説明

自走式処理機

【課題】処理装置から排出される処理物を搬出する搬出コンベアの取外し作業および取付け作業を容易に行うことができる自走式処理機を提供する。
【解決手段】左走行装置1および右走行装置2よりも高い位置に配置され、これら左走行装置1および右走行装置2に結合された本体フレーム3と、この本体フレーム3に設置された破砕装置81から排出される木材チップを搬出する搬出コンベア4とを備えた自走式処理機において、搬出コンベア4は、左走行装置1の骨格を成す左走行フレーム20と右走行装置2の骨格を成す右走行フレーム21とを連結する架渡し部22の上方であって、この架渡し部22に左右方向に並んで立設される左支柱23と右支柱24の間に挿入され、地面と平行な挿入方向および引抜方向への移動をガイドするガイド手段を備え、この地面と平行な方向への移動が可能な姿勢で左右の走行装置1,2側に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、破砕装置、粉砕装置、せん断装置、切断装置、攪拌装置、混合器又は、振動スクリーン装置などの処理装置から排出される処理物を搬出する搬出コンベアを備えた自走式処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
自走式処理機は、破砕装置、粉砕装置、せん断装置、切断装置、攪拌装置、混合器又は、振動スクリーン装置などの処理装置によって対象物を処理し、その処理装置から排出される処理物を搬出コンベアによって搬出している。
【0003】
このような自走式処理機に関する従来技術としては、並列して対をなすクローラ式の左走行装置及び右走行装置それぞれの骨格を成す左走行フレームと右走行フレームとを架渡し部で連結し、この架渡し部に左右方向に並んで立設され本体フレームと結合した左支柱と右支柱との間に、本体フレームに設置された処理装置から排出される処理物を搬出する搬出コンベアが挿入されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−284480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自走式処理機においては、処理装置への異物の混入などによる装置の破損に対する修理や部品交換、或いは、処理物の詰まりを解消するための清掃やメンテナンスなどの作業を行う必要がある。このような作業においては、処理装置から搬出コンベアへの処理物の排出部側(例えば、処理装置の下方側)から処理装置にアクセスすることで作業効率が大幅に向上するが、処理装置と搬出コンベアの隙間は非常に狭い場合が多い。
【0006】
上記従来技術に記載の自走式処理機においては、作業時に搬出コンベアを取外すことにより作業空間を確保し、作業後に搬出コンベアを取り付けることにより処理作業を再開することが可能である。
【0007】
しかしながら、上記従来技術においては、搬出コンベアの一端側の下部に設けられた切り欠きを架渡し部に挿入するとともに、他端側を本体フレームに設けられたブラケットに固定ピンによって固定することにより、搬出コンベアを処理物を搬出する搬出姿勢に保つ。このため、搬出コンベアを自走式処理機から引き抜く取外し作業や挿入する取付け作業においては、搬出コンベアを地面に対して平行(水平)にする必要があるため、クレーンによって吊り支えたり上下動させたりする必要があり、搬出コンベアの取外し作業および取付け作業が容易ではなく改善の余地が残されていた。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、処理装置から排出される処理物を搬出する搬出コンベアの取外し作業および取付け作業をより容易に行うことができる自走式処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、左走行フレーム、右走行フレーム、これら左走行フレームと右走行フレームとの間に架渡され前記左走行フレームと前記右走行フレームとを連結する架渡し部、及び、この架渡し部に左右方向に並んで立設される左支柱と右支柱とを有し、並列して対をなすクローラ式の左右の走行装置と、これら左走行装置および右走行装置よりも高い位置に配置され、前記左支柱および前記右支柱に結合された本体フレームと、この本体フレームに設置された処理装置と、この処理装置から搬出される処理物を搬出する搬出コンベアとを備えた自走式処理機において、前記搬出コンベアは、前記架渡し部の上方であって前記左支柱と前記右支柱との間に挿入され、地面と平行な挿入方向および引抜方向への移動をガイドするガイド手段を備え、この地面と平行な方向への移動が可能な姿勢で前記左右の走行装置側に固定されるものとする。
