説明

自己免疫疾患を治療するための方法および組成物

本開示は、OX−2/CD200(本明細書ではCD200と呼ばれる)抗体、および自己免疫疾患の治療方法に関する。一つの実施形態において、本開示は、自己免疫疾患を有する患者を治療するための方法であって、前記患者に、治療有効量の抗CD200抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、自己抗体の産生を遮断する。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、アゴニスト抗体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2007年7月25日に出願された米国仮特許出願第60/962,044号の利益を主張し、この米国仮特許出願の開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、OX−2/CD200(本明細書ではCD200と呼ばれる)抗体、および自己免疫疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
自己免疫は、生物体が、それ自体の構成成分(分子下レベルまで下がって)を「自己」として認識することができないことであり、これは、それ自体の細胞および組織に対する免疫応答をもたらす。そのような異常な免疫応答から生じる任意の疾患は、自己免疫疾患と呼ばれる。そのような場合における有害な免疫反応を阻害するために、コルチコステロイドおよびサイトカインアンタゴニストなどの免疫抑制剤を患者に投与することができる。しかし、これらの一般的な免疫抑制剤は、毒性および感染症に対する抵抗力の低下を含めた望ましくない副作用を誘発する場合がある。したがって、自己免疫を治療することの、代替の、およびおそらくより特異的な方法が必要である。
【0004】
抗体療法を含めたいくつかの免疫調節療法は、ある特定の自己免疫障害の治療において成功を収めている。しかし、自己免疫障害を治療するための追加の抗体療法が、臨床的に求められている。さらに、ヒト化または他のキメラのヒト/マウスモノクローナル抗体が、関連して求められている。広く公表された研究では、マウス抗TNF(腫瘍壊死因子)モノクローナル抗体を投与された患者は、投与された抗体に対する抗マウス抗体応答を発生させた(非特許文献1)。ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答と一般に呼ばれる(非特許文献2)、治療レジメンに対するこの型の免疫応答は、治療の有効性を減少させ、治療を完全に無効とする場合さえある。ヒト化またはキメラのヒト/マウスモノクローナル抗体は、HAMA応答を著しく減少させ、抗体治療の治療有効性を増大させることを示した。例えば、非特許文献3)を参照されたい。さらに、特定の機能性が増強または低減された抗体は、診療所において有用な用途を見出すことができる。
【0005】
B細胞、いくつかのT細胞および樹状細胞、ならびに他の細胞を含めた多数の細胞型の表面上に発現される分子であるCD200は、免疫グロブリン遺伝子ファミリーの分子と高度の相同性を有し、免疫抑制に関わっていると以前は考えられていた(非特許文献4)。従来技術は、例えば、CD200発現細胞は、Thlサイトカイン産生の刺激を阻害することができることを示すようにみえる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Exley A. R.ら、Lancet 335巻:1275〜1277(1990年)
【非特許文献2】Mirickら Q J Nucl Med Mol Imaging 2004年;48巻:251〜7頁
【非特許文献3】LoBuglioら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86巻:4220〜4224頁(1989年6月)
【非特許文献4】Gorczynskiら、Transplantation 65巻:1106〜1114頁(1998年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
ある特定の態様では、本開示は、自己免疫疾患を有する患者を治療するための方法であって、前記患者に、治療有効量の抗CD200抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記自己免疫疾患は、それだけに限らないが、関節リウマチ、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、悪性貧血、アジソン病、I型糖尿病、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、重症筋無力症、ライター症候群、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、難治性皮膚筋炎、無症候性リンパ腫に関連する寒冷凝集素病、後天性第VIII因子インヒビター疾患およびグレーブス病を含む群から選択される。
【0008】
ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、自己抗体の産生を遮断する。ある特定の実施形態では、前記自己抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgA、IgD、および/またはIgE免疫グロブリンから選択される。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、自己抗体の産生を遮断しない。
【0009】
ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、アンタゴニスト抗体である。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、アゴニスト抗体である。
【0010】
ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、前記患者におけるサイトカインの発現を調節する。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、IL−12、IL−10およびIL−4からなる群から選択される、前記患者におけるサイトカインの産生を増強する。
【0011】
ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗体断片は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体またはその抗体断片、組換え抗体、ダイアボディ、キメラ化もしくはキメラ抗体またはその抗体断片、ヒト化抗体またはその抗体断片、脱免疫化ヒト抗体またはその抗体断片、完全ヒト抗体またはその抗体断片、単鎖抗体、Fv、Fd、Fab、Fab’、およびF(ab’)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、前記抗体は、モノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、前記抗CD200抗体またはその抗体断片は、ポリマーおよびポリペプチドからなる群から選択される分子に結合している。ある特定の実施形態では、前記ポリマーはポリ(エチレン)グリコールである。
【0012】
ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、前記哺乳動物に少なくとも1カ月間投与される。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、前記哺乳動物に少なくとも1年間投与される。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、前記哺乳動物に連続的に投与される。
【0013】
ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、前記哺乳動物に全身的に投与される。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、前記哺乳動物に局所的に投与される。
【0014】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、第2の作用剤または治療薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、第2の作用剤は、以下の特徴、すなわち、a)T細胞に対する制御活性、およびb)免疫調節活性のうちの1つまたは複数を含む。ある特定の実施形態では、前記第2の作用剤または治療薬は、免疫抑制剤、免疫調節剤、ヘテロクリティックペプチド、抗体、抗原結合性断片、核酸、小分子、有機金属化合物、ポリペプチド、アプタマー、スピーゲルマー、化学物質、無機化合物、金属、プロドラッグ、およびペプチド模倣化合物からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤は、カルシニュリン阻害剤である。ある特定の実施形態では、カルシニュリン阻害剤は、タクロリムス(FK−506)およびシクロスポリンAから選択される。ある特定の実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤は、アドリアマイシン、アザチオプリン、ブスルファン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、シトキサン、フルダラビン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、非ステロイド性抗炎症薬、シロリムス(ラパマイシン)、およびタクロリムス(FK−506)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤は、ムロモナブ−CD3、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、リツキシマブ、IVIgおよび抗胸腺細胞グロブリンからなる群から選択される抗体である。ある特定の実施形態では、前記第2の作用剤は、順次または同時のいずれかで投与される。
【0015】
本発明は、本発明の任意の前述の態様および実施形態の組合せを企図する。他の実施形態は、本説明において記載される。本明細書に引用されたすべての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】抗CD200処置が、コラーゲン誘発関節炎の重症度を低減させることを示す。DBA/1LacJマウスに、5mg/kg用量の抗CD200またはアイソタイプマッチ対照mAbのいずれかをi.p.注射により、第1日の最初のBCII免疫化の後の第1日〜第7日および第21日〜第25日に投与した。データは、平均±SEMで表す。
【図2】抗CD200処置が、抗コラーゲン抗体生成の出現を遮断することを示す。抗BCII Abの血清レベルおよびサブタイプを、記載される処置群について評価した。データは、平均±SEMで表す。
