説明

自転車スプロケット用シフト補助突起

【課題】 チェーンを小型スプロケットから大型スプロケットに迅速かつスムーズにシフトさせるようにすることにある。
【解決手段】 シフト補助突起20は、小型スプロケットS1から大型スプロケットS2へのチェーンCのシフトを補助するように大型スプロケットS2に提供される。シフト補助突起20は、スプロケットS2の片側から軸方向に延びている。シフト補助突起20は、チェーンCのアウターリンクプレートに係合するように、大型スプロケットS2の中心面P及び歯に面したチェーン受取面74を有している。チェーン受取面74は、大型スプロケットS2の中心面Pに対して変化する所定の角度で傾斜している。チェーンCが小型スプロケットS1から大型スプロケットS2にシフトされるときチェーンCの移動方向にほぼ沿って見ると、チェーン受取面74の最も後方の回転縁は、最も前方の回転縁よりも中心面に近い位置にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、自転車スプロケット用シフト補助突起に関する。特に、本発明は、比較的小型のスプロケットから比較的大型のスプロケットへの自転車用チェーンのシフトを補助する、大型スプロケット上に形成された1つまたは複数のシフト補助突起を有するスプロケットアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
サイクリングは、交通の手段としてだけでなく、レクリエーションとしてもますます普及している。さらに、自転車競技は、非常に人気の高い競技スポーツにもなってきた。自転車がレクリエーション、交通、競技のいずれに使われる場合でも、自転車業界は自転車の様々な部品に絶えず改良を重ねてきている。特に自転車用ドライブトレインの様々な部品は、ここ数年にわたり、変速操作のパフォーマンスや信頼性を改善するために、広範囲にわたって設計し直されてきている。
【0003】
ドライブトレインは、典型的に、前方クランクアームに連結された1つまたは複数のフロントスプロケットと、フリーホイールを介して後輪に連結された1つまたは複数のリアスプロケットと、自転車を推進させるドライブチェーンとを備えている。前方ディレイラー及び後方ディレイラーは、複数のフロントスプロケット及びリアスプロケットそれぞれの間でチェーンを横方向に押し進める、すなわちシフトするように配置されている。従来のスプロケットアセンブリでは、チェーンが小型スプロケットから大型スプロケットにシフトされるとき、チェーンの側面が大型スプロケットの側面に接触し、この接触で生じた摩擦力によってチェーンは大型スプロケットに支持される。そして、大型スプロケットの回転によって、チェーンは、半径方向外方に向かって持ち上げられ、スプロケットの歯と係合する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この方法でチェーンをシフトするには、スプロケットの回転時にチェーンを確実に持ち上げられるように、チェーンと大型スプロケットとの間に十分な摩擦力を発生させる必要がある。すなわち、ディレイラーは、チェーンを大型スプロケットに強い力で圧接しなければならない。変速操作中に大きな駆動負荷が発生する場合は、チェーンが大型スプロケットから滑る可能性がある。このため、大型スプロケットによってチェーンを持ち上げることが非常に困難になったり、結果的にチェーンシフトに遅れが発生したりする。
【0005】
この問題点を克服するために、NaganoによるU.S. Patent No. 5,413,534 に開示されているように、自転車用チェーンのシフトを補助する突起を備えたスプロケットアセンブリが開発されている。このスプロケットアセンブリは、チェーンを小型スプロケットから大型スプロケットにシフトするには十分な機能を有するものの、大型スプロケット上の突起がシフト中に僅かな障害になってしまうときがある。すなわち、この突起による障害によって、ギア切替操作が不安定になり、乗り手が不満を感じることがある。
【0006】
この問題点を克服するために、TetsukaによるU.S. Patent No. 6,572,500 に開示されているように、自転車用チェーンのシフトを補助する修正型突起を備えたスプロケットアセンブリが開発されている。このスプロケットアセンブリは、チェーンを小型スプロケットから大型スプロケットにシフトするには十分な機能を有するものの、いくつかの問題を有している。例えば、このアセンブリにおける大型スプロケットの突起は、乗り手が期待するほど、チェーンをスムーズまたは迅速にシフトさせるとは限らない。したがって、小型スプロケットから大型スプロケットへの変速操作中に、乗り手が期待するほど効率的に、動力がチェーンに伝達されない可能性がある。また、このスプロケットアセンブリによるギア切替操作は、乗り手が期待するほど安定であるとも限らない。すなわち、このスプロケットアセンブリを使用しても、乗り手は依然として不満を感じることがある。
【0007】
上記視点から、シフト補助突起を備えた改良型のスプロケットの必要性が存在するということが、本開示から本技術に精通するものには明らかであろう。本発明は、本技術における上記の必要性ならびにその他の必要性を示し、本開示によって当業者はそれらを明確に理解することができるであろう。
【0008】
本発明の1つの目的は、シフト補助突起を備えた大型スプロケットと、小型スプロケットとを有するスプロケットアセンブリを提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、小型スプロケットから大型スプロケットへの平滑なシフト動作を促進する大型スプロケット用シフト補助突起を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、例え大きな駆動負荷が掛かっていても、小型スプロケットから大型スプロケットへ容易かつ確実にチェーンをシフトさせる大型スプロケット用シフト補助突起を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、小型スプロケットから大型スプロケットへの積極的かつ迅速にチェーンをシフトさせる大型スプロケット用シフト補助突起を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、製造及び組立てが比較的簡単かつ低価格なシフト補助突起を有する大型スプロケットを備えたスプロケットアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的は、基本的に、取付部分とシフト補助部分とを備えた自転車スプロケット用シフト補助突起を提供することによって達成できる。