【0010】
このように、搬送コンベアの挿入方向および引抜方向への移動が搬出姿勢を保ったまま地面に平行に行われるよう構成したので、取外し作業および取付け作業における搬出コンベアの姿勢変更等の煩雑な作業を必要とせず、したがって、処理装置から排出される処理物を搬出する搬出コンベアの取外し作業および取付け作業を容易に行うことができる。
【0011】
(2)上記(1)において、前記搬出コンベアは、前記搬出姿勢において、処理物が搬出される下流側にいくに従って高くなる搬送面と、前記挿入方向および引抜方向への移動において、少なくとも前記架渡し部上を通過する部位が前記架渡し部よりも上方に位置する下部構造とを有するものとする。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)において、前記ガイド手段は、前記搬出コンベア及び前記架渡し部の何れか一方に設けられ、前記架渡し部の上方に前記挿入方向及び前記引抜方向に延在するガイドレールと、前記搬出コンベア及び前記架渡し部の何れか他方に設けられ、前記ガイドレールに沿って転動するガイドローラと備えたものとする。
【0013】
(4)上記(1)〜(3)の何れかにおいて、前記搬出コンベアは、前記左支柱と前記右支柱との間に挿入される第1コンベアと、該第1コンベアにより下流側に搬送された処理物をさらに下流側に排出する第2コンベアとからなり、前記第2コンベアは、本体フレームから延設されたブラケットに支持され、このブラケットには、前記第2コンベアを前記第1コンベアの引抜動線上から退避させる退避手段が設けられたものとする。
【0014】
(5)上記(4)において、前記第1コンベアは、少なくとも先端部にキャスターを有する脚部を備えたものとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、処理装置から排出される処理物を搬出する搬出コンベアの取外し作業および取付け作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わるアタッチメント制御装置を備えた油圧ショベルの油圧回路システムの全体構成を概略的に示す図である。
【図2】図1に示した木材破砕機からメンテナンス用ラダー及び制御室を取り外した状態を示す左側面図である。
【図3】図2に示した木材破砕機における第1コンベアの隠れている部分を破線で示す左側面図である。
【図4】図2に示した木材破砕機における第2コンベアを取り付けるブラケットの左側面側を取り除いて示す図である。
【図5】図3に示した第1コンベア及び破砕室とその周辺構成を拡大して示す透視図である。
【図6】図3に示した第1コンベアとその周辺構成を拡大して示す透視図である。
【図7】図6に示した第1コンベアの取外し作業の途中状態を示す図である。
【図8】木材破砕機から取り外した状態の第1コンベアを示す図である。
【図9】図6における第1コンベアや左右の走行フレーム20,21等を図5中の矢示IX−IX方向から見た断面図である。
【図10】図2における第2コンベアを図2中の矢示X−X方向から見た断面図である。
【図11】第2コンベアを上方に移動させた状態を示す図である。
