説明

自己触媒性ポリオール

【課題】複数の第3級アミン基を有するポリオール化合物を用いた高分子ポリオール組成物及び、これらの組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】下式(n=0〜10)で代表される、


アミンと種々のエポキシド、グリシジルエーテル化合物から成る高分子ポリオール組成物を含有するポリオール配合物、ならびにこれらの高分子ポリオール組成物を用いたポリウレタンゲルおよびポリオウレタンフォームの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、高分子ポリオール組成物及びこのような組成物の製造方法に関する。さらに、本発明は、これらの高分子ポリオール組成物を含有するポリオール配合物、及びこのような高分子ポリオール組成物を用いたポリウレタンゲル及びフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリオールは、ポリイソシアネート及び触媒及び/又は他の添加剤とともに用いて、各種の商業用途のためのポリウレタン及びポリウレタンフォームを形成することができる。多くの場合、アミン系触媒がポリウレタンフォームの製造において用いられる。このアミン成分の揮発性を制限するか又はポリウレタン配合物中でのその使用量を少なくすることが有利な場合がある。揮発性有機化合物(VOC)の低減に加えて、アミンの揮発性を下げるか又はアミンの使用レベルを減らすことで、作業者の曝露を低減し、安全性を改善し、そして品質の懸念に対処することができる。
【0003】
第3級アミン基を有する化合物は、ウレタン反応のための有用な触媒であることが知られている。自己触媒性ポリオールなどの一部のポリオールは、ポリウレタン用配合物において典型的な第3級アミン触媒に対する必要性を低減するか又は排除することができる第3級アミン基を含有する。ウレタン反応系の反応性は、低レベルの第3級アミン触媒で維持することができる。さらに、自己触媒性ポリオール化合物中に複数の第3級アミン基が存在すると、例えば、当該化合物がポリウレタンゲル又はフォームの架橋反応の際に化学的に結合することが可能となる。得られる製品は、揮発性アミンの放出物を実質的になくすことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、ウレタン用途に関し、用いられる第3級アミン触媒の量及び揮発性アミンの放出物の両方を低減するか又はなくすために、複数の第3級アミン基を有するポリオール化合物又は組成物を製造することが望ましい。したがって、本発明の高分子ポリオール組成物はこれらの目的に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリオール化合物を含む高分子ポリオール組成物及びこのような組成物の製造方法を開示する。これらの高分子ポリオール組成物は、約400〜約20,000の重量平均分子量(Mw)を一般に有する。このような高分子ポリオール組成物は、ポリウレタンゲル及びフォームの用途において自己触媒性ポリオールとして機能することができる。
【0006】
本発明による高分子ポリオール組成物は、
(a)以下の式、即ち、
【化1】

を有するアミン化合物を含み、式中、
各RAが独立してC1〜C6の直鎖又は分枝のアルキルであり、
各RBが独立してC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
各Xが独立して水素原子又はRC−NH2であり、
CがC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
nが0〜10の整数であり、
約250〜約1500の数平均分子量(Mn)を有する、高分子アミン組成物と、
(b)以下の式、即ち、
【化2】

を有し、式中、RYが水素、フェニル、シクロヘキシル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのエポキシド化合物、以下の式、即ち、
【化3】

を有し、式中、RZが水素、フェニル、C1〜C6の直鎖又は分枝のアルキル置換フェニル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、又はそれらの組み合わせと
の反応生成物を含む。
【0007】
本発明の別の態様では、ポリオール配合物は、
(i)高分子ポリオール組成物と、
(ii)少なくとも1つのポリエーテルポリオール、少なくとも1つのポリエステルポリオール、少なくとも1つのポリマーポリオール、又はそれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの第2のポリオールと
の接触生成物を含む。
【0008】
なお、別の態様では、本発明は、
(i)少なくとも1つのポリイソシアネートと、
(ii)高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物と
の接触生成物を含む組成物を提供する。
【0009】
この態様では、組成物は、少なくとも1つのウレタン触媒及び/又は少なくとも1つの添加剤をさらに含むことができる。ポリオール配合物は、高分子ポリオール組成物に加えて少なくとも1つの第2のポリオールをさらに含むことができる。少なくとも1つの第2のポリオールは、少なくとも1つのポリエーテルポリオール、少なくとも1つのポリエステルポリオール、少なくとも1つのポリマーポリオール、又はそれらの任意の組み合わせであることができる。
【0010】
本発明はまたポリウレタンの製造方法を開示する。このような方法は、少なくとも1つのポリイソシアネートを、ポリウレタンを製造するのに十分な条件下において、触媒的に有効な量の触媒組成物の存在下で高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物と接触させることを含む。加えて、ポリオール配合物は、少なくとも1つの第2のポリオールをさらに含むことができる。
【0011】
別の態様では、ポリウレタンフォームは、少なくとも1つのポリイソシアネートを、ポリウレタンフォームを製造するのに十分な条件下において、少なくとも1つの発泡剤及び触媒的に有効な量の触媒組成物の存在下で高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物と接触させることにより製造することができる。
【0012】
ポリウレタンフォームを調製するためのさらなる方法は、本発明の別の態様において開示される。この方法は、
(a)予備混合物であって、
(i)高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物、
(ii)約0.5〜約50pphpの発泡剤、
(iii)0〜約20pphpの水、
(iv)約0.05〜約10pphpの架橋剤、
(v)約0.5〜約10pphpのシリコン界面活性剤、
(vi)0〜約50pphpの難燃剤、
(vii)0〜約20pphpのゲル化触媒若しくは発泡触媒又はそれらの組み合わせ
を含む予備混合物を形成する工程、並びに
(b)該予備混合物を約40〜約800のイソシアネートインデックスにおいて少なくとも1つのポリイソシアネートと接触させる工程
を含む。ポリオール配合物の100重量部当たりの重量部はpphpと略記される。
【0013】
本発明の組成物は、ポリウレタンゲル及びフォームの用途において有用な複数の第3級アミン基を有する。一部の態様では、本発明は、揮発性アミン及び/又はアミン臭の実質的にないポリウレタンフォームを提供する。
【0014】
[定義]
以下の定義及び略語は、本発明の詳細な説明を理解する上で当業者を助けるために与えられる。その参照により本明細書に含まれる任意の文献において与えられる任意の定義又は用法が本明細書で与えられる定義又は用法と矛盾する限りにおいて、本明細書で与えられる定義又は用法が優先する。
AHEW:アミン水素当量
EO:エチレンオキシド
EW:ポリオールのヒドロキシル当量
イソシアネートインデックス:実際のポリイソシアネート使用量を反応混合物中の全活性水素と反応するのに必要とされるポリイソシアネートの理論的に必要な化学量論量で割って100掛けたもの。(NCO当量/活性水素当量)×100としても知られる。
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
Mn:数平均分子量
Mw:重量平均分子量
PO:プロピレンオキシド
pphp:ポリオール配合物の100重量部当たりの重量部
PUR:ポリウレタン
TDI:トルエンジイソシアネート
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[高分子ポリオール組成物]
本発明は、ポリオール化合物を含む高分子ポリオール組成物、及びこのような組成物の製造方法を開示する。これらの高分子ポリオール組成物は、多くの場合、約400〜約20,000の重量平均分子量(Mw)を有する。本発明による高分子ポリオール組成物は、
(a)以下の式、即ち、
【化4】

を有するアミン化合物を含み、式中、
各RAが独立してC1〜C6の直鎖又は分枝のアルキルであり、
各RBが独立してC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
各Xが独立して水素原子又はRC−NH2であり、
CがC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
nが0〜10の整数であり、
約250〜約1500の数平均分子量(Mn)を有する、高分子アミン組成物と、
(b)以下の式、即ち、
【化5】

を有し、式中、RYが水素、フェニル、シクロヘキシル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのエポキシド化合物、以下の式、即ち、
【化6】

