説明

自着用粘着剤及びそれを用いた自着用粘着テープ

【課題】アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いた場合であっても、十分な自着性を有する粘結剤、および、結束用等に応用できる自着用粘着テープを提供する。
【解決手段】自着用粘着剤は、アクリル系ポリマーをベースポリマーとし、このアクリル系ポリマーに、重量平均分子量1000〜50000のアクリル系低分子量ポリマーを含有することを特徴とする。好ましくは、前記アクリル系低分子量ポリマーのガラス転移温度(Tg)が−30℃以上であり、前記アクリル系ポリマーに対する前記アクリル系低分子量ポリマーの重量比が、0.015〜1.5である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な組成の自着用粘着剤に関する。より具体的には、一般の粘着剤に汎用されているアクリル系粘着剤を用いた自着用粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生野菜類、生花類、書類、新聞、雑誌等の各種物品を結束するための粘着テープとして、結束する物品(被結束物)に対する粘着力が小さく、粘着剤面同士の粘着力(以下、「自着力」という)が大きい粘着テープが汎用されており、これの粘着剤としてゴム系の粘着剤が用いられていた。
【0003】
例えば、生野菜類等の結束用粘着テープとして、(A)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、(B)粘着付与剤、(C)炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機添加剤、及び(D)植物油等の有機添加剤を含有する粘着剤組成物を耐水性基材の片面に塗布してなる粘着テープが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、基材の片面に、(A)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及び天然ゴムを含有するエラストマー100重量部に対し、(B)ファクチス20〜40重量部を配合した感圧性接着剤組成物層を設けた結束用自着テープが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭62−45273号公報
【特許文献2】特開昭60−108485号公報
【特許文献3】特開2001−131503号公報
【特許文献4】特開2005−95381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来自着性を応用した粘着製品には、ゴム系粘着剤が使用されてきたが、ゴム系粘着剤は、変色や臭気があり、耐候性、耐熱性、保存安定性が良くない等の問題が存在する。
【0006】
また、結束以外にも自着性を利用して、粘着包帯やスポーツに使用するスベリ止めテープにもゴム系粘着剤が使用されているが、特に人の皮膚に使用する場合は天然ゴム系をできれば他のアレルギー問題のないものに変えたいという要望もある。
【0007】
ここで、前記問題を解決する一方策として医療用テープや感圧シートの粘着剤として用いられているアクリル系粘着剤(例えば、特許文献3、4参照)を使用することが考えられる。しかしながら、アクリル系粘着剤は適度な粘着性を有するものの、十分な自着性を有さないのが一般的である。したがって、物品を結束するための粘着テープとして応用することは、きわめて困難であった。
【0008】
すなわち、本発明の課題は、アクリル系ポリマーを粘着剤として用いた場合であっても、自着性を有し、結束用粘着テープ等の自着用粘着テープとして応用することのできるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、自着性のない又は弱いアクリル系粘着剤に特定のアクリル系低分子量ポリマーを添加すると、自着性の高い粘着テープが得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明(1)は、重量平均分子量1000〜50000のアクリル系低分子量ポリマーを含有することを特徴とする、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする自着用粘着剤である。
【0011】
本発明(2)は、前記アクリル系低分子量ポリマーのガラス転移温度(Tg)が−30℃以上である、発明(1)の自着用粘着剤である。
【0012】
本発明(3)は、前記アクリル系ポリマーに対する前記アクリル系低分子量ポリマーの重量比が、0.015〜1.5である、発明(1)又は発明(2)の自着用粘着剤である。
【0013】
