説明

自己診断機能付きピンホール検査機

【課題】搬送ラインに対し疑似ピンホールが穿孔されたテストピースを投入することなく且つ検査回数に依存せずに、ピンホール検査機自体のピンホール検出精度を適宜確認することが可能な自己診断機能を内蔵した自己診断機能付きピンホール検査機を提供する。
【解決手段】ボトル1の上流のエア供給ライン7または下流の圧力検出ライン8の途中を分岐し、その分岐したラインに自己診断バルブ4を介してオリフィス41を取り付ける。なお、オリフィス41は交換可能に取り付けられ、或いは自動的に孔径が可変な可変オリフィスであるとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己診断機能付きピンホール検査機、特に搬送ラインに対し疑似ピンホールが穿孔されたテストピースを投入することなく且つ検査回数に依存せずに、ピンホール検査機自体のピンホール検出精度を適宜確認することが可能な自己診断機能を内蔵した自己診断機能付きピンホール検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製ボトル、特にPETボトルは、軽量で取扱いが簡便であることなどを理由に、飲料、食品等の容器として近年大量に生産されている。
このPETボトルは、先ずプリフォームと呼ばれる一次成形品を射出成形等によって製造し、次いでこのプリフォームを所定の金型にセットし、そしてヒータ等の加熱手段によって配向延伸可能な温度まで加熱し、次いで高圧エアを噴射する延伸ロッドをプリフォームの内部に挿入し、延伸ロッドと高圧エアにより二軸に延伸する、いわゆる二軸延伸ブロー成形法により得られる。このように、二軸延伸ブロー成形法は加熱したプリフォームを延伸ロッドと加圧エアにより軸方向とそれと直交する方向の二軸に延伸するため、微妙な加工力(延伸力)の違いや樹脂材料中への極小の異物の混入などにより、製造されたPETボトルには、ピンホール等が生じる恐れがある。従って、ブロー成形後のPETボトルに対しては、ピンホール等の欠陥が生じているか否かの検査を実施する必要がある。その為の検査方法としては、メインロータの外周に沿って把持されたPETボトルに対して、加圧ヘッドをボトル口部に当接してボトルの内部にエアを充填・密封し、そのエア密封状態をある一定時間保持し、その一定時間経過後のボトル内圧の圧力低下量から、ピンホールが生じているか否かを判定するピンホール検査方法が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照。)。
これらの検査機では、検査機自体の検査精度(ピンホール検出精度)を確認する機能(自己診断機能)はなく、検査機自体の検査精度の確認は使用者の任意の判断に委ねられていた。
使用者は擬似ピンホールを穿孔したテストピースを定期的にピンホール検査機に投入し、これらのテストピースが検査機で確実に排斥されることをもって、ピンホール検査機は所定のピンホール検出精度を維持していると判断していた。しかし、このような検査精度の確認では、精度の確認作業に多くの労力と時間を要するだけでなく、テストピースを複数回使用すると疑似ピンホールの孔径が拡がってしまうことから、厳密なピンホール検出精度の確認を行うためには、その都度、正確に穿孔したテストピースを製作するなどしなければならず合理的とは言い難かった。また、テストピースの投入自体も、連続的にPETボトルを高速搬送しているラインに対して行うことから難しかった。
【0003】
【特許文献1】特開2004−205453号公報
【特許文献2】特開2002−310843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した通り、従来のピンホール検査機では、検査精度の確認の際、搬送ラインに対し疑似ピンホールが穿孔されたテストピースをセットする段取り(作業)が必要となる。また、そのためのテストピースも必要となる。また、テストピースは使用回数に比例して、疑似ピンホールの孔径が徐々に拡がり、終いには実際のピンホールよりもかなり大きくなり、その結果、ピンホール検査機のピンホール検出精度を確認することが難しいという問題があった。
