説明

自己集合ペプチドを有するパーソナルケア物品

自己集合ペプチドを有する、滲出物を受けるためのパーソナルケア物品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア物品、特に自己集合ペプチドを有するパーソナルケア物品に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア物品は、滲出物、例えば経血を吸収する能力で周知である。典型的には、女性生理用ナプキンのようなパーソナルケア物品は、ユーザの体に面する流体透過性トップシートと、流体不透過性バックシートと、トップシートとバックシートとの間に入れられた吸収性コアと、を含む。吸収性コアは、パーソナルケア物品が取り外されるまで、滲出物を吸収及び収容するために用いられる。
【0003】
吸収性コアは、更に大量の滲出物を吸収するだけではなく、よりしっかりと滲出物を収容するようにも設計される。より多くの滲出物をパーソナルケア物品に吸収し、収容するにつれて、吸収された滲出物の一部がパーソナルケア物品から出る(再湿潤)可能性が高まる。材料の過負荷又はパーソナルケア物品に適用される物理的応力のような種々の原因が、再湿潤を導く恐れがある。原因がなんであろうと、パーソナルケア物品からの滲出物の漏れは、ユーザにとって非常に望ましくない。
【0004】
再湿潤の発生を低減しながら、パーソナルケア物品により吸収及び収容される滲出物の量を増加させるという問題は、現在のパーソナルケア物品により十分に解決されてはいない。吸収を増加させ、再湿潤を防ぐ努力は、パーソナルケア物品の吸収性コアを改良することに集中している。このような改良は、吸収性コア内の吸収性材料の量を増加させること、又は吸収性ゲル材料のような材料を吸収性コアに付加することを含む。吸収性層に更なる材料を付加することの欠点は、追加の材料が吸収性コアの大きさ及び厚さを増加させることである。これは、パーソナルケア物品により多くの重量を付加し、着用をより困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在のパーソナルケア物品よりも大量の滲出物を吸収及び収容するパーソナルケア物品を有することが望ましい。更に、再湿潤の発生を低減することができるパーソナルケア物品を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
滲出物への曝露に応じてマトリックスを形成する自己集合ペプチドを含有する、少なくとも1層を備える、滲出物を受けるためのパーソナルケア物品を提供する。
【0007】
吸収性部材を含むタンポンもまた提供され、ここでタンポンは、滲出物への曝露に応じてマトリックスを形成する、自己集合ペプチドを含有する。
【0008】
更に、パーソナルケア物品に滲出物を収容する方法を提供する。方法は、自己集合ペプチドを含むパーソナルケア物品を提供する工程と、パーソナルケア物品を滲出物に曝露する工程とを含む。滲出物への曝露に応じて、自己集合ペプチドはマトリックスを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の女性生理用ナプキンの斜視図。
【図2】図1の断面A−Aの断面図。
【図3】本発明のタンポンの斜視図。
【図4】図3の断面B−Bの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、自己集合ペプチドを有する、女性生理用ナプキンのような、パーソナルケア物品を提供する。パーソナルケア物品内に自己集合ペプチドが存在することは、パーソナルケア物品の収容容量を増加させ、再湿潤(着用中にパーソナルケア物品に出る、例えば経血などの、収容された滲出物の量)を低減することができると考えられる。滲出物に接触することで、パーソナルケア物品中に存在する自己集合ペプチドはマトリックスへと自己集合する。マトリックスは、パーソナルケア物品内に滲出物を実質的に不動化するよう機能することができ、滲出物は容易にパーソナルケア物品から出られない、又はパーソナルケア物品の他の領域に移動できない。それ故、自己集合ペプチドから形成されるマトリックスは、吸収された滲出物をより制御するパーソナルケア物品を提供する。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「パーソナルケア物品」は、体から排出された滲出物を吸収、ブロック、又は収容する物品であって、ユーザの体内に、体に接触して、又は体に近接して定置することができる物品を指す。パーソナルケア物品の例としては、女性生理用ナプキン、タンポン及び陰唇間パッド、成人用失禁製品、トレーニングパンツ、及び乳幼児用おむつが挙げられる。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「滲出物」は、経血、尿、膣分泌物等のような、ヒトの体又は動物の体により生成され、排出される任意の流体である。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「経血」は、血液、膣分泌物及び子宮内膜組織を含む滲出物である。膣分泌物は主にムチンで構成される。更に、経血中に存在する血液は、フィブリノゲンが少ないために通常は凝血塊ではないという点で、体内を循環する血液とは異なる。更に、体内の血液と対照的に、経血中の血液は、子宮内膜組織内に囲まれているか又は子宮内膜組織に結合していることが多い。
