説明

自己膨脹タイヤ組み立て品

【課題】自己膨脹機能を組み込んだタイヤを提供する。
【解決手段】エアチューブは、タイヤフットプリントの近くの一部のエアチューブ区分が該エアチューブを開閉できるように動作する柔軟な材料で構成されており、タイヤに接続されている。調整装置は、タイヤサイドウォールに取り付けられたエルボ継ぎ手80を含み、該エアチューブの一端に接続されている。該エルボ継ぎ手は、前記エアチューブの一端に接続する第1の端部と、調整可能な筐体の第1の端部に接続する第2の端部42bとを有している。その調整可能な筐体は、移動可能な壁によって定められている緩衝室を内部に有し、その移動可能な壁は弁胴体52に接続されており、その弁胴体は前記調整可能な筐体内に受け入れられるねじ付きの外側面57を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して自己膨脹タイヤに関し、特に、そのようなタイヤのポンプ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の空気拡散によって、時間が経過するとタイヤの圧力が減少する。タイヤの正常な状態は膨脹している状態である。そのため、ドライバは繰り返しタイヤの圧力を維持しなければならず、そうしないと、燃費、タイヤの寿命、および乗り物の制動と操舵の性能とが低下することになる。タイヤの圧力が際だって低いときにドライバに警告するために、タイヤ圧力監視装置が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしそのような装置は、タイヤを推奨圧力まで再膨脹させるように警告したときに、ドライバが是正動作を取ることに依存している。そのため、時間の経過によるタイヤ圧力の減少をドライバの介入を必要とせずに補うために、タイヤを自己膨脹させる自己膨脹機能をタイヤ内に組み込むことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様の自己膨脹タイヤ組み立て品は、タイヤとエアチューブと調整装置を備える。該タイヤは、タイヤキャビティと、第1と第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域までそれぞれ延びている第1と第2のサイドウォールと、を有しており、リムに取り付けられている。該エアチューブは、タイヤフットプリントの近くの一部のエアチューブ区分が該エアチューブを開閉できるように動作する柔軟な材料で構成されており、タイヤに接続されている。該調整装置は、タイヤサイドウォールに取り付けられたエルボ継ぎ手を含み、該エアチューブの一端に接続されている。該エルボ継ぎ手は、前記エアチューブの一端に接続する第1の端部と、調整可能な筐体の第1の端部に接続する第2の端部とを有している。その調整可能な筐体は、移動可能な壁によって定められている緩衝室を内部に有し、その移動可能な壁は弁胴体に接続されており、その弁胴体は前記調整可能な筐体内に受け入れられるねじ付きの外側面を有している。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、時間の経過によるタイヤ圧力の減少をドライバの介入を必要とせずに補うために、タイヤを自己膨脹させる機能を組み込んだタイヤを提供できる。
【0006】
[定義]
タイヤの「アスペクト比」は、タイヤの断面の幅(SW)に対するタイヤの断面高さ(SH)の比に、百分率として表すために100を乗じたものを意味する。
【0007】
「非対称トレッド」は、タイヤの中央面つまり赤道面EPに関して対称ではないトレッドパターンを有しているトレッドを意味する。
【0008】
「軸線方向の」および「軸線方向に」は、タイヤの回転軸線に平行なラインまたは方向を意味する。
【0009】
「緩衝容積」はポンプの最小容積を意味する。
【0010】
「チェーファー」は、コードプライをリムに対して摩耗して切れることから保護し、リムの上方にたわみを分散させるようにタイヤビードの外側の周囲に配置された細いストリップ材料を意味する。
【0011】
「周方向の」は、軸線方向に垂直な、環状トレッドの表面の周囲に沿って延びるラインまたは方向を意味する。
【0012】
「赤道中央面(CP)」は、タイヤの回転軸線に垂直でトレッドの中心を通る平面を意味する。
【0013】
「フットプリント」は、速度が零でかつ標準荷重および標準空気圧の下において平坦な面と接触するタイヤトレッドの接触部分すなわち接触領域を意味する。
【0014】
「インボード側」はタイヤが車輪に取り付けられ、車輪が乗り物に取り付けられたときに、乗り物に最も近いタイヤの側を意味する。