取付部分は、複数のチェーン係合歯と、中心面と、中心面に垂直な中心回転軸とを有する自転車用スプロケットに連結され固定される。シフト補助部分は、取付部分が自転車用スプロケットに連結され固定されるときに、自転車用スプロケットの中心面から軸方向に間隔を置いて配置される。シフト補助部分は、取付部分が自転車用スプロケットに連結され固定されたときに中心面と係合歯との方向を向き自転車用チェーンのアウターリンクプレートに係合する軸方向対向チェーン受取面を有している。チェーン受取面は、取付部分が自転車用スプロケットに連結され固定されるときに、自転車用スプロケットの中心面に対して変化する所定の角度で傾くように配置される。
【0014】
前記の目的は、基本的に、取付部分とシフト補助部分とを備えた自転車スプロケット用シフト補助突起を提供することによって達成できる。取付部分は、複数のチェーン係合歯と、中心面と、中心面に垂直な中心回転軸とを有する自転車用スプロケットに連結され固定される。シフト補助部分は、取付部分が自転車用スプロケットに連結され固定されるときに、自転車用スプロケットの中心面から軸方向に間隔を置いて配置される。シフト補助部分は、取付部分が自転車用スプロケットに連結され固定されたときに中心面と係合歯との方向を向き自転車用チェーンのアウターリンクプレートに係合する軸方向対向チェーン受取面を有している。チェーン受取面は、取付部分が自転車用スプロケットに連結され固定されるときに、自転車用スプロケットの中心面に対して変化する所定の角度で傾くように配置されている。チェーンが小型スプロケットからシフト補助突起の連結されたスプロケットにシフトされるときにチェーンの移動方向に沿って見てみると、チェーン受取面は、最前方端よりも中心面に近い位置にあるチェーン受取面の最後方端を有している。
【0015】
また、前記の目的は、基本的に、環状リング部分と、周上に間隔を置いて配置された複数の歯と、シフト補助突起とを備えた自転車用大型スプロケットを提供することによって達成できる。環状リング部分は、自転車のドライブトレイン要素に連結される。環状リング部分は、第1方向を向く第1環状側面と、第1方向と実質的に反対の第2方向を向く第2環状側面と、第1及び第2環状側面の間に配置された中心面とを有している。周上に間隔を置いて配置された複数の歯は、第1及び第2環状側面の間の環状リング部分から半径方向外方に向かって延びている。シフト補助突起は、スプロケットから、第1方向または第2方向のいずれかの軸方向に延びている。シフト補助部分は、中心面と複数の歯との方向を向き自転車用チェーンのアウターリンクプレートに係合する軸方向対向チェーン受取面を有している。チェーン受取面は、中心面に対して変化する所定の角度で傾くように配置されている。
【0016】
さらに、前記の目的は、基本的に、環状リング部分と、周上に間隔を置いて配置された複数の歯と、シフト補助突起とを備えた自転車用大型スプロケットを提供することによって達成できる。環状リング部分は、自転車のドライブトレイン要素に連結される。環状リング部分は、第1方向を向く第1環状側面と、第1方向と実質的に反対の第2方向を向く第2環状側面と、第1及び第2環状側面の間に配置された中心面とを有している。周上に間隔を置いて配置された複数の歯は、第1及び第2環状側面の間の環状リング部分から半径方向外方に向かって延びている。シフト補助突起は、スプロケットから、第1方向または第2方向のいずれかの軸方向に延びている。シフト補助部分は、中心面と複数の歯との方向を向き自転車用チェーンのアウターリンクプレートに係合する軸方向対向チェーン受取面を有している。チェーン受取面は、中心面に対して変化する所定の角度で傾くように配置されている。チェーンが小型スプロケットから大型スプロケットにシフトされるときにチェーンの移動方向に沿って見てみると、チェーン受取面は、最前方端よりも中心面に近い位置にあるチェーン受取面の最後方端を有している。
【0017】
さらに、前記の目的は、基本的に、第1スプロケットと、第1スプロケットに連結される第2スプロケットとを備えた自転車用スプロケットアセンブリを提供することによって達成できる。第1スプロケットは、第1環状リング部分から半径方向外方に向かって延びる周上に間隔を置いて配置された複数の第1歯を有している。第2スプロケットは、第1スプロケットよりも大型であり、第2環状リング部分と、周上に間隔を置いて配置された複数の第2歯と、シフト補助突起とを備えている。第2環状リング部分は、第1スプロケットに向かう第1方向に面する第1環状側面と、第1方向と実質的に反対の第2方向を向く第2環状側面と、第1及び第2環状側面の間に配置された中心面とを有している。周上に間隔を置いて配置された複数の第2歯は、第1及び第2環状側面の間の第2環状リング部分から半径方向外方に向かって延びている。シフト補助突起は、第2スプロケットから、第1スプロケットに向かって軸方向に延びている。シフト補助部分は、中心面と第2歯との方向を向き自転車用チェーンのアウターリンクプレートに係合する軸方向対向チェーン受取面を有している。チェーン受取面は、中心面に対して変化する所定の角度で傾くように配置されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、チェーンを小型スプロケットから大型スプロケットに迅速かつスムーズにシフトさせることができる。また、小型スプロケットから大型スプロケットへの変速操作中に、動力を効率的にチェーンに伝達することができる。さらに、ギア切替操作を安定的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
これらの目的、特徴、態様および利点とその他の目的、特徴、態様および利点は、添付された図面および本発明の実施形態を開示するところの以下の詳細な説明から、当業者に明らかにされることになる。
【0020】
