説明

自己組織性樹脂状高分子を有する送達装置及びその使用方法

1以上の活性物質を生体界面に送達するための装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスを含む。ある実施形態では、この樹脂状高分子又はアルボロールは、自己組織化して活性物質又はイオンを保有し、移送を許容する水性の孔又はキャビティを有するマトリクスを形成する。特定の形態では、この装置はイオントフォレーシス装置である。ある形態では、イオントフォレーシス装置は、活性物質保有部又は貯留槽を有する作用側電極構造体及び対向電極構造体を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年7月5日出願の米国特許仮出願第60/818,827号の米国特許法119条(e)下での利益を主張し、上記出願の全体は参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般的に、医療装置に、さらに特定的には起電力及び/又は電流の影響下において生体界面(biological interface)に対して治療物質(therapeutic agent)、薬物(drug)、診断物質(diagnostic agent)などの活性物質(active agent)を経皮的に送達する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
起電力を用いる医療装置は当業界において周知である。例えば、イオントフォレーシス送達装置は、同様に荷電された活性物質及び/又はそのビヒクルを含有するイオントフォレーシスチャンバに小さい電荷を印加することにより、活性物質(例えば荷電物質、イオン化化合物、イオン性薬物、治療薬、生体活性物質、診断物質など)を生体界面(例えば、皮膚、粘膜など)に移送するために起電力及び/又は電流を用いる。
【0004】
イオントフォレーシス装置は、典型的には、電源、例えば化学電池又は電気リード線でイオントフォレーシス装置に接続された外部電源の反対極又は端子に各々接続される作用側電極構造体及び対向電極構造体を包含する。各電極構造体は、典型的には、起電力及び/又は電流を印加するためのそれぞれの電極要素を包含する。このような電極要素はしばしば、犠牲要素又は化合物、例えば銀又は塩化銀を含む。活性物質は陽イオン性又は陰イオン性のいずれでもあり得、電源は、活性物質の極性に基づいて適切な電圧極性を印加するように構成され得る。イオントフォレーシスは、有益には、活性物質の送達速度を増強するか又は制御するために用いられ得る。活性物質は、貯留槽、例えばキャビティ中に貯留され得る。代替的には、活性物質は、多孔性構造又はゲルのような貯留槽中に保存され得る。イオン交換膜は、活性物質貯留槽と生体界面との間の極性選択障壁として役立つように配置され得る。典型的には、1の特定の型のイオン(例えば荷電した活性物質)に関してのみ透過性の膜は、皮膚又は粘膜からの逆荷電イオンの逆流を防止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
イオントフォレーシス装置の商業的受入れは、種々の因子、例えば製造コスト、保存寿命、貯蔵中の安定性、活性物質送達の効率及び/又は適時性、生物学的能力、及び/又は廃棄問題に依存する。イオントフォレーシス装置の商業的受入れは、用途の多さや使用の容易性にも依存する。
【0006】
本開示は、上記の1つ又は複数の欠点を克服し、そしてさらなる関連の利点を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、水性の孔又はキャビティを有するマトリクスであって、活性物質を含み、活性物質の生体界面への移送を許容するマトリクスから形成される貯留槽又は膜を有する送達装置に関連する。少なくとも一実施形態では、前記マトリクスは、自己組織性(self-assembling)又は自己会合性(self-associating)のマトリクスであり得る。少なくとも一実施形態では、前記送達装置は、経皮送達装置であり得る。少なくとも一実施形態では、前記送達装置は、イオントフォレーシス装置であり得る。少なくとも一実施形態では、前記活性物質は治療用の又は薬学的な活性物質であり得る。少なくとも一実施形態では、生体界面は、皮膚又は粘膜であり得る。
【0008】
本開示は、更に、樹脂状高分子(dendritic polymer)を含むマトリクスを有し、生体界面に活性物質を送達するための送達装置に関連する。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子は、自己組織性又は自己会合性の樹脂状高分子であり得る。
【0009】
本開示は、更に、アルボロール(arborol)を含むマトリクスを有し、生体界面に活性物質を送達するための送達装置に関連する。少なくとも一実施形態では、上記アルボロールは、自己組織性又は自己会合性のアルボロールであり得る。
【0010】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達するための装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスと少なくとも1の活性物質を有する。少なくとも一実施形態では、上記装置は、経皮送達装置であり得る。少なくとも一実施形態では、上記装置は、イオントフォレーシス装置であり得る。少なくとも一実施形態では、上記装置は、少なくとも2つの電極構造体を有するイオントフォレーシス装置であり得る。
【0011】
少なくとも一実施形態では、1以上の活性物質を生体界面に送達する装置は、少なくとも1のアルボロールを有するマトリクスと少なくとも1の活性物質を有する。
【0012】
少なくとも一実施形態では、上記アルボロールは、1方向性(one-directional)アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記1方向性アルボロールは、[9]−6,[9]−8又は[9]−10アルボロールから選択され得る。
【0013】
少なくとも一実施形態では、上記アルボロールは、2方向性(two-directional)アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、mを2つの親水性末端領域(hydrophilic end region)のそれぞれが有する極性基の数とし、nをその2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖(linear alkyl chain)中の炭素数として、上記2方向性アルボロールは、[m]−[n]−[m]アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、nをそれぞれが9つのヒドロキシル基を含む2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、上記2方向性アルボロールは、[9]−n−[9]アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記2方向性アルボロールは、nを10〜13とする[9]−n−[9]アルボロールであり得る。一実施形態では、上記2方向性アルボロールは、[9]−10−[9]アルボロールであり得る。
【0014】
少なくとも一実施形態では、上記アルボロールは、3方向性アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記3方向性アルボロールは、ベンゼン[9]であり得る。
【0015】
少なくとも一実施形態では、1以上の活性物質を生体界面に送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子と少なくとも1の活性物質を有するマトリクスを有する。
【0016】
少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子は、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーであり得る。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子は、ポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマーであり得る。一実施形態では、上記樹脂状高分子は、ポリエーテルデンドリマーであり得る。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子は、フェニルアセチレンデンドリマーであり得る。
【0017】
少なくとも一実施形態では、上記マトリクスはゲルマトリクスであり得る。
【0018】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1のアルボロールを有するマトリクスと少なくとも1の活性物質を有し、上記アルボロールは、自己組織性アルボロールであり得る。
【0019】
少なくとも一実施形態では、上記自己組織性アルボロールは、2方向性アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、mを2つの親水性末端領域のそれぞれが有する極性基の数とし、nをその2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、上記2方向性アルボロールは、[m]−[n]−[m]アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、nをそれぞれが9つのヒドロキシル基を含む2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、上記2方向性アルボロールは、[9]−n−[9]アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記2方向性アルボロールは、nを10〜13とする[9]−n−[9]アルボロールであり得る。一実施形態では、上記2方向性アルボロールは、[9]−10−[9]アルボロールであり得る。
【0020】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスと少なくとも1の活性物質を有し、上記活性物質は、治療物質、診断物質又は薬学的薬物(pharmaceutical drug)であり得る。
【0021】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスと少なくとも1の活性物質を有し、更に、少なくとも1の貯留槽を有する。
【0022】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスと少なくとも1の活性物質を有し、上記少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスは貯留槽を形成する。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子又はアルボロールは、自己組織性の樹脂状高分子又はアルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記自己組織性の樹脂状高分子又はアルボロールは貯留槽を形成し得る。
【0023】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスと少なくとも1の活性物質を有し、更に、少なくとも1の膜を有する。
【0024】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスと少なくとも1の活性物質を有し、上記少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスは少なくとも1の膜を形成する。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子又はアルボロールは、自己組織性の樹脂状高分子又はアルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記自己組織性の樹脂状高分子又はアルボロールは少なくとも1の膜を形成し得る。
【0025】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスと少なくとも1の活性物質を有し、上記少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスは荷電基を有し得る。少なくとも一実施形態では、上記荷電基は正味正電荷を有し得る。少なくとも一実施形態では、上記荷電基は正味負電荷を有し得る。
【0026】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスと少なくとも1の活性物質を有し、更に、上記装置の表面と生体界面との間に界面結合媒体を有する。少なくとも一実施形態では、界面結合媒体は接着剤であり得る。