【0015】
「横方向」は、軸線方向を意味する。
【0016】
「横方向縁」は、標準荷重とタイヤ膨張の下で計測された、軸線方向で最も外側のトレッド接触部分すなわちフットプリントに接するラインであって、赤道中央面に平行なラインを意味する。
【0017】
「正味接地面積」は、トレッドの全周にわたって横方向縁部同士の間でトレッド部材に接する地面の総面積を、横方向縁部同士の間のトレッド全体の総面積で割ったものを意味する。
【0018】
「非方向性トレッド」は、好ましい前進方向を持たず、トレッドバターンが好ましい走行方向に揃うように、乗り物の1つまたは2つ以上の特定の車輪位置に配置する必要のないトレッドを意味する。逆に、方向性トレッドパターンは、特定の車輪への配置を必要とする好ましい走行方向を有する。
【0019】
「アウトボード側」は、タイヤが車輪に取り付けられ、車輪が乗り物に取り付けられたときに、乗り物から最も遠いタイヤの側を意味する。
【0020】
「ぜん動性」は、空気などの含まれている物体を管状の経路に沿って前進させる、波のような収縮による動作を意味する。
【0021】
「ぜん動ポンプチューブ」は、タイヤ内に構成または成形されたチューブまたは硬化前または硬化後に挿入されてもよい埋め込まれたチューブを意味する。
【0022】
「ポンプ最小容積」つまり「緩衝容積」は、ポンプの可変容積の最小値を意味する。
【0023】
「ポンプ最大容積」は、ぜん動ポンプの管入口と出口弁との間に位置している流体の容積を意味する。
【0024】
「ポンプ可変容積」は、締め付けられている管路と出口弁の入口との間に位置している流体の容積を意味する。
【0025】
「半径方向の(ラジアル)」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸線に向かって、または回転軸線から離れるように、半径方向に延びている方向を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ぜん動ポンプ組み立て品の弁、チューブ、およびフィルタの等角図である。
【図2】タイヤに取り付けられているところを示している図1の組み立て品の側面図である。
【図3】タイヤに取り付けられているところを示しているポンプ弁機構を備えているタイヤとリムとの組み立て品の拡大部分断面図である。
【図3A】図3のポンプ弁機構の拡大透視図である。
【図4】本発明の調整器機構の第1の実施形態の透視図である。
【図5】5−5の方向に図4の調整器機構を通る部分断面図である。
【図6】閉じている位置にある動作中の調整器機構の断面図である。
【図7】開いている位置にある動作中の調整器機構の断面図である。
【図8】第1の位置にあるところを示している本発明の調整器機構の第2の実施形態の透視図である。
【図9】第2の位置にあるところを示している図8の調整器機構の透視図である。
【図10】図8の調整器機構の調整可能キャップの透視図である。
【図11】本発明のポンプ装置の第2の実施形態の透視図である。
【図12A】交換可能な弁胴体の前面図である。
【図12B】交換可能な弁胴体の前面図である。
【図13A】ポンプ最大容積の図である。
【図13B】ポンプ可変容積の図である。
【図13C】緩衝容積つまりポンプ最小容積の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1から図3Aを参照すると、タイヤ組み立て品10は、タイヤ12、ぜん動ポンプ組み立て品14、およびタイヤリム16を有している。タイヤ12は、外側リムフランジ20に隣接して位置している1対のリム取り付け面18に従来の態様で取り付けられている。外側のリムフランジ20はタイヤ12のビード領域に係合する外側リム面22を有している。タイヤ12は従来の構造であって、対向しているビード領域34からクラウンつまりタイヤトレッド領域38まで延びる1対のサイドウォール30を有している。タイヤ12とリム16はタイヤキャビティ40を囲んでいる。
【0029】