ここでは、本発明の一実施形態を、図を参照しながら説明している。以下の本発明にかかる実施例の説明は単なる例示であって、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義されるような発明を制限するものではないことは、本開示から当業者には明らかである。
【0021】
まず、図1から図3を参照すると、本発明の最適な実施形態によるフロントクランクセット12を備えた自転車用ドライブトレイン10が示されている。フロントクランクセット12は、基本的に、左クランクアーム14と、右クランクアーム16と、ボトムブラケット18と、(第1)小直径の小型スプロケットS1と、(第2)大直径の大型スプロケットS2とを備えている。小型スプロケットS1から大型スプロケットS2へ駆動チェーンCをシフトさせるために、大直径スプロケットS2には、本発明による複数のシフト補助突起20が連結され固定されていることが望ましい。スプロケットS1及びS2は、本発明によるスプロケットアセンブリの部分を形成している。右クランクアーム16も、本発明によるスプロケットアセンブリの部分と見なしてもよい。
【0022】
自転車用ドライブトレイン10は、フロントクランクセット12のスプロケットアセンブリを除き、従来どおりである。したがって、自転車用ドライブトレイン10に関する詳細は、本発明に関連するものを除き、ここでは説明または図示しない。自転車用ドライブトレイン10が、従来の方法でフレームに連結された、車輪、シフター、ディレイラーなどの様々な従来型自転車用部品を備えるということは、本開示から当該技術における当業者には当然のごとく明らかである。また、ここで説明及び図示するように、本発明から逸脱することなく、自転車用ドライブトレイン10及びその様々な部品に、様々な修正を加えることができるということは、本開示から当該技術における当業者には明らかである。さらに、本発明によるスプロケットアセンブリを、より多くのスプロケット(例えば、3枚のフロントスプロケット)と共に使用したり自転車10の別の場所(例えば、後方スプロケットアセンブリ)で使用したり、あるいはその両方を同時に使用したりしてもよいということは、本開示から当該技術における当業者には明らかである。最後に、必要および/又は要望に応じて、自転車用ドライブトレイン10を、ロードバイクやマウンテンバイクを含む、その他の種類の自転車にも使用できることは、本開示から当該技術における当業者には明らかである。
【0023】
図1を参照すると、ボトムブラケット18は、従来の方法で回転軸Xを中心に回転するように自転車10のフレームの菅状部分に回転自在に取り付けられた、クランクシャフトまたはクランク軸(図示せず)を備えている。左クランクアーム14の一端はボトムブラケット18のクランクシャフト(図示せず)に連結され固定され、他端には従来の方法でペダルが回動自在に連結されている。同様に、右クランクアームの一端はボトムブラケット18のクランクシャフト(図示せず)に連結され固定され、他端には従来の方法でペダルが回動自在に連結される。以下に詳述するように、スプロケットS1及びS2は、右クランクアーム16に移動不能に連結され固定されるのが望ましい。したがって、クランクアーム14,16が回転軸Xの回りに回転するように乗り手がペダルに踏み込むと、駆動チェーンCが循環させられて、自転車(一部分のみ図示)が進む。以下に説明するように、左及び右クランクアーム14,16は、基本的に、右クランクアーム16にスプロケットS1及びS2が連結される点を除いて、従来どおりである。したがって、クランクアーム14,16に関する詳細は、本発明に関連するものを除き、ここでは説明または図示しない。
【0024】
クランクアーム16は、基本的に、シャフト装着部分30と、スプロケット装着部分32と、ペダル装着部分34とを備えている。ペダル装着部分34は、従来の方法でシャフト装着部分30から半径方向外方に向かって延びる縦長棒状部材である。シャフト装着部分30は、従来の方法でボトムブラケット18のクランクシャフト(図示せず)に連結され固定されるように構成される。スプロケット装着部分32は、シャフト装着部分30から半径方向外方に向かって延びる複数(5個)の取付要素すなわち取付フィンガ36を備えている。スプロケットS1,S2は、従来の方法で、取付金具38によって取付要素36の内側及び外側に連結され固定されるのが望ましい。シャフト装着部分30と、スプロケット装着部分32と、ペダル装着部分34とは、従来の同様に、鋳造アルミニウムや同様の材料などの軽量硬質材料によってワンピースの単一部材として形成されるのが望ましい。
【0025】
(第1)スプロケットS1は、基本的に、第1取付部分40と、第1環状リング部分42と、第1環状リング部分42から半径方向外方に向かって延び周上に間隔を隔てて配置された複数の第1歯44とを備えている。第1取付部分40は、半径方向内方に向かって延びる複数(5個)の取付フランジ46を備え、取付フランジ46は、従来の方法で、取付金具38によって取付要素36に連結される。第1取付部分40と、第1環状リング部分42と、第1歯44とは、従来の方法で、鋳造アルミニウムや同様の材料などの軽量硬質材料によってワンピースの単一部材として形成されるのが望ましい。(第1)スプロケットS1は、基本的に、従来どおりである。したがって、(第1)スプロケットS1に関する詳細は、本発明に関連するものを除き、ここでは説明または図示しない。すなわち、第1スプロケットS1は、本発明による第2スプロケットS2に隣接して使用できるように大きさが決定され構成された従来型スプロケットであることは、本開示から当該技術における当業者には明らかである。
【0026】
図2から図11を参照すると、(第2)スプロケットS2は、基本的に、第2取付部分50と、第2環状リング部分52と、周上に間隔を隔てて配置された複数の主要歯54と、複数(6箇所)の第1アップシフト歯55と、複数(6箇所)の第2アップシフト歯57と、複数(6箇所)の第3アップシフト歯59と、複数(6箇所)のシフト補助突起20とを備えている。第2スプロケットS2は、駆動チェーンCが第1スプロケットS1から積極的、迅速、かつ平滑にアップシフトされるように設計されている。特に、シフト補助突起20は、以下に説明するように、第2及び第3アップシフト歯57,59とともに、第1アップシフト歯55に隣接して取り付けられている。第2及び第3アップシフト歯57,59は、各々の第1アップシフト歯55の回転方向後方に連続的に配置されている。しかしながら、各々の歯54,55,57,59は、いずれも第2スプロケットS2の第2歯と見なすことができる。図2及び図3から最も明らかなように、すべての第2歯(すなわち、歯54,55,57,59)は、周上に間隔を隔てて配置された状態で、環状リング部分52から半径方向外方に向かって延びている。