【0027】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを有するマトリクスと電極構造体を有する。少なくとも一実施形態では、上記装置は経皮送達装置であり得る。少なくとも一実施形態では、上記装置は2つの電極構造体を有するイオントフォレーシス装置であり得る。少なくとも一実施形態では、上記アルボロールは、1方向性アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記1方向性アルボロールは、[9]−6,[9]−8又は[9]−10アルボロールから選択され得る。少なくとも一実施形態では、上記アルボロールは、2方向性アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記2方向性アルボロールは、mを2つの親水性末端領域のそれぞれが有する極性基の数とし、nをその2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、[m]−[n]−[m]アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、nをそれぞれが9つのヒドロキシル基を含む2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、上記2方向性アルボロールは、[9]−n−[9]アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記2方向性アルボロールは、nを10〜13とする[9]−n−[9]アルボロールであり得る。一実施形態では、上記2方向性アルボロールは、[9]−10−[9]アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記アルボロールは、3方向性アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記3方向性アルボロールは、ベンゼン[9]であり得る。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子は、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーであり得る。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子は、ポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマーであり得る。一実施形態では、上記樹脂状高分子は、ポリエーテルデンドリマーであり得る。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子は、フェニルアセチレンデンドリマーであり得る。少なくとも一実施形態では、上記マトリクスはゲルマトリクスであり得る。
【0028】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールとを有するマトリクスと電極構造体を有し、上記樹脂状高分子又はアルボロールは、自己組織性樹脂状高分子又はアルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記自己組織性樹脂状高分子又はアルボロールは、2方向性アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記2方向性アルボロールは、mを2つの親水性末端領域のそれぞれが有する極性基の数とし、nをその2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、[m]−[n]−[m]アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記2方向性アルボロールは、nをそれぞれが9つのヒドロキシル基を含む2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、[9]−n−[9]アルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記2方向性アルボロールは、nを10〜13とする[9]−n−[9]アルボロールであり得る。
【0029】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールとを有するマトリクスと電極構造体を有し、上記活性物質は、治療物質、診断物質又は薬学的薬物であり得る。
【0030】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールとを有するマトリクスと電極構造体を有し、更に、樹脂状高分子又はアルボロールを有する少なくとも1の貯留槽を有する。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子又はアルボロールは自己組織性樹脂状高分子又はアルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子又はアルボロールの自己組織化が上記マトリクスを形成する。
【0031】
少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールとを有するマトリクスと電極構造体を有し、更に、樹脂状高分子又はアルボロールを有する少なくとも1の膜を有する。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子又はアルボロールは自己組織性樹脂状高分子又はアルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子又はアルボロールの自己組織化が上記マトリクスを形成する。少なくとも一実施形態では、上記樹脂状高分子又はアルボロールは荷電基を有する。少なくとも一実施形態では、上記荷電基は正味正電荷を有し得る。少なくとも一実施形態では、上記荷電基は正味負電荷を有し得る。少なくとも一実施形態では、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置は、少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールとを有するマトリクスと電極構造体を有し、更に、上記装置の表面と生体界面との間に界面結合媒体を有する。少なくとも一実施形態では、界面結合媒体は接着剤であり得る。
【0032】
少なくとも一実施形態では、活性物質送達装置の製造方法は、装置の一部に自己会合性樹脂状高分子の溶液又は懸濁液を配置するステップと、その自己会合性樹脂状高分子に自己会合化させるステップとを有する。少なくとも一実施形態では、上記装置の一部は貯留槽であり得る。少なくとも一実施形態では、上記装置の一部は膜であり得る。少なくとも一実施形態では、上記自己会合性樹脂状高分子はアルボロールであり得る。少なくとも一実施形態では、活性物質送達装置はこれらの方法により製造された装置であり得る。
【0033】
少なくとも一実施形態では、活性物質送達装置の製造方法は、装置の一部に自己会合性樹脂状高分子の溶液又は懸濁液を配置するステップと、その自己会合性樹脂状高分子に自己会合化させるステップとを有し、更に、自己会合性樹脂状高分子の自己会合化により形成された孔又はキャビティに活性物質を装荷する(loading)ステップを有する。少なくとも一実施形態では、活性物質送達装置はこれらの方法により製造された装置であり得る。
【0034】
少なくとも一実施形態では、経皮送達システムはイオントフォレーシス装置を有するイオントフォレーシスシステムである。少なくとも一実施形態では、イオントフォレーシス装置は、それぞれが電源の反対極又は端子に接続された作用側電極構造体及び対向電極構造体とを有する。このような実施形態では、各電極構造体は、典型的には、起電力を印加するためのそれぞれの電極要素を含む。このような電極要素は、しばしば、銀又は塩化銀などの犠牲要素又は化合物を有する。
【0035】
治療物質、診断物質又は薬学的薬物などの活性物質は、カチオン又はアニオン又はその混合であり得る。電源は、送達されるべき活性物質の極性に基づいて適切な電圧極性を適切な時間及び/又は場所に印加するように構成され得る。イオントフォレーシスは、活性物質の送達速度を増大又は制御するために好適に使用され得る。活性物質は、キャビティなどの貯留槽に貯留され、これから移送され得る。代替的には、活性物質は、例えば、樹脂状高分子又はアルボロールから自己組織化されたマトリクス中の水性の孔及び/又はキャビティを有する多孔性構造又はゲルなどの貯留槽に貯留され、これから移送され得る。イオン交換膜は、活性物質貯留槽と生体界面間の極性選択障壁の役割を果たし、これにより、皮膚又は粘膜からの反対に荷電したイオンの逆流を防止するために、配置されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
添付の図面中では、同一参照番号は類似の要素又は作用を示す。添付の図中の要素のサイズ及び相対位置は、必ずしもスケール通りには描かれていない。例えば、種々の要素の形状及び角度はスケール通りには描かれていないし、これらの要素のいくつかは、添付の図面を見やすくするために随意に拡大され、配置される。さらに、図示される要素の特定の形状は、その特定の要素の実際の形状に関する何らの情報をも伝えるよう意図されておらず、専ら添付の図面中での認識を容易にするために選択されている。
【図1】図1Aは、記述された一実施形態に従う経皮送達システムの上部正面図。図1Bは、記述された一実施形態に従う経皮送達システムの上部平面図。
【図2A】記述された一実施形態に従う作用側電極構造体及び対向電極構造体を有する図1A,1Bの経皮送達装置の概略図。
【図2B】記述された他の実施形態に従う、活性物質を露出するために任意的な外部リリースライナーを取り除いた状態の生体界面上に配置された図2Aの経皮送達装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
下記において、或る種の特定の詳細は、種々の開示された実施形態の十分な理解を提供するために含まれる。しかしながら、実施形態は1つ又は複数のこれらの特定の詳細なしに、或いは他の方法、構成成分、材料等を用いて実行され得ると当業者は認識する。その他の場合、イオントフォレーシス装置に関連した電圧及び/又は電流調整器を含むがこれには限定されない既知の構造物は、実施形態の不必要に曖昧な記述を避けるために詳細に示されても記載されてもいない。
【0038】
文脈から他の解釈が必要とされない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」という語及びその変形、例えば「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、オープンの包括的意味で、「包含するが、限定されない」と解釈されるべきである。
【0039】
本明細書全体を通して、「一実施形態」又は「ある実施形態」又は「別の実施形態において」という言及は、実施形態に関連して記載される特定の関連のある特徴、構造又は特質が少なくとも1つの実施形態に包含されるということを意味する。したがって本明細書全体を通して種々の箇所における「一実施形態における」又は「1つの実施形態における」又は「別の実施形態における」という語句の出現は、必ずしもすべてが同一実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特質は、1つ又は複数の実施形態において任意の好適な態様で組合せられ得る。
【0040】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示物を包含するということに留意すべきである。したがって例えば「電極要素」を含めた経皮送達装置への言及は、単一電極要素、或いは2つ以上の電極要素を包含する。「又は」という用語は一般的に、はっきりと別記しない限り、「及び/又は」を含めた意味で用いられるということにも留意すべきである。
【0041】
本明細書中で用いる場合、「膜」という用語は、透過性である場合も、透過性でない場合もある境界、層、障壁、又は物質を意味する。「膜」という用語はさらに、界面を指し得る。別記しない限り、膜は、固体、液体又はゲルの形態をとり得るし、そして明確な格子、非架橋構造又は架橋構造を有しても、有しなくてもよい。膜は、本明細書の他の部分に更に説明されるように、樹脂状高分子又はアルボロール或いはこれから組織化されたゲル又はマトリクスを有し得る。
【0042】
本明細書中で用いる場合、「イオン選択膜」という用語は、イオンに対して実質的に選択性であり、或る種のイオンを通すが、他のイオンの通過を遮断する膜を意味する。イオン選択膜は、例えば電荷選択膜の形態をとり得、又は半透性膜の形態をとり得る。
【0043】
本明細書中で用いる場合、「電荷選択膜」という用語は、主にイオンにより保有される極性又は電荷に基づき、イオンを実質的に通過及び/又は実質的に遮断する膜を意味する。電荷選択膜は典型的にはイオン交換膜を指し、そしてこれらの用語は、本明細書中で及び添付の特許請求の範囲において互換的に用いられる。電荷選択膜又はイオン交換膜は、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜及び/又は両極性膜の形態をとり得る。陽イオン交換膜は、陽イオンの通過を実質的に許容し、そして陰イオンを実質的に遮断する。市販の陽イオン交換膜の例としては、NEOSEPTA、CM−1、CM−2、CMX、CMS及びCMB(株式会社トクヤマ)の呼称で入手可能なものが挙げられる。逆に陰イオン交換膜は、陰イオンの通過を実質的に許容し、そして陽イオンを実質的に遮断する。市販の陰イオン交換膜の例としては、NEOSEPTA、AM−1、AM−3、AMX、AHA、ACH及びACS(同じく株式会社トクヤマ)の呼称で入手可能なものが挙げられる。
【0044】
本明細書で用いる場合、「両極性膜」という用語は、2つの異なる電荷又は極性に対して選択的である膜を意味する。別記しない限り、両極性膜は、一体膜構造、多重膜構造又は積層膜の形態をとり得る。一体膜構造は、陽イオン交換物質又は基を含む第1の部分と、陰イオン交換物質又は基を含む第1の部分と向き合った第2の部分とを包含し得る。多重膜構造(例えば二重皮膜構造)は、陰イオン交換膜に積層されるか又はそうでなければ結合される陽イオン交換膜を含み得る。陽イオン及び陰イオン交換膜は最初に異なる構造物として出発し、そしてその結果生じる両極性膜の構造中でそれらの弁別性を保持し得るか、又は保持し得ない。