を有し、式中、RZが水素、フェニル、C1〜C6の直鎖又は分枝のアルキル置換フェニル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、又はそれらの組み合わせと
の反応生成物を含む。
【0016】
本発明の高分子ポリオール組成物は、約400〜約20,000のMwを一般に有する。別の態様では、高分子ポリオール組成物は、約500〜約15,000、約600〜約10,000、約700〜約8,000、又は約800〜約6,000のMwを有する。さらに別の態様では、高分子ポリオール組成物のMwは、約900〜約5,500又は約1,000〜約5,000である。さらなる態様では、高分子ポリオール組成物のMwは約1,500〜約4,500である。
【0017】
本開示によるMwデータ及び以下の例において提供されるデータは、マトリクス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)又はゲル透過クロマトグラフィーにより測定することができる。ここで留意すべきは、高分子組成物のMwの測定は、例えば、式(I)中の整数nがゼロに等しい場合も包含する。
【0018】
本発明の1つの態様によれば、高分子ポリオール組成物は、約5〜約600mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。本発明の他の態様では、高分子ポリオール組成物は、約10〜約550、約15〜約500、又は約20〜約450のヒドロキシル価を有する。なお、別の態様では、高分子ポリオール組成物のヒドロキシル価は約30〜約400である。
【0019】
本発明の別の態様では、高分子ポリオール組成物は約75〜約12,000のヒドロキシル当量(EW)を有することができる。あるいはまた、高分子ポリオール組成物は、約100〜約10,000、約125〜約6,000、又は約150〜約4,000のEWを有する。異なる態様では、高分子ポリオール組成物のEWは約200〜約2,000である。
【0020】
本発明の高分子ポリオール組成物はまた、アミン価によって特徴付けることができる。例えば、本明細書で開示される高分子ポリオール組成物のアミン価は、典型的には約10〜約800mgKOH/gである。本発明の一部の態様では、アミン価は、約25〜約700、例えば、約50〜約600又は約75〜約500などの範囲内にある。
【0021】
式(I)において「アルカンジイル」部分としてRBとRCの両方を記載することで、出願人は、それぞれのジイル部分に関して化学原子価の規則に適合させるのに必要とされる水素原子数とともに、それぞれの部分の炭素原子数を定めている。例えば、式(I)において、RBが2つの他の基に結合されるという事実は、アルカンジイル部分のこの記載と一致している。
【0022】
別段の記載がない限り、本明細書に記載されるアルカンジイル基は、所与の部分の直鎖又は分枝のすべての構造異性体を包含するよう意図され、例えば、すべての光学異性体及びすべてのジアステレオマーがこの定義内に包含される。例として、別段の記載がない限り、プロパンジイルという用語は、1,1−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル、1,3−プロパンジイル、及び2,2−プロパンジイルを包含するものである。同様に、ブタンジイルは、ブタンのすべての立体及び位置ジイル異性体、例えば、n−ブタン−1,1−ジイル、n−ブタン−1,2−ジイル、n−ブタン−1,3−ジイル、n−ブタン−1,4−ジイル、n−ブタン−2,3−ジイル、2−メチルプロパン−1,1−ジイル、及び2−メチルプロパン−1,3−ジイルなどを包含するものである。
【0023】
式(I)中の各RAが独立してC1〜C6の直鎖又は分枝のアルキルであることは本発明の範囲内である。即ち、各RAは、すべての構造異性体を含めて、独立してメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルであることができる。別の態様では、各RAは独立してC1〜C4の直鎖又は分枝のアルキルである。例えば、RAは、本発明の一部の態様において、メチル、エチル及びプロピル(即ち、n−プロピル及びイソプロピル)から独立して選択することができる。
【0024】
各RBは、独立してC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイル、例えば、C3〜C4の直鎖又は分枝のアルカンジイルなどである。本発明の1つの態様では、RBはC3の直鎖アルカンジイル基(即ち、1,3−プロパンジイル)であることができる。
【0025】
式(I)において、各Xは独立して水素原子又はRC−NH2である。XがRC−NH2である場合には、RCはC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであることができる。あるいはまた、RCは、本発明の別の態様では、C3〜C4の直鎖又は分枝のアルカンジイルである。なお別の態様では、RCはC3の直鎖アルカンジイル(即ち、1,3−プロパンジイル基)である。
【0026】
例えば、本発明の1つの態様によれば、高分子アミン組成物は、各RAがメチル基であり、各RBがC3の直鎖アルカンジイル(即ち、1,3−プロパンジイル)であり、各XがRC−NH2(式中、RCがC3の直鎖アルカンジイル(即ち、1,3−プロパンジイル)である)である式(I)を有するアミン化合物を含む。
【0027】
本明細書で開示される高分子ポリオール組成物及び高分子アミン組成物は、それらが少なくとも1つの反復単位を含むことを示すポリマーとして記載される。出願人の「ポリマー」という用語の使用は、低分子量のポリマー又はオリゴマーを含むすべての分子量のポリマーを包含するものである。ポリマーとオリゴマーの間の分子量において業界が認めている境界が存在しないので、出願人は、本開示を通してポリマーという用語を使用し、ポリマーという用語がオリゴマーも包含するよう意図することを選択した。
【0028】
本発明の組成物は高分子であるため、それらは異なる数の反復単位を有する異なるサイズの分子の混合物を必然的に含む。さらに、アミン化合物を含む高分子アミン組成物に関しては、以下の式、即ち、
【化7】

を有し、式中、RA、RB及びXは上記のとおりであり、整数nはゼロであることができる。
【0029】
例えば、式(I)の括弧内の部分は、所定の分子又は化合物における反復単位を示し、整数「n」がその分子又は化合物における反復単位の数を表す。本明細書で開示される高分子アミン組成物は高分子であるため、それは、必然的に、種々のサイズ、即ち、種々のn値の分子又は化合物の混合物によって表される。整数nが0〜50以上まで変化することは本発明の範囲内である。異なる態様では、nは0〜40、0〜30又は0〜20である。本発明の別の態様によれば、nは0〜10である。本発明の異なる態様では、nは1〜50、1〜40、1〜30又は1〜20であることができる。さらに、nは本発明の1つの態様では1〜10であることができる。nが高分子組成物内の単一分子又は化合物に関する反復単位の数を規定する整数を表し、この高分子組成物がn値の分布、分子サイズの分布及び分子量の分布を有することが理解される。式(I)中のnの平均値は、2008年8月14日に公開された米国特許出願公開第2008−0194776号明細書、及び2007年4月26日に出願された米国特許出願第11/740,307号明細書に開示されている各数平均分子量(Mn)から容易に決定することができ、両文献はその参照により全体として本明細書に含まれる。nの平均値を決定することは、それぞれの分子量の分布に応じて、必ずしも整数をもたらすものではないであろう。
【0030】
高分子アミン組成物の数平均分子量(Mn)は、一般に約200〜約2500である。本発明の一部の態様では、高分子アミン組成物のMnは約250〜約1500である。本発明の他の態様では、高分子アミン組成物のMnは、約275〜約1000、例えば、約300〜約800であることができる。
【0031】
本発明の高分子ポリオール組成物は、それらが少なくとも1つのヒドロキシル部分を含むことを示すポリオールとして記載される。出願人は、本開示を通して「ポリオール」という用語を使用し、「ポリオール」という用語が「ジオール」も包含するよう意図することを選択した。本発明の高分子ポリオール組成物は、幾つかのポリウレタンゲル及びフォームの用途において自己触媒性ポリオールとして機能することができる。
【0032】
本発明の高分子ポリオール組成物は、式(I)を有するアミン化合物を含む高分子アミン組成物と、以下の式、即ち、
【化8】

を有する少なくとも1つのエポキシド化合物、以下の式、即ち、
【化9】

を有する少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、又はそれらの組み合わせとの反応生成物を含む。
【0033】
式(II)において、RYは水素、フェニル、シクロヘキシル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルであることができる。本発明の1つの態様によれば、RYはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル又はオクタデシルである。別の態様にでは、RYは水素、フェニル又はシクロヘキシルであることができる。なお別の態様では、RYは水素、メチル又はフェニルである。RYが水素、メチル又はフェニルであるこの態様では、式(II)のエポキシド化合物は、それぞれエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はスチレンオキシドである。
【0034】
式(III)中のRZは、水素、フェニル、C1〜C6の直鎖又は分枝のアルキル置換フェニル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルであることができる。例えば、本発明の1つの態様では、RZは水素、フェニル又はC1〜C6の直鎖又は分枝のアルキル置換フェニルであることができる。本発明の別の態様では、RZはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル又はオクタデシルである。なお、本発明のさらに別の態様では、RZはフェニル又はブチル置換フェニルであることができる。
【0035】
本発明によれば、これらの高分子ポリオール組成物の製造方法が開示される。高分子ポリオール組成物の合成に有用な高分子アミン組成物の出発物質の製造方法は、2008年8月14日に公開された米国特許出願公開第2008−0194776号明細書、及び2007年4月26日に出願された米国特許出願第11/740,307号明細書に開示されており、両文献はその参照により全体として本明細書に含まれる。このような方法の1つは、
A.第1の第1級アミンをα,β−不飽和ケトン、アルデヒド又は第1のニトリルと組み合わせて中間体のケトン、アルデヒド又は第1のニトリルを形成する工程、
B.中間体のケトン、アルデヒド又は第1のニトリルを、水素の存在下で、第1の第1級アミンと同じか又は異なることができる第2の第1級アミンを含有する第1の液相に導入して第2級ジアミンポリマーを形成する工程、
C.第2級ジアミンポリマーを第1のニトリルと同じか又は異なることができるα,β−不飽和の第2のニトリルと組み合わせてビス−シアノエチル化化合物を形成する工程、及び
D.ビス−シアノエチル化化合物を水素の存在下で第2の液相に導入して高分子アミン組成物を形成する工程
を含む。
【0036】
この方法は、式(I)を有するアミン化合物を含み、
各RAが独立してC1〜C6の直鎖又は分枝のアルキルであり、
各RBが独立してC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
各Xが独立して水素原子又はRC−NH2であり、
CがC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
nが0〜10の整数であり、
約250〜約1500の数平均分子量(Mn)を有する、高分子アミン組成物をもたらすことができる。
【0037】
アミン化合物又は高分子アミン組成物から高分子ポリオール組成物を製造するための一般的な手順は以下のとおりである。まず、アミンを少なくとも1つのエポキシド化合物、少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物又はそれらの組み合わせと反応させる。説明のために、この合成は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドに関して一般的に記載されるが、本発明の範囲はこれらのエポキシド化合物のみに限定されない。アミン化合物又は組成物を通常40℃〜120℃の温度でエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応させる。必要とされるオキシドの量は、典型的にはアミン化合物又は組成物中の活性水素の化学量論量に基づいている。各オキシドの添加が完了すると、反応混合物はすべてのオキシドが反応するまで約2時間にわたって40〜120℃に保持することができる。
【0038】
この反応において得られたポリオール開始剤は、次いで触媒と混合され、続いてこの混合物は約100℃〜約160℃の温度でエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応する。この反応で用いられ、そして当業者に公知の従来の触媒はKOHである。Ba(バリウム)又はSr(ストロンチウム)に基づいた他のアルカリ水酸化物又は水酸化物水和物の触媒は、アルコキシル化触媒として用いることができ、従来のKOH触媒を用いて製造されるものよりも少ない不飽和を有する製品を製造する。Ba又はSr触媒を用いたポリオールの製造プロセスは、米国特許第5,070,125号明細書、同第5,010,187号明細書、及び同第5,114,619号明細書に記載されており、これらの開示はその参照により全体として本明細書に含まれる。とりわけ高当量のポリオールでの高レベルの不飽和は、ポリウレタンフォームの製造において連鎖停止剤として作用し、例えば、不十分な圧縮強度、不十分な引張強度、低い反応性、及び高湿度条件下での低い老化性能を有するフォームを生じさせる。Ba及びSr触媒はまた、用いられるエチレンオキシドの同じ質量%に対して改善された第1級ヒドロキシルキャッピング効率を提供する。Ba又はSr触媒を用いる場合、水は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと開始剤の反応の間に添加することができる。この水の添加は、最終ポリオール製品中の不飽和の量を低減することができる。ポリオールを製造するのに使用できる別の触媒は複合金属シアン化物触媒であり、それはKOHを用いて達成されるものとは異なる高分子ポリオール組成物の分子量分布を提供することができる。複合金属シアン化物触媒の例は、米国特許第5,470,813号明細書、同第5,589,431号明細書、及び同第6,008,263号明細書に与えられており、これらの開示はその参照により全体として本明細書に含まれる。
【0039】
反応体としてプロピレンオキシドを用いた1つの態様では、(水中に)ポリオール開始剤と触媒を含有する反応混合物は約100℃〜約160℃の温度に加熱され、圧力は反応混合物から水を除去するが他の物質を揮発させないよう減圧される。水は水酸化物触媒がもはや溶解しない点まで除去される。約100℃の温度で、プロピレンオキシドは、反応器内の圧力を30〜60psigの範囲に保持するのに十分な流量で反応器に供給される。添加されるプロピレンオキシドの添加速度及び量は、所望のポリオールのタイプに応じて決まる。加えて、必要に応じて、生成物は、次いで、続けて同じ温度及び圧力でエチレンオキシドによりキャップされ、第1級ヒドロキシル基を含有するポリオールを得ることができる。アミン化合物からのポリオールの合成に関する一般的な反応スキームは、一般式R−NH2(式中、Rが一部の態様において活性水素原子を含有する基であることができる)を有する化合物について以下に示される。KOH触媒とプロピレンオキシド反応体が示され、y1及びy2は独立して1〜60の整数である。
【化10】

