説明

自家幹細胞とその用途

【課題】単核細胞を多機能型P幹細胞(Multipotent stem cells)に変換する方法を提供する。
【解決手段】P幹細胞が更に目標細胞に転化し、例えば、軟骨細胞や神経細胞及び骨細胞等で、このようなP幹細胞を損傷組織の部位に注入すると、P幹細胞が組織細胞に転化して、修復作用が得られ、また、目標細胞を直接に損傷組織細胞の部位に注入しも、修復作用が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有性細胞を多機能型P幹細胞(Multipotent stem cells)に変換する方法に関し、このようなP幹細胞が更に目標細胞に転化し、例えば、軟骨細胞や神経細胞及び骨細胞等で、このようなP幹細胞を損傷組織の部位に注入すると、P幹細胞が、組織細胞に転化して、修復作用が得られ、また、目標細胞を損傷組織細胞の部位に注入しても、修復作用が得られるものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、骨髄幹細胞(narrow−derived stem cells)と臍帯血幹細胞(core blood−derived stem cells)は、主な、幹細胞を取得する2種類のソースである。このような幹細胞の取得量は、極めて少なく、また、異種に対して排他性を有するため、今において、臨床上の細胞治療の素材としてよく利用されている。その中、CD34(CD34陽性)の造血幹細胞(hematopoietic stem cells、HSC)が、一番応用され、それは、ヒトCD34抗体により分離された幹細胞である。しかしながら、CD34の造血幹細胞は、一般の成人体内において、総数量が少なく、骨髄において、約100,000個の血液細胞から、1個のCD34造血幹細胞が収集され、取得できる幹細胞の数量が極めて少なく、また、異種に対して排他性を有するため、臨床上の応用は、大きく制限され、相対的に、成功率が低くなる。そのため、現在において、幹細胞(stem Cell)を研究する者は、体外の細胞培養により、CD34幹細胞を大量に増殖できる方法と経路を捜しているが、このような幹細胞も、異種に対して排他性を有する。上記の要因により、骨髄幹細胞の臨床応用上において、制限される欠点がある。
【0003】
1990年から、臍帯血も、幹細胞研究者の視線を来す。それは、臍帯血に、骨髄より豊富のCD34幹細胞を有するためであり、また、骨髄のCD34幹細胞に比較して、臍帯血のCD34幹細胞が、より良い転化能力を持つ。そのため、近年、世界の国々において、将来の医学研究や臨床応用のソースとして、婦人生産後の臍帯血を保存するための臍帯血バンクを、陸続と設立する。しかしながら、骨髄より、臍帯血に、幹細胞が比較的に多いが、血液細胞に対する比例が、依然として低いため、体外培養により、十分の数量を取得して細胞医療用途に利用することが必要である。また、臍帯血の特別の冷凍保存に、普通の人が負担できない膨大なコストが必要とし、また、長期に保存過程において、細胞が、任意の温度変化により、死亡するから、不安定性が向上される。臍帯血幹細胞による治療の時、また、免疫学上の組織和合性(Histocompatibility)の問題を顧慮しなければならなく、即ち、排他性の問題を顧慮しなければならなく、そうでなければ、病者の体内免疫系により臍帯血幹細胞を排他して、治療の成功率が低減され、最悪の場合、治療が失敗する。組織和合性の一対組合せ実験に必要とするコストは、一般として、臍帯血幹細胞を保存するコストより高いから、組織和合性が同じ幹細胞を捜すことが、更に困難になる。
【0004】
骨髄と臍帯血幹細胞は、医学と臨床応用において、下の問題点がある。(1)幹細胞は、骨髄と臍帯血の幹細胞の数量が多くないため、体外培養により、数量を増加する必要があるが、幹細胞の体外の自己複製(self−renewal)により良い培養環境や方法がない。(2)臍帯血バンクが、臍帯血を永久に保存できると断言するが、解凍後の幹細胞の生存率と再凍細胞の生存率が安定的ではなく、また、前記の説明した要因により、不安定的である。(3)骨髄幹細胞を取得するため、病者が骨髄穿刺による痛みを忍耐しなければならなく、また、過程においての麻酔によるリスクがある。(4)臍帯血幹細胞で治療する時、免疫学上の組織和合性の問題を顧慮して、病者の体内免疫系により排他作用を防止する必要がある。(5)1人にとって、臍帯血幹細胞の採集が、一生に1回のチャンスしかない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1は、少なくとも一つの単核細胞と少なくとも一つの蛋白質キナーゼC条件剤により、直接に単核細胞から変換される多機能型P幹細胞を提供する。