本発明(4)は、重量平均分子量1000〜50000のアクリル系低分子量ポリマーを含有する、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする自着用粘着剤であって、前記アクリル系ポリマーが、乳化重合により得られるポリマーであり、アクリル系低分子量ポリマーが、酸価が60以上の低分子量ポリマーである、自着用粘着剤である。
【0014】
本発明(5)は、基材上に発明(1)〜(4)のいずれかの自着用粘着剤が適用された、自着用粘着テープである。
【0015】
本発明(6)は、結束用テープ又はバッグシーリングテープである、発明(5)の自着用粘着テープである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<<粘着層>>
本発明に係る自着用粘着剤は、粘着剤のベースとなるアクリル系ポリマーと自着性を高めるためのアクリル系低分子量ポリマーを含む。このように、本粘着剤は、2成分を必須成分としている。すなわち、アクリル系ポリマーにアクリル系低分子量ポリマーを含有させることにより、自着性の高いアクリル系粘着剤を得ることができる。以下に、アクリル系ポリマー及びアクリル系低分子量ポリマーについて詳述する。尚、本明細書における「アクリル系ポリマーをベースポリマーとする」とは、全粘着剤成分(アクリル系低分子量ポリマーを除く)100重量部に対して、アクリル系のポリマーを好適には40重量%以上、より好適には50重量%以上、更に好適には60%以上含有することを指す。
【0017】
アクリル系ポリマー
「アクリル系ポリマー」は、(メタ)アクリル酸エステルを単独で重合又は複数種用いて共重合したものが好適である。尚、共重合させる場合には、前記(メタ)アクリル酸エステルに加え、他の不飽和結合を有するモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド及びその誘導体、イタコン酸及びその誘導体、マレイン酸及びその誘導体、フマル酸及びその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、カルボン酸ビニルエステル等を、一又は複数種類を組み合わせて用いてもよい。ここでいう、「カルボン酸ビニルエステル」のアシル部位は、炭素数2〜4のものが好ましく、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、等が挙げられる。尚、アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とするものが好ましい。ここで、「主成分」とは、ポリマーを構成するモノマー全体に対する重量比が、好適には0.3以上、より好適には0.5以上、更に好適には0.8以上の成分を指す。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、特に限定されないが、直鎖、分岐、環状のものでもよく、炭素数1〜12のものが好適であり、炭素数が2〜12のものが特に好適である。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、等が挙げられる。メチルアクリレート、メチルメタクリレートは、ポリマーの改質が必要なときに用いることができる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルのアルコキシ基は、直鎖、分岐に特に限定されないが、炭素数は1〜4が好ましい。例えば、メトキシメチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、n−プロポキシメチルアクリレート、イソプロポキシメチルアクリレート、n−ブトキシメチルアクリレート、sec−ブトキシメチルアクリレート、t−ブトキシメチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシn−プロピルアクリレート、2−メトキシイソプロピルアクリレート、2−メトキシ−n−ブチルアクリレート、2−メトキシsec−ブチルアクリレート、2−メトキシt−ブチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−メトキシ−n−プロピルメタクリレート、2−メトキシイソプロピルメタクリレート、2−メトキシn−ブチルメタクリレート、2−メトキシsec−ブチルメタクリレート、2−メトキシt−ブチルメタクリレート、等が挙げられる。
【0018】
「アクリル系ポリマー」の重量平均分子量(Mw)は、100000以上が好適であり、200000以上がより好適であり、300000以上が更に好適である。またアクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、−90℃〜−20℃が好適であり、−80℃〜−20℃でさらに好適であり、更に好適には、−50℃〜−20℃である。