【0040】
ポリオールを形成した後、残留アルカリ触媒の中和が必要とされ、続いて、必要であれば、得られた塩が濾過される。不十分な中和によって、PURフォームの製造において望ましくない問題、例えば、ポリウレタンのむらのある発泡速度及び発泡量並びに色の悪さが生じる場合がある。1つの従来の中和剤は塩酸である。中和用の塩酸に代わるものは、その参照により全体として本明細書に含まれる米国特許第4,877,879号明細書に記載されている過剰のギ酸の使用である。過剰のギ酸は、必要に応じて、高温で二酸化炭素と水素に分解することができる。
【0041】
ポリオールを製造するのに用いられるアルカリ触媒がKOHであり、中和がギ酸による場合、得られるギ酸カリウム塩は、一般にポリオール混合物中に可溶である。水酸化バリウム又は水酸化ストロンチウムが用いられる場合には、濾過が塩を除去するのに必要な場合がある。
【0042】
揮発性物質の除去は、用いられる合成法、触媒タイプ、初期水含量、ポリオール異性化の程度などに応じて必要な場合がある。減圧蒸留は、高分子ポリオール組成物から低沸点又は揮発性物質を除去するのに使用することができる。それらの開示がその参照により本明細書に含まれる米国特許第5,476,969号明細書、同第5,589,431号明細書、及び国際公開第2004/060956号パンフレットに記載されているプロセスを含め、アミンからポリオールを形成する他の方法は当業者に公知である。
【0043】
出願人は、本発明において幾つかのタイプの範囲を開示する。これらには、原子数の範囲、整数の範囲、分子量の範囲、当量の範囲、ヒドロキシル価の範囲、及び温度の範囲が挙げられるがそれらに限定されない。出願人が何らかのタイプの範囲を開示又は特許請求する場合、出願人の意図は、このような範囲が、範囲の端点並びにその中に包含される任意の下位範囲及び下位範囲の組み合わせを含め、合理的に包含することができるそれぞれの可能性のある数値を個々に開示又は特許請求することである。例えば、出願人が特定の数の炭素原子を有する化学部分を開示又は特許請求する場合、出願人の意図は、本明細書における開示内容と一致した、このような範囲が包含し得るすべての可能性のある数値を個々に開示又は特許請求することである。例えば、「RY」が、本明細書において用いられるように、C1〜C18の直鎖又は分枝のアルキル基であることができるか、又は別の表現で1〜18個の炭素原子を有することができるという開示は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18個の炭素原子を有する直鎖又は分枝のアルキル基、並びにこれらの2つの数の間の任意の範囲(例えば、C1〜C6のアルキル)から独立して選択することができるとともに、これらの2つの数の間の任意の範囲の組み合わせ(例えば、C3〜C6及びC8〜C12のアルキル基)を含む「RY」基を指すものである。
【0044】
同様に、別の代表的な例が高分子ポリオール組成物の重量平均分子量(Mw)について従う。高分子ポリオール組成物が約400〜約20,000のMwを有するという開示により、出願人は、Mwが、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、約3000、約3100、約3200、約3300、約3400、約3500、約3600、約3700、約3800、約3900、約4000、約4100、約4200、約4300、約4400、約4500、約4600、約4700、約4800、約4900、約5000、約5100、約5200、約5300、約5400、約5500、約5600、約5700、約5800、約5900、約6000、約6100、約6200、約6300、約6400、約6500、約6600、約6700、約6800、約6900、約7000、約7100、約7200、約7300、約7400、約7500、約7600、約7700、約7800、約7900、約8000、約8100、約8200、約8300、約8400、約8500、約8600、約8700、約8800、約8900、約9000、約9100、約9200、約9300、約9400、約9500、約9600、約9700、約9800、約9900、約10,000、約10,500、約11,000、約11,500、約12,000、約12,500、約13,000、約13,500、約14,000、約14,500、約15,000、約15,500、約16,000、約16,500、約17,000、約17,500、約18,000、約18,500、約19,000、約19,500、又は約20,000から選択することができることを記載するよう意図している。加えて、Mwは約400〜約20,000の任意の範囲内にあることができる(例えば、Mwは約1000〜約5000の範囲にある)とともに、これはまた、約400〜約20,000の間の任意の範囲の組み合わせを包含する。同様に、本明細書で開示されるすべての他の範囲は、これら2つの例と同じように解釈されるべきである。
【0045】
出願人は、例えば、出願人が本出願の出願時点で気づいていないかもしれない参考文献を考慮するため、開示された全内容より何らかの理由で少なく特許請求することを選択した場合に、但し書きをつける、あるいは特定の範囲に従って又はそれに類した任意の方式で特許請求することのできる、任意の群の個別的成員(その群の範囲内にある任意の下位範囲又は下位範囲の組み合わせを含めて)を除外するという権利を留保する。さらに出願人は、例えば、出願人が本出願の出願時点で気づいていないかも知れない参考文献を考慮するため、開示された全内容より何らかの理由で少なく特許請求することを選択した場合に、但し書きをつける、あるいは任意の個別の置換基、類似体、化合物、配位子、構造、又はそれらの群、又は特許請求された群の任意の成員を除外するという権利を留保する。
【0046】
「接触生成物」という用語は、成分を任意の順序、任意の方式、及び任意の時間にわたって一緒に接触される組成物を記載するのに本明細書で用いられる。例えば、これらの成分はブレンド又は混合によって接触させることができる。さらに、任意の成分の接触は、本明細書に記載の組成物又は配合物の他の任意の成分の存在下又は不在下で行うことができる。追加の物質又は成分を組み合わせるのは、当業者に公知の任意の方法で行うことができる。さらに、「接触生成物」という用語は、混合物、配合物、溶液、スラリー、反応生成物など、又はそれらの組み合わせを包含する。「接触生成物」は反応生成物を含むことができるが、個々の成分が互いに反応することは要求されない。
【0047】
組成物及び方法は、様々な成分又は工程を「含む」という形で記載されるが、この組成物及び方法は、様々な成分又は工程「から本質的になる」又は「からなる」ということもあり得る。
【0048】
[ポリオール配合物]
ポリオール配合物は、本発明の別の態様において提供される。このような配合物は、
(i)高分子ポリオール組成物と、
(ii)少なくとも1つのポリエーテルポリオール、少なくとも1つのポリエステルポリオール、少なくとも1つのポリマーポリオール、又はそれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの第2のポリオールと
の接触生成物を含む。
【0049】
高分子ポリオール組成物は、一般に、約400〜約20,000のMwを有し、
(a)以下の式、即ち、
【化11】

を有するアミン化合物を含み、式中、
各RAが独立してC1〜C6の直鎖又は分枝のアルキルであり、
各RBが独立してC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
各Xが独立して水素原子又はRC−NH2であり、
CがC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
nが0〜10の整数であり、
約250〜約1500の数平均分子量(Mn)を有する、高分子アミン組成物と、
(b)以下の式、即ち、
【化12】

を有し、式中、RYが水素、フェニル、シクロヘキシル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのエポキシド化合物、以下の式、即ち、
【化13】