【0006】
本発明目的の2は、P幹細胞と少なくとも一つの転化酵素により、当該P幹細胞から転化される例えば、軟骨細胞や神経細胞及び骨細胞等である目標細胞を提供する。
【0007】
本発明目的の3は、P幹細胞を直接に損傷組織細胞の部位に注入して、当該P幹細胞が組織細胞に転化し、修復作用が得られるP幹細胞修復剤を提供する。
【0008】
本発明目的の4は、少なくとも一つの目標細胞を直接に損傷組織細胞の部位に注入して、修復作用が得られる目標細胞修復剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、血液中の単核細胞である単核細胞(mononucleated)を完全に多機能型P幹細胞に変換する。単核細胞は、数量が少なくとも血液中の白血球細胞の1/10である、例えば、単球(Monocyte)であり、一般の正常人の周辺白血球細胞濃度が、1ミリリットルに約5,000乃至10,000個であり、これで試算すると、単核細胞濃度が、周辺血液中において、少なくとも、1ミリリットルに約500乃至1,000個である。また、100ミリリットルの周辺血液であれば、単核細胞の数量が、50,000乃至100、000個になる。本発明によれば、この50,000乃至100、000個の単核細胞を完全に多機能型P幹細胞に変換することができる。また、血液の採集量を制御するだけで、P幹細胞の取得量を制御できる。本発明の進歩性の1は、血液中の単核細胞を多機能型P幹細胞に変換し、これによる数量が、骨髄や臍帯血の幹細胞の千倍か万倍になり、場合によれば、もっと多くなり、骨髄や臍帯血の幹細胞は、それに比較できないものであり、本発明進歩性の2は、排他作用が完全になく、自体の細胞を自体に注入するため、排他作用を顧慮する必要が無く、例えば、骨髄や臍帯血の幹細胞については、免疫学上の組織和合性の排他作用を顧慮しなければならない。また、本発明において、単核細胞は、単一球状細胞核を有する細胞を指す。
【0010】
本発明による最大の進歩性は、何時でも実験を繰り返すことができ、成功率が、ほぼ百パーセントであり、また、血液の取得が簡単で、例えば採血により、何時でも利用でき、そのため、冷凍保存の問題がない。臍帯血幹細胞の採集のように、一生に1回しかできず、また、骨髄幹細胞の採集のように、病者が骨髄穿刺による痛みを忍耐しなければならなく、また、過程においての麻酔によるリスクがあり、そして、長時間の冷凍保存が必要し、応用上のコストが高いだけでなく、幅広く適用することが因難である問題は、解決される。
【0011】
本発明は、例えば、軟骨細胞や神経細胞及び骨細胞等の目標細胞に転化できるP幹細胞に関する。上記より、P幹細胞が、骨髄や臍帯血幹細胞と同じように原始細胞の最も重要な転化機能を有することが証明された。当該目標細胞は、損傷組織細胞に対して修復機能を持ち、例えば、軟骨細胞を損傷関節の軟骨の部位に接種することにより、損傷軟骨の修復や再建ができる。また、例えば、神経細胞を損傷神経の部位に接種することにより、直接に神経の修復に有利である。本発明に係わるP幹細胞は、生物の任意の細胞に転化でき、また、生物の任意の損傷組織細胞の修復に適用でき、例えば、肝組織細胞や脳組織細胞、神経細胞、軟骨組織細胞、脂肪細胞、眼球組織細胞、聴覚組織細胞、膵臓組織細胞、心臓組織細胞、筋肉細胞、皮膚細胞、骨組織細胞、胆嚢組織細胞、血管組織細胞、腎臓組織細胞、骨髄組織細胞、肺臓組織細胞、毛嚢組織細胞、腸胃組織細胞、消化器系組織細胞或いは生殖器系組織細胞等であり、また、本発明は、自体細胞を注入するため、排他性や他の副作用がない。
【0012】