【0019】
アクリル系低分子量ポリマー
「アクリル系低分子量ポリマー」は、(メタ)アクリル酸エステルを単独で重合又は複数種用いて共重合したものが好適である。尚、共重合させる場合には、前記(メタ)アクリル酸エステルに加え、他の不飽和結合を有するモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド及びその誘導体、イタコン酸及びその誘導体、マレイン酸及びその誘導体、フマル酸及びその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、カルボン酸ビニルエステル等を一又は複数種類組み合わせて用いてもよい。ここでいう、「カルボン酸ビニルエステル」のアシル部位は、炭素数2〜4のものが好ましく、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、等が挙げられる。尚、アクリル系低分子量ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするものが好ましい。ここで、「主成分」とは、ポリマーを構成するモノマー全体に対する重量比が、好適には0.3以上、より好適には0.4以上、更に好適には0.5、特に好適には0.7以上の成分を指す。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、特に限定されないが、直鎖、分岐、環状のものでもよく、炭素数が1〜12のものが好ましい。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、イソボルニルメタアクリレート等が挙げられる。
【0020】
「アクリル系低分子量ポリマー」の重量平均分子量(Mw)は、1000〜50000の範囲が好適であり、3000〜40000であればより好適であり、4000〜30000であれば更に好適である。またアクリル系低分子量ポリマーのガラス転移温度(Tg)は−30℃以上で好適であり、0℃以上でより好適であり、40℃以上で更に好適である。ガラス転移温度の上限は特に制限されないが、例えば200℃以下である。
【0021】
「アクリル系低分子量ポリマー」の酸価は、好適には50以上であり、より好適には60以上であり、更に好適には70以上である。酸価の上限は特に限定されないが、たとえば780以下である。
【0022】
その他の成分
粘着性付与剤として、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クロマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等の樹脂を添加することができる。また、充填剤として、炭酸カルシウム、亜鉛華(酸化亜鉛)、シリカ、酸価チタン等を添加することができる。その他、軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、ひまし油、綿実油、あまに油、菜種油等を添加することができる。
【0023】
基材
基材は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン等の芳香族ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルローストリアセテート等の合成樹脂からなるフィルム、紙、布、等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン、硬質塩化ビニル、ポリエステル系樹脂等のフィルムが好ましい。基材の厚みは、使用目的に応じて適宜定めることができるが、約20〜60μmの範囲内であることが好ましい。
【0024】
重量平均分子量の測定方法
ポリマー及びオリゴマーの重量平均分子量は、THFを溶媒として用い、スチレン−ジビニルベンゼン系ゲルを充填したカラムを使用したゲルろ過クロマトグラフィーによりポリスチレン換算として求めた。
【0025】
ガラス転移温度の測定方法
アクリル系ポリマー及びアクリル系低分子量ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、個々の成分(重量分率)のホモポリマーのガラス転移温度(℃)(文献値)により、下記式により計算した。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・
Tg:共重合体のガラス転移温度
Tg1:共重合体を構成するモノマーTg1のホモポリマーのガラス転移温度(文献値)
W1:共重合体を構成するモノマーTg1の重量分率
Tg2:共重合体を構成するモノマーTg2のホモポリマーのガラス転移温度(文献値)
