自己穿孔型リベット
【課題】特に高強度鋼板を接合するのに適しているが他の金属板にも使用することができる独特なリベット形状の自己穿孔型リベット。
【解決手段】自己穿孔型リベットは、特に、独特なヘッド下側形状と独特なリベット脚部(切断領域)形状とを特徴とする。自己穿孔型リベットは、ヘッド下側面取り部を有し、このヘッド下側面取り部は、自己穿孔型リベットの半径方向平面と20°+5°/−5°の角度を成し、アール部を介してリベットシャンクの円筒状外側面と接線方向につながる。リベット脚部において、自己穿孔型リベットは平坦なシャンク端面を有し、この平坦なシャンク端面は、リベット軸に対して実質的に直角に延在し、シャンク内側面及びアール部を介して円筒状内側表面に「滑らか」につながる。
【解決手段】自己穿孔型リベットは、特に、独特なヘッド下側形状と独特なリベット脚部(切断領域)形状とを特徴とする。自己穿孔型リベットは、ヘッド下側面取り部を有し、このヘッド下側面取り部は、自己穿孔型リベットの半径方向平面と20°+5°/−5°の角度を成し、アール部を介してリベットシャンクの円筒状外側面と接線方向につながる。リベット脚部において、自己穿孔型リベットは平坦なシャンク端面を有し、この平坦なシャンク端面は、リベット軸に対して実質的に直角に延在し、シャンク内側面及びアール部を介して円筒状内側表面に「滑らか」につながる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚以上の金属板を自己穿孔型リベット接合(self-piercing rivet joint)するための、半中空自己穿孔型リベット又は完全中空自己穿孔型リベットの形式の自己穿孔型リベットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、接合方法として自己穿孔型リベット接合の重要性が高まってきている。自己穿孔型リベット接合の接合操作並びに接合品質についての重要な1つのパラメータは、自己穿孔型リベットの形状である。従来技術として、例えば、EP0 720 695、EP1 064 466、EP1 229 254、EP1 387 093、DE44 31 769、DE203 19 610 U1、DE200 01 103 U1、US2004/0068854 A1、JP2001159409A、JP09317730Aなどから、自己穿孔型リベットの様々な形状が知られている。
【0003】
前述のEP0 720 695による自己穿孔型リベットは、一般にCリベット(C rivet)と呼ばれ、自動車業界で広く使用されているが、他の技術分野でも使用されている。このリベットは、リベットヘッドと、中心シャンク穴を備えたリベットシャンクとを有する半中空自己穿孔型リベットであり、リベットヘッドは、平らな上面と円筒状のヘッド外表面を有し、リベットシャンクは、円筒状シャンク外表面と、中心シャンク穴を画定する円筒状のシャンク内表面とを有する。円筒状ヘッド外表面と円筒状シャンク外表面は、比較的大きなアール部により互いに直接つながっている。自己穿孔型リベットの下部には、中央シャンク穴が円錐状に形成されており、この円錐形の側面は、この公報の明細書の記載に従って僅かに湾曲するようになっている。その結果、所与の生産技術の可能性の枠内で、リベットシャンクにある種の「鋭い縁」(実際には一般に多少面取りされている)が形成される。この公報の明細書によれば、円錐の開き角度は、25°〜120°の範囲とすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Cリベットは実際に功を奏していることが証明されているが、特に高強度薄鋼板を自己穿孔接合する場合には限界がある。
【0005】
従って、例えば、自己穿孔型リベット接合の実現可能な接合品質と耐荷重性能、接合操作中にリベットにかかる応力、及びリベットと金属板との間の隙間形成について、改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特に高強度材料で作られた金属板を接合するための自己穿孔型リベットを提供するという目的に基づき、リベットはその形状により、接合操作中に受ける接合力と引張力が比較的小さく、自己穿孔型リベット接合の最適な耐荷重性能と最適な接合品質を実現し、リベットと金属板との間の隙間の形成をできるだけ抑える。
【0007】
この目的は、請求項1に定義された自己穿孔型リベットによって解決される。
【0008】
本発明により形成された自己穿孔型リベットは、請求項1に定義された、ヘッド下側領域と脚部領域の独特な形状により区別される。これによれば、円筒状のヘッド外表面とシャンク外表面は、円錐状のヘッド下側面取り部とヘッド下側アール部によって接続されており、そのヘッド下側アール部は接線方向に延びてヘッド下側面取り部とシャンク外表面につながり、自己穿孔型リベットの半径方向平面と円錐状ヘッド下側面取り部とは20°+5°/-5°の角度をなす。リベット下部の領域において、シャンク外表面とシャンク内表面とは、平坦なシャンク端面、円錐状シャンク内側面取り部、及びシャンク端アール部によって接続され、そのシャンク端アール部は接線方向に延びてシャンク内表面と円錐状シャンク内側面取り部につながり、平坦なシャンク端面は、切刃を介してシャンク外表面とつながる。平坦なシャンク端面は、自己穿孔型リベットの半径方向平面と0°−3°/+3°の角度をなし、円錐状シャンク内側面取り部は、半径方向平面と45°+10°/−5°の角度をなす。
【0009】
端面の半径方向の幅は、円筒状シャンク外表面の直径の0.035倍より大きく、特にこの直径の0.035〜0.07倍の範囲であることが好ましい。ヘッド下側アール部は、円筒状シャンク外表面の直径の0.30倍より小さく、特に0.15倍より小さいことが好ましい。
【0010】
実験と有限要素法(FEM)を用いて実証されたように、本発明により構成された自己穿孔型リベットは、従来の自己穿孔型リベット、特に前述のCリベットと比べて多くの利点を有する。本発明により構成された自己穿孔型リベットの独特なリベット形状により、自己穿孔型リベット接合を行う際に要する接合力を削減し、高強度鋼に適したパンチ側金属板の穿孔を最適化し、上層板穿孔後の適応された均一な拡張挙動を可能にし、その結果、自己穿孔型リベットの破損、変形、及び亀裂発生の可能性を大幅に減少させることができる。最適化された穿孔工程によって、リベットシャンクにおける応力の分布は、例えばCリベットの場合よりはるかに均一になる。リベットシャンクの絶対的引張力、即ちシャンク内表面にかかる引張応力とシャンク外表面にかかる圧縮引張力を減少させることができ、その結果、応力勾配が、シャンクの幅全体にわたってより均一になった。この特徴により、穿孔工程中の自己穿孔型リベットの破損が最小限となり、更に他のセッティング工程のための条件(リベットの拡張、リベットヘッドの最終位置への配置、工具を取り外した後の金属板のはね返り)が整う。
【0011】
自己穿孔型リベットの一定で均一で連続的な拡張は、平坦なシャンク端面とシャンク内側アール部とを組み合わせることにより可能となり、その結果、自己穿孔型リベットに張力が均一に蓄積し、自己穿孔型リベットへの荷重の急激な変化を防止することができる。リベットシャンクが穿孔領域(リベット下部領域)において「鈍角」に設計されているので、工程の安全性が向上する。更に、ダイ側板への荷重が二次元的になり、ダイ側板の貫通や破損が防止される。
【0012】
独特なヘッド下側形状によって、接合力と接合仕事量を小さくすることができる。何故なら、パンチ側板が、かなり遅くまでリベットヘッドの下側と接触しないので、リベットヘッドの最終位置への配置に必要な力はかなり遅くまで必要とされず、荷重変位曲線(load displacement course)の勾配が比較的大きくなる。独特なヘッド下側形状がパンチ側板と接触するのが遅く、リベットヘッドを最終位置へ配置するためのパンチ行程が速い(特徴的に短い)ので、金属板の変形は最小限であり、その結果、接合操作後の金属板のはね返りが従来よりもかなり少なくなる。自己穿孔型リベットはパンチ側板を貫通してしまうまで拡張しないので、パンチ側板の切断縁が滑らかになる。この結果、セッティング工程後に、リベットシャンクとパンチ側板の接触面が最適になる。したがって、本発明によるリベット形状によって、リベットと金属板との間のこのような隙間の形成が大幅に減少する。
【0013】
本発明により構成された自己穿孔型リベットの場合、金属板間に比較的大きい隙間ができ、この隙間は、工具を外した後の自己穿孔型リベット接合の相対運動、即ち「セッテイング」を可能にする。このことは、金属板がある種の「動きの自由」を有するので、金属板のはね返りに対して良い影響を与える。このように隙間が形成されることにより、振動荷重の下で耐荷重性能が向上するという潜在的な可能性がある。何故なら、金属板の一定のセッティング挙動並びにそれによる自己穿孔型リベット接合によって、接合における引張力を均一にすることができるためである。
【0014】
自己穿孔型リベット要素における応力分布の改善は、セッティング工程の最適化によるものである。セッティング工程中の自己穿孔型リベットへの荷重が減少すると共に均一になり(実質的に最適化された拡張プロセスとリベットの均一な拡張により)、ヘッド下側形状によって金属板のはね返りが最小限となり、それにより、自己穿孔型リベットの品質の向上と、耐荷重性能の改善を達成することができる。
【0015】
独特なヘッド下側形状のさらに他の利点として、接合した金属板の歪みの減少が挙げられる。何故なら、パンチ側材料が必ずしも半径方向に移動しないからである。極めて小さなヘッド下側アール部及びパンチ側板上へのリベットヘッドの点接触(punctual contact)によって、金属板の変形により生じる起伏を小さくすることができる。
【0016】
本発明により設計された自己穿孔型リベットは、高強度鋼で作られた金属板の接合に好ましく使用することができるが、任意の材料で作られた金属板を接合するためにかなり一般的に使用することもできる。自己穿孔型リベット自体は高強度鋼から成るが、特殊鋼、アルミニウム、これらの材料の合金、セラミック等の他の一般的なリベット材料で作ることもできる。
【0017】
本発明により設計された自己穿孔型リベットは、半中空自己穿孔型リベット(この場合は中心穴が止まり穴)でも、完全中空自己穿孔型リベット(この場合は中心穴が貫通穴)でもよい。