本発明は、直接にP幹細胞を損傷組織細胞の部位に接種することにより、直接に損傷組織細胞を修復や再建できる組織細胞修復剤を提供する。例えば、A病者のP幹細胞をA病者の損傷心筋の組織細胞の部位に接種することにより、P幹細胞が直接に心筋細胞に転化し、直接に修復や再建の目的を達成でき、骨髄や臍帯血幹細胞の治療史上において、既に成功の事例があり、例えば、幹細胞を骨髄に注入することにより、白血病を治療でき、病者の造血機能が正常に戻り、また、例えば、心筋梗塞の病者であれば、幹細胞を直接に損傷心筋の部位に注入し、心筋の機能が回復や改善でき、以上の事例は、ニュースや新聞雑誌或いはネットワークにより報道されている。肝機能不全や腎機能不全についても、同じの効果が得られる。P幹細胞により、生物の任意の損傷組織細胞を修復や再建できる。例えば、肝組織細胞や脳組織細胞、眼球組織細胞、聴覚組織細胞、膵臓組織細胞、心臓組織細胞、筋肉細胞、皮膚細胞、骨組織細胞、胆嚢組織細胞、神経細胞、軟骨組織細胞、血管組織細胞、脂肪細胞、腎臓組織細胞、骨髄組織細胞、肺臓組織細胞、毛嚢組織細胞、腸胃組織細胞、消化器系組織細胞及び生殖器系組織細胞等であり、本発明は、自体細胞を注入するため、排他性や副作用がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施例1
P幹細胞の調製
ヘパリン(Heparin)抗凝固剤を含有する無菌真空採血管や無菌採血注射器により、20mlの血液を採集する。蛍光を含有するヒトCD14単クローン抗体(anti−human CD14 monoclonal antibody−FITC)を利用して、採集した血液中の例えば単球(Monocyte)である単核細胞を分離し、また、流動細胞計測器(Flow Cytometry)により単核細胞を単独に分離して無菌試験管に収集し、そして、分離された単核細胞を、10%のRPMI−1640(Gibco、NY USA)を含有する培養基の中に注入する。
【0014】
実施例1の具体例1
例えばGo6976である蛋白質キナーゼC(Protein Kinase C)抑制条件剤を、培養液の中においての濃度が0.1−10mMになるように、細胞培養液に添加し、30分の作用後、培養液の中においての濃度が5−15mMになるように、例えばbryostatin−1である蛋白質キナーゼC活性化条件剤を添加する。そして、37℃の5%のCOを含有する培養器(incubator)で15−21日に細胞を培養する。培養基において、単核細胞が直接にP幹細胞に転化し、その転化率が、約百パーセントである。
【0015】
実施例1の具体例2
そして、具体的の実施例1を説明し、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)と間質細胞由来因子(SDF、Stromal Cell−derived Factor)を細胞培養液に添加し、濃度を100−1,000U/mlと10−100nMに維持し、そして、細胞を37℃、5%のCOを含有する培養器(incubator)で3−7日に培養する。培養基において、CD14単核細胞が直接にP幹細胞に転化し、その転化率がほぼ百パーセントである。
【0016】
実施例1の具体例3
培養皿に一層のコラーゲン(Collagen)やフィブロネクチン(Fibronectin)を固定し、10%のRPMI−1640(Gibco、NY USA)を含有する培養基を培養皿に添加する。また、分離された単核細胞を培養皿に注入する。そして、細胞を、37℃、5%のCOを含有する培養器(incubator)で7−14日に培養する。培養基において、CD14単核細胞が直接にP幹細胞に転化する。
【0017】
また、本実施例において、単核細胞を分離する方法は、ヒトCD14抗体を連結する磁性ビードにより分離し、磁性細胞選別器(Magnetic Cell sortor)単核細胞を収集するのが、公知の方法である。本実施例において、単核細胞のソースは、血液検体に限らない。その結果は、図(1)のようである。P幹細胞を、無菌生理食塩水で、少なくとも3回清浄し、最後に、1000回転の遠心速度で10分により上清液を除去して、濃縮したP幹細胞を無菌注射器内に収集し、これにより、直接に損傷組織細胞の部位に注射して、修復することに供されることができる。本実施例において、蛋白質キナーゼC条件剤は、Go6976やbryostatin−1、GM−CSF、SDF、コラーゲン、フィブロネクチン或いるその組合わせる物だけでなく、蛋白質キナーゼCの活性を抑制できる物質や活性化蛋白質キナーゼCの物質或いは同じ効果を有するものとその組合わせる者であればよい。
【0018】
実施例2