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、搬送ラインに対し疑似ピンホールが穿孔されたテストピースを投入することなく且つ検査回数に依存せずに、ピンホール検査機自体のピンホール検出精度を適宜確認することが可能な自己診断機能を内蔵した自己診断機能付きピンホール検査機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために請求項1に記載の自己診断機能付きピンホール検査機は、所定量のガスをボトルに封入しボトル口部を密封状態とし、一定時間経過後の該ボトル内圧の低下量を計測しその計測結果を基にピンホールの有無を判定するピンホール検査機であって、該ボトルのガス供給側ライン又は圧力検出側ラインの途中に分岐ラインを設け、該分岐ラインにバルブを介して疑似ピンホールとしてのオリフィスを接続したことを特徴とする。
上記自己診断機能付きピンホール検査機では、(孔のない)正常なボトルを介したガス回路に、所定量のガスをその回路に導入しガスの供給バルブを閉とすることにより、ボトルにガス密封状態を形成する。更にボトルの上流側のガス供給ラインまたはボトル内圧を検知する圧力検出ラインの途中が分岐し、その分岐ラインにバルブ(自己診断バルブ)を介して疑似ピンホールとしてのオリフィスが設けられている。そのため、その分岐ラインのバルブ(自己診断バルブ)を開とすることにより、あたかもボトルにピンホールが存在しそのピンホールを介してガスがリークしているかの疑似リーク状態を形成することが出来るようになる。つまり、上記ピンホール検査機は、(孔のない)正常なボトルをガス密封状態にした回路にオリフィスというテストピースを接続することにより、正常なボトルに擬似的ピンホールが形成されたように見せかけ、ピンホール検査機の検出精度の確認を行うものである。これにより、搬送ラインに正常なボトルに代えてわざわざ疑似ピンホールが穿孔されたテストピースを投入する必要が無くなり、その結果、そのテストピースの作成を含めテストピースの投入に係る労力および時間が全て節約されることになる。また、オリフィスという金属部品が使用されるため、検査回数に比例して孔径が拡大するという事象は起きなくなる。
【0006】
請求項2に記載の自己診断機能付きピンホール検査機では、前記オリフィスは孔径可変であることとした。
上記自己診断機能付きピンホール検査機では、オリフィスは検査の目的などに応じて孔径が可変となるように構成されているため、想定される種々のピンホールを疑似(模擬)することが出来るようになる。
【0007】
請求項3に記載の自己診断機能付きピンホール検査機では、前記オリフィスは前記分岐ラインの流路の一部を成す部材が該分岐ラインに対し交換可能に設けられて成ることとした。
上記自己診断機能付きピンホール検査機では、流路を成す一の部材を孔径の異なる他の部材へ交換することにより、容易に想定される種々のピンホールを疑似することが出来るようになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自己診断機能付きピンホール検査機によれば、搬送ラインに(孔のない)正常なボトルに代えて疑似ピンホールが穿孔されたテストピースを投入することなく、検査機自体のピンホール検出精度を適宜確認することが出来るようになる。これにより、テストピースの作成を含めテストピースの投入に係る労力および時間が全て節約されることになる。また、ボトルのガス供給側ライン又は圧力検出側ラインに設けられた自己診断バルブのオリフィスによってボトルの疑似リーク状態が形成されるため、ピンホール検出精度の確認が検査回数に依存しなくなる。また、自己診断バルブのオリフィスによって、ボトルの疑似リーク状態を容易に形成することが出来るため、例えば自己診断バルブが開でボトルが排斥されない場合などのように、ボトル排出機構等の不具合の発見が容易となる。このように、検査機自体の検査精度(検査機能が劣化していないこと)を適宜確認することが出来るようになるため、ピンホール検査の品質が向上するようになる。また、検査回路中に擬似的ピンホールを確実に設けていることから、検査機の検査中にこの検査機に投入されるボトルは、ボトル自体のピンホールの有無にかかわらず、全数アウト品と判定されて検査機より排斥される。このとき、ボトルが良品と判定され検査機より排斥されない場合は、検査機のボトル排斥機構に生じた不具合を見つけ出すこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明に係るピンホール検査システム100の要部を示す説明図である。
