説明

自己切断可能なリンカーを含むプロドラッグ

本発明は、薬物リンカーコンジュゲートD-L
[式中
-Dはアミン含有生物活性部分であり;かつ
-Lは式(I)によって示される非生物活性リンカー部分-L1であり、
式中、破線は生物活性部分のアミンへの結合を示し、およびR1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、X、X1、X2、X3は明細書および特許請求の範囲に記載の意味を有し、およびL1は1〜4つの基L2-Zで置換されており、また、式(I)中の星印でマークされている水素が置換されていないのであればさらに置換されていてもよく;ここでL2は化学単結合またはスペーサーであり;かつZは担体基である]
を含むプロドラッグまたは製薬的に許容されるその塩に関する。また、本発明は、Aが脱離基であるA-L、前記プロドラッグを含む医薬組成物および医薬品としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物リンカーコンジュゲートD-Lを含むプロドラッグまたは製薬的に許容されるその塩に関する。また、本発明は、該プロドラッグを含む医薬組成物および医薬品としてのその使用に関する。
【0002】
in vivoで薬物の物理化学的特性または薬物動態学的特性を増強するため、そのような薬物を担体とコンジュゲートすることができる。
【背景技術】
【0003】
典型的に、薬物送達の担体は、物理化学的に製剤化されて溶媒-担体混合物にされた薬物との非共有結合様式で使用するか、または薬物官能基の1つに対する担体試薬の共有結合によって使用される。
【0004】
しかし、非共有結合的アプローチは、制御されていないバースト型の薬物放出を防ぐために非常に効率的な薬物カプセル化を必要とする。未結合の水溶性薬物分子の拡散の制限は、疎水性部分によって媒介されることが多い強いファンデルワールス接触を必要とする。多数の高次構造的に感受性の薬物、例えばタンパク質またはペプチドは、カプセル化プロセス中および/またはカプセル化薬物のその後の保存中に正常に機能しないようになる。さらに、そのようなアミノ含有薬物は担体分解産物との副反応を容易に受ける(例えばD.H. Lee et al., J. Contr. Rel., 2003, 92, 291-299を参照のこと)。さらに、薬物の放出メカニズムの生分解への依存は患者間のばらつきを生じさせる。
【0005】
あるいは、薬物を共有結合によって担体にコンジュゲートすることができる。このアプローチは、いわゆる小分子から、天然物、大きいタンパク質までの種々のクラスの分子に適用される。共有結合による薬物担体コンジュゲートは2つの群に分けることができる。一つ目は、薬物の作用中に担体と薬物との間の共有結合が主に存在する(「恒久的共有結合」)コンジュゲートであり、すなわち、薬物の誘導体は、該薬物自体に関して知られているような薬理学的効果を示す。二つ目は、共有結合は殆ど事前に切断されて薬物自体が放出され、該薬物はその公知の薬理学的効果を発揮することができるものである。後者の場合、共有結合による薬物担体コンジュゲートは担体結合プロドラッグまたは担体プロドラッグと称される。
【0006】
担体と薬物との間の共有結合を確実に切断するために、in vivoで該結合が容易に除去されて薬物が放出されること(プロドラッグ活性化)が必要とされる。
【0007】
プロドラッグ活性化は、担体と薬物分子との間の結合の酵素的もしくは非酵素的切断、または両者の逐次の組み合わせ、すなわち酵素的ステップおよびその後の非酵素的再構成によって生じる。
【0008】
酵素的に誘発されるプロドラッグ活性化は、酵素を含まないin-vitro環境、例えば水性緩衝液での例えばエステルまたはアミドの切断が生じるが、対応する加水分解速度は非常に遅く、治療的に有用でない点において特徴付けられる。in-vivo環境では、エステラーゼまたはアミダーゼが典型的に存在し、エステラーゼおよびアミダーゼは、2倍〜けた違いの、加水分解速度の顕著な触媒的加速を生じさせる。したがって、切断は主に酵素反応によって制御される。
【0009】
主に酵素による切断の主要な欠点は患者間でのばらつきである。酵素レベルは個体間で大きく異なり、その結果、酵素的切断によるプロドラッグ活性化の生物学的変動が生じる。また、酵素レベルは投与部位に応じて変動する。例えば、皮下注射の場合、特定の身体領域は、他よりも予測しやすい治療効果をもたらすことが知られている。この予測不可能な影響を減少させるために、非酵素的切断または分子内触媒作用が特に興味深い。
【0010】
したがって、担体および生物活性部分の、酵素に依存しない自己触媒的切断が好ましい。ほとんどの場合、これは、担体と生物活性部分との間の適切に設計されたリンカー部分によって達成され、該リンカーは共有結合によって生物活性部分の官能基に直接結合している。
【0011】
特定のリンカータイプは当技術分野において公知である。
【0012】
Y. Sohma et al., J. Med. Chem. 46 (2003), 4124-4135では、エステルに基づくプロドラッグが記載され、該プロドラッグでは、担体が水溶性であり、生物活性部分はHIV-1プロテアーゼインヒビターKNI-727由来である。使用されるリンカーはエステル基を介して生物活性部分に結合している。このプロドラッグ系のメカニズムは、エステル結合の切断のための環状イミド形成による環化-活性化である。
【0013】
しかし、これはエステル官能基の不安定性のせいで不都合である。さらに、エステル基は、担体またはリンカーおよび薬物のコンジュゲーションのための化学選択的アドレス可能性(chemoselectively addressable)が低い。
【0014】
A.J. Garman et al. (A.J. Garman, S.B. Kalindjan, FEBS Lett. 1987, 223 (2), 361-365 1987)では、組織型プラスミノーゲンアクチベータおよびウロキナーゼのアミノ基の可逆的修飾のためにPEG5000-無水マレイン酸を使用している。マレアミド酸(maleamic acid)連結の切断によるpH 7.4バッファーでのインキュベート時のPEG-uPAコンジュゲートからの機能的酵素の再生は一次速度式に従い、6.1時間の半減期を有する。マレアミド酸連結の欠点は低pH値でコンジュゲートの安定性を欠くことである。これは、塩基性(高) pH値で安定な生物活性物質に対するマレアミド酸連結の適用可能性を制限する。その理由は、生物活性物質ポリマーコンジュゲートの精製は、時期尚早のプロドラッグ切断を防ぐために塩基性(高pH)条件下で行われなければならないからである。
【0015】
WO-A 2004/108070には、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)グリシンアミド(ビシン(bicine))リンカーに基づくプロドラッグ系が記載されている。この系では、薬物分子のアミノ基にカップリングされたビシン分子に2つのPEG担体分子が連結されている。プロドラッグ活性化の最初の2ステップは、両PEG担体分子をビシン活性化基のヒドロキシ基と連結する第一の連結の酵素的切断である。PEGとビシンとの間の異なる連結は、異なるプロドラッグ活性化キネティクスを生じさせると記載されている。プロドラッグ活性化の第二のステップは、ビシン活性化基を薬物分子のアミノ基に連結する第二の連結の切断である。この系の主な欠点は、この第二のビシンアミド連結の緩徐な加水分解速度(リン酸バッファー中でt1/2 > 3時間)を生じさせるビシンリンカーに対するポリマーの連結である。結果的に、ビシン修飾プロドラッグ中間体の放出は、ネイティブの親薬物分子と比較して、異なる薬物動態学的、免疫原性的、毒物学的および薬力学的特性を示す。
【0016】
別のビシンに基づく系がWO-A 2006/136586に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】WO-A 2004/108070
【特許文献2】WO-A 2006/136586
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】D.H. Lee et al., J. Contr. Rel., 2003, 92, 291-299
【非特許文献2】Y. Sohma et al., J. Med. Chem. 46 (2003), 4124-4135
【非特許文献3】A.J. Garman, S.B. Kalindjan, FEBS Lett. 1987, 223 (2), 361-365 1987
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、リンカーが自己触媒的切断を許容して、リンカーに由来する残りの残基を有さない無修飾型の薬物を放出する、代替の担体結合プロドラッグが必要とされている。
【0020】
ゆえに、本発明の目的は、リンカーが、切断可能な結合を介して生物活性部分(放出後の薬物に相当する)に共有結合で結合し、かつリンカーが、さらに、直接またはスペーサーを介して担体に恒久的結合によって共有結合で結合し、担体結合プロドラッグを形成している、そのような薬物リンカーコンジュゲートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、薬物リンカーコンジュゲートD-L
[式中
-Dは窒素含有生物活性部分であり;かつ
-Lは
以下の式(I)によって示される非生物活性リンカー部分-L1であり、
【化1】

【0022】
式中、破線はアミド結合の形成による生物活性部分の窒素への結合を示し;
XはC(R4R4a);N(R4);O;C(R4R4a)-C(R5R5a);C(R5R5a)-C(R4R4a);C(R4R4a)-N(R6);N(R6)-C(R4R4a);C(R4R4a)-O;またはO-C(R4R4a)であり;
X1はC;またはS(O)であり;
X2はC(R7, R7a);またはC(R7, R7a)-C(R8, R8a)であり;
X3はO;S;またはN-CNであり;
R1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、R4、R4a、R5、R5a、R6、R7、R7a、R8、R8aは、独立して、H;およびC1-4アルキルからなる群から選択され;
場合によりペアR1a/R4a、R1a/R5a、R4a/R5a、R7a/R8aの1つ以上は化学結合を形成し;
場合によりペアR1/R1a、R2/R2a、R4/R4a、R5/R5a、R7/R7a、R8/R8aの1つ以上はそれらが結合している原子と一緒になって、C3-7シクロアルキル;または4〜7員ヘテロシクリルを形成し;
場合によりR4/R6は、それらが結合している原子と一緒になって、飽和4〜7員ヘテロシクリルを形成し;
場合によりペアR1/R4、R1/R5、R1/R6、R4/R5、R4/R6、R7/R8、R2/R3の1つ以上はそれらが結合している原子と一緒になって環Aを形成し;
場合によりR3/R3aは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜7員複素環を形成し;
Aは、フェニル;ナフチル;インデニル;インダニル;テトラリニル;C3-10シクロアルキル;4〜7員ヘテロシクリル;および9〜11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され;かつ
ここで、L1は1〜4つの基L2-Zで置換され、また、式(I)中の星印でマークされている水素が置換基によって置換されていないのであればさらに置換されていてもよく;
式中、
L2は化学単結合またはスペーサーであり;かつ
Zは担体基である]
を含むプロドラッグまたは製薬的に許容されるその塩によって達成される。
【発明の効果】
【0023】
驚くべきことに、水性条件下でアミド結合の安定性がずっと高いにもかかわらず、環状イミド形成による環化-活性化の範囲をエステルから担体結合アミドプロドラッグにさえまでも拡張できることが発見された。1つのアミド結合によって求核試薬を保持する部分に連結されかつ第二のアミド結合によって薬物部分に連結されたN,N'-ビスカルボキサミドはプロドラッグ適用に有用な範囲で自然水解(autohydrolysis)を示すことが観察された。さらに、リンカーは、担体結合アミドプロドラッグデザインにおいて自己活性化原理として環状イミド形成を用いることができる様式でN,N'ビスカルボキサミドモチーフに恒久的に結合した担体を含むように設計できることが発見された。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】環状イミドを生じさせる切断の例を示す図である。
【図2−1】化合物数値、出発材料、合成方法、分子量(MW)およびMSデータに関するさらなる詳細を示す図である。
【図2−2】化合物数値、出発材料、合成方法、分子量(MW)およびMSデータに関するさらなる詳細を示す図である。
【図2−3】化合物数値、出発材料、合成方法、分子量(MW)およびMSデータに関するさらなる詳細を示す図である。
【図2−4】化合物数値、出発材料、合成方法、分子量(MW)およびMSデータに関するさらなる詳細を示す図である。
【図2−5】化合物数値、出発材料、合成方法、分子量(MW)およびMSデータに関するさらなる詳細を示す図である。
【図2−6】化合物数値、出発材料、合成方法、分子量(MW)およびMSデータに関するさらなる詳細を示す図である。
【図2−7】化合物数値、出発材料、合成方法、分子量(MW)およびMSデータに関するさらなる詳細を示す図である。
【図3】化合物13bのin vivoおよびin vitroリンカー切断データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
そのような好ましい環状切断産物の例は置換スクシンイミドまたはグルタルイミド環構造である。そのような環化活性化の必須条件はリンカー構造中のアミン含有求核試薬および、アミドプロドラッグ結合ではないが水素原子で置換されたアミド結合である別のアミド結合の存在である。
【0026】
スクシンイミド-またはグルタルイミド-活性化プロドラッグ切断の場合、アミン含有求核試薬は、恒久的アミド結合に含有される窒素の求核性を増強するための隣接基として役割を果たし、そして次にそれはプロドラッグアミドカルボニル基を攻撃し、結果的に恒久的アミド結合の分子内アシル化を誘発して、環状イミド環を生成させる。
【0027】
したがって、好ましいリンカー構造は、担体への恒久的連結、アミン含有求核試薬、およびアミド結合の窒素に結合している水素との恒久的アミド結合を含む。対応する担体結合プロドラッグは、担体への恒久的連結、アミン含有求核試薬および該恒久的アミド結合を含有するリンカー、ならびに切断可能なアミド結合を用いてリンカーにコンジュゲートされた薬物由来の窒素含有生物活性部分を含む。
【0028】
図1は、環状イミドを生じさせる切断の例を示す。生物活性部分の窒素は水素含有アミンとして示され、それは、一級アミン官能基を有する薬物を生じさせる。しかし、例えば、二級アミンが薬物の部分であってもよい。単純化のために、担体を含む1〜4つの必須の置換基L2-Zは示されていない。
【0029】
プロドラッグの好ましい特性は、1時間〜3か月の間のpH 7.4で37℃の水性バッファー中の加水分解の半減期;バッファーおよび血漿中の生理的条件下での加水分解の同様の速度によって与えられる。
【0030】
本発明に記載のプロドラッグは、リンカー切断の優れたin vivo/in vitro相関、高度の酵素非依存性を示し、低pHで保存することができる(pH依存的切断)。
【0031】
本発明の意味内では、以下のように用語を使用する。
【0032】
「生物活性部分D」とは、切断後に既知の生物学的活性の薬物D-Hを生じさせる、薬物リンカーコンジュゲートの部分を意味する。
【0033】
「不活性リンカー」とは、生物活性物質由来の薬物の薬理学的効果を示さないリンカーを意味する。
【0034】
「アルキル」とは、直鎖または分岐炭素鎖を意味する。アルキル炭素の各水素は置換基によって置換されていてもよい。
【0035】
「C1-4アルキル」とは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル鎖を意味し、例えば分子の末端に存在する場合、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル tert-ブチルであり、または分子の2つの部分がアルキル基によって連結されている場合、例えば-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-、-C(CH3)2-である。C1-4アルキル炭素の各水素は置換基によって置換されていてもよい。
【0036】
「C1-6アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖を意味し、例えば分子の末端に存在する場合、C1-4アルキル、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル;tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルであり、または分子の2つの部分がアルキル基によって連結されている場合、例えば-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-、-C(CH3)2-である。C1-6アルキル炭素の各水素は置換基によって置換されていてもよい。
【0037】
したがって、「C1-18アルキル」とは、1〜18個の炭素原子を有するアルキル鎖を意味し、「C8-18アルキル」とは、8〜18個の炭素原子を有するアルキル鎖を意味する。したがって、「C1-50アルキル」とは、1〜50個の炭素原子を有するアルキル鎖を意味する。
【0038】
「C2-50アルケニル」とは、2〜50個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルケニル鎖を意味し、例えば分子の末端に存在する場合、-CH=CH2、-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH2、-CH=CH-CH2-CH3、-CH=CH-CH=CH2であり、または分子の2つの部分がアルケニル基によって連結されている場合、例えば-CH=CH-である。C2-50アルケニル炭素の各水素は、さらに特定されるように置換基によって置換されていてもよい。したがって、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を有する炭素鎖に関する。場合により、1つ以上の三重結合が存在する。
【0039】
「C2-50アルキニル」とは、2〜50個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキニル鎖を意味し、例えば分子の末端に存在する場合、-C≡CH、-CH2-C≡CH、CH2-CH2-C≡CH、CH2-C≡C-CH3であり、または分子の2つの部分がアルキニル基によって連結されている場合、例えば-C≡C-である。C2-50アルキニル炭素の各水素は、さらに特定されるように置換基によって置換されていてもよい。したがって、用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素炭素三重結合を有する炭素鎖に関する。場合により、1つ以上の二重結合が存在する。
【0040】
「C3-7シクロアルキル」または「C3-7シクロアルキル環」とは、少なくとも部分的に飽和しており、炭素-炭素二重結合を有してよい、3〜7個の炭素原子を有する環状アルキル鎖を意味し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルである。シクロアルキル炭素の各水素は置換基によって置換されていてもよい。用語「C3-7シクロアルキル」または「C3-7シクロアルキル環」には、ノルボナン(norbonane)またはノルボネン(norbonene)等の架橋された二環も含まれる。したがって、「C3-5シクロアルキル」とは、3〜5個の炭素原子を有するシクロアルキルを意味する。
【0041】
したがって、「C3-10シクロアルキル」とは、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキルを意味し、例えばC3-7シクロアルキル;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルである。用語「C3-10シクロアルキル」には、少なくとも部分的に飽和している炭素単環および炭素二環(carbomono- and -bicycles)も含まれる。
【0042】
「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。ハロゲンはフルオロまたはクロロであることが一般に好ましい。
【0043】
「4〜7員ヘテロシクリル」または「4〜7員複素環」とは、最大数までの二重結合を含有してもよい(完全に飽和、部分的に飽和または不飽和の芳香環または非芳香環)、4、5、6または7個の環原子を有する環であって、少なくとも1個〜4個の環原子が硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素および窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置換され、かつ環が炭素または窒素原子を介して残りの分子に連結されている環を意味する。4〜7員複素環の例は、アゼチジン、オキセタン、チエタン、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、チアジアゾリジン、スルホラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、テトラゾール、トリアゾール、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ジアゼパン、アゼピンまたはホモピペラジンである。
【0044】
「9〜11員ヘテロビシクリル」または「9〜11員複素二環」とは、少なくとも1個の環原子が2つの環によって共有され、かつ最大数までの二重結合を含有してもよい(完全に飽和、部分的に飽和または不飽和の芳香環または非芳香環)、9〜11個の環原子を有する2個の環の複素環式系であって、少なくとも1個〜6個の環原子が硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素および窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置換され、かつ環が炭素または窒素原子を介して残りの分子に連結されている、複素環式系を意味する。9〜11員複素二環の例は、インドール、インドリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリン、キノリン、キナゾリン、ジヒドロキナゾリン、キノリン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、デカヒドロキノリン、イソキノリン、デカヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロイソキノリン、ベンザゼピン、プリンまたはプテリジンである。用語9〜11員複素二環には、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン等の2個の環のスピロ構造または8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン等の架橋された複素環も含まれる。
【0045】
式(I)に記載の化合物が1つ以上の酸性または塩基性基を含有する場合、本発明はまた、対応する製薬的または毒物学的に許容されるその塩、特に製薬的に利用可能なその塩を含む。ゆえに、酸性基を含有する式(I)の化合物を、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩として、本発明にしたがって使用することができる。そのような塩のさらに明確な例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩またはアンモニアもしくは有機アミン、例えば、エチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンもしくはアミノ酸との塩が含まれる。1個以上の塩基性基、すなわちプロトン化できる基を含有する式(I)の化合物を存在させることができ、無機または有機酸との付加塩の形式で本発明にしたがって使用することができる。好適な酸の例には、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミニン酸(sulfaminic acid)、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、および当業者に公知の他の酸が含まれる。式(I)の化合物が分子中に酸性および塩基性基を同時に含有する場合、本発明はまた、上記塩形式に加えて、内塩またはベタイン(双性イオン)を含む。式(I)に記載のそれぞれの塩は、当業者等に公知の通例の方法によって、例えば溶媒または分散剤中でこれらを有機または無機の酸または塩基と接触させることによって、または他の塩とのアニオン交換またはカチオン交換によって得ることができる。本発明はまた、低い生理的適合性のせいで医薬品での使用に直接には好適でないが、例えば化学反応または製薬的に許容される塩の製造のための中間体として使用できる式(I)の化合物のすべての塩を含む。
【0046】
用語「製薬的に許容される」とは、動物、好ましくはヒトでの使用に関して、規制当局、例えばEMEA (欧州)および/またはFDA (US)および/または任意の他の国の規制当局によって認可されていることを意味する。
【0047】
「医薬組成物」とは、1種以上の活性成分、および1種以上の不活性成分、ならびに任意の2種以上の成分の組み合わせ、錯体化(complexation)または凝集から、または1種以上の成分の解離から、または1種以上の成分の他のタイプの反応または相互作用から直接的または間接的に得られる任意の産物を意味する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および製薬的に許容される賦形剤(製薬的に許容される担体)を混合することによって作製される任意の組成物を包含する。
【0048】
用語「賦形剤」とは、それとともに治療薬が投与される、希釈剤、佐剤(adjuvant)、またはビヒクルを表す。そのような医薬賦形剤は水および油等の滅菌された液体であってよく、それには、石油、動物、植物または合成起源のものが含まれ、非限定的にピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等が含まれる。医薬組成物が経口投与される場合、水が好ましい賦形剤である。医薬組成物が静脈内投与される場合、生理食塩水および水性デキストロースが好ましい賦形剤である。生理食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液は注射用溶液の液体賦形剤として好ましく用いられる。好適な医薬賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアラート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が含まれる。組成物は、所望により、微量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含有してもよい。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、徐放性製剤等の剤形をとることができる。組成物は伝統的な結合剤およびトリグリセリド等の賦形剤とともに坐剤として製剤化することができる。経口製剤は、標準的賦形剤、例えば医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、等を含むことができる。好適な医薬賦形剤の例はE.W. Martinの「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。そのような組成物は、患者への適正な投与のための剤形を提供するために、好ましくは精製された形の治療有効量の治療薬を好適な量の賦形剤とともに含有する。製剤は投与様式に好適であるべきである。
【0049】
好ましくは、X3はOである。
【0050】
好ましくは、XはN(R4)であり、X1はCであり、およびX3はOである。
【0051】
好ましくは、X2はC(R7R7a)である。
【0052】
好ましくは、L1は以下の基
【化2】