【0045】
本明細書で用いる場合、「半透性膜」という用語は、イオンのサイズ又は分子量に基づいて実質的に選択的である膜を意味する。したがって半透性膜は、第1の分子量又はサイズのイオンを実質的に通す一方で、第1の分子量又はサイズより大きい第2の分子量又はサイズのイオンの通過を実質的に遮断する。或る実施形態では、半透性膜は、第1の速度で或る分子の通過を許容し、或る他の実施形態では、第1の速度と異なる第2の速度で或る他の分子の通過を許容し得る。さらなる実施形態では、「半透性膜」は或る種の選択された分子のみの通過を許容する選択的透過性膜の形態をとり得る。
【0046】
本明細書で用いる場合、「多孔性膜」という用語は、問題のイオンに関して実質的に選択的ではない膜を意味する。例えば多孔性膜は、極性に基づいて実質的に選択的でなく、且つ対象の要素又は化合物の分子量又はサイズに基づいて実質的に選択的でないものである。
【0047】
本明細書で用いる場合、「ゲルマトリクス」という用語は、三次元網目構造、固体中の液体のコロイド懸濁液、半固体、架橋ゲル、非架橋ゲル、ゼリー様状態等の形態をとる貯留槽の型を意味する。いくつかの実施形態では、ゲルマトリクスは、絡み合い高分子(例えば円柱状ミセル)の三次元網目構造から生じ得る。いくつかの実施形態では、ゲルマトリクスは、ヒドロゲル、オルガノゲル等を包含し得る。ヒドロゲルは、例えばゲルの形態で実質的に水で構成される架橋親水性ポリマーの三次元網目構造を指す。ヒドロゲルは、正味正電荷又は正味負電荷を有し得るか、又は中性であり得る。
【0048】
ある実施形態では、ゲルマトリクスは樹脂状高分子を有する。樹脂状高分子は、デンドリマー又はハイパーブランチドポリマーとも称される明確に定義された構造を有する。デンドリマーは、高度に分岐した、典型的には単分散構造であり、安定した(consistent)サイズ及び形状を有する。これらの分岐高分子は1980年代のはじめに最初に記述された。D.A.トマリア及びその共同研究者は、これらの「スターバースト」構造をデンドリマーと特定した(Polymer J. 17:117-132, 1985)。G.R.ニューコムとその共同研究者は、これらの「カスケード分子」をアルボロールと特定した(J. Org. Chem. 50:2003-2006, 1985)。樹脂状高分子は、一般的に、分散(divergent)又は集束(convergent)による合成手順により調整される。多くの実施形態では、樹脂状高分子は、コア、分岐及び末端基の3つの主要構造要素からなる。ある実施形態では、樹脂状高分子は、中央のコアから分岐が生じる星状又はスターバースト構造を有すると説明される。
【0049】
デンドリマーは、反応シーケンスの反復により合成され、それぞれの追加的な反復によりより高次の世代のデンドリマーが生じる。デンドリマーの合成は、制御された階層的な合成の例であり、各ステップが新しい世代の増大した(例えば、2倍に)末端基の数を生じさせる。合成工程によって、比較的容易に、効果的に、サイズ、組成及び末端基の数を制御することができる。合成は、分散的又は集束的な態様で行い得る。双方の合成工程は、ともに、反応シーケンスの反復に基づいており、各シーケンスが新しいデンドリマー生成を生じさせる。F.ヴォグテルとその共同研究者により最初に用いられた分散合成は、コア分子への分岐単位の連続的な結合に基づいている。それぞれの新たな反復反応は、デンドリマーの周辺上での対数的に増加する数の官能基の生成により特徴付けられる。J.M.Jフレチェットとその共同研究者により最初に用いられたポリ(アリルエーテル)デンドリマーのための収束合成は、デンドリマー断片の合成に基づいており、当該合成の後に、これらの断片のコアへの結合が行われる。双方の合成工程とも、中央の収束点を分岐部分が取り囲むデンドリマー構造を生じさせる。
【0050】
ある実施形態では、樹脂状高分子はある形態、例えば、ヒドロゲル又はゲルマトリクスなどに自己構造化(self-organize)又は自己組織化する。あるそのような実施形態では、樹脂状高分子は、疎水性(恐水性)及び親水性(水適合性)領域を有する両親媒性物質であり得る。溶媒中では、このような両親媒性分子は、溶媒への最も高い親和性を有する部分がその溶媒に向かって配向し、一方で、分子の他の部分はその溶媒との接触を避けるように配向する。ある実施形態では、自発的な自己組織化は、周囲の媒体から弾かれるポリマー分子の1つの部分と、それにより引き寄せられる分子の他の部分によって生じ得る。ある実施形態では、例えば、溶媒は水性の溶媒であり得る。そのような実施形態では、両親媒性樹脂状高分子は、疎水性領域が他の疎水性領域に向かって集合し、親水性領域が水性溶媒に向かって外方に向かい、水性溶媒と会合することで自己構造化又は自己組織化し得る。
【0051】
ある実施形態では、樹脂状高分子は、ダンベル形状(ボラ型)の両親媒性樹脂状高分子であり得る。そのようなアルボロールと呼ばれる高分子は、G.R.ニューコムとその共同研究者により最初に記述され、合成された(J. Org. Chem. 50:2003-2006, 1985, J. Chem. Soc, Chem. Commun. 752-753, 1986)。
【0052】
ある実施形態では、アルボロールは、ヒドロゲルを形成するように自己組織化することができる小分子デンドリマーである。ある他の実施形態では、アルボロールは、繊維を形成し得る。ある実施形態では、これに限られはしないが、1方向、2方向性又は3方向性であり得る。少なくとも一実施形態では、1方向性アルボロールは1つの疎水性末端領域と1つの親水性末端領域を有する。少なくとも一実施形態では、2方向性アルボロールは、1つの疎水性領域により結合された2つの親水性末端領域を有する。少なくとも1の更なる実施形態では、3方向性アルボロールは、中央の疎水性コア領域を介して結合された3つの親水性末端領域を有する。
【0053】
ある実施形態では、1方向性アルボロールは、これに限られはしないが、[9]−6,[9]−8又は[9]−10アルボロールを含み得る。これらは、親水性末端領域が9つのヒドロキシル基を有し、疎水性末端領域が炭素数6,8又は10の直鎖アルキルを含むアルボロールである。一実施形態では、[9]−10−1方向性アルボロールは、下式により表され得る。
【化1】

【0054】
少なくとも一実施形態では、1方向性アルボロールは、極性有機溶媒と水の混合液、例えば、メタノール水中において、自己組織化して繊維を形成し得る。
【0055】
ある実施形態では、2方向性アルボロールは、mを2つの親水性末端領域のそれぞれが有する極性基の数とし、nをその2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、[m]−[n]−[m]アルボロールとして特定され得る。ある態様では、極性基はヒドロキシル基であり得る。少なくとも幾つかの態様では、mは6〜9であり得、nは7〜13であり得る。そのようなある実施形態では、2方向性アルボロールは、これに限られはしないが、それぞれが9つのヒドロキシル基を含む2つの親水性末端領域に炭素数9のアルキル直鎖が結合するアルボロールを表す[9]−n−[9]で特定される構造を含み得る。あるそのような実施形態では、nは10〜13であり得る。一実施形態では、[9]−10−[9]2方向性アルボロールは、下式により表され得る。
【化2】

【0056】
ある実施形態では、そのような2方向性アルボロールは、自己組織化して熱的に可逆性の水性ゲルを形成し得、その場合、アルボロールは、温水中で溶解し、冷却したときに延伸された細繊維構造を有し、更に孔又はキャビティを有するゲルを形成する。一実施形態では、例えば、2方向性[9]−10−[9]アルボロールの自己組織化により希釈(0.1%)水溶液からゲルを形成し得る。ある実施形態では、ゲルを形成するための2方向性アルボロールの自己組織化の程度は、必要によって、2方向性アルボロールの自己組織化の程度を禁止するように1方向性アルボロールを添加することで制御し得る。一実施形態では、[9]−10−[9]アルボロールの自己組織化を制限し、形成されるゲルの程度を制御するために、2方向性[9]−10−[9]アルボロールの溶液に1方向性[9]−6アルボロールを添加し得る。
【0057】
ある実施形態では、3方向性アルボロールは、これに限られはしないが、環状脂肪族又は芳香族炭素環構造から親水性の分岐した末端領域が延びるアルボロールであり得る。一実施形態では、ベンゼン[9]アルボロールは、下式により表され得る。
【化3】

【0058】
ある実施形態では、1方向性及び2方向性アルボロールは、2段階の求核置換アミド化工程により調整し得る。あるそのような実施形態では、エステルは、適切なブロモアルカンとNaC(COEt)をドライジメチルホルムアミド中で90℃で一晩反応させることにより調整し得る。
【0059】
ある実施形態では、1方向性アルボロールは、90℃で攪拌したNaC(COEt)のジメチルホルムアミド溶液に適当なブロモアルカンを添加することにより調整され得る。12時間の反応後、溶液は冷却されてトルエンが添加される。溶液は飽和NaHCOにより洗浄され、無水MgSO上で乾燥され、小腔(vacuo)内で濃縮され、そして、一晩40℃のオーブンで高真空下で乾燥され、トリエチルアルカンヘキサカルボン酸塩エステル(triethyl alkanehexacarboxylate ester)が生成される。このエステルとトリス−ヒドロキシメチルアミノメタン(tris-hydroxymethylaminomethane)は、その後、MeSOに溶解され、室温で過剰の無水KCOの存在下で4〜5日間攪拌される。混合物は、その後、濾過され、水中に注ぐことで生成物が沈殿し、遠心分離にかけられ、水で2度荒いされ、一晩40℃のオーブンで高真空下で乾燥されて、1方向性アルボロールが生成される。
【0060】
ある実施形態では、2次元アルボロールは、90℃で攪拌したNaC(COEt)のDMF溶液に適当なブロモアルカンを添加することにより調整され得る。12時間の反応後、溶液は冷却されてトルエンが添加される。溶液は飽和NaHCOにより洗浄され、無水MgSO上で乾燥され、小腔内で濃縮され、そして、一晩40℃のオーブンで高真空下で乾燥され、ヘキサエチルアルカンヘキサカルボン酸塩エステル(hexaethyl alkanehexacarboxylate ester)が生成される。このエステルとトリス−ヒドロキシメチルアミノメタンは、その後、MeSOに溶解され、室温で過剰の無水KCOの存在下で4〜5日間攪拌される。混合物は、その後、濾過され、小腔内で蒸発させられる。ゲル状の残留物は水中に溶解され、アセトンをゆっくり添加することで固形生成物が沈殿する。生成物は、一晩40℃のオーブンで高真空下で乾燥されて、2方向性アルボロールが生成される。
【0061】
ある実施形態では、デンドリマーは、Tomalia,D.A.等(Polymer J. 17:117-132, 1985; Angew. Chem., Int. Ed. 29:138-175, 1980)により記述されたように、分岐点として3級アミンを有するポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーであり得る。ある実施形態では、PAMAMデンドリマーは、アンモニア又はエチレンジアミンをコア開始試薬として開始される分散法によって合成され得る。あるそのような実施形態では、PAMAMデンドリマーは、(a)1級アミノ基にメチルアクリレートの2重のマイケル付加(double Michael addition)と、その後の(b)大過剰のエチレンジアミンの存在下での生成されたカルボメトキシ中間体(carbomethoxy intermediate)のアミド化からなる反応シーケンスの反復によって生成される。
【0062】
ある実施形態では、デンドリマーは、ポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマーであり得る。いくつかの実施形態では、PPIデンドリマーは、1,4−ジアミノブタンから開始する分散法によって合成され得る。あるそのような実施形態では、PPIデンドリマーは、(a)1,4−ジアミノブタンの1級アミノ基にアクリロニトリルの2重のマイケル付加と、その後の(b)ラニーコバルトの存在下、加圧下での水素添加からなる反応シーケンスの反復によって生成される。
【0063】
ある実施形態では、芳香族ポリエステルデンドリマー及びフェニルアセチレンデンドリマーは、収束法によって調整され得る。
【0064】
デンドリマーを含む構造は、これに限られはしないが、ゲル、フィルム、膜及び被覆を含む。ある実施形態では、デンドリマーの化学的性質により、その構造は孔又はキャビティを有する。これらの孔又はキャビティの表面の物理化学的性質は、デンドリマーを合成する要素の化学的性質の選択によって制御し得る。ある実施形態では、デンドリマーの末端基は、ヒドロキシル基を有し得る。他の実施形態では、末端基は、アニオン交換基を更に有し得る。更に他の実施形態では、末端基はカチオン交換基を有し得る。デンドリマーを含むマトリクスは、このように、活性物質を含むイオン性又は非イオン性の溶解物を貯留し、その移動のための通路として機能する孔又はキャビティを含み得るだけでなく、本明細書の他の部分に記述する用途では、イオン交換媒体としても機能し得る。ある実施形態では、孔又はキャビティ内のイオン交換基は、活性物質や、イオントフォレーシスによって生体界面に送達されるべき他の物質のための結合位置(binding site)として機能し得る。
【0065】
