説明

自発光表示装置

【課題】設置方位ないし角度に依存することなく、太陽電池による安定した発電を可能とし、太陽電池の設置スペースを必要とせず、装置全体の大型化を抑制して小型化が可能となる自発光表示装置を提供する。
【解決手段】背中合せに配置される一対の表示板11と、各表示板11の背面内側で同じく背中合せに配置される一対の導光板20と、各導光板20の背面内側に配置されて光源40に電力を供給する太陽電池30とを有し、各表示板11は、それぞれの表示情報12が装置表裏に現れ、各導光板20は、それぞれ一側端縁より光源40から入射した光を正面側にある表示板11に向けて面発光する他、外部から入射した光を背面側にある太陽電池30に導光し、太陽電池30は、表裏どちらから入射する光でも発電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光材質からなる地に標識、文字、図形その他の表示情報が記された表示板を発光可能とする自発光表示装置に関する。特に、屋外に設置され、太陽電池を自発光用の光源の電源として利用し、避難誘導標識等の各種標識を主として静的に表示するための自発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震等の災害発生時に避難場所への適切な経路誘導を行うものとして、避難誘導標識がある。この避難誘導標識には、標識自身を発光させる光源を備え、夜間の視認を可能にする自発光型の避難誘導標識も知られている。この光源用の電源としては、災害に伴う商用電源の停電が発生しても発光を可能とするために、平板型の太陽電池により昼間の太陽光で発電を行って蓄電池に蓄え、これを夜間の発光に利用する独立型電源が多く採用されている。
【0003】
また、前述したような避難誘導標識に利用可能な自発光装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されているものが既に提案されている。これは、球面状の受光面を有する球状光電変換素子と、この球状光電変換素子に導光または集光するレンズ部材と、前記球状光電変換素子で発電された電力で発光する発光体と、全体を固着して一体化する封止材とから構成されている。
【0004】
さらに、別の太陽電池付き表示装置として、例えば、下記特許文献2に記載されているものも既に提案されている。これは、透過型太陽電池と、この透過型太陽電池上に配置した発光素子と、前記透過型太陽電池上に配置し、前記発光素子からの発光光線を導き受け外部へ発光させる導光板と、この導光板上に配置された透過型液晶パネルとから構成されている。
【0005】
【特許文献1】国際公開番号WO2004/095590号公報
【特許文献2】特開2004−93602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したような従来の独立型電源を利用した自発光型の避難誘導標識では、屋外において太陽光の影の影響による発電量の低下を避けるために、太陽電池は標識の上部に設置されるが、設置する標識の消費電力が大きくなるに伴って、太陽電池のサイズが肥大化する。そのため、装置全体が大型化し、小型化が困難であるという問題があった。
【0007】
また、平板型である太陽電池の設置方位を南向きにしたり、さらに、設置する地域の緯度と積雪量に応じて、太陽電池の設置角度の調整を行う必要がある。このように、標識の上部に設置する太陽電池の設置方位ないし角度に様々な制約があり、標識自体を自由に配置することができないというレイアウト上の問題もあった。
【0008】
ところで、前述したような特許文献1,2に記載された従来の技術では、何れも太陽電池が小型化できるもので構成されており、この太陽電池からの電力で発光する光源からの光を、外部へ面発光させる導光板を備えている(例えば、特許文献1の図14、特許文献2の図1参照。)。しかしながら、この導光板は、光源からの発光光線を外部に面発光させることだけを目的としている。
【0009】
すなわち、導光板を太陽光が透過することは事実上あり得るが、この導光板は、太陽電池への太陽光の導光に積極的に寄与するものではなかった。従って、太陽電池に対する太陽光の照射を考慮するとなると、やはり前記自発光型の避難誘導標識の場合と同様に、標識の大型化に伴う消費電力の増大に伴い太陽電池のサイズの肥大化を招いたり、太陽電池の設置方位および設置角度に様々な制約が生じる虞があった。
【0010】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、太陽電池の設置方位ないし角度に依存することなく、安定した発電が可能となり、また、太陽電池が装置内部に一体に存在するため、太陽電池の特別な設置スペースを必要とせず、装置全体の大型化を抑制して小型化を実現することができる自発光表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]透光材質からなる地に標識、文字、図形その他の表示情報(12)が記された表示板(11)を発光可能とする自発光表示装置(10)において、