【0053】
[式中、RはH;またはC1-4アルキルであり;YはNH;O;またはSであり;かつR1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、R4、X、X1、X2は上記の意味を有する]
からなる群から選択される。
【0054】
さらに好ましくは、L1は以下の基
【化3】





【0055】
[式中、Rは上記の意味を有する]
からなる群から選択される。
【0056】
少なくとも1個(4個まで)の水素は基L2-Zによって置換される。2個以上の基L2-Zが存在する場合、各L2および各Zは独立して選択することができる。好ましくは、1個のみの基L2-Zが存在し、式D-L1-L2-Zが生じる。
【0057】
一般に、L2は、式(I)中の星印でマークされた水素を置換する以外の任意の位置でL1に結合させることができる。好ましくは、R、R1〜R8によって直接指定されるかまたはC1-4アルキルもしくはRおよびR1〜R8の定義によって指定されるさらなる基および環の水素としての1〜4個の水素がL2-Zによって置換される。
【0058】
さらに、場合によりL1はさらに置換されていてもよい。一般に、切断原理が影響を受けない限り、任意の置換基を使用してよい。
【0059】
好ましくは、1つ以上のさらなる追加的な置換基は、ハロゲン;CN;COOR9;OR9;C(O)R9;C(O)N(R9R9a);S(O)2N(R9R9a);S(O)N(R9R9a);S(O)2R9;S(O)R9;N(R9)S(O)2N(R9aR9b);SR9;N(R9R9a);NO2;OC(O)R9;N(R9)C(O)R9a;N(R9)S(O)2R9a;N(R9)S(O)R9a;N(R9)C(O)OR9a;N(R9)C(O)N(R9aR9b);OC(O)N(R9R9a);T;C1-50アルキル;C2-50アルケニル;またはC2-50アルキニルからなる群から独立して選択され、ここでT;C1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合により1つ以上のR10で置換され、該1つ以上のR10は同一かまたは異なり、ならびにC1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合によりT, -C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(R11)-;-S(O)2N(R11)-;-S(O)N(R11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(R11)S(O)2N(R11a)-;-S-;-N(R11)-;-OC(O)R11;-N(R11)C(O)-;-N(R11)S(O)2-;-N(R11)S(O)-;-N(R11)C(O)O-;-N(R11)C(O)N(R11a)-;および-OC(O)N(R11R11a)からなる群から選択される1つ以上の基によって介在され;
R9、R9a、R9bは、H;T;およびC1-50アルキル;C2-50アルケニル;またはC2-50アルキニルからなる群から独立して選択され、ここでT;C1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合により1つ以上のR10で置換され、該1つ以上のR10は同一かまたは異なり、ならびにC1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合によりT, -C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(R11)-;-S(O)2N(R11)-;-S(O)N(R11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(R11)S(O)2N(R11a)-;-S-;-N(R11)-;-OC(O)R11;-N(R11)C(O)-;-N(R11)S(O)2-;-N(R11)S(O)-;-N(R11)C(O)O-;-N(R11)C(O)N(R11a)-;および-OC(O)N(R11R11a)からなる群から選択される1つ以上の基によって介在され;
Tは、フェニル;ナフチル;インデニル;インダニル;テトラリニル;C3-10シクロアルキル;4〜7員ヘテロシクリル;または9〜11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され、ここでTは、場合により1つ以上のR10で置換され、該1つ以上のR10は同一かまたは異なり;
R10は、ハロゲン;CN;オキソ(=O);COOR12;OR12;C(O)R12;C(O)N(R12R12a);S(O)2N(R12R12a);S(O)N(R12R12a);S(O)2R12;S(O)R12;N(R12)S(O)2N(R12aR12b);SR12;N(R12R12a);NO2;OC(O)R12;N(R12)C(O)R12a;N(R12)S(O)2R12a;N(R12)S(O)R12a;N(R12)C(O)OR12a;N(R12)C(O)N(R12aR12b);OC(O)N(R12R12a);またはC1-6アルキルであり、ここでC1-6アルキルは、場合により1つ以上のハロゲンで置換され、該1つ以上のハロゲンは同一かまたは異なり;
R11、R11a、R12、R12a、R12bは、H;またはC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、ここでC1-6アルキルは、場合により1つ以上のハロゲンで置換され、該1つ以上のハロゲンは同一かまたは異なる。
【0060】
用語「介在される」とは、2つの炭素の間に基が挿入されているか、または炭素鎖の末端で炭素と水素の間に基が挿入されていることを意味する。
【0061】
L2は化学単結合またはスペーサーである。L2がスペーサーである場合、L2がZで置換されていることを条件として、それは、好ましくは、上で定義される1つ以上のオプションの置換基として定義される。
【0062】
したがって、L2が化学単結合以外である場合、L2-Zは、COOR9;OR9;C(O)R9;C(O)N(R9R9a);S(O)2N(R9R9a);S(O)N(R9R9a);S(O)2R9;S(O)R9;N(R9)S(O)2N(R9aR9b);SR9;N(R9R9a);OC(O)R9;N(R9)C(O)R9a;N(R9)S(O)2R9a;N(R9)S(O)R9a;N(R9)C(O)OR9a;N(R9)C(O)N(R9aR9b);OC(O)N(R9R9a);T;C1-50アルキル;C2-50アルケニル;またはC2-50アルキニルであり、ここでT;C1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合により1つ以上のR10で置換され、該1つ以上のR10は同一かまたは異なり、ならびにC1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合により-T-, -C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(R11)-;-S(O)2N(R11)-;-S(O)N(R11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(R11)S(O)2N(R11a)-;-S-;-N(R11)-;-OC(O)R11;-N(R11)C(O)-;-N(R11)S(O)2-;-N(R11)S(O)-;-N(R11)C(O)O-;-N(R11)C(O)N(R11a)-;および-OC(O)N(R11R11a)からなる群から選択される1つ以上の基によって介在され;
R9、R9a、R9bは、H;Z;T;およびC1-50アルキル;C2-50アルケニル;またはC2-50アルキニルからなる群から独立して選択され、ここでT;C1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合により1つ以上のR10で置換され、該1つ以上のR10は同一かまたは異なり、ならびにC1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合によりT, -C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(R11)-;-S(O)2N(R11)-;-S(O)N(R11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(R11)S(O)2N(R11a)-;-S-;-N(R11)-;-OC(O)R11;-N(R11)C(O)-;-N(R11)S(O)2-;-N(R11)S(O)-;-N(R11)C(O)O-;-N(R11)C(O)N(R11a)-;および-OC(O)N(R11R11a)からなる群から選択される1つ以上の基によって介在され;
Tは、フェニル;ナフチル;インデニル;インダニル;テトラリニル;C3-10シクロアルキル;4〜7員ヘテロシクリル;または9〜11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され、ここでtは、場合により1つ以上のR10で置換され、該1つ以上のR10は同一かまたは異なり;
R10は、Z;ハロゲン;CN;オキソ(=O);COOR12;OR12;C(O)R12;C(O)N(R12R12a);S(O)2N(R12R12a);S(O)N(R12R12a);S(O)2R12;S(O)R12;N(R12)S(O)2N(R12aR12b);SR12;N(R12R12a);NO2;OC(O)R12;N(R12)C(O)R12a;N(R12)S(O)2R12a;N(R12)S(O)R12a;N(R12)C(O)OR12a;N(R12)C(O)N(R12aR12b);OC(O)N(R12R12a);またはC1-6アルキルであり、ここでC1-6アルキルは、場合により1つ以上のハロゲンで置換され、該1つ以上のハロゲンは同一かまたは異なり;
R11、R11a、R12、R12a、R12bは、H;Z;またはC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、ここでC1-6アルキルは、場合により1つ以上のハロゲンで置換され、該1つ以上のハロゲンは同一かまたは異なり;
ただし、R9、R9a、R9b、R10、R11、R11a、R12、R12a、R12bの1つはZであることを条件とする。
【0063】
より好ましくは、L2はC1-20アルキル鎖であり、該C1-20アルキル鎖は、場合により-O-;およびC(O)N(R3aa)から独立して選択される1つ以上の基によって介在され;場合によりOH;およびC(O)N(R3aaR3aaa)から独立して選択される1つ以上の基で置換され;かつここでR3aa、R3aaaは、H;およびC1-4アルキルからなる群から独立して選択される。
【0064】
好ましくは、L2は14 g/mol〜750 g/molの範囲の分子量を有する。
【0065】
好ましくは、L2
【化4】

【0066】
;および
【化5】

【0067】
から選択される末端基を介してZに結合している。
【0068】
L2がそのような末端基を有する場合、L2は該末端基なしで算出して14 g/mol〜500 g/molの範囲の分子量を有することがさらに好ましい。
【0069】
好ましくは、Lは以下の式(Ia)
【化6】

【0070】
[式中、R4、L2、およびZは上記の意味を有し、およびR3aa、R3aaaは、H;およびC1-4アルキルからなる群から独立して選択されるか;またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって4〜7員複素環を形成する]
によって示される。好ましくは、R4はH;またはメチルである。
【0071】
好ましくは、Lは以下の式(Ib)
【化7】

