説明

自転車用駆動ユニット

【課題】変速機構及び、アシスト走行のためのモータを共に有する自転車の駆動ユニットにおいて、軽量化、コンパクト化を実現する駆動ユニットを提供する。
【課題手段】本発明に係る自転車の駆動ユニットは、クランク軸を配置可能な孔を有するモータと、複数のギア比を選択可能な変速機構と、変速機構の出力と前記モータの出力が合算される出力部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助動力としてモータ出力を使用し、かつ変速機構を有する電動補助自転車の駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
補助動力としてモータ出力を使用し、かつ変速機構を有する電動補助自転車として、特許文献1に記載された発明がある。特許文献1に係る電動補助自転車は、ペダルにおいて受けた踏力を、変速機構を介して伝達し、伝達された駆動力と、モータからの駆動力を合成する。そして、当該自転車は、合成した駆動力を後車輪に伝達することによって、後車輪を回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4036776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の自転車の駆動ユニットは、クランク軸と、変速機構の軸と、モータの出力軸との3軸で構成されているため、長大なケーシングを有する。このため、自転車のデザインの自由度が低下し、重量が増大するという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みて、変速機構及び、アシスト走行のためのモータを共に有する自転車の駆動ユニットにおいて、軽量化、コンパクト化を実現する自転車の駆動ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための自転車の駆動ユニットは、クランク軸を配置可能な孔を有するモータと、複数のギア比を選択可能な変速機構と、変速機構の出力と前記モータの出力が合算される出力部と、を備える。
【0007】
これにより、モータをクランク軸上に配置することができるので、自転車の駆動ユニットの軽量化、コンパクト化を実現する。また、変速機構によって複数のギア比を選択可能であるので、効率的にモータによる補助駆動を行うことができる。
【0008】
さらに、クランク軸の回転軸と、モータの回転軸とは、同軸に設けられるとよい。これにより、モータの内部機構を簡略化することができるので、自転車の駆動ユニットの更なる軽量化、コンパクト化を実現する。
【0009】
さらに、当該自転車の駆動ユニットは、クランク軸をさらに備えるとよい。これにより、乗り手の踏力を変速機構に伝達することができる。
【0010】
さらに、出力部には、スプロケットが接続されるとよい。これにより、出力部の出力をリアハブ等に伝達することができる。
【0011】
さらに、モータの出力は、ワンウェイクラッチを介して、出力部に伝達されるとよい。これにより、クランク軸の回転力が、モータに伝達されることを防止できる。
【0012】
さらに、当該自転車の駆動ユニットは、減速機構をさらに有し、モータの出力は、減速機構を介して、出力部に伝達されるとよい。これにより、モータの出力を減速して出力部に伝達することができるので、モータを効率良く動作させる出力部を実現することができる。
【0013】
さらに、クランク軸は、変速機構の入力部に結合されるとよい。これにより、乗り手の踏力を変速機構に伝達することができる。
【0014】
さらに、変速機構は、遊星歯車機構を有するとよい。また、遊星歯車機構は、遊星歯車を有するキャリアを有し、キャリアは、出力部に支持されるとよい。これにより、当該駆動ユニットを備える自転車は、クランク軸の回転の変速を実現することができる。
【0015】
さらに、当該自転車の駆動ユニットは、クランク軸およびモータが回転する第1回転軸と、変速機構が回転する第2回転軸とを有するとよい。そして、変速機構の入力部および出力部は、第2回転軸まわりに回転するとよい。当該駆動ユニットは、2軸により形成されるので、自転車の駆動ユニットの軽量化、コンパクト化を実現する。また、構成の複雑な変速機構およびモータを別々の回転軸まわりに回転するように構成するので、組み立て易い。