【0014】
用語「自己集合ペプチド」は、本明細書で使用するとき、ペプチド結合等の共有結合により連結した少なくとも2つのアミノ酸(α−アミノ酸残基)の鎖から形成されるペプチドであって、滲出物に接触することで自己集合してマトリックスを形成するペプチドを指す。自己集合ペプチドは、分枝状であってもよく、この場合、それは非ペプチド結合により連結された少なくとも2つのアミノ酸鎖を含有する。更に、自己集合ペプチドは、それが自己集合性であり得る限り、長さが変化してもよい。自己集合ペプチドのアミノ酸配列は変化してよいが、特定の実施形態では、配列は自己集合ペプチドに両親媒性の性質を提供するものを含んでよく、例えば自己集合ペプチドはおよそ等しい数の疎水性及び親水性アミノ酸を含むことができる。
【0015】
用語「自己集合」は、本明細書で使用するとき、触媒の存在又は材料の加工を必要とせずに、滲出物への曝露に応じてマトリックスを形成する、自己集合ペプチドの能力を指す。
【0016】
用語「マトリックス」は、本明細書で使用するとき、自己集合ペプチドが滲出物への曝露に応じて形成されるゲル構造である。滲出物への曝露に応じて、自己集合ペプチドは、更にマトリックスを形成するナノ繊維を形成する。理論に縛られるものではないが、ナノ繊維がマトリックスを形成するとき、滲出物はマトリックス内に収容され、実質的に不動化され、したがって滲出物が更に移動するのを防ぐと考えられる。
【0017】
自己集合ペプチドは、1つ又はそれ以上の式(A)〜(D)のアミノ酸鎖を有してよい:
【表1】

式中、Xaaneuは、生理学的pHで中性電荷を有するアミノ酸を表し;Xaaは、生理学的pHで正電荷を有するアミノ酸を表し;Xaaは、生理学的pHで負電荷を有するアミノ酸を表し;x及びyは独立して1〜4の値を有する整数であり;nは1〜10の値を有する。
【0018】
自己集合ペプチドは、式中Xaaneuが、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン又はグリシンを表し;Xaaが、アルギニン、リジン又はヒスチジンを表し;及びXaaがアスパラギン酸又はグルタミン酸を表す、アミノ酸の鎖を有してよい。例えば、自己集合ペプチドは、アミノ酸配列RADARADARADA(配列番号28)を有してもよく、又は含んでもよい。
【0019】
本明細書に記載するマトリックスは、米国特許第5,670,483号;同第5,955,343号;同第6,548,630号;及び同第6,800,481号;並びに、ホームズ(Holmes)ら、米国科学アカデミー紀要(Proc. Nati. Acad. Sci. USA)、97巻:6728頁〜6733頁(2000年);チャン(Zhang)ら、米国科学アカデミー紀要、90巻:3334頁〜3338頁(1993年);チャン(Zhang)ら、バイオマテリアルス(Biomaterials)、16巻:1385頁〜1393頁(1995年);カプラン(Caplan)ら、バイオマテリアルス(Biomaterials)、23巻:219頁〜227頁(2002年);レオン(Leon)ら、ジャーナル・オブ・バイオマテリアルス(J. Biomaterials);ジャーナル・オブ・バイオマテリアルス・サイエンス、ポリマー・エディション(Sci. Polym. Ed.)、9巻:297頁〜312頁(1998年);並びにカプランら、バイオマクロモレキュールス(Biomacromolecules)、1巻:627頁〜631頁(2000年)に記載されている自己集合ペプチドの自己集合を介して形成することができる。自己集合ペプチドの例を表2に示す。
【表2】

「N/A」は、該当なしであることを示す。
【0020】
表2に示す一覧は、排他的なものではなく、代表的なものである。例えば単一若しくは複数のアミノ酸を置換することにより、反復4つ組の包含若しくは排除により、又は1つ若しくはそれ以上のシステインアミノ酸を組み込むことにより(システインアミノ酸はマトリックスの機械的強度を増加させるジスルフィド結合の形成を通して、互いに結合できるため)、表2に列挙したものとは異なる、他の自己集合ペプチドを生成することができる。
【0021】
