説明

自走推進船

本発明は、船側電力網(5)と、主給電バス(11)と、推進手段(3)と、推進手段(3)を駆動するモータ(4)と、これらに電気を供給する手段とを備える自走推進船に関する。本発明によれば、供給手段は、船側電力網(5)と前記電動モータ(4)の両方の公称給電を、その公称充電状態において前記バス(11)を介して少なくとも一時的に提供する大きさの容量を有する電気キャパシタ群(10)と、船上に配置され、入港地および/または出港地での停泊中にキャパシタをその公称充電状態まで再充電するとともに第1の電力網(5)に給電する目的で、電気キャパシタ群(10)を船の入港地および/または出港地に配置された別の電力網に接続する電気接続手段(25)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走推進船に関する。
【0002】
本発明は、特に出港地と入港地との間にある所定距離に亙り航行するよう指定される自走推進船に関する。
【背景技術】
【0003】
この種の船は、例えば海洋フェリーあるいは河川フェリーである。この船は、例えば旅客や貨物を移送するフェリー種あるいは何らかの他の船舶である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/012079号
【特許文献2】欧州特許第1341694号(B)
【特許文献3】欧州特許出願公開第1531125号(A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自走推進船の一つの問題は、その二酸化炭素排出痕と化石燃料のコストとである。
【0006】
事実、船は通常ディーゼルエンジンで作動する。
【0007】
ディーゼルエンジンに対する数多くの代替システムが、船舶用に知られている。
【0008】
国際公開第2005/012079号文献(特許文献1)には、帆に配置された光起電力セルと、これに加えセルが収集した電気を蓄える電池および/またはキャパシタもまた備える船が記載されている。この船は、ディーゼルエンジンの付いていない娯楽用帆船種であり、定期運行するフェリー等の大型船の規模にまで一般化はできない。
【0009】
欧州特許第1341694号(B)文献(特許文献2)は、主ディーゼルエンジンと、別のディーゼルエンジンが備わる発電機セットにより電気を供給される電動モータとを備える船に関するものである。
【0010】
欧州特許出願公開第1531125号(A)文献(特許文献3)には、その推進用にディーゼルエンジンと燃料電池とにより給電される電動モータを配設した船が記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、その推進用に内燃機関を一部あるいは全部不要とする船の入手を目指すものである。
【0012】
このため、本発明の第1の目的は、出港地と入港地との間にある所定距離に亙って航行するよう指定される自走推進船に関し、この船が、少なくとも第1の船側電力網と、少なくとも1つの主給電バスと、推進手段と、前記推進手段を駆動する少なくとも1つの駆動モータと、前記主給電バスを介して第1の船側電力網と前記少なくとも1つの駆動モータとに電気を供給する給電手段とを備え、
給電手段が、
所定距離に亙る少なくとも1つの第1の船側電力網の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータの公称給電の両方の少なくとも5%に等しい比率分を、その公称充電状態において提供するような大きさの容量を有し、前記主給電バスを介する前記所定距離に亙る航行を可能とする少なくとも1つの電気キャパシタ群と、
入港地および/または出港地での停泊中にキャパシタをその公称充電状態に再充電するとともに第1の船側電力網に給電する目的で、船上に配置され、電気キャパシタ群を船の入港地および/または出港地に配置された他の電力網に接続する電気接続手段とを備える。
【0013】
本発明はまた、出港地と入港地との間にある所定距離に亙って航行するよう指定される自走推進船に関し、この船が、少なくとも第1の船側電力網と、少なくとも1つの主給電バスと、推進手段と、前記推進手段を駆動する少なくとも1つの駆動モータと、前記主給電バスを介して第1の船側電力網と前記少なくとも1つの駆動モータとに電気を供給する給電手段とを備え、
給電手段が、
所定距離に亙る少なくとも1つの第1の船側電力網の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータの公称給電の両方の少なくとも25%に等しい比率分を、その公称充電状態において提供するような大きさの容量を有し、前記主給電バスを介する前記所定距離に亙る航行を可能にする少なくとも1つの電気キャパシタ群と、
入港地および/または出港地での停泊中にキャパシタをその公称充電状態に再充電するとともに第1の船側電力網に給電する目的で、船上に配置され、電気キャパシタ群を船の入港地および/または出港地に配置された他の電力網に接続する電気接続手段とを備える。
【0014】
本発明はまた自走推進船に関し、この船は、少なくとも第1の船側電力網(5)と、少なくとも1つの主給電バス(11,104)と、推進手段(3)と、前記推進手段(3)を駆動する少なくとも1つの駆動モータ(4,1004)と、前記主給電バス(11,104)を介して第1の船側電力網(5)と前記少なくとも1つの駆動モータ(4,1004)とに電気を供給する給電手段とを備え、
給電手段が、
所定距離に亙る前記少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方を、その公称充電状態において提供するような大きさの容量を有し、前記主給電バス(11,104)を介して所定距離の航行を可能にする1つの電気キャパシタ群(10)と、
入港地および/または出港地での停泊中にキャパシタをその公称充電状態に再充電するとともに第1の船側電力網に給電する目的で、船上に配置され、電気キャパシタ群(10)を船の入港地および/または出港地に配置された別の電力網に接続する電気接続手段(25,111)とを備える。
【0015】
本発明はまた自走推進船に関し、この船は、少なくとも第1の船側電力網(5)と、少なくとも1つの主給電バス(11,104)と、推進手段(3)と、前記推進手段(3)を駆動する少なくとも1つの駆動モータ(4,1004)と、前記主給電バス(11,104)を介して第1の船側電力網(5)と前記少なくとも1つの駆動モータ(4,1004)とに電気を供給する給電手段とを備え、
給電手段が、
前記少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記主給電バス(11,104)を介する前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方を、その公称充電状態において少なくとも一時的に提供できるような大きさの容量を有する1つの電気キャパシタ群(10)と、