【0018】
本発明の有利な設計とさらに他の展開は従属請求項で定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1を用いて、本発明により設計された半中空自己穿孔型リベットの具体的な実施形態を説明する。
【0020】
自己穿孔型リベット2は、中心軸Xに関して回転対称的に設計されており、リベットヘッド4と、止まり穴として設計された中心穴8を備えたリベットシャンク6とから成る。
【0021】
リベットヘッド4は、(好ましくは平らな)上面10と、(好ましくは円筒状の)ヘッド外表面12とを有する。ヘッド外表面12は、直径D2と軸方向高さhとを有する。
【0022】
リベットシャンク6は、円筒状シャンク外表面14と、穴8を画定する円筒状シャンク内表面16とを有する。円筒状シャンク外表面14は直径D1を有し、円筒状シャンク内表面は直径D3を有する。特定の応用例では、シャンク外表面14は、接合する金属板間にできる隙間を最小にするために、少なくとも所定の場所で僅かに拡がるように設計することができることに注意されたい。
【0023】
円筒状ヘッド外表面12は、円錐状のヘッド下側面取り部18及びアール部R1により円筒状シャンク外表面14と接続されている。(本発明の範囲において、用語「アール部」は、軸方向断面において半径Rの円弧形状を有する環状面と解されるものとする。)
【0024】
アール部R1は接線方向に延在してヘッド下側面取り部18及びシャンク外表面14とにつながっており、ヘッド下側面取り部18は、シャンク外表面12と直接隣接している(例えばアール部を介して)。ヘッド下側面取り部18は、半径方向平面との間に角度α1を作る。
【0025】
リベット下部において、シャンク外表面14は、平坦なシャンク端面20、シャンク内側面取り部22及びアール部R2によってシャンク内表面16につながり、シャンク外表面14と平坦なシャンク端面20との間に円周方向に延在する切刃24が設けられている。平坦なシャンク端面20は、軸Xに対して直角に延在し、この直角の面に対する許容可能な偏差は角度α3以内である。シャンク内側面取り部22は、自己穿孔型リベット2の半径方向平面に対して角度α2以下だけ傾斜されている。アール部R2は、シャンク内表面16とシャンク内側面取り部22に対して接線方向に延在する。平坦なシャンク端面20は、半径方向の幅b2を有する。
【0026】
切刃24は、理想的には鋭い刃になっている。しかしながら、実際には、製造上の理由から、半径方向の幅b1を有する面取り部又は丸みをつけた部分として設計することができる。面取りする場合には、切刃24が半径方向平面との間に角度α4を形成する。
【0027】
穴8は、ヘッド下側部26の領域に湾曲した底を有し、この底は、中心アール部R3と2つ側方アール部R4とからなる。側方アール部R4は、シャンク内表面16及びアール部R3に対して接線方向に延在する。リベットヘッド4は、軸X上において軸方向高さHを有する。
【0028】
好ましい例示的な実施形態によれば、規定寸法は以下の通りである。
D1=5.3+0.1/−0.1mm
D2=7.75+0.15/−0.15mm
D3=3.40+0.30/−0.00mm
h=0.40+0.00/−0.20mm
H=1.00+0.00/−1.00mm
b1=0.35+0.10/−0.15mm
b2=0.10+0.00/−0.1mm
R1=0.67+0.10/−0.10mm
R2=0.7+0.1/−0.1mm
R4=0.27+0.05/−0.05mm
R3=6.01+0.10/−0.10mm
α1=20°+5°/−5°
α2=45°+10°/−5°
α3=0°+3°/−3°
α4=45°+5°/−5°
【0029】
自己穿孔型リベット2の軸方向の長さは、図示の例示的な実施形態では5mmである。しかしながら、他の寸法が同一であれば、標準形状として使用する5mmを越える又は5mm未満のリベット長も使用できることに注意されたい。
【0030】
自己穿孔型リベット2のリベット下部領域とヘッド下側部分の形状に特に注意されたい。
【0031】
ヘッド下側面取り部18の角度α1が比較的小さく、ヘッド下側面取り部18とシャンク外表面14との間のアール部R1が比較的小さいため、リベットヘッド4の下方のリベットシャンク6の外側に比較的大きな隙間ができる。その結果、接合工程において、リベットヘッド4がパンチ側金属板と比較的遅く接触し、パンチ側金属板の反り(たわみ)が比較的少なくなる。つまり、これに対応して「材料収縮」(金属板の収縮)が小さくなる。
【0032】
これには、多くの点で有利な効果がある。例えば、パンチ側金属板におけるリベットヘッド最終位置が最適になり、その結果、これに対応して自己穿孔型リベット接合の上面が「平坦」になる。ヘッド下側形状とパンチ側金属板との接触が遅いため、最初に述べたCリベットのような従来の自己穿孔型リベットに比べて、パンチ側金属板の変形が僅かになり、接合操作に必要な接合力が小さくなる。これにより、セッティング工程における自己穿孔型リベットの引張力が小さくなり、その結果、これに対応して破損、変形及び亀裂が生じる可能性が低下する。最初に説明したように、リベットヘッドの最終位置への配置に必要な力は、かなり遅くまで必要とされず、また荷重変位曲線の勾配は比較的大きい。リベットヘッドの最終位置への配置はかなり遅くまで生じず、且つ比較的迅速に起こり、明らかな力の増大を伴う。
【0033】
独特なヘッド下側形状部分とパンチ側金属板との接触が遅く、リベットヘッドを最終位置へ配置するパンチ行程が速い(特徴的に短かい)ので、金属板の変形を最小限にでき、それにより接合操作後の金属板の戻りが、従来よりもかなり少なくなることが分かる。
【0034】
ヘッド下側形状によって得られる上記及びその他の効果は、リベット下部形状によって得られる効果と機能的に組み合わされる。
【0035】
下部形状の特徴は平坦なシャンク端面20であり、この平坦なシャンク端面20は、実質的にリベットの半径方向平面内にあり、特別な角度α2を有するシャンク内側面取り部20とアール部R2とを介してシャンク内表面16に続く。この独特な下部形状、特に平坦なシャンク端面20は、接合操作の際に自己穿孔型リベットを案内する。その結果、パンチ側金属板を貫通するときに自己穿孔型リベットが早く拡張しすぎるのが防止され、一方、20、22及びR2の組み合わせによって、ダイ側金属板(従って、拡張が望ましい場所)にリベットが貫入した場合にリベットシャンク6の制御された均一な拡張が起こる。
【0036】
その結果、パンチ側金属板の穿孔における切断工程が滑らかになる。必要な接合力と必要な変形仕事量(即ち、加えるエネルギー)が大幅に減少しないことは確かであるが、リベットの破損は最大限に抑えられる。更に、非拡張状態でパンチ側金属板に貫入するリング部分が、(Cリベットの場合のように)拡張状態より小さいので、必要とされる切断力や接合力が更に小さくなる。この結果、自己穿孔型リベットにおける引張力が減少する。更に、パンチ側金属板を貫通する際にリベットシャンクはまだ拡張されていないので、曲げ応力がほとんど生じず、その結果、リベット内の応力の分布は比較的均等(均一)になり、リベットシャンクの内側又は外側に僅かな引張応力と圧縮応力が存在するだけとなり、その結果、理想的には、シャンク内には軸方向の圧縮応力だけが生じる。その結果、接合操作で自己穿孔型リベットが早期に破損するのが防止され、従って亀裂が生じる可能性が減少する。
【0037】
これに関連して得られる更に他の利点としては、金属板間を分かつ面に、後からでは塞ぐことができない隙間が早期にできることがなく、その結果、完成した自己穿孔型リベット接合の亀裂が減少するという点がある。
【0038】
上述した効果は、次に図2〜図9を用いて説明するように、実験と有限要素法(FEM)の両方によって確認された。
【0039】
図2は、実験で作成され数字1〜4で示した断面図を示し、これらの断面図は、自己穿孔型リベットがパンチ側金属板を貫通した後でかつダイ側金属板に貫入する前の状態を示す。図3と図4は、類似の断面図を示すが、これらの図は、FEMを用いて得られたものである。図2〜図4の左側の1及び3と示した断面図は、従来のCリベット(EP0 720 695)に関連するものであり、図2〜図4の右側の2及び4と示した断面図は、図1に従って本発明により設計された自己穿孔型リベットに関するものである。
【0040】
二枚の金属板は類似したものであり、即ち高強度鋼(HT800T)から成り、板厚は1.5mmであった。自己穿孔型リベットは、硬度6(35B2)と硬度7(45B2)の自己穿孔型リベット材料で作られ、数字1と2で示した断面図は、硬度6の自己穿孔型リベットに関するものであり、数字3と4で示した断面図は、硬度7の自己穿孔型リベットに関するものである。
【0041】
図2の左側と右側の断面図を比較すると分かるように、Cリベット(従来技術)は、明らかに切断工程で既に拡張されているが、本発明による自己穿孔型リベットは、殆ど変形していない状態を維持している。したがって、本発明によるリベットは、Cリベットと対照的に、直線的な垂直方向の切断を行い、Cリベットの場合には斜め方向に切断が行われる。その結果、本発明により設計された自己穿孔型リベットのリベットシャンクは、ほとんど純粋な圧縮荷重を受け、一方、Cリベットのリベットシャンクは、不均一な荷重(曲げ応力)を受け、即ち内側領域で引張荷重を受け、外側領域で圧力荷重を受ける。3で示した断面図において、Cリベットの内側が既に裂けている(lacerated)ことが分かる。
【0042】
以上の結果は、FEMによって得られた図3の断面図によって確認され、この図において、最大主応力(greatest main stress)σの分布が、異なるシェーディングで示されている。「最大主応力」とは、量による最大主応力のことである。左側のシェーディング目盛は、明るい色から暗い色になるほど引張力が大きくなることを表し、負の引張力は圧縮応力を表わし、正の引張力は引張応力を表わす。
【0043】
図3の左側と右側を比較すると分かるように、本発明により設計された自己穿孔型リベットのリベットシャンクにおける応力の分布は、最大限に均一であり、一方Cリベットにおける応力の分布は、きわめて不均一である。詳細には、Cリベットのリベットシャンクの外側に高い圧縮応力ピークが確認でき、内側には高い引張応力ピークが確認できる。この引張応力ピークは、リベットシャンクの反り(拡張)から生じるものである。Cリベットでは、明らかに大きい応力勾配がみられる。