【0027】
第2取付部分50は、環状リング部分52から半径方向内方に向かって延びる複数(5個)の取付フランジ56を備え、取付フランジ56は、従来の方法で取付金具38によって取付要素36に連結される。第2取付部分50と、第2環状リング部分52と、第2歯(すなわち、歯54,55,57,59)とは、従来の方法で、鋳造アルミニウムや同様の材料などの軽量硬質材料によってワンピースの単一部材として形成されていることが望ましい。一方、シフト補助突起20は、スプロケットS2に連結され固定された別部材として形成されていることが望ましい。図の実施形態によるスプロケットS2は、シフト補助突起20の数に対応する複数の軸方向貫通孔すなわち開口58を備えていることが望ましい。シフト補助突起20は、スプロケットS2の貫通孔58に部分的にはめ込まれた後、スプロケットS2の貫通孔58に保持され固定されるように、リベット締めのような方法で変形されるのが望ましい。
【0028】
環状リング部分52は、基本的に、スプロケットS1に向かう第1軸方向を向く第1環状側面60と、スプロケットS1から離反した第2軸方向を向く第2環状側面62とを備えている。すなわち、第1環状側面60と第2環状側面62とは、各々互いに反対の方向に面している。スプロケットS2の中心面Pは、第1及び第2環状側面60,62から等間隔の位置に配置され、第1及び第2環状側面60,62に実質的に平行に配置される。スプロケットS2の中心面Pは、中心回転軸Xに実質的に垂直である。第2歯(すなわち、歯54,55,57,59)は、第1及び第2環状側面60,62の間に配置されるのが望ましい。
【0029】
ここで図2から図15を参照して、第2スプロケットS2の歯54,55,57,59についてより詳細に説明する。第1、第2、第3アップシフト歯55,57,59は、クランクセット12が前方回転方向Rに回転されるときに、チェーンCのための6つのアップシフト用パスを形成するように配置されるのが望ましい。特に、第1、第2、第3アップシフト歯55,57,59は、スプロケットS2の周上の6箇所(すなわち、3本の歯から成る6組のグループ)に連続的に配置される。すなわち、各アップシフト用パスは、1個のシフト補助突起20と、1つの第1アップシフト歯55と、1つの第2アップシフト歯57と、1つの第3アップシフト歯59とにより形成される。さらに具体的には、第1アップシフト歯55はシフト補助突起20に隣接して配置され、第2アップシフト歯57は第1アップシフト歯55の後方回転側に隣接して配置され、第3アップシフト歯59は第2アップシフト歯57の後方回転側に隣接して配置される。
【0030】
シフト補助突起20と、アップシフト歯55,57,59とは、3組のアップシフト用パスを形成するように周上に配置されるのが望ましい。少なくとも3本の機能するアップシフト用パスが形成されるように、各対のアップシフト用パスは、互いに奇数本の歯(すなわち3本の歯)を間に挟んだ間隔で配置されるのが望ましい。特に、スプロケットS1上におけるチェーンCの位置に応じて、6つのアップシフト用パスのうち3つだけが利用される。この理由は、以下に説明するように、シフト補助突起20は、チェーンCの隣接する1対のアウターリンクプレートの間にフィットするように大きさが決定され配置されるためである。スプロケットS1上におけるチェーンCの位置にかかわらず、3対のアップシフト用パスが実質的に同一の間隔を隔てて形成されるように、3対のアップシフト用パスは、スプロケットS2の周上に実質的に等間隔で配置されるのが望ましい。主要歯54は、アップシフト歯55,57,59の各組の間に配置される。図の実施形態によるスプロケットS2は、合計52本の歯を有している。したがって、スプロケットS2は、34本の主要歯54を備えるのが望ましい。主要歯54は、従来型の真直歯である。
【0031】
第1アップシフト歯55は、すべて同一である。したがって、1つの第1アップシフト歯55の詳細についてのみ、ここでは説明、図示している。図12から図15に最も明らかなように、各々の第1アップシフト歯55は、共に第1側に形成された第1案内カットアウト55a及び凹面部55bを備える点を除き、従来どおりの形状(すなわち、主要歯54に類似)を有している。第1案内カットアウト55a及び凹面部55bは、チェーンCのアウターリンクプレートを受け取れるように大きさが決定され構成されている。これにより、チェーンCのアウターリンクプレートは、アップシフト中にシフト補助突起20に係合し捩られる。凹面部55bの前縁は、第1(フラット)側面60とで面取り線Lを形成している。図12及び図13から最も明らかなように、アップシフトの初期段階において、チェーンCのアウターリンクが面取り線Lに沿って捩られる。これにより、従来型のシフト補助突起が利用される場合に比べ、チェーンCのアウターリンクはより大きな角度に傾けられる。
【0032】
すなわち、凹面部55bが面取り線Lから離れるにつれて、凹面部55bはスプロケットS2の中心面Pに向かって内側に傾斜する。このように、凹面部55bは、周方向に面取りされていることが望ましく、チェーンCが小型スプロケットS1から大型スプロケットS2ヘシフトされるときに実質的にチェーンの移動方向に沿って見ると、凹面部55bは、最前方縁よりも中心面Pに近い位置にある最後方縁を有している。
【0033】
第2アップシフト歯57は、すべて同一である。したがって、1つの第2アップシフト歯57の詳細についてのみ、ここでは説明、図示している。各々の第2アップシフト歯57は、共に第1側に形成された第2案内カットアウト57a及び第2後端カットアウト57bと、第2側に形成された第2対向案内溝57cとを備える点を除き、従来どおりの形状(すなわち、主要歯54に類似)を有している。カットアウト溝57a,57b,57cそれぞれは、中心面Pと平行となる平面を有するのが望ましい。
【0034】