背中合せに配置される一対の前記表示板(11)と、各表示板(11)の背面内側で同じく背中合せに配置される一対の導光板(20)と、各導光板(20)の背面内側に配置されて光源(40)に電力を供給する太陽電池(30)とを有し、
前記各表示板(11)は、それぞれの表示情報(12)が装置表裏に現れており、
前記各導光板(20)は、それぞれの少なくとも一端縁側より前記光源(40)から入射した光を正面側にある前記表示板(11)に向けて面発光する他、外部から入射した光を背面側にある前記太陽電池(30)に導光し、
前記太陽電池(30)は、表裏どちらから入射する光でも発電可能なシート状に形成され、前記各導光板(20)の背面内側に展開されたことを特徴とする自発光表示装置(10)。
【0012】
[2]前記光源(40)は、前記各導光板(20)の一方の側端縁に沿って配置され、
前記各導光板(20)の一方の側端縁に対向する他方の側端縁に沿って、前記光源(40)から入射した光を反射させる光源用反射板(41)が配置されたことを特徴とする[1]に記載の自発光表示装置(10)。
【0013】
[3]前記各導光板(20)の上端縁に沿って、外部からの光である太陽光を集光して前記導光板(20)に導光するための集光レンズ(60)が配置され、
前記各導光板(20)の上端縁に対向する下端縁に沿って、前記集光レンズ(60)から入射した太陽光を反射させる集光用反射板(61)が配置されたことを特徴とする[1]または[2]に記載の自発光表示装置(10)。
【0014】
[4]前記各導光板(20)の正面外側と前記各表示板(11)の背面内側との間に、各導光板(20)の面発光を拡散させるための一対の光拡散板(50)が、背中合せに配置されたことを特徴とする[1],[2]または[3]に記載の自発光表示装置(10)。
【0015】
[5]前記表示板(11)を除いてその代わりに、前記光拡散板(50)の正面に前記表示情報(12)が記されたことを特徴とする[4]に記載の自発光表示装置(10)。
【0016】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の自発光表示装置(10)によれば、太陽電池(30)は、表裏どちらから入射する太陽光でも発電可能なシート状に形成されており、太陽電池(30)の表裏に、一対となる導光板(20)を背中合せに配置する。この2枚の導光板(20)は、一側端縁に沿って配置された光源(40)から入射した光を、正面側の表示板(11)に向けて面発光して、標識等の表示情報(12)をその背面側から照らす他、外部から入射した光を背面側にある太陽電池(30)に導光する。
【0017】
ここで導光板(20)は、前記光源(40)から入射した光を太陽電池(30)に対しても面発光する他、少なくとも前記光源(40)が配置されていない端縁側より入射した太陽光を、太陽電池(30)に向けて積極的に導光する。さらに、導光板(20)は、その正面側の表示板(11)を透過した太陽光も透過させて、その背面側の太陽電池(30)まで導光する。
【0018】
これにより、太陽電池(30)は、装置内部の光源(40)のみならず、装置外部からの太陽光を広く利用することになり、効率良く発電を行うことができて発電量も向上し、発電した電力は表示板(11)を照らす光源(40)の電源となる。このように導光板(20)を、集光と発光に効率良く利用することができる。
【0019】
また、装置内部に太陽電池(30)があるため、装置全体の小型化を図ることができ、自発光する表示板(11)と導光板(20)および太陽電池(30)が一体化し、太陽電池(30)の設置スペースを別途必要とせず、小型化のみならずデザイン性も向上させることができる。さらに、設置する地域に応じた太陽電池(30)の設置方位ないし角度の調整を必要とせず、安定した発電を行うことが可能となる。
【0020】
特に、表示板(11)の大型化に伴って、光源(40)の消費電力が増大したとしても、太陽電池(30)を表示板(11)の大きさに合わせて一緒に大型化させれば良い。前述したように太陽電池(30)は、装置内部(表示板(11)の内側)に存在するため、表示板(11)の大型化に伴って、太陽電池(30)等の他の構成だけが余計に大型化するようなことはなく、装置全体の大型化を抑制することが可能となる。
【0021】