【図12】図11に示した状態から第1コンベアを引き抜いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係る自走式処理機として木材破砕機を例に挙げ、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態に係る木材破砕機100の全体構成を示す左側面図である。図2は図1に示した木材破砕機100からメンテナンス用ラダー及び制御室を取り外した状態を示す左側面図、図3は図2に示した木材破砕機100における第1コンベア5の隠れている部分を破線で示す左側面図、図4は図2に示した木材破砕機100における第2コンベア6を取り付けるブラケット15のうち左側面側(手前側)を取り除いて示す図である。また、図5は、図3に示した第1コンベア5及び破砕室8とその周辺構成を抜き出して示す透視図である。なお、以下において、図1中の左・右に対応する方向を木材破砕機100の前・後、又は一方・他方とする。また、以下において、図1中の木材破砕機100の右側(紙面奥側)に対応する部材は、その符号を括弧内に示す。
【0019】
図1〜図4において、本実施の形態の自走式処理機である木材破砕機100は、自力走行を可能にするクローラ式の左走行装置1及び右走行装置2(後の図9参照)と、破砕対象の廃木材等を投入するための投入ホッパ7と、投入ホッパ7に投入され投入フィーダ(図示せず)により搬送された廃木材等を破砕して木材チップ(処理物)を生成する破砕装置81(処理装置)が配置された破砕室8と、破砕室8の下部に設けられた排出口82(図5参照)から排出される木材チップを搬出する搬出コンベア4と、木材破砕機100の各構成を駆動するための動力源であるエンジンや油圧ポンプ等のパワーユニットが格納された機械室10と、左走行装置1及び右走行装置2に結合され破砕室8や機械室10等を支持する本体フレーム3とによって概略構成されており、配電盤や操作盤が格納された制御室11やメンテナンス用ラダー12,13などが設けられている。
【0020】
搬出コンベア4は、破砕室8下部の排出口82から排出される木材チップを受け止めて後方へ搬送する第1コンベア5と、第1コンベア5の後方から落下した木材チップを受け止めて後方斜め上方に搬送し搬出する第2コンベア6とを備えている。搬送コンベア4を構成する第1コンベア5および第2コンベア6のそれぞれの下流側端部に設けられた駆動輪の回転軸は、軸受よりも幅方向外側に設けた図示しない駆動装置の出力軸にカップリング等を介して連結されており、その駆動装置で駆動輪を回転駆動させることにより、駆動輪及び従動輪の間で搬送体を循環駆動させるようになっている。
【0021】
図6は、図3に示した第1コンベア5とその周辺構成を拡大して示す透視図であり、図9は図6における第1コンベア5や左右の走行装置1,2等を矢示IX−IX方向から見た断面図である。
【0022】
図9に示すように、本実施の形態の木材破砕機100は、左走行装置1の骨格を成す左走行フレーム20と、右走行装置2の骨格を成す右走行フレーム21と、左走行フレーム20と右走行フレーム21との間に架渡され、それら左走行フレーム20と右走行フレーム21とを連結する1つ以上(本実施の形態では2つ)の架渡し部22と、架渡し部22のそれぞれに左右方向に並んで立設され、本体フレーム3と結合した左支柱23及び右支柱24とを備えている。本実施の形態では、架渡し部22、左支柱23、及び右支柱24の組み合わせが前後方向に並べて2箇所に配置されている。
【0023】
架渡し部22、左支柱23および右支柱24は、断面形状が略矩形で全体が直線状に延びた鋼管から構成されている。架渡し部22は溶接により左走行フレーム20と右走行フレーム21とに固着されており、左支柱23および右支柱24は溶接により架渡し部22の上面と本体フレーム3の下面とに固着されている。側面視において、架渡し部22が左走行フレーム20と右走行フレーム21とに対して重なって位置している。
【0024】
第1コンベア5は、架渡し部22と本体フレーム3との間、及び、左支柱23と右支柱24との間に後方から前方に向かって挿入されており、第1コンベア5の骨格を成すコンベアフレーム5aの前端側は前側の架渡し部22上に載置され、後端側は後ろ側の架渡し部22上に載置されている。コンベアフレーム5aにおいて、破砕装置81からの木材チップを受けて搬送する上部側(処理物の搬送面側)は、下流(後方)に行くに従って高くなるよう形成されており、コンベアフレーム5aの下部は、地面に沿う方向(地面と平行な方向)に平坦に構成されている。つまり、第1コンベア5は、搬出姿勢において、木材チップ(処理物)が搬出される下流側にいくに従って高くなる搬送面と、挿入方向(後方から前方へ向かう方向)および引抜方向(前方から後方へ向かう方向)への移動において、少なくとも架渡し部22上を通過する部位が架渡し部22よりも上方に位置する下部構造とを有している。