蛍光を含有するヒトCD14単クローン抗体でP幹細胞を測定し、流動細胞計測器(Flow Cytometry)による測定結果は、P幹細胞がCD14陽性反応(CD14)を示す。0.5mlのP幹細胞懸濁液を試験管に入れ込み、そして、10μlの蛍光を含有するヒトCD14単クローン抗体(anti−human CD14 monoclonal antibody FITC)を添加し、そして、4℃に30分置いてから、遠心機で10分(1000回転)処理して、上清液を除去し、そして、生理食塩水で、3回清浄し、また、5mlの生理食塩水を添加してP幹細胞と均一に混合し、そして、遠心機で10分(1000回転)処理して、上清液を除去し、清浄ステップを3回繰り返し、最後に清浄されたP幹細胞を直接に流動細胞計測器(FACScan、BECTON DICKINSON)により蛍光測定し、anti−human CD14 monoclonal antibody FITCとP幹細胞が結合すれば、蛍光陽性反応を示し、逆に、陰性反応を示し、本実施例2の測定結果は、陽性反応である。流動細胞計測器による測定する測定方法は、公知的である。
【0019】
実施例3
P幹細胞を骨細胞培養基(Osteogenic medium)に入れ込み、当該骨培養基は、骨細胞転化酵素を含有する低ブドウ糖DMEM培養基(low−glucose DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Media)、Gibco)で、例えば、100nMのdexamethasoneと10mMのb−グリセロリン酸(b−glycerophosphate)及び100mg/mlのアスコルビン酸(ascorbic acid)等を、同時にCO培養器に入れ込んで14日に培養すると、P幹細胞が直接に骨細胞(Osteoblast、OB)に転化する。
【0020】
実施例4
骨細胞(Osteoblast、OB)の鑑定
Alizarin化学染色法と細胞内アルカリホスファターゼ(alkaline phophatase)は、それぞれ、一般の骨細胞の鑑定方法で、公知的である。図2(A)は、Alizarin化学染色法により測定した細胞間のカルシウムイオンの堆積状態(赤い領域で、200倍拡大である)。図2(B)は、細胞内アルカリホスファターゼ(alkaline phophatase)の測定結果である。P幹細胞(対比基準細胞として)と骨細胞を、それぞれ、等量細胞の懸濁液を作り、そして、細胞を粉砕してから、それぞれの比色管に1mlの細胞懸濁液を添加し、そして、それぞれの比色管に更に0.3mlのアルカリホスファターゼである比色剤pNPP(p−nitorphenyl phosphate)、そして、15分放置すると、直ちに、405nm(波長)で各比色管の吸光度を比色測定し、比色剤pNPPとアルカリホスファターゼが作用すると、黄色い変化が発生し、アルカリホスファターゼの含量が多ければ、黄色いが濃くなる。図2Bは、測定結果であり、骨細胞内アルカリホスファターゼの活性/濃度が、P幹細胞の約6倍に高くなる。
【0021】
実施例5
P幹細胞を軟骨細胞培養基(Chondrogenic medium)に入れ込み、軟骨細胞培養基は、軟骨細胞転化酵素を含有するlow−glucose DMEMで、例えば、100nMのdexamethasoneと10ng/mlのトランスフォーミング成長因子−b1(Transforming growth Factor−beta1、TGF−b1)を、同時にCO培養器に入れ込んで21日に培養すると、P幹細胞が直接に軟骨細胞(Chondrocyte)に転化する。
【0022】
実施例6
軟骨細胞(Chondrocyte)の鑑定
図2Cは、顕微鏡で観察した結果であり、殆どの細胞が、典型的な軟骨細胞の形態である多角形(Polygonal)を有する。図2Dは、更に、Safranin Oの組織染色法で軟骨細胞の中の粘液質(Mucin)(赤い部分)の生成を鑑定し、公知的である基本鑑定方法である。
【0023】
実施例7
P幹細胞を神経細胞培養基(Neurogenic medium)に入れ込み、神経細胞培養基は、神経細胞転化酵素を含有するa−最低基礎培養基(a−MEM(minimum essential medium))で、例えば、50mMのメルカプトエタノール(mercaptoethanol)と1mMのレチノイン酸(retinoic acid)、0.5mMのL−グルタミン(L−glutamine)、1%のN2補助剤(1%のN2supplement)及び2%のB27補助剤(2%のB27supplement)を、同時にCO培養器に入れ込んで14日に培養すると、P幹細胞が直接に神経細胞(Neuron Cell)に転化する。