ある実施形態では、樹脂状高分子又はアルボロールは、イオントフォレーシスシステム及び装置を含む経皮送達システム及び装置の製造及び使用において好適に採用され得る。ある実施形態では、例えば、樹脂状高分子又はアルボロールから形成されたマトリクスは、経皮システム又は装置における貯留槽又は膜構造を形成し得る。ある実施形態では、自己会合性又は自己組織性樹脂状高分子又はアルボロールは、イオントフォレーシスシステム及び装置を含む経皮送達装置の製造及び使用に特に好適に採用され得る。
【0066】
樹脂状高分子及びアルボロールは、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許番号番号第4,289,872号、第4,410,688号、第4,507,466号、第4,558,120号、第4,568,737号、第4,587,329号、第4,690,985号、第4,737,550号、第4,857,599号、第5,041,516号、第5,136,096号、第5,154,853号、第5,206,410号、第5,210,309号、第5,338,532号、第5,376,690号、第5,393,795号、第5,422,379号、第5,516,810号、第5,527,524号、第5,585,457号、第5,631,329号、第5,650,101号、第5,703,271号、第5,714,166号、第5,731,095号、第5,773,527号、第5,773,551号、第5,863,919号、第5,886,126号、第5,886,127号、第5,919,442号、第6,043,336号、第6,130,209号、第6,177,414号、第6,228,978号、第6,300,424号、第6,312,679号、第6,399,717号、第6,566,409号、第6,632,889号、第6,635,720号、第6,664,315号、第6,995,234号、第7,005,124号、第7,078,461号及び第7,183,426号に更に記載されている。樹脂状高分子及びアルボロールについての更なる説明及び議論は、ニューカム,G.R等(J. Chem. Soc, Chem. Commun. 752-753, 1986)、ニューカム,G.R.等(J. Amer. Chem. Soc. 108, 849-850, 1986)、ニューカム,G.R.、ベーカーG.R(Org. Prep. Proc. Intl. 18, 117, 1986)、ニューカム,G.R.等(J. Amer. Chem. Soc. 112, 8458-8465, 1990)、ニューカム,G.R.等(J. Chem. Soc, Chem. Commun. 2737-2738, 1996)、デブ,S.K.等(J. Amer. Chem. Soc. 119, 9079-9080, 1997)、ユ,K.H.等(J. Polymer Sci. Part B, Polymer Physics 35, 2787-2793, 1997)、ニューカム,G.R等(Angew. Chem. Int. Ed. 37, 307-310, 1998)、ニューカム,G.R.等(Des. Monom. Polym. 1, 3- 14, 1998)、ニューカム,G.R.等(Angew. Chem. Int. Ed. 38, 3717-3721, 1999)、ニューカム,G.R.等(Biotech. Bioeng. (Combinatorial Chemistry) 61, 243-253, 1999)及びクラニャート,B.及びブリスセウスカ,M.(Acta Biochim. Polonica 48, 199-208, 2001)に見ることができる。
【0067】
本明細書で用いる場合、「貯留槽」という用語は、液体状態、固体状態、気体状態、混合状態及び/又は遷移状態で、要素、化合物、製剤組成物、活性物質、診断物質等を保有するための任意の形態のメカニズムを意味する。例えば別記しない限り、貯留槽は、一構造物により形成される1つ又は複数のキャビティを含み得るし、そしてこのようなものが少なくとも一時的に要素又は化合物を保有し得る場合には、1つ又は複数のイオン交換膜、半透性膜、多孔性膜及び/又はゲルを含み得る。貯留槽は、本明細書の他の部分で説明されるように、樹脂状高分子又はアルボロール又はこれから構成されるゲル又はマトリクスを含み得る。典型的には、貯留槽は、生体界面への起電力及び/又は電流による生物学的活性物質の放出の前に、このような物質を保有する役割を果たす。貯留槽は、電解質溶液も保有し得る。
【0068】
本明細書で用いる場合、「活性物質(active agent)」という用語は、任意の宿主、動物、脊椎動物又は無脊椎動物、例えば魚類、哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類及びヒトからの生物学的応答を引き出す化合物、分子又は治療物質を指す。活性物質の例としては、治療用物質、薬学的物質、調合薬(例えば薬物、治療用化合物、薬学的塩等)、非調合薬(例えば化粧用物質等)、診断物質、ワクチン、免疫学的作用物質、局所麻酔薬又は全身麻酔薬又は鎮痛剤、抗原又はタンパク質又はペプチド、例えばインスリン、化学療法薬、抗腫瘍薬が挙げられる。
【0069】
いくつかの実施形態では、「活性物質」という用語は、活性物質、並びにその薬理学的活性塩、薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、類縁体等を指す。いくつかのさらなる実施形態では、活性物質としては、少なくとも1つのイオン性、陽イオン性、イオン化可能及び/又は中性治療薬及び/又はそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。さらに他の実施形態では、活性物質は、水性媒質中で正に荷電され及び/又は正電荷を生じ得る1つ又は複数の「陽イオン性活性物質」を含み得る。例えば多数の生物学的活性物質は、陽性イオンに容易に転化可能であるか又は水性媒質中で正荷電イオン及び対イオンに解離し得る官能基を有する。例えばアミノ基を有する活性物質は、典型的には、固体状態でアンモニウム塩形態をとり、そして適切なpHの水性媒質中で遊離アンモニウムイオン(NH)に解離することができる。他の活性物質は、陰イオンに容易に変化し得る、又は、水性媒体中で負に荷電したイオンと対イオンに解離できる官能基を有し得る。
【0070】
「活性物質」という用語は、電気浸透圧流により送達され得る電気的に中性な作用物質、分子又は化合物も指す。電気的に中性な作用物質は、典型的には、例えば電気泳動中の溶媒の流れにより運ばれる。したがって適切な活性物質の選択は、当業者の知識内である。
【0071】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の活性物質は、鎮痛薬、麻酔薬、麻酔薬ワクチン、抗生剤、アジュバント、免疫学的アジュバント、免疫原、寛容原、アレルゲン、トル様受容体アゴニスト、トル様受容体アンタゴニスト、免疫アジュバント、免疫調節物質、免疫応答物質、免疫刺激物質、特異的免疫刺激物質、非特異的免疫刺激物質、及び免疫抑制物質、又はこれらの組合せから選択されてもよい。
【0072】
このような活性物質の非限定的な例としては、リドカイン、アルチカイン及び−カイン群の他のもの、モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニル、オキシコドン、ヒドロコドン、ブプレノルフィン、メタドン及び同様のオピオイドアゴニスト、コハク酸スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタンHCl、安息香酸リザトリプタン、リンゴ酸アルモトリプタン、コハク酸フロバトリプタン及び他の5−ヒドロキシトリプタミン1受容体サブタイプアゴニスト、レシキモド(resiquimod)、イミキモド(imiquidmod)並びに同様のTLR7及びTLR8のアゴニスト及びアンタゴニスト、ドンペリドン、塩酸グラニセトロン、オンダンセトロン及び他のこのような鎮吐剤、酒石酸ゾルピデム及び同様の睡眠剤、L−ドーパ及び他の抗パーキンソン病薬、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、クロザピン及びジプラシドン並びに他の精神安定剤、エクセナチド等の糖尿病薬、並びに肥満及び他の疾患の治療用のペプチド及びタンパク質が挙げられる。
【0073】
麻酔活性物質又は鎮痛薬のさらなる非限定的な例としては、アンブカイン、アメトカイン、p−アミノ安息香酸イソブチル、アモラノン、アモキセカイン、アミロカイン、アプトカイン、アザカイン、ベンカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、N,N−ジメチルアラニルベンゾカイン、N,N−ジメチルグリシルベンゾカイン、グリシルベンゾカイン、β−アドレナリン受容体アンタゴニストベトキシカイン、ブメカイン、ブピバカイン(bupivicaine)、レボブピバカイン(levobupivicaine)、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、メタブトキシカイン、カルビゾカイン(carbizocaine)、カルチカイン、セントブクリジン(centbucridine)、セパカイン(cepacaine)、セタカイン(cetacaine)、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、プソイドコカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジクロニン、エコグニン(ecognine)、エコゴニジン(ecogonidine)、アミノ安息香酸エチル、エチドカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォモカイン、ヘプタカイン、ヘキサカイン、ヘキソカイン、ヘキシルカイン、ケトカイン、ロイシノカイン、レボキサドロール、リグノカイン、ロツカイン、マーカイン、メピバカイン、メタカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ネパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセタゼイン、パレントキシカイン(parenthoxycaine)、ペンタカイン、フェナシン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、ポリカイン、プリロカイン(prilocalne)、プラモキシン、プロカイン(ノボカイン(登録商標))、ヒドロキシプロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、カタカイン、リノカイン、リソカイン、ロドカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、ヒドロキシテトラカイン、トリカイン(tolycaine)、トラペンカイン、トリカイン(tricaine)、トリメカイン、トロパコカイン、ゾラミン、これらの薬学的に許容可能な塩、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0074】
本明細書で用いる場合、「対象(subject)」という用語は、一般的に、任意の宿主、動物、脊椎動物又は無脊椎動物を指し、そして魚類、哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類及び特にヒトを含む。
【0075】
本明細書で用いる場合、「アゴニスト」という用語は、受容体(例えば、オピオイド受容体、トル様受容体等)と結合することで細胞性応答を生じ得る化合物を指す。アゴニストは、受容体と直接結合するリガンドであり得る。代替的には、アゴニストは、受容体を直接結合する別の分子と複合体を形成することにより、或いはそうでなければ受容体に直接結合するように化合物の修飾を生じることにより、間接的に受容体と結合し得る。
【0076】
本明細書で用いる場合、「有効量」又は「治療的有効量」という用語は、所望の結果を達成するための投与量で及び必要な時間の間の有効な量を含む。薬学的作用物質を含有する組成物の有効量は、対象の疾患の段階、年齢、性別及び体重のような因子により変わり得る。
【0077】
本明細書で用いる場合、「鎮痛薬」という用語は、対象の身体の一領域における神経感覚を減少、緩和、低減、軽減、又は消滅させる作用物質を指す。いくつかの実施形態では神経感覚は疼痛に関連し、他の態様においては、神経感覚は不快感、痒み、灼熱痛、過敏、刺痛、「爬行」圧感、温度変動(例えば発熱)、炎症、疼痛又はその他の神経感覚に関する。
【0078】
本明細書で用いる場合、「麻酔薬」という用語は、対象の身体の一領域における感覚の可逆的喪失を生じる作用物質を指す。いくつかの実施形態では、麻酔薬は、それが対象の身体の一特定領域のみにおける感覚の喪失を生じる場合、「局所麻酔薬」であるとみなされる。
【0079】
当業者が認識するように、いくつかの作用物質は、周囲の状況及びその他の変数、例えば投与量、送達方法、医学的条件又は医学的処置、並びに個々の対象の遺伝的素質(これらに限定されない)によって、鎮痛薬及び麻酔薬の両方として作用し得る。さらに、他の目的のために典型的に用いられる作用物質は、或る種の周囲状況下で又は特定条件下では、局所麻酔性又は膜安定特性を保有し得る。
【0080】