このピンホール検査システム100は、ボトル1にエアを供給すると共にボトル内圧を出力(フィードバック)するエア噴射機10と、ボトル1の首部を把持しながらボトル1の姿勢を安定させるグリッパ2と、エア噴射機10に対するエアの供給を断続する供給バルブ3と、ボトル1の疑似リーク状態を形成する自己診断バルブ4と、ボトル1の一定時間経過後の基準内圧からの圧力低下量を計測する圧力検出部5と、一定圧に調圧されたエアを下流に安定供給するエア源6と、エアを移送するエア供給ライン7と、圧力を伝搬する圧力検出ライン8と、供給バルブ3および自己診断バルブ4を開閉すると共に、圧力検出部5からの信号を基に圧力低下量が閾値を超えている場合に被検査対象のボトル1をアウト品と判断しラインより排出するよう指示を出す制御装置9とを具備して構成されている。なお、自己診断バルブ4および圧力検出部5の詳細については図2から図6を参照しながら後述する。また、「ボトル1の基準内圧」とは、供給バルブ3を閉じた直後のボトル1の内圧である。
【0011】
ボトル1は、PETボトル等の合成樹脂製ボトルであり、プリフォームからブロー成形された後に、メインホイールの外周上に等間隔に配置されたグリッパ2によって首部を把持され正立状態でエア噴射機10の真下に搬送されて来る。
【0012】
供給バルブ3および自己診断バルブ4は、応答性の観点から電磁弁が好ましい。また、供給バルブ3および自己診断バルブ4は、制御装置9によって制御され所定のON時間だけ開き、それ以外は閉状態を保つ、いわゆるノーマルクローズバルブである。
【0013】
自己診断バルブ4は出口部にオリフィス41を備えている。このオリフィス41はボトル1のピンホールを疑似している。詳細については、図2から図6を参照しながら後述するが、自己診断バルブ4が開となると、ボトル1に封入されたエアがそのオリフィス41から外部に流出し、あたかもボトル1にピンホールが存在し、そのピンホールからエアがリークしているかの様な疑似リーク状態を形成する。この時、制御装置9は、ボトル1の圧力低下量に基づいてボトル1のピンホールからリークしているものと判断し、グリッパ2を駆動しそのボトル1を排斥する。このように、自己診断バルブ4を開とすることにより、ピンホール検査機自体の検査精度(検査機能が劣化していないこと)を確認する、いわゆる自己診断が出来るようになる。また、想定される種々のボトルのピンホールを正確に疑似することが出来るように、オリフィスは交換可能に取り付けられている。
【0014】
オリフィス41は、例えば絞り機構を備え、孔径が連続して変化する可変オリフィスとしても良い。または前記分岐ラインに対して付け替え可能な複数の部材で、該部材それぞれに孔径を変えて設けてもよい。さらに、オリフィスの孔径の可変手段はこれらに限らず適宜公知の手段を用いることが出来る。
【0015】
圧力検出部5は、ボトル1の内圧を計測する圧力センサと、一定時間経過後の基準内圧からの圧力低下量を計測する差圧センサとを備える。
【0016】
エア源6は、調圧弁または減圧弁により例えば20〜25[kPa]の範囲に一定圧に調圧されたエアを下流に安定供給する。
【0017】
エア供給ライン7は、供給バルブ3から出発してその途中で継手部を介して二方向に分岐し、一端を供給ポート13に連結し、他端を自己診断バルブ4に連結している。
【0018】
圧力検出ライン8は、圧力ポート14と圧力検出部5を連結する。また、圧力検出ライン8は、途中に分岐ラインを接続する継手部を有している。従って、この継手部に対して、エア供給ライン7に設けた継手部と同様に自己診断バルブ4を接続して、ピンホール検査前にシステムの検査精度の確認を実施することが可能である。
【0019】
制御装置9は、供給バルブ3および自己診断バルブ4等の開閉を制御する。また、圧力検出部5からの圧力信号を基に、一定時間経過後の基準内圧からの圧力低下量が予め設定した閾値を超える場合は、ボトル1にピンホールが存在するものと判断し、そのボトル1を排斥する。
【0020】
エア噴射機10は、ボトル口部にエアタイトに当接する加圧ヘッド11と、内部にエア供給流路12aと圧力検出流路12bの2チャンネルの流路が形成されている本体12と、エアの導入口となる加圧ポート13と、ボトル1の内圧を出力する圧力ポート14と、加圧ヘッド11がボトル口部に当接する際の衝撃を吸収するバネ機構15とを具備して構成されている。
【0021】
エア噴射機10は、昇降装置(図示せず)によって上下に移動することが可能である。また、従って、この昇降装置はボトル1にエアを供給する際は、加圧ヘッド11を下降させボトル口部に当接させる一方、ボトル1からエアを排気する(エア密封状態を解除する)際は、加圧ヘッド11を上昇させボトル口部から分離させる。また、加圧ヘッド11は、ボトル口部との密封性(シール性)を確保するため、合成ゴム等の弾性体によって構成しても良い。また、エア噴射機10には、バネ機構15と共に或いはそれに代えて、加圧ヘッド11の軸芯とボトル1の軸芯とのズレを補正するアライメント調節機構を具備させても良い。