【0016】
さらに、モータの回転軸線方向の一方に前記出力部が配置され、モータの回転軸線方向の他方に、クランク軸および変速機構を連結する連結機構が配置されるとよい。これにより、モータの両側に連結機構と出力部が分離して配置されるので、クランク軸の回転軸線方向の重量バランスがとりやすくなる。
【0017】
さらに、連結機構は、歯車を有するとよい。また、変速機構の入力部は、歯車を有し、連結機構の前記歯車と噛み合うとよい。これにより、変速機構の入力部と連結機構がベルト等で連結されるのに比べ、耐久性が向上する。
【0018】
さらに、出力部の回転軸は、クランク軸の回転軸と同軸に設けられるとよい。これにより、出力部の回転軸とクランク軸の回転軸の軸受けを一体化することができるので、自転車の駆動ユニットの更なる軽量化、コンパクト化を実現する。
【0019】
さらに、出力部は、変速機構の出力部に結合される第1結合部と、モータに結合される第2結合部とを有するとよい。そして、第1結合部は、外歯車を有するとよい。また、第2結合部は、内歯車を有するとよい。これにより、当該駆動ユニットは、クランク軸の回転トルクと、モータの回転トルクを合成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、変速機構及び、アシスト走行のためのモータを共に有する駆動ユニットにおいて、軽量化、コンパクト化を実現する駆動ユニットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る駆動ユニットを組み込んだ電動補助自転車の側面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る駆動ユニットの断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態による内装変速ハブの縦断面図。
【図4】その軸の斜視図。
【図5】第1ワンウェイクラッチの横断面図。
【図6】第2ワンウェイクラッチの横断面図。
【図7】第3ワンウェイクラッチの横断面図。
【図8】切換機構の分解斜視図。
【図9】カム受け部材の正面図。
【図10】カム受け部材の半截断面図。
【図11】第2クラッチ機構の連結状態のときの横断面図。
【図12】第2クラッチ機構が連結解除状態のときの横断面図。
【図13】第1操作筒と第2操作筒との相対回動可能範囲を示す横断面図。
【図14】本発明の第1の実施形態の変形例の駆動ユニットの断面図。
【図15】本発明の第1の実施形態の変形例の駆動ユニットの断面図。
【図16】本発明の第1の実施形態の変形例の駆動ユニットの断面図。
【図17】本発明の第1の実施形態の変形例の駆動ユニットの断面図。
【図18】本発明の第1の実施形態の変形例の駆動ユニットの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る駆動ユニットを組み込んだ電動補助自転車の一例を表す右側面図である。この電動補助自転車は、ペダル100に作用する踏力を、クランク101→クランク軸102→駆動ユニット1→フロントスプロケット103→チェーン104→リヤスプロケット105という経路を経て、後車輪の車軸106に伝達する過程で、モータ出力を補助動力として合成し、走行をアシストするものである。通常は、トルク検出手段でクランク軸102に作用するトルクを検出し、その検出値が設定値を超えたところで、モータを起動して不足分に応じたトルクを補助動力として発生させている。トルク検出手段は、たとえばクランク軸102に磁歪素子と、検出コイルとを備え、クランク軸102の捩れを検出する。アシスト用のモータを含む駆動ユニット1は、一般にフレームのシートチューブの下端部とフレームのダウンチューブの後端部との連結部付近に配置され、モータ駆動用のバッテリは、リアキャリア、ダウンチューブまたはシートチューブ沿って配置されている。
【0023】