本明細書で用いる場合、「免疫原」という用語は、免疫応答を引き出す任意の作用物質を指す。免疫原の例としては、天然又は合成(例えば修飾)ペプチド、タンパク質、脂質、オリゴヌクレオチド(RNA、DNA等)、化学物質又はその他の作用物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本明細書で用いる場合、「アレルゲン」という用語は、アレルギー性応答を引き出す任意の作用物質を指す。アレルゲンのいくつかの例としては、化学物質及び植物、薬物(例えば抗生物質、血清)、食物(例えばミルク、小麦、卵等)、細菌、ウイルス、その他の寄生生物、吸入因子(埃、花粉、香料、煙)、及び/又は物理的作因(熱、光、摩擦、放射線)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で用いる場合、アレルゲンは免疫原であり得る。
【0082】
本明細書で用いる場合、「アジュバント」という用語及びその任意の派生物は、それ自体が投与される場合、(たとえあったとしても)わずかな直接作用を有しながら、別の作用物質の作用を修飾する作用物質を指す。例えばアジュバントは、製剤の潜在効力又は効能を増大し得るか、或いはアジュバントは免疫応答を変えるか又はそれに影響を及ぼし得る。
【0083】
本明細書で用いる場合、「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸が共有ペプチド結合によりリンクした全長タンパク質(full length protein)を含む任意長のアミノ酸鎖を含む。
【0084】
本明細書で用いる場合、「オピオイド」という用語は、一般に、オピオイド受容体に結合及び又は相互作用する任意の物質を言う。オピオイド類の例には、内因性オピオイドペプチド、オピウムアルカロイド(例えば、モルヒネ、コデイン等)、半合成オピオイド(例えば、ヘロイン、オキシコデイン等)、合成オピオイド(例えば、ブプレノルフィン、メペリジン、フェンタニル、モルヒナン、ベンゾモルファン誘導体等)、及び、オピウムアルカロイドの関連しない構造を有するオピオイド(例えば、ペチディン、メサドン等)が含まれる。
【0085】
本明細書で用いる場合、「ビヒクル」、「担体」、「薬学的ビヒクル」、「薬学的担体」、「薬学的に許容可能なビヒクル」又は「薬学的に許容可能な担体」という用語は互換的に用いられ、そして通常は薬学的組成物を製造するために製薬産業で用いられる薬学的に許容可能な固体又は液体の、希釈又は封入するための、充填又は運搬作用物質を指す。ビヒクルの例としては、対象に接触するのに用いるのに適している任意の液体、ゲル、軟膏、クリーム、溶剤、希釈剤、流体軟膏基剤、小胞、リポソーム、ニソーム、エタソーム、トランスフェルソーム、ウィロソーム、非イオン性界面活性物質小胞、リン脂質界面活性物質小胞、ミセル等が挙げられる。
【0086】
いくつかの実施形態では、薬学的ビヒクルは、薬理学的活性物質を含む及び/又は送達するが、一般的に他の面では薬理学的に不活性であると考えられる組成物を指す。いくつかの他の実施形態では、薬学的ビヒクルは、例えば損傷、さらなる損傷又は要素への曝露などの状態からの適用部位に対する防御を提供することにより、粘膜又は皮膚などの部位に適用された場合に、何らかの治療効果を有し得る。したがっていくつかの実施形態では、薬学的ビヒクルは、処方物中に薬理学的作用物質を伴わずに防御のために用いられ得る。
【0087】
本明細書で用いる場合、「〜と共に」という用語及びその任意の変化形は、追加的な活性物質、ビヒクル、担体等の投与と同時の、又はその前の、或いは、その後の活性物質、ビヒクル、担体等の投与を意味する。
【0088】
本明細書中で提示される見出しは、便宜上に過ぎず、当該実施形態の範囲又は意味を説明するものではない。
【0089】
図1A及び図1Bは、対象に1つ又は複数の活性物質を送達するための例示的経皮送達システムを示す。経皮送達システム10は、それぞれ作用側電極構造体12及び対向電極構造体14並びに電源16を含めたイオントフォレーシス装置8を包含する。幾つかの実施形態では、電源16は、携帯型電源の形態を取り得る。経皮送達装置の全体形状は、多様な幾何学的形状の任意のものであり得る。
【0090】
幾つかの実施形態では、作用側電極構造体12は正の電極構造体の形態を取り得、対向電極構造体14は、負の電極構造体の形態を取り得る。代替的には、作用側電極構造体12は負の電極構造体の形態を取り得、対向電極構造体14は、正の電極構造体の形態を取り得る。作用側電極構造体12及び対向電極構造体14は、イオントフォレーシスにより、生体界面18(例えば、開示される一実施形態に従えば、皮膚又は粘膜の一部)に作用側電極構造体12中に含有される活性物質を供給するために電源16と電気的に結合可能である。
【0091】
経皮送達装置8は、任意的に、バッキング19を有し得る。幾つかの実施形態では、バッキング19により経皮送達装置8が収納され得る。いくつかの他の実施形態では、バッキング19は、経皮送達装置8を対象の生体界面に物理的に結合させる。幾つかの実施形態では、経皮送達装置は、対象の生体界面に1以上の治療用活性物質を経皮的に送達するように構成される。
【0092】
図2A及び図2Bに示したように、作用側電極構造体12はさらに、作用側電極構造体12の内部20から外部22に向けて、作用側電極要素24、電解質28を貯留する電解質貯留槽26、内部イオン選択膜30、1つ又は複数の活性物質36を貯留する1つ又は複数の(本明細書の他の部分に更に説明されるように、樹脂状高分子又はアルボロール又はこれから組織化されたゲル又はマトリクスを有し得る)活性物質貯留槽34、付加的活性物質40を任意に貯蔵する任意の最外部イオン選択膜38、並びに最外部イオン選択膜38の外表面44により担持される任意のさらなる活性物質42を含み得る。上述の要素又は構造は以下に詳細に説明される。
【0093】
作用側電極構造体12はさらに、作用側電極構造体12の2つの層間に、例えば内部イオン選択膜30と内部活性物質貯留槽34との間に、任意の内部封止ライナー(示されていない)を含み得る。内部封止ライナーは、存在する場合、生体表面18へのイオントフォレーシス装置の適用前に除去される。作用側電極構造体12はさらに、任意の外部リリースライナー46を含み得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、一又は複数の活性物質貯留槽34には、一又は複数の活性物質36,40又は42を移送、送達、被包又は運搬するためのビヒクル及び/又は薬学的組成を装荷し得る。いくつかの実施形態では、ビヒクル及び/又は薬学的組成は、本発明の他の部分で説明するように、デンドリマー又はアルボロールを含み得る。幾つかの実施形態では、ビヒクル及び/又は薬学的組成はデンドリマーを含み、当該デンドリマーは自己組織性であり得る。いくつかの実施形態では、薬学的組成は、治療的に有効な1又は複数の活性物質36,40,42を含み得る。
【0095】
作用側電極要素24は、電源16の第1の電極16aと電気的に結合され、そして作用側電極構造体12に配置されて、起電力を印加して、作用側電極構造体12の種々の他の構成成分を介して活性物質36、40、42を輸送する。通常使用条件下で、印加起電力の大きさは一般に、治療的有効用量プロトコールに従って1つ又は複数の活性物質を送達するために必要とされるものである。いくつかの実施形態では、大きさは、イオントフォレーシス送達システム10の電気化学的ポテンシャルを操作する通常の使用に見合うか又はそれを超えるように選択される。作用側電極要素24は、1又は複数の活性物質貯留槽34から対象の生体界面18に1又は複数の活性物質36,40,42を含む薬学的組成を駆動するための起電力を提供するように動作可能である。
【0096】
作用側電極要素24は、種々の形態をとり得る。一実施形態では、作用側電極要素24は、有益には、炭素ベースの作用側電極要素の形態をとり得る。このようなものは、例えば多重層、例えば炭素を含むポリマーマトリクス及び炭素繊維又は炭素繊維紙を含む導電性シートを含み、例えば同一出願人による係属中の特願2004/317317号(2004年10月29日提出)に記載されている。炭素ベースの電極は、それ自体が電気化学反応を受けないか又は電気化学反応に関与しない不活性電極である。したがって不活性電極は、システムに印加される電位で電子を受容するか又は付与し得る化学種の酸化又は還元により電流を分配する(例えば水の還元又は酸化によりイオンを発生する)。不活性電極の付加的な例としては、ステンレススチール、金、白金、キャパシタ炭素(capacitive carbon)又は黒鉛が挙げられる。
【0097】
代替的には、犠牲導電性物質、例えば化合物又はアマルガムの活性電極も用いられ得る。犠牲電極は水の電気分解を引き起こさず、それ自体は酸化されるか又は還元される。典型的には、陽極に関しては、金属/金属塩が用いられ得る。このような場合、金属は金属イオンに酸化されて、これは次に不溶性塩として析出される。このような陽極の一例としては、Ag/AgCl電極が挙げられる。逆反応は陰極で起こり、金属イオンが還元され、そして対応する陰イオンが電極の表面から放出される。本明細書の他の部分で更に説明されるように、電解質貯留槽は、樹脂状高分子又はアルボロール又はこれから組織化されるゲル又はマトリクスを含み得る。
【0098】
電解質貯留槽26は、種々の形態、例えば電解質28を保持し得る任意の構造をとり、そしていくつかの実施形態では、例えば電解質28がゲル形態、半固体形態又は固体形態である場合、電解質28自体でさえあり得る。例えば電解質貯留槽26は、特に電解質28が液体である場合、パウチ又はその他の容器、或いは孔、キャビティ又は隙間を有する膜の形態をとり得る。
【0099】
一実施形態では、電解質28は、イオン性構成成分又はイオン化可能構成成分を水性媒質中に含むが、これは、作用側電極要素に向けて、又はそれから電流を伝達するよう作用し得る。適切な電解質としては、例えば塩の水溶液が挙げられる。好ましくは電解質28は、生理学的イオン、例えばナトリウム、カリウム、クロリド及びホスフェートの塩を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電解質貯留槽24は、アスコルビン酸(ascorbate)、フマル酸(fumarate)、乳酸(lactate)及びリンゴ酸(malate)又はそれらの塩から選択される少なくとも1つの生物学的に適合性の酸化防止剤を含む電解質28を包含する。
【0100】
電位が印加されると、不活性の電極要素が使用中である場合、水は作用側電極構造体及び対向電極構造体の両方で電解される。或る種の実施形態では、例えば作用側電極構造体が陽極である場合、水は酸化される。その結果、酸素が水から除去され、一方、陽子(H)が産生される。一実施形態では、電解質28は、酸化防止剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、酸化防止剤は、例えば水より低い電位を有する酸化防止剤から選択される。このような実施形態では、加水分解を生じる代わりに選択された酸化防止剤が消費される。いくつかのさらなる実施形態では、酸化形態の酸化防止剤が陰極で用いられる。生物学的適合性酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール(ビタミンE)又はクエン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
上記のように、電解質28は、貯留槽26内に収容される水溶液の形態をとるか、或いは相当量の水を保有し得るヒドロゲル又は親水性ポリマー中の分散液の形態をとり得る。例えば適切な電解質は、0.5Mフマル酸二ナトリウム:0.5Mポリアクリル酸:0.15M酸化防止剤の溶液の形態をとり得る。
【0102】
内部イオン選択膜30は一般に、このような膜が装置内に含まれる場合、電解質28及び内部活性物質貯留槽34を分離するように配置される。内部イオン選択膜30は、電荷選択膜の形態をとり得る。例えば活性物質36、40、42が陽イオン性活性物質を含む場合、内部イオン選択膜30は、陰イオンを実質的に通し、そして陽イオンを実質的に遮断するように選択的である陰イオン交換膜の形態をとり得る。内部イオン選択膜30は、有益には、電解質28と内部活性物質貯留槽34との間の望ましくない要素又は化合物の移動を防止し得る。例えば内部イオン選択膜30は、電解質28からのナトリウム(Na)イオンの移動を防止又は阻害し、それによりイオントフォレーシスシステム10の移動速度及び/又は生物学的適合性を増大し得る。
【0103】
内部活性物質貯留槽34は概して、内部イオン選択膜30と最外部イオン選択膜38との間に配置される。内部活性物質貯留槽34は、種々の形態、例えば活性物質36を一時的に保有し得る任意の構造をとり得る。例えば内部活性物質貯留槽34は、特に活性物質36が液体である場合、パウチ又はその他の容器、或いは孔、キャビティ又は隙間を有する膜の形態をとり得る。内部活性物質貯留槽34はさらに、(本明細書の他の部分で更に説明されるように、樹脂状高分子又はアルボロール又はこれから組織化されたゲル又はマトリクスを含み得る)ゲルマトリクスを含み得る。
【0104】
任意的に、最外部イオン選択膜38は一般に、作用側電極要素24から作用側電極構造体12を通って向かい合って配置される。最外部膜38は、図1及び図2に図示した実施形態のように、イオン交換膜の形態をとることができ、当該イオン選択膜38の孔48(図を分かりやすくするために図2A及び図2Bでは1つだけが示されている)はイオン交換物質又は基50(図を分かりやすくするために図2A及び図2Bでは3つだけが示されている)を有している。起電力又は電流の影響下では、イオン交換物質又は基50は選択的に、活性物質36、40と同じ極性を有するイオンを実質的に通し、一方、反対極性を有するイオンを実質的に遮断する。したがって最外部イオン交換膜38は、電荷選択的である。活性物質36、40、42が陽イオン(例えばリドカイン)である場合、最外部イオン選択膜38は陽イオン交換膜の形態をとり、したがって陽イオン性活性物質の通過を許容する一方で、生体界面、例えば皮膚に存在する陰イオンの逆流を遮断する。