マトリックス形成を提供するために、特定の実施形態では、自己集合ペプチドは相補的であり、構造的に適合性がある。例えば、相補的であるために、β−シート構造を有する自己集合ペプチドの側鎖(アミノ酸R基)は、生理学的pHで電荷を有さない(中性)側鎖例えばアラニンアミノ酸又は他の疎水性アミノ酸の側鎖を有する第1非極性面と、生理学的pHで正又は負に荷電したイオン性側鎖を有する第2極性面との、2つの面に分割される。イオン性側鎖は、個々の自己集合ペプチドから正に荷電したアミノ酸及び負に荷電したアミノ酸が相補的にイオン対を形成できるという点で、互いに相補的である。例えば、第1自己集合ペプチドのアミノ酸由来の負に荷電した側鎖は、第2自己集合ペプチドのアミノ酸由来の正に荷電した側鎖とイオン結合することができる。これらの自己集合ペプチドは、それ故、相補的自己集合ペプチドと呼ばれ、表2に示すように、少なくとも4種の異なる構成、即ちI、II、III又はIVを有する。極性面上に1つの正に荷電したアミノ酸及び1つの負に荷電したアミノ酸が交互に存在する荷電アミノ酸の場合(− + − + − + − +)、自己集合ペプチドは、「構成I」と記載され;極性面上に2つの正に荷電した残基及び2つの負に荷電した残基が交互に存在する荷電アミノ酸の場合(− − + + − − ++)、自己集合ペプチドは「構成II」と記載され;極性面上に3つの正に荷電した残基及び3つの負に荷電した残基が交互に存在する荷電アミノ酸の場合(+++−−−+++−−−)、自己集合ペプチドは「構成III」と記載され;極性面上に4つの正に荷電した残基及び4つの負に荷電した残基が交互に存在する荷電アミノ酸の場合(++++−−−−++++−−−−)、自己集合ペプチドは「構成IV」と記載される。構成I〜IVの自己集合ペプチドはまた、表1の式(A)〜(D)によっても表される。式(A)〜(D)は、x及びyが両方1であるとき構成Iの自己集合ペプチド、x及びyが両方2であるとき構成IIの自己集合ペプチド、x及びyが両方3であるとき構成IIIの自己集合ペプチド、並びにx及びyが両方4であるとき構成IVの自己集合ペプチドを表す。
【0022】
自己集合ペプチドの荷電アミノ酸が類似の電荷で置換された場合、自己集合プロセスに既知の著しい作用は生じない。例えば、正に荷電したリジンを正に荷電したアルギニンにより置換することができ、負に荷電したグルタミン酸を負に荷電したアスパラギン酸により置換することができる。しかしながら、正に荷電した残基(リジン及びアルギニン)を負に荷電した残基(アスパラギン酸及びグルタミン酸)により置換した場合、自己集合ペプチドはもはや自己集合してマトリックスを形成することはできないが、依然として塩の存在下でβ−シート構造を形成することはできる。アスパラギン及びグルタミンのような、水素結合を形成する他のアミノ酸を、荷電残基の代わりに又はそれに加えて、自己集合ペプチドに組み込んでもよい。自己集合ペプチド中のアラニン残基を、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン又はチロシンのようなより疎水性の残基に変更することにより、得られる自己集合ペプチドは自己集合して、強度の高い自己集合ペプチドマトリックスを形成する傾向が強くなる。本明細書に記載する自己集合ペプチドのように、類似のアミノ酸組成及び長さを有する一部の自己集合ペプチドは、巨視的マトリックスを形成しないβ−シート構造ではなく、α−へリックス及びランダムコイルを形成する。したがって、相補性及び構造的適合性に加えて、特定の実施形態では他の要因が、自己集合ペプチドの長さ、分子間相互作用の程度、及びねじれ形配列を形成する能力のような、巨視的マトリックスの形成を決定することができる。
【0023】
自己集合ペプチドは、十分な一定の自己集合ペプチド内距離を維持してマトリックスを形成できるとき、構造的に適合性がある。自己集合ペプチド内距離は変動する場合があるが、それは、例えば約4Å(オングストローム)未満等、かなり小さくてよい。しかしながら、特定の実施形態では、自己集合ペプチド内距離は、約10Åのようにこれより大きい場合もある。これらの距離は、米国特許第5,670,483号に開示されているような、分子モデリングに基づいて算出することができ、特定の実施形態では、距離の代表的な数の平均に基づいていてよい。
【0024】
例えば液体又は粉末形等の、正確な形態にかかわらず、本明細書に記載するような自己集合ペプチドの混合物としては、RADA16−I(配列番号1)又はRADA12−I(配列番号28)及びEAKA16−I(配列番号6)又はEAK16−II(配列番号18)を挙げることができる。他の混合物としては、RAD16−II(配列番号4)、EAKA16−I(配列番号6)又はEAK16−II(配列番号18)を挙げることができる。更に、他の混合物としては、RADA12−I及びRADA16−I若しくはRAD12−II及びRAD16−IIのような、種々の長さの同じ自己集合ペプチド配列、又は、RADA12−I及びRAD12−II若しくはRADA16−I及びRAD16−IIのような、構成I及び構成IIの混合物を含むことができる。単一の自己集合ペプチドではなく自己集合ペプチドの混合物を使用することは、集合の速度及びマトリックスの硬さのような、マトリックスの特性を調節することができる。
【0025】