本発明は、クランク軸と、モータの出力軸とを同軸で構成し、変速機構の軸を加えて、ニ軸で駆動ユニットを構成したことを特徴とするものである。以下では、駆動ユニット1の構造および機能を説明する。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る駆動ユニットの断面図である。図2に示すように、本駆動ユニット1では、クランク軸102がケーシング111の貫通孔111Aに内挿されており、軸受112,113を介してケーシング111に回転自在に支持されている。クランク軸102の両端には、クランクアーム101が着脱可能に取り付けられている。クランクアーム101は、ケーシング111の外部に配置されている。
【0025】
<アシスト用モータの構成>
モータ(電動機)120は、その回転軸がクランク軸102の回転軸と同軸になるように配置されている。モータ120のステータ121は、励磁用コイルを巻かれてクランク軸102の同心円上に配置され、取付部122によりケーシング111に固定されている。ロータ123は、クランク軸102に回転自在に支持されている。ロータ123は、たとえば周方向に複数の磁極を有する磁石(図示せず)と、磁石を保持する磁石保持部(図示せず)とを有している。本実施の形態のモータは、ロータ121がステータ121に外囲されて設けられるインナーロータ式のモータである。ロータ123は、クランク軸方向に間隔を隔てて配置される第1軸受124a及び第2軸受124bによりクランク軸102に回転自在に支持されている。なお、モータ120は図示を省略したインバータによって駆動される。インバータは、図示しない制御部によって駆動され、制御部は、踏力および速度に応じて、インバータを制御する。
【0026】
<減速機構の構成>
減速機構125は、ロータ123の回転をトルク伝達部材130に伝達し、トルク伝達部材130の回転をロータ123に伝達する。減速機構125は、遊星歯車機構126を有している。遊星歯車機構126は、太陽ギア126aと、太陽ギア126aの外周側に配置された内歯ギア126bと、太陽ギア126aと内歯ギア126bとに噛み合う複数(たとえば3つ)の遊星ギア126cと、を有している。太陽ギア126aは、ロータ123に固定されている。内歯ギア126bは、取付部122に設けられている。複数の遊星ギア126cは、トルク伝達部材130によって回転可能に支持されている。トルク伝達部材130は、いわゆるキャリアである。各遊星ギア126cは、歯数の異なる第1および第2のギア部を有する。第1のギア部の歯数は、第2のギア部の歯数よりも多い。第1のギア部は、太陽ギア126aに噛み合い、第2のギア部は、内歯ギア126bに噛み合っている。トルク伝達部材130は、トルク合成部材131(詳細は後述する)の内側面にワンウェイクラッチ132と回転支持部133とを介して、回転可能に支持されている。回転支持部133は、本実施の形態では滑り軸受けによって構成されるが、ベアリングによって構成されてもよい。回転支持部133は、クランク軸に関してワンウェイクラッチ132よりも半径方向の外側に配置される。この遊星歯車機構126では、ケーシング111に対して内歯ギア126bが回転不能に固定されるため、ロータ123が連結された太陽ギア126aの回転が減速してトルク伝達部材130に伝達される。
【0027】
<連結機構の構成>
連結機構は、第1歯車114および第2歯車141を備える。クランク軸102と変速機構本体140bとを連結する。第1歯車114は、クランク軸102の一端部側に設けられる。第1歯車114は、クランク軸102に固着して、クランク軸102と一体となって回転する。第1歯車114は、たとえばセレーションによって、着脱可能にクランク軸102に取り付けられてもよい。第2歯車141は、変速機構140にトルクを入力する部材であり、第1歯車114と噛み合っている。連結機構は、モータ120を挟んでトルク合成部材131およびフロントスプロケット103とは反対側に設けられる。
【0028】
<変速機構の構成>