【0044】
図4の断面図では、変形の程度ψが、異なるシェーディングによって示されている。ここでもまた、図4の右側に示される本発明により設計された自己穿孔型リベットは、切断工程の終わりにおいて、極めて僅かしか変形していないが、Cリベットは既に大きく変形(拡張)していることがよく分かる。本発明により設計された自己穿孔型リベットの場合、変形仕事量、即ち加えられるエネルギーは、Cリベットの場合よりも少なくないことは確かであるが、より良好な穿孔工程が行えることは明らかである。
【0045】
次に図5を参照すると、図5は、2枚の金属板間に完成した自己穿孔型リベット接合の2つの断面図を示し、ここで、左側は、従来の自己穿孔型リベット(Cリベット)に関し、右側が、本発明による自己穿孔型リベット(図1)に関するものである。
【0046】
本発明により設計された自己穿孔型リベット(図5の右側)は、パンチ側金属板を貫通してしまうまで拡張しないので、パンチ側金属板に滑らかな切断縁(cutting edge)ができる。この結果、セッティング工程後に、上側金属板のリベットシャンクへの接触面が最適なものになる。
【0047】
図5の左側に矢印Iで示したように、Cリベットでは、パンチ側金属板とリベットヘッドとの間の点設置(punctual placement)がアール部R1(図1)において既に始まっており、これにより、セッティング工程で、局部荷重が生じ不必要に接合力が高まる。更にその結果、セッティング工程で、矢印IIと線IIIによって示すようにパンチ側金属板の上面とリベットヘッドとの間に半径方向の隙間が大きくなる。図5の右側に示される本発明により設計された自己穿孔型リベットは、明らかに異なる挙動を示す。本発明により設計された自己穿孔型リベットの場合、パンチ側金属板は、かなり遅くまでヘッド下側面取り部118と接触せず(また、アール部R1と接触せず)、その接触はあまり局所的でなく(その結果として、接合力が小さいと言うことができる)、セッティング工程後にリベットヘッドとパンチ側金属板との間に隙間ができ、この隙間は、外側から内側に向かって半径方向に大きくなり、腐食の危険がある領域での点接触面(punctual contact surface)を可能にする(矢印Vと2本の線VIを参照)。2つのヘッド下側形状による実質的な違いは、リベットヘッドを最終位置に配置する際の荷重変位曲線、それによって生じるセッティング工程における引張力、セッティング工程後の自己穿孔型リベットの復帰力、及び工程完了後のリベットヘッドとパンチ側金属板との間の隙間にある。
【0048】
図5の左側と右側の2つの自己穿孔型リベット接合の更なる違いは、矢印IV及びVIIIの部分に見ることができる。左側に示したCリベットの場合は、Cリベット接合部が大きく歪んでいるが、本発明により設計された自己穿孔型リベットによる自己穿孔型リベット接合の場合は、リベットヘッドの下方において、パンチ側金属板に一定の可撓性があり、これにより、工具を除去した後の接合の相対運動/「セッティング」が可能である。この「自由な動き」は、金属板の戻りによい影響を及ぼす。予想される1つの利点は、振動荷重下での自己穿孔型リベットの耐荷重性能が必然的に高まることであり、その理由は、金属板と自己穿孔型リベット接合との一定のセッティング挙動により、自己穿孔型リベット接合における引張力の均一性が高まるからである。
【0049】
独特なヘッド下側形状の更に他の利点として、Cリベットの場合とは異なり、パンチ側金属板が半径方向に大きくずれないため、接合された金属板の歪みが小さいことを挙げることができる。金属板の成形によって生じる起伏は、図5の左側と右側を比較すると分かるように、小さいヘッド下側アール部R1と、パンチ側金属板上へのリベットヘッドの点配置とによって減少する。
【0050】
本発明により設計された自己穿孔型リベットによる自己穿孔型リベット接合の剪断引張り試験及びクロス引張り試験を行った。その結果を図6〜図9に示す。ここでは図6と図7のグラフが示されている。図6と図7のグラフは、図2〜図4の試験の場合のように、同種の金属板(鋼/鋼)の自己穿孔型リベット接合に関し、図7と図8のグラフは、異種の金属板(アルミニウム/鋼)の自己穿孔型リベット接合に関するものである。
【0051】
クロス引張り試験では、自己穿孔型リベット接合した金属板を、軸方向に引き離す。図6のグラフは、接続で生じる金属板の移動(標準経路S)とこの接続で伝達可能な力(標準力F)との関係を示す。2及び4で示した曲線は、(図2〜図4と同じように)硬度6と7の本発明による自己穿孔型リベットに関し、1及び3で示した曲線は、硬度6と7のCリベットに関するものである。
【0052】
図6から推論できるように、本発明により設計された自己穿孔型リベットによる自己穿孔型リベット接合(曲線2及び4)は、従来のCリベットによる接合よりも明らかに高い標準力を達成する。更に、Cリベットは比較的早く亀裂が入ったり剪断したりするが、本発明により設計された自己穿孔型リベットは壊れない。したがって、本発明により設計された自己穿孔型リベットは、従来の自己穿孔型リベットよりも明らかに大きなエネルギー吸収能力を有する。
【0053】
剪断引張試験では、自己穿孔型リベット接合された金属板をリベット軸と垂直な方向に引っ張る。図7のグラフは、従来のCリベット(曲線1及び3)には早く亀裂が入ったり剪断したりすることを示している。これは、特に、硬度H7の自己穿孔型リベットに当てはまる(曲線3を参照)。一方、本発明により設計された自己穿孔型リベット(曲線2及び4)は壊れず、明らかに高いエネルギー吸収能力を有する。
【0054】
図8と図9は、図7と図6に対応し、異種の金属板(アルミニウム/鋼)の自己穿孔型リベット接合に関するグラフを示す。図8で分かるように、本発明により設計された自己穿孔型リベットによる自己穿孔型リベット接合の場合(曲線2及び4)は、最大伝達可能引張剪断力の大きさは5.2〜5.3kNになる。これとは対照的に、Cリベットの場合の最大伝達可能引張剪断力の大きさは4kN未満である。
【0055】
図9のグラフから分かるように、クロス引張り試験でも同様の結果が得られた。例えば、本発明により設計された自己穿孔型リベットによる自己穿孔型リベット接合の最大伝達可能クロス引張力は、Cリベットにおける対応する値よりも約0.3〜0.7kN大きい。
【0056】
図1に示した形状の自己穿孔型リベットで試験とFEM検査を行った。このような自己穿孔型リベットの直径は、D1(シャンク外表面14)とD2(ヘッド外表面12)が5.30mmと7.75mmであり、これは、特に自動車業界で通常使用されている。しかしながら、用途によりこれらの直径を変更できることを理解されたい。この場合、角度α1、α2及びα3は同じままで、他の寸法を直径の変化に応じて変化させることができる。
【0057】
既に述べたように、本発明により設計された自己穿孔型リベットは、特に高強度鋼材料(例えば、引張強さRM>600MPa)を接合するのに適しており、このリベット自体、高強度鋼材料から作られていることが好ましい。しかしながら、自己穿孔型リベットは、様々な材料(延性材料/低強度材料)でできた金属板の接合に使用することもでき、自己穿孔型リベットは、例えば特殊鋼、アルミニウム、これらの材料の合金、セラミックなどの他の材料から作られていてもよい。
【0058】
また、図1に示した形状を有する自己穿孔型リベットの場合には、直径D3及びアール部R3とR4を基準にして比較的大きい穴8を形成することができるといういことは、言及する価値のあることである。これにより、接合動作で切り取られた部分を保持することができる。これは特に、パンチ側金属板がダイ側金属板よりも柔らかい金属板を接合する場合、したがって「軟らかいものを硬いものに接合する」場合に当てはまる。しかしながら、リベットがアルミニウムで作成され、AlをAlに接合しなければならない場合も考えられる。更に、穴の底26のアール部R3とR4は、張力の削減という観点から最適に選択され、製造/組立条件に適応される。アール部R1、R2、R3及びR4の部分の滑らかな移行により、「ぎざぎざのない」自己穿孔型リベット形状が実現され、その結果亀裂が生じる可能性が更に減少する。
【0059】
図7は、本発明の例示的な実施形態の変形例を示し、この場合、自己穿孔型リベット102の中心穴108は、止まり穴としてではなく貫通穴として構成されている。他の点において、図7の自己穿孔型リベット102の形状は、図1の自己穿孔型リベット2の形状と同一である。従って、図7において、角度、半径及び寸法h、b1、b2には同じ名称が使用され、図1で使用した番号と同じ番号に100を加えた番号が使用されている。
【0060】
完全円筒状自己穿孔型リベット102とそれにより得られる利点に関しては、図1の半中空自己穿孔型リベット2の説明を参照することができる。更に、図7の完全円筒状自己穿孔型リベット102では、以下の利点及び可能性が得られる。
【0061】
−リベットシャンクの内部の穴容積が明らかに大きいため、特に「軟らかいものを硬いもの」に接合する場合、切断した材料が保持される。その結果、パンチ側の金属板材料が、妨げられることなくパンチの方向に流れることができる。
【0062】
−シャンクパンチが取り囲まれないため、シャンク内表面の亀裂の発生が防止される。
【0063】
−(自己穿孔型リベットを拡張する)アンダーカット形成のための取り囲まれたパンチを変位させる必要がないので、必要な接合力が大幅に減少する。
【0064】
−所与の長さ(例えば、5mm)の自己穿孔型リベットの場合、アンダーカット形成を脅かすことなく、比較的厚い(2〜3mm)金属板をパンチ側として加工することができる。
【0065】
−半中空自己穿孔型リベットの歪みを発生させ、最も好ましくない場合、自己穿孔型リベットのひび割れにつながる可能性のあるシャンク内表面のあらゆる幾何学的ぎざぎざ(notch)がなくなる。完全円筒状自己穿孔型リベットではリベットシャンクがより自由に動くことができ、その結果、接合操作において応力の「処理」がより良く行える。
【0066】
