)の評価法〕
実施例、比較例記載の原料を全量が200gとなるように300mLビーカー(φ70mm)に投入後、A成分、B成分、C成分、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及びpH調整剤と酵素を除く共通成分を任意の順番で投入し、Heidon社製スリーワンモーター type600G(攪拌羽根:φ50mm、羽根幅10mm、羽根取り付け角度45°、羽根間隔20mm、枚数2枚)を用いて500rpmで最長90分攪拌した後、攪拌後の原料の状態を下記のとおりに評価した。
◎〜○の評価を合格とする。
評価基準:
◎:30分以内に原料が均一に溶解し、溶け残りが認められない
○:30分超〜60分以内に原料が均一に溶解し、溶け残りが認められない
△:60分超〜90分以内に原料が均一に溶解し、溶け残りが認められない
×:90分攪拌しても原料が溶け残り、溶け残りのダマ等が認められる
【0033】
〔外観の透明性の評価法〕
評価容器:
厚さ2mmの透明アクリル板で作成した、立方体容器(内寸で幅10cm、奥行き10cm高さ10cm、底面には正四角形(1辺:10cm)の白色紙の中央に大径の外径の直径が1cm、文字の太さ1mmの黒色で書かれた「◎」印を容器上部から見えるように容器底面外側から貼り付けた)
評価方法:
組成物を800mLを上記容器に泡を立てないように注意しながら注ぎ、静置する。目の位置が容器底面から20cmの真上になるように、容器内の組成物を目視で観察し、液の透明性を下記の基準にて評価した。◎〜○の評価を合格とする。
評価基準:
◎:均一、透明で濁りが認められず、容器底部の「◎」印がはっきり見える。
○:僅かに濁りが認められるが、均一で、容器の底部の「◎」印が認識できる。
△:濁りが認められ、容器底部に文字の存在は解るが、「◎」印として認識できない。
×:明らかに濁りが認められ、容器底部の文字の存在が解らない。

〔粘度の測定方法〕
直径52mm X 高さ95mmの保存ビンに組成物を注ぎ、No1〜No3ローターを備えたBM型粘度計で6〜60rpm、120秒後の25℃での粘度を測定した。
【0034】
〔茶渋洗浄力の評価法〕
コーヒーカップ(内径70mm、高さ70mm)で紅茶を飲み干してから、このコーヒーカップを25℃、50%RH条件下に10日間放置して、紅茶汚垢の付いたコーヒーカップを調製した。このコーヒーカップ3個を、自動食器洗い乾燥機「松下電器産業(株)製、機種NP−40SX2」に入れ、調製した組成物6gを使用して標準コースで洗浄した。洗浄後のコーヒーカップを以下の評価基準に基づいて官能評価した。
◎〜○の評価を合格とする。
評価基準:
◎:汚れは全く残留しておらず、ざらつき等の違和感も感じられない。
○:汚れの残留は目視では認められないが、触ると若干のざらつき等の違和感を感じる。
△:汚れの残留が目視で若干認められる。
×:汚れが落ちていない。
【0035】
〔ガラスの曇り洗浄力の評価法〕
ガラスコップ(上径63mm、下径53mm、高さ100mm)を、自動食器洗い乾燥機に入れ、炭酸ナトリウム1.2gを機内に入れ、洗浄〜すすぎの全行程を30度硬水で行うことにより白化したコップを得た。この白化したコップを、自動食器洗い乾燥機「松下電器産業(株)製、機種NP−40SX2」に入れ、調製した組成物6gを使用して標準コースで洗浄した。洗浄後のガラスコップを以下の評価基準に基づいて官能評価した。
◎〜○の評価を合格とする。
評価基準:
◎:白化物は全く残留しておらず、ざらつき等の違和感も感じられない。
○:部分的にかすかに白化物の残留が認められる。
△:白化物の残留が目視で若干認められ、全体的に透明感が失われている。
×:白化物の残留量が洗浄前と変わらない。
【0036】
〔油洗浄力の評価法〕
サラダ油(日清サラダ油、日清オイリオグループ(株)製)2gを内側全体に塗布したポリプロピレン製弁当箱(内寸:たて113mm、よこ174mm、深さ35mm、上面が開放されている)を、自動食器洗い乾燥機「松下電器産業(株)製、機種NP−40SX2」に入れ、調製した組成物6gを使用して標準コース洗浄を行い、ポリプロピレン製弁当箱への油の付着具合を以下の評価基準に基づいて官能評価した。
◎〜○の評価を合格とする。
評価基準:
◎:目視による油滴の残留が確認されず、さらに指でこすったときにぬるつきも感じられない。
○:目視による油滴の残留は認められないが、指でこすったときにかすかなぬるつきが感じられる。
△:目視でわずかに油滴の残留が認められる。
×:目視で著しい油滴の残留が認められる。
【0037】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)非架橋型ポリカルボン酸系高分子、
(B)以下の式(1)で表されるアルキルグリコシド化合物、及び
R1(OR2xGy (1)
(式中R1は炭素数2〜10の直鎖又は分枝のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基であり、xは平均値が0〜5であり、yは1.0〜4.2を表す。)
(C)カチオン化セルロース
を含む自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記カチオン化セルロースが、グルコース単位当たり、平均0.09〜0.6個のカチオン基を有する、請求項1に記載の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記カチオン化セルロースが、グルコース単位当たり、平均0.5〜2.4質量%の窒素原子を有する、請求項1又は2に記載の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記カチオン化セルロースの1質量%水溶液を25℃で測定した粘度が、50〜10,000mPa・sである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記カチオン化セルロースが、組成物の全質量に基づいて、0.05〜5質量%の量で含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記カチオン化セルロースが、以下の式(2)で表され:
【化1】

(式中、R6〜R13は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は以下の式(3)又は(4)の基を表し、
【化2】

(式中のR14、R15及びR16は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はメチル基であり、R17-1、R17-2及びR17-3は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜15の直鎖又は分枝のアルキル基又はアルケニル基であり、p、q及びsは同一でも異なっていてもよく、それぞれ0〜10の数であり、rは1〜3の数であり、X-はハロゲンイオン、水酸化物イオン又は有機酸陰イオンを表す。)
【化3】

(式中、R18-1、R18-2及びR18-3は同一でも異なっていてもよく、それぞれ1〜15の直鎖又は分枝のアルキル基又はアルケニル基であり、uは0〜4の数であり、vは0〜4の数であり、X-は上で定義したとおりである。)
tは50〜10000の数である。)、
かつ、前記式(3)又は(4)の基がグルコース単位当たり平均0.09〜0.6個含まれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
前記非架橋型ポリカルボン酸系高分子が、アクリル酸/マレイン酸の共重合体の塩である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2011−80053(P2011−80053A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202905(P2010−202905)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】