図1と図2に示しているように、ぜん動ポンプ組み立て品14は、タイヤ通路44内に取り付けられる、好ましくは、タイヤ12のサイドウォール領域内(好ましくはビード領域34に近く)に配置されるポンプチューブ42を有している。タイヤ通路44は、加硫時にタイヤ12のサイドウォール30内に成形されることが好ましく、環状の形状であることが好ましい。ポンプチューブ42は、入口装置46によって一体に接合される第1の端部42aと、出口装置50に一体に接合される第2の端部42bとを有している。ポンプチューブ42は、プラスチック、シリコン、エラストマ、またはゴム合成物などの弾性のある、柔軟な材料から構成されているチューブを有しており、該チューブが外力を受けて平坦な状態に変形し、そのような外力がなくなると、断面が概ね円形の元の状態に戻る繰り返しの変形サイクルに耐えることができる。該チューブは、本明細書で説明する複数の目的に対して十分な体積の空気を動作によって通過させるのに十分な直径であって、後述のようにチューブ42をタイヤ組み立て品10内の動作可能な位置に配置可能にする直径を有している。チューブ42は円形の断面形状を有していることが好ましいが、楕円形やレンズ形状などの他の形状を使用してもよい。その代わりに、タイヤサイドウォール30内に成形つまり構成されている通路44がポンプチューブ42の役割を果たしてもよい。
【0030】
図2に示しているように、通常、入口装置46と出口装置50は約90°以上、通常は約180度から360度の範囲にある所望の距離を離隔されている。180度が選択されると、180度のポンプを2つ使用してもよい。入口装置46と出口装置50は、互いに隣接することにより、360度の単一ポンプを構成してもよい。270度などの他の変形例を使用することも可能である。
【0031】
最も単純な形態の入口装置46は大気に曝されている入口チューブ端部であってもよい。入口装置46は、チェック弁と任意採用のフィルタとの少なくとも一方を任意に有していてもよい。出口装置50は圧力と流量の調整装置であって、タイヤキャビティ最大圧力を調整する。出口装置50は、タイヤキャビティ40に対する流入量と流出量を調整するようにも機能する。出口装置50は以下でより詳細に説明する。
【0032】
図2からわかるように、入口装置46と出口装置50は、環状のエアチューブ(ポンプチューブ42)と流体連通している。回転の方向88にタイヤ10が回転すると、フットプリント100が地面98に対して形成される。圧縮力104がフットプリント100からタイヤ12内に向けられ、ポンプチューブ42の一区分110を平坦にするように作用する。ポンプチューブ42の一区分110が平坦になることで、平坦になった区分110と出口装置50との間に位置している空気の部分が矢印84で示している方向に出口装置50に向けられる。それから空気の一部は出口装置50を通して調整される。出口装置50の入口での圧力が十分に高い場合、以下でより詳細に説明するように、内部の弁が開き、タイヤキャビティ40を満たす。
【0033】
タイヤ12が方向88に継続して回転すると、以前に平坦になったチューブ区分110、110'、110'’はポンプチューブ42に沿って出口装置46内に流入する空気によって順番に再充填される。入口装置46からの空気の流入は、タイヤの回転88と共に図示のように反時計回りに回転している出口装置50がタイヤのフットプリント100を通過するまで継続する。
【0034】
ぜん動ポンプ組み立て品14の位置は、図2〜4から理解されるであろう。一実施形態において、ぜん動ポンプ組み立て品14はタイヤサイドウォール30内に、チェーファー120のリムフランジ面26の半径方向外側に配置されている。そのように配置されると、ポンプチューブ(エアチューブ)42はタイヤのフットプリント100の半径方向内側であって、したがって、前述のようにタイヤのフットプリント100から向けられている力によって平坦になるように配置されている。フットプリント100に対向している区分110は、チューブ区分110をリムフランジ面26に対して押し付けるフットプリント100からの圧縮力104によって平坦になる。ポンプチューブ42の配置をビード領域34の位置のタイヤ12のチェーファー120とリム面26とに関して具体的に示したが、それには限定されておらず、タイヤ12のサイドウォール30やトレッド38における任意の領域に配置してもよい。ぜん動ポンプチューブ(エアチューブ)42の直径方向の大きさは、リムフランジ面26の円周にわたるように選択されている。
【0035】
圧力調整出口装置
出口装置50は圧力と流量の調整装置であって、タイヤキャビティ最大圧力を調整する。出口装置50は、タイヤキャビティ40に対する流入量と流出量を調整するようにも機能する。出口装置50は、第1の端部53から第2の端部56まで延びる弁胴体52を有し、弁胴体52の第1の端部53は弁通路54を有している。弁胴体52の第1の端部53は、図3と図3Aに示しているように、弁通路54がタイヤキャビティ40と流体連通するように、タイヤサイドウォール30を通して取り付けられている。
【0036】
