説明

自在継手スピンドルのためのスライドブロック

【課題】 特に圧延機の駆動装置内において設けられた自在継手スピンドル3であって、この自在継手スピンドルが、継手頭部との結合の形成のためにカップリングスリーブを、または、カップリングスリーブ2との結合のために継手頭部4を有しており、このカップリングスリーブ2の舌状片1が、回転軸線に対して横方向に位置している、上記継手頭部4の円筒形の開口部5内へと、係合しており、この継手頭部と舌状片1との間に、スライドブロック20、26が設けられており、このスライドブロックが、2つの、部分領域内において回転体輪郭23、24;29、30を有するスライド本体21、22;27、28によって形成されており、これらスライド本体が、回転可能に、この自在継手内における、このスライド本体21、22;27、28の形状に適合された、回転体形状の窪み部25、31内において、これらスライド本体が、旋回運動を、この継手頭部4内において実施可能であるように設けられている。
【解決手段】 自在継手スピンドル3は、回転体輪郭23、24;29、30が、凹状または凸状に形成されており、且つ、窪み部25が、相対して凸状、もしくは凹状に形成されていることによって特徴付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
特に圧延機の駆動装置内において設けられた自在継手スピンドルであって、
この自在継手スピンドルが、
継手頭部との結合の形成のためにカップリングスリーブ(Treffer)を、または、カップリングスリーブとの結合のために継手頭部を有しており、
このカップリングスリーブの舌状片が、回転軸線に対して横方向に位置している、上記継手頭部の円筒形の開口部内へと、係合しており、
この継手頭部と舌状片との間に、スライドブロックが設けられており、
このスライドブロックが、2つの、部分領域内において回転体輪郭を有するスライド本体によって形成されており、
これらスライド本体が、回転可能に、この自在継手内における、このスライド本体の形状に適合された、回転体形状の窪み部内において、
これらスライド本体が、旋回運動を、この継手頭部内において実施可能であるように設けられている様式の、上記自在継手スピンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
継手ブロックとも称されるスライドブロックは公知である。このスライドブロックは、非金属のまたは金属の材料から成り、且つ、圧延駆動装置の自在継手スピンドル、および継手連結頭部の場合に使用される。
自在継手スピンドルの両側の頭部内における、または、引き続いての連結頭部内における、1つの継手ブロックの使用の場合、スピンドルまたは頭部の扁平軸端部が、この継手ブロックと協働する。この継手ブロックの目的は、基本的に、この継手ブロックの軸線方向内における、ある程度の範囲内において互いに可変の自在継手スピンドルと、歯車ロールスタンドおよびロールスタンド(Kammwalzen- und Walzgeruest)において固定されて設けられた連結要素との間の、長さ補償および方向補償を仲介することにある。
この場合、継手ブロックまたはスライドブロックに、
ロールスタンドの始動の際に、および、何よりも先ず、このロールスタンドの1つのパスにおける極めて短い時系列的な連続において、ワークロール内において生じるような、高い回転モーメントおよび衝撃的な応力の伝達と並んで、
更に、付加的な相対的な運動を、強い面圧のもとで収容するという更に別の役目が付随する。
【0003】
これら種類の異なる、幾重にも重畳する応力は、比較的に迅速な、および打刻される摩耗を誘起する。
常により良い適当な新規の材料の使用によって、例えば、新しい材料の使用によって、継手ブロックの耐久性を向上することが、常に試みられているのにもかかわらず、
それにも拘らず、従来、摩耗の結果として、極めて頻繁のスライドブロックの更新が必要である。
【0004】
代替部材のコスト、および、これと関連する在庫維持と並んで、特に、スライドブロックの交換によって誘起する停止時間および組み付け時間は、非常にかかる。何故ならば、このスライドブロックの交換の際に、大抵の場合、引き続いての連結要素からの自在継手スピンドルの完全な分離を必要とするからである。
コストの高い圧延機設備の場合、修理によって生じる停止時間および組み付け時間は、特に、これらが予定外に生じる場合、非常に高い負荷である。
【0005】
特許文献1から、材料コストを低下するため、および、特に、材料経費を低減するための、圧延駆動装置の自在継手スピンドルおよび継手連結頭部用のスライド−または継手ブロックが公知であり、このスライド−または継手ブロックは、多数の部分切片から成っている。その際、これら部分切片のための分割面は、この継手ブロックの長手方向軸線に対して横方向に設けられている。
【0006】
更に、特許文献2から、圧延機の駆動装置における、自在継手スピンドルのためのスライドブロックが見て取れ、このスライドブロックは、高い面圧を許容し、且つ、更に、高い耐熱性を備えている。
その際、この自在継手スピンドルは、扁平軸端部を備えるカップリングスリーブを有しており、この扁平軸端部の舌状片が、回転軸線に対して横方向に位置している上記スピンドル頭部の円筒形の開口部内へと係合しており、このスピンドル頭部と扁平軸端部との間に、スライドブロックが設けられている。このスライドブロックは、複合構造様式において形成されており、且つ、金属的な内側本体と、および、この内側本体を被覆する高分子繊維材料から成る外側層とを有している。
【0007】
従来技術は、図1および2によって図示されている。図1は、分解図において、自在継手スピンドル3と結合するための、舌状片1を備えるカップリングスリーブ2を示している。
【0008】
図2は、切断線II−IIに従う、図1の垂直方向の断面図を図示している。
【0009】
自在継手スピンドル3は、継手頭部4を有しており、この継手頭部が、舌状片1を収容するための切欠き部5を備えている。