を有し、式中、RZが水素、フェニル、C1〜C6の直鎖又は分枝のアルキル置換フェニル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、又はそれらの組み合わせと
の反応生成物を含む。
【0050】
ポリオールはポリイソシアネートとともに用いて、以下に記載されるように、本発明のポリウレタン及びポリウレタンフォームを形成することができる。1つの態様では、本発明の高分子ポリオール組成物は他のポリオールの添加なしでポリイソシアネートとともに用いることができる。
【0051】
あるいはまた、ポリオール配合物を用いることができる。このような配合物は、少なくとも1つのポリエーテルポリオール、少なくとも1つのポリエステルポリオール、又は少なくとも1つのポリマーポリオール、又はそれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの第2のポリオールと、高分子ポリオール組成物との接触生成物を含む。ポリオール配合物では、高分子ポリオール組成物と少なくとも1つの第2のポリオールの質量比は、約50:1〜約1:5,000であることができる。他の態様では、ポリオール配合物における高分子ポリオール組成物と少なくとも1つの第2のポリオールの質量比は、約10:1〜約1:1,000、約5:1〜約1:500、又は約4:1〜約1:250であることができる。なお、他の態様では、高分子ポリオール組成物と少なくとも1つの第2のポリオールの質量比は、約3:1〜約1:100又は約2:1〜約1:50である。
【0052】
ポリオール配合物において使用でき、必要に応じて続いてPURフォームの形成プロセスにおいて使用できる好適な第2のポリオールとしては、ポリアルキレンエーテル及びポリエステルポリオールが挙げられる。ポリアルキレンエーテルポリオールとしては、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)ポリマーなどのポリ(アルキレンオキシド)ポリマー、並びにジオール及びトリオールを含む多価化合物から誘導される末端ヒドロキシル基を有するコポリマーが挙げられる。ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジオール、スクロースなどの糖、及び類似の低分子量ポリオール、又はそれらの組み合わせが挙げられるがそれらに限定されない。
【0053】
アミンポリエーテルポリオールを本発明において用いることができる。これらは、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、又はトリエタノールアミンなどのアミンがエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応する場合に調製することができる。
【0054】
本発明の別の態様では、単一の高分子量ポリエーテルポリオール、又は二官能性及び三官能性物質及び/又は異なる分子量の又は異なる化学組成の物質の混合物などの高分子量ポリエーテルポリオールの混合物を用いることができる。本発明のなお別の態様では、ジカルボン酸が過剰のジオールと反応する場合に製造されるものを含め、ポリエステルポリオールを用いることができる。限定的でない例としては、エチレングリコール又はブタンジオールと反応するアジピン酸又はフタル酸又は無水フタル酸が挙げられる。本発明において有用なポリオールは、ラクトンを過剰のジオールと反応させること、例えば、カプロラクトンをプロピレングリコールと反応させることにより製造することができる。さらなる態様では、活性水素含有化合物、又はポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオール、及びそれらの組み合わせなどのポリオールは本発明において有用である。
【0055】
ポリエステル及びポリエーテルポリオールに加えて、ポリマーポリオールを用いることができる。ポリマーポリオールは本発明の高分子ポリオール組成物ではない。高分子ポリオール組成物は、上述のように、式(I)を有するアミン化合物を含む高分子アミン組成物と、式(II)を有する少なくとも1つのエポキシド化合物、又は式(III)を有する少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、又はそれらの組み合わせとの反応生成物を含む。ポリマーポリオールは、例えば、ポリウレタンフォームにおいて用いて、フォームの変形に対する抵抗性を増大させることができ、即ち、フォームの耐力特性を増大させることができる。好適なポリマーポリオール(コポリマーポリオールを含む)は当業者に公知であり、それらには、グラフトポリオール、ポリウレア改質ポリオールなど、又はそれらの混合物が挙げられるがそれらに限定されない。グラフトポリオールは、スチレン及びアクリロニトリルなどのビニルモノマーがグラフト共重合されたトリオールであることができる。ポリウレア改質ポリオールは、ジアミンとTDIの反応によって形成されるポリウレア分散体を含有するポリオールであることができる。TDIは、多くの場合、過剰に用いられるので、TDIの幾らかはポリオールとポリウレアの両方と反応することが可能である。ポリウレア改質ポリオールの変形態様は、PIPAポリオールと略記され、ポリオール中でのTDIとアルカノールアミンのその場重合によって形成される。
【0056】
別の態様では、本発明の組成物又は配合物において有用な少なくとも1つの第2のポリオールは、少なくとも1つのポリエーテルポリオール、少なくとも1つのポリエステルポリオール、又は少なくとも1つのポリマーポリオール、又はそれらの任意の組み合わせである。耐力の要求事項及びフォームの特定の最終用途に応じて、ポリマーポリオールはポリオール配合物中にないことができるか、又はポリオール配合物の少なくとも1つの第2のポリオール部分の最大約100%まで含むことができる。別の態様では、ポリマーポリオールは、ポリオール配合物の第2のポリオール部分の約10〜約80wt%又は約25〜約65wt%を含むことができる。
【0057】
本発明に関して、組成物又は配合物中の物質の重量による量が記載される場合、この量は用いられるポリオールの合計量に応じて決まる。したがって、pphpはポリオール配合物100重量部当たりの重量部である。例として、ポリオール配合物が本発明の高分子ポリオール組成物を50%、そしてポリエステルポリオールを50%含む場合、配合物中の合計ポリオールは他の物質のpphpを決めるために用いられる。したがって、例えば、ポリウレタンフォーム配合物において用いられる発泡剤のpphpは、ポリオール配合物中のポリオールの合計量(高分子ポリオール組成物と他のすべてのポリオール)に応じて決まる。
【0058】
[ポリイソシアネート]
ポリウレタンゲル又はフォームの形成プロセスにおいて有用なポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体(MDI)、水和MDI及び1,5−ナフタレンジイソシアネートが挙げられるがそれらに限定されない。例えば、2,4−TDI、2,6−TDI及びそれらの混合物は、本発明において容易に用いることができる。他の好適なジイソシアネートの混合物としては、他の異性体及び類似の高次ポリイソシアネートとともに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含有する粗MDI又はPAPIとして当技術分野で公知のものが挙げられるがそれらに限定されない。本発明の別の態様では、ポリイソシアネートとポリエーテル又はポリエステルポリオールの部分的に予備反応された混合物を含むポリイソシアネートのプレポリマーが適している。なお別の態様では、ポリイソシアネートはMDIを含むか、又はMDI若しくはMDIの混合物から本質的になる。なお別の態様では、ポリイソシアネートはMDI又はTDI又はそれらの組み合わせを含む。
【0059】
本発明の組成物及びPURフォームの製造方法は、多くのタイプのフォームを製造するのに使用することができる。組成物は、例えば、それぞれが異なるイソシアネートインデックスを必要とすることができる硬質、半硬質及び軟質用途のためのフォーム製品の形成において有用である。先に定義したように、イソシアネートインデックスは、実際のポリイソシアネート使用量を反応混合物中の全活性水素と反応するのに必要とされるポリイソシアネートの理論的に必要な化学量論量で割って100掛けたものである。本発明の目的のために、イソシアネートインデックスは、以下の式、即ち、イソシアネートインデックス=(NCO当量/活性水素当量)×100により表され、式中、NCO当量はポリイソシアネート中のNCO官能基の数であり、活性水素当量は当量の活性水素原子数である。
【0060】
約40〜約800のイソシアネートインデックスで製造されるフォーム製品は本発明の範囲内である。本発明の他の態様によれば、イソシアネートインデックスは約50〜約500又は約60〜約300である。あるいはまた、約70〜約200のイソシアネートインデックスで製造されるフォーム製品は本発明の他の態様において有用である。
【0061】
[ウレタン触媒]
本発明の高分子ポリオール組成物中の複数の第3級アミン基の存在は、ポリウレタンポリマー又はフォームを配合する場合に、従来のウレタン触媒を含む必要性を低減するか又はなくすことができる。しかしながら、本発明の他の態様では、ウレタン触媒は、このような高分子ポリオール組成物とともに組成物又は配合物において用いることができる。
【0062】
一般に、ポリウレタンフォームの触媒系は、発泡(水−イソシアネート)反応とゲル化(ポリオール−イソシアネート)反応の両方を促進する化合物を含む。許容できる特性を有する品質のフォームを製造するために、これらの反応をバランスさせることが有利である。本発明の組成物及び配合物は、発泡反応とゲル化反応の両方を促進するが、バランスを保つ単一の化合物を含むことができる。あるいはまた、組成物は、主として発泡反応を促進する少なくとも1つの触媒(発泡触媒)、又は主としてゲル化反応を促進する少なくとも1つの触媒(ゲル化触媒)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。本明細書において記載されるように、発泡触媒は、主として発泡反応を促進するが、しかしまた、特定の環境下でより小さい程度ではあるがゲル化反応を促進することもできる触媒である。同様に、ゲル化触媒は、主としてゲル化反応を促進するが、しかしまた、特定の環境下でより小さい程度ではあるが発泡反応を促進することもできる触媒である。
【0063】
本明細書に記載の組成物において使用するのに適したウレタン触媒としては、金属塩触媒、有機金属化合物、アミン官能性を有する化合物、又はそれらの組み合わせが挙げられるがそれらに限定されない。限定的でない金属塩触媒及び有機金属化合物としては、有機スズ、有機ビスマス、スズ塩、ビスマス塩など、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。アミン化合物としては、例えば、ゲル化触媒、例えば、トリエチレンジアミン(TEDA)、N−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルモルホリン(DABCO(登録商標)NMM触媒として市販されている)、N−エチルモルホリン(DABCO(登録商標)NEM触媒として市販されている)、トリエチルアミン(DABCO(登録商標)TETN触媒として市販されている)、N,N’−ジメチルピペラジン、1,3,5−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン(Polycat(登録商標)41触媒として市販されている)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DABCO TMR(登録商標)30触媒として市販されている)、N−メチルジシクロヘキシルアミン(Polycat(登録商標)12触媒として市販されている)、ペンタメチルジプロピレントリアミン(Polycat(登録商標)77触媒として市販されている)、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノ)−エチル−ピペラジン、トリブチルアミン、ジメチルアミノシクロヘキシルアミン(Polycat(登録商標)8触媒として市販されている)、ペンタメチルジプロピレン−トリアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリス(3−ジメチルアミノ)プロピルアミン(Polycat(登録商標)9触媒として市販されている)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DABCO(登録商標)DBU触媒又はその酸ブロック誘導体として市販されている)など、並びにそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。安定な(non-fugitive)第3級アミン触媒としては、ゲル化触媒と発泡触媒の両方が挙げられる。代表的なゲル化触媒としては、N,N−ビス(3−ジメチルアミノ−プロピル)N−イソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルエタノールアミン(DABCO(登録商標)T触媒として市販されている)、N,N,N’−トリメチルアミノプロピルエタノールアミン(Polycat(登録商標)17触媒として市販されている)、N,N−ジメチルエタノールアミン(DABCO(登録商標)DMEA触媒として市販されている)、N,N−ジメチル−N’,N’−2−ヒドロキシ(プロピル)−1,3−プロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、メチル−ヒドロキシ−エチル−ピペラジン、ビス(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)アミン(Polycat(登録商標)15触媒として市販されている)、N,N−ジメチルアミノプロピルウレア(DABCO(登録商標)NE1060又はDABCO(登録商標)NE1070触媒として市販されている)、N−N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)ウレア(DABCO(登録商標)NE1060又はDABCO(登録商標)NE1070触媒として市販されている)、ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、N−(3−アミノプロピル)イミダゾール、N−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、N−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾールなど、又はイソシアネート反応性基を含有する他の任意のゲル化触媒が挙げられる。発泡触媒としては、ペンタメチルジエチレントリアミン(Polycat(登録商標)5触媒として市販されている)、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘプタメチルテトラエチレンペンタミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(DABCO(登録商標)BL19触媒として市販されている)など、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられるがそれらに限定されない。前述のように、これらの触媒の一部はゲル化反応と発泡反応の両方を促進することができる。
【0064】
代表的な安定な(non-fugitive)発泡触媒としては、2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノール(DABCO(登録商標)NE200触媒として市販されている)、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテル、N,N,N’−トリメチル−N’−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテル(DABCO(登録商標)NE300触媒として市販されている)など、又はイソシアネート反応性基を含有する任意の第3級アミン発泡触媒が挙げられる。
【0065】
加えて、これらの触媒の一部はまた、三量化反応、即ち、ポリイソシアヌレートを形成するためのポリイソシアネートの反応を促進することができる。要求事項ではないが、本発明の組成物は、三量化反応を促進できるカルボン酸塩などの他の触媒物質をさらに含むことができる。
【0066】
本発明に関して、触媒組成物の重量による量が記載される場合、この量は、別段の記載がない限り、すべての触媒の合計量を包含する。例として、0.8pphpのゲル化触媒と0.7pphpの発泡触媒が所与の触媒組成物において用いられる場合、全ポリウレタンフォーム触媒の量は1.5pphpである。
【0067】
[発泡剤]
単独で又は組み合わせてPURフォームの形成プロセスにおいて使用できる発泡剤としては、水、塩化メチレン、アセトン、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、及び炭化水素が挙げられるがそれらに限定されない。HFCの限定的でない例としては、HFC−245fa、HFC−134a、及びHFC−365が挙げられる。HCFCの実例としては、HCFC−141b、HCFC−22、及びHCFC−123が挙げられる。代表的な炭化水素としては、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタンなど、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0068】
用いられる発泡剤の量は、例えば、使用目的、フォーム製品の用途、所望のフォームの剛性及び密度に基づいて変更することができる。本発明のフォーム配合物及びポリウレタンフォームを調製するための方法において、発泡剤は、ポリオール配合物の100重量部当たり約0.5〜約50重量部(pphp)、約1〜約35pphp、約1.5〜約20pphp、又は約2〜約10pphpの量で存在する。水が発泡剤としての使用で又は別途に配合物中に存在する場合、水は約20pphp以下の量で存在することができる。換言すれば、水は0〜約20pphpであることができる。別の態様では、水は0〜約15pphp、0〜約12pphp、0〜約8pphp、又は0〜約4pphpであることができる。
【0069】
[種々の添加剤]
フォーム製造の際の要求事項又はフォーム製品の最終用途に関する要求事項に応じて、種々の添加剤を組成物及びPURフォーム配合物において用いて特定の性質を調整することができる。これらには、架橋剤、気泡安定剤、難燃剤、鎖延長剤、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、充填剤、顔料など、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるがそれらに限定されない。当技術分野で公知の他の混合物又は物質を組成物及びフォーム配合物中に含むことができるとともに、それらが本発明の範囲内にあることが理解される。
【0070】
好適な架橋剤としては、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなど、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるがそれらに限定されない。このような架橋剤はまた、それらの化学構造中のアミン基の存在によりウレタン触媒としても機能することができる。架橋剤は、約0.05〜約10pphp、約0.1〜約8pphp、約0.2〜約6pphp、約0.3〜約4pphp、約0.4〜約3pphp、又は約0.5〜約2pphpの量でフォーム配合物中に存在することができる。気泡安定剤としては、有機ポリシロキサンなどの界面活性剤が挙げられる。シリコン界面活性剤は、約0.5〜約10pphp、約0.6〜約9pphp、約0.7〜約8pphp、約0.8〜約7pphp、約0.9〜約6pphp、約1〜約5pphp、又は約1.1〜約4pphpの量でフォーム配合物中に存在することができる。有用な難燃剤としては、ハロゲン化有機リン化合物及び非ハロゲン化化合物が挙げられる。ハロゲン化難燃剤の限定的でない例は、リン酸トリクロロプロピル(TCPP)である。例えば、リン酸トリエチルエステル(TEP)及びDMMPは非ハロゲン化難燃剤である。最終使用のフォーム用途に応じて、難燃剤は、0〜約50pphp、0〜約40pphp、0〜約30pphp、又は0〜約20pphpの量でフォーム配合物中に存在することができる。別の態様では、難燃剤は、0〜約15pphp、0〜約10pphp、0〜約7pphp、又は0〜約5pphpで存在する。ジオール(例えば、エチレングリコール、ブタンジオール)などの鎖延長剤もまた本発明において用いることができる。
【0071】
[ポリウレタン及びポリウレタンフォーム配合物及び方法]
1つの態様では、本発明は、
(i)少なくとも1つのポリイソシアネートと、
(ii)高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物と
の接触生成物を含む組成物であって、該高分子ポリオール組成物が、
(a)以下の式、即ち、
【化14】