図5〜図7を参照すると、弁通路54は拡張している部分58と狭い部分60とを有している。大きいボール62が拡張している部分58内に受け入れられており、狭い部分60と係合するように配置されている。ばね64がボール62と係合するように弁通路54内に配置されている。ばね64は、狭い部分60と係合して内部の弁通路54内で流れが遮断されるようにボール62を偏倚させている。
【0037】
弁胴体52の第2の端部56は、調整可能な筐体72の第1のねじ付き端部70内に受け入れられている外側のねじ付き部分57を有している。調整可能な筐体72は第1のねじ付き端部70から第2のねじ付き端部76まで延びている、内部のキャビティ74を有している。内部のキャビティ74は、固定(一定)の緩衝容積部分と調整可能な緩衝容積部分とを有している。固定容積部分は、内部キャビティ74の、ねじが切られていない長さCを有する内壁部によって定められている。固定容積は、内部キャビティ74の横断面積と長さCとの積に等しい。調整可能な容積部分は、内部キャビティ74内に露出して距離Bとして示されているねじ付きの長さの量によって定められている。調整可能な容積は、距離Bとキャビティ横断面積との積によって求められる。調整可能な筐体72内に弁胴体52が完全に受け入れられている場合は、その距離Bはゼロであってもよい。調整可能な筐体72とそれぞれの緩衝容積は、固定緩衝容積を増加させるのに図12Aに示すような調整可能な筐体に置き換えたり、固定緩衝容積を減少させるのに図12Bに示すような調整可能な筐体に置き換えたりすることで変更されてもよい。
【0038】
出口装置50は、調整可能な筐体72の入口端部76に接続されている第1の端部と、ポンプチューブの端部42b(ポンプ出口)に接続されている第2の端部と、を有するエルボ継ぎ手80をさらに有している。エルボ継ぎ手80の第2の端部はつば付き継ぎ手86を有していてもよい。
【0039】
前記ぜん動ポンプで送られる最大空気圧は、ポンプチューブ42の容積と、該ポンプチューブ端部と該出口装置のチェック弁と調整可能な緩衝室との間に位置している緩衝容積と、を設定することによって固定することができる。ポンプチューブ容積は、チューブの寸法とチューブの長さを使った設計によって選択される。図11に示しているように、装置を調整するためにチューブ長さとチューブ内側寸法とを選択して、複数のポンプチューブ42を使用してもよい。また、緩衝容積つまりデッド容積も設計によって設定することができる。その緩衝容積室内の空気は圧縮されないが、ポンプ装置の最大空気圧を調整するように機能する。緩衝容積は、タイヤキャビティ40へ送る空気量を蓄える貯蔵室として動作する。緩衝容積を増加させるとタイヤ圧力が減少するのに対して、緩衝容積を減少させるとタイヤキャビティ圧力が増加する。したがって、緩衝容積を調整することによって、所望のタイヤの最終圧力を調整することができる。
【0040】
ここで、ポンプ装置と出口装置50の動作を説明する。図2に示しているように、回転方向88にタイヤ12が回転すると、フットプリント100が地面98に対して形成される。圧縮力104がフットプリント100からタイヤ12内に向けられ、ポンプチューブ42の一区分110を平坦にするように作用する。ポンプチューブ42の一区分110が平坦になることで、平坦になった区分110と出口装置50との間に位置している空気の一部が、矢印84で示している方向にて出口装置50に向けられる。それから、該空気の一部は出口装置50を通して調整される。出口装置50のつば付き継ぎ手86の入口位置の圧力が非常に高い場合、流体圧力がばね64の圧力(開弁圧)に打ち勝って、該装置の内部のチェック弁を開く。したがって、ポンプ出口(ポンプチューブ端部42b)からの流体はエルボ継ぎ手80内に流入し、調整可能な筐体72内に流入する。
【0041】
該ポンプ出口(ポンプチューブ端部42b)の圧力がタイヤ圧力未満の場合、ボール62は狭い部分60に係合し、いずれの方向からの流れも遮断する。ボール62によるチェック弁が閉じたときには、ポンプチューブ端部42bからタイヤキャビティ40へ通じている流れを遮断し、タイヤキャビティ40からポンプチューブ42内への逆流も防止する。該チェック弁が閉じると、ポンプチューブ42内の空気を圧縮する。ポンプチューブ42からの空気は出口装置50のエルボ継ぎ手80内に進入し、それから緩衝容積チャンバ(キャビティ74)内に進入する。緩衝容積チャンバ(キャビティ74)は、該出口装置内のチェック弁が閉じたままの状態で満たされる。出口装置50の弁胴体端部56での入口圧力が開弁圧を超えると、該チェック弁は開き、ポンプチューブからの空気でタイヤキャビティ40を満たせるようにする。該チェック弁は、入口圧力Pが開弁圧未満に低下すると閉じることになる。該チェック弁の開閉のサイクルによって、タイヤ12が特定の距離を回転すると、タイヤキャビティ40を充填することができる。最大タイヤキャビティは、ポンプチューブ容積と該出口装置の緩衝容積とに基づいて達成されることになる。その緩衝容積は、弁胴体52を調整可能な筐体72に対して回転することによって調整されてもよい。緩衝容積を増加させると、タイヤの最終圧力が減少するのに対して、緩衝容積を減少させると、タイヤの最終圧力が増加する。調整可能な緩衝容積を有することによって、タイヤキャビティ40の最大装置圧力を規定のタイヤに対して調整できるという利点がある。
