説明

自転車のハンドルロック装置

【課題】構造が簡単で安価に製造することができ、かつ、適用車種が限定されず互換性の高い自転車のハンドルロック装置を提供すること。
【解決手段】自転車のフロントフォークDの上部に固定される取付部1と、この取付部1に上下に揺動可能に軸支され、所定の揺動位置でメインフレームを挟む二股のストッパ片2とを備え、ストッパ片2がメインフレームFを挟むハンドルロック位置とメインフレームを挟まないハンドルフリー位置において、ストッパ片2を仮固定する固定手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドルロック装置に関し、特に、停車時や駐輪時の自転車の転倒を防止するハンドルロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図6(a)に示すように、店頭で、荷物を前かごに載せたまま、自転車を止めて買い物をする主婦の姿はよく見られる。また、後部台に子供を乗せていることもある。
この場合、図6(b)に示すように、ハンドルが前を向いているときは転倒しにくいが、図6(c)に示すように、ハンドルが横を向くと極めて短時間に重心が移動し、バランスが崩れて自転車は転倒する。
【0003】
このような事態を防止するために、駐輪中のハンドルの回転を防止するハンドルロック装置を車体に備えた自転車が開発されている。
ハンドルロック装置は、例えば、下記特許文献1に開示されるように、自転車に組み込まれ、ハンドルの軸をフレームのヘッドチューブの部分で固定する構造のものが多い。
【0004】
しかしながら、上記従来のハンドルロック装置は、軸と軸受を固定することから、ハンドルの大きな回転トルクに耐えるために強固な構造が必要となり、また、走行中の誤作動を防止する機構が必要になるなど、ハンドルロック装置が複雑で高価になり、普及しづらいという問題を有している。
【特許文献1】特開2001−322580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の自転車のハンドルロック装置が有する問題点に鑑み、構造が簡単で安価に製造することができ、かつ、適用車種が限定されず互換性の高い自転車のハンドルロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の自転車のハンドルロック装置は、自転車のハンドルの回転を防止する自転車のハンドルロック装置において、自転車のフロントフォークの上部に固定される取付部と、該取付部に上下に揺動可能に軸支され、所定の揺動位置でメインフレームを挟む二股のストッパ片とを備え、ストッパ片がメインフレームを挟むハンドルロック位置とメインフレームを挟まないハンドルフリー位置においてストッパ片を仮固定する固定手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
この場合において、前記固定手段を、取付部の軸受片とストッパ片の軸受片とを互いの対向方向に付勢するとともに、各軸受片の対向する部位に、ストッパ片が揺動し付勢力に抗して乗り越えることにより、ストッパ片をハンドルロック位置とハンドルフリー位置において仮固定する凹凸を設けて構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自転車のハンドルロック装置によれば、自転車のハンドルの回転を防止する自転車のハンドルロック装置において、自転車のフロントフォークの上部に固定される取付部と、該取付部に上下に揺動可能に軸支され、所定の揺動位置でメインフレームを挟む二股のストッパ片とを備え、ストッパ片がメインフレームを挟むハンドルロック位置とメインフレームを挟まないハンドルフリー位置においてストッパ片を仮固定する固定手段を備えることにより、ストッパ片を揺動させてその二股の先端部でメインフレームを挟むことにより、フロントフォークを介して前輪を固定することができ、これにより、ハンドルの回転を防止し、停車時や駐輪時の自転車の転倒を防止するとともに、走行中の誤作動を防止することができる。
【0009】
また、前記固定手段を、取付部の軸受片とストッパ片の軸受片とを互いの対向方向に付勢するとともに、各軸受片の対向する部位に、ストッパ片が揺動し付勢力に抗して乗り越えることにより、ストッパ片をハンドルロック位置とハンドルフリー位置において仮固定する凹凸を設けて構成することにより、固定手段の部品点数を少なくして構造を簡易化でき、装置の耐久性を向上することができるとともに、装置の製造コストを低廉にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の自転車のハンドルロック装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1〜図5に、本発明の自転車のハンドルロック装置の一実施例を示す。
この自転車のハンドルロック装置は、自転車のハンドルの回転を防止するもので、自転車のフロントフォークDの上部に固定される取付部1と、該取付部1に上下に揺動可能に軸支され、所定の揺動位置でメインフレームFを挟む二股のストッパ片2とを備えている。
そして、このハンドルロック装置は、取付部1の軸受片3とストッパ片2の軸受片4とを互いの対向方向に付勢するとともに、各軸受片3、4の対向する部位に、ストッパ片2が揺動し付勢力に抗して乗り越えることにより、ストッパ片2を任意の揺動位置、具体的には、ストッパ片2の二股の先端部がメインフレームFを挟むハンドルロック位置(上方揺動位置)とメインフレームFを挟まないハンドルフリー位置(下方揺動位置)において、仮固定する凹凸を設けている。
【0012】
取付部1は、フロントフォークDの長円状の上部を前後から挟む1対の挟持片11と、該挟持片11を一体に固定するボルト12と、挟持片11に設けられ、自転車のブレーキ部材を嵌挿する凹穴13と、ストッパ片2を揺動可能に支持する1対の軸受片3とを備えている。
軸受片3には、ストッパ片2の軸受片4がこれらの軸受片3の間に嵌挿された状態で、揺動軸となるピン14が貫通している。
一方の軸受片3とストッパ片2の軸受片4との間には、ストッパ片2の軸受片4を他方の軸受片3側に付勢するばね15が介装されている。