を有するアミン化合物を含み、式中、
各RAが独立してC1〜C6の直鎖又は分枝のアルキルであり、
各RBが独立してC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
各Xが独立して水素原子又はRC−NH2であり、
CがC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
nが0〜10の整数であり、
約250〜約1500の数平均分子量(Mn)を有する、高分子アミン組成物と、
(b)以下の式、即ち、
【化15】

を有し、式中、RYが水素、フェニル、シクロヘキシル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのエポキシド化合物、以下の式、即ち、
【化16】

を有し、式中、RZが水素、フェニル、C1〜C6の直鎖又は分枝のアルキル置換フェニル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、又はそれらの組み合わせと
の反応生成物を含む、組成物を提供する。
【0072】
この態様では、組成物は、少なくとも1つのゲル化ウレタン触媒、少なくとも1つの発泡ウレタン触媒、又はそれらの組み合わせである少なくとも1つのウレタン触媒をさらに含むことができる。この組成物はまた、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの気泡安定剤、少なくとも1つの難燃剤、少なくとも1つの鎖延長剤、少なくとも1つのエポキシ樹脂、少なくとも1つのアクリル樹脂、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つの顔料、又はそれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの添加剤をさらに含むことができる。さらに、追加のポリオールを用いることができる。高分子ポリオール組成物に加えて、ポリオール配合物は、少なくとも1つのポリエーテルポリオール、少なくとも1つのポリエステルポリオール、少なくとも1つのポリマーポリオール、又はそれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの第2のポリオールをさらに含むことができる。少なくとも1つのポリイソシアネートは、本発明のこの態様において、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0073】
本発明の別の態様によれば、ポリウレタンの製造方法が提供される。このような方法は、少なくとも1つのポリイソシアネートを、ポリウレタンを製造するのに十分な条件下において、触媒的に有効な量の触媒組成物の存在下で高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物と接触させることを含むことができる。ポリウレタンを製造するのに十分な条件は当業者であれば容易にわかるであろう。ポリオール配合物中の高分子ポリオール組成物は、式(I)を有するアミン化合物を含む高分子アミン組成物と、式(II)を有する少なくとも1つのエポキシド化合物、式(III)を有する少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、又はそれらの組み合わせとの反応生成物を含む。加えて、ポリオール配合物は、少なくとも1つのポリエーテルポリオール、少なくとも1つのポリエステルポリオール、少なくとも1つのポリマーポリオール、又はそれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの第2のポリオールをさらに含むことができる。
【0074】
本発明に有用な触媒は、イソシアネート官能基と活性水素含有化合物(例えば、アルコール、ポリオール、アミン、水)との間の反応、とりわけ、ポリウレタンを製造するためのポリオールヒドロキシル基とイソシアネートのウレタン(ゲル化)反応、及びポリウレタンフォーム製造用の二酸化炭素を放出するための水とイソシアネートの発泡反応を触媒することができる。触媒組成物は、少なくとも1つのゲル化ウレタン触媒、少なくとも1つの発泡ウレタン触媒、又はそれらの組み合わせを含むことができる。このような組成物は、触媒的に有効な量でPURゲル又はフォーム配合物中に存在する。本明細書で開示されるPUR、PURフォーム配合物及びそれらの調製方法において、触媒組成物は、多くの場合、ポリオール配合物100重量部当たり約0.01〜約20重量部(pphp)の量で存在する。別の態様では、触媒組成物は、約0.05〜約15pphp、約0.1〜約10pphp、約0.15〜約5pphp、約0.2〜約4pphp、又は約0.25〜約2pphpの量で存在する。
【0075】
さらなる態様では、ポリウレタンフォームは、ポリウレタンフォームを製造するのに十分な条件下において、少なくとも1つの発泡剤及び触媒的に有効な量の触媒組成物の存在下で、少なくとも1つのポリイソシアネートと、高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物とを接触させることにより製造することができる。ポリウレタンフォームを製造するのに十分な条件は当業者であれば容易にわかるであろう。例えば、発泡剤の活性化は特定の反応温度で起こることができるか、又は、発泡剤は、例えば、発泡剤が水を含む場合には、イソシアネートと反応することができる。
【0076】
加えて、少なくとも1つの発泡剤及び触媒的に有効な量の触媒組成物の存在下における、少なくとも1つのポリイソシアネートと、高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物との接触は、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの気泡安定剤、少なくとも1つの難燃剤、少なくとも1つの鎖延長剤、少なくとも1つのエポキシ樹脂、少なくとも1つのアクリル樹脂、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つの顔料、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤の存在下で起こることができる。
【0077】
本発明のポリウレタンフォームの製造方法によれば、調整された密度を有するPURフォームを製造することができる。例えば、約20Kg/m3〜約250Kg/m3、約24Kg/m3〜約60Kg/m3、又は約35Kg/m3〜約50Kg/m3の密度を有するPURフォームを製造することができる。本明細書で開示される方法のいずれかに従って調製されたPURフォームを含む製品を製造することができる。
【0078】
任意選択で、なお別の態様において、本発明の方法は、望ましくないアミン臭がない又は実質的にないPURフォームを製造することができる。この態様では、PURフォームを調製するための方法は、最大約80℃、最大約100℃、最大約120℃又は最大約150℃の熱安定性を有する。なおさらなる態様では、本発明の方法は、揮発性アミン及び/又はアミン臭の実質的にないPURフォームを製造する。
【0079】
本発明の方法の1つの態様によれば、PURフォーム配合物の各成分は、実質的に同時に接触される。例えば、少なくとも1つのポリイソシアネート、高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物、少なくとも1つの発泡剤、及び触媒的に有効な量の触媒組成物が一緒に接触される。ポリウレタン配合物中に含まれる成分の数を考慮すると、成分を組み合わせる多数の異なる順序が存在し、当業者は成分の添加順序を変更することが本発明の範囲内であることを理解するであろう。また、フォーム配合物の前述の成分を組み合わせる様々な順序のそれぞれについて、本発明のポリオール配合物は、少なくとも1つのポリエーテルポリオール、少なくとも1つのポリエステルポリオール、少なくとも1つのポリマーポリオール、又はそれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの第2のポリオールをさらに含むことができる。加えて、PURフォームの製造方法は、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの気泡安定剤、少なくとも1つの難燃剤、少なくとも1つの鎖延長剤、少なくとも1つのエポキシ樹脂、少なくとも1つのアクリル樹脂、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つの顔料、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤の存在をさらに含むことができる。本発明の1つの態様では、任意選択の成分を含むすべての成分が実質的に同時に接触される。
【0080】
本発明の別の態様では、まず、少なくとも1つのポリイソシアネート以外の成分の予備混合物が接触され、続いて少なくとも1つのポリイソシアネートが添加される。例えば、高分子ポリオール組成物、少なくとも1つの発泡剤、及び触媒組成物を含むポリオール配合物が最初に接触されて予備混合物を形成する。次いで、予備混合物は少なくとも1つのポリイソシアネートと接触され、本発明の方法に従ってPURフォームが製造される。本発明のさらなる態様では、予備混合物中のポリオール配合物が少なくとも1つの第2のポリオールをさらに含む場合も同じ方法を使用することができる。同様に、予備混合物は、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの気泡安定剤、少なくとも1つの難燃剤、少なくとも1つの鎖延長剤、少なくとも1つのエポキシ樹脂、少なくとも1つのアクリル樹脂、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つの顔料、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含むことができる。
【0081】
本発明のなお別の態様は、ポリウレタンフォームの調製方法を提供する。この方法は、
(a)予備混合物であって、
(i)高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物、
(ii)約0.5〜約50pphpの発泡剤、
(iii)0〜約20pphpの水、
(iv)約0.05〜約10pphpの架橋剤、
(v)約0.5〜約10pphpのシリコン界面活性剤、
(vi)0〜約50pphpの難燃剤、
(vii)0〜約20pphpのゲル化触媒若しくは発泡触媒又はそれらの組み合わせ
を含む予備混合物を形成する工程、並びに
(b)該予備混合物を約40〜約800のイソシアネートインデックスにおいて少なくとも1つのポリイソシアネートと接触させる工程
を含む(pphpはポリオール配合物の100重量部当たりの重量部である)。
【0082】
この態様では、高分子ポリオール組成物は、
(a)以下の式、即ち、
【化17】