【0042】
図8〜10は第2の実施形態による圧力調整器(出口装置)200を示している。圧力調整器200は弁胴体202を備え、弁胴体202は、弁胴体202を通って延びている内部通路204を有する。内部通路204は、移動可能なチェック弁組み立て品206を内部に持つ。移動可能なチェック弁組み立て品206は、ボール208と、受け入れ部分212内に収容されているばね210と、を有する。受け入れ部分212は、ボール208をチェック弁組み立て品206内に保持する保持部分214を有している。受け入れ部分212の外側の縁は、受け入れ部分212を内部通路204に回転させて出し入れできるように、スクリューのような外部ねじ山を有していてもよい。可変緩衝容積220が、移動可能なチェック弁組み立て品206を時計方向に回転したときに、可変緩衝容積220が減少するように、移動可能なチェック弁組み立て品206に隣接している。該チェック弁の外側の受け入れ部分212は、容積調整に対する回転の数の関係をユーザに示す表記をその上に有していてもよい。あるいは、内部通路204内に配置され、移動可能なチェック弁の位置を繰り返し調整してから定位置に固定できるようにする保持手段によって、移動可能なチェック弁が通路204内を摺動してもよい。
【0043】
圧力調整器200の弁胴体202は、弁胴体202の第1の部分224に対して直角の第2の部分222をさらに有している。第2の部分222は、可変容量220に流体連通する内部の不変のデッド容積230を有している。内部の不変のデッド容積230に出口240が隣接している。出口240はポンプチューブ出口42bに接続されている。第2の部分222はタイヤ12に、通常はサイドウォール30に取り付けられており、ポンプチューブ出口42bに接続されている。弁胴体202の第1の部分224はサイドウォール30を通してタイヤキャビティ40内に取り付けられている。
【0044】
ここで、ポンプ装置と出口装置200の動作を説明する。図2に示しているように、回転方向88にタイヤ12が回転すると、フットプリント100が地面98に対して形成される。圧縮力104がフットプリント100からタイヤ12内に向けられ、ポンプ42の一区分110を平坦にするように作用する。ポンプ42の一区分110が平坦になることで、平坦になった区分110と出口装置200との間に位置している空気の一部が、矢印84で示している方向にて出口装置200に向けられる。それから、該空気の一部は出口装置200を通して調整される。出口装置200の入口位置の圧力が非常に高い場合、流体圧力がばね210の圧力(開弁圧)に打ち勝って、該装置の内部のチェック弁を開く。したがって、ポンプ出口(ポンプチューブ端部42b)からの流体は出口装置200内に流入し、チェック弁組み立て品206の穴を通してタイヤキャビティ40内に流入する。
【0045】
該ポンプ出口(ポンプチューブ端部42b)の圧力がタイヤ圧力未満の場合、ボール208は狭い部分214に係合し、いずれの方向からの流れも遮断する。ボール208によるチェック弁が閉じたときには、ポンプチューブ端部42bからタイヤキャビティ40へ通じている流れを遮断し、タイヤキャビティ40からポンプチューブ42内への逆流も防止する。該チェック弁が閉じると、ポンプチューブ42内の空気を圧縮する。ポンプチューブ42からの空気は出口装置200内に進入し、緩衝容積チャンバ220,230を満たす。出口装置200の入口圧力が開弁圧を超えると、該チェック弁は開き、ポンプチューブからの空気でタイヤキャビティ40を満たせるようにする。該チェック弁は、入口圧力Pが開弁圧未満に低下すると閉じることになる。該チェック弁の開閉のサイクルによって、タイヤ12が特定の距離を回転すると、タイヤキャビティ40を充填することができる。最大タイヤキャビティは、ポンプチューブ容積と該出口装置の緩衝容積とに基づいて達成されることになる。その緩衝容積は、調整可能なチェック弁206を弁胴体202に対して回転することによって調整されてもよい。緩衝容積を増加させると、タイヤの最終圧力が減少するのに対して、緩衝容積を減少させると、タイヤの最終圧力が増加する。調整可能な緩衝容積を有することによって、タイヤキャビティ40の最大装置圧力を規定のタイヤに対して調整できるという利点がある。