第3アップシフト歯59は、すべて同一である。したがって、1本の第3アップシフト歯59の詳細についてのみ、ここでは説明、図示している。各々の第3アップシフト歯59は、第2側に形成された第3対向案内溝59cを備える点を除き、従来どおりの形状(すなわち、主要歯54に類似)を有している。第3対向案内溝59cは、第2対向案内溝57cよりも僅かに小さい点を除き、第2対向案内溝57cに類似している。したがって、第3対向案間溝59cの詳細について、ここでは説明または図示しないものとする。
【0035】
ここで主に図16から図21を参照して、シフト補助突起20について詳細に説明する。シフト補助突起20は、すべて同一である。したがって、1個のシフト補助突起20の詳細についてのみ、ここでは説明、図示している。各々のシフト補助突起20は、基本的に、取付部分70と、シフト補助部分72とを備えている。取付部分70は、スプロケットS2に連結され固定される。シフト補助部分72は、取付部分70と共に連結され固定される。取付部分70とシフト補助部分72とは、従来の方法で、鋳造アルミニウムや同様の材料などの軽量硬質材料によってワンピースの単一部材として形成されていることが望ましい。
【0036】
取付部分70は、シフト補助突起20がスプロケットS2に連結されたときに回転軸Xと実質的に平行になる中心軸Yを備えた円筒形状の部分である。特に、取付部分70は、図12から最も明らかなように、1つの軸方向貫通孔58にはめ込まれた後、貫通孔58内に固定され保持されるように、リベット締めのような方法で変形されるのが望ましい。
【0037】
シフト補助部分72は、取付部分70の中心軸Yに沿って見ると、歯状の湾曲端を備えた実質的に矩形状であるのが望ましい。シフト補助部分72は、軸方向対向チェーン受取面74と、チェーン受取面74から軸方向に延びるチェーン支持面76と、歯形端の最外縁の形状を規定する自由縁面78と、スプロケットS1に面する内側端面80とを備えている。チェーン受取面74は、中心面Pと歯55とに面している。チェーン支持面76は、中心軸Yに平行である円筒面であることが望ましい。同様に、縁面78は、中心軸Yに略平行な実質的に円筒状の面であるのが望ましい。内側端面80は、中心軸Yに実質的に垂直な平面であるのが望ましい。
【0038】
チェーン受取面74は、中心軸Xを有する(すなわち、中心軸すなわち中心線Zを中心に延びる)円錐の一部をなす円錐台形状であることが望ましい。図17から図19に示すように、チェーン受取面74がスプロケットS2の中心面Pに対して変化する所定の角度で傾くように、中心軸すなわち中心線Zは、取付部分70の中心軸Yからオフセットされている。図14及び図15から最も明らかなように、シフト補助部分72は、シフト補助突起20が相対回転しないように、スプロケットS2の溝(詳細には図示せず)に少なくとも部分的に嵌合されるのが望ましい。なお、シフト補助部分72は、中心面Pから軸方向に間隔を隔てて配置されていることが望ましい。
【0039】
特に、チェーン受取面74の(最前方)前縁は、中心面Pに対して約12°の角度αを形成していることが望ましく、一方で、チェーン受取面74の(最後方)後縁は、中心面Pに対して約30°の角度θを形成していることが望ましい。いずれにしろ、中心面Pに対する角度αは、45°よりも0°に近いことが望ましく、一方で、中心面Pに対する角度θは、0°よりも45°に近いことが望ましい。この構成では、チェーン受取面74の後縁は、チェーン受取面74の前縁より中心面Pに近い位置にあるのが望ましい。チェーン受取面74の傾斜をこのように変化させることによって、アップシフトの初期段階においてチェーンCのアウターリンクプレートが積極的に捩られる。
【0040】
これらの角度α,θとチェーン受取面74の前縁/後縁の間の間隔とは、チェーンCが小型スプロケットS1から大型スプロケットS2ヘシフトされるときのチェーンCの移動方向にほぼ沿って測定されるのが望ましい。図4から図7に最も明確なように、チェーン移動方向とは、シフトされる移動チェーンCのほぼ長手方向、すなわちチェーンCの長さに沿った方向(例えば、中心面Pに実質的に平行な方向)である。チェーン受取面74は、凹面部55bにほぼ平行になるように周方向に面取りされるのが望ましい。
【0041】
ここで、本発明の動作について詳細に説明する。基本的に、横方向の力FがチェーンCに加えられると、チェーンCがスプロケットS1からスプロケットS2ヘアップシフトしはじめる。スプロケットS1上にチェーンCが配置された状態で、後方回転方向に位置する第1シフト補助突起20は、チェーンの1対の隣接するアウターリンクプレートの間を通過するか、前述のようにアップシフトを開始させるためにアウターリンクプレートの1つの中央領域に係合する。第1シフト補助突起20がチェーンCの隣接するアウターリンクプレートの間を通過した場合は、次のシフト補助突起20が、アップシフトを開始させるようにアウターリンクプレートの1つの中央領域と係合するのが望ましい。このシフト補助突起20もチェーンCの隣接するアウターリンクプレートの間を通過した場合は、次のシフト補助突起20が、隣接するシフト補助突起20の間の奇数本の歯によって、チェーンのアウターリンクプレートの1つの中央領域と確実に係合する。通常、1つのシフト補助突起20のみが1対の隣接するアウターリンクプレートの間を通過して、次のシフト補助突起20がチェーンCのアップシフトを開始させる。ただし、状況によっては、チェーンCの対向する第1シフト補助突起20が、アップシフトを開始させられる適切な位置にきている場合もある。いずれにしろ、スプロケットS1上におけるチェーンCの配置にかかわらず、シフト補助突起の1つは、クランクアーム14,16の回転が180°未満の間に、アップシフトを開始させるためにアウターリンクプレートの1つの中央領域に係合する。
【0042】
ここで使用された「前方、後方、上方、上、下方、垂直、水平、下、横」などの方向を示す用語ならびに他の同様の方向を表す用語は、本発明が自転車に装着された状態での方向を表すものとする。したがって、本発明を説明するこれらの用語は、本発明が装着された自転車を基準に解釈されなければならない。
【0043】
[第2実施形態]