を有するアミン化合物を含み、式中、
各RAが独立してC1〜C6の直鎖又は分枝のアルキルであり、
各RBが独立してC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
各Xが独立して水素原子又はRC−NH2であり、
CがC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
nが0〜10の整数であり、
約250〜約1500の数平均分子量(Mn)を有する、高分子アミン組成物と、
(b)以下の式、即ち、
【化18】

を有し、式中、RYが水素、フェニル、シクロヘキシル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのエポキシド化合物、以下の式、即ち、
【化19】

を有し、式中、RZが水素、フェニル、C1〜C6の直鎖又は分枝のアルキル置換フェニル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、又はそれらの組み合わせと
の反応生成物を含む。
【0083】
本明細書で開示される方法に従って調製されたPURフォームを含む製品を製造することができる。
【実施例】
【0084】
本発明は以下の例によってさらに説明されるが、これらの例は本発明の範囲を限定するものして解釈されるべきではない。それらの種々の他の態様、実施態様、変更及び同等物は、本明細書の説明を読んだ後、本発明の趣旨又は特許請求の範囲から逸脱することなく当業者にそれら自体を示唆することが可能である。
【0085】
[例1]
[初期反応体としてアクリロニトリルとメチルアミンを利用した高分子アミン組成物の合成]
合成の第1工程(上述の工程A)が以下の反応スキームによって説明される。第1の第1級アミンはメチルアミン(MMA、MeNH2)であり、α,β−不飽和ケトン、アルデヒド又は第1のニトリルはアクリロニトリルである。
【化20】

【0086】
アクリロニトリル329g(6.2モル)と水10gを、撹拌器を備えた1リットルのステンレス鋼バッチ圧力反応器に入れた。反応器を密封し、続いて窒素でパージして反応器から空気を除去した。反応器の内容物を撹拌しながら、メチルアミン232g(7.5モル)を4時間にわたって反応器に添加した。メチルアミンの添加の間、反応器の温度を55〜60℃の範囲に保持した。次いで、この温度範囲をメチルアミンの添加が完了した後も1.5時間にわたって保持した。反応器を冷却し、中間生成物HMeN(CH22CNを取り出した。
【0087】
工程Bは、メチルアミンが第2の第1級アミンである以下の反応スキームによって説明される。
【化21】

【0088】
イソプロパノール100gと5%Pd/Al23触媒5.6gを、撹拌器及び1リットルの水素バラストタンクを備えた1リットルのステンレス鋼バッチ圧力反応器に入れた。Pd/Al23触媒は、ジョンソン・マセー社から標準等級粉末として市販されている。あるいはまた、5%Pd/C触媒を5%Pd/Al23触媒の代わりに用いることができる。反応器を密閉し、続いて窒素と水素でパージして反応器から空気を除去した。反応器の内容物を撹拌しながら、無水メチルアミン100gを反応器に添加した。次いで、反応器を水素で5.5MPa(800psi)に加圧し120℃に加熱した。5時間にわたり、上記の中間生成物375gを反応器に添加した。中間生成物の添加が完了した後、実質的に一定の反応器条件を2時間保持し、このとき、バラストタンクからの水素の取り込み速度が0.0034MPa/分(約0.5psi/分)未満に落ちた。反応器を室温まで冷却し、脱圧し、反応生成物を濾過して触媒を除去した。次いで、溶媒を回転蒸発によって除去した。得られた反応生成物は、第2級ジアミンポリマー、メチルアミン末端のポリ−(N−メチルアゼチジン)であった。数平均分子量(Mn)は、2008年8月14日に公開された米国特許出願公開第2008−0194776号明細書に開示されているGC技術を用いて約194であると測定した。メチルアミン末端のポリ−(N−メチルアゼチジン)は以下の化学構造を有する。
【化22】

【0089】
例1のメチルアミン末端のポリ−(N−メチルアゼチジン)化合物をGCで分析すると、それは面積%による以下のポリマー分布を有していた。なお、「その他」は、GCで分離又は同定されないか又はMnの測定に用いられない反応副産物を表す。
【0090】
【表1】

【0091】
合成の工程C及びDは、出発物質として上で生成した第2級ジアミンポリマーを用いた以下の反応スキームによって説明される。工程Cでは、第2級ジアミンポリマーをα,β−不飽和の第2のニトリル(アクリロニトリル)と反応させてビス−シアンエチル化化合物を形成する。工程Dはビス−シアンエチル化生成物の水素化反応であり、高分子アミン組成物を形成する。
【化23】

【0092】
工程Cでは、工程Bで生成した第2級ジアミンポリマー300gと水7.5gを、撹拌器を備えた1−リットルのステンレス鋼バッチ圧力反応器に入れた。反応器を密封し、続いて窒素でパージして反応器から空気を除去した。反応器の内容物を撹拌しながら、アクリロニトリル68gを4時間にわたって反応器に添加した。アクリロニトリルの添加の間、反応器の温度を55〜60℃の範囲に保持した。次いで、この温度範囲をアクリロニトリルの添加が完了した後も1.5時間にわたって保持した。反応器を冷却し、ビス−シアンエチル化生成物を取り出した。
【0093】
工程Dは上で言及した水素化反応である。イソプロパノール125gとラネーコバルト触媒5gを、撹拌器及び1リットルの水素バラストタンクを備えた1リットルのステンレス鋼バッチ圧力反応器に入れた。ラネーコバルト触媒は、グレース(Grace)から0.5〜5%のクロム(上級)、78〜96%のコバルト及び0.5〜5%のニッケルを含有する上級品として市販されている。反応器を密閉し、続いて窒素と水素でパージして反応器から空気を除去した。次いで、反応器を水素で5.5MPa(800psi)に加圧し120℃に加熱した。4時間にわたり、工程Cのビス−シアンエチル化生成物330gを撹拌反応器に添加した。ビス−シアンエチル化生成物の添加が完了した後、実質的に一定の反応器条件を約2時間以上保持し、このとき、バラストタンクからの水素の取り込み速度が0.0034MPa/分(約0.5psi/分)未満に落ちた。反応器を室温まで冷却し、脱圧し、反応生成物を濾過して触媒を除去した。次いで、溶媒を回転蒸発によって除去した。
【0094】
得られた高分子アミン組成物は、以下の構造を有する第1級アミン化合物を含んでいた。
【化24】