W2:共重合体を構成するモノマーTg2の重量分率
ホモポリマーのガラス転移温度は以下の通り。
エチルアクリレート −22℃
n−ブチルアクリレート −54℃
2−エチルヘキシルアクリレート −70℃
2−メトキシエチルアクリレート −50℃
酢酸ビニル 32℃
スチレン 80℃
メチルメタクリレート 105℃
アクリル酸 106℃
【0026】
酸価は、モノマーの組成比より計算される。例えば、BA/AA=50/50のとき、試料1g中にアクリル酸は0.5g存在する。これは約0.007モルである。KOH0.007モルは約390mgであり、酸価は390と計算される。
【0027】
粘着剤
以上で本粘着剤の各成分について詳述したので、次に、本粘着剤について説明する。
【0028】
まず、「アクリル系低分子量ポリマー」の含有量は、「アクリル系ポリマー」100重量部に対して、1.5〜150重量部が好適であり、1.5〜100重量部がより好適であり、1.5〜50重量部で更に好適である。この範囲で粘着剤を調製したとき、特に優れた自着性を有する自着用粘着剤が得られる。
【0029】
ここで、自着力とは、粘着テープの粘着剤面同士を重ね合わせて300mm/分の速度でT字状に剥離するときの抵抗を指す。尚、詳細条件はあとに示す。
【0030】
粘着テープの自着力は、5.0N/12mm以上であることが好適であり、6.0N/12mm以上あればより好適であり、7.0N/12mm以上あれば更に好適である。上限は、特に制限されないが、例えば、30.0N/12mm以下である。
【0031】
<<製造方法>>
アクリル系ポリマーの製造方法
アクリル系ポリマーは、所定のモノマー或いはモノマー混合物を重合或いは共重合することにより得ることができ、その重合方法は特に限定されない。重合形態としては、塊状重合、溶液重合、乳化重合、縣濁重合等が挙げられる。乳化重合で得られるポリマーを用いると、配合する低分子量ポリマーの酸価が高い場合(酸価が60以上)、低分子量ポリマーが(アルカリ)水に溶解するため、配合が容易であり、粘着剤の脱溶剤化が図れる。
【0032】
アクリル系低分子量ポリマーの製造方法
アクリル系低分子量ポリマーは、所定のモノマー或いはモノマー混合物にメルカプタン類等の連鎖移動剤を加え、重合或いは共重合することにより得ることができるが、その重合方法は特に限定されず、所定の重量平均分子量の範囲内の低分子量ポリマーが得られる方法で重合したものを用いることができる。重合形態としては塊状重合、溶液重合、乳化重合、縣濁重合等が挙げられる。溶液重合の場合は連鎖移動剤を用いずに連鎖移動定数の大きい溶剤、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、キシレン等を単独で、又は連鎖移動定数の低い溶剤と混合して重合することもできる。
【0033】
粘着剤の製造方法
本発明に係る自着用粘着剤は、公知の手法により製造可能であり、例えば、アクリル系ポリマー液に所定量のアクリル系低分子量ポリマーを添加、攪拌し製造することができる。
【0034】
自着用粘着テープ片の作成方法
本発明に係る自着用粘着テープは、公知の手法により製造可能であり、例えば、前記の方法により調製した粘着液を、アプリケーターを用いてコロナ処理されたPET#25フィルムに乾燥後厚さが25〜35μmになるように塗布し、100℃で3分間乾燥を行って製造することができる。
【0035】
自着用粘着テープの使用方法
自着用粘着テープは、その用途に特に制限はないが、例えば、生野菜類、生花類、書類、新聞、雑誌等の各種物品を結束するための粘着テープとして、用いることができる。また、該粘着剤を布などを基材として含浸塗布、或いは両面にスプレー塗布等して乾燥、巻き取り、裁断してテープロール状にし、粘着包帯、スポーツ用固定テープ、スポーツ用滑り止めテープ等としても用いることができる。
【実施例】
【0036】
<<製造例>>
製造例1 乳化重合によるアクリル系ポリマーの重合方法(2−EHA/AA=99/1のアクリル系ポリマー)
温度計、コンデンサー、窒素導入管、攪拌機を備えた温度調節可能な反応容器に蒸留水200部、反応型アニオン系界面活性剤(アクアロンKH−10:第一工業製薬(株)製)0.3部、2−エチルヘキシルアクリレート(以下、「2−EHA」とする。)14.85部、アクリル酸(以下、「AA」とする)0.15部を仕込み窒素気流下で80℃まで昇温した後、過硫化カリウム0.6部を蒸留水10部に溶解させた液を滴下し、10分後から2−EHA282.15部、AA2.85部からなるモノマー混合物を反応型アニオン系界面活性剤(アクアロンKH−10:第一工業(株)製)4.2部、蒸留水90部に乳化分散させたモノマー乳化物を2時間で連続的に添加し、さらに80℃で2時間反応を継続し、重合を完結させた後冷却した。完結させたエマルジョンをアンモニア水にてpHを7.5に調整後、金網等で濾過し、固形分50%のアクリル共重合体エマルジョンが得られた。