【0105】
最外部イオン選択膜38は、任意的に活性物質40を貯蔵し得る。理論に縛られずに考えると、イオン交換基又は物質50は、起電力又は電流の非存在下で活性物質の極性と同じ極性を有するイオンを一時的に保持し、そして起電力又は電流の影響下で同様の極性又は電荷を有する代用イオンと置き換えられる場合、それらのイオンを実質的に放出する。
【0106】
代替的には、最外部イオン選択膜38は、サイズに選択的である半透性又は微小孔膜の形態をとり得る。いくつかの実施形態では、このような半透性膜は、有益には、例えば外部リリースライナー46が使用前に取り外されるまで、活性物質40を保有するために除去可能で取り外し可能な外部リリースライナー46を用いることにより、活性物質40を貯蔵し得る。
【0107】
最外部イオン選択膜38は、付加的活性物質40、例えばイオン化した又はイオン化可能な薬物又は治療用又は診断用物質、及び/又は、分極化された又は分極化可能な薬物又は治療用又は診断用物質を任意に予備装荷し得る。最外部イオン選択膜38がイオン交換膜である場合、相当量の活性物質40が最外部イオン選択膜38の孔、キャビティ又は隙間48中のイオン交換基50と結合し得る。
【0108】
物質50のイオン交換基と結合できない活性物質42は、さらなる活性物質42として最外部イオン選択膜38の外表面44に付着し得る。代替的には又は付加的には、さらなる活性物質42は、例えば噴霧、フラッディング、コーティングにより、静電堆積により、蒸着により、及び/又は別の方法で、最外部イオン選択膜38の外表面44の少なくとも一部分の上に積極的に堆積及び/又は付着され得る。いくつかの実施形態では、さらなる活性物質42は、外表面44を十分に被覆し及び/又は十分な厚みを有することで明確な層52を形成し得る。他の実施形態では、さらなる活性物質42は、その語の通常の意味での層を構成するほどには、容積、厚み又は被覆面積において十分でない場合もある。
【0109】
活性物質42は、種々の高濃縮形態、例えば固体形態、ほぼ飽和された溶液形態又はゲル形態で堆積され得る。固体形態である場合、水和の供給源が提供され、作用側電極構造体12に組込まれるか、又は使用直前にその外部から適用され得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、活性物質36、付加的活性物質40及び/又はさらなる活性物質42は、同一又は類似の組成物又は要素であり得る。他の実施形態では、活性物質36、付加的活性物質40、及び/又はさらなる活性物質42は、互いに異なる組成物又は要素であり得る。したがって第1の型の活性物質が内部活性物質貯留槽34中に保存され得る一方で、第2の型の活性物質は最外部イオン選択膜38中に貯蔵され得る。このような実施形態では、第1の型又は第2の型の活性物質のいずれもが、さらなる活性物質42として最外部イオン選択膜38の外表面44上に堆積され得る。代替的には、第1の型及び第2の型の活性物質の混合物がさらなる活性物質42として最外部イオン選択膜38の外表面44上に堆積され得る。さらにそれに代わるものとして、第3の型の活性物質の組成物又は要素が、さらなる活性物質42として最外部イオン選択膜38の外表面44上に堆積され得る。別の実施形態では、第1の型の活性物質が活性物質36として内部活性物質貯留槽34中に保存され、そして付加的活性物質40として最外部イオン選択膜38中に貯蔵され得る一方で、第2の型の活性物質はさらなる活性物質42として最外部イオン選択膜38の外表面44上に堆積され得る。典型的には、1つ又は複数の異なる活性物質が用いられる実施形態では、活性物質36、40、42はすべて、共通の極性を有し、活性物質36、40、42が互いに競合しないようにする。他の組合せも可能である。
【0111】
上記のいずれの実施形態においても、貯留槽又は膜は、本明細書の他の部分で更に説明されるように、任意的に、樹脂状高分子又はアルボロール又はこれから組織化されるゲル又はマトリクスを有し得る。
【0112】
外部リリースライナー46は概して、最外部イオン選択膜38の外表面44により担持されるさらなる活性物質42の上に重なるか又はそれを覆って配置され得る。外部リリースライナー46は、起電力又は電流の印加前に、貯蔵中、さらなる活性物質42及び/又は最外部イオン選択膜38を保護し得る。外部リリースライナー46は、耐水性物質製の選択的に取り外し可能なライナー、例えば感圧性接着剤に一般的に関連するリリースライナーであり得る。内部リリースライナー46は、図2Aでは取り付けられた状態で、図2Bでは取り外された状態で示されている点に留意されたい。
【0113】
界面結合媒質(示されていない)は、電極構造体と生体界面18との間に用いられ得る。界面結合媒質は、例えば接着剤及び/又はゲルの形態をとり得る。ゲルは、例えば水和ゲルの形態をとり得る。適切な生体接着性ゲルの選択は、当業者の知識内である。
【0114】
図2A及び図2Bに示した実施形態では、対向電極構造体14は、対向電極構造体14の内部64から外部66に向けて、対向電極要素68、電解質72を保存する(本明細書の他の部分で更に説明されるように、樹脂状高分子又はアルボロール又はこれから組織化されたゲル又はマトリクスを有し得る)電解質貯留槽70、内部イオン選択膜74、緩衝剤78を保存する(本明細書の他の部分で更に説明されるように、樹脂状高分子又はアルボロール又はこれから組織化されたゲル又はマトリクスを有し得る)任意の緩衝剤貯留槽76、任意の最外部イオン選択膜80、及び任意の外部リリースライナー82を含み得る。イオン交換膜又はイオン選択膜は、本明細書の他の部分で更に説明されるように、樹脂状高分子又はアルボロール又はこれから組織化されたゲル又はマトリクスを有し得る。
【0115】
対向電極要素68は、電源16の第2の電極16bと電気的に結合可能であり、第2の電極16bは第1の電極16aと逆の極性を有する。一実施形態では、対向電極要素68は不活性電極である。例えば対向電極要素68は、上記の炭素ベースの電極要素の形態をとり得る。
【0116】
電解質貯留槽70は、種々の形態、例えば電解質72を保持し得る任意の構造をとり、そしていくつかの実施形態では、例えば電解質72がゲル形態、半固体形態又は固体形態である場合、電解質72自体でさえあり得る。例えば電解質貯留槽70は、特に電解質72が液体である場合、パウチ又はその他の容器、或いは孔、キャビティ又は隙間を有する膜の形態をとり得る。
【0117】
電解質72は概して、対向電極要素68と、対向電極要素68に隣接した最外部イオン選択膜80との間に配置される。上記のように、電解質72は、イオンを提供するか又は電荷を供与して、対向電極要素68上の気泡(電極の極性によって、例えば水素又は酸素)の形成を防止又は阻害し、そして酸又は塩基の形成を防止又は阻害するか、或いはそれを中和し、これにより効率が高められ、及び/又は、生体界面18における刺激発生の可能性が低減され得る。
【0118】
内部イオン選択膜74は、電解質72と緩衝剤78との間に配置され得る。内部イオン選択膜74は、電荷選択膜、例えば第1の極性又は電荷を有するイオンの通過を実質的に可能にするが一方で、第2の反対極性を有するイオン又は電荷の通過を実質的に遮断する図示したイオン交換膜の形態をとり得る。内部イオン選択膜74は典型的には、最外部イオン選択膜80を通るイオンと逆の極性又は電荷を有するイオンを通す一方で、同様の極性又は電荷を有するイオンを実質的に遮断する。代替的には、内部イオン選択膜74は、サイズに基づいて選択的である半透性膜又は微小孔膜の形態をとり得る。
【0119】
内部イオン選択膜74は、緩衝剤78への望ましくない要素又は化合物の移動を防止し得る。例えば内部イオン選択膜74は、電解質72から緩衝剤78中へのヒドロキシ(OH)イオン又は塩化物(Cl)イオンの移動を防止又は阻害し得る。
【0120】
任意の緩衝剤貯留槽76は概して、電解質貯留槽と最外部イオン選択膜80との間に配置される。緩衝剤貯留槽76は、緩衝剤78を一時的に保有し得る種々の形態をとり得る。例えば緩衝剤貯留槽76は、キャビティ、多孔性膜又はゲルの形態をとり得る。緩衝剤78は、最外部イオン選択膜42を通して生体界面18への移動のためのイオンを供給し得る。その結果として、緩衝剤78は、例えば塩(例えばNaCl)を含み得る。
【0121】
対向電極構造体14の最外部イオン選択膜80は、種々の形態をとり得る。例えば最外部イオン選択膜80は、電荷選択性イオン交換膜の形態をとり得る。典型的には対向電極構造体14の最外部イオン選択膜80は、作用側電極構造体12の最外部イオン選択膜38のイオンと逆の電荷又は極性を有するイオンに対して選択的である。したがって最外部イオン選択膜80は、陰イオン交換膜であり、これは実質的に陰イオンを通し、そして陽イオンを遮断し、それにより生体界面からの陽イオンの逆流を防止する。適切なイオン交換膜の例としては、上記の膜が挙げられる。
【0122】
代替的には、最外部イオン選択膜80は、イオンのサイズ又は分子量に基づいて、イオンを実質的に通す及び/又は遮断する半透性膜の形態をとり得る。
【0123】
上記いずれの実施形態においても、貯留槽又は膜は、任意的に、本明細書の他の部分で更に説明されるように、樹脂状高分子又はアルボロール又はこれから組織化されるゲル又はマトリクスを含み得る。
【0124】
外部リリースライナー82は概して、最外部イオン選択膜80の外表面84の上に重なるか又はそれを覆って配置され得る。外部リリースライナー82は、図2Aでは取り付けられた状態で、図2Bでは取り外された状態で示されている点に留意されたい。外部リリースライナー82は、起電力又は電流の印加前に、貯蔵中、最外部イオン選択膜80を保護し得る。外部リリースライナー82は、耐水性物質製の選択的に取り外し可能なライナー、例えば感圧性接着剤に一般的に関連するリリースライナーであり得る。いくつかの実施形態では、外部リリースライナー82は、作用側電極構造体12の外部リリースライナー46と同一の広がりを有し得る。
【0125】
経皮送達システム10は、作用側電極構造体12及び対向電極構造体14を形成する種々の他の構造の露出側面に隣接する不活性成形物質86をさらに含み得る。成形物質86は、有益には、作用側電極構造体12及び対向電極構造体14の種々の構造に対する環境保護を提供し得る。作用側電極構造体12及び対向電極構造体14の覆いは、収容物質90である。
【0126】
図2Bで最も良く分かるように、作用側電極構造体12及び対向電極構造体14は、生体界面18上に配置される。生体界面上の配置は、回路を閉じて、起電力を印加させ、及び/又は電流を電源16から作用側電極構造体を介して生体界面18へ、そして、対向電極構造体14に流させ得る。
【0127】
使用に際しては、最外部活性電極イオン選択膜38は、生体界面18と直接接触して置かれ得る。代替的には、界面結合媒質(示されていない)は、最外部活性電極イオン選択膜22と生体界面18との間に用いられ得る。界面結合媒質は、例えば接着剤及び/又はゲルの形態をとり得る。ゲルは、例えば水和ゲル又はヒドロゲルの形態をとり得る。用いられる場合、界面結合媒質は、活性物質36、40、42により透過可能である必要がある。
【0128】
電源16は、例えば、化学電池、超又はウルトラキャパシタ、燃料電池、二次電池、薄膜二次電池、ボタン電池、リチウムイオン電池、亜鉛−空気電池、ニッケル水素蓄電池(Nickel-metal hydride cells)などの形態を取り得る。いくつかの実施形態では、電源16は、貯留槽34からの1つ又は複数の活性物質36、40、42の送達を可能にし、生体界面(例えば皮膚又は粘膜)を通って、所望の生理学的作用を付与するのに十分な電圧、電流及び/又は持続時間を提供するように選択される。電源16は、例えば0.8V DCの公差の12.8V DCの電圧と0.3mAの電流を提供し得る。電源16は、選択的に、制御回路を介して、例えば炭素繊維リボンを介して、作用側電極構造体12及び対向電極構造体14と電気的に結合し得る。経皮送達システム10は、電極構造体12、14に送達される電圧、電流及び/又は電力を制御するために、ディスクリートの回路要素及び/又は集積回路要素を包含し得る。例えば経皮送達システム8は、電極要素24、68に定電流を提供するためのダイオードを包含し得る。
【0129】
上記のように、1つ又は複数の活性物質36、40、42は、1つ又は複数のイオン性、イオン化可能及び/又は中性薬物又はその他の治療用物質の形態をとり得る。したがって、電源16の極又は端子並びに最外部イオン選択膜38、80及び内部イオン選択膜30、74の選択性は、それに応じて選択される。
【0130】
イオントフォレーシス中、電極構造体を通る起電力は、上記のように、生体界面を通して、生体組織中への、荷電活性物質分子並びにイオン及び他の荷電構成成分の移動をもたらす。この移動は、界面を越えた生体組織内の活性物質、イオン及び/又は他の荷電構成成分の蓄積をもたらし得る。イオントフォレーシス中、反発力に応じた荷電分子の移動のほかに、電極及び生体界面を通して組織中への溶媒(例えば水)の電気浸透流も存在する。或る種の実施形態では、電気浸透溶媒流は、荷電分子及び非荷電分子の両方の移動を増強する。電気浸透溶媒流による移動増強は、特に分子のサイズ増大に伴って起こり得る。
【0131】
或る種の実施形態では、活性物質は、より高分子量の分子であり得る。或る種の態様において、分子は、極性高分子電解質であり得る。或る種の他の態様では、分子は親油性であり得る。或る種の実施形態では、このような分子は、活性電極内の条件下で、荷電されるか、低正味電荷を有するか、又は非荷電であり得る。或る種の態様において、このような活性物質は、イオントフォレーシス反発力の影響下で小さなより高度に荷電された活性物質の移動に比べて、イオントフォレーシス反発力下では十分に移動し得ない。したがってこれらの高分子量活性物質は、主に電気浸透溶媒流により、生体界面を介して下にある組織中に運搬され得る。或る種の実施形態では、高分子量の高分子電解質活性物質は、タンパク質、ポリペプチド又は核酸であり得る。他の実施形態では、活性物質は別の活性物質と混合されて、上記の起動方法のうちの1つにより生体界面を通って輸送され得る複合体を形成し得る。