変速機構140は、変速機構用モータユニット140aと変速機構本体140bとから構成される。変速機構用モータユニット140aは、ハンドルに装着された変速操作部(図示せず)における乗り手の指示により、後述する変速機構本体140bの係止体88を所定の位相に回転させる。変速機構用モータユニット140aとして、例えば、特許第3529723号に開示されている公知のモータユニットを利用することができる。変速機構本体140bは、複数のギア比を選択可能な変速機である。変速機構本体140bは、本実施の形態では、複数の変速段を選択可能であって、少なくとも1つの遊星ギア及び太陽ギアを有する回転伝達機構と、それらのギアの一部を回動可能もしくは回動不能とする制御機構を有する。図2は、3段切り替えの変速機構を例に挙げて、変速機構本体140bを図示する詳細説明図である。
【0029】
<変速機構本体の構成>
変速機構本体140bは、図3に示すように、軸12と、出力部14と、駆動体(入力部)16と、回転伝達機構18と、切換機構20と、を備えている。軸12は、ケーシング111に回転不能に装着可能である。なお、説明の便宜上、図3では、変速機構本体140bの向きが、図2の変速機構本体140bの向きと左右反対となっている。出力部14および駆動体16は筒状に形成される。出力部14は、駆動体16とともに、回転伝達機構18および切換機構20を覆う。出力部14の一端(図3左端)は、軸受22aを介して軸12に回転自在に支持されている。駆動体16は、軸12に軸受22bを介して回転自在に支持されている。出力部14の他端(図3右端)は、駆動体16に、軸受22cを介して回転自在に支持されている。
【0030】
軸受22aは、軸12の後述する第2雄ねじ部26に螺合する玉押し23aと、出力部14の一端内周面に形成された玉受け23bと、玉押し23aと玉受け23bとの間に配置された鋼球23cと、を有している。軸受22bは、軸12の後述する回り止め溝27bに回り止めされた玉押し23dと、駆動体16の一端内周面に形成された玉受け23eと、玉押し23dと玉受け23eとの間に配置された鋼球23fと、を有している。軸受22cは、駆動体16の外周面に形成された玉押し23gと、出力部14の他端内周面に形成された玉受け23hと、玉押し23gと玉受け23hとの間に配置された鋼球23iと、を有している。
【0031】
<軸の構成>
軸12は、図4に示すように、ケーシング111に形成された挿入口115(図2参照)にナット116(図2参照)により固定するための第1雄ねじ部24a,24bを両端部に有している。第1雌ねじ部24a,24bには、挿入口115に回り止めされる平行に形成された回り止め部25a,25bが形成されている。第1雌ねじ部24aの軸方向内側には、軸受22aを装着するための第2雄ねじ部26が形成されている。第1雌ねじ部24bの軸方内側には、軸受22b及び切換機構20の構成部材を回り止めするための幅が異なる2つの回り止め溝27a,27bが180度間隔で軸方向に沿って形成されている。軸12の軸方向の中央部には、切換機構20のワンウェイクラッチとして機能する第1突起部28と、回り止めとして機能する第2突起部29と、が180度間隔で径方向に突出して形成されている。第2突起部29の軸方向の中央部には、位置決め凹部29aが形成されている。
【0032】
<出力部の構成>
出力部14は、軸12回りに回転自在である。出力部14は、図3に示すように、一端(図3左端)から他端(図3右端)に向けて階段状に拡径する筒状の部材である。出力部14の外周部には、第3歯車142が回転不能に装着されている。出力部14は、第3歯車142と一体的に回転可能である。
【0033】
<駆動体の構成>
駆動体16は、軸12と出力部14の間に両者に回転自在に装着された筒状の部材である。駆動体16は、一端(図3右端)に向けて階段状に縮径している。駆動体16の出力部14とは反対側の端部には、第2歯車141が装着されている。駆動体16は、第2歯車141と一体的に回転可能である。
【0034】
<回転伝達機構の構成>