【0072】
[式中、R1、R1a、R4、L2およびZは上記の意味を有し、およびR3aaはH;またはC1-4アルキルである]
によって示される。好ましくは、R4はH;またはメチルである。
【0073】
好ましくは、式(I)のR1はL2-Zである。
【0074】
好ましくは、式(I)のR3はL2-Zである。
【0075】
好ましくは、式(I)のR3、R3aはそれらが結合している窒素原子と一緒になって4〜7員複素環を形成し、ここで複素環はL2-Zで置換されている。
【0076】
好ましくは、D-Hは小分子生物活性物質または生体高分子である。
【0077】
好ましくは、D-Hは、タンパク質、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、およびペプチド核酸からなる生体高分子の群から選択される生体高分子である。
【0078】
「オリゴヌクレオチド」とは、好ましくは2〜1000ヌクレオチドを有する、DNA、RNA、一本鎖または二本鎖の、siRNA、miRNA、アプタマー、および任意のその化学修飾物を意味する。修飾には、非限定的に、核酸リガンド塩基または全体としての核酸リガンドに、追加の電荷、分極性(polarizability)、水素結合性、静電相互作用、および流動性(fluxionality)を組み入れる他の化学基を提供する修飾が含まれる。そのような修飾には、非限定的に、2'位糖修飾、5位ピリミジン修飾、8位プリン修飾、環外アミンでの修飾、4-チオウリジンの置換、5-ブロモまたは5-ヨード-ウラシルの置換;主鎖修飾、メチル化、異常な塩基対形成の組み合わせ、例えばイソ塩基であるイソシチジンおよびイソグアニジン等が含まれる。修飾には、キャッピング等の3'および5'修飾、および立体化学の変化も含まれる。
【0079】
好ましくは、D-Hは、ACTH、アデノシンデアミナーゼ、アガルシダーゼ、α-1アンチトリプシン(AAT)、α-1プロテイナーゼインヒビター(API)、アルテプラーゼ、アミリン(アミリン、シムリン)、アニストレプラーゼ、アンクロッドセリンプロテアーゼ、抗体(モノクローナルまたはポリクローナル、および断片または融合物)、アンチトロンビンIII、アンチトリプシン、アプロチニン、アスパラギナーゼ、アトシバン、ビファリン、ビバリルジン、骨形成タンパク質、ウシ膵臓トリプシンインヒビター(BPTI)、カドヘリン断片、カルシトニン(サケ)、コラゲナーゼ、補体C1エステラーゼインヒビター、コノトキシン、サイトカイン受容体断片、DNアーゼ、ダイノルフィンA (dynorphine A)、エンドルフィン、エンフビルチド、エンケファリン、エリスロポエチン、エキセンディン(exendins)、因子VII、因子VIIa、因子VIII、因子VIIIa、因子IX、フィブリノリジン、線維芽細胞成長因子(FGF)、成長ホルモン放出ペプチド2 (GHRP2)、融合タンパク質、卵胞刺激ホルモン、グラミシジン、グレリン、デスアシル-グレリン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ガラクトシダーゼ、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド、グルコセレブロシダーゼ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、ヒト熱ショックタンパク質(HSP)、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PLAP)、絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、ヘモグロビン、B型肝炎ワクチン、ヒルジン、ヒトセリンプロテアーゼインヒビター、ヒアルロニダーゼ、イズルノニダーゼ(idurnonidase)、免疫グロブリン、インフルエンザワクチン、インターロイキン(1α、1β、2、3、4、6、10、11、12、13、21)、IL-1受容体アンタゴニスト(rhIL-1ra)、インスリン、インスリン様成長因子、インスリン様成長因子結合タンパク質(rhIGFBP)、インターフェロン(α2a、α2b、α2c、β1a、β1b、γ1a、γ1b)、細胞内接着分子、ケラチノサイト成長因子(KGF)、P-セレクチン糖タンパク質リガンド(PSGL)、トランスフォーミング成長因子、ラクターゼ、レプチン、ロイプロリド、レボチロキシン、黄体形成ホルモン、ライムワクチン、ナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、CNPおよび断片)、ニューロペプチドY、パンクレリパーゼ、膵ポリペプチド、パパイン、副甲状腺ホルモン、PDGF、ペプシン、ペプチドYY、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ(PAF-AH)、プロラクチン、プロテインC、チマルファシン(thymalfasin)、オクトレオチド、セクレチン、セルモレリン、可溶性腫瘍壊死因子受容体(soluble tumor necorsis factor receptor)(TNFR)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ソマトロピン(成長ホルモン)、ソマトプリム(somatoprim)、ソマトスタチン、ストレプトキナーゼ、スクラーゼ、テルリプレシン、破傷風毒素断片、チラクターゼ、トロンビン、チモシン、甲状腺刺激ホルモン、チロトロピン、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF受容体-IgG Fc、組織プラスミノゲンアクチベータ(tPA)、TSH、ウロジラチン(urodilatin)、尿酸オキシダーゼ、ウロキナーゼ、ワクチン、血管内皮増殖因子(VEGF)、血管作用性腸管ペプチド、バソプレッシン、ジコノチド、レクチンおよびリシンからなるポリペプチドの群から選択されるポリペプチドである。
【0080】
好ましくは、D-Hは組み換えDNAテクノロジーによって作製されたタンパク質である。
【0081】
好ましくは、D-Hは、抗体断片、単鎖抗原結合タンパク質、触媒抗体および融合タンパク質からなるタンパク質の群から選択されるタンパク質である。
【0082】
好ましくは、D-Hは、少なくとも1つの一級または二級アミノ基を有する、中枢神経系活性物質、抗感染剤、抗アレルギー剤、免疫調節剤、抗肥満剤、抗凝血剤、抗糖尿病剤、抗新生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、鎮痛剤、避妊薬、抗炎症剤、ステロイド剤、血管拡張剤、血管収縮剤、および心血管作動薬からなる物質の群から選択される小分子生物活性物質である。
【0083】
好ましくは、D-Hは、アカルボース、アラプロクラート、アレンドロナート、アマンタジン、アミカシン、アミネプチン、アミノグルテチミド、アミスルプリド、アムロジピン、アモトサレン、アモキサピン、アモキシシリン、アンフェタミン、アンホテリシンB、アンピシリン、アンプレナビル、アムリノン、アニレリジン、アプラクロニジン、アプラマイシン、アルチカイン、アテノロール、アトモキセチン、アビザホン(avizafone)、バクロフェン、ベナゼプリル、ベンセラジド、ベンゾカイン、ベタキソロール、ブレオマイシン、ブロムフェナク、ブロファロミン、カルベジロール、カシン、カチノン、カルブタミド、セファレキシン(cefalexine)、クリナフロキサシン、シプロフロキサシン、デフェロキサミン、デラビルジン、デシプラミン、ダウノルビシン、デクスメチルフェニデート、デクスメチルフェニデート、ジアフェニルスルホン、ジゾシルピン、ドーパミン(dopamin)、ドブタミン(dobutamin)、ドルゾラミド、ドキソルビシン、デュロキセチン、エフロールニチン、エナラプリル、エピネフリン、エピルビシン、エルゴリン、エルタペネム、エスモロール、エノキサシン、エタンブトール、フェンフルラミン、フェノルドパム、フェノテロール、フィンゴリモド、フレカイニド、フルボキサミン、ホスアンプレナビル、フロバトリプタン、フロセミド、フルオエキセチン(fluoexetine)、ガバペンチン、ガチフロキサシン、ゲミフロカシン(gemiflocacin)、ゲンタマイシン、グレパフロキサシン、ヘキシルカイン、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド、イコフンギペン(icofungipen)、イダルビシン、イミキモド、インベルシン(inversine)、イソプロテレノール、イスラジピン、カナマイシンA、ケタミン(ketamin)、ラベタロール、ラミブジン、レボブノロール、レボドパ、レボチロキシン、リシノプリル、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、マプロチリン、メフロキン、メルファラン、メマンチン、メロペネム、メサラジン、メスカリン、メチルドパ、メチレンジオキシメタンフェタミン、メトプロロール、ミルナシプラン、ミトキサントロン(mitoxantron)、モキシフロキサシン、ノルエピネフリン、ノルフロキサシン、ノルトリプチリン、ネオマイシンB、ニスタチン、オセルタミビル、パミドロン酸、パロキセチン、パズフロキサシン、ペメトレキセド、ペリンドプリル、フェンメトラジン、フェネルジン、プレガバリン、プロカイン、プソイドエフェドリン、プロトリプチリン、レボキセチン、リトドリン、サバルビシン(sabarubicin)、サルブタモール、セロトニン、セルトラリン、シタグリプチン、ソタロール、スペクチノマイシン、スルファジアジン(sulfadiazin)、スルファメラジン(sulfamerazin)、セルトラリン、スプレクチノマイシン(sprectinomycin)、スルファレン(sulfalen)、スルファメトキサゾール(sulfamethoxazol)、タクリン、タムスロシン、テルブタリン、チモロール、チロフィバン、トブラマイシン、トカイニド、トスフロキサシン、トランドラプリル、トラネキサム酸、トラニルシプロミン、トリメレキサート(trimerexate)、トロバフロキサシン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、バンコマイシン、バイオマイシン、ビロキサジン、およびザルシタビンからなる物質の群から選択される小分子生物活性物質である。
【0084】
好ましくは、Zは少なくとも500 DaのポリマーまたはC8-18アルキル基である。
【0085】
好ましくは、Zは、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)、デキストラン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギナート、キシラン、マンナン、カラゲナン、アガロース、セルロース、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(オルガノホスファゼン)(poly(organophosphazenes))、ポリオキサゾリン、ポリ(シロキサン)、ポリ(アミド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(エステル)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(アミノ酸)、コラーゲン、ゼラチン、ヒドロゲルまたは血漿タンパク質、およびそのコポリマーからなる、場合により架橋されていてもよいポリマーの群から選択される。
【0086】
好ましくは、Zはタンパク質である。
【0087】
好ましくは、Zは、アルブミン、トランスフェリン、免疫グロブリンからなる群から選択されるタンパク質である。
【0088】
好ましくは、Zは、2,000 Da〜150,000 Daの分子量を有する線状または分岐ポリ(エチレングリコール)である。
【0089】
さらにより好ましいのは、D-HがGLP-1受容体アゴニストであり;Lが上記式(I)によって示されるL1であり;かつZがヒドロゲルである、本発明のプロドラッグである。さらにより好ましくは、式(I)中、XはN(R4)であり、X1はCであり、およびX3はOである。さらにより好ましくは、Lは上記式(Ia)によって示される。
【0090】
GLP-1は、食物摂取後に循環系に放出される腸ペプチドホルモンの1つである。それは、栄養(特に炭水化物)が吸収され、そのレベルが食後に増加すると、インスリンの食後放出を増加させる。GLP-1は膵臓β細胞に位置するGLP-1受容体部位と結び付き、用量依存的様式で内因性cAMPレベルを増加させる。正常血糖を超えるグルコースレベルの存在下での単離されたラット島では、GLP-1はインスリンの放出を刺激する。グルコースレベルが増加するとインスリンの分泌を刺激し、かつ正常血糖に戻ると刺激をやめるこのインスリン分泌性ペプチドの顕著な効力のせいで、2型糖尿病患者におけるGLP-1の治療的潜在能力が以前に示唆された。正常な被験体および糖尿病患者におけるグルカゴン様ペプチド-1 (7-36)アミドの抗糖尿病発現性効果は、例えばN. Engl. J. Med. 326(20):1316-1322に記載されている。in vitro研究および動物実験では、GLP-1はインスリン感受性を向上させ、かつ膵臓β細胞に対するタンパク同化効果を有することが示唆されている。ヒトでは、GLP-1はグルカゴン分泌を抑制し、胃排出(gastric empyting)を減速させ、および満腹を誘発し、数週および数か月間投与されると体重減少を生じさせることも報告された。
【0091】
エキセンディン-4は、GLP-1より2.5倍高い親和性で、膵臓β細胞に位置するGLP-1受容体と結び付くと報告されている。グルコースの存在下での単離されたラット島およびβ細胞では、エキセンディンは用量依存的様式でインスリンの分泌を増強する。エキセンディン-4は高い効力のアゴニストであり、切断型エキセンディン-(9-39)-アミドはインスリン分泌β細胞のグルカゴン様ペプチド1-(7-36)-アミド受容体でのアンタゴニストである(J. Biol. Chem. 268(26):19650-19655を参照のこと)。2型糖尿病げっ歯類での研究では、血糖値の低下に関してエキセンディン-4がGLP-1より5530倍強力であることが明らかになった。また、エキセンディン-4の一回投与後のグルコース低下作用の持続時間はGLP-1と比較して顕著に長い(例えばDiabetes 48(5):1026-1034を参照のこと)。ヒトでのエキセンディン-4の血漿半減期はほんの26分であると報告された。健康なボランティアにおいてエキセンディン-4は絶食および食後グルコースを減少させ、エネルギー摂取を低下させる(例えばAm. J. Physiol. Endocrinol. Metab. 281(1):E155-61を参照のこと)。
【0092】
したがって、さらにより好ましい実施形態では、GLP-1受容体アゴニストはエキセンディン-4である。
【0093】
使用されるヒドロゲルは当技術分野において公知である。WO-A 2006/003014に記載の好適なヒドロゲルを使用することができる。したがって、ヒドロゲルは、大量の水を吸収可能な三次元の親水性または両親媒性ポリマーネットワーク(polymeric network)として定義することができる。ネットワークはホモポリマーまたはコポリマーから構成され、共有結合による化学的または物理的(イオン性、疎水的相互作用、絡み合い)架橋の存在のために不溶性である。架橋はネットワーク構造および物理的統合性を提供する。ヒドロゲルは水との熱力学的適合性を示し、それはヒドロゲルが水性媒体中で膨張することを可能にする。ネットワークの鎖は、孔が存在しかつかなりの割合のこれらの孔が1 nm〜1000 nmの範囲の寸法の孔であるような様式で連結される。
【0094】
別の本発明の対象は、本発明のプロドラッグまたはその医薬用の塩を、製薬的に許容される賦形剤とともに含む医薬組成物である。
【0095】
さらに別の本発明の対象は、医薬品として使用するための本発明のプロドラッグまたは本発明の医薬組成物である。
【0096】
さらに別の本発明の対象は、1つ以上の症状の治療を必要としている哺乳類患者での治療、管理、遅延または予防方法であって、治療有効量の本発明のプロドラッグまたは本発明の医薬組成物または製薬的に許容されるその塩を該患者に投与するステップを含む方法である。
【0097】
別の本発明の対象は、式Act-Lのプロドラッグ前駆体であり、式中、Lは上記の意味を有し、およびActは脱離基である。
【0098】
好ましくは、Actは、塩素、臭素、フッ素、ニトロフェノキシ、イミダゾリル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、N-ヒドロキシベンゾトリアゾリル、N-ヒドロキシアゾベンゾトリアゾリル、ペンタフルオロフェノキシ、2-チオオキソ-チアゾリジニル、またはN-ヒドロキシスルホスクシンイミジルである。
【実施例】
【0099】
材料および方法
材料: Rinkアミド樹脂上の側鎖保護エキセンディン-4 (J. Eng et al., J. Biol.Chem. 1992, 267, 11, 7402-7405)、クロロトリチル樹脂上の側鎖保護BNP-32a (ヒト, Alaと交換されたCys10およびCys26)、クロロトリチル樹脂上の、Lys14上のivDde側鎖保護基を有する側鎖保護BNP-32b (ヒト, Alaと交換されたCys10およびCys26)、およびRinkアミド上の側鎖保護ヒト成長ホルモン放出因子断片1-29アミド(GRF(1-29))(それぞれFmocストラテジーによって合成)はPeptide Specialty Laboratories GmbH, Heidelberg, Germanyから入手した。Mmt側鎖保護基が使用されたエキセンディン-4のLys27およびGRF(1-29)のLys21を除き、標準的側鎖保護基を使用した。
【0100】
40kDaのメトキシポリ(エチレングリコール)マレイミド-プロピオンアミド(maleimido-propionamide)(PEG40kDa-マレイミド)はChirotech Technology Ltd, Cambridge, UKから入手した。
【0101】
2-クロロトリチルクロライド樹脂、Sieberアミド樹脂およびアミノ酸は、特に指定されない限り、Merck Biosciences GmbH, Schwalbach/Ts, Germanyから入手した。Fmoc-D-ホモシステイン(Trt)-OHおよびS-トリチル-3-メルカプトプロピオン酸(Trt-MPA)はBachem AG, Bubendorf, Switzerlandから入手した。O-(N-Fmoc-2-アミノエチル)-O'-(2-カルボキシエチル)-ウンデカエチレングリコール(Fmoc-Pop-OH)はPolypure AS, Oslo, Norwayから入手した。
【0102】
Fmoc-4-(2-アミノエチル)-1-カルボキシメチル-ピペラジン(Fmoc-Acp-OH)はNeoMPS SA, Strasbourg, Franceから購入した。シス-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物はAlfa Aesar GmbH & Co KG, Karlsruhe, Germanyから入手した。
【0103】
すべての他の化学物質はSigma-ALDRICH Chemie GmbH, Taufkirchen, Germanyから入手した。
【0104】
2-クロロトリチルクロライド樹脂上で1.3 mmol/gの装填量で、またはSieberアミド樹脂上で0.55 mmol/gの装填量で固相合成を実施した。ポリプロピレンフリットを備えたシリンジを反応容器として使用した。
【0105】
製造元の指示書にしたがって最初のアミノ酸の樹脂への装填を実施した。
【0106】
Fmoc脱保護:
Fmoc保護基の除去のために、樹脂を2/2/96 (v/v/v)ピペリジン/DBU/DMFとともに攪拌(2回, 各10分)し、DMFで洗浄(10回)した。
【0107】
ivDde脱保護:
ivDde保護基の除去のために、樹脂を98/2 (v/v) DMF/ヒドラジン水和物とともに攪拌(3回, 各10分)し、DMFで洗浄(10回)した。
【0108】
Boc保護:
樹脂をDCM中の30 eq (boc)2Oおよび60 eqピリジンとともに攪拌することによってペプチドのN末端をboc保護した。1時間後、樹脂をDCMで洗浄(10回)した。
【0109】
酸の標準カップリング条件:
室温で、DMF中の樹脂上の遊離アミノ基(樹脂の理論的装填量に基づいて算出)に対して3 eqの酸、3 eq PyBOPおよび6 eq DIEAとともに樹脂を攪拌することによって、樹脂上の遊離アミノ基への酸(脂肪族酸, Fmoc-アミノ酸)のカップリングを達成した。1時間後、樹脂をDMFで洗浄(10回)した。
【0110】
3-マレイミドプロピオン酸カップリング:
室温で、DMF中の遊離アミノ基に対して2 eqの酸、2 eq DICおよび2 eq HOBtとともに樹脂を攪拌することによって、樹脂上の遊離アミノ基への3-マレイミドプロピオン酸のカップリングを達成した。30分後、樹脂をDMFで洗浄(10回)した。
【0111】
樹脂上での尿素合成の標準プロトコル:
室温で、DCM/ACN 1/1中の遊離アミノ基に対して2.5 eqのビス(ペンタフルオロフェニル)カーボネート、5 eq DIEA、および0.25 eq DMAPとともに樹脂を攪拌することによって、樹脂上での尿素の合成を達成した。15分後、樹脂をDMFで洗浄(10回)した。5 eqのアミンをDMFに溶解した。混合物を樹脂に加え、室温で60分攪拌した。樹脂をDMFで洗浄(10回)した。
【0112】
Sieberアミド樹脂の切断プロトコル:
合成完了後、樹脂をDCMで洗浄(10回)し、真空中で乾燥し、97/2/1 (v/v) DCM/TES/TFAで反復処理(5回 15分)した。溶出物をまとめ、窒素ストリーム下で揮発性物質を除去し、生成物をRP-HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLCフラクションをまとめ、凍結乾燥した。
【0113】
2-クロロトリチルクロライド樹脂の切断プロトコル:
合成完了後、樹脂をDCMで洗浄し、真空中で乾燥し、6/4 (v/v) DCM/HFIPで30分間、2回処理した。溶出物をまとめ、窒素ストリーム下で揮発性物質を除去し、生成物をRP-HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLCフラクションをまとめ、凍結乾燥した。
【0114】
Rinkアミド樹脂の切断プロトコル:
合成完了後、樹脂をDCMで洗浄し、真空中で乾燥し、樹脂100 mgあたり2 mlのTFA切断カクテル(TFA/TES/水/DTT 95/2/2/1)で室温で60分処理した。窒素ストリーム下で揮発性物質を除去した。ペプチドをジエチルエーテルから沈殿させることによって非極性副産物および保護基を除去した。沈殿物を真空中で乾燥し、ACN/水 1/1に溶解し、RP-HPLCによって精製した。
【0115】
イオン交換樹脂(Discovery DSC-SAX, Supelco, USA)を使用して、TFA塩として得られたアミン含有産物を対応するHCl塩に変換した。残留TFAが例えば以後のカップリング反応を妨害すると予測される場合、このステップを実施した。
【0116】
RP-HPLC精製:
Waters 600 HPLC SystemおよびWaters 2487 Absorbance検出装置に連結された100×20または100×40 mm C18 ReproSil-Pur 300 ODS-3 5μカラム(Dr. Maisch, Ammerbuch, Germany)でRP-HPLCを行った。溶液A (H2O中の0.1% TFA)および溶液B (アセトニトリル中の0.1% TFA)の線形勾配を使用した。生成物を含有するHPLCフラクションを凍結乾燥した。
【0117】
分析: Waters ZQ 4000 ESI機器でエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)を実施し、必要であれば、スペクトルをWatersソフトウェアMaxEntによって解釈した。
【0118】
特に指定されない限り、Superdex200 10/300カラム(Amersham Bioscience/GE Healthcare)を備えたAmersham Bioscience AEKTAbasicシステムを使用してサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を実施した。移動相として、10 mMリン酸ナトリウム、140 mM NaCl、pH 7.4、3 mM EDTAを使用した。
【0119】
カチオン交換クロマトグラフィーでは、Amersham Bioscience AEKTAbasicシステムにSource 15S充填HR16/10カラム(Amersham Bioscience/GE Healthcare)を備え付けた。
【0120】
HiPrep 26/10 Desaltingカラムを備えたAmersham Bioscience AEKTAbasicシステムおよび移動相として水中の0.1%酢酸を使用して脱塩を実施した。
【0121】
in vitroリンカー加水分解および薬物放出: 化合物をバッファーA (10 mMリン酸ナトリウム, 140 mM NaCl, pH 7.4, 3 mM EDTA)またはバッファーB (0.1 M Acetat 3 mM EDTA, pH 4.0)に溶解し、溶液を0.2μmフィルターに通してろ過し、37℃でインキュベートした。時間間隔でサンプルを採取し、215 nmでのRP-HPLCおよびESI-MSによって分析した。放出された薬物分子に相関するUVシグナルを積分し、インキュベーション時間に対してプロットした。プロドラッグおよび薬物の同一の保持時間の場合、質量シグナルの比を使用して放出速度論を決定した。
【0122】
ヒドロゲルコンジュゲートでは、化合物をバッファーAに懸濁し、37℃でインキュベートした。懸濁液の遠心分離後にサンプルを採取し、215 nmでのRP-HPLCによって分析した。放出された薬物分子に相関するUVシグナルを積分し、インキュベーション時間に対してプロットした。
【0123】
カーブフィッティングソフトウェアを適用して、対応する放出半減期を見積もった。
【0124】
実施例1
脂肪酸担体(1)の合成
【化8】