前記[2]に記載の自発光表示装置(10)によれば、光源(40)は、前記各導光板(20)の一方の側端縁に沿って配置され、各導光板(20)の一方の側端縁に対向する他方の側端縁に沿って、光源(40)から入射した光を反射させる光源用反射板(41)が配置される。これにより、太陽光が入射しやすい各導光板(20)の上端縁を塞ぐことなく光源(40)が配置され、さらに、光源用反射板(41)により、表示板(11)に対する発光効率を高めることができる。
【0022】
前記[3]に記載の自発光表示装置(10)によれば、各導光板(20)の上端縁に沿って、外部からの光である太陽光を集光して導光板(20)に導光するための集光レンズ(60)が配置され、各導光板(20)の上端縁に対向する下端縁に沿って、集光レンズ(60)から入射した太陽光を反射させる集光用反射板(61)が配置される。これにより、太陽光をいっそう効率良く集光することが可能となり、太陽電池(30)における発電量を向上させることができる。
【0023】
前記[4]に記載の自発光表示装置(10)によれば、各導光板(20)の正面外側と各表示板(11)の背面内側との間に、各導光板(20)の面発光を拡散させるための一対の光拡散板(50)が、背中合せに配置される。これにより、導光板(20)からの面発光は、光拡散板(50)によって、光が様々な方向へと細かくさらに乱反射されることで、光の通過滞在時間が長くなり、表示板(11)を照射する輝度のバラツキを解消することができる。
【0024】
前記[5]に記載の自発光表示装置(10)によれば、表示板(11)を除いてその代わりに、光拡散板(50)の正面に表示情報(12)が記される。これにより、部品点数を削減することが可能となり、コスト低減を実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る自発光表示装置によれば、表裏一対の自発光させる表示板の内側に太陽電池を配置すると共に、表示板を自発光させるための導光板を、表示板を照らす面発光のみならず、外部からの光を太陽電池へ導光することにも積極的に活用することで、装置全体のさらなる小型化を可能とし、デザイン性も向上させることができ、装置の設置方位ないし角度に制約されることなく、太陽電池による安定した発電を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施の形態を説明する。
図1および図2は、本発明の実施の形態を示している。
図1は、本実施の形態に係る自発光表示装置10を模式的に示す縦断面図であり、図2は、同じく自発光表示装置を模式的に示す正面図である。
【0027】
本実施の形態に係る自発光表示装置10は、透光材質からなる地に標識、文字、図形その他の表示情報が記された表示板11を発光可能とするものである。以下、屋外に設置されて、表示板11に相当する避難誘導標識を静的に表示する装置として用いられる場合を例に説明する。
【0028】
図1および図2に示すように、自発光表示装置10は、背中合せに配置される一対の表示板11,11と、各表示板11の背面内側で同じく背中合せに配置される一対の導光板20,20と、各導光板20の背面内側に配置されて光源40に電力を供給する太陽電池30とを有して成る。また、各導光板20の正面外側と各表示板11の背面内側との間に、各導光板20の面発光を拡散させるための一対の光拡散板50,50も、背中合せに配置されている。以下、順に構成要素を説明する。
【0029】
各表示板11は、それぞれ表示情報が装置表裏に現れる状態に配置されている。表示板11は、透光材質からなる板状またはシート状のものであり、本実施の形態では横長の矩形状に形成されている。表示板11は、透光材質であれば無色透明とは限らず、着色されたものであっても良い。さらに、100%透明である必要もなく、本実施の形態では、具体的には例えば、半透明の光拡散樹脂により形成されている。表示板11は、その地に標識、文字、図形その他の表示情報が記されている。
【0030】
ここで表示情報とは、視覚的に認識できるものであれば何でも良く、本実施の形態では、図2に示すように避難誘導標識12が記されているが、他に例えば、商業用の宣伝広告等であってもかまわない。これらの表示情報を記す手段も、例えば、アクリル絵の具で直接描いたり、あるいは着色されたアクリルシートを切り貼りして記しても良く、ある程度は透光性を有する表記手段であることが好ましい。
【0031】
各導光板20は、本装置全体の強度を保つフレーム的な役割も果たしており、前記自発光表示装置10と同形状に形成された所定の厚みを有する板材から成る。各導光板20は、次述する太陽電池30を介装する隙間分だけ離れた状態で、互いに対面し合うように支持されている。
【0032】