−自己穿孔型リベット接合における自己穿孔型リベットの弾塑性締付けがより均一に行われるので、完全円筒状自己穿孔型リベットの貫通穴は、自己穿孔型リベット接合の(震動)耐荷重性能を高めることができる。自己穿孔型リベット接合における最も剛性の高い要素である自己穿孔型リベットは、完全円筒状自己穿孔型リベットとしての設計により、自己穿孔型リベット接合の硬度/張力勾配をより均一にすることができる。
【0067】
図17の例示的な実施形態において、貫通穴108を画定するシャンク内表面116は、アール部R2から連続的な円筒状に構成される。しかしながら、ヘッド領域の貫通穴108は、図8〜図12の例示的な実施形態に示すような拡張部に続いてもよい。
【0068】
図8〜図12の自己穿孔型リベット102a〜102eの貫通穴108a〜108eは、円錐領域として設計された拡張部130a〜130eに続く。図8〜図10及び図12の自己穿孔型リベットの場合、拡張部130a、130b、130c、130eは、例えば丸められた縁または面取りした縁132a、132b、132c、132eで終わっており、図11の自己穿孔型リベット102dの場合は、拡張部130dはアール部132dで終わっている。他の点については、図8〜図12の例示的な実施形態は、円錐状拡張部分の大きさと勾配だけが異なる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、本発明により設計された半中空自己穿孔型リベットの軸方向断面図である。
【図2】図2は、自己穿孔型リベット接合の形成中の断面図であり、自己穿孔型リベットがダイ側金属板に貫入する少し前の状態の穿孔操作の終わりを示し、この図において、左側は従来のCリベットを示し、右側は、図1に従って本発明により設計された自己穿孔型リベットを示す。
【図3】図3は、図2に対応しているが、FEMを用いて得た類似の断面図であり、自己穿孔型リベットと自己穿孔型リベット接合における最大主応力の分布を示す。
【図4】図4は、図2に対応しているが、FEMを用いて得た類似の断面図であり、自己穿孔型リベットと自己穿孔型リベット接合における変形の程度を示す。
【図5】図5は、完成した自己穿孔型リベット接合の断面図であり、左側は、従来のCリベットを示し、右側は、図1に従って本発明により設計された自己穿孔型リベットを示す。
【図6】図6は、剪断引張り荷重の場合において、本発明により設計された自己穿孔型リベット接合の伝達可能標準力を標準行程により印加した場合のグラフであり、接合は同種の金属板の自己穿孔型リベット接合である。
【図7】図7は、クロス引張り荷重の場合において、本発明により設計された自己穿孔型リベット接合の伝達可能標準力を標準行程により印加した場合のグラフであり、接合は同種の金属板の自己穿孔型リベット接合である。
【図8】図8は、図6及び図7に対応しているが、異種の金属板で作成された自己穿孔型リベット接合についてのグラフである。
【図9】図9は、図6及び図7に対応しているが、異種の金属板で作成された自己穿孔型リベット接合についてのグラフである。
【図10】図10は、本発明により設計された中空自己穿孔型リベットの図1に対応する軸方向断面図である。
【図11】図11は、中空自己穿孔型リベットの異なる実施形態の図10に対応する縮小軸方向断面図である。
【図12】図12は、中空自己穿孔型リベットの異なる実施形態の図10に対応する縮小軸方向断面図である。
【図13】図13は、中空自己穿孔型リベットの異なる実施形態の図10に対応する縮小軸方向断面図である。
【図14】図14は、中空自己穿孔型リベットの異なる実施形態の図10に対応する縮小軸方向断面図である。
【図15】図15は、中空自己穿孔型リベットの異なる実施形態の図10に対応する縮小軸方向断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚以上の金属板を自己穿孔型リベット接合(self-piercing rivet joint)するための、半中空自己穿孔型リベット又は完全中空自己穿孔型リベットの形式の自己穿孔型リベットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、接合方法として自己穿孔型リベット接合の重要性が高まってきている。自己穿孔型リベット接合の接合操作並びに接合品質についての重要な1つのパラメータは、自己穿孔型リベットの形状である。従来技術として、例えば、EP0 720 695、EP1 064 466、EP1 229 254、EP1 387 093、DE44 31 769、DE203 19 610 U1、DE200 01 103 U1、US2004/0068854 A1、JP2001159409A、JP09317730Aなどから、自己穿孔型リベットの様々な形状が知られている。
【0003】
前述のEP0 720 695による自己穿孔型リベットは、一般にCリベット(C rivet)と呼ばれ、自動車業界で広く使用されているが、他の技術分野でも使用されている。このリベットは、リベットヘッドと、中心シャンク穴を備えたリベットシャンクとを有する半中空自己穿孔型リベットであり、リベットヘッドは、平らな上面と円筒状のヘッド外表面を有し、リベットシャンクは、円筒状シャンク外表面と、中心シャンク穴を画定する円筒状のシャンク内表面とを有する。円筒状ヘッド外表面と円筒状シャンク外表面は、比較的大きなアール部により互いに直接つながっている。自己穿孔型リベットの下部には、中央シャンク穴が円錐状に形成されており、この円錐形の側面は、この公報の明細書の記載に従って僅かに湾曲するようになっている。その結果、所与の生産技術の可能性の枠内で、リベットシャンクにある種の「鋭い縁」(実際には一般に多少面取りされている)が形成される。この公報の明細書によれば、円錐の開き角度は、25°〜120°の範囲とすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Cリベットは実際に功を奏していることが証明されているが、特に高強度薄鋼板を自己穿孔接合する場合には限界がある。
【0005】
従って、例えば、自己穿孔型リベット接合の実現可能な接合品質と耐荷重性能、接合操作中にリベットにかかる応力、及びリベットと金属板との間の隙間形成について、改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特に高強度材料で作られた金属板を接合するための自己穿孔型リベットを提供するという目的に基づき、リベットはその形状により、接合操作中に受ける接合力と引張力が比較的小さく、自己穿孔型リベット接合の最適な耐荷重性能と最適な接合品質を実現し、リベットと金属板との間の隙間の形成をできるだけ抑える。
【0007】
この目的は、請求項1に定義された自己穿孔型リベットによって解決される。
【0008】
本発明により形成された自己穿孔型リベットは、請求項1に定義された、ヘッド下側領域と脚部領域の独特な形状により区別される。これによれば、円筒状のヘッド外表面とシャンク外表面は、円錐状のヘッド下側面取り部とヘッド下側アール部によって接続されており、そのヘッド下側アール部は接線方向に延びてヘッド下側面取り部とシャンク外表面につながり、自己穿孔型リベットの半径方向平面と円錐状ヘッド下側面取り部とは20°+5°/-5°の角度をなす。リベット下部の領域において、シャンク外表面とシャンク内表面とは、平坦なシャンク端面、円錐状シャンク内側面取り部、及びシャンク端アール部によって接続され、そのシャンク端アール部は接線方向に延びてシャンク内表面と円錐状シャンク内側面取り部につながり、平坦なシャンク端面は、切刃を介してシャンク外表面とつながる。平坦なシャンク端面は、自己穿孔型リベットの半径方向平面と0°−3°/+3°の角度をなし、円錐状シャンク内側面取り部は、半径方向平面と45°+10°/−5°の角度をなす。
【0009】
端面の半径方向の幅は、円筒状シャンク外表面の直径の0.035倍より大きく、特にこの直径の0.035〜0.07倍の範囲であることが好ましい。ヘッド下側アール部は、円筒状シャンク外表面の直径の0.30倍より小さく、特に0.15倍より小さいことが好ましい。
【0010】
実験と有限要素法(FEM)を用いて実証されたように、本発明により構成された自己穿孔型リベットは、従来の自己穿孔型リベット、特に前述のCリベットと比べて多くの利点を有する。本発明により構成された自己穿孔型リベットの独特なリベット形状により、自己穿孔型リベット接合を行う際に要する接合力を削減し、高強度鋼に適したパンチ側金属板の穿孔を最適化し、上層板穿孔後の適応された均一な拡張挙動を可能にし、その結果、自己穿孔型リベットの破損、変形、及び亀裂発生の可能性を大幅に減少させることができる。最適化された穿孔工程によって、リベットシャンクにおける応力の分布は、例えばCリベットの場合よりはるかに均一になる。リベットシャンクの絶対的引張力、即ちシャンク内表面にかかる引張応力とシャンク外表面にかかる圧縮引張力を減少させることができ、その結果、応力勾配が、シャンクの幅全体にわたってより均一になった。この特徴により、穿孔工程中の自己穿孔型リベットの破損が最小限となり、更に他のセッティング工程のための条件(リベットの拡張、リベットヘッドの最終位置への配置、工具を取り外した後の金属板のはね返り)が整う。
【0011】
自己穿孔型リベットの一定で均一で連続的な拡張は、平坦なシャンク端面とシャンク内側アール部とを組み合わせることにより可能となり、その結果、自己穿孔型リベットに張力が均一に蓄積し、自己穿孔型リベットへの荷重の急激な変化を防止することができる。リベットシャンクが穿孔領域(リベット下部領域)において「鈍角」に設計されているので、工程の安全性が向上する。更に、ダイ側板への荷重が二次元的になり、ダイ側板の貫通や破損が防止される。
【0012】
独特なヘッド下側形状によって、接合力と接合仕事量を小さくすることができる。何故なら、パンチ側板が、かなり遅くまでリベットヘッドの下側と接触しないので、リベットヘッドの最終位置への配置に必要な力はかなり遅くまで必要とされず、荷重変位曲線(load displacement course)の勾配が比較的大きくなる。独特なヘッド下側形状がパンチ側板と接触するのが遅く、リベットヘッドを最終位置へ配置するためのパンチ行程が速い(特徴的に短い)ので、金属板の変形は最小限であり、その結果、接合操作後の金属板のはね返りが従来よりもかなり少なくなる。自己穿孔型リベットはパンチ側板を貫通してしまうまで拡張しないので、パンチ側板の切断縁が滑らかになる。この結果、セッティング工程後に、リベットシャンクとパンチ側板の接触面が最適になる。したがって、本発明によるリベット形状によって、リベットと金属板との間のこのような隙間の形成が大幅に減少する。