ここで図22を参照しながら、本発明の第2実施形態によるフロントクランクセット212を備えた自転車用ドライブトレイン210について説明する。この第2実施形態は、第1実施形態のスプロケットS1が1対のスプロケットS1A及びS1Bで置き換えられている点を除き、第1実施形態と同一である。第1実施形態と第2実施形態との類似点を考慮して、第1実施形態の部品と同じ第2実施形態の部品については、同一の参照番号を使用している。さらに、第1実施形態の部品と同じ第2実施形態の部品についての説明は、簡略化のために省略する。
【0044】
本実施形態による大型スプロケットS2及び中型スプロケットS1Bは、第1実施形態の場合と同様、シフト補助突起(図示せず)を共に備えている。中型スプロケットS1Bは、大型スプロケットS2と同様の複数の突起(図示せず)及びアップシフト歯(図示せず)を備える点を除き、第1実施形態による小型スプロケットS1と同一である。小型スプロケットS1Aは、第1実施形態によるスプロケットS1よりも小さい直径(すなわち、より少数の歯)を有する点を除き、スプロケットS1とほぼ同一である。
【0045】
ここで使用されている「ほぼ」、「約」、「おおよそ」などの程度を表す用語は、最終結果が著しく変化しないような、妥当な量の変化を意味する修正用語である。これらの用語は、修正対象の用語の意味を無効にしない範囲で、±5%の偏差を含むものと解釈される。
【0046】
ここでは、本発明の選択された実施形態を説明し図示している。本開示から本技術に精通するものには明らかであるが、請求の範囲で定義された本発明の目的又は範囲から逸脱することなく、様々な修正、変更を加えることができる。さらに、本発明による複数の実施形態の説明は、例示することのみを目的とし、添付された請求項や請求項と同等と見なされる内容によって規定される発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態による、フロントスプロケット・アセンブリを有する自転車用ドライブトレインの側面図。
【図2】図1に示されたフロントスプロケット・アセンブリの拡大外側立面図。
【図3】図2に示されたスプロケットアセンブリの内側立面図。
【図4】大型スプロケットへのシフト操作の第1(初期)段階において駆動チェーンが小型スプロケット上に配置されている、図2及び図3に示されたスプロケットアセンブリの拡大上面図。
【図5】大型スプロケットへのシフト操作の第2段階において駆動チェーンが小型スプロケット上に配置されている、図2及び図3に示されたスプロケットアセンブリの拡大上面図。
【図6】大型スプロケットへのシフト操作の第3段階において駆動チェーンが小型及び大型スプロケット上に配置されている、図2及び図3に示されたスプロケットアセンブリの拡大上面図。
【図7】大型スプロケットへのシフト操作の第4(最終)段階において駆動チェーンが小型及び大型スプロケット上に配置されている、図2及び図3に示されたスプロケットアセンブリの拡大上面図。
【図8】大型スプロケットへのシフト操作の第1(初期)段階において駆動チェーンが小型スプロケット上に配置されている、図4に示されたスプロケットアセンブリの部分内側立面図。
【図9】大型スプロケットへのシフト操作の第2段階において駆動チェーンが小型スプロケット上に配置されている、図5に示されたスプロケットアセンブリの部分内側立面図。
【図10】大型スプロケットへのシフト操作の第3段階において駆動チェーンが小型及び大型スプロケット上に配置されている、図6に示されたスプロケットアセンブリの部分内側立面図。
【図11】大型スプロケットへのシフト操作の第4(最終)段階において駆動チェーンが小型及び大型スプロケット上に配置されている、図7に示されたスプロケットアセンブリの部分内側立面図。
【図12】図示の目的により、シフト補助突起が太線で描かれている、図4から図11に示された大型スプロケット及びチェーンのさらに拡大された部分上面図。
【図13】図示の目的により、シフト補助突起が太線で描かれている、図12に示された大型スプロケット及びチェーンの部分内側立面図。
【図14】図13に示された(1つのシフト補助突起を伴う)大型スプロケットのさらに拡大された部分内側立面図。
【図15】図2から図14に示された大型スプロケットの部分内側外観図。
【図16】図2から図15に示された大型スプロケットのシフト補助突起の1つの拡大外観図。
【図17】図16に示されたシフト補助突起の外側立面図。
【図18】図16及び図17に示されたシフト補助突起の上面図。
【図19】前方回転側から見た、図16から図18に示されたシフト補助突起の側面図。
【図20】図16から図19に示されたシフト補助突起の、図17の20−20線による断面図。
【図21】図16から図20に示されたシフト補助突起の内側立面図。
【図22】本発明の第2実施形態による自転車用ドライブトレインの側面図。
【符号の説明】
【0048】
10 自転車用ドライブトレイン
14 左クランクアーム
16 右クランクアーム
20 シフト補助突起
40 第1取付部分
42 第1環状リング部分
44 第1歯
46 取付フランジ
50 第2取付部分
52 第2環状リング部分
54 主要歯(第2歯)
55 第1アップシフト歯(第2歯)
55a 第1案内カットアウト
55b 凹面部
57 第2アップシフト歯(第2歯)
57a 第2案内カットアウト
57b 第2後端カットアウト
57c 第2対向案内溝
58 軸方向貫通孔,開口
59 第3アップシフト歯(第2歯)
59c 第3対向案内溝
60 第1環状側面
62 第2環状側面
70 取付部分
72 シフト補助部分
74 チェーン受取面
76 チェーン支持面
78 縁面
S1,S1A 小型スプロケット
S1B 中型スプロケット
S2 大型スプロケット
C 駆動チェーン
P 中心面
X チェーン受取面の中心軸
Y 取付部分の中心軸
Z チェーン受取面の中心軸
α 中心面に対する角度
θ 中心面に対する角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチェーン係合歯と、中心面と、前記中心面に垂直な中心回転軸とを有する自転車用スプロケットに連結され固定される取付部分と、
前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定されるときに、前記自転車用スプロケットの前記中心面から軸方向に間隔を隔てて配置されるシフト補助部分と、