【0025】
架渡し部22の上方であって第1コンベア5の左右両側位置には、前後方向に延在する左ガイドレール50および右ガイドレール52が設けられている。また、第1コンベア5の左右両側面下部には、左ガイドレール50に沿って転動する複数(本実施の形態では3つ)のガイドローラ30,31,32、および右ガイドレール52に沿って転動する複数(本実施の形態では3つ)のガイドローラ33,34,35が前後方向に並べて設けられている。ガイドローラ30〜35は、第1コンベア5左右の対応する位置に設けられており、第1コンベア5の左側に設けられたガイドローラ30,31,32の反対側、すなわち、第1コンベア5の右側の対応する位置にガイドローラ33,34,35がそれぞれ配置されている。ガイドローラ30,31,32のうちの少なくとも2つは、第1コンベア5の重心を前後方向に挟むように設けられている。したがって、ガイドローラ33,34,35についても同様である。ガイドレール50,52に沿ってガイドローラ30〜35が転動することにより、第1コンベア5の挿入方向(後方から前方へ向かう方向)及び抜出方向(前方から後方へ向かう方向)への移動、つまり、前後方向への移動は、木材チップ(処理物)を搬出するときの搬出姿勢を保ったまま地面に沿う方向(地面と平行な方向)に行われる。
【0026】
図9に示すように、ガイドレール50,52の断面形状は、ガイドローラ30〜35を上下および第1コンベア5の外側方向から囲む形状を有しており、ガイドローラ30〜35の上下方向および左右方向への脱輪が抑制され、第1コンベア5の前後方向への移動がガイドレール50,52に沿って円滑に行われる。
【0027】
ガイドレール50,52の後端部には、ブラケット51,53が設けられている。また、第1コンベア5のコンベアフレーム5aの後端部の左右側面には、ブラケット51,53と対応する位置に孔部54,55が設けられており、第1コンベア5はこの孔部54,55を介してブラケット51,53に固定ピンによって固定される。
【0028】
図7は、図6に示した第1コンベア5を後方向へ移動させて引き抜いている様子を示す図であり、図8は第1コンベア5を完全に引き抜いた様子を示す図である。
【0029】
図7及び図8に示すように、第1コンベア5には、コンベアフレーム5aに前後方向に並んで設けられた接地可能な第1脚部40及び第2脚部41が設けられている。第1脚部40及び第2脚部41は、それぞれ、左右一対で構成されている。なお、図7及び図8において、コンベアフレーム5aの右側部に設けられた第1脚部40及び第2脚部41の構成については図示を省略する。第1脚部40及び第2脚部41は、第1コンベア5の重心を前後方向に挟むように設けられている。
【0030】
第1脚部40の先端部にはキャスター40aが設けられている。また、第1脚部40の基端部はコンベアフレーム5aに軸支されていて、これにより第1脚部40が回動可能になっている。コンベアフレーム5aの右側部にも同様の構成を有する脚部が設けられている。第1脚部40の姿勢は、第1脚部40を使用するとき、すなわち接地させるときは、図7及び図8に示すように基端部から開いて接地姿勢で固定し、第1脚部40を使用しないとき、すなわち接地させないときは、基端部からコンベアフレーム5a側に折りたたんで収納姿勢として固定する。
【0031】
第2脚部41についても第1脚部40と同様の構成を有している。すなわち、第2脚部41の先端部にはキャスター41aが設けられている。また、第2脚部41の基端部はコンベアフレーム5aに軸支されていて、これにより第2脚部41が回動可能になっている。第2脚部41姿勢は、第2脚部41を使用するとき、すなわち接地させるときは、図7及び図8に示すように基端部から開いて接地姿勢で固定し、第2脚部41を使用しないとき、すなわち接地させないときは、基端部からコンベアフレーム5a側に折りたたんで収納姿勢として固定する。
【0032】
図10は、図2における第2コンベア6を図2中の矢示X−X方向から見た断面図である。
【0033】