【0013】
本発明により構成された自己穿孔型リベットの場合、金属板間に比較的大きい隙間ができ、この隙間は、工具を外した後の自己穿孔型リベット接合の相対運動、即ち「セッテイング」を可能にする。このことは、金属板がある種の「動きの自由」を有するので、金属板のはね返りに対して良い影響を与える。このように隙間が形成されることにより、振動荷重の下で耐荷重性能が向上するという潜在的な可能性がある。何故なら、金属板の一定のセッティング挙動並びにそれによる自己穿孔型リベット接合によって、接合における引張力を均一にすることができるためである。
【0014】
自己穿孔型リベット要素における応力分布の改善は、セッティング工程の最適化によるものである。セッティング工程中の自己穿孔型リベットへの荷重が減少すると共に均一になり(実質的に最適化された拡張プロセスとリベットの均一な拡張により)、ヘッド下側形状によって金属板のはね返りが最小限となり、それにより、自己穿孔型リベットの品質の向上と、耐荷重性能の改善を達成することができる。
【0015】
独特なヘッド下側形状のさらに他の利点として、接合した金属板の歪みの減少が挙げられる。何故なら、パンチ側材料が必ずしも半径方向に移動しないからである。極めて小さなヘッド下側アール部及びパンチ側板上へのリベットヘッドの点接触(punctual contact)によって、金属板の変形により生じる起伏を小さくすることができる。
【0016】
本発明により設計された自己穿孔型リベットは、高強度鋼で作られた金属板の接合に好ましく使用することができるが、任意の材料で作られた金属板を接合するためにかなり一般的に使用することもできる。自己穿孔型リベット自体は高強度鋼から成るが、特殊鋼、アルミニウム、これらの材料の合金、セラミック等の他の一般的なリベット材料で作ることもできる。
【0017】
本発明により設計された自己穿孔型リベットは、半中空自己穿孔型リベット(この場合は中心穴が止まり穴)でも、完全中空自己穿孔型リベット(この場合は中心穴が貫通穴)でもよい。
【0018】
本発明の有利な設計とさらに他の展開は従属請求項で定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1を用いて、本発明により設計された半中空自己穿孔型リベットの具体的な実施形態を説明する。
【0020】
自己穿孔型リベット2は、中心軸Xに関して回転対称的に設計されており、リベットヘッド4と、止まり穴として設計された中心穴8を備えたリベットシャンク6とから成る。
【0021】
リベットヘッド4は、(好ましくは平らな)上面10と、(好ましくは円筒状の)ヘッド外表面12とを有する。ヘッド外表面12は、直径D2と軸方向高さhとを有する。
【0022】
リベットシャンク6は、円筒状シャンク外表面14と、穴8を画定する円筒状シャンク内表面16とを有する。円筒状シャンク外表面14は直径D1を有し、円筒状シャンク内表面は直径D3を有する。特定の応用例では、シャンク外表面14は、接合する金属板間にできる隙間を最小にするために、少なくとも所定の場所で僅かに拡がるように設計することができることに注意されたい。
【0023】
円筒状ヘッド外表面12は、円錐状のヘッド下側面取り部18及びアール部R1により円筒状シャンク外表面14と接続されている。(本発明の範囲において、用語「アール部」は、軸方向断面において半径Rの円弧形状を有する環状面と解されるものとする。)
【0024】
アール部R1は接線方向に延在してヘッド下側面取り部18及びシャンク外表面14とにつながっており、ヘッド下側面取り部18は、シャンク外表面12と直接隣接している(例えばアール部を介して)。ヘッド下側面取り部18は、半径方向平面との間に角度α1を作る。
【0025】
リベット下部において、シャンク外表面14は、平坦なシャンク端面20、シャンク内側面取り部22及びアール部R2によってシャンク内表面16につながり、シャンク外表面14と平坦なシャンク端面20との間に円周方向に延在する切刃24が設けられている。平坦なシャンク端面20は、軸Xに対して直角に延在し、この直角の面に対する許容可能な偏差は角度α3以内である。シャンク内側面取り部22は、自己穿孔型リベット2の半径方向平面に対して角度α2以下だけ傾斜されている。アール部R2は、シャンク内表面16とシャンク内側面取り部22に対して接線方向に延在する。平坦なシャンク端面20は、半径方向の幅b2を有する。
【0026】
切刃24は、理想的には鋭い刃になっている。しかしながら、実際には、製造上の理由から、半径方向の幅b1を有する面取り部又は丸みをつけた部分として設計することができる。面取りする場合には、切刃24が半径方向平面との間に角度α4を形成する。
【0027】
穴8は、ヘッド下側部26の領域に湾曲した底を有し、この底は、中心アール部R3と2つ側方アール部R4とからなる。側方アール部R4は、シャンク内表面16及びアール部R3に対して接線方向に延在する。リベットヘッド4は、軸X上において軸方向高さHを有する。
【0028】
好ましい例示的な実施形態によれば、規定寸法は以下の通りである。
D1=5.3+0.1/−0.1mm
D2=7.75+0.15/−0.15mm
D3=3.40+0.30/−0.00mm
h=0.40+0.00/−0.20mm
H=1.00+0.00/−1.00mm
b1=0.35+0.10/−0.15mm
b2=0.10+0.00/−0.1mm
R1=0.67+0.10/−0.10mm
R2=0.7+0.1/−0.1mm
R4=0.27+0.05/−0.05mm
R3=6.01+0.10/−0.10mm
α1=20°+5°/−5°
α2=45°+10°/−5°
α3=0°+3°/−3°
α4=45°+5°/−5°
【0029】
自己穿孔型リベット2の軸方向の長さは、図示の例示的な実施形態では5mmである。しかしながら、他の寸法が同一であれば、標準形状として使用する5mmを越える又は5mm未満のリベット長も使用できることに注意されたい。
【0030】
自己穿孔型リベット2のリベット下部領域とヘッド下側部分の形状に特に注意されたい。
【0031】
ヘッド下側面取り部18の角度α1が比較的小さく、ヘッド下側面取り部18とシャンク外表面14との間のアール部R1が比較的小さいため、リベットヘッド4の下方のリベットシャンク6の外側に比較的大きな隙間ができる。その結果、接合工程において、リベットヘッド4がパンチ側金属板と比較的遅く接触し、パンチ側金属板の反り(たわみ)が比較的少なくなる。つまり、これに対応して「材料収縮」(金属板の収縮)が小さくなる。
【0032】
これには、多くの点で有利な効果がある。例えば、パンチ側金属板におけるリベットヘッド最終位置が最適になり、その結果、これに対応して自己穿孔型リベット接合の上面が「平坦」になる。ヘッド下側形状とパンチ側金属板との接触が遅いため、最初に述べたCリベットのような従来の自己穿孔型リベットに比べて、パンチ側金属板の変形が僅かになり、接合操作に必要な接合力が小さくなる。これにより、セッティング工程における自己穿孔型リベットの引張力が小さくなり、その結果、これに対応して破損、変形及び亀裂が生じる可能性が低下する。最初に説明したように、リベットヘッドの最終位置への配置に必要な力は、かなり遅くまで必要とされず、また荷重変位曲線の勾配は比較的大きい。リベットヘッドの最終位置への配置はかなり遅くまで生じず、且つ比較的迅速に起こり、明らかな力の増大を伴う。
【0033】
独特なヘッド下側形状部分とパンチ側金属板との接触が遅く、リベットヘッドを最終位置へ配置するパンチ行程が速い(特徴的に短かい)ので、金属板の変形を最小限にでき、それにより接合操作後の金属板の戻りが、従来よりもかなり少なくなることが分かる。
【0034】
ヘッド下側形状によって得られる上記及びその他の効果は、リベット下部形状によって得られる効果と機能的に組み合わされる。
【0035】
下部形状の特徴は平坦なシャンク端面20であり、この平坦なシャンク端面20は、実質的にリベットの半径方向平面内にあり、特別な角度α2を有するシャンク内側面取り部20とアール部R2とを介してシャンク内表面16に続く。この独特な下部形状、特に平坦なシャンク端面20は、接合操作の際に自己穿孔型リベットを案内する。その結果、パンチ側金属板を貫通するときに自己穿孔型リベットが早く拡張しすぎるのが防止され、一方、20、22及びR2の組み合わせによって、ダイ側金属板(従って、拡張が望ましい場所)にリベットが貫入した場合にリベットシャンク6の制御された均一な拡張が起こる。
【0036】
その結果、パンチ側金属板の穿孔における切断工程が滑らかになる。必要な接合力と必要な変形仕事量(即ち、加えるエネルギー)が大幅に減少しないことは確かであるが、リベットの破損は最大限に抑えられる。更に、非拡張状態でパンチ側金属板に貫入するリング部分が、(Cリベットの場合のように)拡張状態より小さいので、必要とされる切断力や接合力が更に小さくなる。この結果、自己穿孔型リベットにおける引張力が減少する。更に、パンチ側金属板を貫通する際にリベットシャンクはまだ拡張されていないので、曲げ応力がほとんど生じず、その結果、リベット内の応力の分布は比較的均等(均一)になり、リベットシャンクの内側又は外側に僅かな引張応力と圧縮応力が存在するだけとなり、その結果、理想的には、シャンク内には軸方向の圧縮応力だけが生じる。その結果、接合操作で自己穿孔型リベットが早期に破損するのが防止され、従って亀裂が生じる可能性が減少する。
【0037】
これに関連して得られる更に他の利点としては、金属板間を分かつ面に、後からでは塞ぐことができない隙間が早期にできることがなく、その結果、完成した自己穿孔型リベット接合の亀裂が減少するという点がある。
【0038】
上述した効果は、次に図2〜図9を用いて説明するように、実験と有限要素法(FEM)の両方によって確認された。
【0039】
図2は、実験で作成され数字1〜4で示した断面図を示し、これらの断面図は、自己穿孔型リベットがパンチ側金属板を貫通した後でかつダイ側金属板に貫入する前の状態を示す。図3と図4は、類似の断面図を示すが、これらの図は、FEMを用いて得られたものである。図2〜図4の左側の1及び3と示した断面図は、従来のCリベット(EP0 720 695)に関連するものであり、図2〜図4の右側の2及び4と示した断面図は、図1に従って本発明により設計された自己穿孔型リベットに関するものである。