回転伝達機構18は、駆動体16の回転を複数(例えば3つ)の変速段に変速して出力部14に伝達可能な遊星歯車機構32を有している。遊星歯車機構32は、リングギア34と、第1遊星ギア36と、第2遊星ギア38と、第1及び第2遊星ギア36,38を回転自在に支持するキャリア40と、第1遊星ギア36にかみ合う第1太陽ギア42と、第2遊星ギア38にかみ合う第2太陽ギア44と、を有している。リングギア34は、駆動体16の他端側(図3左側)の内周面に形成されている。第1遊星ギア36は、リングギア34に噛み合う少なくとも一つのギアである。第2遊星ギア38は、第1遊星ギア36と一体回転可能であり、第1遊星ギア36より歯数が多い少なくとも一つ(例えば、30)のギアである。この実施形態では、第1遊星ギア36と第2遊星ギア38は一体形成されているが別体で形成してもよい。キャリア40は、周方向に等間隔で配置されたそれぞれ3つの第1及び第2遊星ギア36,38を回転自在に支持し、かつ軸12回りに回転自在である。第1太陽ギア42は、軸12回りに回転し、第1遊星ギア36に噛み合うギアである。第2太陽ギア44は、軸12回りに回転し、第2遊星ギア38に噛み合うギアである。キャリア40は、軸12と平行に配置された複数本(例えば3本)の支持軸40aにより第1及び第2遊星ギア36,38を支持している。
【0035】
また、回転伝達機構18は、第1ワンウェイクラッチ50と、第2ワンウェイクラッチ52と、をさらに有している。
【0036】
第1ワンウェイクラッチ50は、軸12に回転自在に装着された筒状の第1爪支持部54を有している。第1爪支持部54は、キャリア40と一体回転可能に連結されている。第1爪支持部54は、外周面に後述する第1クラッチ爪55を起伏自在に装着する周方向に間隔を隔てて配置された複数(例えば6つ)の第1装着凹部54aを有している。また、第1装着凹部54aに隣接して一端(図3右端)にキャリア40に一体回転可能に連結される連結凹部54bを有している。第1爪支持部54は、図3に示すように、軸12の外周面に装着された止め輪53により軸方向の移動が規制されている。第1ワンウェイクラッチ50は、図5に示すように、キャリア40に連結された第1爪支持部54の進行方向の矢符Aに示す回転のみ出力部14に伝達する。
【0037】
第1ワンウェイクラッチ50は、第1装着凹部54aに起伏自在に装着された複数(例えば6つ)の第1クラッチ爪55と、第1クラッチ爪55に噛み合うように出力部14の内周面に形成された第1ラチェット歯56と、をさらに有している。第1クラッチ爪55は、第1爪装着部54の外周面に装着された環状の第1バネ部材57により、第1ラチェット歯56に噛み合う起立姿勢に向けて付勢されている。
【0038】
第2ワンウェイクラッチ52は、図6に示すように、第1遊星ギア42の進行方向と逆方向の矢符Bで示す回転を阻止する。第2ワンウェイクラッチ52は、図3に示すように、軸12に回転不能に連結された筒状の第2爪支持部58を有している。第2爪支持部58は、図6に示すように、内周面に軸12の第2突起部29に係合する係合凹部58aを有する回り止め部58bが径方向内方に突出して形成されている。第2爪支持部58は、位置決め凹部29aに係合する位置決めピン59により軸12方向の移動が規制されている。位置決めピン59は、第2爪支持部58の径方向に沿って配置された固定孔58cに配置されている。これより、第2爪支持部58が軸12に回転不能かつ軸方向移動不能に連結されている。
【0039】
第2爪支持部58は、外周面に後述する第2クラッチ爪60を起伏自在に装着する周方向に間隔を隔てて配置された複数(例えば2つ)の第2装着凹部58dを有している。また、切換機構20の後述する第1捩じりバネ97の他端97bを係止するためのバネ係止孔58eを外周面に有している。
【0040】
第2ワンウェイクラッチ52は、第2装着凹部58dに配置され、起伏自在に装着された複数(例えば2つ)の第2クラッチ爪60と、第2クラッチ爪60に噛み合うように第1太陽ギア42の内周面に形成された第2ラチェット歯61と、をさらに有している。第2クラッチ爪60は、第2爪支持部58の外周面に装着された環状の第2バネ部材62により、第2ラチェット歯61に噛み合う起立姿勢に向けて付勢されている。
【0041】
<切換機構の構成>
切換機構20は、図3に示すように、例えば変速機構用モータユニット140aのモータの出力軸の回転により移動可能な移動部材63を有している。また、切換機構20は、移動部材63の移動に応じて駆動体16とキャリア40とを連結状態と連結解除状態とに切換可能な第1クラッチ機構64と、移動部材63の移動に応じて第2太陽ギア44を回転可能状態と回転不能状態とに切換可能な第2クラッチ機構66と、移動部材63の移動に応じて第1及び第2クラッチ機構64,66を切換操作可能な操作機構70と、をさらに有している。