【0024】
実施例8
神経細胞(Neuron Cell)の鑑定
神経細胞が専有する2種類の蛋白であるGAD(glutaminic acid decarboxylase)とNestinを測定し、公知的である基本鑑定方法である。蛍光を含有する抗GAD抗体と蛍光を含有する抗Nestin抗体で、更に免疫蛍光細胞を染色し、GADとNestinとが、陽性蛍光反応である。図2Eと図2Fを参照する。
【0025】
また、P幹細胞が、他の目標細胞に転化することができ、例えば、骨格筋細胞や心筋細胞、腎臓細胞、肺臓細胞或いは肝臟細胞等である。
【0026】
例えば、P幹細胞を骨格筋細胞培養基(skeletal myogenic medium)に入れ込み、骨格筋細胞培養基は、骨格筋細胞転化酵素を含有するDMEMで、例えば、10mMの5−アザシチジン(5−azacytidine)をCO培養器に入れ込んで24時間に培養して、また、細胞培養基を新鮮のDMEMに入れ替えてから、細胞を7乃至11日に培養し、P幹細胞が直接に骨格筋細胞(skeletal muscle Cell)に転化する。
【0027】
例えば、P幹細胞を心筋細胞培養基(cardiomycgenic medium)に入れ込み、心筋細胞培養基は、心筋細胞転化酵素を含有するIscove’s Modified Dulbecco’s Medium(IMDM)で、例えば、3mMの5−アザシチジン(5−azacytidine)を、CO培養器に入れ込んで24時間に培養して、また、細胞培養基を新鮮のIMDMに入れ替えてから、細胞を5乃至7日に培養する。この時、3mMの5−アザシチジン(5−azacytidine)を含有するIMDMである心筋細胞培養基により細胞を24時間に処理して、細胞を新鮮のIMDMで7乃至14日に培養することにより、P幹細胞が直接に心筋細胞(cardimyocytic Cell)に転化する。
【0028】
例えば、P幹細胞を第1型コラーゲンコーティング(coating)の培養皿に入れ込み、また、培養皿に、予めに腎臓細胞培養基が入れ込まれておられ、腎臓細胞転化培養基は、腎臓細胞転化酵素を含有するEmbryo Medium(Daimippon Pharmaceutical)培養基で、例えば、10ng/mlの白血病抑制因子(leukemia inhibitory Factor(LIF))を、CO培養器に入れ込んで3乃至4週間に培養し、また、3乃至5日に置きに、新鮮の10ng/mlのLIFを含有するEmbryo Medium培養基に入れ替えることにより、P幹細胞が直接に腎臓細胞(renal Cell)に転化する。
【0029】
例えば、P幹細胞を肺臓細胞培養基に入れ込み、肺臓細胞培養基は、肺臓細胞転化酵素を含有するDMEMで、例えば、10mg/mlのインシュリン(insulin)と100ng/mlの繊維芽細胞成長因子−1(Fibroblast Growth Factor−1、FGF−1)、200ng/mlの繊維芽細胞成長因子−2(FGF−2)、50ng/mlの繊維芽細胞成長因子−7(FGF−7)、800ng/mlの繊維芽細胞成長因子−9(FGF−9)、1,000ng/mlの繊維芽細胞成長因子−10(FGF−10)及び1,000ng/mlの繊維芽細胞成長因子−18(FGF−18)を、CO培養器に入れ込んで2乃至3週間に培養し、また、3乃至5日に置きに肺臓細胞転化酵素を有する新鮮のDMEMに入れ替えることにより、P幹細胞が直接に肺臓細胞(lung Cell)に転化する。
【0030】
例えば、P幹細胞を肝臟細胞培養基(Hepatogenic medium)に入れ込み、肝臟細胞培養基は、肝臟細胞転化酵素を含有するlow glucose−DMEMで、例えば、50ng/mlの肝細胞増殖因子(hepatocyte growth Factor、HGF)と100ng/mlの繊維芽細胞成長因子−4(FGF−4)を、CO培養器に入れ込んで2乃至3週間に培養し、また、3乃至5日に置きに新鮮の肺臓細胞転化酵素を含有するlow glucose−DMEMに入れ替えることにより、P幹細胞が直接に肝臟細胞(Hepatocyte)に転化する。
【0031】