【0046】
以下の表は、同じ38Lの内部タイヤ容積と1.8Bar(0.18MPa)の初期タイヤ圧力とを有している代表的な複数のタイヤを示している。代表的な複数のポンプは全て円周方向の長さが180度である。例1と2は、ポンプサイズが2×1であって、ポンプ容積が1036mmである。例1については、緩衝容積は459mmになるように選択されており、所望の最終タイヤ圧力2.2barとなる。その最終タイヤ圧力を達成するには241kmの距離が必要である。緩衝容積が351mmに減少すると、全ての他の変動値が同じならば、最終タイヤ圧力は、例1の2.2barに対して、2.9bar(例2)となる。2.9barといったより高い最終タイヤ圧力を達成するには、490kmといったより長い距離が必要になるであろう。
【0047】
例3と4とは、700mmといったより小さいポンプ容積になる、より小さいチューブサイズを示している。310mm(例3)の緩衝容積では、最終タイヤ圧力が2.2barになり、その最終タイヤ圧力を達成するのに必要な距離は355kmになる。例4は、237mmといったより小さい緩衝容積以外は、例3の全ての特性を示しており、727kmを達成するのに必要な2.9barという、より高い最終タイヤ圧力となる。
【0048】
例5〜8は例1〜4と同じ特性を有しており、例5は例1等と対応しており、弁開圧は例1〜4と比較して例5〜8はより高い。例5〜8では、例1〜4と同じ最終タイヤ圧力を達成するには、わずかに小さい緩衝容積が必要である。また、開弁圧がより高いと、その最終的なタイヤ圧力となるためにポンプとタイヤの走行に必要な距離が大幅に短くなる。ポンプ容積やキャビティ容積を変える場合は、ポンプ容積に対する緩衝容積の容積比を、新しい緩衝容積を求めるために使用してもよい。緩衝容積は、ねじ66を回転させることによって調整してもよい。ねじ66の回転数(たとえば5回転)によって、ねじピッチが75mmの場合、距離が4mmになる。
【0049】
【表1】

【0050】
タイヤに埋め込まれているぜん動ポンプによって送られる最大空気圧は、ポンプチューブの適正な容積と緩衝容積とを設定することによって固定することができる。ポンプチューブ容積は、チューブの断面とチューブの長さとを使った設計によって設定できる。緩衝容積も、設計によって設定できるが、専用の装置によって、または弁の前の適切な複数の部品を交換することによって容易に手動で変更することもできる。これは、長さの異なる一式のチューブ、または弁の前に挿入される一式の小タンクのいずれかを使用して実装することができる。
【0051】
本発明の変形例が本明細書に示している説明の観点から可能である。対象としている発明を説明する目的で、特定の代表的な実施形態と詳細とを示しているが、当業者には対象としている発明の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更と修正が可能であることが明らかになるであろう。そのため、当然のことながら、添付の特許請求の範囲で定めている本発明の意図した完全な範囲において、説明している特定の実施形態の変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 タイヤ組み立て品
12 タイヤ
14 ぜん動ポンプ組み立て品
16 タイヤリム
18 リム取り付け面
20 外側のリムフランジ
22 外側のリム面
26 リムフランジ面
30 サイドウォール
34 ビード領域
38 タイヤトレッド領域
40 タイヤキャビティ
42 ポンプチューブ
42a ポンプチューブの第1の端部
42b ポンプチューブの第2の端部
44 タイヤ通路
46 入口装置
50 出口装置(圧力調整装置)
52、202 弁胴体
53 第1の端部
54 弁通路、ばね圧力
56 第2の端部
57 外側のねじ付き部分
58 拡張している部分
60 狭い部分
62、208 ボール
64、210 ばね
66 ねじ
70 第1のねじ付きの端部
72 調整可能な筐体
74 内部のキャビティ
76 第2のねじ付きの端部
80 エルボ継ぎ手
82 エルボ継ぎ手の第1の端部
84 エルボ継ぎ手の第2の端部、空気の向き
86 つば付き継ぎ手
88 回転方向
98 地面