入港地および/または出港地での停泊中にキャパシタをその公称充電状態に再充電するとともに第1の船側電力網(5)に給電する目的で、船上に配置され、電気キャパシタ群(10)を船の入港地および/または出港地に配置された別の電力網に接続する電気接続手段(25,111)とを備える。
【0016】
本発明はまた自走推進船に関し、この船は、少なくとも第1の船側電力網(5)と、少なくとも1つの主給電バス(11,104)と、推進手段(3)と、前記推進手段(3)を駆動する少なくとも1つの駆動モータ(4,1004)と、前記主給電バス(11,104)を介して第1の船側電力網(5)と前記少なくとも1つの駆動モータ(4,1004)とに電気を供給する給電手段とを備え、
給電手段が、
前記主給電バス(11,104)を介して前記少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記主給電バス(11,104)を介する前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方を、例えば5ノットとされる特定の速度以下の船の航行速度に合わせ、その公称充電状態において提供できるような大きさの容量を有する1つの電気キャパシタ群(10)と、
入港地および/または出港地での停泊中にキャパシタをその公称充電状態に再充電するとともに第1の船側電力網に給電する目的で、船上に配置され、電気キャパシタ群(10)を船の入港地および/または出港地に配置された別の電力網に接続する電気接続手段(25,111)とを備える。
【0017】
例えば、前記少なくとも1つの電気キャパシタ群は、前記少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方の100%を、その公称充電状態において供給するような大きさの容量を有し、例えば港湾内や入出港水路(地域ごとの規制は除く)と300mの潮間帯(高潮線から計測)において、前記主給電バス(11,104)を介して例えば5ノット台の規制を課された特定の速度制限に従う航行を可能にする。
【0018】
本発明の実施形態によれば、
−船上の接続手段は、出港地および/または入港地での船の接岸中に出港地および/または入港地に配置された機械的手段が担持する外部導体との接触状態に置き、高さの差を補償するとともに出港地および/または入港地での船と埠頭との間の距離を補償し、船と埠頭との間の電気的な接触を確立することのできる導体を備える。
【0019】
−あるいは、船上の接続手段は、出港地および/または入港地での船と埠頭との間の高さの差を補償するとともに船と埠頭との間の距離を補償するよう構成され、かつ出港地および/または入港地での船の接岸時に埠頭に配設された導電体との電気的な接触状態に置かれるよう構成した機械的手段が担持する導体を備える。
【0020】
−船の接続手段の導体は、出港地および/または入港地での接岸時に、出港地および/または入港地に配置された少なくとも1つのパンタグラフが担持する外部導体との接触状態に置かれるよう構成され、パンタグラフは高さの差を補償するとともに出港地および/または入港地での船と埠頭との間の距離を補償し、船と埠頭との間の電気的な接触を確立できるようにした。
【0021】
−電気接続手段は、入港地および/または出港地での停泊中にキャパシタをその公称充電状態に再充電するとともに第1の船上電力網と少なくとも1つの電動駆動モータとに給電する目的で、船上に配置され、電気キャパシタ群を船の入港地および/または出港地に配置された別の電力網に接続する。
【0022】
−キャパシタ群は、スーパーキャパシタ型である。
【0023】
−給電手段は、船側貯蔵燃料を供給される少なくとも1つの内燃機関により駆動される支援および緊急用途の少なくとも1つの発電機を備える。
【0024】
−電気キャパシタ群は、所定距離に亙る少なくとも1つの船側電力網の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータの公称給電の両方の少なくとも50%に等しい比率分を、その公称充電状態において提供する大きさの容量を有し、前記主給電バスを介して所定距離に亙る航行を可能にする。
【0025】
−電気キャパシタ群は、所定距離に亙る少なくとも1つの第1の船側電力網の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータの公称給電の両方の100%以上の比率分を、その公称充電状態において提供する大きさの容量を有し、前記主給電バスを介して所定距離に亙る航行を可能にする。
【0026】
−電気キャパシタ群は、所定距離に亙る少なくとも1つの第1の船側電力網の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータの公称給電の両方の130%以上の比率分を、その公称充電状態において提供する大きさの容量を有し、前記主給電バスを介して所定距離に亙る航行を可能にする。
【0027】
−電気キャパシタ群は、所定距離に亙る少なくとも1つの第1の船側電力網の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータの公称給電の両方の260%以上の比率分を、その公称充電状態において提供する大きさの容量を有し、前記主給電バスを介して所定距離に亙る航行を可能にする。
【0028】
−電気キャパシタ群は、下記の値Emin以上の値を有する貯蔵エネルギをその公称充電状態において供給するよう所定の容量を持たせてあり、
【数1】

ここで、
L=船の水面下船体の喫水線の長さ[m]、
B=船の水面下船体の喫水線の幅[m]、
T=船の満載時喫水[m]、
V=船がその最大排水量にあるときに維持することのできる最大運行速度[m/s]、
ρ=水の質量密度[トン/m]、
DSPL=船の満載時排水量[m]、
=ブロック係数=DSPL/(L×B×T)、
wp=浮力係数
=満載時喫水面積[m]、
wp=A/(L×B)、
=主断面係数=主横断面積/(B×T)、
主横断面積=満載時の喫水線以下の船の最大横断面積[m]、
D=所定距離[m]、
min[ジュール]は、船の各船体ごとに定義され、複数船体の船の場合、全蓄積エネルギは各船体ごとに規定されるエネルギの総和に等しい。
【0029】
−キャパシタ群は複数のモジュールの形をしており、各モジュールがスーパーキャパシタ型の構成要素を収容していて、各モジュールが10Fを超える等価容量を形成するようにした。
【0030】
−キャパシタ群は複数のモジュールの形をしており、各モジュールがスーパーキャパシタ型の構成要素を収容していて、各モジュールが少なくとも25Vの公称充電電圧を有するようにした。
【0031】
−キャパシタ群は複数のモジュールの形をしており、各モジュールがスーパーキャパシタ型の構成要素を収容していて、各モジュールが少なくとも100Vの公称充電電圧を有するようにした。
【0032】
−スーパーキャパシタは、100,000以上のサイクル数を上回る公称許容サイクル数を有する。
【0033】