【0125】
上に描写し、「材料および方法」に記載したように、Fmoc-Lys(ivDde)-OHのカップリング、fmoc脱保護、ドデカン酸のカップリング、ivDde脱保護、Fmoc-Pop-OHのカップリング、fmoc脱保護、3-マレイミドプロピオン酸のカップリング、樹脂からの切断および精製によって、sieberアミド樹脂上で化合物1を合成した(477 mg, 0.262 mmol)。
収量: 128 mg (0.119 mmol)。
MS: m/z 1101.0 = [M+Na]+ (算出MW = 1078.4 g/mol)。
【0126】
実施例2
リンカー試薬(2)の合成
【化9】

【0127】
上に描写し、「材料および方法」に記載したように、Fmoc-Cys(Trt)-OHの樹脂への装填、fmoc脱保護、およびN,N-ジメチル-エチレンジアミンをアミンとして使用する樹脂上での尿素形成、樹脂からの切断によって3-クロロトリチルクロライド樹脂上でリンカー試薬2を合成した(300 mg, 0.39 mmol)。RP-HPLC分離では、水中の0.01% HClを溶液Aとして使用し、アセトニトリル中の0.01% HClを溶液Bとして使用した。
収量: HCl塩82 mg (0.16 mmol)。
MS: m/z 478.2 = [M+H]+ (算出MW = 477.6 g/mol)。
【0128】
実施例3
エキセンディン-4リンカー中間体(3)の合成
【化10】

【0129】
化合物2 (14 mg, 0.027 mmol)、PyBOP (14 mg, 0.027 mmol)、およびDIEA (17μl, 0.10 mmol)を0.2 mlの乾燥DMFに溶解した。混合物を22 mgの樹脂上の側鎖保護エキセンディン-4 (0.1 mmol/g, 2.2μmol)に加え、室温で30分攪拌した。樹脂をDMF (10回)およびDCM (10回)で洗浄した。「材料および方法」に記載したように、化合物3を樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: TFA塩としての化合物3 1.7 mg (0.38μmol)。
MS: m/z 1468.7 = [M+3H]3+ (算出MW = 4403 g/mol)。
【0130】
実施例4
脂肪酸-PEG-リンカー-エキセンディン-4コンジュゲート(4)の合成
【化11】

【0131】
化合物3 (1.7 mg, 0.38μmol)および化合物1 (0.6 mg, 0.58μmol)を500μlのアセトニトリル/水7/3 (v/v)に溶解した。40μlの0.5 Mリン酸バッファー(pH 7.4)を加え、混合物をRTで10分インキュベートした。コンジュゲート4をRP-HPLCによって精製した。
MS: m/z 1828.7 = [M+3H]3+ (算出MW = 5480 g/mol)。
【0132】
実施例5
リンカー中間体(5a)の合成
【化12】

【0133】
Fmoc-Acp-OH・2 HCl (100 mg, 0.21 mmol)を400μlのDMF/DMSO 1/1 (v/v)に懸濁した。S-トリチルシステアミン・HCl (75 mg, 0.21 mmol)、PyBOP (109 mg, 0.21 mmol)およびDIEA (146μl, 0.86 mmol)を加え、混合物をRTで60分攪拌した。75μlのピペリジンおよび25μlのDBUを加えることによってFmoc基を除去した。15分後、混合物を加水分解し、酸性化し(AcOH)、化合物をRP-HPLCによって精製した。凍結乾燥後、98 mg (0.14 mmol, TFA複塩(double TFA salt))を得た。
MS: m/z 511.6 = [M+Na]+ (算出MW = 488.7 g/mol)。
【0134】
シス-シクロヘキサンジアカルボン酸アモキサピンモノアミド(5b)の合成
【化13】

【0135】
アモキサピン(200 mg, 0.64 mmol)およびシス-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物(108 mg, 0.70 mmol)を700μlの乾燥DMFに溶解した。ピリジン(130μl, 1.6 mmol)を加え、混合物をRTで60分攪拌した。混合物を2 mlのアセトニトリル/酢酸/水(1/1/1)でクエンチし、RP-HPLCによって精製した。凍結乾燥後、344 mg (0.49 mmol, TFA複塩)の化合物5bを得た。
MS: m/z 468.5 = [M+H]+ (算出MW = 468.0 g/mol)。
【0136】
リンカー-アモキサピンコンジュゲート(5c)の合成
【化14】

【0137】
化合物5b (7 mg, 0.010 mmol)を200μlの乾燥DMF中のPyBOP (12.5 mg, 0.024 mmol)およびDIEA (5μl, 0.03 mmol)とRTで45分インキュベートすることによってプレ活性化した。化合物5a (20 mg, 0.028 mmol)およびDIEA (15μl, 0.09 mmol)を加え、混合物をさらに60分インキュベートした。混合物を0.5 mlのアセトニトリル/酢酸/水(1/1/1)でクエンチし、RP-HPLCによって精製した。凍結乾燥後、3 mg (0.0026 mmol, TFA複塩)の化合物5cを得た。
MS: m/z 939.3 = [M+H]+ (算出MW = 938.6 g/mol)。
【0138】
トリチル脱保護のために、凍結乾燥物を1 mlのHFIPおよび3μlのTESと30分インキュベートした。混合物を蒸発させ、チオールをRP-HPLCによって精製した。凍結乾燥後、2 mg (2.2μmol, TFA複塩)のアモキサピン-リンカーコンジュゲート5cを得た。
MS: m/z 697.1 = [M+H]+ (算出MW = 696.3 g/mol)。
【0139】
脂肪酸-PEG-アモキサピンコンジュゲート(5)の合成
【化15】

【0140】
アモキサピン-リンカーコンジュゲート5c (2 mg, 2.2μmol)および化合物1 (3.5 mg, 3.2μmol)を900μlのアセトニトリル/水 7/3 (v/v)に溶解した。60μlの0.5 Mリン酸バッファー(pH 7.4)を加え、混合物をRTで10分インキュベートした。化合物5をRP-HPLCによって精製した。
MS: m/z 1774.9 = [M+H]+ (算出MW = 1774.7 g/mol)。
【0141】
実施例6
リンカー試薬(6)の合成
【化16】

【0142】
Fmoc-Asp(tBu)-OH (411 mg, 1 mmol)、HOBt (153 mg, 1 mmol)、およびDIC (160μl, 1 mmol)を2 mlのDMFに溶解し、RTで10分インキュベートした。N,N-ジメチルエチレンジアミン(160μl, 1.5 mmol)を加え、RTで30分攪拌した。酢酸(300μl)を加え、Fmoc-Asp(tBu)-NH-(CH2)2-N(CH3)2をRP-HPLCによって精製した。
収量: 220 mg (0.46 mmol)
MS Fmoc-Asp(tBu)-NH-(CH2)2-N(CH3)2: m/z 504.6 = [M+Na]+ (算出MW = 481.6 g/mol)。
【0143】
Fmoc-Asp(tBu)-NH-(CH2)2-N(CH3)2 (220 mg, 0.46 mmol)を3 mlの98/2 (v/v) TFA/TESに溶解した。30分後、窒素ストリーム下で溶媒を除去し、溶媒Aとして水中の0.01% HClおよび溶媒Bとしてアセトニトリル中の0.01% HClを使用するRP-HPLCによって化合物6を精製した。
収量: 146 mg (0.32 mmol, HCl塩)
MS: m/z 426.5 = [M+H]+ (算出MW = 425.5 g/mol)。
【0144】
実施例7
リンカー試薬7aおよび7bの合成
【化17】

【0145】
化合物7aの合成:
Fmoc-Asp(tBu)-OH (300 mg, 0.73 mmol)、HOBt (1112 mg, 0.73 mmol)、およびDIC (117μl, 0.73 mmol)を2 mlのDMFに溶解し、RTで10分インキュベートした。Boc-エチレンジアミン(230 mg, 1.44 mmol)を加え、RTで30分攪拌した。酢酸(300μl)を加え、Fmoc-Asp(tBu)-NH-(CH2)2-NH-bocをRP-HPLCによって精製した。
収量: 205 mg (0.37 mmol)
MS 中間体: m/z 576.6 = [M+Na]+ (算出MW = 553.7 g/mol)。
【0146】
Fmoc-Asp(tBu)-NH-(CH2)2-NH-boc (205 mg, 0.37 mmol)を3 mlの98/2 (v/v) TFA/TESに溶解した。30分後、窒素ストリーム下で溶媒を除去し、Fmoc-Asp(H)-NH-(CH2)2-NH2をRP-HPLCによって精製した。
収量: 140 mg (0.27 mmol, TFA塩)
MS 中間体: m/z 398.8 = [M+H]+ (算出MW = 397.4 g/mol)。
【0147】
Fmoc-Asp(H)-NH-(CH2)2-NH2 (140 mg, 0.27 mmol, TFA塩)を1 mlのDMFに溶解し、DIEA (140μl, 0.81 mmol)およびboc2O (100 mg, 0.46 mmol)を加えた。溶液をRTで15分攪拌し、次いで酢酸(300μl)で酸性化した。化合物7aをRP-HPLCによって精製した。
収量 7a: 120 mg (0.24 mmol)
MS 7a: m/z 520.5 = [M+Na]+ (算出MW = 497.6 g/mol)。
【0148】
第1ステップのアミンとしてboc-エチレンジアミンの代わりにH2N-(CH2)2-N(CH3)-bocを使用したことを除き、上記のように化合物7bを合成した。
収量 7b: 115 mg
MS 7b: m/z 534.5 = [M+Na]+ (算出MW = 511.6 g/mol)。
【0149】
実施例8
エキセンディン-リンカーコンジュゲート8a、8bおよび8cの合成
【化18】

【0150】
化合物8aの合成:
化合物7a (30 mg, 60μmol)、HOBt (9 mg, 60μmol)、DIEA (12μl, 70μmol)、およびDIC (10μl, 63μmol)を200μlのDMFに溶解し、樹脂上の側鎖保護エキセンディン-4 (40 mg, 4μmol)に直ちに加え、室温で1時間インキュベートした。樹脂をDMFで10回洗浄し、次いで500μlの1/1/2 無水酢酸/ピリジン/DMFと5分インキュベートした。樹脂をDMFで10回洗浄し、fmoc基を除去した。Trt-メルカプトプロピオン酸をカップリングし、化合物8aを樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 3.6 mg
MS 8a: m/z 1108.5 = [M+4H]4+;1477.8 = [M+3H]3+ (算出MW = 4432 g/mol)。
【0151】
化合物7aの代わりに化合物7bを使用したことを除き、化合物8aに関して上に記載したように化合物8bを合成した。
収量: 3.5 mg
MS 8b: m/z 1112.5 = [M+4H]4+;1482.5 = [M+3H]3+ (算出MW = 4446 g/mol)。
【0152】
化合物7aの代わりに化合物6を使用したことを除き、化合物8aに関して上に記載したように化合物8cを合成した。
収量: 3.2 mg
MS 8c: m/z 1116.2 = [M+4H]4+;1487.8 = [M+3H]3+ (算出MW = 4460 g/mol)。
【0153】
実施例9
PEG40kDa-リンカー-エキセンディンコンジュゲート9a、9b、および9cの合成
【化19】

【0154】
化合物9aの合成:
化合物8a (3.6 mg)を300μlの2/1 水/アセトニトリルに溶解し、PEG40kDa-マレイミド50 mgを加えた。100μlの0.25 Mリン酸ナトリウムバッファーpH 7を加え、5分後に50μlの酢酸で溶液を酸性化した。
【0155】
溶媒Aとして10 mMクエン酸ナトリウムpH 3および溶媒Bとして10 mMクエン酸ナトリウムpH 3および1 M NaClを使用し、かつステップ勾配(0〜40% B)を使用するイオン交換クロマトグラフィーによって化合物9aを精製した。化合物9aを含有するフラクションを脱塩し、凍結乾燥した。
収量: 14 mg。
【0156】
化合物8bを使用したこと除き、上記のように化合物9bを合成した。
収量: 15 mg。
【0157】
化合物8cを使用したこと除き、上記のように化合物9cを合成した。
収量: 13 mg。
【0158】
実施例10
脂肪酸-リンカー-エキセンディンコンジュゲート10の合成
【化20】

【0159】
化合物8c (1 mg)を100μlの1/1 アセトニトリル/水に溶解し、100μlの3/1 アセトニトリル/水中の化合物1 (1 mg)を加えた。100μlの0.25 Mリン酸ナトリウムバッファーを加え、反応物を5分攪拌し、その後、化合物10をRP-HPLCによって精製した。
収量: 1.3 mg
MS 10: m/z 1385.9 = [M+4H]4+;1846.3 = [M+3H]3+ (算出MW = 5528.3 g/mol)。
【0160】
実施例11
NHS活性化リンカー試薬11の合成
【化21】

【0161】
化合物7b (20 mg, 40μmol)、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(10 mg, 48μmol)、およびNHS (8 mg, 70μmol)を300μlの乾燥DCMに溶解し、RTで1時間攪拌した。窒素ストリーム下で溶媒を除去し、化合物11をRP-HPLCによって精製し、凍結乾燥した。
収量: 22 mg (36μmol)
MS: m/z 631.5 = [M+Na]+ (算出MW = 608.7 g/mol)。
【0162】
実施例12
リンカー-エキセンディン(フルオレセイン)コンジュゲート(12a)およびリンカー-GRF(1-29)(フルオレセイン)コンジュゲート(12b)の合成
【化22】