【0040】
二枚の金属板は類似したものであり、即ち高強度鋼(HT800T)から成り、板厚は1.5mmであった。自己穿孔型リベットは、硬度6(35B2)と硬度7(45B2)の自己穿孔型リベット材料で作られ、数字1と2で示した断面図は、硬度6の自己穿孔型リベットに関するものであり、数字3と4で示した断面図は、硬度7の自己穿孔型リベットに関するものである。
【0041】
図2の左側と右側の断面図を比較すると分かるように、Cリベット(従来技術)は、明らかに切断工程で既に拡張されているが、本発明による自己穿孔型リベットは、殆ど変形していない状態を維持している。したがって、本発明によるリベットは、Cリベットと対照的に、直線的な垂直方向の切断を行い、Cリベットの場合には斜め方向に切断が行われる。その結果、本発明により設計された自己穿孔型リベットのリベットシャンクは、ほとんど純粋な圧縮荷重を受け、一方、Cリベットのリベットシャンクは、不均一な荷重(曲げ応力)を受け、即ち内側領域で引張荷重を受け、外側領域で圧力荷重を受ける。3で示した断面図において、Cリベットの内側が既に裂けている(lacerated)ことが分かる。
【0042】
以上の結果は、FEMによって得られた図3の断面図によって確認され、この図において、最大主応力(greatest main stress)σの分布が、異なるシェーディングで示されている。「最大主応力」とは、量による最大主応力のことである。左側のシェーディング目盛は、明るい色から暗い色になるほど引張力が大きくなることを表し、負の引張力は圧縮応力を表わし、正の引張力は引張応力を表わす。
【0043】
図3の左側と右側を比較すると分かるように、本発明により設計された自己穿孔型リベットのリベットシャンクにおける応力の分布は、最大限に均一であり、一方Cリベットにおける応力の分布は、きわめて不均一である。詳細には、Cリベットのリベットシャンクの外側に高い圧縮応力ピークが確認でき、内側には高い引張応力ピークが確認できる。この引張応力ピークは、リベットシャンクの反り(拡張)から生じるものである。Cリベットでは、明らかに大きい応力勾配がみられる。
【0044】
図4の断面図では、変形の程度ψが、異なるシェーディングによって示されている。ここでもまた、図4の右側に示される本発明により設計された自己穿孔型リベットは、切断工程の終わりにおいて、極めて僅かしか変形していないが、Cリベットは既に大きく変形(拡張)していることがよく分かる。本発明により設計された自己穿孔型リベットの場合、変形仕事量、即ち加えられるエネルギーは、Cリベットの場合よりも少なくないことは確かであるが、より良好な穿孔工程が行えることは明らかである。
【0045】
次に図5を参照すると、図5は、2枚の金属板間に完成した自己穿孔型リベット接合の2つの断面図を示し、ここで、左側は、従来の自己穿孔型リベット(Cリベット)に関し、右側が、本発明による自己穿孔型リベット(図1)に関するものである。
【0046】
本発明により設計された自己穿孔型リベット(図5の右側)は、パンチ側金属板を貫通してしまうまで拡張しないので、パンチ側金属板に滑らかな切断縁(cutting edge)ができる。この結果、セッティング工程後に、上側金属板のリベットシャンクへの接触面が最適なものになる。
【0047】
図5の左側に矢印Iで示したように、Cリベットでは、パンチ側金属板とリベットヘッドとの間の点設置(punctual placement)がアール部R1(図1)において既に始まっており、これにより、セッティング工程で、局部荷重が生じ不必要に接合力が高まる。更にその結果、セッティング工程で、矢印IIと線IIIによって示すようにパンチ側金属板の上面とリベットヘッドとの間に半径方向の隙間が大きくなる。図5の右側に示される本発明により設計された自己穿孔型リベットは、明らかに異なる挙動を示す。本発明により設計された自己穿孔型リベットの場合、パンチ側金属板は、かなり遅くまでヘッド下側面取り部118と接触せず(また、アール部R1と接触せず)、その接触はあまり局所的でなく(その結果として、接合力が小さいと言うことができる)、セッティング工程後にリベットヘッドとパンチ側金属板との間に隙間ができ、この隙間は、外側から内側に向かって半径方向に大きくなり、腐食の危険がある領域での点接触面(punctual contact surface)を可能にする(矢印Vと2本の線VIを参照)。2つのヘッド下側形状による実質的な違いは、リベットヘッドを最終位置に配置する際の荷重変位曲線、それによって生じるセッティング工程における引張力、セッティング工程後の自己穿孔型リベットの復帰力、及び工程完了後のリベットヘッドとパンチ側金属板との間の隙間にある。
【0048】
図5の左側と右側の2つの自己穿孔型リベット接合の更なる違いは、矢印IV及びVIIIの部分に見ることができる。左側に示したCリベットの場合は、Cリベット接合部が大きく歪んでいるが、本発明により設計された自己穿孔型リベットによる自己穿孔型リベット接合の場合は、リベットヘッドの下方において、パンチ側金属板に一定の可撓性があり、これにより、工具を除去した後の接合の相対運動/「セッティング」が可能である。この「自由な動き」は、金属板の戻りによい影響を及ぼす。予想される1つの利点は、振動荷重下での自己穿孔型リベットの耐荷重性能が必然的に高まることであり、その理由は、金属板と自己穿孔型リベット接合との一定のセッティング挙動により、自己穿孔型リベット接合における引張力の均一性が高まるからである。
【0049】
独特なヘッド下側形状の更に他の利点として、Cリベットの場合とは異なり、パンチ側金属板が半径方向に大きくずれないため、接合された金属板の歪みが小さいことを挙げることができる。金属板の成形によって生じる起伏は、図5の左側と右側を比較すると分かるように、小さいヘッド下側アール部R1と、パンチ側金属板上へのリベットヘッドの点配置とによって減少する。
【0050】
本発明により設計された自己穿孔型リベットによる自己穿孔型リベット接合の剪断引張り試験及びクロス引張り試験を行った。その結果を図6〜図9に示す。ここでは図6と図7のグラフが示されている。図6と図7のグラフは、図2〜図4の試験の場合のように、同種の金属板(鋼/鋼)の自己穿孔型リベット接合に関し、図7と図8のグラフは、異種の金属板(アルミニウム/鋼)の自己穿孔型リベット接合に関するものである。
【0051】
クロス引張り試験では、自己穿孔型リベット接合した金属板を、軸方向に引き離す。図6のグラフは、接続で生じる金属板の移動(標準経路S)とこの接続で伝達可能な力(標準力F)との関係を示す。2及び4で示した曲線は、(図2〜図4と同じように)硬度6と7の本発明による自己穿孔型リベットに関し、1及び3で示した曲線は、硬度6と7のCリベットに関するものである。
【0052】
図6から推論できるように、本発明により設計された自己穿孔型リベットによる自己穿孔型リベット接合(曲線2及び4)は、従来のCリベットによる接合よりも明らかに高い標準力を達成する。更に、Cリベットは比較的早く亀裂が入ったり剪断したりするが、本発明により設計された自己穿孔型リベットは壊れない。したがって、本発明により設計された自己穿孔型リベットは、従来の自己穿孔型リベットよりも明らかに大きなエネルギー吸収能力を有する。
【0053】
剪断引張試験では、自己穿孔型リベット接合された金属板をリベット軸と垂直な方向に引っ張る。図7のグラフは、従来のCリベット(曲線1及び3)には早く亀裂が入ったり剪断したりすることを示している。これは、特に、硬度H7の自己穿孔型リベットに当てはまる(曲線3を参照)。一方、本発明により設計された自己穿孔型リベット(曲線2及び4)は壊れず、明らかに高いエネルギー吸収能力を有する。
【0054】
図8と図9は、図7と図6に対応し、異種の金属板(アルミニウム/鋼)の自己穿孔型リベット接合に関するグラフを示す。図8で分かるように、本発明により設計された自己穿孔型リベットによる自己穿孔型リベット接合の場合(曲線2及び4)は、最大伝達可能引張剪断力の大きさは5.2〜5.3kNになる。これとは対照的に、Cリベットの場合の最大伝達可能引張剪断力の大きさは4kN未満である。
【0055】
図9のグラフから分かるように、クロス引張り試験でも同様の結果が得られた。例えば、本発明により設計された自己穿孔型リベットによる自己穿孔型リベット接合の最大伝達可能クロス引張力は、Cリベットにおける対応する値よりも約0.3〜0.7kN大きい。
【0056】
図1に示した形状の自己穿孔型リベットで試験とFEM検査を行った。このような自己穿孔型リベットの直径は、D1(シャンク外表面14)とD2(ヘッド外表面12)が5.30mmと7.75mmであり、これは、特に自動車業界で通常使用されている。しかしながら、用途によりこれらの直径を変更できることを理解されたい。この場合、角度α1、α2及びα3は同じままで、他の寸法を直径の変化に応じて変化させることができる。
【0057】
既に述べたように、本発明により設計された自己穿孔型リベットは、特に高強度鋼材料(例えば、引張強さRM>600MPa)を接合するのに適しており、このリベット自体、高強度鋼材料から作られていることが好ましい。しかしながら、自己穿孔型リベットは、様々な材料(延性材料/低強度材料)でできた金属板の接合に使用することもでき、自己穿孔型リベットは、例えば特殊鋼、アルミニウム、これらの材料の合金、セラミックなどの他の材料から作られていてもよい。
【0058】
また、図1に示した形状を有する自己穿孔型リベットの場合には、直径D3及びアール部R3とR4を基準にして比較的大きい穴8を形成することができるといういことは、言及する価値のあることである。これにより、接合動作で切り取られた部分を保持することができる。これは特に、パンチ側金属板がダイ側金属板よりも柔らかい金属板を接合する場合、したがって「軟らかいものを硬いものに接合する」場合に当てはまる。しかしながら、リベットがアルミニウムで作成され、AlをAlに接合しなければならない場合も考えられる。更に、穴の底26のアール部R3とR4は、張力の削減という観点から最適に選択され、製造/組立条件に適応される。アール部R1、R2、R3及びR4の部分の滑らかな移行により、「ぎざぎざのない」自己穿孔型リベット形状が実現され、その結果亀裂が生じる可能性が更に減少する。