上記のように、マトリックスは、自己集合ペプチドの不均質な混合物で形成することができる(所与の式の1種超の型の自己集合ペプチドを含有する混合物、表1を参照のこと)。しかしながら、特定の実施形態では、混合物中に存在する単一型の自己集合ペプチドは、自己集合によりマトリックスを形成できる。他の実施形態では、2種又はそれ以上の型の自己集合ペプチドの不均質な混合物を用いて、自己集合を通じてマトリックスを形成する。自己集合ペプチドは、当該技術分野において周知の方法により、化学的に合成できる、又は天然若しくは組み換え技術によって作製された源から精製できる。例えば、自己集合ペプチドは、標準的なフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)化学を用いて合成し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製することができる。
【0026】
自己集合ペプチド中のアミノ酸の数は、変動してよい。例えば、特定の実施形態では、自己集合ペプチドは、約8アミノ酸〜約200アミノ酸、約8〜約36アミノ酸、又は約8〜約16アミノ酸を含有することができる。L−型アミノ酸に加えて、自己集合ペプチドを形成するアミノ酸は、アミノ酸類似体;D−型のアミノ酸;及びアシル基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基又は脂肪酸基のような化学基の付加により、変更又は誘導されたアミノ酸であってもよい。更に、自己集合ペプチドのアミノ酸は、天然由来又は非天然由来のアミノ酸であってよい。非天然由来のアミノ酸は、自然界には見られないが、例えば、D−アロイソロイシン(2R,3S)−2−アミノ−3−メチルペンタン酸及びL−シクロペンチルグリシン(S)−2−アミノ−2−シクロペンチル酢酸等の、自己集合ペプチド鎖に組み込むことができる。米国特許公開第2004/0204561号に列挙されている非天然のアミノ酸及びアミノ酸誘導体を用いることができる。天然由来の疎水性アミノ酸としては、Ala、Val、Ile、Met、Phe、Tyr、Trp、Ser、Thr及びGlyが挙げられる。荷電アミノ酸は、Lys、Arg、His及びOrnのような、塩基性(正)アミノ酸;Glu及びAspのような、酸性(負)アミノ酸;又はAsn及びGlnのような、水素結合を形成するアミノ酸であってよい。
【0027】
自己集合ペプチドのカルボキシル末端残基(c−末端)、アミノ末端残基(n−末端)、又は両方を修飾してもよい。例えば、c−末端のカルボキシル基、n−末端のアミノ基、又は両方を修飾することができる。c−末端、n−末端又は両方の電荷を修飾することもできる。例えば、アシル基(RCO−、式中Rは、アセチル基(CHCO−)のような有機基である)のような基又はラジカルは、n−末端アミノ酸の側鎖からもたらされるものではない電荷などの、別に存在する場合がある「過剰な」正電荷を中和するために、自己集合ペプチドのn−末端に存在することができる。同様に、アミド(CO−NH)の形態の、アミン基(NH)のような基を用いて、c−末端アミノ酸の側鎖からもたらされるものではない電荷などの、c−末端に別に存在し得る「過剰な」負電荷を中和することができる。末端の電荷の中和は、自己集合を通じるマトリックスの形成を促進できる。
【0028】
特定の実施形態では、自己集合前に、自己集合ペプチドは、一価イオンのようなイオンを実質的に含まない、脱イオン水のような液体に溶解又は乳化することにより溶液の形態であってよく、又は自己集合ペプチドの著しい自己集合を防ぐために、十分に低濃度のイオンを含有する。例えば、約5mM未満のイオン濃度を有する液体を用いて、溶液を形成することができる。自己集合は、経血のような滲出物の添加によって、その後の任意の時間で開始又は強化してよい。二価、一価又は三価のいずれであろうと、アニオン及びカチオンを含む広範なイオンを用いることができる。例えば、マトリックス形成は、Li、Na、K及びCsのような一価カチオンに曝露することにより促進でき、自己集合を誘発又は強化するために用いられるこのようなイオンの濃度は、典型的には少なくとも5mMである。低濃度もまた、低速度を通じて集合を促進する。例えば、約5mM〜約5Mの濃度のNaClは、数分内にマトリックスの集合を誘発する。5mM未満のNaClの濃度もまた、マトリックス集合を誘発できるが、より緩やかな速度である。
【0029】
溶液又は粉末処方の自己集合ペプチドの濃度は変動してよい。例えば、溶液中の自己集合ペプチドの濃度は、約0.01%w/v(0.1mg/mL)〜約99%w/v(990mg/mL)(包括的)であることができる。特定の実施形態では、マトリックスの形成前の自己集合ペプチドの濃度は、約0.1%(1mg/mL)〜約10%(100mg/mL)であることができる。いくつかの実施形態では、自己集合ペプチドの濃度はまた、約0.1%未満であってもよい。自己集合ペプチドはまた、粉末として処方することができ、粉末形態で投与することもできる。いくつかの実施形態では、粉末処方は、約100%の自己集合ペプチドの濃度を有してよい。自己集合ペプチドの濃度は、原液及び粉末化処方ではより高い場合がある。濃度は次に、脱イオン水又は自己集合ペプチドを含有しない他の粉末のような、希釈剤の添加により使用前に所望の水準にすることができる。
【0030】