【図3A】抗CD200処置が、自己抗体の生成に対する影響とは無関係に、確立している関節の炎症を改善できることを示す。A)DBA/1LacJマウスに、5mg/kg用量の抗CD200またはアイソタイプマッチ対照mAbのいずれかをi.p.注射により、第1日の最初のBCII免疫化後の第21日〜第30日に投与した。B)抗BCII Abの血清レベルおよびサブタイプを、記載される処置群について評価した。データは、平均±SEMで表す。
【図3B】抗CD200処置が、自己抗体の生成に対する影響とは無関係に、確立している関節の炎症を改善できることを示す。A)DBA/1LacJマウスに、5mg/kg用量の抗CD200またはアイソタイプマッチ対照mAbのいずれかをi.p.注射により、第1日の最初のBCII免疫化後の第21日〜第30日に投与した。B)抗BCII Abの血清レベルおよびサブタイプを、記載される処置群について評価した。データは、平均±SEMで表す。
【図4】抗CD200処置がDBA/1マウスのコラーゲン免疫化に関して種々の時点で投与される場合に、脾臓サイトカインプロファイルに影響することを示す。A)脾臓細胞を、BCII免疫化DBA/1LacJマウスから単離し、これらを抗CD200またはアイソタイプマッチ対照mAbのいずれかで第1日の最初のBCII免疫化後の第1日〜第7日および第21日〜第25日に処置した。B)脾臓細胞を、BCII免疫化DBA/1LacJマウスから単離し、抗CD200またはアイソタイプマッチ対照mAbのいずれかで第1日の最初のBCII免疫化後の第21日〜第30日に処置した。データは、平均±SEMで表す。
【図5】図5は、同種異系の免疫応答における抗CD200処置の後のサイトカインプロファイルの変化の効果を示し、ここで、BALB/cマウスはC57B/c脾臓細胞で免疫化した。データは、平均±SEMで表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
I.概要
従来技術、特にGorczynskiによる多数の論文は、分子のCD200は、免疫抑制性であることを示すように思われた。例えば、Gorczynskiら、Clin. Immunol. 104巻:256〜264頁(2002年)は、マウスにおけるコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルにおいて、CD200(CD200Fc形態で)を用いた治療は、CIAを改善させることを教示している。Gorczynskiらは、研究により、CD200はその受容体を結合し、免疫抑制活性は、この受容体を介するものであることが示されたことを述べている。この論文は、受容体を架橋する抗CD200受容体抗体の使用は、CIAを改善させる、この同じ活性を有し、この抗体は、明らかにアゴニスト抗体であることを教示している。IgスーパーファミリーのメンバーであるCD200は、抗体と同様に作用し、CD200受容体を架橋するように作用し、それによって受容体を活性化し、これはさらには免疫抑制をもたらす可能性がある。
【0018】
従来技術に基づくと、抗CD200抗体を用いた動物または患者の治療により、免疫応答が増強されるはずであることが予期される。その論理は、CD200に対する抗体は、CD200を結合し、それによってCD200がその受容体に結合するのを防止するということである。CD200:CD200受容体の相互作用がなければ、CD200受容体は活性化されず、免疫抑制はまったくなくなり、それによって炎症または自己免疫作用が増強される。CIAなどの疾患については、これは、抗CD200を用いた治療は、疾患を悪化させるはずであることを意味する。
【0019】
II.CD200抗体
CD200は、免疫系細胞(例えば、T細胞、B細胞および樹状細胞(Barclayら、2002 TRENDS Immunol.、23巻:285〜290頁))を含めた種々の細胞型上で発現する、高度に保存されたI型膜貫通糖タンパク質である。このタンパク質は、骨髄細胞およびT細胞の亜集団上で、その受容体であるCD200Rと相互作用する(Wrightら、J. Immunol.、2003年、171巻:3034〜3046頁およびWrightら、Immunity、2000年、13巻:233〜242頁)。CD200:CD200R相互作用は、免疫調節シグナルを細胞に送達し、アポトーシス関連免疫寛容を含めた免疫抑制を誘導すると考えられるようになった(Rosenblumら、2004年、Blood、103巻:2691〜2698頁)。したがって、CD200および/またはその受容体の機能もしくは活性を調節する薬剤は、免疫抑制効果の増強をもたらすことができると考えられている。さらに、CD200に特異的に結合する作用剤(しかし、この作用剤は、CD200:CD200R相互作用を調節してもよく、または調節しなくてもよい)も、CD200の効果を調節する下流の事象を引き起こすことができる。
【0020】
特定の態様では、本開示は、CD200の修飾物質に関する。本明細書で使用する場合、修飾物質という用語は、CD200またはその受容体の活性、機能および/または発現を調節することができる任意の作用剤を含む。例として、それだけに限らないが、ポリペプチド、抗体、小型分子、アプタマー、スピーゲルマー、ロックド核酸(LNA)阻害剤、ペプチド核酸(PNA)阻害剤、核酸コンストラクト(例えば、遺伝子標的コンストラクト、アンチセンスコンストラクト、RNA干渉(RNAi)コンストラクト等)およびペプチド模倣薬が挙げられる。特定の実施形態では、抗体は、CD200とCD200Rとの相互作用を混乱させる。その他の実施形態では、CD200抗体は、CD200の免疫抑制効果を増加させること、またはCD200発現細胞を標的にして、それを枯渇させるもしくは排除することができる。
【0021】
特定の態様では、CD200の修飾物質は、ポリペプチドである。本開示で活用するポリペプチドは、当業者に知られている種々の技法を使用して構築することができる。1つの実施形態では、ポリペプチドを、化学合成によって得る。その他の実施形態では、ポリペプチドを、1つまたは複数の断片から構築する。さらなる実施形態では、ポリペプチドは、本明細書に記載する抗CD200抗体である。
【0022】
本明細書で使用する場合、「抗体」という用語は、CD200またはCD200Rと結合することができる完全抗体または抗体断片を指す。それらには、Fab、Fv、scFv、Fab’およびF(ab’)、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、操作した抗体(キメラ抗体、単鎖抗体、CDRグラフト抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体および人工的に選択された抗体を含む)、ならびにファージディスプレイまたは代替の技法を使用して産生した合成または半合成の抗体が含まれる。また、これらには、変異または変化した定常領域またはFc領域を含有させる様式で操作または産生されて、1つまたは複数のエフェクター細胞に結合する能力の増加または減少のいずれかを示す抗体も含まれる。そのような変異させた抗体として、それだけに限らないが、定常領域またはFc領域が、グリコシル化パターンの変化を含有する抗体が挙げられる。FvおよびscFv等の小さな断片には、それらの小さなサイズおよびその結果生じる優れた組織分布により、診断および治療に適用するにあたっての好都合な特性がある。操作したまたは変異させた定常領域またはFc領域を有する抗体は、例えば、ADCCおよびCDC等のエフェクター機能の調節において有用である場合がある。操作したまたは変異させた定常領域またはFc領域を有するそのような抗体は、例えば、CD200が正常組織内で発現している場合に有用である場合があり、これらの場合には、エフェクター機能をもたない変異させた抗CD200抗体が、正常組織を損傷することなく、所望の治療応答を惹起することができる。さらに、抗体、変異させた抗体およびそれらの断片は、遮断性(すなわち、抗体または断片が、CD200とCD200Rとの相互作用を阻害する)であっても、またはアゴニスト性(すなわち、抗体または断片が、CD200とCD200Rとの相互作用を増強する)であってもよい。
【0023】
また、本開示は、本明細書に提供する重鎖および軽鎖を含む抗CD200抗体にも関し、これらの重鎖および軽鎖は、本明細書に提供する重鎖および/または軽鎖に対して相同性または類似性を示す重鎖および軽鎖を含む。「相同性」または「同一性」または「類似性」は、2つのペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性を指す。相同性および同一性はそれぞれ、比較の目的で整列させることができる各配列中の位置を比較することによって決定することができる。比較配列中の同等な位置が、同一の塩基またはアミノ酸によって占められている場合には、これらの分子は、その位置においては同一であり、同等な部位が、同一または類似の(例えば、立体的性質および/または電子的性質が類似する)アミノ酸残基によって占められている場合には、これらの分子は、その位置においては相同(類似)であると呼ぶことができる。相同性/類似性または同一性のパーセントとしての表現は、比較配列と共有する位置における同一または類似のアミノ酸の数の関数を指す。「相同性」という用語によって、類似する機能またはモチーフを有する遺伝子またはタンパク質を同定するために使用する、配列類似性の数学的に基づいた比較を表す。本明細書で使用する場合、「同一性」は、2つ以上の配列を整列させて、配列の一致を最大化した、すなわち、ギャップおよび挿入を考慮した場合の、それらの配列中の対応する位置における同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセントを意味する。したがって、同一性を決定するための方法は、試験する配列間で最大の一致を得るように設計される(Computational Molecular Biology、Lesk, A. M., ed.、Oxford University Press、New York、1988年;Biocomputing: Informatics and Genome Projects、Smith, D. W., 編、Academic Press、New York、1993年;Computer Analysis of Sequence Data, Part I、Griffin, A. M., and Griffin, H. G.編、Humana Press、New Jersey、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje, G.、Academic Press、1987年;ならびにSequence Analysis Primer、Gribskov, M. and Devereux, J.編、Stockton Press、New York、1991年;ならびにCarillo, H., and Lipman, D.、SIAM J. Applied Math.、48巻:1073頁(1988年)、Devereux, J.ら、Nucleic Acids Research、12巻(1号):387頁(1984年)、BLASTP、BLASTN、FASTA(Altschul, S. F. ら、J. Mol. Biol.、215巻:403〜410頁(1990年)およびAltschulら、Nucleic Acids Res.、25巻:3389〜3402頁(1997年))、ならびにBLAST X(BLAST Manual、Altschul, S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda, MD 20894;Altschul, S.ら、J. Mol. Biol.、215巻:403〜410頁(1990年)を参照されたい)。「無関係」または「相同性を示さない」配列は、本開示の配列に対して、40%未満の同一性を共有するが、好ましくは25%未満の同一性を共有する。また、2つの配列を比較する場合、残基(アミノ酸もしくは核酸)の不在または余分な残基の存在によっても、同一性および相同性/類似性が減少する。