【0163】
化合物6 (60 mg, 130μmol HCl塩)、HOBt (20 mg, 130μmol)、DIEA (40μl, 230μmol)、およびDIC (20μl, 126μmol)を700μlのDMFに溶解し、樹脂上の側鎖保護エキセンディン-4 (120 mg, 12μmol)に直ちに加え、室温で1時間インキュベートした。樹脂をDMFで10回洗浄し、次いで1 mlの1/1/2 (v/v/v) 無水酢酸/ピリジン/DMFと5分インキュベートした。樹脂をDMFで10回洗浄し、fmoc基を除去した。Trt-メルカプトプロピオン酸を標準カップリング法に従ってカップリングし、樹脂をDMFで5回およびDCMで10回洗浄した。樹脂を2 mlの9/1 (v/v) DCM/HFIP中で5分間、5回インキュベートすることによってLys27のMmt保護基を除去した。樹脂をDCMで5回およびDMFで5回洗浄し、300μlのDMF中の5,6-カルボキシ-フルオレセイン-NHSエステル(5,6-carboxy-flourescein-NHS ester)(20 mg, 42μmol)およびDIEA (20μl, 115μl)を樹脂に加え、30分インキュベートした。化合物12aを樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 12 mg
MS 12a: m/z 1205.9 = [M+4H]4+;1607.0 = [M+3H]3+ (算出MW = 4818.3 g/mol)。
【0164】
樹脂上のGRF(1-29)(120mg, 12μmol)を使用したことを除き、化合物12aに関して記載したように化合物12bを合成した。
収量: 11 mg
MS 12b: m/z 998.6 = [M+4H]4+;1330.5 = [M+3H]3+ (算出MW = 3989.6 g/mol)。
【0165】
メルカプトプロピオニル-エキセンディン(フルオレセイン)(12c)およびメルカプトプロピオニル-GRF(1-29)(フルオレセイン)(12d)の合成
【化23】

【0166】
標準カップリング法に従ってTrt-メルカプトプロピオン酸を樹脂上の側鎖保護エキセンディン-4 (120 mg, 12μmol)にカップリングした。化合物12aに関して記載したようにLys27のMmt保護基の除去および5,6-カルボキシ-フルオレセイン-NHSエステルのカップリングを実施した。化合物12cを樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 13 mg
MS 12c: m/z 1545.6 = [M+3H]3+ (算出MW = 4633 g/mol)。
【0167】
樹脂上のGRF(1-29)(120mg, 12μmol)を使用したことを除き、化合物12cに関して記載したように化合物12dを合成した。
収量: 11 mg
MS 12d: m/z 1269.1 = [M+3H]3+ (算出MW = 3804.3 g/mol)。
【0168】
実施例13
可逆的PEG40kDa-リンカー-エキセンディン(フルオレセイン)コンジュゲート(13a)および可逆的PEG40kDa-リンカー-GRF(1-29)(フルオレセイン)コンジュゲート(13b)の合成
【化24】

【0169】
化合物12a (12 mg)を500μlの1/1 アセトニトリル/水に溶解し、1 mlの1/1 アセトニトリル/水中のPEG40kDa-マレイミド120 mgを加えた。300μlの0.25 Mリン酸ナトリウムバッファーpH 7.0を加え、10分後に酢酸300μlで溶液を酸性化した。化合物13aをカチオン交換クロマトグラフィーによって精製し、脱塩し、次いで凍結乾燥した。
収量: 51 mg。
【0170】
化合物12aの代わりに化合物12bを使用したことを除き、化合物13aに関して記載したように化合物13bを合成した。
収量: 46 mg。
【0171】
恒久的PEG40kDa-エキセンディン(フルオレセイン)コンジュゲート(13c)および恒久的PEG40kDa-GRF(1-29)(フルオレセイン)コンジュゲート(13d)の合成
【化25】

【0172】
化合物12aの代わりに化合物12cを使用したことを除き、化合物13aに関して記載したように化合物13cを合成した。
収量: 55 mg。
【0173】
化合物12aの代わりに化合物12dを使用したことを除き、化合物13aに関して記載したように化合物13dを合成した。
収量: 45 mg。
【0174】
実施例14
リンカー-GRF(1-29)コンジュゲート14の合成
【化26】

【0175】
側鎖保護GRF(1-29)樹脂を使用したことを除き、化合物8cに関して記載したように化合物14を合成した。
収量: 10 mg
MS 14: m/z 908.2 = [M+4H]4+;1211.2 = [M+3H]3+ (算出MW = 3631.3 g/mol)。
【0176】
実施例15
PEG40kDa-リンカー-GRF(1-29)コンジュゲート(15)の合成
【化27】

【0177】
化合物14を使用し、かつカチオン交換クロマトグラフィーの溶媒Aとして10 mMクエン酸ナトリウムpH 4および溶媒Bとして10 mMクエン酸ナトリウムpH 4および1 M塩化ナトリウムを使用したことを除き、化合物9cに関して記載したように化合物15を合成した。
収量: 11 mg。
【0178】
実施例16
リンカー中間体16の合成
【化28】

【0179】
N,N-ジメチルエチレンジアミン(198μL, 1.8 mmol)およびNaCNBH3 (58 mg, 0.9 mmol)をメタノール(5 mL)に溶解し、AcOH (250μL)を加えてpH 5.5にした。EtOH (5 mL)中の2,4,6,-トリメトキシベンズアルデヒド(294 mg, 1.5 mmol)の懸濁液を加え、反応物をRTで1時間攪拌した。5 N HCl (0.5 mL)を加え、混合物をさらに12時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し;残留物を飽和NaHCO3に溶解し、DCMで3×抽出した。有機相をまとめ、NaSO4で乾燥し、減圧下で溶媒を蒸発させた。
収量: 303 mg (1.13 mmol)
MS: m/z 269.3 = [M+H]+ (算出MW = 268.4 g/mol)。
【0180】
実施例17
リンカー17aおよび17bの合成
【化29】

【0181】
化合物17aの合成:
Fmoc-Asp(OtBu)-OH (322 mg, 0.78 mmol)、Tmob-保護ジアミン16 (150 mg, 0.56 mmol)、HATU (255 mg, 0.67 mmol)およびDIEA (290μL, 1.68 mmol)をDMF (1.5 mL)に溶解した。混合物を30分攪拌し、AcOHで酸性化し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 463 mg (5.97 mmol,TFA塩, 約90%純度)
MS Fmoc-Asp(OtBu)-N(TMOB)CH2CH2N(CH3)2 : m/z 662.5 = [M+H]+ (算出MW = 661.8 g/mol)。
【0182】
Fmoc-Asp(OtBu)-N(Tmob)CH2CH2N(CH3)2 (225 mg, 0.29 mmol)をDMF (1.5 mL)中のピペリジン(50μL)およびDBU (15μL)の溶液に溶解した。混合物をRTで1.5時間攪拌した。AcOHを加え、H-Asp(OtBu)-N(TMOB)CH2CH2N(CH3)2をRP-HPLCによって精製した。
収量: 114 mg (0.21 mmol, TFA塩)
MS H-Asp(OtBu)-N(Tmob)CH2CH2N(CH3)2: m/z 462.4 = [M+Na]+ (算出MW = 439.6 g/mol)。
【0183】
H-Asp(OtBu)-N(Tmob)CH2CH2N(CH3)2のTFA塩(114 mg, 0.21 mmol)を飽和NaHCO3 (10 mL)に溶解し、DCM (3× 10 mL)で3×抽出した。有機相をまとめ、NaSO4で乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。残留物をDMF (1.0 mL)に溶解し、6-トリチルメルカプトヘキサン酸(121 mg, 0.31 mmol)、HATU (118 mg, 0.31 mmol)およびDIEA (108μL, 0.62 mmol)を加えた。混合物を30分攪拌した。AcOHを加え(200μL)、TrtS(CH2)5CONH-Asp(OtBu)-N(Tmob)CH2CH2N(CH3)2をRP-HPLCによって精製した。
収量: 95 mg (0.10 mmol, TFA塩)
MS TrtS(CH2)5CONH-Asp(OtBu)-N(Tmob)CH2CH2N(CH3)2: m/z 812.64 = [M+H]+ (算出MW = 812.1 g/mol)。
【0184】
TrtS(CH2)5CONH-Asp(OtBu)-N(Tmob)CH2CH2N(CH3)2 (95 mg, 0.10 mmol)をMeOH/H2Oの3:1混合物(1.0 mL)に溶解し、LiOH (7.4 mg, 0.31 mmol)を加え、混合物を60℃で5時間攪拌した。AcOHを加え(100μL)、化合物17aをRP-HPLCによって精製した。
収量: 64 mg (0.07 mmol, TFA塩)
MS 17a: m/z 756.5 = [M+H]+ (算出MW = 756.0 g/mol)。
【0185】
第1ステップでFmoc-Asp(OtBu)-OHの代わりにFmoc-NMe-Asp(OtBu)-OHを使用したことを除き、上記のように化合物17bを合成した。
収量 17b: 16 mg (18μmol, TFA塩)
MS 17b: m/z 770.5 = [M+H]+ (算出MW = 770.0 g/mol)。
【0186】
実施例18
リンカー-BNPコンジュゲート18aおよび18bの合成
【化30】

【0187】
化合物18aの合成:
化合物17a (8.0 mg, 0.01 mmol)、PyBOP (5.2 mg, 10μmol)およびDIEA (7μL, 40μmol)をDMF (400μL)に溶解し、樹脂に結合している側鎖保護BNP-32a (50 mg, 5μmol)に直ちに加えた。RTで2時間インキュベートした後、樹脂を10× DMF、10× DCMで洗浄し、真空中で乾燥した。生成物を樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 10.6 mg
MS 18a: m/z 930.4 = [M+4H]4+;1240.1 = [M+3H]3+ (算出MW = 3717.2 g/mol)。
【0188】
化合物17aの代わりに化合物17bを使用したことを除き、上記のように化合物18bを合成した。
収量: 4.7 mg
MS 18b: m/z 933.9 = [M+4H]4+;1244.7 = [M+3H]3+ (算出MW = 3731.0 g/mol)。
【0189】
実施例19
PEG40kDa-リンカー-BNPコンジュゲート19aおよび19bの合成
【化31】

【0190】
0.1 % TFAを含有する1:1 H2O/アセトニトリル(200μL)に化合物18a (5.2 mg)を溶解した。1:1 H2O/アセトニトリル(1.5 mL)中のPEG40kDa-マレイミド(70 mg)の溶液およびリン酸バッファー(30μL, pH 7.4, 0.5 M)を加えた。溶液をRTでインキュベートし、5分後にAcOH (30μL)を加えた。化合物19aをカチオン交換クロマトグラフィーによって精製し、脱塩し、凍結乾燥した。
収量: 19.2 mg。
【0191】
化合物18aの代わりに化合物18bを使用したことを除き、化合物19aに関して記載したように化合物19bを合成した。
【0192】
実施例20
リンカー20の合成
【化32】

【0193】
Fmoc-Asp(OH)OtBu (100 mg, 0.24 mmol)、H2N-(CH2)2-N(CH3)-boc (36μL, 0.20 mmol)、HATU (92 mg, 0.24 mmol)およびDIEA (105μL, 0.60 mmol)を1 mLのDMFに溶解した。混合物をRTで1時間攪拌し、AcOH (100μL)で酸性化し、HPLCによって精製した。
収量: 91 mg (0.13 mmol)
MS Fmoc-Asp(NH(CH2)2N(CH3)-boc)OtBu: 590.3 = [M+Na]+ (算出MW = 567.7 g/mol)。
【0194】
Fmoc-Asp(NH(CH2)2N(CH3)-boc)OtBu (91 mg, 0.13 mmol)をDMF (1.0 mL)に溶解し、ピペリジン(50μL)およびDBU (15μL)を加え、混合物をRTで45分攪拌した。AcOH (100μL )を加え、NH2-Asp(NH(CH2)2N(CH3)-boc)OtBuをRP-HPLCによって精製した。
収量: 39 mg (0.09 mmol, TFA塩)
MS NH2-Asp(NH(CH2)2N(CH3)-boc)OtBu: m/z 368.1 = [M+Na]+ (算出MW = 345.4 g/mol)。
【0195】
NH2-Asp(NH(CH2)2N(CH3)-boc)OtBu (36 mg, 0.09 mmol)をDMF (0.5 mL)に溶解し、6-トリチルメルカプトヘキサン酸(55 mg, 0.14 mmol)、HATU (53 mg, 0.14 mmol)およびDIEA (49μL, 0.28 mmol)を加えた。混合物を45分攪拌した。AcOHを加え(100μL)、TrtS(CH2)5CONH-Asp(NH(CH2)2N(CH3)-boc)OtBuをRP-HPLCによって精製した。
収量: 41 mg (0.06 mmol)
MS TrtS(CH2)5CONH-Asp(NH(CH2)2N(CH3)-boc)OtBu: m/z 740.6 = [M+Na]+ (算出MW = 718.0 g/mol)。
【0196】
TrtS(CH2)5CONH-Asp(NH(CH2)2N(CH3)-boc)OtBu (41 mg, 0.06 mmol)を1:1 ジオキサン/H2O (1.0 mL)に溶解し、LiOH (4.1 mg, 0.17 mmol)を加え、混合物を60℃で1時間攪拌した。AcOH (50μL)を加え、化合物20をRP-HPLCによって精製した。
収量: 31 mg (0.05 mmol)
MS 20: m/z 684.5 = [M+Na]+ (算出MW = 661.9 g/mol)。
【0197】
実施例21
リンカー-エキセンディンコンジュゲート21の合成
【化33】

【0198】
Lys27上のMmt保護基を有する、樹脂に結合している側鎖保護エキセンディン(50 mg, 5μmol)を、まず、N末端でboc-保護し(材料および方法を参照のこと)、次いで2 mLの9/1 (v/v) DCM/HFIPと5回(5分)インキュベートして、Lys27からMmt保護基を除去した。化合物20 (6.6 mg, 10μmol)、PyBOP (5.2 mg, 10μmol)およびDIEA (7μL, 40μmol)をDMF (400μL)に溶解し、樹脂に直ちに加えた。RTで3時間インキュベートし、樹脂を10× DMF、10× DCMで洗浄し、真空中で乾燥した。生成物を樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 2.4 mg
MS 21: m/z 1497.2 = [M+3H]3+ (算出MW = 4488.0 g/mol)。
【0199】
実施例22
脂肪酸-リンカー-エキセンディンコンジュゲート22の合成
【化34】

【0200】
化合物21 (2.6 mg)を200μlの1/1 アセトニトリル/水に溶解し、400μlの7/3 アセトニトリル/水中の化合物1 (0.8 mg)を加えた。100μlの0.25 Mリン酸ナトリウムバッファーを加え、反応物を5分攪拌し、その後、化合物22をRP-HPLCによって精製した。
収量: 2.4 mg
MS 22: m/z 1388.3 = [M+4H]4+;1857.1 = [M+3H]3+ (算出MW = 5566.4 g/mol)。
【0201】
実施例23
前駆体23の合成
【化35】

【0202】
6-トリチルメルカプトヘキサン酸(200 mg, 0.51 mmol)、(PfpO)2CO (202 mg, 0.51 mmol)およびコリジン(340μL, 2.65 mmol)をDMSO (1 mL)に溶解し、RTで30分攪拌した。混合物をH2O/ピリジン/tBuOH (3:3:1, 6 mL)中のFmoc-Lys-OH (170 mg, 0.46 mmol)の溶液に加えた。反応物を60℃で2時間加熱し、EtOAcで希釈し、0.1M H2SO4で2×抽出し、ブラインで2×抽出し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をRP-HPLCによって精製した。
収量: 109 mg
MS 23: m/z 741.3 [M+H]+ (算出MW = 741.0 g/mol)。
【0203】
実施例24
リンカー24a-24cの合成
【化36】

【0204】
化合物23 (186 mg, 0.25 mmol)およびDIEA (160μL, 0.92 mmol)をDCM (2 mL)に溶解し、2-クロロトリチルクロライド樹脂(312 mg, 1.3 mmol/g)に加え、RTで45分攪拌した。MeOH (0.6 mL)を加え、樹脂をさらに15分インキュベートした。樹脂をDCM (10×)およびDMF (10×)で洗浄した。一般的手法(材料および方法を参照のこと)に従ってN-boc-エチレンジアミン(57μL, 0.34 mmol)と反応させることによってFmoc脱保護および尿素形成を達成し、生成物を樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 14 mg
MS 24a: m/z 705.4 [M+H]+, 727.3 [M+Na]+ (算出MW = 704.9 g/mol)。
【0205】
N-boc-エチレンジアミンの代わりにN-boc-N-メチルエチレンジアミンを使用したことを除き、化合物24aに関して記載したように化合物24bを合成した。
収量: 21 mg
MS 24b: m/z 719.3 [M+H]+, 741.4 [M+Na]+ (算出MW = 719.0 g/mol)。
【0206】
N-boc-エチレンジアミンの代わりにN,N-ジメチルエチレンジアミンを使用したことを除き、化合物24aに関して記載したように化合物24cを合成した。
収量: 10 mg
MS 24c: m/z 633.2 [M+H]+ (算出MW = 632.9 g/mol)。
【0207】
実施例25
エキセンディン-リンカーコンジュゲート25a-25cの合成
【化37】