【0132】
要約に記載されたものを含めて上記の例証的実施形態についての記載は、網羅的であるように意図されないし、添付の特許請求の範囲を開示された精確な形態に限定するものでもない。例示の目的で特定の実施形態及び実施例を本明細書に記載しているが、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り、そして当業者に理解されるように、種々の等価の改変がなされ得る。本明細書中に提供される教示は、必ずしも一般的に上記した例示的なイオントフォレーシス活性物質システム及びイオントフォレーシス活性物質装置に限らず、他の物質送達システム及び装置に適用可能である。例えばいくつかの実施形態は、いくつかの実施形態は、1又は複数の貯留槽、膜又は他の構造を省略し得る。他の例では、いくつかの実施形態は、付加的構造を包含し得る。例えばいくつかの実施形態は、作用側電極要素20及び対向電極要素68に印加される電圧、電流又は電力を制御するための制御回路又はサブシステムを包含し得る。さらにまた例えばいくつかの実施形態は、最外部活性電極イオン選択膜22と生体界面18との間に介在される界面層を包含し得る。いくつかの実施形態は、付加的なイオン選択膜、イオン交換膜、半透性膜及び/又は多孔性膜、並びに電解質及び/又は緩衝剤のための付加的貯留槽を含み得る。
【0133】
本明細書の他の部分で更に説明されるような、樹脂状高分子又はアルボロール又はこれから組織化されるゲル又はマトリクスからなるものの他にも、様々な導電性ヒドロゲルが既知であり、医療分野において被験体の皮膚に電気的なインターフェイスを与えるために、又は、対象への電気刺激を結合させるためのデバイスにおいて使用されている。ヒドロゲルが皮膚に潤いを与え、これによってヒドロゲルを介する電気刺激による火傷を防ぐ一方で、皮膚を膨潤させ、活性成分のより効果的な輸送を可能にする。このようなヒドロゲルの例は、米国特許第6,803,420号、同第6,576,712号、同第6,908,681号、同第6,596,401号、同第6,329,488号、同第6,197,324号、同第5,290,585号、同第6,797,276号、同第5,800,685号、同第5,660,178号、同第5,573,668号、同第5,536,768号、同第5,489,624号、同第5,362,420号、同第5,338,490号、及び同第5,240995号(これらの全体において参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。このようなヒドロゲルのさらなる例は、米国特許出願第2004/166147号、同第2004/105834号、及び同第2004/247655号(これらの全体において参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。様々なヒドロゲル及びヒドロゲルシートの有名な製品としては、Corplex(商標)(Corium製)、Tegagel(商標)(3M製)、PuraMatrix(商標)(BD製)、Vigilon(商標)(Bard製)、ClearSite(商標)(Conmed Corporation製)、FlexiGel(商標)(Smith & Nephew製)、Derma−Gel(商標)(Medline製)、Nu−Gel(商標)(Johnson & Johnson製)、及びCuragel(商標)(Kendall製)、又はSun Contact Lens Co., Ltdで市販されているアクリルヒドロゲルフィルムが挙げられる。
【0134】
ある実施形態では、本明細書に開示される装置及び方法とともに使用するために、樹脂状高分子又はアルボロール又はこれが会合化された形態、又は、上記した種々のヒドロゲルは、タンパク質、ポリペプチド、融合タンパク質(fusion proteins)、融合ポリペプチド(fusion polypeptide)を組み入れるように構成し得る。ある実施形態では、このような構成は、種々の活性物質のための貯留槽として機能し得る。このような構成は、例えば、図2A及び2Bの作用側電極構造体の内部活性物質貯留槽34又は層52を構成し得る。
【0135】
本明細書に記載した種々の実施形態は、有益には、微細構造、例えばマイクロニードルを用い得る。マイクロニードル及びマイクロニードルアレイ、それらの製造及び使用が記載されている。マイクロニードルは、独立して、又はアレイで、中空、固体及び透過性、固体及び半透性、或いは固体及び非透過性であり得る。固体、非透過性マイクロニードルはさらに、それらの外表面に沿って溝を含み得る。マイクロニードル及びマイクロニードルアレイは、種々の材料、例えばケイ素、二酸化ケイ素、成型プラスチック材料、例えば生分解性ポリマー又は非生分解性ポリマー、セラミック、並びに金属から製造され得る。マイクロニードルは、独立して、又はアレイで、中空開口部を通して、固体透過性物質又は半透性物質を通して、或いは外部溝を介して、流体を投与するか又はサンプリングするために用いられ得る。マイクロニードル装置は、例えば生体界面、例えば皮膚又は粘膜を介して、生体に種々の化合物及び組成物を送達するために用いられ得る。或る種の実施形態では、活性物質化合物及び化合物は、生体界面に又は生体界面を介して送達され得る。例えば皮膚を介して化合物又は組成物を送達するのに際しては、個々の或いはアレイでの(単一又は複数の)マイクロニードルの長さ、及び/又は挿入深度は、化合物又は組成物の投与が表皮中だけ、表皮を通して真皮、又は皮下に投与されるかを制御するために用いられ得る。或る種の実施形態では、マイクロニードル装置は、高分子量活性物質、例えばタンパク質、ペプチド及び/又は核酸を含むもの並びにその対応する組成物の送達のために有用であり得る。例えば流体がイオン性溶液である或る種の実施形態では、(単一又は複数の)マイクロニードル又は(単一又は複数の)マイクロニードルアレイは電源とマイクロニードル(単数又は複数)の先端との間の電気的連続性を提供し得る。(単一又は複数の)マイクロニードル又は(単一又は複数の)マイクロニードルアレイは、本明細書中に記載されるようなイオントフォレーシス法により、化合物又は組成物を送達するか又はサンプリングするために有益に用いられ得る。或る種の実施形態では、例えばアレイ中の複数のマイクロニードルは、有益には、イオントフォレーシス装置の最外部生体界面の接触表面上に形成され得る。このような装置により送達されるか又はサンプリングされる化合物又は組成物は、例えば高分子量分子又は活性物質、例えばタンパク質、ペプチド及び/又は核酸を含み得る。
【0136】
マイクロニードル装置、それらの使用及び製造についての或る程度の詳細は、米国特許第6,256,533号、同第6,312,612号、同第6,334,856号、同第6,379,324号、同第6,451,240号、同第6,471,903号、同第6,503,231号、同第6,511,463号、同第6,533,949号、同第6,565,532号、同第6,603,987号、同第6,611,707号、同第6,663,820号、同第6,767,341号、同第6,790,372号、同第6,815,360号、同第6,881,203号、同第6,908,453号及び同第6,939,311号(これらの記載内容はすべて、参照により本明細書中に組み込まれる)に開示されている。その中の教示のいくつか又はすべてが、マイクロニードル装置、それらの製造、並びにイオントフォレーシス用途におけるそれらの使用に適用され得る。
【0137】
或る種の実施形態では、化合物又は組成物は、生体界面に、生体界面の中に、又は生体界面を介して、活性物質を送達するために、電源に電気的に結合された作用側電極構造体及び対向電極構造体を含むイオントフォレーシス装置により送達され得る。作用側電極構造体は、以下のものを包含する:電源の正電極に接続される第1の電極部材、第1の電極部材と接触し、そして第1の電極部材を介して電圧を印加される活性物質、例えば、薬物、治療用又は診断物質の溶液を有する活性物質貯留槽、マイクロニードルアレイであり得、活性物質貯留槽の前面に対面して配置される生体界面接触部材、並びにこれらの部材を収容する第1のカバー又は容器。対向電極構造体は、以下のものを包含する:電圧源の負電極に接続される第2の電極部材、第2の電極部材と接触し、そして第2の電極部材を介して電圧が印加される電解質を担持する電解質貯留槽、並びにこれらの部材を収容する第2のカバー又は容器。
【0138】
或る種の他の実施形態では、化合物又は組成物は、生体界面に、生体界面の中に、又は生体界面を介して、活性物質を送達するために、電源に電気的に結合された作用側電極構造体及び対向電極構造体を含むイオントフォレーシス装置により送達され得る。作用側電極構造体は、以下のものを包含する:電源の正電極に接続される第1の電極部材、第1の電極部材と接触し、そして第1の電極部材を介して電圧を印加される電解質を有する第1の電解質貯留槽、第1の電解質貯留槽の前面に配置される第1の陰イオン交換膜、第1の陰イオン交換膜の前面に対して配置される活性物質貯留槽、マイクロニードルアレイであり得、活性物質貯留槽の前面に対面して配置される生体界面接触部材、並びにこれらの部材を収容する第1のカバー又は容器。対向電極構造体は、以下のものを包含する:電源の負電極に接続される第2の電極部材、第2の電極部材と接触し、そして第2の電極部材を介して電圧を印加される電解質を担持する第2の電解質貯留槽、第2の電解質貯留槽の前面に配置される陽イオン交換膜、陽イオン交換膜の前面に対して配置され、そして第2の電解質貯留槽及び陽イオン交換膜を介して第2の電極部材から電圧が印加される電解質を担持する第3の電解質貯留槽、第3の電解質貯留槽の前面に対して配置される第2の陰イオン交換膜、並びにこれらの部材を収容する第2のカバー又は容器。
【0139】
マイクロニードル装置、それらの使用及び製造についての或る程度の詳細は、米国特許第6,256,533号、同第6,312,612号、同第6,334,856号、同第6,379,324号、同第6,451,240号、同第6,471,903号、同第6,503,231号、同第6,511,463号、同第6,533,949号、同第6,565,532号、同第6,603,987号、同第6,611,707号、同第6,663,820号、同第6,767,341号、同第6,790,372号、同第6,815,360号、同第6,881,203号、同第6,908,453号及び同第6,939,311号(これらの記載内容はすべて、参照により本明細書中に組み込まれる)に開示されている。その中の教示のいくつか又はすべてが、マイクロニードル装置、それらの製造、並びにイオントフォレーシス用途におけるそれらの使用に適用され得る。
【0140】
上記の様々な実施形態を組合せて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で言及され、且つ/又は出願データシートに列挙されるすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許出版物は、下記に列記のものを非限定的に含めて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特許第3040517号として2000年3月3日に発行され、特開平04−297277号公報を有する1991年3月27日に出願された特願平03−86002号公報、特開2000−229128号公報を有する1999年2月10日に出願された特願平11−033076号公報、特開2000−229129号公報を有する1999年2月12日に出願された特願平11−033765号公報、特開2000−237326号公報を有する1999年2月19日に出願された特願平11−041415号公報、特開2000−237327号公報を有する1999年2月19日に出願された特願平11−041416号公報、特開2000−237328号公報を有する1999年2月22日に出願された特願平11−042752号公報、特開2000−237329号公報を有する1999年2月22日に出願された特願平11−042753号公報、特開2000−288098号公報を有する1999年4月6日に出願された特願平11−099008号公報、特開2000−288097号公報を有する1999年4月6日に出願された特願平11−099009号公報、PCT公開番号WO03037425を有する2002年5月15日に出願されたPCT特許出願WO2002JP4696、2004年3月9日に出願された米国特許出願第10/488970号、2004年10月29日に出願された特願2004/317317号公報、2004年11月16日に出願された米国仮特許出願第60/627,952号、2004年11月30日に出願された特願2004−347814号公報、2004年12月9日に出願された特願2004−357313号公報、2005年2月3日に出願された特願2005−027748号公報、2005年3月22日に出願された特願2005−081220号公報。
【0141】
関連する分野の当業者が容易に理解するように、本明細書の開示は、本明細書に開示される任意の組成及び/又は方法により対象を処置する方法を包含する。
【0142】