各導光板20は、それぞれ少なくとも一端縁側より光源40から入射した光を正面側にある前記表示板11に向けて面発光する他、外部から入射した光を背面側にある太陽電池30に導光する状態に配置されている。なお、導光板20とは、透明板の表面に光を反射・拡散させるための細かな凹凸加工を施して、端面より入射した光を均一に面発光させる板である。その具体的な材質としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト等の透明樹脂系材質が適している。
【0033】
太陽電池30は、表裏どちらから入射する光でも発電可能なシート状に形成されたものであり、前記各導光板20の背面内側に展開されている。詳しく言えば、太陽電池30は、前記導光板20と同一あるいは少し小さい矩形状に形成された透明シート材の内部に、全方向から光を受光可能な球状の光電変換素子を多数配置して成る。ここで光電変換素子については、周知の構成であり詳細な説明は省略する。
【0034】
光電変換素子は、その直径が約1.8mm程度の大きさのものである。具体的な太陽電池30としては、例えば透明シート材の内部に、両側方向に水平に延びる複数の極細配線を、互いに上下等間隔で平行に並ぶように配置し、上下の極細配線の間に、光電変換素子を、それぞれ左右方向に等間隔かつ上下で互い違いに並ぶように密に配置することにより構成すると良い。
【0035】
太陽電池30を構成する透明シート材は、可撓性を有するもの、あるいは余り変形しない剛性を有するものでも良く、透明であって光電変換素子を平面方向に担持させることができ、導電性を備えない透明材質であれば何でも良い。もちろん、このような太陽電池30に限られるものではなく、本発明で用いる太陽電池は、表裏どちらから入射する光でも発電可能なシート状に形成されるものであって、前記各導光板20の背面内側に展開できるものであれば、その具体的な種類は問わない。
【0036】
各光拡散板50は、図1に示すように、各導光板20の正面外側と各表示板11の背面内側との間にて、背中合せに配置されている。本実施の形態では、各光拡散板50も、前記各導光板20と同様に本装置全体の強度を保つフレーム的な役割も果たしており、導光板20と同形状に形成された所定の厚みを有する板材から成る。
【0037】
光拡散板50は、各導光板20の面発光を拡散させる作用を備えるものであり、具体的には例えば、透明で透光性のある樹脂中に光分散材を混合して板状に加工したものを用いれば良い。ここで透明で透光性のある樹脂は、前述した導光板20と同様にアクリル樹脂等を用いれば良く、また光分散材としては、酸化チタンや酸化マグネシウム等が適する。さらに必要に応じて、白色等の着色剤を混ぜて着色しても良い。
【0038】
このように、装置の表裏外側より、各表示板11、各光拡散板50、各導光板20、太陽電池30が互いに重なり合って、全体的にも板状に形成されているが、図2に示すように、各導光板20の一方の側端縁に沿って、光源40が上下方向に連なる状態に配置されている。光源40は、具体的には例えば、発光ダイオード(LED)を用いると良い。
【0039】
発光ダイオードは、蛍光灯やネオンサイン管等と比べて長寿命であり、視認性や輝度も極めて高く、熱的・放電的発光でないため点灯消灯時間も早く、光電変換効率が高いため消費電力も少なく、耐衝撃性にも優れる等の特性を備えている。詳しく言えば発光ダイオードには、リード線上に実装された発光素子から成るチップLEDと、チップ状のリード線が略砲弾型のモールド樹脂で被覆されたLEDランプとがある。
【0040】
前者のチップLEDを、その発光側が各導光板20の一方の側端縁に沿って、上下方向に密に並ぶように配置すると、嵩張らないで済む。また、チップLEDを各導光板20の一方の側端縁に取り付ける細幅状の透明樹脂板の内部に埋設して、予め光源ユニットとして構成しても良い。
【0041】
また、各導光板20の前記一方の側端縁に対向する他方の側端縁に沿って、前記光源40から入射した光を反射させる光源用反射板41が配置されている。光源用反射板41としては、具体的には例えば、前記側端縁に対向する面側を鏡面状に加工した細幅状の金属板を用いると良い。あるいは、前記側端縁に、光の反射効率が高い白色塗料等を塗布して、光源用反射板41の代わりとして構成してもかまわない。なお、光源用反射板41は、各導光板20間のみならず、各光拡散板50ないし各表示板11間も覆うように、例えば、これらを合わせた板厚に嵌合する略コ字形断面の金属材を用いても良い。
【0042】
図1および図2に示すように、各導光板20の上端縁に沿って、外部からの光である太陽光を集光して前記各導光板20に導光するための集光レンズ60が配置されている。集光レンズ60は、細幅状に長手方向に延び、その全長に亘って略凸レンズ状断面に形成されている。
【0043】