を備え、
前記シフト補助部分は、前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定されたときに前記中心面と前記複数のチェーン係合歯との方向を向き自転車用チェーンのアウターリンクプレートに係合する軸方向対向チェーン受取面を有しており、
前記軸方向対向チェーン受取面は、前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定されたときに、前記自転車用スプロケットの前記中心面に対して変化する所定の角度で傾いている、
自転車スプロケット用のシフト補助突起。
【請求項2】
前記チェーン受取面は、前記チェーンが小型スプロケットから前記シフト補助突起の連結された前記スプロケットにシフトされるときに前記チェーンの移動方向にほぼ沿って見ると、前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定されたときに前記中心面に対して45°よりも0°に近い角度で傾く最前方縁を有しており、
前記チェーン受取面は、前記チェーンが前記小型スプロケットから前記シフト補助突起の連結された前記スプロケットにシフトされるときに前記チェーンの移動方向にほぼ沿って見ると、前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定されたときに前記中心面に対して0°よりも45°に近い角度で傾く最後方縁を有している、
請求項1に記載の自転車スプロケット用のシフト補助突起。
【請求項3】
前記最前方縁は、前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定されたときに前記中心面に対して約12°の角度で傾いており、
前記最後方縁は、前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定されたときに前記中心面に対して約30°の角度で傾いている、
請求項2に記載の自転車スプロケット用のシフト補助突起。
【請求項4】
前記チェーン受取面は、円錐台形状を有している、
請求項1から3のいずれかに記載の自転車スプロケット用のシフト補助突起。
【請求項5】
前記シフト補助部分は、前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定されたときに前記チェーン受取面から前記中心面に向かって軸方向に延びるチェーン支持面を有している、
請求項1から4のいずれかに記載の自転車スプロケット用のシフト補助突起。
【請求項6】
前記取付部分と前記シフト補助部分とは、ワンピースの単一部材として一体に形成されている、
請求項1から5のいずれかに記載の自転車スプロケット用のシフト補助突起。
【請求項7】
前記取付部分は、前記自転車用スプロケットの対応軸方向開口内に設置され固定される円筒形状部を備えている、
請求項1から6のいずれかに記載の自転車スプロケット用のシフト補助突起。
【請求項8】
前記チェーン受取面は、前記取付部分の前記円筒形状部の中心軸からオフセットされた中心線まわりに延びる円錐台形状を有している、
請求項7に記載の自転車スプロケット用のシフト補助突起。
【請求項9】
前記シフト補助部分は、前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定され前記チェーンが小型スプロケットから前記スプロケットにシフトされるときに、前記チェーンの隣接する1対のアウターリンクプレートの間に適合するように形成されている、
請求項1から8のいずれかに記載の自転車スプロケット用のシフト補助突起。
【請求項10】
複数のチェーン係合歯と、中心面と、中心面に垂直な中心回転軸とを有する自転車用スプロケットに連結され固定される取付部分と、
前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定されるときに、前記自転車用スプロケットの前記中心面から軸方向に間隔を隔てて配置されるシフト補助部分と、
を備え、
前記シフト補助部分は、前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定されるときに前記中心面と前記複数のチェーン係合歯との方向を向き自転車用チェーンのアウターリンクプレートに係合する軸方向対向チェーン受取面を有しており、
前記軸方向対向チェーン受取面は、前記取付部分が前記自転車用スプロケットに連結され固定されたときに前記自転車用スプロケットの前記中心面に対して変化する所定の角度で傾いており、
前記軸方向対向チェーン受取面は、前記チェーンが小型スプロケットから前記シフト補助突起の連結された前記スプロケットにシフトされるときに前記チェーンの移動方向にほぼ沿って見ると、最前方縁より前記中心面に近い位置にある最後方縁を有している、
自転車スプロケット用のシフト補助突起。
【請求項11】
第1方向を向く第1環状側面と、前記第1方向と実質的に反対側の第2方向を向く第2環状側面と、前記第1及び第2環状側面の間に配置された中心面とを有し、自転車のドライブトレイン要素に連結される環状リング部分と、
前記環状リング部分の前記第1及び第2環状側面の間で前記環状リング部分から半径方向外方に向かって延びる周上に配置された複数の歯と、
スプロケットから前記第1方向及び第2方向のいずれかの軸方向に延び、前記中心面と前記複数の歯との方向を向き自転車用チェーンのアウターリンクプレートに係合する軸方向対向チェーン受取面を有するシフト補助突起と、
を備え、
前記軸方向対向チェーン受取面は、前記中心面に対して変化する所定の角度で傾いている、
自転車用大型スプロケット。
【請求項12】
前記チェーン受取面は、前記チェーンが小型スプロケットから前記大型スプロケットにシフトされるときに前記チェーンの移動方向にほぼ沿って見ると、前記中心面に対して45°よりも0°に近い角度で傾く最前方縁を有しており、
前記チェーン受取面は、前記チェーンが小型スプロケットから前記大型スプロケットにシフトされるときに前記チェーンの移動方向にほぼ沿って見ると、前記中心面に対して0°よりも45°に近い角度で傾く最後方縁を有している、
請求項11に記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項13】