【0037】
製造例2 溶液重合によるアクリル系ポリマーの重合方法(2−EHA/VAc/AA=85/11/4のアクリル系ポリマー)
2−EHA85重量部、酢酸ビニル(以下「VAc」とする。)11重量部、AA4重量部、酢酸エチル140重量部からなる混合溶液を攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えたフラスコに仕込み、内部を窒素置換しながら、60℃に昇温し、ラウロイルパーオキサイド(重合開始剤)0.5重量部を酢酸エチル10重量部に溶解したものを1時間にわたって滴下し、その後、7時間加熱して40%のアクリル系共重合体を得た。
当該重合体は、Tgが−62℃であり、重量平均分子量は、400000であった。
【0038】
製造例3〜5
上記製造例1又は2記載の方法に従って、そのモノマーの合計を100重量部として表に示す組成に調製し、重合したポリマーを当該粘着テープのアクリル系ポリマーとして用いた。以下の表1にそれらの詳細を示す。尚、EAとは、エチルアクリレート、2−MTAとは、2−メトキシエチルアクリレート、n−BAとは、n−ブチルアクリレート、AAとは、アクリル酸、2−EHAとは、2−エチルヘキシルアクリレート、VAcとは、酢酸ビニルを指す。
【0039】
【表1】

【0040】
製造例6 溶液重合によるアクリル系低分子量ポリマーの重合方法(EA/AA=50/50)
EA50重量部、AA50重量部、t−ブタノール500重量部及び必要に応じて分子量調整剤(連鎖移動剤)として1−ドデカンチオールを所定量(0.01〜0.1重量部)加えた混合溶液を攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えたフラスコに仕込み、内部を窒素置換しながら還流下でラウロイルパーオキサイド(重合開始剤)2重量部をトルエン60重量部に溶解したものを1時間にわたって滴下し、その後7時間加熱し、低分子量ポリマーを得た。
【0041】
製造例7 無溶剤重合によるアクリル系低分子量ポリマーの重合法
モノマー100重量部に対し、光開始剤ダロキュア1173を1重量部、連鎖移動剤として1−ドデカンチオールを1重量部添加した液を混合し、30μmの薄層にした後、密封し、高圧水銀ランプ(80W/cm:周波長帯365mm)が装着されたコンベアーベルトタイプのUV硬化装置を用い、IRスペクトルにてC=C二重結合の吸収がなくなるまで硬化させて低分子量ポリマーを得た。尚、以下の低分子量ポリマーは、当該製造例7又は前記製造例6に準じて製造した。
【0042】
<<自着力の測定方法>>
自着力の測定は、23℃50%RH条件下で行う。粘着テープを幅12mmに裁断し、粘着剤面同士を張り合わせて、2kgのローラーにて1往復圧着し貼り合わせる。張り合わせて30分後、貼り合わせたテープをインストロン型引張り試験機に固定し、速度300mm/分でT型剥離し、そのときの剥離力を自着力とする。
【0043】
<<実施例>>
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量1000〜50000のアクリル系低分子量ポリマーを含有することを特徴とする、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする自着用粘着剤。
【請求項2】
前記アクリル系低分子量ポリマーのガラス転移温度(Tg)が−30℃以上である、請求項1記載の自着用粘着剤。
【請求項3】
前記アクリル系ポリマーに対する前記アクリル系低分子量ポリマーの重量比が、0.015〜1.5である、請求項1又は2記載の自着用粘着剤。
【請求項4】
重量平均分子量1000〜50000のアクリル系低分子量ポリマーを含有する、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする自着用粘着剤であって、前記アクリル系ポリマーが、乳化重合により得られるポリマーであり、アクリル系低分子量ポリマーが、酸価が60以上の低分子量ポリマーである、自着用粘着剤。
【請求項5】
基材上に請求項1〜4のいずれか一項記載の自着用粘着剤が適用された、自着用粘着テープ。
【請求項6】
結束用テープ又はバッグシーリングテープである、請求項5記載の自着用粘着テープ。

【公開番号】特開2008−222814(P2008−222814A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61508(P2007−61508)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000004020)ニチバン株式会社 (80)
【Fターム(参考)】