【0208】
化合物24a (7.0 mg, 0.01 mmol)、PyBOP (5.2 mg, 10μmol)およびDIEA (7μL, 40μmol)をDMF (250μL)に溶解し、樹脂に結合している側鎖保護エキセンディン(50 mg, 5μmol)に直ちに加え、RTで2時間インキュベートした。樹脂をDMF (10×)、DCM (10×)で洗浄し、真空中で乾燥した。生成物を樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 1.6 mg
MS 25a: m/z 1511.8 = [M+3H]3+ (算出MW = 4530.8 g/mol)。
【0209】
化合物24aの代わりに化合物24bを使用したことを除き、化合物25aに関して記載したように化合物25bを合成した。
収量: 4.3 mg
MS 25b: m/z 1516.3 = [M+3H]3+ (算出MW = 4544.8 g/mol)。
【0210】
化合物24aの代わりに化合物24cを使用したことを除き、化合物25aに関して記載したように化合物25cを合成した。
収量: 1.3 mg
MS 25c: m/z 1520.4 = [M+3H]3+ (算出MW = 4558.8 g/mol)。
【0211】
実施例26
脂肪酸-リンカーコンジュゲート26a-26cの合成
【化38】

【0212】
化合物25a (1.6 mg)を200μlの1/1 アセトニトリル/水に溶解し、200μlの7/3 アセトニトリル/水中の化合物1 (0.11 mg)を加えた。30μlの0.25 Mリン酸ナトリウムバッファーを加え、反応物を5分攪拌し、その後、化合物26aをRP-HPLCによって精製した。
MS 26a: m/z 1870.0 = [M+3H]3+ (算出MW = 5609.2 g/mol)。
【0213】
化合物25aの代わりに化合物25bを使用したことを除き、化合物26aに関して記載したように化合物26bを合成した。
MS 26b: m/z 1875.9 = [M+3H]3+, 1406.7 = [M+4H]4+ (算出MW = 5623.2 g/mol)。
【0214】
化合物25aの代わりに化合物25cを使用したことを除き、化合物26aに関して記載したように化合物26cを合成した。
MS 26c: m/z 1879.4 = [M+3H]3+, 1410.5 = [M+4H]4+ (算出MW = 5637.2 g/mol)。
【0215】
実施例27
20KDa-PEG-リンカー-エキセンディンコンジュゲート27a-27cの合成
【化39】

【0216】
0.1 % TFAを含有する1:1 H2O/MeCN (200μl)に化合物25a (2.0 mg)を溶解した。1:1 H2O/MeCN (1 ml)中のPEG40KDa-マレイミド(18 mg)の溶液およびリン酸バッファー(15μl, pH 7.4, 0.5 M)を加えた。溶液をRTでインキュベートし、5分後にAcOH (20μl)を加え、化合物27aをカチオン交換クロマトグラフィーによって精製し、脱塩し、凍結乾燥した。
【0217】
化合物25aの代わりに化合物25bを使用したことを除き、化合物27aに関して記載したように化合物27bを合成した。
【0218】
化合物25aの代わりに化合物25cを使用したことを除き、化合物27aに関して記載したように化合物27cを合成した。
【0219】
実施例28
リンカー28の合成:
【化40】

【0220】
6-ブロモヘキサノイルクロライド(46μl, 0.31 mmol)を0.2 mlのCH2Cl2に溶解し、CH2Cl2 (0.8 ml)中のH2N-CH2-CH2-STrt (100 mg, 0.28 mmol)、DIEA (97μl, 0.56 mmol)の溶液に加えた。混合物をRTで2時間攪拌した。反応混合物をAcOH (50μl)で酸性化し、溶媒を真空中で除去した。残留物をシリカゲル(ヘプタン/EtOAc = 1 :1)で精製して、Br-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrtを得た。
収量: 137 mg (0.276 mmol, 98 %)
MS Br-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrt: 518.9 = [M+Na]+, (算出MW = 496.5 g/mol)。
【0221】
DMF (0.8 ml)中のBr-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrt (230 mg, 0.46 mmol)およびNa2CO3 (196 mg, 1.85 mmol)の溶液にN-Boc-エチレンジアミン(81μl, 0.51 mmol)を加えた。反応混合物を70℃で10時間攪拌した。RTに冷却した後、混合物を4 mlの (MeCN/H2O = 25:75, 0.1 % TFAを含む)で希釈し、RP-HPLCによって精製して、Boc-NH-(CH2)2-NH-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrtを得た。
収量: 189 mg (0.27 mmol, 59 %, TFA-塩)
MS Boc-NH-(CH2)2-NH-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrt: 576.5 = [M+H]+, (算出MW = 575.5 g/mol)。
【0222】
Boc-NH-(CH2)2-NH-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrt (189 mg, 0.27 mmol)およびHCHO (35 %水溶液, 113μl)をMeCN (1.5 ml)に溶解し、NaCNBH3 (34 mg, 0.54 mmol)を加えた。反応混合物をRTで5時間攪拌した。反応完了後(MS)、溶液をH2O (5 ml)で希釈し、CH2Cl2 (3 × 5 ml)で抽出した。有機層をまとめ、MgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を真空中で除去した。残留物をRP-HPLCによって精製して、Boc-NH-(CH2)2-N(CH3)-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrtを得た。
収量: 62.8 mg (0.11 mmol, 39 %)
MS Boc-NH-(CH2)2-N(CH3)-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrt: 590.6 = [M+H]+, (算出MW = 589.0 g/mol)。
【0223】
Boc-NH-(CH2)2-N(CH3)-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrt (62.8 mg, 0.11 mmol)をTHF (6 ml)に溶解し、ジオキサン中のHCl (130μl, 4 M溶液)を加えた。反応混合物をRTで12時間攪拌した。ジオキサン中のHCl 200μlを加え、溶媒を真空中で除去した。残留物をRP-HPLCによって精製して、H2N-(CH2)2-N(CH3)-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrtおよび消費されなかった出発材料Boc-NH-(CH2)2-N(CH3)-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrtを得た。
収量: 化合物28 32.8 mg (0.062 mmol, 44 %, HCl-塩)および出発材料14.7 mg (0.025 mmol, 23 %, TFA-塩)
MS 28: 490.5 = [M+H]+, (算出MW = 489.0 g/mol)。
【0224】
実施例29
カルボン酸置換BNP前駆体29aおよび29bの合成に関する一般的手順
【化41】

【0225】
シス-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物(231 mg, 1.5 mmol)およびピリジン(271μl, 2 mmol)をDCM (2 ml)に溶解し、樹脂に結合している側鎖保護BNP-32a (300 mg)に加えた。RTで1時間インキュベートし、10 × DCMで洗浄し、真空中で乾燥した。
【化42】

【0226】
Lys14にivDde保護基を有する、樹脂に結合している側鎖保護BNP-32bを、まず、N末端でboc-保護し、Lys14位で脱保護し(材料および方法を参照のこと)、次いで化合物29aに関して上記のようにシス-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物と反応させた。
【0227】
実施例30
BNP-リンカー-チオール30aおよび30bの合成
【化43】

【0228】
H2N-(CH2)2-N(CH3)-(CH2)5-CONH-(CH2)2-STrt 28 (5.2 mg, 0.01 mmol)、PyBOP (5.2 mg, 0.01 mmol)およびDIEA (7.0μl, 0.04 mmol)をDMF (300μl)に溶解し、樹脂に結合している側鎖保護BNP 29a (50 mg, 0.005 mmol)に加えた。RTで2時間インキュベートし、樹脂をDMF (10×)、DCM (10×)で洗浄し、真空中で乾燥した。生成物を樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 9.8 mg
MS 30a: m/z 947.6 = [M+4H]4+, 1263.1 = [M+3H]3+ (算出MW = 3786.3 g/mol)。
【化44】

【0229】
化合物29aの代わりに樹脂に結合しているBNP誘導体29bを使用したことを除き、上記のように化合物30bを合成した。
収量: 7.4 mg
MS 30b: m/z 947.5 = [M+4H]4+, 1263.0 = [M+3H]3+ (算出MW = 3786.3 g/mol)。
【0230】
実施例31
40KDa-PEG-リンカー-BNPコンジュゲート31aおよび31bの合成
【化45】

【0231】
0.1 % TFAを含有する1:1 H2O/MeCN (200μl)に化合物30a (4 mg)を溶解した。1:1 H2O/MeCN (1 ml)中のPEG40KDa-マレイミド(42.2 mg)の溶液およびリン酸バッファー(15μl, pH 7.4, 0.5 M)を加えた。溶液をRTでインキュベートし、5分後にAcOH (20μl)を加え、化合物31aをカチオン交換クロマトグラフィーによって精製し、脱塩し、凍結乾燥した。
収量: 2.0 mg。
【化46】

【0232】
化合物30aの代わりに化合物30bを使用したことを除き、化合物31aに関して記載したように化合物31bを合成した。
収量: 16.8 mg。
【0233】
実施例32
リンカー32の合成
【化47】

【0234】
3-ブロモプロピオニルクロライド(62.5μl, 0.62 mmol)を0.5 mlのCH2Cl2に溶解し、CH2Cl2 (1 ml)中のH2N-CH2-CH2-STrt (200 mg, 0.56 mmol)、DIEA (196μl, 1.1 mmol)の溶液に加えた。混合物をRTで1時間攪拌した。反応混合物をAcOH (100μl)で酸性化し、溶媒を真空中で除去した。残留物をシリカゲル(ヘプタン/EtOAc = 1:1)で精製して、Br-(CH2)2CONH-(CH2)2-STrtを得た。
収量: 223 mg (0.49 mmol, 87 %)
MS Br-(CH2)2CONH-(CH2)2-STrt: 478.7 = [M+Na]+, (算出MW = 454.7 g/mol)。
【0235】
N-Alloc-エチレンジアミンHCl-塩(43.5 mg, 0.24 mmol)およびDIEA (38μl, 0.22 mmol)をDMF (1 ml)中のBr-(CH2)2CONH-(CH2)-STrt (100 mg, 0.22 mmol)およびNa2CO3 (93 mg, 0.87 mmol)の溶液に加えた。反応混合物を70℃で10時間攪拌した。RTに冷却した後、反応混合物を4 ml (MeCN/H2O = 25:75, 0.1 % TFAを含む)で希釈し、HPLCによって精製して、Alloc-NH-(CH2)2-NH-(CH2)2-CONH-(CH2)2-STrtを得た。
収量: 61 mg (0.096 mmol, 44 %, TFA塩)
MS Alloc-NH-(CH2)2-NH-(CH2)2-CONH-(CH2)2-STrt: 540.8 = [M+Na]+, (算出MW = 517.8. g/mol)。
【0236】
Alloc-NH-(CH2)2-NH-(CH2)2-CONH-(CH2)2-STrt (60.9 mg, 0.096 mmol)をCH2Cl2に溶解し、Boc2O (42 mg, 0.19 mmol)を加えた。溶液をRTで20時間攪拌した。完了後、70μlのAcOHを加えることによって反応をクエンチし、溶媒を真空中で除去した。残留物を4 mlのMeCN/H2O (25:75, 0.1 % TFAを含む)で希釈し、RP-HPLCによって精製して、Alloc-NH-(CH2)2-N(Boc)-(CH2)2-CONH-(CH2)2-STrtを得た。
収量: 53.3 mg (0.086 mmol, 89 %)
MS Alloc-NH-(CH2)2-N(Boc)-(CH2)2-CONH-(CH2)2-STrt: 640.6 = [M+Na]+, (算出MW = 617.9. g/mol)。
【0237】
Alloc-NH-(CH2)2-N(Boc)-(CH2)2-CONH-(CH2)2-STrt (48.3 mg, 0.078 mmol)をTHFに溶解し、トリエチルアンモニウムフォーマット(triethylammoniumformat)(62μl)およびPd(PPh3)4 (16 mg)を加えた。溶液をRTで12時間攪拌し、MSによってモニターした。完了後、溶媒を真空中で除去した。残留物をMeCN/H2O (50:50, 0.1 % TFAを含む)に溶解し、RP-HPLCによって精製して、H2N-(CH2)2-N(Boc)-(CH2)2-CONH-(CH2)2-STrt (31)を得た。
収量: 20.1 mg (0.031 mmol, 40 %, TFA-塩)
MS 31: 534.6 = [M+H]+, 556.6 = [M+Na]+, (算出MW = 533.5 g/mol)。
【0238】
実施例33
BNP-リンカー-チオール33aおよび33bの合成
【化48】

【0239】
化合物28の代わりに化合物32を使用したことを除き、化合物30aに関して記載したように化合物33aを合成した。
収量: 8.0 mg
MS 33a: m/z 933.5 = [M+4H]4+, 1244.3 = [M+3H]3+ (算出MW = 3729.9 g/mol)。
【化49】

【0240】
化合物28の代わりに化合物32を使用したことを除き、化合物30bに関して記載したように化合物33bを合成した。
収量: 5.0 mg
MS 33b: m/z 933.5 = [M+4H]4+, 1244.3 = [M+3H]3+ (算出MW = 3715.9 g/mol)。
【0241】
実施例34
40KDa-PEG-リンカー-BNPコンジュゲート34aおよび34bの合成
【化50】

【0242】
0.1 % TFAを含有する1:1 H2O/MeCN (200μl)に化合物33a (4.3 mg)を溶解した。1:1 H2O/MeCN (1 ml)中のPEG40KDa-マレイミド(46.8 mg)の溶液およびリン酸バッファー(20μl, pH 7.4, 0.5 M)を加えた。溶液をRTでインキュベートし、5分後にAcOH (20μl)を加え、化合物34aをカチオン交換クロマトグラフィーによって精製し、脱塩し、凍結乾燥した。
収量: 9.7 mg。
【化51】

【0243】
化合物33aの代わりに化合物33bを使用したことを除き、化合物34aに関して記載したように化合物34bを合成した。
収量: 11.5 mg。
【0244】
実施例35
リンカー35の合成
【化52】

【0245】
ブロモアセチルブロミド(54μl, 0.62 mmol)を0.5 mlのCH2Cl2に溶解し、CH2Cl2 (1 ml)中のH2N-CH2-CH2-STrt (200 mg, 0.56 mmol)およびDIEA (196μl, 1.1 mmol)の溶液に加えた。混合物をRTで1時間攪拌した。反応混合物をAcOH (100μl)で酸性化し、溶媒を真空中で除去した。残留物をシリカゲル(ヘプタン/EtOAc = 1 :1)で精製して、生成物Br-CH2-CONH-(CH2)2-STrtを得た。
収量: 245 mg (0.55 mmol, 99 %)
MS Br-CH2-CONH-(CH2)2-STrt: 462.4 = [M+Na]+, (算出MW = 440.4 g/mol)。
【0246】
N-Alloc-エチレンジアミンHCl-塩(45 mg, 0.25 mmol)およびDIEA (79μl, 0.45 mmol)をDMF (1 ml)中のBr-CH2-CONH-(CH2)2-STrt (100 mg, 0.23 mmol)の溶液に加えた。反応混合物を70℃で10時間攪拌した。RTに冷却した後、反応混合物をH2O/Et2O (1:1, 40 ml)で希釈し、層を分離した。水層をEt2Oで数回抽出した。有機層をまとめ、MgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を真空中で除去した。残留物をシリカゲル(DCM/MeOH = 95:5)で精製して、Alloc-NH-(CH2)2-NH-CH2-CONH-(CH2)2-STrtを得た。
収量: 94 mg (0.186 mmol, 82 %, 残留DMFを含有)
MS Alloc-NH-(CH2)2-NH-CH2-CONH-(CH2)2-STrt: 526.8 = [M+Na]+, (算出MW = 503.8. g/mol)。
【0247】
Alloc-NH-(CH2)2-NH-CH2-CONH-(CH2)2-STrt (94 mg, 0.186 mmol, DMFを含む))をCH2Cl2に溶解し、Boc2O (81 mg, 0.37 mmol)を加えた。溶液をRTで20時間攪拌した。完了後、100μlのAcOHを加えることによって反応をクエンチし、溶媒を真空中で除去した。残留物を4 mlのMeCN/H2O (25:75, 0.1 % TFAを含む)で希釈し、RP-HPLCによって精製して、Alloc-NH-(CH2)2-N(Boc)-CH2-CONH-(CH2)2-STrtを得た。
収量: 34.7 mg (0.057 mmol, 26 %)
MS Alloc-NH-(CH2)2-N(Boc)-CH2-CONH-(CH2)2-STrt: 603.9 = [M+Na]+, (算出MW = 603.9. g/mol)。
【0248】
Alloc-NH-(CH2)2-N(Boc)-CH2-CONH-(CH2)2-STrt (34.7 mg, 0.048 mmol)をTHFに溶解し、トリエチルアンモニウムフォルマート(38μl)およびPd(PPh3)4 (5 mg)を加えた。溶液をRTで12時間攪拌し、MSによってモニターした。完了後、溶媒を真空中で除去した。残留物をMeCN/H2O (50:50, 0.1 % TFAを含む)に溶解し、RP-HPLCによって精製して、H2N-(CH2)2-N(Boc)-CH2-CONH-(CH2)2-STrt 35を得た。
収量: 12.6 mg (0.019 mmol, 42 %, TFA-塩)
MS 35: 520.1 = [M + H]+, 542.2 = [M + Na]+, (算出MW = 519.2 g/mol)。
【0249】
実施例36
BNP-リンカー-チオール36aおよび36bの合成
【化53】

【0250】
化合物28の代わりに化合物35を使用したことを除き、化合物30aに関して記載したように化合物36aを合成した。
収量: 9.1 mg
MS 36a: m/z 930.0 = [M+4H]4+, 1239.6 = [M+3H]3+ (算出MW = 3715.9 g/mol)。
【化54】