【0024】
したがって、本開示は、リーダー配列を有さない、本明細書に記載する抗体に関する。したがって、本開示の抗体は、リーダー配列が存在しないかまたは異なるリーダー配列によって置換されているかのいずれかである(本明細書に記載する)重鎖および軽鎖を含むことができる。宿主細胞を使用して、本開示の抗体を産生させる場合には、したがって、適切なリーダー配列を、使用する特定の宿主細胞に従って選択することができる。
【0025】
抗体は、当技術分野で周知の方法によって産生することができる。例えば、免疫原としてCD200陽性細胞、CD200ポリペプチドまたはCD200ポリペプチドの断片を使用し、したがって、抗体産生細胞および同様にモノクローナル抗体を単離することができる動物内で免疫応答を起こして、モノクローナル抗CD200抗体を生成することができる。そのような抗体の配列を決定することができ、当該抗体またはそれらの変異体を、組換え技法によって産生することができる。組換え技法を使用して、モノクローナル抗体の配列に基づいて、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、ヒト化抗体および完全ヒト抗体、ならびにCD200に結合することができるポリペプチドを産生することができる。
【0026】
さらに、標的の特異性に基づいて抗体またはポリペプチドを単離するためのおとりとして、CD200陽性細胞またはそれに由来するポリペプチドを使用して、組換えライブラリーに由来する抗体(「ファージ抗体」)を選択することもできる。非ヒト抗CD200抗体およびキメラ抗CD200抗体の産生および単離は、十分、当業者の技術範囲内である。
【0027】
組換えDNA技術を使用して、非ヒト細胞内で産生させる抗体を改良する。したがって、診断または治療において適用するにあたっての抗体の免疫原性を減少させるために、キメラ抗体を構築することができる。さらに、CDRをグラフトし、かつ場合によりフレームワークを改変することにより、抗体をヒト化することによって、免疫原性を最小化することもできる。内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,225,539号を参照されたい。
【0028】
抗体は、動物血清から得ることができるか、またはモノクローナル抗体もしくはそれらの断片の場合には、細胞培養において産生することができる。組換えDNA技術を使用して、細菌または好ましくは哺乳動物細胞の培養における手順を含めた確立された手順に従って、抗体を産生することができる。好ましくは、選択された細胞培養の系が、抗体産物を分泌する。
【0029】
別の実施形態では、本明細書に開示する抗体を産生するためのプロセスは、宿主、例えば、E.coliまたは哺乳動物細胞を培養するステップを含み、この宿主は、ハイブリッドベクターを用いて形質転換されている。ベクターは、1つまたは複数の発現カセットを含み、この発現カセットは、抗体タンパク質をコードする第2のDNA配列に適切な読み枠中で連結している、シグナルペプチドをコードする第1のDNA配列に動作可能に連結しているプロモーターを含有する。次いで、抗体タンパク質を収集し単離する。場合により、発現カセットは、ポリシストロニックな、例えば、バイシストロニックな、抗体タンパク質(複数)をコードするDNA配列(複数)であって、それぞれが個別に適切な読み枠中でシグナルペプチドに動作可能に連結しているDNA配列に動作可能に連結しているプロモーターを含んでよい。
【0030】
in vitroにおいて、ハイブリドーマ細胞または哺乳動物宿主細胞の増殖を、適切な培地中で実施する。これらの培地は、通例の標準的な培地(例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)またはRPMI1640培地等)を含み、これらは場合により、哺乳動物血清(例えば、ウシ胎仔血清)または微量元素および増殖維持補充物質(例えば、正常マウス腹腔浸出細胞等のフィーダー細胞、脾臓細胞、骨髄マクロファージ、2−アミノエタノール、インスリン、トランスフェリン、低密度リポタンパク質、オレイン酸等)によって補充されている。細菌細胞または酵母細胞である宿主細胞の増殖も同様に、当技術分野で既知の適切な培地中で実施する。例えば、細菌の場合、適切な培地には、LE培地、NZCYM培地、NZYM培地、NZM培地、Terrific Broth培地、SOB培地、SOC培地、2×YT培地またはM9最少培地が含まれる。酵母の場合、適切な培地には、YPD培地、YEPD培地、最少培地または完全最少ドロップアウト培地が含まれる。
【0031】
in vitroにおける産生によって、比較的純粋な抗体の調製物が得られ、産生をスケールアップして、所望の抗体を大量にもたらすことができる。細菌細胞、酵母細胞、植物細胞または哺乳動物細胞の培養のための技法が当技術分野では知られており、これらには、(例えば、エアリフトリアクターまたは連続撹拌リアクター中での)均一懸濁培養、および(例えば、フォローファイバー中、マイクロカプセル中、アガロースマイクロビーズ上またはセラミックカートリッジ上に)固定化または捕捉されている細胞培養が含まれる。
【0032】
また、in vivoにおいて、多くの分量の所望の抗体を、哺乳動物細胞を増殖することによって得ることもできる。この目的では、所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を、組織適合性の哺乳動物に注射して、抗体産生腫瘍の増殖を引き起こす。場合により、注射前に、炭化水素、特にプリスタン(テトラメチルペンタデカン)等の鉱油を用いて動物を予備刺激する。1〜3週間後に、抗体を、それらの哺乳動物の体液から単離する。例えば、適切な骨髄腫細胞とBalb/cマウスからの抗体産生脾臓細胞との融合によって得られたハイブリドーマ細胞、または所望の抗体を産生する、ハイブリドーマ細胞系Sp2/0に由来するトランスフェクトした細胞を、場合によりプリスタンを用いて前処置したBalb/cマウスに腹腔内注射する。1〜2週間後に、動物から腹水を採取する。
【0033】
前記およびその他の技法は、例えば、Kohler and Milstein(1975年)Nature、256巻:495〜497頁;米国特許第4,376,110号;Harlow and Lane、Antibodies: a Laboratory Manual(1988年)Cold Spring Harborに論じられており、それらの開示はすべてが参照により本明細書に組み込まれている。組換え抗体分子を調製するための技法は、上記の参照文献、およびまた、例えば、WO97/08320;米国特許第5,427,908号;米国特許第5,508,717号;Smith、1985年、Science、225巻、1315〜1317頁;Parmley and Smith、1988年、Gene、73巻、305〜318頁;De La Cruzら、1988年、Journal of Biological Chemistry、263巻、4318〜4322頁;米国特許第5,403,484号;米国特許第5,223,409号;WO88/06630;WO92/15679;米国特許第5,780,279号;米国特許第5,571,698号;米国特許第6,040,136号;Davisら、1999年、Cancer Metastasis Rev.、18巻(4号):421〜5頁;Taylorら、Nucleic Acids Research、20巻(1992年):6287〜6295頁;Tomizuka ら、Proc. Natl. Academy of Sciences USA、97巻(2号)(2000年):722〜727頁に記載されている。これらの参照文献のすべての内容が参照により本明細書に組み込まれている。
【0034】
細胞培養上清を、所望の抗体について、CD200陽性細胞の免疫蛍光染色によって、免疫ブロットによって、酵素免疫アッセイ、例えば、サンドイッチアッセイもしくはドットアッセイによって、またはラジオイムノアッセイによって、選択的にスクリーニングする。
【0035】
抗体を単離するために、培養上清中または腹水中の免疫グロブリンを、例えば、硫酸アンモニウムを用いて沈殿させること、ポリエチレングリコール等の吸湿性材料に対して透析すること、選択膜を通してろ過すること等によって濃縮することができる。必要および/または所望により、通例のクロマトグラフィーの方法、例えば、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、DEAE−セルロース上でのクロマトグラフィー、および/あるいは(免疫)親和性クロマトグラフィー、例えば、CD200陽性細胞系に由来する1つもしくは複数の表面ポリペプチドを用いるまたはプロテインAもしくはプロテインGを用いる親和性クロマトグラフィーによって、抗体を精製する。
【0036】
別の実施形態は、適切な哺乳動物内において、CD200に対して作られた抗体を分泌する細菌の細胞系を調製するためのプロセスを提供する。例えば、ウサギを、CD200陽性の組織もしくは細胞からプールした試料、またはCD200ポリペプチドもしくはその断片を用いて免疫化する。この免疫化したウサギから産生したファージディスプレイライブラリーを構築し、所望の抗体を当技術分野で周知の方法(例えば、参照により本明細書に組み込まれている種々の参照文献に開示されている方法等)に従って得る。
【0037】
また、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞も開示する。好ましいハイブリドーマ細胞は、遺伝子的に安定しており、所望の特異性を示す本明細書に記載するモノクローナル抗体を分泌し、in vitroにおいては急速冷凍した培養物から解凍し、増殖することによって、またはin vivoにおいては腹水として、拡大することができる。
【0038】
別の実施形態では、CD200に対するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞系を調製するためのプロセスを提供する。そのプロセスにおいては、適切な哺乳動物、例えば、Balb/cマウスを、CD200の1つまたは複数のポリペプチドまたは抗原性の断片を用いて、あるいはCD200陽性細胞に由来する1つもしくは複数のポリペプチドもしくは抗原性の断片、CD200陽性細胞自体、または記載の精製ポリペプチドを含有する抗原性の担体を用いて免疫化する。免疫化した哺乳動物の抗体産生細胞を、培地中で短期間増殖させるか、または適切な骨髄腫細胞系の細胞と融合させる。融合体内に得られたハイブリッド細胞をクローニングし、所望の抗体を分泌する細胞のクローンを選択する。例えば、CD200陽性の慢性リンパ性白血病(CLL)細胞系を用いて免疫化したBalb/cマウスの脾臓細胞を、骨髄腫細胞系PAIまたは骨髄腫細胞系Sp2/0−Ag14の細胞と融合させる。次いで、得られたハイブリッド細胞を、所望の抗体の分泌についてスクリーニングし、陽性ハイブリドーマ細胞をクローニングする。