この舌状片1は、この舌状片1の外側の方を向いて円筒形状の、および、この舌状片1の内側の方を向いて直方体形状の輪郭を有する、2つの付き出している、指形状の扁平ブレードを形成する要素6、7から成っている。これら要素6、7の上に、2つのスライドプレート9、10を有するスライドブロック8が固定されている。
これらスライドプレート9、10は、切欠き部5内において当接する、円筒形の表面11、12を有しており、これら表面が、このスライドブロック8および自在継手スピンドルが、この自在継手スピンドル3の長手方向軸線xに対して垂直方向に、軸線zを中心に回転可能、または旋回可能であることを可能にする。これら表面11、12は、これら表面が、自在継手スピンドル3の継手頭部4内における切欠き部5の内側の相応する輪郭13、14の中へと収まるように形成されている。
【0010】
継手ブロックまたはスライドプレート9、10は、ピン15によって互いに結合されており、このピンが、要素6、7によって形成された舌状片切欠き部内へと挿入され、且つ、このピンが、一般的に、スライドプレート9もしくは10内における穿孔16もしくは17内において案内されている。継手頭部4とカップリングスリーブ2との間の相対的な運動は、スライドブロック8の回転、および、要素6、7の旋回運動によって実施される。
これらスライドプレート9、10は、y軸線の方向内におけるこれらスライドプレート9、10の滑り位置ずれを防止するために、当接部によって案内されねばならない。標準的に、この目的で、継手頭部4の中央において、円筒形の溝部18が形成されており、この溝部内において、スライドプレート9、10が、案内突起部19でもって挿入されている。
【0011】
過去において、圧延設備の出力上昇によって、これら案内溝部において緊締亀裂(Spannungsrissen)の状態となることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第26 56 257 A1号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/072501号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の課題は、冒頭に記載した様式の自在継手スピンドルを、
回転モーメントの伝達の際の、この自在継手スピンドルの能力を増大するように改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は本発明に従い、冒頭に記載した様式の自在継手スピンドルにおいて、
回転体輪郭が、凹状または凸状に形成されており、且つ、窪み部が、相対して凸状、もしくは凹状に形成されていることによって解決される。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、丸いえぐり部(Ausrundungen)、アール部の研磨、または、アール部の硬化のような、特別の構成が準備される必要無しに、緊締亀裂の発生が防止される。本発明により、必要な案内特性が失われること無しに、継手頭部内における、低減された緊締レベルのための基本的な解決策が提供される。案内溝部の代わりに、2つの方向内において対称的に、y軸線へと延在する同じ形の球状の輪郭が使用され、この輪郭が、このy軸線の、全スライドプレートの横軸線方向に重畳されている。
【0016】
本発明の有利な更なる構成は、従属請求項、発明の詳細な説明、および図面から与えられる。
【0017】
回転体輪郭が、部分領域内において、樽形の形状、もしくは、一葉双曲面の形状を有している場合、特に有利である。
【0018】
樽形の形状は、球状の、楕円状の、または、放物線状の曲率を有する曲線の回転によって形成されることは可能である。この曲率によって、曲線の延在は、スライドブロックの必要な横方向案内の際に、最適な緊締の状態に適合され得る。
円弧部分を形成する樽の曲線は特別の場合であり、この場合、実施形態に応じて、継手の遊隙が、低減または拡大され得る。
【0019】
スライドブロックが、このスライドブロックを収容する窪み部に関して、緊締状態のもとにあることは、同様に有利である。
【0020】
有利には、自在継手スピンドルは、継手頭部の領域内において、
緊締状態が、一方では、スライドブロックの回転体輪郭の形状によって、他方では、窪み部の形状によって、互いに釣り合った状態において規定されている、ように構成されている。
【0021】
自在継手スピンドルは、特に有利な実施形態に従い、
スライドブロックの緊締状態が、両方のスライド本体の間隔を、互いに調節する調節手段、特に調節ピンによって、窪み部に対して調節可能である。
【0022】
本発明は、同様に、上記されているように、自在継手スピンドル内における使用のためのスライドブロックに関している。
【0023】
次に、本発明を、2つの実施例において詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】自在継手スピンドル3と結合するための、舌状片1を備えるカップリングスリーブ2を示す、従来技術の自在継手スピンドルの透視図的な分解図である。
【図2】切断線II−IIに従う、図1の垂直方向の断面図である。
【図3】樽形状に構成されたスライドブロックを有する、本発明の自在継手スピンドルの透視図的な分解図である。
【図4】切断線IV−IVに従う、図1の垂直方向の断面図である。の図である。
【図5】一葉双曲面の形状におけるスライドブロックを有する、本発明の自在継手スピンドルの透視図的な分解図である。
【図6】図5の切断線V−Vに従う、一葉双曲面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
2つの指状部6、7を有するカップリングスリーブ2(図3、4)は、従来技術から公知の方法(図1、2を参照)において、スピンドル3の継手頭部4と協働する。
この従来技術との相違において、スライドブロック20は、2つのスライドプレート21、22を備えており、これらスライドプレートが、それぞれに、樽形状の表面23、24を有している。この従来技術から公知のように、同様に、両方のスライドプレート21、22は、ピン15によって互いに結合されている。