【0251】
化合物28の代わりに化合物35を使用したことを除き、化合物30bに関して記載したように化合物36bを合成した。
収量: 8.0 mg
MS 36b: m/z 929.9 = [M+4H]4+, 1239.5 = [M+3H]3+ (算出MW = 3715.9 g/mol)。
【0252】
実施例37
40KDa-PEG-リンカー-BNPコンジュゲート37aおよび37bの合成
【化55】

【0253】
0.1 % TFAを含有する1:1 H2O/MeCN (200μl)に化合物36a (4.2 mg)を溶解した。1:1 H2O/MeCN (1 ml)中のPEG40KDa-マレイミド(68 mg)の溶液およびリン酸バッファー(20μl, pH 7.4, 0.5 M)を加えた。溶液をRTでインキュベートし、5分後にAcOH (20μl)を加え、化合物37aをイオン交換クロマトグラフィーによって精製し、脱塩し、凍結乾燥した。
収量: 16 mg。
【化56】

【0254】
化合物36aの代わりに化合物36bを使用したことを除き、化合物37aに関して記載したように化合物37bを合成した。
収量: 18.5 mg。
【0255】
実施例38
リンカー-エキセンディンコンジュゲートの合成
一般的合成方法A、B、C、D、EまたはFに従ってリンカー-エキセンディンコンジュゲートを合成した。
【化57】

【0256】
方法A
合成: 二酸無水物(0.2 mmol)およびピリジン(0.2 mmol)を0.3 mlの乾燥DMFに溶解した。混合物を樹脂上の側鎖保護エキセンディン-4 (2μmol)に加え、室温で30分攪拌した。樹脂をDMFで洗浄(10回)した。PyBOP (0.1 mmol)およびジアミン(0.1 mmol)を0.3 mlの乾燥DMFに溶解した。混合物を樹脂に加え、室温で30分攪拌した。樹脂をDMFで洗浄(10回)した。
【0257】
「材料および方法」に記載したようにエキセンディン-リンカーコンジュゲートを切断し、RP-HPLCによって精製した。
【0258】
方法B
合成: 二酸無水物およびピリジンを二酸(0.2 mmol)、HOBt (0.2 mmol)、DIC (0.2 mmol)、およびコリジン(0.4 mmol)に替えたことを除き、方法Aに関して記載される通りである。
【0259】
方法C
合成: ジアミン(0.6 mmol)を1 mlの乾燥DCMに溶解し、二酸無水物(0.4 mmol)を加えた。混合物を室温で60分攪拌した。DCMを除去し、残留物をACN/水/AcOHに溶解し、アミノ酸をRP-HPLCによって精製し、凍結乾燥した。
【0260】
アミノ酸(0.1 mmol)、HOBt (0.1 mmol)、DIC (0.1 mmol)、およびコリジン(0.2 mmol)を0.3 mlの乾燥DMFに溶解した。混合物を樹脂上のエキセンディン-4 (2μmol)に加え、室温で30分攪拌した。樹脂をDMFで洗浄(10回)した。
【0261】
「材料および方法」に記載したようにエキセンディン-リンカーコンジュゲートを切断し、RP-HPLCによって精製した。
【0262】
方法D
合成: 二酸無水物(0.2 mmol)およびピリジン(0.2 mmol)を0.3 mlの乾燥DMFに溶解した。混合物を樹脂上のエキセンディン-4 (2μmol)に加え、室温で30分攪拌した。樹脂をDMFで洗浄(10回)した。PyBOP (0.1 mmol)、HOBt (0.1 mmol)、およびコリジン(0.4 mmol)を0.3 mlの乾燥DMFに溶解した。混合物を樹脂に加え、室温で30分攪拌した。樹脂をDMFで洗浄(10回)した。ジアミン(0.1 mmol)およびDIEA (0.3 mmol)をDMF 0.4 mlおよびEtOH 0.4 mlの混合物に溶解した。混合物を樹脂に加え、室温で30分攪拌した。樹脂をDMFで洗浄(10回)した。
【0263】
「材料および方法」に記載したようにエキセンディン-リンカーコンジュゲートを切断し、RP-HPLCによって精製した。
【0264】
方法E
合成: Fmocアミノ酸(0.1 mmol)、PyBOP (0.1 mmol)およびDIEA (0.2 mmol)を0.3 mlの乾燥DMFに溶解した。混合物を樹脂上のエキセンディン-4 (2μmol)に加え、室温で30分攪拌した。樹脂をDMF/ピペリジン 4/1 (v/v)中で2 × 10分インキュベートすることによってFmoc保護基を除去した。樹脂をDMF (10回)およびDCM (10回)で洗浄した。p-ニトロフェニルクロロフォルマート(0.1 mmol)を0.3 mlの乾燥THFおよびDIEA (0.2 mmol)に溶解した。混合物を樹脂に加え、室温で30分攪拌した。樹脂をDCMで洗浄(10回)した。ジアミン(0.1 mmol)を0.3 mlのDMFに溶解した。混合物を樹脂に加え、室温で30分攪拌した。樹脂をDMFで洗浄(10回)した。
【0265】
「材料および方法」に記載したようにエキセンディン-リンカーコンジュゲートを切断し、RP-HPLCによって精製した。
【0266】
方法F
合成: 方法A、次いでfmoc-脱保護およびアセチル化に関して記載したように: 樹脂をDMF/ピペリジン 4/1 (v/v)中で2 × 10分インキュベートすることによってFmoc保護基を除去した。樹脂をDMFで洗浄(10回)した。樹脂を無水酢酸/ピリジン/DMF 1/1/2 (v/v/v)と30分インキュベートすることによってアセチル化を実施した。樹脂をDMFで洗浄(10回)した。
【0267】
「材料および方法」に記載したようにエキセンディン-リンカーコンジュゲートを切断し、RP-HPLCによって精製した。
【0268】
化合物数値、出発材料、合成方法、分子量(MW)およびMSデータに関するさらなる詳細を図2に挙げる。
【0269】
実施例39
ヒドロゲル-リンカー-エキセンディンコンジュゲート39の合成
【化58】

【0270】
EP 1 625 856 A1に記載のようにマレイミド官能化ヒドロゲル微粒子を合成した。
600μlの20/80 (v/v) アセトニトリル/50 mMリン酸バッファー(pH 7.4)中で10分間、30 mgのマレイミド誘導体化ヒドロゲル微粒子(装填量40μmol/g, 1.2μmol)を6 mgの化合物25a (1.32μmol, 1.1 eq)と反応させて、エキセンディン-リンカー装填ヒドロゲル微粒子39を得た。装填されたヒドロゲル39を50/50 (v/v) アセトニトリル/水で5回洗浄し、水で3回洗浄した。
【0271】
実施例40
リンカー40の合成
【化59】

【0272】
Fmoc-Ala-OH (250 mg, 0.8 mmol)およびDIEA (170μL, 1,0 mmol)をDCM (2 mL)に溶解し、2-クロロトリチルクロライド樹脂(312 mg, 1.3 mmol/g)に加え、RTで45分攪拌した。メタノール(0.6 mL)を加え、樹脂をさらに15分インキュベートした。樹脂をDCM (10×)およびDMF (10×)で洗浄した。一般的手順(材料および方法を参照のこと)に従って、リンカー中間体5aと反応させることによってFmoc脱保護および尿素形成を達成し、生成物を樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 53 mg
MS 40: m/z 604,4 [M+H]+ (算出MW = 603,8 g/mol)。
【0273】
実施例41
エキセンディン-リンカーコンジュゲート41の合成
【化60】

【0274】
化合物40 (HCl塩, 14.0 mg, 0.02 mmol)、PyBOP (10.2 mg, 0.02 mmol)およびDIEA (17μL, 0.1 mmol)をDMF (300μL)に溶解し、樹脂に結合している側鎖保護エキセンディン(100 mg, 10μmol)に直ちに加え、RTで4時間インキュベートした。樹脂をDMF (10×)、DCM (10×)で洗浄し、真空中で乾燥した。生成物を樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 5.4 mg
MS 40: m/z 1510.9 = [M+3H]3+ (算出MW = 4530.1 g/mol)。
【0275】
実施例42
脂肪酸-リンカーコンジュゲート42の合成
【化61】

【0276】
化合物41 (1.6 mg)を200μlの3/1 アセトニトリル/水に溶解し、200μlの3/1 アセトニトリル/水中の化合物1 (0.11 mg)を加えた。30μlの0.25 Mリン酸ナトリウムバッファーを加え、反応物を5分攪拌し、その後、化合物42をRP-HPLCによって精製した。
MS 42: m/z 1870.2 = [M+3H]3+ (算出MW = 5608.4 g/mol)。
【0277】
実施例43
ヒドロゲル-リンカー-エキセンディンコンジュゲート43の合成
【化62】

【0278】
化合物25aの代わりに化合物41を使用したことを除き、化合物39に関して記載したように化合物43を合成した。
【0279】
実施例44
リンカー44の合成
【化63】

【0280】
化合物5aの代わりに化合物28を使用したことを除き、化合物40に関して記載したように化合物44を合成した。
収量: 74 mg
MS 44: m/z 605,4 [M+H]+ (算出MW = 604,8 g/mol)。
【0281】
実施例45
エキセンディン-リンカーコンジュゲート45の合成
【化64】

【0282】
化合物40の代わりに化合物44を使用したことを除き、化合物41に関して記載したように化合物45を合成した。
収量: 6.0 mg
MS 45: m/z 1511.3 = [M+3H]3+ (算出MW = 4531.1 g/mol)。
【0283】
実施例46
脂肪酸-リンカーコンジュゲート46の合成
【化65】

【0284】
化合物41の代わりに化合物45を使用したことを除き、化合物42に関して記載したように化合物46を合成した。
MS 46: m/z 1870.5 = [M+3H]3+ (算出MW = 5609,5 g/mol)。
【0285】
実施例47
リンカー中間体47の合成
【化66】

【0286】
トリチルスルフィド(247 mg, 0.89 mmol)を1 mlのDMSOに懸濁した。DBU (152μl, 1.02 mmol)および6-ブロモヘキサン-1-オール(173 mg, 0.96)を加え、混合物をRTで5分攪拌した。反応混合物を20 mlの酢酸エチルに溶解し、1 N H2SO4 (2×)およびブライン(3×)で洗浄した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、揮発性物質を真空中で除去した。生成物をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 1/1)によって精製した。
収量 (S-トリチル)-6-メルカプトヘキサン-1-オール283 mg。
【0287】
(S-トリチル)-6-メルカプトヘキサン-1-オール(466 mg, 1.24 mmol)を3.5 mlのDCM、0.5 mlのDMSOおよび0.6 mlのNEt3に溶解し、氷浴中で冷却した。SO3-ピリジン(408 mg, 2.57 mmol)を0.5 mlのDMSOに懸濁し、反応混合物に加えた。氷浴を除去し、反応物をRTで60分攪拌した。反応混合物を20 mlのEt2Oに溶解し、1 N H2SO4 (2×)およびブライン(3×)で抽出した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、揮発性物質を真空中で除去した。生成物をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 1/1)によって精製した。
収量: (S-トリチル)-6-メルカプトヘキサン-1-オール 47 390 mg
MS 47: m/z 243,1 = [Trt]+ , 413.1 = [M+K]+ (算出MW = 374.4 g/mol)。
【0288】
実施例48
リンカー48の合成
【化67】

【0289】
Fmoc-Ala-OH (250 mg, 0.8 mmol)およびDIEA (170μL, 1,0 mmol)をDCM (2 mL)に溶解し、2-クロロトリチルクロライド樹脂(312 mg, 1.3 mmol/g)に加え、RTで45分攪拌した。メタノール(0.6 mL)を加え、樹脂をさらに15分インキュベートした。樹脂をDCM (10×)およびDMF (10×)で洗浄した。一般的手順(材料および方法を参照のこと)に従って、エチレンジアミンと反応させることによってFmoc脱保護および尿素形成を達成した。還元的アルキル化のために、化合物47 (299 mg, 0.8 mmol)およびNa(OAc)3BH (340 mg, 1.6 mmol)を0,5 mLのDMF, 0.5 mlのMeOHおよび10μLのAcOHに溶解し、樹脂に加え、RTで2時間攪拌した。樹脂をDMF (10×)およびDCM (10×)で洗浄した。DCM中のboc無水物(218 mg, 1.0 mmol)およびDIEA (170μL, 1.0 mmol)の溶液中で樹脂を攪拌することによってBoc保護を実施した。樹脂をDCMで洗浄(10×)し、生成物を樹脂から切断し、RP-HPLCによって精製した。
収量: 34 mg
MS 48: m/z 634.2 [M+H]+ (算出MW = 633.9 g/mol)。
【0290】
実施例49
エキセンディン-リンカーコンジュゲート49の合成
【化68】

【0291】
化合物40の代わりに化合物48を使用したことを除き、化合物41に関して記載したように化合物49を合成した。
収量: 4.8 mg
MS 49: m/z 1487.3 = [M+3H]3+ (算出MW = 4460.0 g/mol)。
【0292】
実施例50
ヒドロゲル-リンカー-エキセンディンコンジュゲート50の合成
【化69】

【0293】
化合物25aの代わりに化合物49を使用したことを除き、化合物39に関して記載したように化合物50を合成した。
【0294】
実施例51
in vitro放出速度論
「材料および方法」に記載したように、pH 7.4および37℃またはpH 4および37℃のバッファー中での加水分解によって、38a〜38z、38aa〜38ab、4、5、9a、9b、9c、10、13a、15、19a、19b、22、26a〜26c、31a、31b、34a、34b、37a、37b、42、43、46、および50から薬物分子を放出させた。
【表1】


【0295】
実施例52
in vivo放出速度論 - in vitro/in vivo相関
ラットへの静脈内注射後の化合物13aの薬物動態と化合物13cの薬物動態、および化合物13bと化合物13dをそれぞれ比較することによってin vivo放出速度論を決定した。動物試験はHeidelberg Pharma AG, Heidelberg, Germanyで実施した。
【0296】
化合物13a (27 mg)を3.5 mlのPBSに溶解し、6匹の各ラットに500μlの得られた溶液を静脈内注射した。約270 g重量の雄性SDラットを使用した。t = 0、2時間、24時間、32時間、48時間、72時間、96時間、120時間、および168時間の時点で血液サンプルを取り出し、血漿を調製し、Perkin-Elmer LS 50B分光計を使用して血漿のフルオレセイン(fluoressein)蛍光を分析した。
【0297】
化合物13aに関して記載したように化合物13cの薬物動態を決定した。2.5 mlのPBS中の各20 mgの化合物13 bおよび13dおよび4匹のラットを使用したことを除き、化合物13aに関して記載したように化合物13bおよび13dの薬物動態を決定した。
【0298】
それぞれの時点で、化合物13cの蛍光と比較された化合物13aおよび化合物13dと比較された化合物13bのそれぞれの蛍光の比からリンカー加水分解半減期を算出した。
【0299】
in vivoリンカー加水分解の半減期が化合物13aおよび13bに関してそれぞれ115時間および160時間であることを決定した。それは、化合物13aおよび13bに関してそれぞれ120時間および160時間であるin vitroリンカー加水分解の半減期に良好に相関する。
【0300】
図3は、化合物13bのin vivoおよびin vitroリンカー切断データを示し、図3では、in vivo (三角形)およびin vitro (ひし形)切断キネティクスを片対数描写によって示す。
【0301】
略語:
Acp 4-(2-アミノエチル)-1-カルボキシメチル-ピペラジン
AcOH 酢酸
Boc t-ブチルオキシカルボニル
Dab 2,4-ジアミノ酪酸
DBU 1,3-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン
DCM ジクロロメタン
Dda ドデカン酸
DIC ジイソプロピルカルボジイミド
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP ジメチルアミノ-ピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
eq 化学量論当量
Fmoc 9-フルオレニルメトキシカルボニル
HATU O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
HFIP ヘキサフルオロイソプロパノール
HEPES N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)
HOBt N-ヒドロキシベンゾトリアゾール
ivDde 1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソ-シクロヘキシリデン)-3-メチルブチル

LCMS 質量分析と組み合わされた液体クロマトグラフィー
Mal 3-マレイミドプロピオニル
Mmt 4-メトキシトリチル
MS 質量スペクトル
MW 分子量
n.d. 決定されていない
PfpOH ペンタフルオロフェノール
PyBOP ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-tris-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスファート
RP-HPLC 逆相高性能液体クロマトグラフィー
RT 室温
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
Suc スクシンイミドプロピオニル
TCP 2-クロロトリチルクロライド樹脂
TES トリエチルシラン
TMOB 2,4,6-トリメトキシベンジル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
UV 紫外線
VIS 視覚的

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物リンカーコンジュゲートD-L
[式中
-Dは窒素含有生物活性部分であり;かつ
-Lは
以下の式(I)によって示される非生物活性リンカー部分-L1であり、
【化1】