−キャパシタ群は、幾つかのモジュールを直列に接続する手段を備える。
【0034】
−キャパシタ群は、複数の分岐線と、分岐線を並列に接続する手段とを備え、各分岐線は直列に接続可能な幾つかのモジュールを備える。
【0035】
−船には、ゼロ充電状態から10分以下の時間内にキャパシタ群を公称充電状態に到達させることのできる規模の電気回路手段を配設した。
【0036】
−キャパシタ群は少なくとも1つの直流−交流コンバータの第1の直流側に接続された前記直流バスに接続され、このコンバータの交流側が前記少なくとも1つの電動駆動モータと前記第1の船側電力網とに接続され、これらに交流を供給し、直流バスはまた少なくとも1つの他の直流−交流コンバータの第1の直流側に接続され、このコンバータの第2の交流側が外部交流電源接続用の入力導体に接続され、キャパシタを再充電する。
【0037】
−あるいは、キャパシタ群は少なくとも第1の直流−直流コンバータの第1の直流側に接続され、このコンバータの第2の直流側が前記少なくとも1つの直流−交流コンバータの第1の直流側に接続された前記直流バスに接続され、このコンバータの交流側が前記少なくとも1つの電動駆動モータと前記第1の船側電力網とに接続され、これらに交流を供給し、直流バスはまた少なくとも1つの直流−直流コンバータの第1の直流側に接続され、このコンバータの第2の直流側が外部直流電源への接続用の入力導体に接続され、キャパシタを再充電する。
【0038】
−あるいは、キャパシタ群は少なくとも1つの直流−交流コンバータの第1の直流側に接続され、このコンバータの第2の交流側が前記交流バスに接続され、キャパシタ群はまた少なくとも1つの直流−交流コンバータの第1の直流側に接続され、このコンバータの第2の交流側が外部交流電源への接続用の入力導体に接続され、キャパシタを再充電するとともに船側電力網に給電し、交流バスは第1の船側電力網に直接接続され、交流バスは少なくとも1つの交流−交流コンバータの第1の交流側に接続され、このコンバータの第2の交流側が前記少なくとも1つの電動駆動モータに接続され、これに交流を供給する。
【0039】
−あるいは、キャパシタ群は少なくとも1つの直流−直流コンバータの第1の直流側に接続された前記直流バスに接続され、このコンバータの第2の直流側が少なくとも1つの直流電動駆動モータに接続され、これに直流を給電し、直流バスはまた少なくとも第1の直流−交流コンバータの第1の直流側に接続され、このコンバータの交流側が前記第1の船側電力網に接続され、これに交流を供給し、直流バスはまた少なくとも1つの他の直流−交流コンバータの第1の直流側に接続され、このコンバータの第2の交流側が外部交流電源への接続用の入力導体に接続され、キャパシタを再充電する。
【0040】
−あるいは、キャパシタ群は少なくとも第1の直流−交流コンバータの第1の直流側に接続され、このコンバータの第2の交流側が前記交流バスに接続され、キャパシタ群はまた少なくとも第2の直流−交流コンバータの第1の直流側に接続され、このコンバータの第2の交流側が外部交流電源への接続用の入力導体に接続され、キャパシタを再充電するとともに船側電力網に給電し、交流バスは少なくとも1つの交流−直流コンバータの第1の交流側に接続され、このコンバータの第2の直流側が前記少なくとも1つの直流電動駆動モータに接続され、これに直流を供給する。
【0041】
−キャパシタ群(10)は少なくとも1つの直流−直流コンバータ(41)の第1の直流側(42)に接続され、このコンバータの第2の直流側(43)が前記少なくとも1つの直流−交流コンバータ(13,16,19)の第1の直流側(12,15,18)に接続された前記直流バス(11)に接続され、このコンバータの交流側(14,17,20)が前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4)と前記第1の船側電力網(5)とに接続され、これらに交流を供給し、直流バス(11)はまた少なくとも1つの他の直流−交流コンバータ(23)の第1の直流側(22)に接続され、このコンバータの第2の直流側(24)が外部交流電源(100,S)への接続用の入力導体(25)に接続され、キャパシタを再充電する。
【0042】
−あるいは、キャパシタ群(10)は少なくとも1つの直流−直流コンバータ(41)の第1の直流側(42)に接続され、このコンバータの第2の直流側(43)が少なくとも1つの直流−直流コンバータ(1005,1006)の第1の直流側に接続された前記直流バス(11)に接続され、このコンバータの第2の直流側が前記少なくとも1つの電動駆動モータ(1004)に接続され、これに交流を供給し、直流バス(11)はまた少なくとも第1の直流−交流コンバータ(13)の第1の直流側(12)に接続され、このコンバータの交流側(14)が前記第1の船側電力網(5)に接続され、これに交流を供給し、直流バス(11)はまた少なくとも1つの他の直流−交流コンバータ(23)の第1の直流側(22)に接続され、このコンバータの第2の交流側(24)が外部交流電源(100,S)への接続用の入力導体(25)に接続され、キャパシタを再充電する。
【0043】
−あるいは、バス(11)は直流を搬送し、キャパシタ群(10)は、少なくとも1つの直流−直流コンバータ(41)を介してバス(11)に接続してある。
【0044】
−船上の前記電気接続手段はその接岸領域近傍に配置され、出港地および/または入港地にとどまる相補的導体との接触状態に置いてキャパシタが再充電できるようにした導体を備える。
【0045】
−船のいわゆる高速コネクタは、船の接岸時に出港地および/または入港地に配置されたアームおよび/または可動パンタグラフが担持する前記外部導体と接触状態に置けるよう構成してある。
【0046】
−出港地近傍の所定位置に保持されるパンタグラフは、出港地および/または入港地での接岸時に船の接岸点近傍に位置する支柱上に配置された接続手段の前記剥き出しの導体(吊り線)との接触状態に置くことができる。
【0047】
−あるいは、いわゆる船の高速コネクタは、機械式アームおよび/または可動パンタグラフ上に担持されており、船の接岸時に出港地および/または入港地に配置された前記外部導体と接触状態に置けるよう構成してある。
【0048】
本発明は、添付図面を参照し、非限定例としてのみ提示する以下の説明を読むときにより良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】直流バスと交流推進モータとに基づく第1の実施形態になる船の全体的な電気的概略図を示す。
【図2】交流バスと交流推進モータとに基づく第2の実施形態になる船の全体的な電気的概略図を示す。
【図3】直流バスと直流推進モータとに基づく図1の変形例になる船の全体的な電気的概略図を示す。
【図4】交流バスと直流推進モータとに基づく図2の変形例になる船の全体的な電気的概略図を示す。
【図5】本発明になる船の接続手段の一実施形態の斜視図である。
【図6】図5の一部の拡大斜視図である。
【図7】図5の変形例の斜視図である。