この従来技術との相違において、スピンドル3の継手頭部4の切欠き部5内において、如何なる案内溝部18も必要ではなく、且つ、同様に、いささかの案内突起部19も必要ではない。
【0026】
むしろ、この切欠き部が、
凸状の表面23、24に対して精確に適合された、少なくとも基本的にこれら表面23、24と同じ曲率を備える、凹状の輪郭25を有する
ことは十分であり、且つ必要である。
【0027】
本発明の更に別の実施例(図5、6)内において、スライドブロック26は、2つのスライドプレート27、28を有しており、これらスライドプレートが、それぞれに、双曲面の一部分としての表面29、30を備えている。同様にこの場合においても、両方のスライドプレート27、28は、ピン15によって、互いに結合されている。
第1の実施例の場合においてのように、スピンドル3の継手頭部4の切欠き部5内において、如何なる案内溝部18も必要ではなく、且つ、同様に、いささかの案内突起部19も必要ではない。
【0028】
むしろ、この切欠き部が、
凹状の表面29、30に対して精確に適合された、少なくとも基本的にこれら表面29、30と同じ曲率を備える、凸状の輪郭31を有することは十分であり、且つ必要である。
【0029】
本発明により提供される、スライドブロック20、26の構成において、
これら表面23、24、もしくは29、30の形状によって、
これらスライドブロック20、26が、自己調心状態で、輪郭25、31内において支承されており、且つ、同時に、従来技術の場合に必要である案内突起部および案内溝部を設けなくて良いということが配慮されている。
【符号の説明】
【0030】
1 舌状片
2 カップリングスリーブ
3 自在継手スピンドル
4 継手頭部
5 切欠き部
6 要素
7 要素
8 スライドブロック
9 スライドプレート
10 スライドプレート
11 円筒形の表面
12 円筒形の表面
13 輪郭
14 輪郭
15 ピン
16 穿孔
17 穿孔
18 溝部
19 案内突起部
20 スライドブロック
21 スライドプレート
22 スライドプレート
23 表面
24 表面
25 輪郭
26 スライドブロック
27 スライドプレート
28 スライドプレート
29 表面
30 表面
31 輪郭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に圧延機の駆動装置内において設けられた自在継手スピンドル(3)であって、
この自在継手スピンドルが、
継手頭部との結合の形成のためにカップリングスリーブを、または、カップリングスリーブ(2)との結合のために継手頭部(4)を有しており、
このカップリングスリーブ(2)の舌状片(1)が、回転軸線に対して横方向に位置している、上記継手頭部(4)の円筒形の開口部(5)内へと、係合しており、
この継手頭部と舌状片(1)との間に、スライドブロック(20、26)が設けられており、
このスライドブロックが、2つの、部分領域内において回転体輪郭(23、24;29、30)を有するスライド本体(21、22;27、28)によって形成されており、
これらスライド本体が、回転可能に、この自在継手内における、このスライド本体(21、22;27、28)の形状に適合された、回転体形状の窪み部(25、31)内において、
これらスライド本体が、旋回運動を、この継手頭部(4)内において実施可能であるように設けられている様式の、上記自在継手スピンドルにおいて、
回転体輪郭(23、24;29、30)が、凹状または凸状に形成されており、且つ、
窪み部(25、31)が、相対して凸状、もしくは凹状に形成されていることを特徴とする自在継手スピンドル(3)。
【請求項2】
回転体輪郭(23、24;29、30)は、部分領域内において、
樽形の形状、もしくは、一葉双曲面の形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の自在継手スピンドル(3)。
【請求項3】
樽形の形状は、球状の、楕円状の、または、放物線状の曲率を有する曲線の回転によって形成されることを特徴とする請求項2に記載の自在継手スピンドル(3)。
【請求項4】
スライドブロック(20、26)は、このスライドブロックを収容する窪み部(25、31)に関して、緊締状態のもとにあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の自在継手スピンドル(3)。
【請求項5】
緊締状態は、一方では、スライドブロック(20、26)の回転体輪郭(23、24;29、30)の形状によって、他方では、窪み部(25、31)の形状によって、互いに釣り合った状態において規定されていることを特徴とする請求項4に記載の自在継手スピンドル(3)。
【請求項6】
スライドブロック(20、26)の緊締状態は、両方のスライド本体(21、22;27、28)の間隔を、互いに調節する調節手段、特に調節ピン(15)によって、
窪み部(25、31)に対して調節可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の自在継手スピンドル(3)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載の自在継手スピンドル(3)内における使用のためのスライドブロック(20、26)。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−510721(P2013−510721A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538342(P2012−538342)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067373
【国際公開番号】WO2011/058133
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)