【0059】
図7は、本発明の例示的な実施形態の変形例を示し、この場合、自己穿孔型リベット102の中心穴108は、止まり穴としてではなく貫通穴として構成されている。他の点において、図7の自己穿孔型リベット102の形状は、図1の自己穿孔型リベット2の形状と同一である。従って、図7において、角度、半径及び寸法h、b1、b2には同じ名称が使用され、図1で使用した番号と同じ番号に100を加えた番号が使用されている。
【0060】
完全円筒状自己穿孔型リベット102とそれにより得られる利点に関しては、図1の半中空自己穿孔型リベット2の説明を参照することができる。更に、図7の完全円筒状自己穿孔型リベット102では、以下の利点及び可能性が得られる。
【0061】
−リベットシャンクの内部の穴容積が明らかに大きいため、特に「軟らかいものを硬いもの」に接合する場合、切断した材料が保持される。その結果、パンチ側の金属板材料が、妨げられることなくパンチの方向に流れることができる。
【0062】
−シャンクパンチが取り囲まれないため、シャンク内表面の亀裂の発生が防止される。
【0063】
−(自己穿孔型リベットを拡張する)アンダーカット形成のための取り囲まれたパンチを変位させる必要がないので、必要な接合力が大幅に減少する。
【0064】
−所与の長さ(例えば、5mm)の自己穿孔型リベットの場合、アンダーカット形成を脅かすことなく、比較的厚い(2〜3mm)金属板をパンチ側として加工することができる。
【0065】
−半中空自己穿孔型リベットの歪みを発生させ、最も好ましくない場合、自己穿孔型リベットのひび割れにつながる可能性のあるシャンク内表面のあらゆる幾何学的ぎざぎざ(notch)がなくなる。完全円筒状自己穿孔型リベットではリベットシャンクがより自由に動くことができ、その結果、接合操作において応力の「処理」がより良く行える。
【0066】
−自己穿孔型リベット接合における自己穿孔型リベットの弾塑性締付けがより均一に行われるので、完全円筒状自己穿孔型リベットの貫通穴は、自己穿孔型リベット接合の(震動)耐荷重性能を高めることができる。自己穿孔型リベット接合における最も剛性の高い要素である自己穿孔型リベットは、完全円筒状自己穿孔型リベットとしての設計により、自己穿孔型リベット接合の硬度/張力勾配をより均一にすることができる。
【0067】
図17の例示的な実施形態において、貫通穴108を画定するシャンク内表面116は、アール部R2から連続的な円筒状に構成される。しかしながら、ヘッド領域の貫通穴108は、図8〜図12の例示的な実施形態に示すような拡張部に続いてもよい。
【0068】
図8〜図12の自己穿孔型リベット102a〜102eの貫通穴108a〜108eは、円錐領域として設計された拡張部130a〜130eに続く。図8〜図10及び図12の自己穿孔型リベットの場合、拡張部130a、130b、130c、130eは、例えば丸められた縁または面取りした縁132a、132b、132c、132eで終わっており、図11の自己穿孔型リベット102dの場合は、拡張部130dはアール部132dで終わっている。他の点については、図8〜図12の例示的な実施形態は、円錐状拡張部分の大きさと勾配だけが異なる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、本発明により設計された半中空自己穿孔型リベットの軸方向断面図である。
【図2】図2は、自己穿孔型リベット接合の形成中の断面図であり、自己穿孔型リベットがダイ側金属板に貫入する少し前の状態の穿孔操作の終わりを示し、この図において、左側は従来のCリベットを示し、右側は、図1に従って本発明により設計された自己穿孔型リベットを示す。
【図3】図3は、図2に対応しているが、FEMを用いて得た類似の断面図であり、自己穿孔型リベットと自己穿孔型リベット接合における最大主応力の分布を示す。
【図4】図4は、図2に対応しているが、FEMを用いて得た類似の断面図であり、自己穿孔型リベットと自己穿孔型リベット接合における変形の程度を示す。
【図5】図5は、完成した自己穿孔型リベット接合の断面図であり、左側は、従来のCリベットを示し、右側は、図1に従って本発明により設計された自己穿孔型リベットを示す。
【図6】図6は、剪断引張り荷重の場合において、本発明により設計された自己穿孔型リベット接合の伝達可能標準力を標準行程により印加した場合のグラフであり、接合は同種の金属板の自己穿孔型リベット接合である。
【図7】図7は、クロス引張り荷重の場合において、本発明により設計された自己穿孔型リベット接合の伝達可能標準力を標準行程により印加した場合のグラフであり、接合は同種の金属板の自己穿孔型リベット接合である。
【図8】図8は、図6及び図7に対応しているが、異種の金属板で作成された自己穿孔型リベット接合についてのグラフである。
【図9】図9は、図6及び図7に対応しているが、異種の金属板で作成された自己穿孔型リベット接合についてのグラフである。
【図10】図10は、本発明により設計された中空自己穿孔型リベットの図1に対応する軸方向断面図である。
【図11】図11は、中空自己穿孔型リベットの異なる実施形態の図10に対応する縮小軸方向断面図である。
【図12】図12は、中空自己穿孔型リベットの異なる実施形態の図10に対応する縮小軸方向断面図である。
【図13】図13は、中空自己穿孔型リベットの異なる実施形態の図10に対応する縮小軸方向断面図である。
【図14】図14は、中空自己穿孔型リベットの異なる実施形態の図10に対応する縮小軸方向断面図である。
【図15】図15は、中空自己穿孔型リベットの異なる実施形態の図10に対応する縮小軸方向断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リベットヘッド(4)と、中央シャンク穴(8)を備えたリベットシャンク(6)とを有し、これらがすべて中心軸(X)に対して回転対称であるように設計された自己穿孔型リベットであって、
リベットヘッド(4)が、上面(10)と、所定のヘッド直径(D2)の円筒状ヘッド外表面(12)とを有し、
リベットシャンク(6)が、実質的に円筒状のシャンク外表面(14)と、中央シャンク穴(8)を画定する円筒状のシャンク内表面(16)とを有し、
ヘッド外表面(12)とシャンク外表面(14)とが円錐状のヘッド下側面取り部(18)とヘッド下側アール部(R1)とによって接続され、このアール部(R1)が接線方向に延びて円錐状ヘッド下側面取り部(18)及びシャンク外表面(14)につながっており、円錐状ヘッド下側面取り部(18)と自己穿孔型リベットの半径方向平面とが20°+5°/−5°の角度(α1)をなし、
シャンク外表面(14)とシャンク内表面(16)とが、リベットヘッド(4)と軸方向反対側の端において、平坦なシャンク端面(20)、円錐状シャンク内側面取り部(22)、及びシャンク端アール部(R2)によって接続され、このシャンク端アール部(R2)が接線方向に延びてシャンク内表面(16)及び円錐状シャンク内側面取り部(22)につながっており、平坦なシャンク端面(20)が、切刃(24)を介してシャンク外表面(14)につながっており、平坦なシャンク端面(20)と自己穿孔型リベットの半径方向平面とが0−3°/+3°の角度(α3)をなし、円錐状シャンク内側面取り部(22)と自己穿孔型リベットの半径方向平面が45°+10°/−5°の角度(α2)をなす自己穿孔型リベット。
【請求項2】
平坦なシャンク端面(20)の半径方向の幅(b2)がシャンク外表面(14)の直径(D1)の0.035倍より大きい、請求項1に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項3】
ヘッド下側アール部(R1)がシャンク外表面(14)の直径(D1)の0.30倍より小さく、特に0.20倍より小さい、請求項1又は2に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項4】
平坦なシャンク端面(20)とシャンク外表面(14)との間の切刃(24)が0.1mm未満の半径方向の幅(b1)を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項5】
ヘッド直径(D2)が7.75mm+0.15mm/−0.15mmであり、シャンク外表面(14)の直径(D1)が5.3mm+0.1mm/−0.lmmであり、平坦なシャンク端面(20)の半径方向の幅(b2)が0.35mm+0.10mm/−0.15mmである、請求項1から4のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項6】
ヘッド下側アール部(R1)の半径が0.67mm+0.10mm/−0.10mmである、請求項5に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項7】
シャンク端アール部(R2)の半径が0.70mm+0.1mm/−0.1mmである、請求項5又は6に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項8】
シャンク内表面(16)の直径(D3)が3.40mm+0.3mm/−0.00mmである、請求項5から7のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項9】
ヘッド外表面(12)の軸方向の高さ(h)が0.40mm+0.00mm/−0.40mmである、請求項5から8のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項10】
半中空自己穿孔型リベットであり、中心穴(8)が止まり穴である、請求項1から9のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項11】
中心穴(8)の穴底(26)が中心アール部(R3)と2つの側方移行アール部(R4)を備え、その2つの側方移行アール部(R4)がそれぞれ接線方向に延びて、中心アール部(R3)及び隣接するシャンク内側壁(16)につながっている、請求項10に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項12】