【0039】
好ましいのは、CD200陽性細胞系の10〜10個の細胞を皮下および/または腹腔内に数回、例えば4〜6回、数カ月、例えば2〜4カ月にわたり注射することによって、Balb/cマウスを免疫化することを特徴とするハイブリドーマ細胞系を調製するためのプロセスである。免疫化したマウスから、脾臓細胞を、最後の注射から2〜4日後に採取し、骨髄腫細胞系PAIの細胞と、融合促進剤、好ましくはポリエチレングリコールの存在下で融合させる。好ましくは、骨髄腫細胞を、約30%〜約50%の分子量約4000のポリエチレングリコールを含有する溶液中で、3〜20倍過剰の免疫化したマウスからの脾臓細胞と融合させる。融合後、以下に記載する適切な培地中で、正常な骨髄腫細胞が所望のハイブリドーマ細胞を上回って過成長するのを防止するために選択培地、例えば、HAT培地を一定の時間をおいて補って、細胞を拡大する。
【0040】
抗体およびそれらの断片は、「キメラ」であってよい。キメラ抗体およびそれらの抗原結合断片は、2つ以上の異なる種(例えば、マウスとヒト)からの部分を含む。キメラ抗体は、ヒトの定常ドメイン遺伝子セグメント中に、所望の特異性を示すマウスの可変領域をスプライスして産生することができる(例えば、米国特許第4,816,567号)。このようにして、非ヒト抗体を改変して、それらを、ヒトへの臨床適用のためにより適したものとなすことができる。
【0041】
本開示のモノクローナル抗体は、非ヒト(例えば、マウス)抗体を「ヒト化した」形態を含む。ヒト化mAbまたはCDRグラフトmAbは、循環からマウス抗体ほどには迅速に一掃されず、典型的には有害な免疫反応を誘発しないことから、ヒトのための治療剤として特に有用である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトの供給源からその中に導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトのアミノ酸残基はしばしば、「移入」残基と呼ばれ、これらは典型的には、「移入」可変ドメインから採られたものである。ヒト化抗体を調製するための方法は一般に、当技術分野ではよく知られている。例えば、ヒト化を基本的には、Winterらの方法(Jonesら、Nature、321巻:522〜525頁(1986年);Riechmannら、Nature、332巻:323〜327頁(1988年);Verhoeyenら、Science、239巻:1534〜1536頁(1988年))に従って、げっ歯類のCDRまたはCDR配列で、ヒト抗体の対応する配列を置き換えることによって実施することができる。また、Staelensら、2006年、Mol Immunol、43巻:1243〜1257頁も参照されたい。特定の実施形態では、非ヒト(例えば、マウス)抗体をヒト化した形態は、レシピエント抗体の超可変(CDR)領域の残基が、所望の特異性、親和性および結合能を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)からの超可変領域の残基によって置換されているヒト抗体(レシピエント抗体)である。また、場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域の残基も、対応する非ヒト残基によって置換する(いわゆる「逆突然変異」)。さらに、ファージディスプレイライブラリーを使用して、抗体配列内部の選ばれた位置においてアミノ酸を変化させることもできる。また、ヒト化抗体の特性は、ヒトのフレームワークの選び方によっても影響を受ける。さらに、例えば、親和性またはエフェクター機能等の抗体特性をさらに改善するために、ヒト化抗体およびキメラ化抗体を改変して、レシピエント抗体中にもドナー抗体中にも見い出されない残基を含ませることもできる。
【0042】
また、完全ヒト抗体も、本開示において提供する。「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する(存在する場合には)可変領域と定常領域とを有する抗体を含む。ヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroにおけるランダム変異誘発もしくは部位特異的変異誘発により、またはin vivoにおける体細胞の突然変異により導入された突然変異)を含むことができる。しかし、「ヒト抗体」という用語は、マウス等の別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列が、ヒトのフレームワーク配列上にグラフトされている抗体(すなわち、ヒト化抗体)は含まない。完全ヒト抗体またはヒト抗体は、ヒト抗体遺伝子を有する(可変(variable)(V)エクソン、多様性(diversity)(D)エクソン、連結(joining)(J)エクソンおよび定常(constant)(C)エクソンを有する)トランスジェニックマウスから、またはヒト細胞から得ることができる。例えば、現在、免疫化して、内因性免疫グロブリンが産生されない状態で、ヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を生産することが可能である(例えば、Jakobovitsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:2551頁(1993年);Jakobovitsら、Nature、362巻:255〜258頁(1993年);Bruggemannら、Year in Immunol.、7巻:33頁(1993年);およびDuchosalら、Nature、355巻:258頁(1992年)を参照されたい。トランスジェニックマウス系統を操作して、再配列されていないヒト免疫グロブリン遺伝子からの遺伝子配列を含有させることができる。ヒト配列は、ヒト抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードすることができ、マウス内で、正確に機能して、再配列されてヒトにおける抗体レパートリーに類似する広い抗体レパートリーをもたらすであろう。トランスジェニックマウスを、標的タンパク質(例えば、CD200、その断片またはCD200を発現する細胞)を用いて免疫化して、多種多様な一連の特異的な抗体、およびそれらをコードするRNAを生み出すことができる。次いで、そのような抗体の抗体鎖の構成成分をコードする核酸を、動物からディスプレイベクター内にクローニングすることができる。典型的には、重鎖配列および軽鎖配列をコードする核酸の別々の集団をクローニングし、次いで、それらの別々の集団を、ベクター内に挿入によって組み換え、したがって、ベクターの所与のコピーのいずれもが、重鎖と軽鎖とのランダムな組合せを受け取る。ベクターを含有するディスプレイパッケージの外側表面上に抗体鎖が集合し、提示され得るようにベクターを設計して、抗体鎖を発現させる。例えば、抗体鎖を、ファージの外側表面由来のファージのコートタンパク質との融合タンパク質として発現させることができる。その後、ディスプレイパッケージを、標的に結合する抗体のディスプレイについてスクリーニングすることができる。
【0043】
さらに、ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーから得てもよい(Hoogenboomら、J. Mol. Biol.、227巻:381頁(1991年);Marksら、J. Mol. Biol.、222巻:581〜597頁(1991年);Vaughanら、Nature Biotech、14巻:309頁(1996年))。合成ヒト抗体のV領域のランダム化された組合せを使用する合成ファージライブラリーを生み出すことができる。抗原上で選択することによって、V領域がヒトに非常に似た性質を示す完全ヒト抗体を作製することができる。米国特許第6,794,132号、第6,680,209号、第4,634,666号、およびOstbergら(1983年)、Hybridoma、2巻:361〜367頁を参照されたい。これらの内容が参照により組み込まれている。
【0044】
また、ヒト抗体の生成については、Mendezら、Nature Genetics、15巻:146〜156頁(1997年)、Green and Jakobovits、J. Exp. Med.、188巻:483〜495頁(1998年)も参照されたい。これらの開示が参照により本明細書に組み込まれている。ヒト抗体は、米国特許第5,939,598号および第6,673,986号でもさらに論述および詳述されている。また、すべて1995年6月5日に出願の米国特許第6,114,598号、第6,075,181号および第6,162,963号も参照されたい。また、1996年10月2日出願の米国特許第6,150,584号、ならびに米国特許第6,713,610号および第6,657,103号、さらに、米国特許出願第10/421,011号(US2003−0229905A1)、第10/455,013号(US2004−0010810A1)、第10/627,250号(US2004−0093622A1)、第10/656,623号(US2006−0040363A1)、第10/658,521号(US2005−0054055A1)、第10/917,703号(US2005−0076395A1)および第10/978,297号(US2005−0287630A1)も参照されたい。1993年7月23日出願のPCT/US93/06926、1996年6月12日授与の欧州特許第EP0463151B1号、1994年2月3日公開の国際特許出願第WO94/02602号、1996年10月31日公開の国際特許出願第WO96/34096号、および1998年6月11日公開のWO98/24893も参照されたい。上記に引用した特許、出願および参照文献のそれぞれの開示の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0045】