【図8】図7の一部の拡大斜視図である。
【図9】直流バスと交流推進モータとに基づく第3の実施形態になる船の全体的な電気的概略図を示す。
【図10】直流バスと交流推進モータとに基づく第4の実施形態になる船の全体的な電気的概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図面中、船1は船体2と例えば1以上のプロペラ3等の水を介して推進する手段3とを備える。
【0051】
推進手段3は、1以上の電気モータ4により動作状態に置かれる。
【0052】
船1は、照明5cや暖房5dや安全航行システムや機械コントローラや居住空間や推進に用いる1(または複数)のモータ4以外の船上の全電気設備とを備える船側電力網5もまた具備する。
【0053】
本発明によれば、船側電力網5と1(または複数)の電気推進モータ4は船側の電気キャパシタ群10と随意選択的にはエンジン−発電機群とから電気を供給される。
【0054】
電気キャパシタ群10は出港地と入港地との間の航行に対応する所定の距離に亙る船1の推進に対応する公称容量の5〜100%を供給できる大きさとしてあり、この入港地は出港地とは異なるか同一かそのいずれかである。
【0055】
キャパシタ群10の電気容量と公称充電状態は、船の1(または複数)の推進モータ4に電気を供給する5〜100%の航続距離比率分Rを提供するとともに船側電力網5が航行中に消費する電気を供給するよう計算される。
【0056】
一般に、5%≦R≦100%である。より具体的には、R≧25%またはR≧50%である。
【0057】
より安全を見込むならば、100%≦R≦130%かまたは130%≦R≦260%、あるいは100%≦R≦260%、もしくはR≧260%とし、100%は出港地から入港地までの片道の航行あるいは入港地から出港地までの戻りの航行に対応し、30%は片道の航行の安全余裕に、200%は周遊航行に、60%は周遊航行の安全余裕に対応することを考慮する。
【0058】
特に、キャパシタ群10は停泊期間中に利用可能な制限時間内に極めて高速で再充電し、続いて出港地および/または入港地からの渡航期間中に徐々に放電させることのできるスーパーキャパシタ型構成要素で構成される。群10内のキャパシタは、例えばそれぞれが個別の外側ケースを有する幾つかの個別モジュールにグループ分けされる。群10はかくして、例えばスーパーキャパシタの幾つかのバンクで構成される。
【0059】
固定された所定距離を運行するよう指定される船に関する諸元設定例は、下記の通りである;
−350人の乗客と115台の乗用車と10台の重量トラックを2〜3海里の所定距離に亙りほぼ12〜13ノットの速度で輸送しなければならない2,300トン、ほぼ100mの長さのフェリーにとって、この所定距離の片道の航行に185kWhのエネルギが必要である;
−風と波および出港地と入港地での操船を考慮すると、30%が余分に加算され、これが240kWhの容量に蓄積すべき公称エネルギをもたらす;
−1(または複数)の電動モータ(4)の電圧は、500〜1,000V、通常は5690Vである;
−群10を構築するのに2,650個のキャパシタモジュールが用いられ、各モジュールは63Fの容量を有し、モジュール群は2,520Fの等価電気容量を有し、各モジュールは、公称125Vを有し、これらのキャパシタモジュールは、2,300トンのフェリー中150トンの重量を有する。
【0060】
−スーパーキャパシタ・モジュールは、例えばMAXWELL TECHNOLOGIES社によるカタログ番号BMOD0063−125Vのモジュールであり、それぞれが3,000Fの容量と2.7Vの動作電圧とを有するBOOSTCAP BCAP3000スーパーキャパシタに基づく63Fの公称容量と125Vの公称動作電圧とを有する。
【0061】
−この種のキャパシタは、約5分でその公称充電電圧まで充電することができる。出港地と入港地でのこの停泊期間は、乗客と車両の積み込みと積み降ろしに用いることができる。
【0062】
−この諸元設定は、出港地と入港地との間のほぼ12分間の航行と、出港地と入港地での接岸用の全体で2〜3分間の操船時間とを考慮するものである。
【0063】
−この例示的キャパシタ群10により20分間の全サイクルの完遂が可能となり、2〜3海里の所定距離に亙る航行と新規サイクルを行なうためのキャパシタの再充電とが可能となる。
【0064】
無論、船は所定距離航行するよう指定された船以外とすることもできる。
【0065】
無論、キャパシタは航行距離の一部だけを航行するのに用いることもでき、残り距離は船に配設され1以上のディーゼルエンジンから給電されながら航行する。キャパシタ群10による給電と1(または複数)のディーゼルエンジンによる給電との間で切り換えを行なうシステムを、船に配設することができる。特に一つの可能性として、入港距離および/または出港距離、すなわち港付近の海域において、ディーゼルエンジンに起因する汚染を回避すべく、キャパシタ群10からのみ給電することで航行することがある。この海域は、例えば港から1海里未満、例えばほぼ0.3海里に広がるものである。キャパシタ群10は、例えば港湾や入出港水路や潮間帯内での速度制限に概ね対応する例えば恐らく5ノット台の所定速度未満の低移動速度向けに給電するのに用いることができる。
【0066】
図1の実施形態では、キャパシタ群10は直流バス11に直接接続してある。直流バス11は第1の直流−交流コンバータ13の第1の直流側12に接続してあり、このコンバータの第2の交流側14は船側の電力網5に接続してある。直流バス11は第2の直流−交流コンバータ16の第1の直流側15に接続され、このコンバータの第2の交流側17は電動モータ4に接続され、これに交流を供給し、第1の推進スクリュー3を回転状態に置く。別の推進スクリュー3が配設されている場合、直流バス11は第3の直流−交流コンバータ19の第1の直流側18に接続され、このコンバータの第2の交流側20は別の推進スクリュー3を回転状態に置くべく、別の電動モータ4に接続され、これに交流を供給する。
【0067】
直流バス11は導電体21により船1上で第4の直流−交流コンバータ23の第1の直流側22にも接続され、このコンバータの第2の交流側24は交流を搬送する第2の導電体25に接続されている。これらの導体25は、船が出港地および/または入港地にあるときの交流電源への接続用である。
【0068】
この趣旨で、例えば埠頭を備える出港地および/または入港地は、船中に組み込まれていない外部出力導体100を介して交流電流を供給することのできる岸壁電力網Sを備える。船がこれらの出力導体100を備える出港地および/または入港地に停泊すると、導体25は出力導体100に接続され、出港地および/または入港地に配置された電源から交流を受け取る。図1は、その状況にある船を示す。出力導体100により供給される電流はそこでキャパシタ群10をその公称充電状態に再充電し、第1の船側電力網5と駆動モータ4とに給電する。導体25はそこで出力導体100から分離され、続いて船は出港地および/または入港地を離れる。