特定の実施形態では、自己集合ペプチドは、自己集合できるが緩やかな速度である濃度で、製薬上許容できる油のような疎水性材料とともに送達することができる。自己集合ペプチドを油又は脂質のような疎水性剤と混合するとき、自己集合ペプチドのマトリックスへの集合は、水性環境におけるマトリックス形成とは異なる。ペプチドの親水性部位は、疎水性材料と最小限に接触する方法で集合し、それにより2つの環境の間に障壁を作製する。この種の挙動は、滲出物との接触時に、マトリックスから放出され得る治療用又は他の分子の封入を可能にする。
【0031】
自己集合を通じたマトリックスの形成は、イオンのような滲出物中の成分、滲出物の生理学的pH、又は滲出物と接触することにより提供された温度の上昇により開始してもよい。1つの実施形態では、マトリックスの自己集合の時間は、経血のような滲出物と接触した後60秒間以下であってよい。自己集合ペプチドの濃度が低い場合のようないくつかの状況では、自己集合には、例えば1分以下、5分、10分、30分、1時間、又は更に長い時間のような、長い時間がかかる場合がある。
【0032】
自己集合ペプチドを滲出物に曝露するとき、自己集合ペプチドは、更に3次元多孔質マトリックスを形成するナノ繊維を形成する。特定の実施形態では、ナノ繊維は、直径約10nm〜約20nmであってよく、マトリックス内で孔を形成し、ここで孔は約50nm〜約100nmの最も広い幅寸法を有する。マトリックスは、約10倍又はそれ未満のような、低倍率下で目に見えるのに十分大きな寸法を有することができる。
【0033】
マトリックスの特性及び機械的強度は、その中に含有される自己集合ペプチドの操作を通じて制御できる。例えば、自己集合ペプチドは、硬さ又は弾性の程度が変動するマトリックスを形成できる。特定の実施形態では、マトリックスは若干変形可能であってよく、又は自己集合後圧縮可能であってよいが、一般的にある領域から別の領域へ実質的に流動しない。マトリックスは、典型的には低弾性率を有し、例えば、特定の実施形態では、マトリックスは標準的なコーン−プレートレオメーターでのような、当該技術分野において既知の方法により測定したとき、約1kPa〜約10kpaの範囲の弾性率を有してよい。特定の実施形態では、より低い値が圧力への応答におけるマトリックスの構造的変形を可能にするように、マトリックスはより低い弾性率(<1kPa)を有してよい。マトリックスの硬さは、自己集合ペプチドの長さ、配列又は濃度の変化を含む、任意の1種又はそれ以上によるような、種々の方法で制御することができる。自己集合ペプチドに付着させるなどの硬さを増大させるための他の方法にはまた、ビオチン分子若しくは芳香環を有するアミノ酸などの、後で架橋又は別の方法で互いに結合できる結合分子を使用することができる。結合分子は、自己集合ペプチドのn−若しくはc−末端に含まれてもよく、又は末端間の1つ若しくはそれ以上のアミノ酸に付着させてもよい。結合分子の架橋は、当該技術分野において既知である任意の方法で行ってよい。例えば、ビオチンは、その後アビジンの付加を用いて架橋してもよく、芳香環を有するアミノ酸は紫外線への曝露により架橋してもよい。架橋の程度は、当該技術分野において既知である方法を用いて光散乱、ゲル濾過、又は走査電子顕微鏡により決定することができる。更に、架橋は、マトリックスメタロプロテアーゼのようなプロテアーゼで消化した後に、マトリックスのHPLC又は質量分析により試験することができる。材料の強度は、架橋の前後に決定してよい。
【0034】
更に、形成されるマトリックスは、円偏光二色性(CD)、動的光散乱、フーリエ変換赤外線(FTIR)、原子間力(張力)顕微鏡(ATM)、走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)のような、種々の生物物理学的及び光学的技術を用いて特徴付けることができる。マトリックスはまた、膨潤の程度、マトリックス形成に対するpH及びイオン濃度の効果、種々の条件下における水和の水準、引張り強度を、測定するためのいくつかの標準的な機械的試験施術、並びに種々の特徴がマトリックスを形成及び分解するのに必要な期間にわたって変化する方法を用いて試験することができる。これらの方法により、当業者は、本明細書に記載した種々の代替物及び自己集合ペプチドのどれが、特定の用途で使用するのに最も好適であるかを決定することが可能になる。
【0035】
特定の実施形態では、自己集合ペプチドを用いて、例えば女性生理用ナプキン等のパーソナルケア物品に、経血のような滲出物を吸収及び収容してもよい。パーソナルケア物品は、当該技術分野において周知であり、一般的に不織布材料を含む。パーソナルケア物品の例としては、女性生理用ナプキン、タンポン、陰唇間パッド、成人用失禁製品、トレーニングパンツ及び乳幼児用おむつが挙げられる。パーソナルケア物品の任意の層が自己集合ペプチドを含んでよい。例えば、パーソナルケア物品が女性生理用ナプキンである場合、自己集合ペプチドは、トップシート、バックシート若しくは吸収性コア上又は内に存在することができる。更に、自己集合ペプチドは、パーソナルケア物品の任意の層の実質的に全体にわたって、又は層の特定の領域にのみ存在してよい。例えば、自己集合ペプチドは、膣開口部下に位置する吸収性コアの領域又は表面にのみ適用することができる。更に、自己集合ペプチドは、バックシートの身体に面する表面のような、層の任意の表面に適用することができる。