【0022】
図2は、自己診断バルブ4および圧力検出部5の要部を示す説明図である。
【0023】
この自己診断バルブ4は、出口部にオリフィス41を備えている。この自己診断バルブ4は通常は閉状態で供給バルブ3と共にボトル1の密封性を保持している。また、オリフィス41は、種々のボトルのピンホールを正確に疑似することが出来るように、孔径の異なるオリフィスを取付け・取外し可能に構成されている。従って、自己診断バルブ4が開となると、ボトル1のエアはオリフィス41を通して外部に流出し、その結果、あたかもボトル1のピンホールを介してエアがリークしているかの様な疑似リーク状態が形成されるようになる。従って、リーク検査システム自体が正常であれば、エア流出に伴う圧力低下量から、ボトル1にはピンホールが存在するものと判定し、その結果、ボトル1は排斥されることになる。
【0024】
このように、自己診断バルブ4によって、疑似ピンホールが穿孔されたテストピースをボトル1に代えて搬送ラインにセットする必要がなくなると共に、種々のボトルのピンホールが正確に疑似された疑似リーク状態での自己診断を行うことが出来る。これにより、ピンホール検査システムの検査精度の確認が適切に成される。
【0025】
この圧力検出部5は、ボトル1の内圧を常時計測する圧力センサ51と、ボトル1の一定時間経過後の基準内圧からの圧力低下量を計測する差圧センサ52と、差圧センサ52の2つのチャンバを連通/非連通状態にする差圧バルブ53とから成る。また、後述するように、差圧バルブ53の開閉の動作は、供給バルブ3の開閉動作に同期しており、供給バルブ3が開(ON)の時は差圧バルブ53も同時に開(ON)となり、供給バルブ3が閉(OFF)の時は差圧バルブ53も同時に閉(OFF)となる。
【0026】
差圧センサ52は、常時ボトル1に連通した第1チャンバ52aと、差圧バルブ53がONの時のみボトル1に連通する第2チャンバ52bという2つのチャンバを有する。従って第1チャンバ52aの圧力は、ボトル1の内圧を常時モニタしている。また、第2チャンバ52bは、差圧バルブ53がOFF(供給バルブ3がOFF)となる時に、ボトル1および第2チャンバ52bと非連通状態となるため、差圧バルブ53がOFFの間の第2チャンバ52bの圧力は、供給バルブ3がOFFとなった直後のボトル1の内圧を示していることになる。従って、この第2チャンバ52bの圧力は、ボトル1の一定時間経過後の圧力低下量を計測する際の基準内圧となる。従って、差圧センサ52は、(供給バルブ3がOFFとなった直後のボトル1の内圧)−(リアルタイムのボトル1の内圧)=時間経過後のボトル1の圧力低下量をモニタしていることになる。
【0027】
図3から図5は、自己診断バルブ4および圧力検出部5の動作を示す説明図である。
先ず、図3に示すように、制御装置9が供給バルブ3を開(ON)とすると、同時に差圧バルブ53も開(ON)となり、ボトル1、差圧センサ52の第1チャンバ52aおよび第2チャンバ52bに対しエアが供給される。このエア導入直後のボトル内部は、エアの分子同士が激しく衝突する過度状態にあり、そのためエアの温度は上昇する。しかし、時間の経過と共にボトル内部は定常状態に近づき、なお且つボトルの胴部が外方に膨らみ、その結果、ボトル1の内圧は徐々に低下し一定圧に収束する。また、この時、自己診断バルブ4は閉(OFF)の状態である。
【0028】
図4に示すように、供給バルブ3の一定ON時間の後、すなわち所定量のエアが供給された後、制御装置9は供給バルブ3と差圧バルブ53をOFFとする。その結果、第1チャンバ52aと第2チャンバ52bは非連通状態になる。この時の圧力センサ51の指示値が圧力低下量計測の基準内圧となり、この基準内圧が予め定めた閾値を超えているか否かを検査し、ピンホールの有無を判定する工程で使用される。また、この時、第1チャンバ52aの圧力と第2チャンバ52bの圧力は互いに等しく、その結果、差圧センサ52はゼロを指示している。また、この時、自己診断バルブ4は閉(OFF)の状態である。
【0029】
図5に示すように、一定時間経過後、ボトル1の内部は定常状態になる。もし、ボトル1にピンホール等のボトルの気密性を阻害する欠陥等がなければ、主として温度低下に起因する若干の圧力低下が発生するのみである。従って、差圧センサ52の第1チャンバ52aと第2チャンバ52bとの間に、これらの圧力低下に対応した若干の圧力差が発生する。また、この時、自己診断バルブ4は閉(OFF)の状態である。