【0069】
図2の実施形態では、キャパシタ群10は第1の直流−交流コンバータ102の第1の直流側101に接続してあり、このコンバータの第2の交流側103は交流バス104に接続してある。交流バス104は、船側電力網5に直接接続してある。交流バス104は第2の交流−交流コンバータ106の第1の交流側105に接続され、このコンバータの第2の交流側107は電動モータ4に接続され、第1の推進スクリュー3を回転状態に置くべくモータに交流を供給する。別の推進スクリュー3を配設する場合は、交流バス104を第3の交流−交流コンバータ109の第1の側108に接続し、このコンバータの第2の交流側110を別の電動モータ4に接続し、他の推進スクリュー3を回転状態に置くべく、モータに交流を供給する。キャパシタ群10はまた第2の直流−交流コンバータ122の第1の直流側121に接続してあり、このコンバータの第2の交流側123は導電体111に接続してある。導電体111は、出港地および/または入港地における船の停泊期間中に出港地および/または入港地に配置された出力導体100に接続しなければならない。
【0070】
図3は図1の変形例であり、ここでは1(または複数)の交流モータ4は1以上の直流モータ1004により置き換えてあり、直流バス11の出力電圧を可変直流電圧に変圧して1(または複数)の直流モータ1004を動作させるべく、1(または複数)のコンバータ16,20を直流バス11と1(または複数)の直流モータ1004との間の1以上のチョッパ型直流−直流コンバータ1005,1006により置き換えてある。
【0071】
図4は図2の変形例であり、ここでは1(または複数)の交流モータ(4)は1以上の直流モータ1004により置き換えてあり、1(または複数)のモータ(4)に可変直流電圧を供給すべく、1(または複数)のコンバータ106,109を1以上の交流−直流コンバータ1007,1012、例えば交流バス104と1(または複数)の直流モータ4との間の1以上の整流器により置き換えてある。直流−交流コンバータ1007の交流側1008は、交流バス104に接続してある。交流−直流コンバータ1007の直流側1009は、第1の推進スクリュー3を回転状態に置く第1の直流モータ1004に接続してある。直流−交流コンバータ1012の交流側1010は、交流バス104に接続してある。交流−直流コンバータ1012の直流側1011は、第2の推進スクリュー3を回転状態に置く第2の直流モータ1004に接続してある。
【0072】
別の実施形態では、コンバータ23や122は船に配置せず、出力導体100の上流に配置する。本実施形態では、導体100は主電流バス11を直接供給する。
【0073】
図5は、接続手段25,111および100の実施形態のうちの一つを表わす。
【0074】
船に配置された接続導体25,111は、例えば船1の船尾および/または船首に配置された支柱すなわちスタンション140上に、左舷および/または右舷に、例えば左舷および右舷に、図5の船尾2aおよび/または船首2bに配設されており、スタンション140は接岸時に出港地PD側および/または入港地PA側を向いている(地点PAとPDとの間の距離は、図5では実寸で図示されていない)。電源Sに接続された出力導体100は、例えばパンタグラフ型をなす。
【0075】
出港地および/または入港地に配置された接続手段は、例えば少なくとも1つのパンタグラフ203を支持する支柱202の形をした手段202を備える。例えば、図5では、2本の支柱202が配設されており、それぞれがパンタグラフ203を支持し、それぞれが関連するスタンション140の導体25あるいは111と接触するようにしてある。無論、任意の数のスタンション140−パンタグラフ203対を配設することができ、その数は少なくとも1に等しい。
【0076】
図6は、船上に配置されたスタンション140と出港地あるいは入港地に取り付けられたその支柱202が担持するパンタグラフ203の拡大図である。パンタグラフ203は、岸壁に対し外方に向けた導体204を備え、これら導体204は出力導体100に接続されており、それ自体は岸壁に据え付けられた交流源Sに接続されている。パンタグラフ203は、例えば埠頭あるいは図5に示す如く船が接岸する箇所の乗下船タラップ207に配設されている。
【0077】
船の支柱140は、接岸時にパンタグラフ204に対し導体25,111を接続する手段を支持する。
【0078】
これらの接続手段は、例えば船の前部と後部に配置された支柱140の前部に配置された2本のむき出しの個別導体(吊り線)130,131で構成され、パンタグラフ203の導体204が導体130,131上を摺動し、その荷役と水面の動きとに起因する船1の動きを補償できるようにしている。むき出しの導体130,131は所定の高さを有する範囲132上に延在し、パンタグラフ導体204が船の動きに従ってこの高さ範囲132内で昇降できるようにしている。パンタグラフは、船の動きに従って導体130,131に接触させられるよう導体204を拘束することでスタンション202に対するこれら導体204の水平方向変位を可能にしている。パンタグラフはまた、その導体204に船の挙動に従いつつスタンション202に対する高さの自由度をもたらす。
【0079】
一旦船が接岸すると、船1の導体130,131はパンタグラフ203の導体204と定常的に接触させられ、電源Sから所定時間に亙ってキャパシタ群10を再充電する。電源Sが導体25,111に供給する交流は、例えば20,000V台のRMS電圧を有する高電圧交流である。パンタグラフにより、船の前後運動に対する調整と波の動きに対する調整とが可能となる。支柱202は、例えば埠頭207の側方延長部205上に配設してある。例えば、2つの側方延長部205,206が配設してあり、その両者間に乗客および/または車両用の埠頭上の積み込み・積み降ろし区域207があり、2つの延長部205,206間の距離は船尾あるいは船首により埠頭207に接岸させるべく船尾および/または船首における船の幅を上回る。
【0080】
図7と図8は図6と図7の変形例を示し、ここではスタンション202は出港地PDおよび/または入港地PAに対し可動としてある。スタンション202は、岸壁に固定されたガイド201内を走るフロート200上に配設されている。ガイド201は、フロート200がその上に配置された水面Wの動きに従う高さの自由度をもって支柱を水平座標軸内の所定位置に保持している。
【0081】
別の実施形態では、上記のパンタグラフは船上に配設し得、導体25または111を船上でパンタグラフ203の導体204に接続し、導体130,131を電流源Sに接続し、出港地および/または入港地に配設する。
【0082】
別の実施形態では、接続手段25,111および100は船および/または埠頭上のロボットあるいは機械式アームの形もとりうる。
【0083】
使用するスーパーキャパシタやウルトラキャパシタあるいはモジュールは、100,000、さらには500,000あるいは1,000,000以上の許容サイクル数を有する。群10内に使用するスーパーキャパシタは、上記に与えられた諸元設定例では100万である大量の数の充放電サイクルを作動可能とする利点を有する。