【0036】
自己集合ペプチドは、乾燥若しくは凍結乾燥した粉末として、又は、自己集合ペプチドを脱イオン水のような液体に懸濁若しくは溶解した液体として、又は自己集合ペプチドの他の形態として適用してよい。液体形態であるとき、自己集合ペプチドは、噴霧、塗装、印刷、注入、又は当該技術分野において既知である任意の他の方法で、パーソナルケア物品に適用してよい。特定の実施形態では、粉末形態であろうと液体形態であろうと、約0.1グラム/平方メートル(g/m)〜約500グラム/平方メートル(g/m)の量の自己集合ペプチドが、パーソナルケア物品上又は内に存在する。他の実施形態では、約1g/m〜約100g/mの量の自己集合ペプチドが、パーソナルケア物品上又は内に存在する。一般的に、パーソナルケア物品上又は内に存在する自己集合ペプチドの量は、自己集合ペプチドが適用された領域の大きさ、又はパーソナルケア物品の種類のような、種々の要因に応じて変化する。物質を送達するために用いられる装置は、量によって変化する。
【0037】
層中に含まれた自己集合ペプチドを有する、滲出物を受けるためのパーソナルケア物品の例、この場合女性生理用ナプキン30、を図1に示す。好適な女性生理用ナプキン30の断面を、特定の女性生理用ナプキン30の層を示す即ちトップシート34、バックシート36及び吸収性コア38を図示する、図2に示す。
【0038】
女性生理用ナプキン30のトップシート34は、着用者の身体に向かって配向され、接触して、滲出物を受ける。特定の実施形態では、トップシート34は液体透過性であり、可撓性及び皮膚に対して非刺激性であってよい。トップシート34は、不織布材料若しくは孔あきポリオレフィンフィルム、又は他の好適な材料から作製してよい。特定の実施形態では、トップシート34は、複数の装置を含んで、その上に堆積した液体を吸収性コア38に通過させることができる。代表的な好適なトップシート34は、米国特許第4,342,314号及び同第4,463,045号に従って作製してよい。
【0039】
バックシート36は、任意の可撓性材料であってよい。特定の実施形態では、バックシート又はその一部は、耐液性又は液体不透過性であることが望ましい場合がある。バックシートは、例えば、ポリエチレンフィルムのような、ポリオレフィンフィルムを含んでよい。バックシート36は、女性生理用ナプキン30により吸収され、そこに収容された経血が、具体的には、吸収性コア38により吸収された経血が、女性生理用ナプキン30から出て、着用者の衣類及び寝具を汚すのを防ぐ。特定の実施形態では、バックシート36はまた、吸収された滲出物から生じる悪臭気体に対して不透過性であってもよく、その結果悪臭が漏れて、着用者に気付かれることはない。特定の他の実施形態では、バックシート36はまた、気体又は蒸気を通過させてもよく、その結果それは通気性であるが、それを通る液体の通過に対しては依然として耐性である。更に、バックシート36は、例えばポリエステル又はポリオレフィン繊維のバックシート36等の柔軟性布様材料で作製してよい。特定の実施形態では、柔軟性布様バックシート36の材料は、ポリエステル不織布材料薄層、及び米国特許第4,476,180号に記載されているようなフィルムの積層体であってよい。
【0040】
女性生理用ナプキン30の吸収性コア38は、経血、具体的には液体透過性トップシート34を通じて横断する経血を吸収及び収容する。特定の実施形態では、吸収性コア38は、約4グラム〜約6グラムの経血を収容できる。トップシート34及びバックシート36と同様に、吸収性コア38は、皮膚に適合し、非刺激性であってよい。特定の実施形態では、吸収性コア38は、矩形又は砂時計形であってよい。特定の実施形態では、吸収性コア38は、2つの対向する表面を有し、一方はバックシート36に向かって配向され、もう一方はトップシート34に向かって配向される。
【0041】
吸収性コア38は、吸収性材料を含んでよい。吸収性材料は、セルロース詰綿及び繊維化コミュニケーションパルプ(fibrated communition pulp);ティッシュペーパー;吸収性ゲル材料;発泡体;又はこれらの組み合わせのような、エアフェルトを含んでよい。代表的な好適なティッシュペーパーとしては、用いてよい米国特許第4,191,609号に従って作製されたティッシュペーパーを挙げることができる。代表的な好適な吸収性ゲル材料としては、米国再発行特許第32,649号に従って作製された吸収性ゲル材料を挙げることができる。代表的な好適な発泡体としては、米国特許第5,260,345号及び同第5,387,207号に従って作製された発泡体を挙げることができる。
【0042】
特定の実施形態では、吸収性コア38は、トップシート34とバックシート36との間に介在する。これは、吸収性コア38の吸収性材料が、女性生理用ナプキン30が着用されている間、断片化する又は外れるのを防ぎ、経血の適切な封じ込めを保証する。吸収性コア38は、トップシート34及びバックシート36に接合してもよい。接合は、接着剤を用いて、吸収性コア38をトップシート34又はバックシート36に結合することによるものであってよい。このような接着剤は、らせん状又は長手方向に配向されたビーズのような、噴霧パターンで適用してよい。