第2コンベア6は、本体フレーム3から後方に延設されたブラケット15に支持されている。第1コンベア5は第2コンベア6よりも幅寸法が広く設定されている。第1コンベア5の後端から第2コンベア6の前端への木材チップの流下は、第2コンベア6の前端部の両側部に設けられた左右で一対のガイド板(図示せず)により第2コンベア6上に案内される。第2コンベア6における搬送路上方には、木材チップの飛散を防止するコンベアカバー60が設けられている。第2コンベア6の骨格を成すコンベアフレーム6aは、本体フレーム3から後方に延設されたブラケット15に支持されており、第1コンベア5からの木材チップ(処理物)を後方斜め上方に搬出する姿勢に支持されている。図4に示すように、ブラケット15における第2コンベア6の支持部は、木材チップの搬送方向に延在するコンベアフレーム6aに沿って設けられている。
【0034】
ブラケット15の上方であって第2コンベア6の左右両側下部には、第2コンベアにおける木材チップの搬送方向に沿って延在する左ガイドレール66および右ガイドレール67が設けられている。また、第2コンベア6の左右両側面下部には、左ガイドレール66に沿って転動する複数(本実施の形態では1つのみ図示)のガイドローラ68、および右ガイドレール67に沿って転動する複数(本実施の形態では1つのみ図示)のガイドローラ69が前後方向に並べて設けられており、ガイドレール66,67に沿ってガイドローラ68,69が転動することにより、第2コンベア6は木材チップの搬送方向に沿って斜め上方向、或いは斜め下方向に移動させる。ガイドレール67,68の断面形状は、ガイドローラ68,69を下側および外側方向から囲む形状を有しており、ガイドローラ68,69の左右方向への脱輪が抑制され、第2コンベア6の移動がガイドレール50,52に沿って確実に行われる。
【0035】
また、第2コンベア6には、ブラケット15に固定されたガイドレール66,67と第2コンベア6のコンベアフレーム6aとに接続された油圧シリンダ62,63が設けられており、そのボトム62a,63a側はブラケット64,65によりガイドレール66,67にそれぞれ固定され、ロッド62b,63b側は第2コンベア6の前端部、つまり搬出における上流側の端部に固定されている。そして、図示しない油圧回路によって油圧シリンダ62,63を伸縮させることにより、第2コンベア6はブラケット15に対して木材チップの搬送方向に沿って移動される。これにより、第2コンベア6が木材チップの搬送時の位置(図1等参照)から斜め上方の位置(後の図11参照)に移動され、第1コンベア5が後方向に移動されて木材破砕機から引き抜かれるときの引抜動線上から退避される。
【0036】
以上において、ガイドレール50,52、及び、ガイドローラ30〜35は、第1コンベア5の地面と平行な挿入方向および抜出方向への移動をガイドするガイド手段を構成し、左右ガイドレール66,67、ガイドローラ68,69、及び、油圧シリンダ62,63は、第2コンベア6を第1コンベア5の引抜動線上から退避させる移動手段である退避手段を構成する。
【0037】
次に、以上のように構成した本実施の形態の木材破砕機100における搬出コンベアの取外し作業、及び取付け作業について図面を参照しつつ説明する。図11及び図12は、第1コンベア5の取外し作業及び取付け作業の様子を示す図であり、図11は第2コンベア6を斜め上に持ち上げた状態を、図12は図11に示した準備状態から第1コンベア5を引き抜いた状態をそれぞれ示す図である。なお、次の説明において、左右の第1脚部40及び第2脚部41において使い方は同じであるので、左右個別の説明については詳述を省略する。また、ガイドローラ30〜35は左右で同様に動作するので、個別の説明については省略する。
【0038】
<取外し作業>