例えば、P幹細胞を脂肪細胞分化培養基に入れ込み、脂肪細胞分化培養基は、10%のウシ血清を含有し、そして、脂肪細胞転化酵素−1μMのdexamethasoneと0.5mMのmethyl−isobutylxantine、10μg/mlのinsulin及び100mMのindomethacin(Sigma)を含有するDMEMで、それをCO2培養器に入れ込んで72時間に培養し、そして、培養基を、10%のウシ血清を含有し、そして、脂肪細胞転化酵素−10μg/mlのinsulinを含有するDMEMに入れ替えて、そして、CO2培養器に入れ込んで6−10日に培養することにより、P幹細胞が直接に脂肪細胞に転化する。
【0032】
P幹細胞は、多機能性の転化能力を有するため、様々の目標細胞に転化でき、P幹細胞が存在した場合、異なる培養基や転化酵素を使用すれば、異なる目標細胞に転化でき、例えば、腎細胞培養基や心筋細胞培養基等である。例えば実施例3と5及び7のような転化された細胞である目標細胞は、少なくとも、無菌生理食塩水で3回清浄し、1000回転の遠心速度で10分に処理して、上清液を除去し、当該濃縮された目標細胞を無菌注射器内に収集してから、直接に自体の損傷組織細胞の部位に注射することにより、修復することができる。
【0033】
実施例9
単核細胞の蛋白質キナーゼCの鑑定
実施例1のような単核細胞を、Go6976とBryostatin−1に入れ込んでから、0時間と0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、6時間、12時間及び24時間に、それぞれ、サンプリングして、培養基の単核細胞の蛋白質キナーゼC(Protein Kinase C)の変化を測定する。図1は、0時間の時、単核細胞の蛋白質キナーゼCの電気泳動の変化図で、結果として、単核細胞の細胞質に、aとbI、bII、g、i/l及びzである6種類のハイポタイプの蛋白質キナーゼCが含有され、図3において、Moが単核細胞の蛋白質で、pcが蛋白質キナーゼCである陽性対照組である。単核細胞を粉砕して、直接に粉砕した後の1μlの溶液について、蛋白質電気泳動を30分に分析し、それをNC paperに転写してから、ウシ血清によりNC paperのブロッキング(blocking)し、また、抗蛋白質キナーゼCの各ハイポタイプの抗体(冷光を結合済み)で、NC paper上に蛋白質キナーゼCがあるかどうか測定し、例えば抗蛋白質キナーゼCのa抗体に結合された冷光が、NC paper上に転写された蛋白質キナーゼCのaに結合し、最後に、清水でNC paperを3回清浄して、フィルム露光により結果が手に入れられる。図3は、その結果である。
【0034】
図4は、0時間と0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、6時間、12時間及び24時間に、単核細胞の細胞質(cytosolic)と細胞膜(membrane)においての蛋白質キナーゼCの電気泳動の変化図であり、任意のハイポタイプの蛋白質キナーゼCが活性化された後、一部の細胞質が細胞膜に転位(translocation)し、また、同時に濃度の変化が見られる。mPKCは、細胞膜の蛋白質キナーゼCのハイポタイプの電気泳動を測定し、cPKCは、細胞質の蛋白質キナーゼCのハイポタイプの電気泳動を測定する。図4から分かるように、蛋白質キナーゼCのbIIだけが活性化される。単核細胞の蛋白質キナーゼCのbIIが活性化されれば、単核細胞をP幹細胞に変換することができる。単核細胞の蛋白質キナーゼCのbIIが活性化された任意の物は、蛋白質キナーゼCのbIIの活性化条件剤になり、当該蛋白質キナーゼCのbIIの活性化条件剤は、単一の物質や複合の物質である。図3の実験方法により、粉砕された単核細胞を高速に遠心し、上清液について、細胞質の蛋白質キナーゼCのハイポタイプの電気泳動を測定し、沈殿した細胞屑について、細胞膜の蛋白質キナーゼCのハイポタイプの電気泳動を測定する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】200倍顕微鏡拡大の単球写真
【図1B】200倍顕微鏡拡大のP幹細胞写真
【図2A】骨細胞のAlizarin染色結果の200倍顕微鏡拡大写真
【図2B】骨細胞内のアルカリホスファターゼの測定値棒図
【図2C】400倍顕微鏡拡大の多角形態の軟骨細胞写真
【図2D】400倍顕微鏡拡大の染色後の軟骨細胞写真で、粘液質(Mucin)が赤い。
【図2E】400倍顕微鏡拡大の神経細胞写真で、GAD蛋白が蛍光陽性反応である。
【図2F】400倍顕微鏡拡大の神経細胞写真で、Nestin蛋白が蛍光陽性反応である。