【0043】
自己集合ペプチドは、女性生理用ナプキン30の少なくとも1層、つまりトップシート34、バックシート36又は吸収性コア38に存在してよい。例えば、吸収性コア38が経血を吸収及び収容するために、図2に示すように、自己集合ペプチド42は、生理用ナプキン30の吸収性コア38に存在してよい。女性生理用ナプキン30の吸収性コア38内の自己集合ペプチド42の存在は、先行技術の女性生理用ナプキンに対して少なくとも2つの利点を提供する。まず、自己集合ペプチドは、最初に経血を吸収した吸収性コアの領域に吸収された経血を維持することにより、吸収性コアの吸収能力を増加させる。それ故、最初に経血を吸収しない吸収性コアの領域は、乾燥したままであり、任意の追加の経血を吸収する能力を保持している。2番目に、吸収性コアに経血を不動化することにより、自己集合ペプチドはマトリックスの形成を通じて、吸収された経血が吸収性コアから外に出てユーザの体又は下着に接触するのを、防ぐ。
【0044】
自己集合ペプチドを有する、パーソナルケア物品の更なる例、この場合タンポン50、を図3に示す。タンポン50は、女性の膣腔に挿入されて、経血の流れに接触し、吸収することにより膣開口部から経血が出るのを防ぐよう設計されている。タンポン50は、一般的に円筒形であってよい吸収性部材52、及び引き出し手段54を含む。引き出し手段54は、縫製、接着剤、熱接着、溶融結合又はこれらの組み合わせのような、当該技術分野において既知である任意の方法により、吸収性部材52に取り付けてよい。
【0045】
タンポン50の吸収性部材52は、繊維質材料のような吸収性材料から構築してよい。このような繊維質材料としては、合成繊維、天然繊維、又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。天然繊維としては、綿、木材パルプ、亜麻、麻布、及び、両方ケルハイム・ファイバー(Kelheim Fibers)(ドイツ、ケルハイム)から入手可能な、6140レーヨンとして入手可能なギャラクシーレーヨン(GALAXY Rayon)(三葉レーヨン構造);又はサリール(SARILLE)Lレーヨン(円形繊維レーヨン)のようなレーヨン、綿、木材パルプ、亜麻、及び麻布を挙げることができるが、これらに限定されない。合成繊維としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリル、ビニルポリアセテート、ポリアクリレート、酢酸セルロース、又は2成分繊維ポリエチレン及びポリプロピレン繊維のような、2成分繊維のような繊維を挙げることができるが、これらに限定されない。追加の吸収性材料としては、ピートモス、吸収性発泡体(例えば米国特許第3,994,298号に開示されているものなど)、毛管チャネル繊維(例えば米国特許第5,356,405号に開示されているものなど)、大容量繊維(例えば米国特許第4,044,766号に開示されているものなど)、超吸収性ポリマー又は吸収性ゲル材料(例えば米国特許第5,830,543号に開示されているものなど)のような材料が挙げられ、これらをタンポンに組み込んでよい。
【0046】
特定の実施形態では、図3に示すように、吸収性部材52は、米国特許第6,840,927号に記載のもののような、上包56により実質的に覆われてもよい。上包56は、不織布繊維質材料又は有孔フィルムから形成してよい。
【0047】
自己集合ペプチド42は、上包56又は吸収性部材52のような、タンポン50の任意の層に存在してよい。特定の実施形態では、図3の断面図である図4に示すように、自己集合ペプチド42は、吸収性部材52が経血を収集及び吸収するとき、吸収性部材52に存在してよい。吸収性部材52内の自己集合ペプチド42の存在は、女性生理用ナプキンに関して既に述べたように、吸収能力を増大させるように、先行技術のタンポンに対して、タンポン50に利点を提供すると考えられる。更に、自己集合ペプチドは、外圧に応答してタンポンにより失われる経血の量を低減すると更に考えられている。タンポンが閉鎖空間(膣腔)内にあるとき、タンポンは、特に取り外す間に外圧に曝されることが多く、これは経血をタンポンの外に押し出すか又は絞り出す場合がある。しかしながら、経血を自己集合ペプチドにより形成されるマトリックス内で不動化できるため、着脱の間にタンポンから失われる経血の量は減少する。
【0048】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図されている。例えば、「40mm」として開示した寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。