集光レンズ60は、太陽光の入射角の変動に対応するため、広い許容入射角度を有するレンズを使用することが望ましい。本実施の形態における集光レンズ60は、各導光板20に太陽光を集光するように、集光レンズ60の上表面は、各導光板20の上端縁を中心とする円弧型に形成されており、その横幅が、各導光板20を合わせた横幅よりも広がるように設定されている。
【0044】
また、各導光板20の前記上端縁に対向する下端縁に沿って、前記集光レンズ60から入射した太陽光を反射させる集光用反射板61が配置されている。集光用反射板61も前記光源用反射板41と同様に、具体的には例えば、前記下端縁に対向する面側を鏡面状に加工した細幅状の金属板を用いると良い。あるいは、前記下端縁に、光の反射効率が高い白色塗料等を塗布して、集光用反射板61として構成してもかまわない。また、集光用反射板61も、各導光板20間のみならず、各光拡散板50ないし各表示板11間も覆うように、例えば、これらを合わせた板厚に嵌合する略コ字形断面の金属材を用いても良い。
【0045】
次に、本実施の形態に係る自発光表示装置10の作用を説明する。
自発光表示装置10は、その表示板11を発光させる手段として、表裏一対の導光板20,20による面発光を利用する。この各導光板20の間に、シート状の太陽電池30を挟み込み、また、各導光板20の正面外側に、一対の光拡散板50,50を背中合せに配置し、さらに、各光拡散板50の正面外側に、一対の表示板11,11を背中合せに配置して構成する。
【0046】
各導光板20や各光拡散板50は、本装置全体の強度を保つフレーム的な役割も果たし、これらの四辺を囲むように配設される光源40、光源用反射板41、集光レンズ60、集光用反射板61は、枠組みとして補強材的な役目を果たすので、薄型化しても相当の強度を保つことが可能となる。また、構造的にも比較的簡易であるため、容易に製造することが可能となる。
【0047】
このような構造により、各導光板20は、側端縁に沿って配置された光源40および光源用反射板41により、正面側の表示板11に向けて面発光し、表示情報12をその背面側から照らすと共に、各導光板20の上端縁・下端縁に沿って、集光レンズ60および集光用反射板61を配置したことにより、集光レンズ60に入射した太陽光を太陽電池30へ効率良く導光することができる。
【0048】
太陽電池30では、そのシート内にある光電変換素子の球全面で太陽光を受光し、発電を行うことが可能となっており、従来の平板型太陽電池では片面でのみ太陽光を受光し発電を行うが、前記太陽電池30では、その表裏両面での発電が可能な他、光電変換素子同士に隙間ができるため、太陽電池30自体を光が透過することもできる。
【0049】
導光板20は、光源40から入射した光を太陽電池30に対しても面発光する他、集光レンズ60により集光した太陽光を太陽電池30に向けて導光し、さらに、表示板11を透過した太陽光も太陽電池30まで導光する。これにより、太陽電池30は、装置内部の光源40のみならず、装置外部からの太陽光を広く利用することになり、効率良く発電を行うことができる。このように導光板20を、集光と発光に効率良く利用することができる。
【0050】
光源40は、各導光板20の一方の側端縁に沿って配置され、他方の側端縁に沿って、光源40から入射した光を反射させる光源用反射板41が配置される。これにより、太陽光が入射しやすい各導光板20の上端縁を塞ぐことなく光源40が配置され、さらに、光源用反射板41も配置することにより、表示板11に対する発光効率を高めることができる。
【0051】
また、各導光板20の上端縁に沿って、外部からの光である太陽光を集光して導光板20に導光するための集光レンズ60が配置され、各導光板20の上端縁に対向する下端縁に沿って、集光レンズ60から入射した太陽光を反射させる集光用反射板61が配置される。これにより、太陽光をいっそう効率良く集光することが可能となり、太陽電池30における発電量を向上させることができる。
【0052】
また、各導光板20の正面外側と各表示板11の背面内側との間に、各導光板20の面発光を拡散させるための一対の光拡散板50が背中合せに配置される。これにより、導光板20からの面発光は、光拡散板50によって、光が様々な方向へと細かくさらに乱反射されることで、光の通過滞在時間が長くなり、表示板11を照射する輝度のバラツキを解消することができる。
【0053】
さらに、装置内部に太陽電池30があるため、装置全体の小型化を図ることができ、自発光する表示板11と導光板20および太陽電池30が一体化し、太陽電池30の設置スペースを別途必要とせず、小型化のみならずデザイン性も向上させることができる。しかも、設置する地域に応じた太陽電池30の設置方位ないし角度の調整を必要とせず、安定した発電を行うことが可能となる。
【0054】