穴底(26)の中心アール部(R3)の半径がシャンク外表面(14)の直径(D1)の1.00倍より大きく、特に1.10倍より大きい、請求項10又は11に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項13】
穴底(26)の中心アール部(R3)の半径が6.01mm+0.10mm/−0.10mmである、請求項5と組み合わされた請求項10から12のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項14】
穴底(26)の2つの側方移行アール部(R4)の半径が0.27mm+0.05mm/−0.05mmである、請求項13に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項15】
中心軸(X)上におけるリベットヘッド(4)の軸方向の高さ(H)が1.00mm未満である、請求項10から14のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項16】
中空自己穿孔型リベットとして設計され、中心穴が貫通穴(108)である、請求項1から9のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項17】
シャンク内表面(116)が中心穴(108)の長さ全体にわたって実質的に円筒状に設計された、請求項16に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項18】
自己穿孔型リベットのヘッド端側においてシャンク内表面(116a〜e)が拡張部(13Oa〜e)につながっている、請求項16に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項19】
拡張部(130a〜e)が円錐状拡張面を備える、請求項18に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項20】
円錐状拡張部が角部(132a、b、c、e)又はアール部(132d)を介してシャンク内表面(116a〜e)につながっている、請求項19に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項1】
リベットヘッド(4)と、中央シャンク穴(8)を備えたリベットシャンク(6)とを有し、これらがすべて中心軸(X)に対して回転対称であるように設計された自己穿孔型リベットであって、
リベットヘッド(4)が、上面(10)と、所定のヘッド直径(D2)の円筒状ヘッド外表面(12)とを有し、
リベットシャンク(6)が、実質的に円筒状のシャンク外表面(14)と、中央シャンク穴(8)を画定する円筒状のシャンク内表面(16)とを有し、
ヘッド外表面(12)とシャンク外表面(14)とが円錐状のヘッド下側面取り部(18)とヘッド下側アール部(R1)とによって接続され、このアール部(R1)が接線方向に延びて円錐状ヘッド下側面取り部(18)及びシャンク外表面(14)につながっており、円錐状ヘッド下側面取り部(18)と自己穿孔型リベットの半径方向平面とが20°+5°/−5°の角度(α1)をなし、
シャンク外表面(14)とシャンク内表面(16)とが、リベットヘッド(4)と軸方向反対側の端において、平坦なシャンク端面(20)、円錐状シャンク内側面取り部(22)、及びシャンク端アール部(R2)によって接続され、このシャンク端アール部(R2)が接線方向に延びてシャンク内表面(16)及び円錐状シャンク内側面取り部(22)につながっており、平坦なシャンク端面(20)が、切刃(24)を介してシャンク外表面(14)につながっており、平坦なシャンク端面(20)と自己穿孔型リベットの半径方向平面とが0−3°/+3°の角度(α3)をなし、円錐状シャンク内側面取り部(22)と自己穿孔型リベットの半径方向平面が45°+10°/−5°の角度(α2)をなす自己穿孔型リベット。
【請求項2】
平坦なシャンク端面(20)の半径方向の幅(b2)がシャンク外表面(14)の直径(D1)の0.035倍より大きい、請求項1に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項3】
ヘッド下側アール部(R1)がシャンク外表面(14)の直径(D1)の0.30倍より小さく、特に0.20倍より小さい、請求項1又は2に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項4】
平坦なシャンク端面(20)とシャンク外表面(14)との間の切刃(24)が0.1mm未満の半径方向の幅(b1)を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項5】
ヘッド直径(D2)が7.75mm+0.15mm/−0.15mmであり、シャンク外表面(14)の直径(D1)が5.3mm+0.1mm/−0.lmmであり、平坦なシャンク端面(20)の半径方向の幅(b2)が0.35mm+0.10mm/−0.15mmである、請求項1から4のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項6】
ヘッド下側アール部(R1)の半径が0.67mm+0.10mm/−0.10mmである、請求項5に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項7】
シャンク端アール部(R2)の半径が0.70mm+0.1mm/−0.1mmである、請求項5又は6に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項8】
シャンク内表面(16)の直径(D3)が3.40mm+0.3mm/−0.00mmである、請求項5から7のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項9】
ヘッド外表面(12)の軸方向の高さ(h)が0.40mm+0.00mm/−0.40mmである、請求項5から8のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項10】
半中空自己穿孔型リベットであり、中心穴(8)が止まり穴である、請求項1から9のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項11】
中心穴(8)の穴底(26)が中心アール部(R3)と2つの側方移行アール部(R4)を備え、その2つの側方移行アール部(R4)がそれぞれ接線方向に延びて、中心アール部(R3)及び隣接するシャンク内側壁(16)につながっている、請求項10に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項12】
穴底(26)の中心アール部(R3)の半径がシャンク外表面(14)の直径(D1)の1.00倍より大きく、特に1.10倍より大きい、請求項10又は11に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項13】
穴底(26)の中心アール部(R3)の半径が6.01mm+0.10mm/−0.10mmである、請求項5と組み合わされた請求項10から12のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項14】
穴底(26)の2つの側方移行アール部(R4)の半径が0.27mm+0.05mm/−0.05mmである、請求項13に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項15】
中心軸(X)上におけるリベットヘッド(4)の軸方向の高さ(H)が1.00mm未満である、請求項10から14のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項16】
中空自己穿孔型リベットとして設計され、中心穴が貫通穴(108)である、請求項1から9のいずれか1項に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項17】
シャンク内表面(116)が中心穴(108)の長さ全体にわたって実質的に円筒状に設計された、請求項16に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項18】
自己穿孔型リベットのヘッド端側においてシャンク内表面(116a〜e)が拡張部(13Oa〜e)につながっている、請求項16に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項19】
拡張部(130a〜e)が円錐状拡張面を備える、請求項18に記載の自己穿孔型リベット。
【請求項20】
円錐状拡張部が角部(132a、b、c、e)又はアール部(132d)を介してシャンク内表面(116a〜e)につながっている、請求項19に記載の自己穿孔型リベット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−127278(P2007−127278A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−297264(P2006−297264)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(505156341)ボルホフ・フェルビンダンクシュテヒニーク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテン・ハフツング (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297264(P2006−297264)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(505156341)ボルホフ・フェルビンダンクシュテヒニーク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテン・ハフツング (19)
【Fターム(参考)】
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