前記最前方縁は、前記中心面に対して約12°の角度で傾いており、
前記最後方縁は、前記中心面に対して約30°の角度で傾いている、
請求項12に記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項14】
前記シフト補助突起は、実質的に隣接する前記歯の1つに配置されており、
前記歯の1つは、前記軸方向対向チェーン受取面に面する軸方向凹面部を有している、
請求項11から13のいずれかに記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項15】
前記チェーン受取面は、円錐台形状を有している、
請求項11から14のいずれかに記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項16】
前記シフト補助突起は、前記チェーン受取面から前記中心面に向かって軸方向に延びるチェーン支持面を有している、
請求項11から15のいずれかに記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項17】
前記環状リング部分と前記周上に配置された複数の歯とは、ワンピースの単一部材として一体に形成されている、
請求項11から16のいずれかに記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項18】
前記シフト補助突起は、前記環状リング部分及び前記周上に配置された複数の歯とは別部材として形成されている、
請求項11から17のいずれかに記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項19】
前記シフト補助突起は、前記大型スプロケットの対応軸方向開口内に設置され固定される円筒形状部を含む取付部分を有している、
請求項11から18のいずれかに記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項20】
前記チェーン受取面は、前記取付部分の前記円筒形状部の中心軸からオフセットされた中心線まわりに延びる円錐台形状を有している、
請求項19に記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項21】
前記シフト補助部分は、前記チェーンが小型スプロケットから前記大型スプロケットにシフトされるときに、前記チェーンの隣接する1対のアウターリンクプレートの間に適合するように形成されている、
請求項11から20のいずれかに記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項22】
前記大型スプロケットは、周上に間隔を置いて配置される複数の前記シフト補助突起を有している、
請求項11から21のいずれかに記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項23】
前記凹面部は、周方向に面取りされている、
請求項14に記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項24】
前記面取りされた凹面部は、前記チェーンが小型スプロケットから前記大型スプロケットにシフトされるときに前記チェーンの移動方向にほぼ沿って見ると、最前方縁よりも前記中心面に近い位置にある最後方縁を有している、
請求項23に記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項25】
前記チェーン受取面は、前記凹面部に実質的に平行になるように周方向に面取りされている、
請求項23又は24に記載の自転車用大型スプロケット。
【請求項26】
第1方向を向く第1環状側面と、前記第1方向と実質的に反対側の第2方向を向く第2環状側面と、前記第1及び第2環状側面の間に配置された中心面とを有し、自転車のドライブトレイン要素に連結される環状リング部分と、
前記環状リング部分の前記第1及び第2環状側面の間で前記環状リング部分から半径方向外方に向かって延びる周上に配置された複数の歯と、
前記第1方向及び前記第2方向のいずれかの軸方向に延び前記中心面と前記複数の歯との方向を向き自転車用チェーンのアウターリンクプレートに係合する軸方向対向チェーン受取面を有するシフト補助突起と、
を備え、
前記チェーン受取面は、前記中心面に対して変化する所定の角度で傾いており、
前記チェーン受取面は、前記チェーンが小型スプロケットから前記大型スプロケットにシフトされるときに前記チェーンの移動方向にほぼ沿って見ると、最前方縁よりも前記中心面に近い位置にある最後方縁を含むチェーン受取面を有している、
自転車用大型スプロケット。
【請求項27】
第1環状リング部分から半径方向外方に向かって延びる周上に間隔を隔てて配置された複数の第1歯を有する第1スプロケットと、
前記第1スプロケットに連結され、前記第1スプロケットよりも大型の第2スプロケットと、
を備え、
前記第2スプロケットは、前記第1スプロケットに向かって第1方向を向く第1環状側面と、前記第1方向と実質的に反対側の第2方向を向く第2環状側面と、前記第1及び第2環状側面の間に配置された中心面とを含む第2環状リング部分と、前記第1及び第2環状側面の間で第2環状リング部分から半径方向外方に向かって延びる周上に配置された複数の第2歯と、前記第2スプロケットから前記第1スプロケットに向かって軸方向に延び前記中心面と前記複数の第2歯との方向を向き自転車用チェーンのアウターリンクプレートに係合する軸方向対向チェーン受取面を含むシフト補助突起とを有し、
前記チェーン受取面は、前記中心面に対して変化する所定の角度で傾いている、
自転車用スプロケットアセンブリ。
【請求項28】
前記第1及び第2スプロケットに連結され固定された自転車用クランクアームをさらに備える、
請求項27に記載の自転車用スプロケットアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−8111(P2006−8111A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140574(P2005−140574)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)