特に、表示板11の大型化に伴って、光源40の消費電力が増大したとしても、太陽電池30を表示板11の大きさに合わせて一緒に大型化させれば良い。前述したように太陽電池30は、装置内部表示板11の内側に存在するため、表示板11の大型化に伴って、太陽電池30等の他の構成だけが余計に大型化するようなことはなく、装置全体の大型化を抑制することができる。
【0055】
ところで、光源40の点灯は、図示省略した制御回路によって制御することができる。例えば昼間等、表示板11の避難誘導標識12を容易に視認できる状態では、制御回路により光源40を点灯させず、太陽電池30により発電された電力は蓄電器に充電する。そして、夜間等の光の少ない状態では、制御回路により、蓄電器に蓄えられた電力を使って光源40を点灯させ、表示板11を面発光させるように制御すると良い。
【0056】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、前記表示板11は、その表示情報が異なるものを複数種類用意しておき、適宜交換して使用するように構成しても良い。
【0057】
また、前記実施の形態では、光拡散板50を備えるように構成したが、この光拡散板50を除いて、各導光板20の正面外側に各表示板11が直接重なり合うように構成しても良い。これにより、部品点数を削減することが可能となり、コスト低減を実現することができる。
【0058】
さらに、表示板11を除いてその代わりに、光拡散板50の正面に表示情報を記すことにより、光拡散板50を表示板と兼用するように構成しても良い。さらにまた、表示板11と光拡散板50を除いた上で、導光板20の表面に表示情報を記すことにより、導光板20を表示板と兼用するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る自発光表示装置を模式的に示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る自発光表示装置を模式的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0060】
10…自発光表示装置
11…表示板
12…避難誘導標識
20…導光板
30…太陽電池
40…光源
41…光源用反射板
50…光拡散板
60…集光レンズ
61…集光用反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光材質からなる地に標識、文字、図形その他の表示情報が記された表示板を発光可能とする自発光表示装置において、
背中合せに配置される一対の前記表示板と、各表示板の背面内側で同じく背中合せに配置される一対の導光板と、各導光板の背面内側に配置されて光源に電力を供給する太陽電池とを有し、
前記各表示板は、それぞれの表示情報が装置表裏に現れており、
前記各導光板は、それぞれの少なくとも一端縁側より前記光源から入射した光を正面側にある前記表示板に向けて面発光する他、外部から入射した光を背面側にある前記太陽電池に導光し、
前記太陽電池は、表裏どちらから入射する光でも発電可能なシート状に形成され、前記各導光板の背面内側に展開されたことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項2】
前記光源は、前記各導光板の一方の側端縁に沿って配置され、
前記各導光板の一方の側端縁に対向する他方の側端縁に沿って、前記光源から入射した光を反射させる光源用反射板が配置されたことを特徴とする請求項1に記載の自発光表示装置。
【請求項3】
前記各導光板の上端縁に沿って、外部からの光である太陽光を集光して前記導光板に導光するための集光レンズが配置され、
前記各導光板の上端縁に対向する下端縁に沿って、前記集光レンズから入射した太陽光を反射させる集光用反射板が配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の自発光表示装置。
【請求項4】
前記各導光板の正面外側と前記各表示板の背面内側との間に、各導光板の面発光を拡散させるための一対の光拡散板が、背中合せに配置されたことを特徴とする請求項1,2または3に記載の自発光表示装置。
【請求項5】
前記表示板を除いてその代わりに、前記光拡散板の正面に前記表示情報が記されたことを特徴とする請求項4に記載の自発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−265152(P2009−265152A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111246(P2008−111246)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】