【0095】
上に示される「n」の分布により、例1の高分子アミン組成物は約350のMnを有していた。AHEWは約90であった。
【0096】
[本発明の例2]
[アルコキシド触媒と例1の高分子アミン組成物を用いたポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリオールの合成]
例1の高分子アミン組成物約350g(1モル)を撹拌式オートクレーブ反応器において窒素雰囲気下で約110℃に加熱した。1時間にわたり、プロピレンオキシド232g(4モル)を反応器に添加した。高分子アミン組成物中の第1級アミン基が反応した後、(全体のバッチ質量に基づいて)約0.28%の45wt%水酸化カリウム水溶液を反応器に添加し、得られたアルコキシドを減圧下(約1mbar)約110℃で約2時間にわたり成形した。
【0097】
次いで、プロピレンオキシド約696g(12モル)を145℃で3時間にわたり実質的に一定の温度で反応器に添加した。プロピレンオキシドの添加が完了した後、反応を放置してさらに1時間、即ち、反応が完了するのに十分な時間にわたって反応を続けた。次いで、反応混合物を約1mbarの圧力下において約105℃で約15分間にわたり脱ガスし、残留プロピレンオキシドをすべて除去した。次に、撹拌式オートクレーブ反応器を窒素で充填し約2.5barの圧力とし、反応温度を約145℃に保持しながら、エチレンオキシド約352g(8モル)を約2時間にわたって反応器に添加した。エチレンオキシドの添加が完了した後、反応を放置してさらに1時間、即ち、反応が完了するのに十分な時間にわたって反応を続けた。次いで、反応混合物を、残留エチレンオキシドをすべて除去するために、約1mbarの圧力下において約145℃で約15分間にわたり脱ガスした。
【0098】
反応生成物を、基剤充填量の7倍の使用比でカートリッジグレード・マグネゾール(ケイ酸マグネシウム)により基剤充填量の2倍の水と組み合わせて処理した。この基剤を除去した後、固形物を加圧濾過によって除去した。残留水を約100℃及び1mbarの圧力で約2時間にわたり減圧蒸留によって除去した。
【0099】
得られた反応生成物は、高分子ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリオール組成物であった。この組成物は、Mwが2320、アミン価が218mgKOH/g(理論アミン価、TAV=219)、TAVによるPO:EO比が16:8、ガードナー色数が7、残留水が0.9%(1%未満の残留水)であった。以下の表において、本発明の例2のこの高分子ポリオール組成物はEX−2と称される。
【0100】
[比較例3]
[アルコキシド触媒とN,N−ビス−(アミノプロピル)−N−メチルアミンを用いたポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリオールの合成]
N,N−ビス−(アミノプロピル)−N−メチルアミン約145g(1モル)を撹拌式オートクレーブ反応器において窒素雰囲気下で約110℃に加熱した。N,N−ビス−(アミノプロピル)−N−メチルアミンは以下の化学構造を有する。
【化25】

【0101】
1時間にわたり、プロピレンオキシド232g(4モル)を反応器に添加した。N,N−ビス−アミノプロピル)−N−メチルアミン中の第1級アミン基が反応した後、(全体のバッチ質量に基づいて)約0.28%の45wt%水酸化カリウム水溶液を反応器に添加し、得られたアルコキシドを減圧下(約1mbar)約110℃で約2時間にわたり成形した。
【0102】
次いで、プロピレンオキシド約696g(12モル)を110℃で3時間にわたり実質的に一定の温度で反応器に添加した。プロピレンオキシドの添加が完了した後、反応を放置してさらに1時間、即ち、反応が完了するのに十分な時間にわたって反応を続けた。次いで、反応混合物を約1mbarの圧力下において約110℃で約15分間にわたり脱ガスし、残留プロピレンオキシドをすべて除去した。次に、撹拌式オートクレーブ反応器を窒素で充填し約2.5barの圧力とし、反応温度を約145℃に保持しながら、エチレンオキシド約352g(8モル)を約2時間にわたって反応器に添加した。エチレンオキシドの添加が完了した後、反応を放置してさらに1時間、即ち、反応が完了するのに十分な時間にわたって反応を続けた。次いで、反応混合物を、残留エチレンオキシドをすべて除去するために、約1mbarの圧力下において約145℃で約15分間にわたり脱ガスした。
【0103】
反応生成物を、基剤充填量の7倍の使用比でカートリッジグレード・マグネゾール(ケイ酸マグネシウム)により基剤充填量の2倍の水と組み合わせて処理した。この基剤を除去した後、固形物を加圧濾過によって除去した。残留水を約100℃及び1mbarの圧力で約2時間にわたり減圧蒸留によって除去した。
【0104】
得られた反応生成物はポリオール組成物であった。この組成物は、Mwが2100、アミン価が112mgKOH/g(TAV=118)、TAVによるPO:EO比が16:9.7、ガードナー色数が4、残留水が0.15%(1%未満の残留水)であった。以下の表において、比較例3のこのポリオール組成物はEX−3と称される。
【0105】
[発展例4]
[アルコキシド触媒を用いたポリオキシプロピレンポリオールの発展的な合成]
発展例4は、エチレンオキシドの添加工程を省いた以外は、例2で詳述した手順を実質的に用いる。高分子ポリオール組成物はポリオキシプロピレンポリオールである。
【0106】
次いで、得られた高分子ポリオール組成物に関する分子量、アミン価、PO:EO比、ガードナー色及び残留水含量を、例2で用いた技術によって測定することができる。例2の手順に続いて、高分子ポリオール組成物は約1300のMwを有し、1wt%未満の残留水を含むことが予想される。
【0107】
[発展例5]
[アルコキシド触媒を用いたポリオキシエチレンポリオールの発展的な合成]
発展例5は、水酸化カリウムの導入後のプロピレンオキシドの添加工程を省いた以外は、例2で詳述した手順を実質的に用いる。反応器はエチレンオキシドの導入前に脱ガスする。高分子ポリオール組成物はポリオキシエチレンポリオールである。
【0108】
次いで、得られた高分子ポリオール組成物に関する分子量、アミン価、PO:EO比、ガードナー色及び残留水含量を、例2で用いた技術によって測定することができる。例2の手順に続いて、高分子ポリオール組成物は約950のMwを有し、1wt%未満の残留水を含むことが予想される。
【0109】
[発展例6]
[エポキシ樹脂を用いたポリオールの発展的な合成]
例1の高分子アミン組成物約100g(約0.28モル)とダウのエポキシグレードD.E.R.732 約243g(約0.75モルのエポキシド基)を約60℃で反応容器に入れる。D.E.R.732はダウ・ケミカル社から市販されており、305〜355のエポキシド当量及び25℃で55〜100cpsの粘度を有する。この反応は、ほぼ一定の温度で約3時間にわたり進行する。約4時間にわたり、D.E.R.732 約230g(0.7モルのエポキシド基)を反応混合物に滴下し、反応器温度を約60℃〜約80℃の範囲に保持する。次いで、反応器の温度を約60℃で約10時間保持する。
【0110】
得られる生成物は高分子ポリオール組成物である。この組成物はアミン価が約38mgKOH/試料gであることが予想される。次いで、得られた高分子ポリオール組成物に関する分子量、PO:EO比、ガードナー色及び残留水含量を、例2で用いた技術によって測定することができる。
【0111】
[発展例7]
[複合金属シアン化物触媒を用いたポリオキシプロピレンポリオールの発展的な合成]
例1の高分子アミン組成物約150gを、撹拌式オートクレーブ反応器において窒素雰囲気下で約105℃に加熱し、プロピレンオキシド約14gと反応させる。高分子アミン組成物中の第1級アミン基が反応した後、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛触媒約1gを反応器に添加する。次に、反応混合物を撹拌して105℃に加熱し、続いて減圧下で揮散させて残留水を除去する。次いで、プロピレンオキシド約25gを約30inHgの圧力で反応器に添加する。触媒の活性化を示す急激な圧力降下が起こるまで反応器の圧力を監視する。これが起こると、反応圧力を約40psig未満に保持しながら、約3時間にわたりゆっくりとプロピレンオキシド約1350gを添加する。プロピレンオキシドの添加が完了した後、反応混合物を一定圧力に達するまで約105℃に保持する。
【0112】
揮発性種を減圧下で除去し、続いてフィルタカートリッジ(典型的には0.45〜1.2μm)を通して約100℃で濾過し使用済み触媒を除去する。次いで、得られた高分子ポリオール組成物に関する分子量、アミン価、PO:EO比、ガードナー色及び残留水含量を例2で用いた技術によって測定することができる。
【0113】
[例8〜12]
[例2及び3の自己触媒性ポリオール組成物を用いた軟質ポリウレタンフォームの製造]
比較例8〜11と本発明の例12に関する配合物を表1に記載する。例9〜11で利用した自己触媒性ポリオールはEX−3であった。例12で利用した自己触媒性高分子ポリオール組成物はEX−2であった。したがって、例9〜12はゲル化触媒を用いなかった。比較例8は、自己触媒性ポリオールを含有しないので対照試料であった。
【0114】
【表2】

表1に関する注記:
−ポリオールは、ダウ・ケミカル社から市販されているMwが約5500のSPECFLEX(登録商標)NC630であった。
−ポリマーポリオールは、共重合スチレン及びアクリロニトリル、ダウ・ケミカル社から市販されているMwが約4800のSPECFLEX(登録商標)NC700を含有するグラフト化ポリエーテルポリオールであった。
−シリコン界面活性剤は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から市販されているDABCO(登録商標)DC6070であった。
−ゲル化触媒は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から市販されているDABCO(登録商標)NE1070であった。
−発泡触媒は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から市販されているDABCO(登録商標)NE300であった。
−架橋剤はジエタノールアミンであった。
【0115】
32オンス(951ml)の紙コップにおいてイソシアネート以外の表1の成分の合計質量300gを組み合わせることによって軟質フォームを調製した。次いで、この予備混合物の配合物を、2インチ(5.1cm)径の撹拌パドルを備えたオーバーヘッド撹拌器によって6,000rpmで10秒間混合した。次いで、十分なトルエンジイソシアネートを添加して所望のイソシアネートインデックス100を達成し、配合物を同じ撹拌器によって6,000rpmでさらに6秒間十分に混合した。比較例8〜11及び本発明の例12の自由上昇フォームのストリングゲル時間(秒)を測定することによって発泡性能を評価した。ストリングゲル時間を、木製スティック(例えば、舌圧子又はポプシクルスティック)とクロノメーターを用いて手動で測定した。
【0116】
表1の比較例11で示されるように、第3級アミン基を1つだけ含む自己触媒性ポリオールEX−3は、比較例8のゲル化触媒を置き換え、同様のストリングゲル時間を提供するのに6pphp超必要であった。対照的に、本発明の例12に関するストリングゲル時間は、比較例8のそれよりも少ない60秒であり、自己触媒性高分子ポリオール組成物は2pphpしか用いなかった。これらの結果は、複数の第3級アミン基を含むEX−2が、軟質フォーム配合物中のゲル化触媒を置き換える上で、第3級アミン基を1つだけ含むEX−3よりも有意に有効であったことを示している。
【0117】
[例13〜15]
[例2及び3の自己触媒性ポリオール組成物を用いた軟質スラブストックポリウレタンフォームの製造]
比較例13〜14と本発明の例15に関する配合物を表2に記載する。例14で利用した自己触媒性ポリオールはEX−3であった。例15で利用した自己触媒性高分子ポリオール組成物はEX−2であった。したがって、例14〜15は低レベルのゲル化触媒を用いた。比較例13は、自己触媒性ポリオールを含有しないので対照試料であった。
【0118】
【表3】