【0030】
図6に示すように、差圧センサ52の指示値(基準内圧からの圧力低下量)が予め規定した閾値を超えない場合(ボトル1にピンホールが存在しない場合)、制御装置9は、自己診断バルブ4を開(ON)とする。その結果、ボトル1のエアがオリフィス41を通して外部に徐々に流出し、あたかもボトル1のピンホールからエアがリークしているかの様な疑似リーク状態が形成される。
【0031】
以上の通り、ピンホール検査システム100によれば、搬送ラインに対しボトル1に代えて疑似ピンホールが穿孔されたテストピースを投入することなく、検査システム自体のピンホール検出精度を適宜確認することが出来るようになる。これにより、テストピースの作成を含めテストピースの投入に係る労力および時間が全て節約されることになる。また、ボトル1のエア供給ライン7に設けられた自己診断バルブ4のオリフィス41によってボトル1の疑似リーク状態が形成されるため、ピンホール検出精度の確認が検査回数に依存しなくなる。また、自己診断バルブ4のオリフィス41によって、ボトル1の疑似リーク状態を容易に形成することが出来るため、例えば自己診断バルブ4が開(ON)でボトル1が排斥されない場合などのように、ボトル排出機構等の不具合の発見が容易となる。このように、検査システム自体の検査精度(検査機能が劣化していないこと)を適宜確認することが出来るようになるため、ピンホール検査の品質が向上するようになる。
【0032】
なお、上記実施の形態においては、ボトルピンホール検査用ガスとしてエアが使用されているが、これに限らずヘリウムおよび窒素等の不活性ガス又はこれらとエアとの混合ガスを使用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のピンホール検査システムは、搬送ラインのボトルに対しガスを密封し一定時間経過後のボトル内圧の低下量を計測することによりボトルのピンホールの有無を判定するボトルのピンホール検査機に好適に適用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るピンホール検査システムの要部を示す説明図である。
【図2】自己診断バルブおよび圧力検出部の要部を示す説明図である。
【図3】供給バルブが開となった直後の自己診断バルブおよび圧力検出部の動作を示す説明図である。
【図4】供給バルブが閉となった直後の自己診断バルブおよび圧力検出部の動作を示す説明図である。
【図5】供給バルブが閉となり一定時間経過後の自己診断バルブおよび圧力検出部の動作を示す説明図である。
【図6】自己診断バルブが開となった直後の圧力検出部の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ボトル
2 グリッパ
3 供給バルブ
4 自己診断バルブ
5 圧力検出部
6 エア源
7 エア供給ライン
8 圧力検出ライン
9 制御装置
10 エア噴射機
11 加圧ヘッド
12 本体
13 供給ポート
14 圧力ポート
15 バネ機構
100 ピンホール検査システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量のガスをボトルに封入しボトル口部を密封状態とし、一定時間経過後の該ボトル内圧の低下量を計測しその計測結果を基にピンホールの有無を判定するピンホール検査機であって、該ボトルのガス供給側ライン又は圧力検出側ラインの途中に分岐ラインを設け、該分岐ラインにバルブを介して疑似ピンホールとしてのオリフィスを接続したことを特徴とする自己診断機能付きピンホール検査機。
【請求項2】
前記オリフィスは孔径可変に設けられている請求項1に記載の自己診断機能付きピンホール検査機。
【請求項3】
前記オリフィスは前記分岐ラインの流路の一部を成す部材が該分岐ラインに対し交換可能に設けられて成る請求項1又は2に記載の自己診断機能付きピンホール検査機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−121896(P2009−121896A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295033(P2007−295033)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】