そして、付勢された各軸受片3、4の対向する部位には、ストッパ片2が揺動し付勢力に抗して乗り越えることにより、ストッパ片2を上の揺動位置と下の揺動位置とに選択的に仮固定する傾斜突部31、41がそれぞれ設けられている。
なお、傾斜突部31、41は、図5に示すように、ピン14の軸周りに傾斜面31a、41aをそれぞれ付して設けられており、相互の乗り越えを円滑にしている。
【0013】
ストッパ片2はその基部に軸受片4を有し、この軸受片4が取付部1の軸受片3にピン14を介して枢支されており、上下に揺動する。
ストッパ片2は、その先端側がメインフレームFの幅程度の二股に形成されるとともに、図1に示すように、斜め上にはね上げた状態で、メインフレームFを挟むことにより、フロントフォークDを介して前輪(ハンドル)を固定するようにしている。
また、ストッパ片2は、使用しないときは、2点鎖線に示すように、斜め下に降ろされる。
ストッパ片2は、ばね15によって、取付部1の片方の軸受片3側に付勢されており、付勢されたストッパ片2の軸受片4には、前記軸受片3の傾斜突部31と係合する傾斜突部41が設けられている。
また、ストッパ片2の軸受片4には、取付部1の軸受片3の傾斜突部31に当接して回り止めとなる回り止め突部42が設けられている。
回り止め突部42は、立ち上がり部をほぼ直角に形成することにより、軸受片3の傾斜突部31に乗り上げにくくなっており、傾斜突部41の反対側に設けられている。
【0014】
かくして、本実施例の自転車のハンドルロック装置は、自転車のハンドルの回転を防止する自転車のハンドルロック装置において、自転車のフロントフォークDの上部に固定される取付部1と、該取付部1に上下に揺動可能に軸支され、所定の揺動位置でメインフレームFを挟む二股のストッパ片2とを備え、取付部1の軸受片3とストッパ片2の軸受片4とを互いの対向方向に付勢するとともに、各軸受片3、4の対向する部位に、ストッパ片2が揺動し付勢力に抗して乗り越えることにより、ストッパ片2を任意の揺動位置に仮固定する凹凸を設けることから、ストッパ片2を揺動させてその二股の先端部でメインフレームFを挟むことにより、フロントフォークDを介して前輪を固定することができ、これにより、ハンドルの回転を防止し、停車時や駐輪時の自転車の転倒を防止するとともに、ストッパ片2を任意の揺動位置に仮固定する凹凸を設けることにより、走行中の誤作動を防止することができる。
また、本実施例の自転車のハンドルロック装置は、部品点数が少なく、構造が簡易であるため、装置の耐久性を向上することができるとともに、装置の製造コストを低廉にできる。
【0015】
以上、本発明の自転車のハンドルロック装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、ストッパ片を仮固定する固定手段として任意の固定機構を用いることができる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の自転車のハンドルロック装置は、構造が簡単で安価に製造でき、かつ、適用車種が限定されず互換性が高いため、停車時や駐輪時の自転車の転倒を防止するハンドルロック装置として、各種自転車に広く好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のハンドルロック装置の一実施例を自転車に装着した状態を示す要部拡大側面図である。
【図2】同ハンドルロック装置を示し、(a)はその平面図、(b)は同側面図、(c)は同ストッパ片側から見た図である。
【図3】同ハンドルロック装置のストッパ片を示し、(a)はその正面図、(b)は同左側面図、(c)は同右側面図、(d)は同底面図、(e)は同背面図、(f)は(a)のB−B線断面図である。
【図4】同ハンドルロック装置の取付部を示し、(a)〜(c)は一方の挟持片の3面図、(d)〜(f)はもう一方の挟持片の3面図である。
【図5】(a)〜(c)は図3(a)のA部の拡大3面図、(d)〜(f)は図4(a)のA矢視部の拡大3面図である。
【図6】従来の自転車を示し、(a)は前かごに荷物を載せ、後部台に子供を乗せた状態を示す側面図、(b)はハンドルが前を向いた状態を示す平面図、(c)はハンドルが横を向いた状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 取付部
11 挟持片
12 ボルト
13 凹穴
14 ピン
15 ばね
2 ストッパ片
3 軸受片(取付部)
31 傾斜突部
4 軸受片(ストッパ片)
41 傾斜突部
42 回り止め突部
F メインフレーム
D フロントフォーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドルの回転を防止する自転車のハンドルロック装置において、自転車のフロントフォークの上部に固定される取付部と、該取付部に上下に揺動可能に軸支され、所定の揺動位置でメインフレームを挟む二股のストッパ片とを備え、ストッパ片がメインフレームを挟むハンドルロック位置とメインフレームを挟まないハンドルフリー位置においてストッパ片を仮固定する固定手段を備えたことを特徴とする自転車のハンドルロック装置。
【請求項2】
前記固定手段が、取付部の軸受片とストッパ片の軸受片とを互いの対向方向に付勢するとともに、各軸受片の対向する部位に、ストッパ片が揺動し付勢力に抗して乗り越えることにより、ストッパ片をハンドルロック位置とハンドルフリー位置において仮固定する凹凸を設けてなることを特徴とする請求項1記載の自転車のハンドルロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−214807(P2009−214807A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62629(P2008−62629)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000208101)大洋製器工業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】