表2に関する注記:
−ポリオールは、ダウ・ケミカル社から市販されているポリエーテルポリオール、VORANOL V235−056であった。
−シリコン界面活性剤は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から市販されているDABCO(登録商標)DC5943であった。
−ゲル化触媒は、その両方がエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から市販されているDABCO(登録商標)33LV(ジプロピレングリコール中33%トリエチレンジアミン)とDABCO(登録商標)T9(オクチル酸スズ)であった。
−発泡触媒は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から市販されているDABCO(登録商標)BL11(ジプロピレングリコール中のビス(ジメチルアミノエチル)エーテル70%溶液)であった。
【0119】
図1は例13及び15に関する泡高さと時間のプロットである。図1に示されるように、例15におけるEX−2自己触媒性高分子ポリオール組成物を用いた場合の泡の上昇速度は、例13における標準的なフォーム配合物のそれとほとんど同一であった。例13はアミンゲル化触媒を用いたのに対し、例15はアミンゲル化触媒を含んでいなかった。
【0120】
例14は例15と同様の上昇速度プロファイルを与えた。しかしながら、表2に示されるように、例14では、例15よりも50%多い自己触媒性ポリオールが必要であった。
【0121】
[例16〜21]
[例2及び3の自己触媒性ポリオール組成物を用いた硬質ポリウレタンフォームの製造]
比較例16及び21と本発明の例17〜20に関する配合物を表3に記載する。例21で利用した自己触媒性ポリオールはEX−3であった。例17〜20で利用した自己触媒性高分子ポリオール組成物はEX−2であった。したがって、例17〜21はゲル化触媒を用いなかった。比較例16は、自己触媒性ポリオールを含有しないので対照試料であった。
【0122】
【表4】

表3に関する注記:
−ポリオールは、BASFから市販されているポリエーテルポリオール、PLURACOL(登録商標)SG360であった。
−シリコン界面活性剤は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から市販されているDABCO(登録商標)DC5598であった。
−ゲル化触媒は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から市販されているPOLYCAT(登録商標)9であった。
−難燃剤はTCPPであった。
【0123】
表3の例20で示されるように、約15pphpの自己触媒性高分子ポリオール組成物EX−2によって、フォーム配合物中のゲル化触媒を置き換え(例16を参照)、約100秒の同じストリングゲル時間を得ることができた。
【0124】
比較例21は15pphpの自己触媒性ポリオールEX−3を利用し、ストリングゲル時間は288秒であった。対照的に、例20は15pphpの自己触媒性高分子ポリオール組成物EX−2を利用し、ストリングゲル時間は100秒であった。したがって、EX−2中に存在する複数の第3級アミン基は、第3級アミンを1つだけ含むEX−3よりもはるかに効果的なゲル化自己触媒性ポリオールをもたらした。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】例13及び15のフォーム配合物に関する泡高さと時間のプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)以下の式、即ち、
【化1】

を有するアミン化合物を含み、式中、
各RAが独立してC1〜C6の直鎖又は分枝のアルキルであり、
各RBが独立してC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
各Xが独立して水素原子又はRC−NH2であり、
CがC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
nが0〜10の整数であり、
約250〜約1500の数平均分子量(Mn)を有する、高分子アミン組成物と、
(b)以下の式、即ち、
【化2】

を有し、式中、RYが水素、フェニル、シクロヘキシル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのエポキシド化合物、以下の式、即ち、
【化3】

を有し、式中、RZが水素、フェニル、C1〜C6の直鎖又は分枝のアルキル置換フェニル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、又はそれらの組み合わせと
の反応生成物を含む、高分子ポリオール組成物。
【請求項2】
Aがメチル、エチル又はプロピルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Yが水素、メチル又はフェニルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Zがメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、フェニル又はブチル置換フェニルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記高分子アミン組成物が約300〜約800の数平均分子量(Mn)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
約400〜約20,000の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
約1,000〜約5,000の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
約5〜約600mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
約10〜約800mgKOH/gのアミン価を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
約100〜約10,000のヒドロキシル当量(EW)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記高分子アミン組成物と、前記少なくとも1つのエポキシド化合物、前記少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物又はそれらの組み合わせとが触媒の存在下で反応される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
(i)請求項1に記載の高分子ポリオール組成物と、
(ii)少なくとも1つのポリエーテルポリオール、少なくとも1つのポリエステルポリオール、少なくとも1つのポリマーポリオール、又はそれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの第2のポリオールと
の接触生成物を含む、ポリオール配合物。
【請求項13】
前記高分子ポリオール組成物と前記少なくとも1つの第2のポリオールの質量比が約10:1〜約1:1,000である、請求項12に記載のポリオール配合物。
【請求項14】
少なくとも1つのポリイソシアネートを、ポリウレタンを製造するのに十分な条件下において、触媒的に有効な量の触媒組成物の存在下で請求項12に記載のポリオール配合物と接触させることを含む、ポリウレタンの製造方法。
【請求項15】
前記触媒組成物が前記ポリオール配合物100重量部当たり約0.01〜約20重量部(pphp)の量で存在する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのポリイソシアネートと前記ポリオール配合物の接触が、ポリウレタンフォームを製造するのに十分な条件下において、少なくとも1つの発泡触媒の存在下で行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの発泡触媒が、水、塩化メチレン、アセトン、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、炭化水素、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリウレタンフォームは揮発性アミン及び/又はアミン臭が実質的にない、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのポリイソシアネートと前記ポリオール配合物の接触が、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの気泡安定剤、少なくとも1つの難燃剤、少なくとも1つの鎖延長剤、少なくとも1つのエポキシ樹脂、少なくとも1つのアクリル樹脂、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つの顔料、又はそれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの添加剤の存在下で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
(i)少なくとも1つのポリイソシアネートと、
(ii)高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物と
の接触生成物を含む組成物であって、該高分子ポリオール組成物が、
(a)以下の式、即ち、
【化4】

を有するアミン化合物を含み、式中、
各RAが独立してC1〜C6の直鎖又は分枝のアルキルであり、
各RBが独立してC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
各Xが独立して水素原子又はRC−NH2であり、
CがC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
nが0〜10の整数であり、
約250〜約1500の数平均分子量(Mn)を有する、高分子アミン組成物と、
(b)以下の式、即ち、
【化5】

を有し、式中、RYが水素、フェニル、シクロヘキシル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのエポキシド化合物、以下の式、即ち、
【化6】

を有し、式中、RZが水素、フェニル、C1〜C6の直鎖又は分枝のアルキル置換フェニル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、又はそれらの組み合わせと
の反応生成物を含む、組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1つのポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、又はそれらの組み合わせを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記ポリオール配合物が、少なくとも1つのポリエーテルポリオール、少なくとも1つのポリエステルポリオール、少なくとも1つのポリマーポリオール、又はそれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの第2のポリオールをさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つのゲル化ウレタン触媒、少なくとも1つの発泡ウレタン触媒、又はそれらの組み合わせである少なくとも1つのウレタン触媒をさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの気泡安定剤、少なくとも1つの難燃剤、少なくとも1つの鎖延長剤、少なくとも1つのエポキシ樹脂、少なくとも1つのアクリル樹脂、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つの顔料、又はそれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
(A)予備混合物であって、
(i)高分子ポリオール組成物を含むポリオール配合物、
(ii)約0.5〜約50pphpの発泡剤、
(iii)0〜約20pphpの水、
(iv)約0.05〜約10pphpの架橋剤、
(v)約0.5〜約10pphpのシリコン界面活性剤、
(vi)0〜約50pphpの難燃剤、
(vii)0〜約20pphpのゲル化触媒若しくは発泡触媒又はそれらの組み合わせ
を含む予備混合物を形成する工程、並びに
(B)該予備混合物を約40〜約800のイソシアネートインデックスにおいて少なくとも1つのポリイソシアネートと接触させる工程
を含み、前記高分子ポリオール組成物が、
(a)以下の式、即ち、
【化7】

を有するアミン化合物を含み、式中、
各RAが独立してC1〜C6の直鎖又は分枝のアルキルであり、
各RBが独立してC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
各Xが独立して水素原子又はRC−NH2であり、
CがC3〜C6の直鎖又は分枝のアルカンジイルであり、
nが0〜10の整数であり、
約250〜約1500の数平均分子量(Mn)を有する、高分子アミン組成物と、
(b)以下の式、即ち、
【化8】

を有し、式中、RYが水素、フェニル、シクロヘキシル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのエポキシド化合物、以下の式、即ち、
【化9】

を有し、式中、RZが水素、フェニル、C1〜C6の直鎖又は分枝のアルキル置換フェニル又はC1〜C18の直鎖又は分枝のアルキルである、少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、又はそれらの組み合わせと
の反応生成物を含む、ポリウレタンフォームの調製方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法によって調製されたポリウレタンフォームを含む製品。

【図1】
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【公開番号】特開2009−108035(P2009−108035A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−241177(P2008−241177)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】