まず、油圧配管等、取外し作業における搬出コンベア4の移動の障害になる部品を取り外す。次に、第2コンベア6の油圧シリンダ62,63を縮ませて、図11に示すように、第2コンベア6を後斜め上方に持ち上げる。これにより、第2コンベア6は、第1コンベア5が引き抜かれるときの引抜動線上から退避した状態となる。次に、孔部54,55及びブラケット51,53から固定ピンを抜き取る。次に、第1コンベア5を後方向に引っ張ることで第1脚部40を開いて接地姿勢に出来る位置(本実施の形態では、ガイドローラ30,33が左右ガイドレール50,52の後端部となる位置)まで引き出し、第1脚部40を接地姿勢にして固定する。次に、第1コンベア5を後方向に引っ張ることで第2脚部41を開いて接地姿勢に出来る位置(本実施の形態では、ガイドローラ31,34とガイドローラ32,33の間がガイドレール50,52の後端部となる位置)まで引き出し、第2脚部41を接地姿勢にして固定する(図7参照)。その後、第1コンベア5を図12に示すように引き抜き、搬出コンベア4の取外し作業が完了する。なお、ガイドローラ30〜35は、第1コンベア5の引抜開始から引抜完了までの間、左右ガイドレール50,52に沿って第1コンベア5の後方向への移動に伴って転動する。
【0039】
<取付け作業>
まず、第1脚部40及び第2脚部41を接地姿勢にして固定した第1コンベア5を本体フレーム3の後方に配置した後(図11参照)、第1脚部40及び第2第2脚部41のキャスター40a,41aを利用して第1コンベア5を前方向に移動させ、後側の架渡し部22と本体フレーム3の間に第1コンベア5の前端部を挿入する。次に、第1コンベア5の前側のガイドローラ32,35がガイドレール50,52上に配置され、第2脚部41を折りたたんで収納姿勢に出来る位置(本実施の形態では、ガイドローラ32,35とガイドローラ31,34の間がガイドレール50,52の後端部となる位置)まで挿入し(図7参照)、第2脚部41を収納姿勢にして固定する。次に、次に、第1コンベア5を前方に移動させることで第1脚部40を折りたたんで収納姿勢に出来る位置(本実施の形態では、ガイドローラ30,33が左右ガイドレール50,52の後端部となる位置)まで挿入し、第1脚部40を収納姿勢にして固定する。その後、木材チップの搬出動作を行う位置(図6等参照)まで挿入したところで、孔部54,55及びブラケット51,53に固定ピンを挿入する。次に、第2コンベア6の油圧シリンダ62,63を伸ばして、図1に示すように、第2コンベア6を木材チップの搬出動作を行う位置に移動する。そして、油圧配管等の部品を取り付け、搬出コンベア4の取付け作業が完了する。
【0040】
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
【0041】
本実施の形態の自走式処理機である木材破砕機においては、破砕装置81(処理装置)への異物の混入などによる装置の破損に対する修理や部品交換、或いは、処理物の詰まりを解消するための清掃やメンテナンスなどの作業を行う必要があり、このような作業においては、破砕装置81の木材チップの排出口82から破砕装置81にアクセスすることで作業効率を高めている。このように、排出口82から破砕装置81にアクセスする場合、破砕装置81と搬出コンベア4の隙間は非常に狭い場合が多く、作業時には搬出コンベア4を取外すことにより排出口82側に作業空間を確保している。
【0042】
例えば、特許文献1に記載の従来技術においては、搬出コンベアの一端側の下部に設けられた切り欠きに架渡し部に挿入するとともに、他端側を本体フレームに設けられたブラケットに固定ピンによって固定することにより、搬出コンベアを処理物を搬出する搬出姿勢に保っているので、搬出コンベアを自走式処理機から引き抜く取外し作業や挿入する取付け作業においては、重量のある搬出コンベアをクレーンによって支えたり上下動させたりする煩雑な作業が必要であり、したがって、搬出コンベアの取外し作業および取付け作業が容易ではなかった。
【0043】
これに対し、本実施の形態においては、左走行フレーム20と右走行フレーム21との間に架渡され左走行フレーム20と右走行フレーム21とを連結する架渡し部22の上方に挿入された搬送コンベア4の第1コンベア5の前後方向への移動が、木材チップを搬出するときの搬出姿勢を保ったまま地面に沿う方向(地面と平行な方向)に行われるようにガイドするガイド手段を設けたので、処理装置である破砕装置81から排出される処理物である木材チップを搬出する搬出コンベア4の取外し作業および取付け作業を容易に行うことができる。
【0044】