式中、破線はアミド結合の形成による生物活性部分の窒素への結合を示し;
XはC(R4R4a);N(R4);O;C(R4R4a)-C(R5R5a);C(R5R5a)-C(R4R4a);C(R4R4a)-N(R6);N(R6)-C(R4R4a);C(R4R4a)-O;またはO-C(R4R4a)であり;
X1はC;またはS(O)であり;
X2はC(R7, R7a);またはC(R7, R7a)-C(R8, R8a)であり;
X3はO;S;またはN-CNであり;
R1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、R4、R4a、R5、R5a、R6、R7、R7a、R8、R8aは、独立して、H;およびC1-4アルキルからなる群から選択され;
場合によりペアR1a/R4a、R1a/R5a、R4a/R5a、R7a/R8aの1つ以上は化学結合を形成し;
場合によりペアR1/R1a、R2/R2a、R4/R4a、R5/R5a、R7/R7a、R8/R8aの1つ以上はそれらが結合している原子と一緒になって、C3-7シクロアルキル;または4〜7員ヘテロシクリルを形成し;
場合によりペアR1/R4、R1/R5、R1/R6、R4/R5、R4/R6、R7/R8、R2/R3の1つ以上はそれらが結合している原子と一緒になって環Aを形成し;
場合によりR3/R3aはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜7員複素環を形成し;
Aは、フェニル;ナフチル;インデニル;インダニル;テトラリニル;C3-10シクロアルキル;4〜7員ヘテロシクリル;および9〜11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され;かつ
ここで、L1は1〜4つの基L2-Zで置換されおり、また、式(I)中の星印でマークされている水素が置換基によって置換されていないのであればさらに置換されていてもよく;
式中、L2は化学単結合またはスペーサーであり;かつ
Zは担体基である]
を含むプロドラッグまたは製薬的に許容されるその塩。
【請求項2】
X3がOである、請求項1に記載のプロドラッグ。
【請求項3】
XがN(R4)であり、X1がCであり、およびX3がOである、請求項1または2に記載のプロドラッグ。
【請求項4】
X2がC(R7R7a)である、請求項1〜3のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項5】
L1が以下からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載のプロドラッグ
【化2】



[式中、RはH;またはC1-4アルキルであり;YはNH;O;またはSであり;かつR1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、R4、X、X1、X2は請求項1に記載の意味を有する]。
【請求項6】
L1が以下からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載のプロドラッグ
【化3】




[式中、Rは請求項5に記載の意味を有する]。
【請求項7】
L2が化学単結合であるか;またはL2-Zが、COOR9;OR9;C(O)R9;C(O)N(R9R9a);S(O)2N(R9R9a);S(O)N(R9R9a);S(O)2R9;S(O)R9;N(R9)S(O)2N(R9aR9b);SR9;N(R9R9a);OC(O)R9;N(R9)C(O)R9a;N(R9)S(O)2R9a;N(R9)S(O)R9a;N(R9)C(O)OR9a;N(R9)C(O)N(R9aR9b);OC(O)N(R9R9a);T;C1-50アルキル;C2-50アルケニル;またはC2-50アルキニルであり、ここでT;C1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合により1つ以上のR10で置換され、該1つ以上のR10は同一かまたは異なり、ならびにC1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合により-T-, -C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(R11)-;-S(O)2N(R11)-;-S(O)N(R11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(R11)S(O)2N(R11a)-;-S-;-N(R11)-;-OC(O)R11;-N(R11)C(O)-;-N(R11)S(O)2-;-N(R11)S(O)-;-N(R11)C(O)O-;-N(R11)C(O)N(R11a)-;および-OC(O)N(R11R11a)からなる群から選択される1つ以上の基によって介在され;
R9、R9a、R9bは、H;Z;T;およびC1-50アルキル;C2-50アルケニル;またはC2-50アルキニルからなる群から独立して選択され、ここでT;C1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合により1つ以上のR10で置換され、該1つ以上のR10は同一かまたは異なり、ならびにC1-50アルキル;C2-50アルケニル;およびC2-50アルキニルは、場合によりT, -C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(R11)-;-S(O)2N(R11)-;-S(O)N(R11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(R11)S(O)2N(R11a)-;-S-;-N(R11)-;-OC(O)R11;-N(R11)C(O)-;-N(R11)S(O)2-;-N(R11)S(O)-;-N(R11)C(O)O-;-N(R11)C(O)N(R11a)-;および-OC(O)N(R11R11a)からなる群から選択される1つ以上の基によって介在され;
Tは、フェニル;ナフチル;インデニル;インダニル;テトラリニル;C3-10シクロアルキル;4〜7員ヘテロシクリル;または9〜11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され、ここでtは、場合により1つ以上のR10で置換され、該1つ以上のR10は同一かまたは異なり;
R10は、Z;ハロゲン;CN;オキソ(=O);COOR12;OR12;C(O)R12;C(O)N(R12R12a);S(O)2N(R12R12a);S(O)N(R12R12a);S(O)2R12;S(O)R12;N(R12)S(O)2N(R12aR12b);SR12;N(R12R12a);NO2;OC(O)R12;N(R12)C(O)R12a;N(R12)S(O)2R12a;N(R12)S(O)R12a;N(R12)C(O)OR12a;N(R12)C(O)N(R12aR12b);OC(O)N(R12R12a);またはC1-6アルキルであり、ここでC1-6アルキルは、場合により1つ以上のハロゲンで置換され、該1つ以上のハロゲンは同一かまたは異なり;
R11、R11a、R12、R12a、R12bは、H;Z;またはC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、ここでC1-6アルキルは、場合により1つ以上のハロゲンで置換され、該1つ以上のハロゲンは同一かまたは異なり;
ただし、R9、R9a、R9b、R10、R11、R11a、R12、R12a、R12bの1つはZである、
請求項1〜6のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項8】
L2がC1-20アルキル鎖であり、該C1-20アルキル鎖は、場合により-O-;およびC(O)N(R3aa)から独立して選択される1つ以上の基によって介在され;場合によりOH;およびC(O)N(R3aaR3aaa)から独立して選択される1つ以上の基で置換され;かつここでR3aa、R3aaaは、H;およびC1-4アルキルからなる群から独立して選択される、請求項1〜7のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項9】
L2が14 g/mol〜750 g/molの範囲の分子量を有する、請求項1〜8のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項10】
L2
【化4】

;および
【化5】

から選択される末端基を介してZに結合している、請求項1〜9のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項11】
Lが以下の式(Ia)
【化6】

[式中、R4、L2、およびZは請求項1に記載の意味を有し、かつここでR3aa、R3aaaは、H;およびC1-4アルキルからなる群から独立して選択されるか;またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって4〜7員複素環を形成する]
によって示される、請求項1〜10のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項12】
Lが以下の式(Ib)
【化7】

[式中、R1、R1a、R4、L2およびZは請求項1に記載の意味を有し、かつR3aaはH;またはC1-4アルキルである]
によって示される、請求項1〜10のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項13】
式(I)のR1がL2-Zである、請求項1〜10のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項14】
式(I)のR3がL2-Zである、請求項1〜10のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項15】
式(I)のR3、R3aがそれらが結合している窒素原子と一緒になって4〜7員複素環を形成し、該複素環がL2-Zで置換されている、請求項1〜10のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項16】
D-Hが小分子生物活性物質または生体高分子である、請求項1〜15のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項17】
D-Hが、タンパク質、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、およびペプチド核酸からなる生体高分子の群から選択される生体高分子である、請求項1〜16のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項18】
D-Hが、ACTH、アデノシンデアミナーゼ、アガルシダーゼ、α-1アンチトリプシン(AAT)、α-1プロテイナーゼインヒビター(API)、アルテプラーゼ、アミリン(アミリン、シムリン)、アニストレプラーゼ、アンクロッドセリンプロテアーゼ、抗体(モノクローナルまたはポリクローナル、および断片または融合物)、アンチトロンビンIII、アンチトリプシン、アプロチニン、アスパラギナーゼ、アトシバン、ビファリン、ビバリルジン、骨形成タンパク質、ウシ膵臓トリプシンインヒビター(BPTI)、カドヘリン断片、カルシトニン(サケ)、コラゲナーゼ、補体C1エステラーゼインヒビター、コノトキシン、サイトカイン受容体断片、DNアーゼ、ダイノルフィンA (dynorphine A)、エンドルフィン、エンフビルチド、エンケファリン、エリスロポエチン、エキセンディン(exendins)、因子VII、因子VIIa、因子VIII、因子VIIIa、因子IX、フィブリノリジン、線維芽細胞成長因子(FGF)、成長ホルモン放出ペプチド2 (GHRP2)、融合タンパク質、卵胞刺激ホルモン、グラミシジン、グレリン、デスアシル-グレリン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ガラクトシダーゼ、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド、グルコセレブロシダーゼ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、ヒト熱ショックタンパク質(HSP)、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PLAP)、絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、ヘモグロビン、B型肝炎ワクチン、ヒルジン、ヒトセリンプロテアーゼインヒビター、ヒアルロニダーゼ、イズルノニダーゼ(idurnonidase)、免疫グロブリン、インフルエンザワクチン、インターロイキン(1α、1β、2、3、4、6、10、11、12、13、21)、IL-1受容体アンタゴニスト(rhIL-1ra)、インスリン、インスリン様成長因子、インスリン様成長因子結合タンパク質(rhIGFBP)、インターフェロン(α2a、α2b、α2c、β1a、β1b、γ1a、γ1b)、細胞内接着分子、ケラチノサイト成長因子(KGF)、P-セレクチン糖タンパク質リガンド(PSGL)、トランスフォーミング成長因子、ラクターゼ、レプチン、ロイプロリド、レボチロキシン、黄体形成ホルモン、ライムワクチン、ナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、CNPおよび断片)、ニューロペプチドY、パンクレリパーゼ、膵ポリペプチド、パパイン、副甲状腺ホルモン、PDGF、ペプシン、ペプチドYY、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ(PAF-AH)、プロラクチン、プロテインC、チマルファシン(thymalfasin)、オクトレオチド、セクレチン、セルモレリン、可溶性腫瘍壊死因子受容体(soluble tumor necorsis factor receptor)(TNFR)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ソマトロピン(成長ホルモン)、ソマトプリム(somatoprim)、ソマトスタチン、ストレプトキナーゼ、スクラーゼ、テルリプレシン、破傷風毒素断片、チラクターゼ、トロンビン、チモシン、甲状腺刺激ホルモン、チロトロピン、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF受容体-IgG Fc、組織プラスミノゲンアクチベータ(tPA)、TSH、ウロジラチン(urodilatin)、尿酸オキシダーゼ、ウロキナーゼ、ワクチン、血管内皮増殖因子(VEGF)、血管作用性腸管ペプチド、バソプレッシン、ジコノチド、レクチンおよびリシンからなるポリペプチドの群から選択されるポリペプチドである、請求項1〜17のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項19】
D-Hが組み換えDNAテクノロジーによって製造されたタンパク質である、請求項1〜18のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項20】
D-Hが、抗体断片、単鎖抗原結合タンパク質、触媒抗体および融合タンパク質からなるタンパク質の群から選択されるタンパク質である、請求項1〜19のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項21】
D-Hが、少なくとも1つの一級または二級アミノ基を有する、中枢神経系活性物質、抗感染剤、抗アレルギー剤、免疫調節剤、抗肥満剤、抗凝血剤、抗糖尿病剤、抗新生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、鎮痛剤、避妊薬、抗炎症剤、ステロイド剤、血管拡張剤、血管収縮剤、および心血管作動薬からなる物質の群から選択される小分子生物活性物質である、請求項1〜16のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項22】
D-Hが、アカルボース、アラプロクラート、アレンドロナート、アマンタジン、アミカシン、アミネプチン、アミノグルテチミド、アミスルプリド、アムロジピン、アモトサレン、アモキサピン、アモキシシリン、アンフェタミン、アンホテリシンB、アンピシリン、アンプレナビル、アムリノン、アニレリジン、アプラクロニジン、アプラマイシン、アルチカイン、アテノロール、アトモキセチン、アビザホン(avizafone)、バクロフェン、ベナゼプリル、ベンセラジド、ベンゾカイン、ベタキソロール、ブレオマイシン、ブロムフェナク、ブロファロミン、カルベジロール、カシン、カチノン、カルブタミド、セファレキシン(cefalexine)、クリナフロキサシン、シプロフロキサシン、デフェロキサミン、デラビルジン、デシプラミン、ダウノルビシン、デクスメチルフェニデート、デクスメチルフェニデート、ジアフェニルスルホン、ジゾシルピン、ドーパミン(dopamin)、ドブタミン(dobutamin)、ドルゾラミド、ドキソルビシン、デュロキセチン、エフロールニチン、エナラプリル、エピネフリン、エピルビシン、エルゴリン、エルタペネム、エスモロール、エノキサシン、エタンブトール、フェンフルラミン、フェノルドパム、フェノテロール、フィンゴリモド、フレカイニド、フルボキサミン、ホスアンプレナビル、フロバトリプタン、フロセミド、フルオエキセチン(fluoexetine)、ガバペンチン、ガチフロキサシン、ゲミフロカシン(gemiflocacin)、ゲンタマイシン、グレパフロキサシン、ヘキシルカイン、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド、イコフンギペン(icofungipen)、イダルビシン、イミキモド、インベルシン(inversine)、イソプロテレノール、イスラジピン、カナマイシンA、ケタミン(ketamin)、ラベタロール、ラミブジン、レボブノロール、レボドパ、レボチロキシン、リシノプリル、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、マプロチリン、メフロキン、メルファラン、メマンチン、メロペネム、メサラジン、メスカリン、メチルドパ、メチレンジオキシメタンフェタミン、メトプロロール、ミルナシプラン、ミトキサントロン(mitoxantron)、モキシフロキサシン、ノルエピネフリン、ノルフロキサシン、ノルトリプチリン、ネオマイシンB、ニスタチン、オセルタミビル、パミドロン酸、パロキセチン、パズフロキサシン、ペメトレキセド、ペリンドプリル、フェンメトラジン、フェネルジン、プレガバリン、プロカイン、プソイドエフェドリン、プロトリプチリン、レボキセチン、リトドリン、サバルビシン(sabarubicin)、サルブタモール、セロトニン、セルトラリン、シタグリプチン、ソタロール、スペクチノマイシン、スルファジアジン(sulfadiazin)、スルファメラジン(sulfamerazin)、セルトラリン、スプレクチノマイシン(sprectinomycin)、スルファレン(sulfalen)、スルファメトキサゾール(sulfamethoxazol)、タクリン、タムスロシン、テルブタリン、チモロール、チロフィバン、トブラマイシン、トカイニド、トスフロキサシン、トランドラプリル、トラネキサム酸、トラニルシプロミン、トリメレキサート(trimerexate)、トロバフロキサシン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、バンコマイシン、バイオマイシン、ビロキサジン、およびザルシタビンからなる物質の群から選択される小分子生物活性物質である、請求項1〜16および21のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項23】
Zが少なくとも500 DaのポリマーまたはC8-18アルキル基である、請求項1〜22のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項24】
Zが、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)、デキストラン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギナート、キシラン、マンナン、カラゲナン、アガロース、セルロース、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(オルガノホスファゼン)(poly(organophosphazenes))、ポリオキサゾリン、ポリ(シロキサン)、ポリ(アミド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(エステル)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(アミノ酸)、コラーゲン、ゼラチン、ヒドロゲル、または血漿タンパク質、およびそのコポリマーからなる、場合により架橋されていてもよいポリマーの群から選択される、請求項1〜23のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項25】
Zがタンパク質である、請求項1〜24のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項26】
Zがアルブミン、トランスフェリン、免疫グロブリンからなる群から選択されるタンパク質である、請求項1〜25のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項27】
Zが、2,000 Da〜150,000 Daの分子量を有する線状または分岐ポリ(エチレングリコール)である、請求項1〜23のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項28】
D-HがGLP-1受容体アゴニストであり;Lが請求項1に記載の式(I)によって示されるL1であり;かつZがヒドロゲルである、請求項1〜27のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項29】
GLP-1受容体アゴニストがエキセンディン-4である、請求項28に記載のプロドラッグ。
【請求項30】
式(I)中、XがN(R4)であり、X1がCであり、およびX3がOである、請求項28または29に記載のプロドラッグ。
【請求項31】
Lが請求項11に記載の式(Ia)によって示されるか、またはLが請求項12に記載の式(Ib)によって示される、請求項28〜30のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項32】
Lが請求項1に記載の意味を有し、およびActが脱離基である、式Act-Lで示されるプロドラッグ前駆体。
【請求項33】
Actが、塩素、臭素、フッ素、ニトロフェノキシ、イミダゾリル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、N-ヒドロキシベンゾトリアゾリル、N-ヒドロキシアゾベンゾトリアゾリル、ペンタフルオロフェノキシ、2-チオオキソ-チアゾリジニル、またはN-ヒドロキシスルホスクシンイミジルである、請求項32のプロドラッグ前駆体。
【請求項34】
請求項1〜31のいずれかに記載のプロドラッグまたは医薬用のその塩を製薬的に許容される賦形剤とともに含む医薬組成物。
【請求項35】
医薬品としての使用するための、請求項1〜31のいずれかに記載のプロドラッグまたは請求項30の医薬組成物。
【請求項36】
1種以上の症状の治療を必要としている哺乳類患者における治療、管理、遅延または予防方法であって、請求項1〜31のいずれかに記載のプロドラッグまたは請求項34の医薬組成物または製薬的に許容されるその塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図2−6】
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【図2−7】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−510954(P2011−510954A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544717(P2010−544717)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051079
【国際公開番号】WO2009/095479
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(510209133)アセンディス ファーマ エーエス (6)
【Fターム(参考)】