【0049】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、その関連部分において本明細書に参照により組み込まれ、いかなる文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものと解釈すべきではない。本明細書中の用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献中の同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本明細書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0050】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滲出物を受けるためのパーソナルケア物品であって、
滲出物への曝露に応じてマトリックスを形成する自己集合ペプチドを含有する、少なくとも1層を含む、パーソナルケア物品。
【請求項2】
前記自己集合ペプチドが、式(A)〜(D):
(A)((Xaaneu−Xaa(Xaaneu−Xaa
(B)((Xaaneu−Xaa(Xaaneu−Xaa
(C)((Xaa−Xaaneu(Xaa−Xaaneu
(D)((Xaa−Xaaneu(Xaa−Xaaneu
のうちの1つ又はそれ以上のアミノ酸配列を含むパーソナルケア物品であって、式中、Xaaneuは、生理学的pHで中性の電荷を有するアミノ酸を表し;Xaaは生理学的pHで正の電荷を有するアミノ酸を表し;Xaaは生理学的pHで負の電荷を有するアミノ酸を表し;x及びyは、独立して1〜4の値を有する整数であり;nは1〜10の値を有し、好ましくは、自己集合ペプチドは、式(A)又は(B)のアミノ酸配列を含み、より好ましくは、式中Xaaneuはアラニンを表し、Xaaはアルギニン又はリジンを表し、Xaaはアスパラギン酸又はグルタミン酸を表す、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項3】
前記自己集合ペプチドのアミノ酸配列が、RADARADARADA又はRADARADARADARADAのうち少なくとも1つを含む、請求項2に記載のパーソナルケア物品。
【請求項4】
前記自己集合ペプチドが、βシート構造を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパーソナルケア物品。
【請求項5】
前記自己集合ペプチドが、パーソナルケア物品中に、約0.1g/m〜約500g/m、好ましくは約1g/m〜約100g/mの量で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパーソナルケア物品。
【請求項6】
前記パーソナルケア物品が、女性生理用ナプキン、タンポン、陰唇間パッド、成人用失禁製品、トレーニングパンツ又は乳幼児用おむつである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のパーソナルケア物品。
【請求項7】
前記層が、トップシート、吸収性コア、又はバックシートのうち少なくとも1つである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のパーソナルケア物品。
【請求項8】
前記自己集合ペプチドが相補的であり、かつ構造的に適合性である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のパーソナルケア物品。
【請求項9】
パーソナルケア物品に滲出物を収容する方法であって、
自己集合ペプチドを含むパーソナルケア物品を提供する工程と、
前記パーソナルケア物品を滲出物に曝露させる工程と、
を含み、
前記自己集合ペプチドが、前記滲出物への曝露に応じてマトリックスを形成する、方法。
【請求項10】
前記自己集合ペプチドが、式(A)〜(D):
(A) ((Xaaneu−Xaa(Xaaneu−Xaa
(B) ((Xaaneu−Xaa(Xaaneu−Xaa
(C) ((Xaa−Xaaneu(Xaa−Xaaneu
(D) ((Xaa−Xaaneu(Xaa−Xaaneu
のうち1つ又はそれ以上のアミノ酸配列を含む方法であって、式中、Xaaneuは、生理学的pHで中性の電荷を有するアミノ酸を表し;Xaaは生理学的pHで正の電荷を有するアミノ酸を表し;Xaaは生理学的pHで負の電荷を有するアミノ酸を表し;x及びyは、独立して1〜4の値を有する整数であり;nは1〜10の値を有し、好ましくは、自己集合ペプチドは、式(A)又は(B)のアミノ酸配列を含み、より好ましくは、式中、Xaaneuはアラニンを表し、Xaaはアルギニン又はリジンを表し、Xaaはアスパラギン酸又はグルタミン酸を表す、請求項9に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2010−533536(P2010−533536A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516636(P2010−516636)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052855
【国際公開番号】WO2009/016532
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】