なお、本実施の形態において、ガイドローラ30〜35は第1コンベア5側に設けられ、左右ガイドレール50,52は架渡し部22側に設けられ手いる場合について説明したが、これに限られず、例えば、ガイドローラを架渡し部22側に設け、左右ガイドレールを第1コンベア5側に設けた構成としても良い。
【0045】
また、本実施の形態においては、処理装置として破砕装置を示して説明したが、これに限られず、破砕装置に代えて粉砕装置、せん断装置、切断装置、攪拌装置、混合器、或いは、振動するクリーン装置を用いる場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 左走行装置
2 右走行装置
3 本体フレーム
4 搬出コンベア
5 第1コンベア
5a コンベアフレーム
6 第2コンベア
6a コンベアフレーム
7 投入ホッパ
8 破砕室
10 機械室
11 制御室
12,13 メンテナンス用ラダー
15 ブラケット
20 左走行フレーム
21 右走行フレーム
22 架渡し部
23 左支柱
24 右支柱
30〜35 ガイドローラ
40 第1脚部
40a キャスター
41 第2脚部
41a キャスター
50,52ガイドレール
51,53 ブラケット
54,55 孔部
60 コンベアカバー
62,63 油圧シリンダ
62a,63a ボトム
62b、63b ロッド
64,65 ブラケット
66,67 ガイドレール
68,69 ガイドローラ
81 破砕装置
82 排出口
100 木材破砕機(自走式処理機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左走行フレーム、右走行フレーム、これら左走行フレームと右走行フレームとの間に架渡され前記左走行フレームと前記右走行フレームとを連結する架渡し部、及び、この架渡し部に左右方向に並んで立設される左支柱と右支柱とを有し、並列して対をなすクローラ式の左右の走行装置と、
これら左走行装置および右走行装置よりも高い位置に配置され、前記左支柱および前記右支柱に結合された本体フレームと、
この本体フレームに設置された処理装置と、
この処理装置から搬出される処理物を搬出する搬出コンベアとを備えた自走式処理機において、
前記搬出コンベアは、前記架渡し部の上方であって前記左支柱と前記右支柱との間に挿入され、地面と平行な挿入方向および引抜方向への移動をガイドするガイド手段を備え、この地面と平行な方向への移動が可能な姿勢で前記左右の走行装置側に固定されることを特徴とする自走式処理機。
【請求項2】
請求項1記載の自走式処理機において、
前記搬出コンベアは、前記搬出姿勢において、処理物が搬出される下流側にいくに従って高くなる搬送面と、前記挿入方向および引抜方向への移動において、少なくとも前記架渡し部上を通過する部位が前記架渡し部よりも上方に位置する下部構造とを有することを特徴とする自走式処理機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の自走式処理機において、
前記ガイド手段は、
前記搬出コンベア及び前記架渡し部の何れか一方に設けられ、前記架渡し部の上方に前記挿入方向及び前記引抜方向に延在するガイドレールと、
前記搬出コンベア及び前記架渡し部の何れか他方に設けられ、前記ガイドレールに沿って転動するガイドローラと
備えたことを特徴とする自走式処理機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載の自走式処理機において、
前記搬出コンベアは、前記左支柱と前記右支柱との間に挿入される第1コンベアと、該第1コンベアにより下流側に搬送された処理物をさらに下流側に排出する第2コンベアとからなり、
前記第2コンベアは、本体フレームから延設されたブラケットに支持され、このブラケットには、前記第2コンベアを前記第1コンベアの引抜動線上から退避させる退避手段が設けられることを特徴とする自走式処理機。
【請求項5】
請求項4記載の自走式処理機において、
前記第1コンベアは、少なくとも先端部にキャスターを有する脚部を備えたことを特徴とする自走式処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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