【0084】
これが、船の電源の寿命を改善する。かくして、1日当たり25回の周遊、すなわち50回の渡船を実施しなければならないフェリーの場合、キャパシタ群の寿命はほぼ30年である。
【0085】
使用するスーパーキャパシタやウルトラキャパシタあるいはモジュールは10分以下、5分あるいは3分以下の時間内でさえ公称充電を可能にする船に合わせた大きさの船上電気回路を用いて使用し、かくして出港地および/または入港地での停泊期間中に充電を行なうことができるようにする。 出港地および/または入港地の電気回路は、接続手段に達するよう適当な大きさのトランスを用いることで、この充電時間を可能とする大きさともする。
【0086】
モジュールは、上記の幾つかの例において例えば960V直流の所要の満充電電圧に達するよう直列に配置し、ここで8個のモジュールを直列に配置し、それぞれ120から125Vを担う。例えば、少なくとも2または3個のモジュールを直列とする。幾つかの分岐線は、各分岐線に直列な少なくとも2または3個のモジュールとともに、例えば群10内に並列に配置し、例えば8個のモジュールの320本の分岐線を前述の幾つかの例においてそれぞれ直列とする。
【0087】
図面に関連して説明した接続手段は、キャパシタの再充電用に船の高速接続を保証する。一実施形態では、船は支援および緊急用途用の少なくとも1つのディーゼルエンジンと、海洋における輸送と危険に対処するのに十分な貯蔵燃料とを備える。
【0088】
出港地と入港地との間の所定の渡航に対する通常の航行条件下では、スーパーキャパシタ10群は渡航に必要な全エネルギ源を提供する大きさとすることができる。ディーゼルエンジンは、群(10)や電力バス11や104と、加えて船の船側システム5にも対する支援あるいは緊急支援用に用いることができるが、それが唯一の主エネルギ源ではない。実施形態によっては、電力バス11と船側電力網5とを供給することのできる少なくとも1つの発電機セットを船に装備させることもできる。
【0089】
化石燃料に基づきディーゼルエンジンが推進する船とは対照的に、この船には主エネルギ源として埠頭が提供する所定の航行電力以上を持たせることができる。このことが、船の二酸化炭素排出痕を相当に低減し、ディーゼルエンジンの燃料コストを相当に低減することになる。
【0090】
本発明によれば、給電手段は所定距離に対する船のエネルギ需要の少なくとも25%をその公称充電状態において提供する大きさの容量を有する電気キャパシタ群(10)を備える。
【0091】
港に接岸する際に、船はその公称充電状態までキャパシタを再充電するとともに電力バス11や104と船側電力網5とに給電する目的で、入港地および/または出港地に配置された別の電力網に自らを接続する。
【0092】
前記では、キャパシタ群10は少なくとも1つの直流−直流コンバータにより残りの電気回路に接続することができる。
【0093】
図9の実施形態は図1のものと同様であり、キャパシタ群10と直流バス11との間の直流−直流コンバータ41に加え、同一の構成要素を備える。直流−直流コンバータ41は、キャパシタ群10に接続された第1の直流側42と直流バス11に接続された第2の直流側43とを備える。直流−直流コンバータ43は、その電圧が充電レベルに応じて変化するキャパシタ群10と固定電圧を有する主直流分配バス11との間にインタフェースを提供する。図1から図4の場合、キャパシタ群10を主直流分配バス11に直接接続した場合、この主分配バスに接続されたコンバータは群10内のキャパシタの充電位相および放電位相の期間中にバス11の電圧変動を考慮して調整しなければならない。
【0094】
図10の実施形態は図3のものと同様であり、キャパシタ群10と直流電流バス11との間の直流−直流コンバータ41に加え、同一の構成要素を備える。直流−直流コンバータ41は、キャパシタ群10に接続した第1の直流側42と直流バス11に接続した第2の直流側43とを備える。
【0095】
図2と図4において、キャパシタ群10は少なくとも1つの直流−直流コンバータにより直流−交流コンバータ102,122に接続することもできる。
【符号の説明】
【0096】
1・・・船、3・・・推進手段、4、1004・・・駆動モータ、10・・・キャパシタ群、11、104・・・主給電バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走推進船であって、少なくとも第1の船側電力網(5)と、少なくとも1つの主給電バス(11,104)と、推進手段(3)と、前記推進手段(3)を駆動する少なくとも1つの駆動モータ(4,1004)と、前記主給電バス(11,104)を介して第1の船側電力網(5)と前記少なくとも1つの駆動モータ(4,1004)とに電気を供給する給電手段とを備え、
給電手段が、少なくとも
前記主給電バス(11,104)を介して前記少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方を、その公称充電状態において少なくとも一時的に提供できるような大きさの容量を有する電気キャパシタ群(10)と、
入港地および/または出港地での停泊中にキャパシタをその公称充電状態に再充電するとともに第1の船側電力網(5)に給電する目的で、船上に配置され、電気キャパシタ群(10)を船の入港地および/または出港地に配置された別の電力網に接続する電気接続手段(25,111)とを備える、船。
【請求項2】
船は出港地と入港地との間にある所定距離に亙って航行するよう指定されており、前記少なくとも1つの電気キャパシタ群(10)は、所定距離に亙る少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方の少なくとも25%に等しい比率分(R)を、その公称充電状態において提供する大きさの容量を有し、前記主給電バス(11)を介して所定距離の航行を可能にし、
電気接続手段(25,111)が船上に配置してあって、入港地および/または出港地での停泊中にキャパシタをその公称充電状態に再充電するとともに第1の船側電力網(5)に供給する目的で、電気キャパシタ群(10)を船の入港地および/または出港地に配置された他の電力網に接続する、請求項1に記載の船。
【請求項3】
船は出港地と入港地との間にある所定距離に亙って航行するよう指定されており、前記少なくとも1つの電気キャパシタ群(10)は、所定距離に亙る少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方の少なくとも5%に等しい比率分(R)を、その公称充電状態において提供する大きさの容量を有し、これにより前記主給電バス(11)を介して所定距離の航行を可能にし、