100 フットプリント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リムに取り付けられたタイヤであって、タイヤキャビティと、第1と第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域までそれぞれ延びている第1と第2のサイドウォールと、を有する前記タイヤと、
前記タイヤに接続されているエアチューブであって、タイヤフットプリントの近くの一部のエアチューブ区分が該エアチューブを実質的に開閉できるように動作する柔軟な材料で構成されている前記エアチューブと、
前記エアチューブの一端に接続され、前記タイヤサイドウォールに取り付けられたエルボ継ぎ手を含む調整装置であって、該エルボ継ぎ手が、前記エアチューブの一端に接続する第1の端部と、調整可能な筐体の第1の端部に接続する第2の端部とを有している、前記調整装置と、を備え、
前記調整可能な筐体は移動可能な壁によって定められている緩衝室を内部に有し、前記移動可能な壁は弁胴体に接続されており、前記弁胴体は前記調整可能な筐体内に受け入れられるねじ付きの外側面を有することを特徴とする、自己膨脹タイヤ組み立て品。
【請求項2】
前記緩衝室の容積は調整可能である、請求項1に記載の自己膨脹タイヤ組み立て品。
【請求項3】
前記緩衝室は調整可能な外側壁を有している、請求項1に記載の自己膨脹タイヤ組み立て品。
【請求項4】
前記緩衝室は、室内に取り付けられたねじ付きの締結部品によって形成されている空洞内に形成されている、請求項1に記載の自己膨脹タイヤ組み立て品。
【請求項5】
前記調整装置は前記タイヤキャビティ内に取り付けられている、請求項1に記載の自己膨脹タイヤ組み立て品。
【請求項6】
前記調整装置は前記タイヤのトレッド内に取り付けられている、請求項1に記載の自己膨脹タイヤ組み立て品。
【請求項7】
前記エアチューブは、前方へのタイヤ回転方向または後方へのタイヤ回転方向のいずれかに該タイヤの空気通路に沿って空気を吸い出すように、前記タイヤのフットプリントによって順次平坦にされる、請求項1に記載の自己膨脹タイヤ組み立て品。
【請求項8】
前記エアチューブのポンプ入口と前記調整装置は実質的に180度離れて環状の前記エアチューブに取り付けられている、請求項1に記載の自己膨脹タイヤ組み立て品。
【請求項9】
前記エアチューブのポンプ入口と前記調整装置は実質的に360度離れて環状の前記エアチューブに取り付けられている、請求項1に記載の自己膨脹タイヤ組み立て品。
【請求項10】
前記エアチューブの横断面形状は楕円形である、請求項1に記載の自己膨脹タイヤ組み立て品。
【請求項11】
リムに取り付けられたタイヤであって、タイヤキャビティと、第1と第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域までそれぞれ延びている第1と第2のサイドウォールと、を有する前記タイヤと、
前記タイヤに接続されているエアチューブであって、タイヤフットプリントの近くの一部のエアチューブ区分が該エアチューブを実質的に開閉できるように動作する柔軟な材料で構成されている前記エアチューブと、
前記エアチューブの一端に接続され、前記タイヤサイドウォールに取り付けられた調整装置胴体を含む調整装置であって、該調整装置胴体が、前記タイヤキャビティ内に配置され、前記タイヤキャビティに流体連通する内部通路を有する第1の端部を有している、前記調整装置と、を備え、
前記調整装置は、前記エアチューブの一端に接続する内部のポンプ通路を有する第2の端部と、前記内部通路と前記内部のポンプ通路とに流体連通するチェック弁と、を有し、
前記調整装置は、前記第2の端部と前記チェック弁との間に配置され、緩衝室と流体連通するチャネルをさらに有することを特徴とする、自己膨脹タイヤ組み立て品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【公開番号】特開2013−100085(P2013−100085A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−244725(P2012−244725)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【出願人】(590002976)ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー (256)
【氏名又は名称原語表記】THE GOODYEAR TIRE & RUBBER COMPANY
【住所又は居所原語表記】1144 East Market Street,Akron,Ohio 44316−0001,U.S.A.