代替のアプローチでは、GenPharm International,Inc.を含めたその他が、「ミニ遺伝子座」のアプローチを活用している。ミニ遺伝子座のアプローチでは、外来性のIg遺伝子座を、当該Ig遺伝子座からの小片(個別の遺伝子)を含めることによって模倣する。したがって、1つまたは複数のV遺伝子、1つまたは複数のD遺伝子、1つまたは複数のJ遺伝子、ミュー定常領域および第2の定常領域(好ましくは、ガンマ定常領域)を、コンストラクト内に形成して、動物内に挿入する。このアプローチは、Suraniらに対する米国特許第5,545,807号、ならびにいずれもLonbergおよびKayに対する米国特許第5,545,806号、第5,625,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,661,016号、第5,770,429号、第5,789,650号および第5,814,318号、KrimpenfortおよびBernsに対する米国特許第5,591,669号、Bernsらに対する米国特許第5,612,205号、第5,721,367号、第5,789,215号、ならびにChoiおよびDunnかつGenPharm Internationalに対する米国特許第5,643,763号に記載されている。また、米国特許第5,569,825号、第5,877,397号、第6,300,129号、第5,874,299号、第6,255,458号および第7,041,871号も参照されたい。それらの開示が参照により本明細書に組み込まれている。また、欧州特許第0546073B1号、国際特許出願第WO92/03918号、第WO92/22645号、第WO92/22647号、第WO92/22670号、第WO93/12227号、第WO94/00569号、第WO94/25585号、第WO96/14436号、第WO97/13852号および第WO98/24884号も参照されたい。それらの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている。さらに、Taylorら(1992年、Nucleic Acids Res.、20巻:6287頁)、Chenら(1993年、Int. Immunol.、5巻:647頁)、Tuaillonら(1993年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.、90巻:3720〜4頁)、Choiら(1993年、Nature Genetics、4巻:117頁)、Lonbergら(1994年、Nature、368巻:856〜859頁)、Taylorら(1994年、International Immunology、6巻:579〜591頁)、およびTuaillonら(1995年、J. Immunol.、154巻:6453〜65頁)、Fishwildら(1996年、Nature Biotechnology、14巻:845頁)、およびTuaillonら(2000年、Eur. J. Immunol.、10巻:2998〜3005頁)も参照されたい。それらの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0046】
特定の実施形態では、脱免疫化抗CD200抗体またはそれらの抗原結合断片を提供する。脱免疫化抗体またはそれらの抗原結合断片を改変して、そうした抗体またはその抗原結合断片が所与の種に対して非免疫原性またはより低い免疫原性を示すようになすことができる。脱免疫化は、当業者に既知の多様な技法のいずれかを活用することにより抗体またはその抗原結合断片を改変することによって達成することができる(例えば、PCT公開第WO04/108158号および第WO00/34317号を参照されたい)。例えば、抗体またはその抗原結合断片のアミノ酸配列内部の潜在的なT細胞エピトープおよび/またはB細胞エピトープを同定し、抗体またはその抗原結合断片から、その潜在的なT細胞エピトープおよび/またはB細胞エピトープのうちの1つまたは複数を、例えば、組換え技法を使用して除去することによって、抗体またはその抗原結合断片を脱免疫化することができる。次いで、場合により、改変した抗体またはその抗原結合断片を、産生させ、試験して、1つまたは複数の所望の生物学的活性、例えば、結合親和性等は保持しているが、免疫原性は低下している抗体またはその抗原結合断片を同定することができる。潜在的なT細胞エピトープおよび/またはB細胞エピトープを同定するための方法は、当技術分野で既知の技法、例えば、計算的方法(例えば、PCT公開第WO02/069232号を参照されたい)、in vitroもしくはin silicoにおける技法、および生物学的アッセイまたは物理学的方法(例えば、ペプチドの、MHC分子に対する結合を決定すること、ペプチド:MHC複合体の、抗体もしくはその抗原結合断片を受け取る種由来のT細胞受容体に対する結合を決定すること、抗体もしくはその抗原結合断片を受け取る種のMHC分子を有するトランスジェニック動物を使用して、タンパク質もしくはそのペプチド部分を試験すること、または抗体もしくはその抗原結合断片を受け取る種由来の免疫系細胞を用いて再構成したトランスジェニック動物を用いて試験すること等)等を使用して実施することができる。種々の実施形態では、本明細書に記載する脱免疫化抗CD200抗体は、脱免疫化した抗原結合断片、Fab、Fv、scFv、Fab’およびF(ab’)、モノクローナル抗体、マウス抗体、操作した抗体(例えば、キメラ抗体、単鎖抗体、CDRグラフト抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体および人工的に選択された抗体等)、合成抗体、ならびに半合成抗体を含む。
【0047】
さらなる実施形態では、CD200またはCD200陽性細胞系に対して作られた抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードする挿入部を含む組換えDNAを産生する。DNAという用語は、コード一本鎖DNA、前記コードDNAとそれに対して相補的なDNAとからなる二本鎖DNA、またはこれら相補的(一本鎖)DNA自体を含む。
【0048】
さらに、CD200またはCD200陽性細胞系に対して作られた抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードするDNAは、酵素的もしくは化学的に合成されたDNAであって、重鎖可変ドメインおよび/もしくは軽鎖可変ドメインをコードする真正のDNA配列を有するDNAであっても、またはその突然変異体であってもよい。真正のDNAの突然変異体は、上記の抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインであって、1つもしくは複数のアミノ酸が、欠失している、挿入されている、または1つもしくは複数のその他のアミノ酸によって交換されているドメインをコードするDNAである。好ましくは、ヒト化および発現の最適化の適用例においては、前記(1つまたは複数の)改変は、抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインのCDRの外側にある。また、突然変異したDNAという用語は、1つまたは複数のヌクレオチドがその他のヌクレオチドによって置換され、そうした新しいコドンが同一の(1つまたは複数の)アミノ酸をコードしているサイレント突然変異体も包含する。また、突然変異した配列という用語は、縮重配列も含む。縮重配列は、無制限の数のヌクレオチドが、その他のヌクレオチドによって置換されるが、最初にコードされたアミノ酸配列の変化には至らないという点における、遺伝暗号の意味の範囲内での縮重である。そのような縮重配列が、重鎖マウス可変ドメインおよび/または軽鎖マウス可変ドメインの最適な発現を得るために有用である場合がある。これは、縮重配列の異なる制限部位および/または特定のコドンの頻度が、特定の宿主、具体的には、E.coliによって好まれるからである。
【0049】
突然変異体という用語は、真正のDNAを当技術分野で既知の方法に従ってin vitroにおいて変異誘発させることによって得られたDNAの突然変異体を含むことを意図している。
【0050】
完全な四量体の免疫グロブリン分子の集合、およびキメラ抗体の発現のために、重鎖および軽鎖の可変ドメインをコードする組換えDNA挿入部を、重鎖および軽鎖の定常ドメインをコードする対応するDNAと融合させ、次いで、例えば、ハイブリッドベクター内への組込みの後に、適切な宿主細胞内に移入する。
【0051】
ヒト定常ドメインIgG、例えば、γ1、γ2、γ3またはγ4、特定の実施形態ではγ1またはγ4に融合させた、CD200またはCD200陽性細胞系に対して作られた抗体の重鎖マウス可変ドメインをコードする挿入部を含む組換えDNAを使用することができる。また、ヒト定常ドメインκまたはλ、好ましくはκに融合させた抗体の軽鎖マウス可変ドメインをコードする挿入部を含む組換えDNAも提供する。
【0052】
別の実施形態は、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインが、スペーサー基によって連結している組換えポリペプチドをコードし、場合により、宿主細胞内における抗体のプロセシングを促進するシグナル配列、ならびに/または抗体の精製を容易にするペプチドおよび/もしくは切断部位および/もしくはペプチドスペーサーおよび/もしくは作用剤をコードするDNA配列を含む組換えDNAに関係する。作用剤をコードするDNAは、診断または治療に適用するにあたって有用な作用剤をコードするDNAであることを意図している。したがって、毒物、または酵素、特にプロドラッグの活性化を触媒することができる酵素である作用剤分子が特に示される。そのような作用剤をコードするDNAは、天然に存在する酵素もしくは毒物をコードするDNAまたはその突然変異体の配列を有し、当技術分野でよく知られている方法によって調製することができる。
【0053】
したがって、本開示のモノクローナル抗体または抗原結合断片は、その他の作用剤、例えば、治療剤または検出可能な標識にコンジュゲートしていない裸の抗体または抗原結合断片であってよい。あるいは、モノクローナル抗体または抗原結合断片は、例えば、細胞傷害性作用剤、小型分子、ホルモン、酵素、増殖因子、サイトカイン、リボザイム、ペプチド模倣物、化学物質、プロドラッグ、コード配列を含めた核酸分子(例えば、アンチセンス、RNAi、遺伝子標的コンストラクト等)、または検出可能な標識(例えば、NMRもしくはX線の造影剤、蛍光分子等)等の作用剤にコンジュゲートすることができる。ある特定の実施形態では、抗CD200ポリペプチドまたは抗原結合断片(例えば、Fab、Fv、単鎖scFv、Fab’およびF(ab’))が、当該ポリペプチドまたは抗原結合断片の半減期を増加させる分子に連結している。前記抗CD200のポリペプチドまたは抗原結合断片に連結することができる分子として、それだけに限らないが、アルブミンを含めた血清タンパク質、ポリペプチド、その他のタンパク質またはタンパク質のドメイン、およびPEGが挙げられる。
【0054】
いくつかの可能なベクター系が、クローニングした重鎖および軽鎖の遺伝子を哺乳動物細胞内で発現させるために利用可能である。1つのクラスのベクターは、所望の遺伝子配列の宿主細胞ゲノム中への組込みを利用する。安定に組み込まれたDNAを有する細胞を、E.coliのgpt(Mulligan, R. C. and Berg, P.、Proc. Natl. Acad. Sci., USA、78巻:2072頁(1981年))またはTn5neo(Southern, P. J. and Berg, P.、J. Mol. Appl. Genet.、1巻:327頁(1982年))等の薬物耐性遺伝子を同時に導入することによって選択することができる。選択マーカー遺伝子は、発現させようとするDNA遺伝子配列に連結させるか、または同一細胞内に共形質移入によって導入するかのいずれかであってよい(Wigler, M.ら、Cell、16巻:77頁(1979年))。第2のクラスのベクターは、染色体外プラスミドに、自律的に複製する能力を付与するDNAエレメントを活用する。これらのベクターは、ウシパピローマウイルス(Sarver, N.ら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA、79巻:7147頁(1982年))、ポリオーマウイルス(Deans, R. J. ら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA、81巻:1292頁(1984年))またはSV40ウイルス(Lusky, M. and Botchan, M.、Nature、293巻:79頁(1981年))等の動物ウイルスから得ることができる。