電気接続手段(25,111)が船上に配置してあって、入港地および/または出港地での停泊中にキャパシタをその公称充電状態に再充電するとともに第1の船側電力網(5)に供給する目的で、電気キャパシタ群(10)を船の入港地および/または出港地に配置された他の電力網に接続する、請求項1に記載の船。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電気キャパシタ群(10)は、所定距離に亙る前記少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方を、その公称充電状態において提供し、前記主給電バス(11,104)を介する所定距離に亙る航行を可能にする大きさの容量を有する、請求項1に記載の船。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電気キャパシタ群(10)は、特定の速度制限値以下の船舶航行速度に合わせ、前記少なくとも1つの船側電力網(5)の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方を、その公称充電状態において前記主給電バス(11,104)を介して提供する大きさの容量を有する、請求項1に記載の船。
【請求項6】
前記特定の速度制限は5キロノットである、請求項5に記載の船。
【請求項7】
船上の接続手段は、出港地および/または入港地での船の接岸時に出港地および/または入港地に配置された機械的手段が担持する外部導体(204)に接触させることのできる導体(130,131)を備え、高さの差異を補償するとともに出港地および/または入港地での船と埠頭との間の距離を補償し、船と埠頭との間の電気的な接触を確立する、請求項1から6のいずれか1項に記載の船。
【請求項8】
船上の接続手段の導体(130,131)は、出港地および/または入港地での船の接岸時に、出港地および/または入港地に配置された少なくとも1つのパンタグラフ(203)が担持する外部導体(204)との接触状態に置けるよう構成され、パンタグラフが、高さの差を補償するとともに、出港地および/または入港地での船と埠頭との間の距離を補償し、船と埠頭との間の電気的な接触を確立することができる、請求項1から7のいずれか1項に記載の船。
【請求項9】
船上の接続手段は、出港地および/または入港地で船と埠頭との間の高さの差を補償するとともに船と埠頭との間の距離を補償し、出港地および/または入港地での船の接岸時に、埠頭に配置された外部導体に電気的に接触状態に置かれるよう構成した機械的手段が担持する導体を備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の船。
【請求項10】
電気接続手段(25,111)は、入港地および/または出港地での停泊中にキャパシタをその公称充電状態に再充電するとともに第1の船上電力網(5)に給電する目的で、船上に配置され、電気キャパシタ群(10)を船の入港地および/または出港地に配置された別の電力網に接続する、請求項1から9のいずれか1項に記載の船。
【請求項11】
キャパシタ群(10)はスーパーキャパシタ型である、請求項1から10のいずれか1項に記載の船。
【請求項12】
給電手段は、船上の貯蔵燃料を供給される少なくとも1つの内燃機関により駆動される支援および緊急用途用の少なくとも1つの発電機セットを備える、請求項1から11のいずれか1項に記載の船。
【請求項13】
電気キャパシタ群(10)は、所定距離に亙る少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方の少なくとも50%に等しい比率分(R)を、その公称充電状態において提供する大きさの容量を有し、前記主給電バス(11)を介して所定距離に亙る航行を可能にする、請求項1から12のいずれか1項に記載の船。
【請求項14】
電気キャパシタ群(10)は、所定距離に亙る少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方の100%以上の比率分(R)を、その公称充電状態において提供する大きさの容量を有し、前記主給電バス(11)を介して所定距離に亙る航行を可能にする、請求項1から12のいずれか1項に記載の船。
【請求項15】
電気キャパシタ群(10)は、所定距離に亙る少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方の130%以上の比率分(R)を、その公称充電状態において提供する大きさの容量を有し、前記主給電バス(11)を介して所定距離に亙る航行を可能にする、請求項1から12のいずれか1項に記載の船。
【請求項16】
電気キャパシタ群(10)は、所定距離に亙る少なくとも1つの第1の船側電力網(5)の公称給電と前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)の公称給電の両方の260%以上の比率分(R)を、その公称充電状態において提供する大きさの容量を有し、前記主給電バス(11)を介して所定距離に亙る航行を可能にする、請求項1から12のいずれか1項に記載の船。
【請求項17】
電気キャパシタ群(10)は、下記の値Emin以上の値を有する貯蔵エネルギをその公称充電状態にて供給するよう所定の容量を持たせてあり、
【数1】

ここで、
L=船の水面下船体の喫水線の長さ[m]、
B=船の水面下船体の喫水線の幅[m]、
T=船の満載時喫水[m]、
V=船がその最大排水量にあるときに維持することのできる最大運行速度[m/s]、
ρ=水の質量密度[トン/m]、
DSPL=船の満載時排水量[m]、
=ブロック係数=DSPL/(L×B×T)、
wp=浮力係数
=満載時喫水面積[m]、
wp=A/(L×B)、
=主断面係数=主横断面積/(B×T)、
主横断面積=満載時の喫水線以下の船の最大横断面積[m]、
D=所定距離[m]、
min[ジュール]は、船の各船体ごとに定義され、複数船体の船の場合、全蓄積エネルギは各船体ごとに規定されるエネルギの総和に等しい、請求項1から16のいずれか1項に記載の船。
【請求項18】
キャパシタ群(10)は複数のモジュールの形をしており、各モジュールがスーパーキャパシタ型の構成要素を収容していて、各モジュールが10Fを超える等価容量を形成するようにした、請求項1から17のいずれか1項に記載の船。
【請求項19】
キャパシタ群は複数のモジュールの形をしており、各モジュールがスーパーキャパシタ型の構成要素を収容していて、各モジュールが少なくとも25Vの公称充電電圧を有するようにした、請求項1から18のいずれか1項に記載の船。
【請求項20】
キャパシタ群は複数のモジュールの形をしており、各モジュールがスーパーキャパシタ型の構成要素を収容していて、各モジュールが少なくとも100Vの公称充電電圧を有するようにした、請求項1から19のいずれか1項に記載の船。
【請求項21】
スーパーキャパシタは100,000以上の公称許容サイクル数を有する、請求項18から20のいずれか1項に記載の船。
【請求項22】
キャパシタ群(10)は、幾つかのモジュールを直列に接続する手段を備える、請求項17から21のいずれか1項に記載の船。