種々の実施形態の態様は、必要な場合、本明細書に記載した特許及び出願を含む、さらなる実施形態を提供するために種々の特許、出願及び出版物のシステム、回路及び概念を用いるように変形され得る。いくつかの実施形態は、上記の膜、貯留槽及びその他の構造のすべてを包含し得るが、他の実施形態は、膜、貯留槽又は他の構造のいくつかを省略し得る。さらなる他の実施形態は、一般的に上記した膜、貯留槽及び構造の付加的なものを用いることができる。さらなる実施形態は、一般的に上記した膜、貯留槽及び構造の付加的なものを用いながら、上記の膜、貯留槽及び構造のいくつかを省略することができる。
【0143】
上記の詳細な記載に鑑みて、様々な変更が為され得る。概して、添付の特許請求の範囲においては、用いられる用語は、本明細書及び添付の特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に限定するように解釈されるべきでなく、添付の特許請求の範囲に従って動作するすべてのシステム、装置及び/又は方法を含むように解釈されるべきである。したがって本発明は本開示により限定されなるものでなく、その範囲は添付の特許請求の範囲により専ら判定されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを含むマトリクスと、
少なくとも1の活性物質とを含む、生体界面に1以上の活性物質を送達する装置。
【請求項2】
前記装置が経皮送達装置であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が少なくとも2つの電極構造体を有するイオントフォレーシス装置であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記アルボロールが1方向性アルボロールであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記1方向性アルボロールが[9]−6,[9]−8又は[9]−10であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記アルボロールが2方向性アルボロールであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
mを2つの親水性末端領域のそれぞれが有する極性基の数とし、nをその2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、前記2方向性アルボロールは、[m]−[n]−[m]アルボロールであることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
nをそれぞれが9つのヒドロキシル基を含む2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、前記2方向性アルボロールは、[9]−n−[9]アルボロールであることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
nが10〜13であることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記2方向性アルボロールが[9]−10−[9]アルボロールであることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記アルボロールが3方向性アルボロールであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記3方向性アルボロールがベンゼン[9]であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記樹脂状高分子がポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記樹脂状高分子がポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマーであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記樹脂状高分子がポリエーテル又はフェニルアセチレンデンドリマーであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記マトリクスがゲルマトリクスであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記樹脂状高分子又はアルボロールが自己組織性の樹脂状高分子又はアルボロールであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記自己組織性の樹脂状高分子又はアルボロールが2方向性アルボロールであることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
mを2つの親水性末端領域のそれぞれが有する極性基の数とし、nをその2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、前記2方向性アルボロールは、[m]−[n]−[m]アルボロールであることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
nをそれぞれが9つのヒドロキシル基を含む2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、前記2方向性アルボロールは、[9]−n−[9]アルボロールであることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
nが10〜13であることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記2方向性アルボロールが[9]−10−[9]アルボロールであることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記活性物質が治療用物質、診断用物質又は薬理学的薬物であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項24】
更に少なくとも1の貯留槽を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項25】
少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを含む前記マトリクスが貯留槽を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記樹脂状高分子又はアルボロールが自己組織性の樹脂状高分子又はアルボロールであることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
更に少なくとも1の膜を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項28】
少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを含む前記マトリクスが少なくとも1の膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記樹脂状高分子又はアルボロールが自己組織性の樹脂状高分子又はアルボロールであることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記樹脂状高分子又はアルボロールの自己組織化が少なくとも1の膜を形成することを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記樹脂状高分子又はアルボロールが荷電基を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記荷電基が正味正電荷を有することを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記荷電基が正味負電荷を有することを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項34】
更に、前記装置と前記生体界面の間の界面結合媒体を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記界面結合媒体が接着剤であることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項36】
少なくとも1の樹脂状高分子又はアルボロールを含むマトリクスと、
電極構造体とを含むことを特徴とする生体界面に1以上の活性物質を送達する装置。
【請求項37】
前記装置が経皮送達装置であることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記装置が少なくとも2つの電極構造体を有するイオントフォレーシス装置であることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記アルボロールが1方向性アルボロールであることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項40】
前記アルボロールが2方向性アルボロールであることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項41】
前記アルボロールが3方向性アルボロールであることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項42】
前記樹脂状高分子がポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーであることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項43】
前記樹脂状高分子がポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマーであることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項44】
前記樹脂状高分子がポリエーテル又はフェニルアセチレンデンドリマーであることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項45】
前記マトリクスがゲルマトリクスであることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項46】
前記樹脂状高分子又はアルボロールが自己組織性の樹脂状高分子又はアルボロールであることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項47】
前記自己組織性の樹脂状高分子又はアルボロールが2方向性アルボロールであることを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項48】
mを2つの親水性末端領域のそれぞれが有する極性基の数とし、nをその2つの親水性末端領域を接続するアルキル直鎖中の炭素数として、前記2方向性アルボロールは、[m]−[n]−[m]アルボロールであることを特徴とする請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記活性物質が治療用物質、診断用物質又は薬理学的薬物であることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項50】
樹脂状高分子又はアルボロールを含む少なくとも1の貯留槽を更に含むことを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項51】
樹脂状高分子又はアルボロールを含む少なくとも1の膜を更に含むことを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項52】
前記樹脂状高分子又はアルボロールが荷電基を含むことを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項53】
活性物質送達装置の製造方法であって、
前記装置のある部分に自己会合性の樹脂状高分子を配置するステップと、
前記自己会合性の樹脂状高分子を自己会合させるステップとを含むことを特徴とする活性物質送達装置の製造方法。
【請求項54】
前記装置のある部分が、貯留槽であることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記装置のある部分が、膜であることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記自己会合性の樹脂状高分子がアルボロールであることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記自己会合性の樹脂状高分子の自己会合によって生成される孔又はキャビティに活性物質を装荷するステップを更に含むことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項58】
請求項53〜57のいずれか一項の方法により製造される活性物質送達装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2009−542685(P2009−542685A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518346(P2009−518346)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/015402
【国際公開番号】WO2008/005458
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(505046776)TTI・エルビュー株式会社 (36)
【Fターム(参考)】