【0055】
免疫グロブリンcDNAは、抗体タンパク質をコードする成熟mRNAをあらわす配列のみで構成されていることから、遺伝子の転写およびRNAのプロセシングを調節する追加の遺伝子発現エレメントが、免疫グロブリンmRNAの合成のためには必要である。これらのエレメントは、スプライスシグナル、誘導性プロモーターを含めた転写プロモーター、エンハンサーおよび終結シグナルを含むことができる。そのようなエレメントを組み込んでいるcDNA発現ベクターには、Okayama, H. and Berg, P.、Mol. Cell Biol.、3巻:280頁(1983年);Cepko, C. L.ら、Cell、37巻:1053頁(1984年);およびKaufman, R. J.、Proc. Natl. Acad. Sci., USA、82巻:689頁(1985年)によって記載されているものが含まれる。
【0056】
ある特定の実施形態では、抗CD200抗体は、遮断性であっても、またはアゴニスト性であってもよい。本明細書で使用する場合、遮断性の抗体は、CD200とCD200Rとの間の相互作用を遮断する抗体である。アゴニスト性の抗体は、CD200とCD200Rとの間の相互作用を増強する抗体である。したがって、ある特定の実施形態では、抗CD200抗体は、遮断性またはアゴニスト性のいずれかのマウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または脱免疫化抗体である。
【0057】
本明細書に記載するように、CD200抗体およびポリペプチド、ならびに/または本開示において活用する抗体は、特に診断および治療への適用が示されている。したがって、CD200抗体および抗CD200抗体、ならびにそれらの変異体を、併用療法を含めた療法において、疾患の診断および予後診断において、ならびに疾患の進行をモニターする場合に使用することができる。
【0058】
本開示の療法の実施形態では、二重特異性抗体を企図する。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を示すモノクローナル抗体、好ましくは、ヒト抗体またはヒト化抗体である。この場合、結合特異性のうちの一方は、細胞(例えば、免疫細胞等)上のCD200抗原に対するものであり、他方は、任意のその他の抗原、好ましくは、細胞表面のタンパク質または受容体もしくは受容体サブユニットに対するものである。
【0059】
二重特異性抗体を作製するための方法は、当業者の技術範囲内である。従来、二重特異性抗体の組換えによる産生は、免疫グロブリンの重鎖/軽鎖の2つの対の同時発現に基づいており、2つの重鎖が異なる特異性を示す(Milstein and Cuello、Nature、305巻:537〜539頁(1983年))。所望の結合特異性を示す抗体の可変ドメイン(抗体と抗原とを組み合わせる部位)を、免疫グロブリンの定常ドメインの配列と融合させることができる。好ましくは、少なくともヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域の部分を含む免疫グロブリンの重鎖定常ドメインと融合させる。免疫グロブリンの重鎖の融合体、および所望により免疫グロブリンの軽鎖をコードするDNAを、別々の発現ベクター内に挿入し、適切な宿主生物体内に共形質移入する。二重特異性抗体を生成するための現在知られている例示的な方法のさらなる詳細については、例えば、Sureshら、Methods in Enzymology、121巻:210頁(1986年);WO96/27011;Brennanら、Science、229巻:81頁(1985年);Shalabyら、J. Exp. Med.、175巻:217〜225頁(1992年);Kostelnyら、J. Immunol.、148巻(5号):1547〜1553頁(1992年);Hollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444〜6448頁(1993年);Gruberら、J. Immunol.、152巻:5368頁(1994年);およびTuttら、J. Immunol.、147巻:60頁(1991年)を参照されたい。また、二重特異性抗体は、架橋結合した抗体またはヘテロコンジュゲートした抗体も含む。ヘテロコンジュゲートした抗体は、任意の好都合な架橋結合の方法を使用して作製することができる。適切な架橋結合剤が、当技術分野ではよく知られており、いくつかの架橋結合の技法とともに、米国特許第4,676,980号に開示されている。
【0060】
また、二重特異性抗体の断片を、組換え細胞培養物から作製し、そこから直接単離する種々の技法が記載されている。例えば、二重特異性抗体が、ロイシンジッパーを使用して産生されている。Kostelnyら、J. Immunol.、148巻(5号):1547〜1553頁(1992年)。Fosタンパク質およびJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを、2つの異なる抗体のFab’部分に、遺伝子融合によって連結することができる。抗体のホモ二量体をヒンジ領域において還元して、モノマーを形成し、次いで、再度酸化して、抗体のヘテロ二量体を形成することができる。また、この方法を活用して、抗体のホモ二量体を産生することもできる。Hollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444〜6448頁(1993年)によって記載されている「ダイアボディ」の技術によって、二重特異性抗体の断片を作製するための代替機構が提供されている。この断片は、軽鎖可変ドメイン(V)に、同一の鎖上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短過ぎるリンカーによって接続している重鎖可変ドメイン(V)を含む。したがって、一方の断片のVドメインおよびVドメインが、もう一方の断片の相補的なVドメインおよびVドメインとの対形成を強いられ、それによって、2つの抗原結合部位が形成される。また、単鎖Fv(scFv)の二量体の使用による、二重特異性抗体の断片を作製するための別の戦略も報告されている。Gruberら、J. Immunol.、152巻:5368頁(1994年)を参照されたい。あるいは、Zapataら、Protein Eng.、8巻(10号):1057〜1062頁(1995年)の記載のように、抗体を「直鎖抗体」としてもよい。手短にいうと、これらの抗体は、一対の抗原結合領域を形成する、一対のタンデムFdセグメント(V−C1−V−C1)を含む。直鎖抗体は、二重特異性であっても、または単一特異性であってもよい。
【0061】
III.自己免疫障害を有する患者を治療する方法
ある特定の態様では、本開示は、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片を含む治療薬で、自己免疫障害を有する患者を治療することに関する。ある特定の態様では、本開示は、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片を含む治療薬で、望ましくない免疫応答を有する患者を治療することに関する。上記抗体は、アンタゴニスト抗体でも、アゴニスト抗体でも、ノンブロッキング抗体でもよく、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または脱免疫化抗CD200抗体であってよい。したがって、自己免疫障害を有する患者を治療する方法も、望ましくない免疫応答を有する患者を治療する方法も、本開示に記載のCD200抗体のうちのいずれを含んでもよい。
【0062】
ある特定の実施形態では、抗CD200抗体は、例えば、T細胞、B細胞および樹状細胞などの免疫細胞を含めた、その表面にCD200を発現するいかなる型の細胞を枯渇させるのにも使用できる。一実施形態では、抗CD200抗体は、望ましくない免疫応答に関与する免疫細胞を標的とした破壊に有用であり得る。
【0063】
ある特定の態様では、本開示は、自己抗体の産生を遮断する、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片を含む治療薬で、自己免疫障害または望ましくない免疫応答を有する患者を治療することに関する。ある特定の実施形態では、前記自己抗体がIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgA、IgDおよび/またはIgE免疫グロブリンから選択される。ある特定の実施形態では、前記抗体は、本出願に記載のいずれの抗体でも、またはその抗原結合性断片でもよい。ある特定の実施形態では、本出願に記載の抗体またはその抗原結合性断片が自己抗体の産生を遮断しない。
【0064】
ある特定の態様では、本開示は、前記患者におけるサイトカインの発現を調節する、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片を含む治療薬で、自己免疫障害または望ましくない免疫応答を有する前記患者を治療することに関する。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、IL−12、IL−10およびIL−4からなる群から選択されるサイトカインの、前記患者における産生を増強する。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片は、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、1L−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、1L−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32およびIL−33からなる群から選択されるサイトカインの、前記患者における産生を調節する。ある特定の実施形態では、前記抗体は、本出願に記載のいずれの抗体でも、またはその抗原結合性断片でもよい。
【0065】