【請求項23】
キャパシタ群(10)は複数の分岐線と、分岐線を並列に接続する手段とを備え、各分岐線が直列に接続可能な幾つかのモジュールを備える、請求項18から22のいずれか1項に記載の船。
【請求項24】
船に、ゼロ充電状態から10分以下の時間でキャパシタ群(10)の公称充電を可能にする規模の電気回路手段を配設した、請求項1から23のいずれか1項に記載の船。
【請求項25】
キャパシタ群(10)は少なくとも1つの直流−交流コンバータ(13,16,19)の第1の直流側(12,15,18)に接続された前記直流バス(11)に接続され、このコンバータの交流側(14,17,20)が前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4)と前記第1の船側電力網(5)とに接続され、これらに交流を供給し、直流バス(11)はまた少なくとも1つの他の直流−交流コンバータ(23)の第1の直流側(22)に接続され、このコンバータの第2の交流側(24)が外部交流電源(100,S)接続用の入力導体(25)に接続され、キャパシタを再充電する、請求項1から24のいずれか1項に記載の船。
【請求項26】
キャパシタ群(10)は少なくとも1つの第1の直流−交流コンバータ(102)の第1の直流側(101)に接続され、このコンバータの第2の交流側(103)が前記交流バス(104)に接続され、キャパシタ群(10)はまた少なくとも1つの第2の直流−交流コンバータ(122)の第1の直流側(101)に接続され、このコンバータの第2の交流側(123)が外部交流電源(100,S)接続用の入力導体(111)に接続され、キャパシタを再充電するとともに船側の電力網(5)に給電し、交流バス(104)は第1の船側電力網(5)に直接接続され、この交流バス(104)は少なくとも1つの交流−交流コンバータ(106,109)の第1の交流側(105,108)に接続され、このコンバータの第2の交流側(107,110)が前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4,1004)に接続され、これに交流を供給する、請求項1から24のいずれか1項に記載の船。
【請求項27】
キャパシタ群(10)は少なくとも1つの直流−直流コンバータ(1005,1006)の第1の直流入力側に接続された前記直流バス(11)に接続され、このコンバータの第2の直流出力側が前記少なくとも1つの直流電動駆動モータ(1004)に接続され、これに直流を供給し、直流バス(11)はまた少なくとも1つの直流−交流コンバータ(13)の第1の直流側(12)に接続され、このコンバータの交流側(14)が前記第1の船側電力網(5)に接続され、これに交流を供給し、直流バス(11)はまた少なくとも1つの他の直流−交流コンバータ(23)の第1の直流側(22)に接続され、このコンバータの第2の交流側(24)が外部交流電源(100,S)への接続用の入力導体(25)に接続され、キャパシタを再充電する、請求項1から24のいずれか1項に記載の船。
【請求項28】
キャパシタ群(10)は少なくとも第1の直流−交流コンバータ(102)の第1の直流側(101)に接続され、このコンバータの第2の交流側(103)が前記交流バス(104)に接続され、キャパシタ群(10)はまた少なくとも第2の直流−交流コンバータ(122)の第1の直流側(101)に接続され、このコンバータの第2の交流側(123)が外部交流電源(100,s)への接続用の入力導体(111)に接続され、キャパシタを再充電するとともに船側電力網(5)に給電し、交流バス(104)は第1の船側電力網(5)に直接接続され、交流バス(104)が少なくとも1つの交流−交流コンバータ(1007,1012)の第1の交流側(1008,1010)に接続され、このコンバータの第2の交流側(1007,1012)が前記少なくとも1つの電動駆動モータ(1004)に接続され、これに交流を供給する、請求項1から24のいずれか1項に記載の船。
【請求項29】
キャパシタ群(10)は少なくとも1つの直流−直流コンバータ(41)の第1の直流側(42)に接続され、このコンバータの第2の直流側(43)が少なくとも1つの直流−交流コンバータ(13,16,19)の第1の直流側(12,15,18)に接続され、このコンバータの交流側(14,17,20)が前記少なくとも1つの電動駆動モータ(4)と前記第1の船側電力網(5)に接続され、これらに交流を供給し、直流バス(11)はまた少なくとも1つの他の直流−交流コンバータ(23)の第1の直流側(22)に接続され、このコンバータの第2の交流側(24)が外部交流電源(100,S)への接続用の入力導体(25)に接続され、キャパシタを再充電する、請求項1から24のいずれか1項に記載の船。
【請求項30】
キャパシタ群(10)は少なくとも1つの直流−直流コンバータ(41)の第1の直流側(42)に接続され、このコンバータの第2の直流側(43)が少なくとも1つの直流−直流コンバータ(1005,1006)の第1の直流入力側に接続された前記直流バス(11)に接続され、このコンバータの第2の直流側が前記少なくとも1つの直流電動駆動モータ(1004)に接続され、これに直流を供給し、直流バス(11)はまた少なくとも第1の直流−交流コンバータ(13)の第1の直流側(12)に接続され、このコンバータの交流側(14)が前記第1の船側電力網(5)に接続され、これに交流を供給し、直流バス(11)はまた少なくとも1つの他の直流−交流コンバータ(23)の第1の直流側(22)に接続され、このコンバータの第2の交流側(24)が外部交流電源(100,S)への接続用の入力導体(25)に接続され、キャパシタを再充電する、請求項1から24のいずれか1項に記載の船。
【請求項31】
バス(11)は直流を搬送し、キャパシタ群(10)は少なくとも1つの直流−直流コンバータ(41)を介してバス(11)に接続した、請求項1から24のいずれか1項に記載の船。
【請求項32】
前記船上の電気接続手段(25,111)は船の接岸領域近傍に配置してあり、キャパシタの再充電用に出港地および/または入港地にとどまる相補的導体(204)との接触状態とすることのできる導体(130,131)を備える、請求項1から31のいずれか1項に記載の船。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−508665(P2012−508665A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535985(P2011−535985)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064832
【国際公開番号】WO2010/055010
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(510031464)エス テ イクス フランス ソシエテ アノニム (7)
【Fターム(参考)】