【図3】蛋白質キナーゼCの電気泳動測定
【図4】24時間の蛋白質キナーゼCの電気泳動測定

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単核細胞に蛋白質キナーゼC条件剤を添加して培養することにより形成される、
ことを特徴とするP幹細胞。
【請求項2】
蛋白質キナーゼC条件剤がBryostatin−1やGo6976或いはその組合わせるものであることを特徴とする請求項1に記載のP幹細胞。
【請求項3】
蛋白質キナーゼC条件剤がGM−CSFやSDF或いはその組合わせるものであることを特徴とする請求項1に記載のP幹細胞。
【請求項4】
蛋白質キナーゼC条件剤がコラーゲンやフィブロネクチン或いはその組合わせるものであることを特徴とする請求項1に記載のP幹細胞。
【請求項5】
活性化単核細胞の蛋白質キナーゼCのbIIにより、単核細胞をP幹細胞に変換する、
ことを特徴とするP幹細胞の形成方法。
【請求項6】
活性化単核細胞の蛋白質キナーゼCのbIIは、蛋白質キナーゼC条件剤として、Bryostatin−1やGo6976或いはその組合わせるものを使用することを特徴とする請求項5に記載のP幹細胞の形成方法。
【請求項7】
蛋白質キナーゼC条件剤がGM−CSFやSDF或いはその組合わせるものであることを特徴とする請求項5に記載のP幹細胞の形成方法。
【請求項8】
蛋白質キナーゼC条件剤がコラーゲンやフィブロネクチン或いはその組合わせるものであることを特徴とする請求項5に記載のP幹細胞の形成方法。
【請求項9】
P幹細胞に転化酵素を添加し、培養基において、培養されることにより形成される、
ことを特徴とする目標細胞。
【請求項10】
骨細胞であり、培養基が低ブドウ糖DMEMで、転化酵素がdexamethasoneやb−グリセロリン酸、アスコルビン酸或いはその組合わせるものであることを特徴とする請求項9に記載の目標細胞。
【請求項11】
軟骨細胞であり、培養基が低ブドウ糖DMEMで、転化酵素がdexamethasoneやトランスフォーミング成長因子−b1或いはその組合わせるものであることを特徴とする請求項9に記載の目標細胞。
【請求項12】
神経細胞であり、培養基がa−最低基礎培養基で、転化酵素がメルカプトエタノールやレチノイン酸、L−グルタミン、N2補助剤、B27補助剤或いはその組合わせるものであることを特徴とする請求項9に記載の目標細胞。
【請求項13】
心筋細胞であり、培養基がIMDMで、転化酵素が5−アザシチジンであることを特徴とする請求項9に記載の目標細胞。
【請求項14】
腎臓細胞であり、培養基がEmbryo Mediumで、転化酵素が白血病抑制因子であることを特徴とする請求項9に記載の目標細胞。
【請求項15】
肺臓細胞であり、培養基がDMEMで、転化酵素がインシュリンや繊維芽細胞成長因子或いはその組合わせるものであることを特徴とする請求項9に記載の目標細胞。
【請求項16】
肝臟細胞であり、培養基が低ブドウ糖DMEMで、転化酵素が肝細胞増殖因子や繊維芽細胞成長因子或いはその組合わせるものであることを特徴とする請求項9に記載の目標細胞。
【請求項17】
骨格筋細胞であり、培養基がDMEMで、転化酵素が5−アザシチジンであることを特徴とする請求項9に記載の目標細胞。
【請求項18】
脂肪細胞であり、培養基がDMEMで、転化酵素がdexamethasoneとindomethacin、インシュリン及びmethyl−isobutylxantineであることを特徴とする請求項9に記載の目標細胞。
【請求項19】
P幹細胞を直接に損傷組織細胞の部位に注入して、損傷組織細胞を修復する、
ことを特徴とする組織修復の方法。
【請求項20】
少なくとも1種類の目標細胞を直接に損傷組織細胞の部位に注入して、損傷組織細胞を修復する、
ことを特徴とする組織修復の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−333866(P2006−333866A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−154539(P2006−154539)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(501393472)
【出願人】(501393450)
【出願人】(506190186)
【Fターム(参考)】