望ましくない免疫応答は、例えば、自己免疫障害、移植、アレルギーまたは炎症性障害に関連する免疫応答であり得る。本明細書に提示する抗CD200抗体で治療できる例示的自己免疫疾患および障害には、例えば、炎症反応、すなわち、乾癬および皮膚炎(例えばアトピー性皮膚炎)を含めた炎症性皮膚疾患;皮膚筋炎;全身性強皮症および硬化症;炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎など)に関連する反応;呼吸窮迫症候群(成人呼吸窮迫症候群;ARDSを含める);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;大腸炎;糸球体腎炎など;湿疹および喘息などのアレルギー状態ならびにT細胞の浸潤および慢性炎症反応に関連する他の状態;アテローム動脈硬化症;白血球接着不全;関節リウマチ;全身性エリテマトーデス(SLE);真性糖尿病(例えば、I型糖尿病またはインスリン依存性糖尿病);多発性硬化症;レイノー症候群;自己免疫性甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェーグレン症候群;若年発症糖尿病;ならびに典型的には結核、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽腫症および血管炎で見出される、サイトカインおよびTリンパ球によって媒介される急性および遅延型過敏症に関連する免疫応答;悪性貧血(アジソン病);白血球血管外漏出に関連する疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害;多臓器損傷症候群;溶血性貧血(それだけに限らないが、クリオグロブリン血症またはクームス陽性貧血);重症筋無力症;抗原抗体複合体媒介性疾患;抗糸球体基底膜疾患;抗リン脂質抗体症候群;アレルギー性神経炎;グレーブス病;ランバート−イートン筋無力性症候群;水疱性類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫性多発性内分泌腺症;ライター症候群;スティッフマン症候群;ベーチェット病;巨細胞性動脈炎;免疫複合体腎炎;IgA腎症;IgM多発ニューロパチー;免疫血小板減少性紫斑病(ITP)または自己免疫性血小板減少症および自己免疫性溶血性疾患、橋本甲状腺炎、ウェゲナー肉芽腫症、無症候性リンパ腫に関連する寒冷凝集素病、後天性第VIII因子インヒビター疾患などが含まれる。
【0066】
CD200抗体を含む治療薬は、併用療法で患者に投与できる。したがって、自己免疫障害を治療または防止するため、移植体生着を増強または延長するため、アレルギーを治療または防止するため、または炎症性障害を治療または防止するために、ある特定の集団の免疫細胞を標的とした死滅させるものを、併用療法の一部として投与できる。例えば、CD200抗体を含む第1の治療薬(例えば本明細書に記載の抗CD200抗体)を受ける患者に、第2の治療薬も与えることができる。CD200抗体は、第2の治療薬と同時に与えることができる。代替として、CD200抗体は、第2の治療薬の前に与えることも、後に与えることもできる。第2の治療薬には、それだけに限らないが、抗炎症剤、免疫抑制剤および/または抗感染症剤が含まれる。
【0067】
本開示の併用療法には、例えば、本明細書に記載のCD200抗体と、ステロイド、抗マラリア薬、アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、免疫抑制剤または細胞傷害性薬物との同時投与または連続的な順次投与が含まれる。それらには、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメサゾンおよびプレドニゾロン)、メトトレキセート、メチルプレドニゾロン、マクロライド免疫抑制剤(例えば、シロリムスおよびタクロリムス)、有糸分裂阻害剤(例えば、アザチオプリン、シクロホスファミドおよびメトトレキセート)、Tリンパ球の活性を阻害する真菌代謝産物(例えば、シクロスポリン)、ミコフェノール酸モフェチル、酢酸グラチラマー、および細胞傷害性作用剤およびDNA損傷作用剤(例えば、クロラムブシル)が含まれる。自己免疫障害用には、抗CD200療法を、インターロイキン2受容体のα鎖に特異的に結合する、遺伝的に操作されたヒトIgG1モノクローナル抗体であるダクリズマブ、および免疫細胞または他の細胞をターゲッティングする他の様々な抗体を含めた抗体療法と併用できる。そのような併用療法は、I型糖尿病、関節リウマチ、狼瘡および特発性血小板減少性紫斑病ならびに他の自己免疫徴候の治療に有用であり得る。本開示は、1つまたは複数の作用剤に結合したCD200抗体(例えば、本開示に記載の抗体およびその変種など)を含む、自己免疫障害用の治療および移植患者用の治療にも関する。
【0068】
IV.投与の様式および製剤
本開示の抗体(純粋な抗体であるか、標識された抗体であるか、毒素に融合した抗体であるかなどに関わらず)の抗体投与経路は、既知の方法、例えば、静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、皮下、眼内、関節内、鞘内、吸入もしくは病巣内経路によるか、または持続放出系による注射または注入に一致するものである。上記抗体は、注入によって、またはボーラス注射によって連続的に投与することが好ましい。上記抗体は、局所投与することも、全身投与することもできる。
【0069】
本開示の抗体は、薬学的に許容される担体との混合物中に調製できる。本出願の化合物を製剤化および投与するための技法は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co., Easton, PA、最新版で見出すことができる。この治療組成物は、静脈内に、または鼻もしくは肺を通して投与することができ、液体または粉末エアロゾル(凍結乾燥物)として投与することが好ましい。所望により、上記組成物を非経口的投与または皮下投与することもできる。全身投与する場合、治療組成物は、無菌であり、実質的に無発熱物質であり、かつ適切なpH、等張性および安定性を有する非経口的に許容できる溶液中にあるべきである。例えば、医薬調製物は、ヒト用治療薬としての投与に適するように、発熱物質を実質的に含まない。これら条件は当業者に知られている。
【0070】
ある特定の実施形態では、本出願の任意の抗体またはその抗原結合性断片を前記哺乳動物に急性に投与する。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片を前記哺乳動物に少なくとも1カ月間投与する。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片を前記哺乳動物に少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10または11カ月間投与する。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片を前記哺乳動物に少なくとも1年間投与する。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片を前記哺乳動物に少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10年間投与する。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片を前記哺乳動物に連続的に、すなわち、少なくとも14日間、28日間、3カ月間、6カ月間、1年間、5年間またはより長い期間にわたって繰り返し投与する。ある特定の実施形態では、前記抗体またはその抗原結合性断片を前記哺乳動物にその余命がつきるまで投与する。
【0071】
使用に適した医薬組成物には、本開示の抗体のうちの1つまたは複数を、それらの意図された目的を実現するのに有効な量で含有する組成物が含まれる。より詳細には、治療有効量は、疾患の症候を防止するか、軽減するか、もしくは改善させる、または治療される対象の生存を延長するのに有効な、抗体の量を意味する。治療有効量の決定は、とりわけ本明細書に提示する詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力内にある。治療上有効な用量は、in vitro法およびin vivo法を用いて決定できる。
【実施例】
【0072】
(実施例1)
材料および方法
コラーゲン誘発関節炎(CIA)の誘発および評価
試薬の調製:
1.BCIIの調製:(エラスチン製品からのウシII型コラーゲン)。
【0073】
BCIIを、4mg/mLの濃度で0.01M酢酸中、低温室にて一晩撹拌することにより再構成する。
2.完全フロイントアジュバント(CFA)H37Ra(Difco)の調製:
10mgのMycobacterium tuberculosisを、10mlの完全フロイントアジュバント中に加える。これは、Mycobacterium tuberculosisの最終濃度が2mg/mLになるように10mgのMycobacterium tuberculosisを含有する。CFAを、一晩4℃にて一晩撹拌する。
3.エマルジョンの調製(4℃):
1:1の比の4mg/mL BCIIおよびMycobacterium tuberculosis含有CFA(2mg/mL)
100μLエマルジョン=200μg BCII+100μg CFA−M.T H37Ra
4.皮内注射:
マウスの尾の根元にエマルジョン150μLを皮内注射する。
【0074】
マウスを、同じプロトコルに従って、最初の免疫化後の第21日に再免疫する。
【0075】
CIAの評価:
関節炎の重症度は、前肢、後肢、肘関節および膝関節を評点およびカリパスで測定することにより決定した。
【0076】
1.関節炎スコア:
0=肢の腫脹なし
1=軽度/中等度の目視可能な紅斑および腫脹
2=肢または関節全体に影響する重度な紅斑および腫脹
3=関節強直を伴う変形した肢または関節
上記のスコアを決定するためのパラメータは、次のとおりであった:
【0077】
【表1】

R/SW−発赤および腫脹
2.腫脹の程度は目視で評価し、以下の時点でカリパスを用いて測定した:
時点:1)免疫化前。
【0078】
2)第21日から開始して第42日まで1日あたり1回。
【0079】
合計関節炎スコアは、それぞれの肢、肘および膝についての測定値を加算することにより算出した(マウスあたり8回の測定値を合計して最大24のスコアが得られる)。
【0080】
血清採取時間:
1.免疫化前
2.防止処置群について第14日および第28日、治療処置群について第31日。
【0081】
3.最初の免疫化後の第42日
4.血清抗コラーゲン抗体(B細胞応答)を、図2および3Bに示す時間に測定した。
【0082】
5.サイトカイン測定のための脾臓細胞は、動物を屠殺したときに採取した。
【0083】
組織学的検査:最初の免疫化後の第42日
サイトカイン検出のための細胞内染色のプロトコル(脾細胞)
1.動物の脾臓を、氷上で単純HBSSまたはPBS中に採取する;
2.脾臓をホモジナイズして、5〜10mLの単純HBSSまたはPBS中に脾細胞を採取し、細胞を1,250rpm×5分、室温により回転沈降させる;
3.上清を捨て、細胞ペレットをボルテックスにより再懸濁し、5〜10mLのACK細胞溶解緩衝液(155mM NHC1、10mM KHCO、0.1mM NaEDTA−2HO)を細胞に、室温にて3分間加える;
4.FACS洗浄/染色緩衝液(2% FBS/HBSS+0.02%アジ化ナトリウム)を加えてチューブの上部まで満たし、細胞を、1,250rpm×5分、室温にて回転沈降させる;
5.洗浄を2回反復する;
6.細胞を計数し、次いで、1.0×10細胞/50μL/ウェルを、U底96ウェルプレートに分配する;
7.抗体(0.1μg/ウェル=1.0×10細胞)を、染色計画に従ってウェルに加え、二重染色用の抗体がともに細胞表面マーカーについてのものである場合、これらはこのステップにおいて一緒に、30〜60分間、4℃、暗所で加えることができる;
8.FACS洗浄/染色緩衝液を250μL/ウェルで用いて洗浄を3回反復する;
9.CytoFix緩衝液(BD Pharmingenキット)250μL/ウェルを、30分間、4℃、暗所で加える;
10.ウェルをCytoPerm/CytoWashで3回洗浄する;
11.細胞を、50μL/ウェルのCytoPerm/CytoWash緩衝液に再懸濁し、サイトカインに対する抗体(0.1μg/ウェル=1.0×10細胞)を加え、30〜60分間、4℃、暗所でインキュベートする;
12.FACS洗浄緩衝液での洗浄を2回反復し(上記の8番を参照)、プレートを単純PBSで1回洗浄する;
ウェルを再懸濁して、250μl/ウェルの単純PBSを加えて、細胞をFACSチューブに移す。試料は、これで、FACSを行う準備ができている。
【0084】
(実施例2)
関節炎動物モデルに対する抗CD200の評価
抗CD200抗体の投与は、マウスにおいて、1)抗CD200抗体の投与が関節炎の発症を防止するか、および2)抗CD200抗体の投与が既存の関節炎の重症度を低減するかを試験するために行った。コラーゲン誘発関節炎(CIA)マウスモデルを用いた(マウス系統:Jackson LabsからのDBA/1LacJ、雄、8〜12週齢)。
【0085】
用いた抗CD200mAbは、European Collection of Cell Culturesからハイブリドーマとして得たラット抗マウスCD200mAbである、OX90に由来するキメラ抗体であるOX90mG2aであった(ECACC No.03062502;Hoekら、Science 290巻:1768〜1771頁(2000年)を参照されたい)。ラット抗体は、マウスIgG2a定常領域と融合されたラット重鎖可変領域と、マウスカッパ定常領域と融合されたラット軽鎖可変領域とを含むように遺伝子改変した。アイソタイプマッチ対照mAbであるr12B4は、対照として用いた。
【0086】
A)関節炎の予防
10匹のDBA/1LacJマウスに、5mg/kg用量の抗CD200またはアイソタイプマッチ対照mAbのいずれかを、i.p.注射により、第1日の最初のBCII免疫化後の第1日〜第7日および第21日〜第25日に投与した。さらなる10匹のマウスを、第21日〜第25日に再び処置し、第42日に終結した。マウスを第14日に放血させて、抗体応答を測定した。
【0087】
図1からわかるように、抗CD200処置は、コラーゲン誘発関節炎の重症度を低減する(図1)。抗CD200処置も、抗コラーゲン抗体生成の出現を阻害する(図2)。抗BCII Abの血清レベルおよびサブタイプは、記載される処置群について評価した。DBA/1LacJマウスに、抗CD200またはアイソタイプマッチ対照mAbのいずれかを、第1日〜第7日および第21日〜第25日にi.p.注射し、免疫化前、第1日の最初のBCII免疫化後の第14日、第28日および第42日〜第45日に放血させた。
【0088】
B)確立した関節炎の緩和
DBA/1LacJマウスに、5mg/kg用量の抗CD200またはアイソタイプマッチ対照mAbのいずれかを、i.p.注射により、第1日の最初のBCII免疫化後の第21日〜第30日に投与した。抗BCII Abの血清レベルおよびサブタイプを、記載される処置群について評価した。DBA/1LacJマウスに、抗CD200またはアイソタイプマッチ対照mAbを、第21日〜第30日にi.p.注射し、免疫化前、第1日の最初のBCII免疫化後の第14日、第28日および第42日〜第45日に放血させた。図3A〜Bに示すように、抗CD200処置は、自己抗体の生成に対する影響とは関係なく、確立した関節の炎症を緩和できる。
【0089】
抗CD200処置は、DBA/1マウスのコラーゲン免疫化に関して種々の時点で投与したときに、脾臓サイトカインプロファイルに影響する(図4A〜4B)。脾臓細胞を、BCII免疫化DBA/1LacJマウスから単離し、これらを、第1日の最初のBCII免疫化後の第1日〜第7日および第21日〜第25日に、抗CD200またはアイソタイプマッチ対照mAbのいずれかで処理した。IL−4、IL−10、TNF−αおよびINF−γ生成細胞のパーセンテージを、抗IL−4、抗IL−10、抗TNF−α、抗INF−γまたはアイソタイプマッチ対照IgG1 Abを用いる細胞内染色により分析した。脾臓細胞を、BCII免疫化DBA/1LacJマウスから単離し、これらを、第1日の最初のBCII免疫化後の第21日〜第30日に、抗CD200またはアイソタイプマッチ対照mAbのいずれかで処理した。IL−4、IL−10、TNF−αおよびINF−γ生成細胞のパーセンテージを、抗IL−4、抗IL−10、抗TNF−α、抗INF−γまたはアイソタイプマッチ対照IgG1 Abを用いる細胞内染色により分析した。
【0090】
抗CD200処置後のサイトカインプロファイルの変更の影響は、同種異系免疫応答においてもさらに証明され、ここではBALB/cマウスを、C57B/c脾臓細胞を用いて免疫化した(図5)。
【0091】
本明細書に開示される実施形態に対して、種々の改変を行うことができることが理解される。例えば、当業者が認識するように、本明細書に記載される特定の配列は、OX−2/CD200の結合に用いられるポリペプチド、抗体または抗体フラグメントの機能性に必ずしも悪影響を与えることなく、少し変更することができる。例えば、抗体配列内の単一または複数のアミノ酸の置換は、抗体または断片の機能性を破壊することなく、頻繁に行うことができる。よって、本明細書に記載される特定の抗体と70%を超える同一性の程度を有するポリペプチドまたは抗体は、本開示の範囲内にあると理解されるべきである。特に有用な実施形態において、本明細書に記載される特定の抗体と約80%より大きい同一性を有する抗体が企図される。別の有用な実施形態において、本明細書に記載される特定の抗体と約90%より大きい同一性を有する抗体が企図される。よって、上記の記載は、限定すると解釈されるべきではなく、単に、好ましい実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および趣旨の中で他の改変を想定するだろう。
【0092】
参考文献
以下の文献は、本発明が属する技術分野をより詳細に記載するために、本明細書中に参考として援用される。以下の刊行物または上記で参考として援用されたものと、本開示との任意の不一致は、本発明が優先させるよう解決される。
【0093】
【数1】

【0094】
【数2】

【0095】
【数3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己免疫疾患または炎症疾患を有する患者を治療するための方法であって、前記患者に、CD200とCD200Rとの間の相互作用を阻害する作用剤を治療有効量投与するステップを含み、前記自己免疫疾患または前記炎症疾患が改善される方法。
【請求項2】
前記自己免疫疾患または前記炎症疾患が、関節リウマチ、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、悪性貧血、アジソン病、I型糖尿病、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、重症筋無力症、ライター症候群、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、難治性皮膚筋炎、無症候性リンパ腫に関連する寒冷凝集素病、後天性第VIII因子インヒビター疾患およびグレーブス病からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作用剤が自己抗体の産生を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記作用剤が抗CD200抗体またはその抗原結合性断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体またはその抗体断片が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体または抗体断片、組換え抗体、ダイアボディ、キメラ化抗体もしくはキメラ抗体または抗体断片、ヒト化抗体または抗体断片、脱免疫化ヒト抗体または抗体断片、完全ヒト抗体または抗体断片、単鎖抗体、Fv、Fd、Fab、Fab’、およびF(ab’)からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記作用剤がエフェクター機能を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記作用剤がエフェクター機能を欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記作用剤が、前記哺乳動物に少なくとも1カ月間投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記作用剤が、前記哺乳動物に少なくとも1年間投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記作用剤が、前記哺乳動物に連続的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記作用剤が、前記哺乳動物に全身的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記作用剤が、前記哺乳動物に局所的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第2の作用剤または治療薬を投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の作用剤が、順次または同時に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫応答が一次免疫応答である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫応答が二次免疫応答である、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−534242(P2010−534242A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518228(P2010−518228)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/009030
【国際公開番号】WO2009/014744
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(503102674)アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】