【0042】
<移動部材の構成>
移動部材63は、図3及び図8に示すように、変速機構用モータユニット140aと係合している係止体88(図3参照)と、係止体88と連動可能な第1操作筒90と、第1操作筒90に連動可能な第2操作筒92と、を有している。
【0043】
係止体88は、第1雄ねじ部24bに螺合するナット160及び変速機構用モータユニット140aにより軸受22bの玉押し23dに押圧された状態で軸12の外周面に回動自在に配置されている。係止体88には、変速機構用モータユニット140aの駆動用リング(図示せず)が係止されている。係止体88は、変速機構用モータユニット140aの動作により回動する。係止体88は、変速機構用モータユニット140aの動作により第1位置から第3位置までの3つの位置に位置決めされる。以後、第1位置を高速位置と記載し、第2位置を中間位置と記載し、第3位置を低速位置と記載する。例えば、係止体88は、ハンドルに装着された変速操作部(図示せず)により低速動作が指示されると、低速位置に配置され、変速操作部(図示せず)により高速動作が指示されると、高速位置に配置される。
【0044】
第1操作筒90は、軸12の外周面に回動自在に装着されている。第1操作筒90は、図8に示すように、一端(図8右端)に係止体88に係合する軸方向に延びる円弧状の1対の係合突起90aを有している。この係合突起90aの先端には、係止体88に係合する僅かに周方向長さが短い係止部90cが形成されている。この係止部90cが係止体88の内周面に係合することにより、第1操作筒90は係止体88の回動に連動して前述した3つの位置のいずれかに位置決めされる。係合突起90aは、後述するカム部材80の通過凹部80bを通過して係止体88に係止されている。
【0045】
第1操作筒90の他端(図8左端)には、第2操作筒92に連結される1対の第1連結片90bが形成されている。第1連結片90bの先端部90dは基端部より周方向長さが短い。また、第1操作筒90の外周面には、後述する第2捩じりバネ98の一端(図8右端)98aが係止されるバネ係止孔90eが形成されている。
【0046】
第2操作筒92は、一端(図8右端)に第1操作筒90の第1連結片90bに係合する円弧状の1対の第2連結片92aを有している。第2連結片92aの先端部92bは基端部より周方向長さが短い。第1連結片90bと第2連結片92aとは、図13に示すように、所定角度α(例えば40度)程度の相対回動が可能なように形成されている。また、第2操作筒92の他端(図8左端)には、第2クラッチ機構66を制御するための1対の第2制御部材85が一体で形成されている。
【0047】
<第1クラッチ機構の構成>
第1クラッチ機構64は、図3、図7及び図8に示すように、駆動体16とキャリア40との間に配置された第3ワンウェイクラッチ72と、第3ワンウェイクラッチ72を連結状態と連結解除状態とに制御する第1制御部材73と、を有している。
【0048】
第3ワンウェイクラッチ72は、駆動体16の進行方向の矢符Cで示す回転のみキャリア40に伝達する。第3ワンウェイクラッチ72は、図7に示すように、駆動体16の内周面に形成された複数(例えば2つ)の第3装着凹部16bに起伏自在に装着された第3クラッチ爪74と、第3クラッチ爪74に噛み合うようにキャリア40の一端(図3右端)外周面に形成された第3ラチェット歯75と、を有している。第3クラッチ爪74は、駆動体16の内周面に装着された環状の第3バネ部材76により、第3ラチェット歯75に噛み合う起立姿勢に向けて付勢されている。
【0049】
第1制御部材73は、図8に示すように、軸12に回転不能に連結されたカム部材80と、軸回りに回転可能なカム受け部材81と、を有している。
【0050】
カム部材80は、有底筒状の部材であり、軸12の回り止め溝27aに係合する係止突起80aを内周面に有している。また、第1操作筒90の係合突起90aを通過させる円弧状の通過凹部80bを内周面に有している。通過凹部80bは、第1操作筒90の所定範囲(例えば略40度)の回動を許容するように係合突起90aの周方向長さより長い周方向長さを有している。カム部材80の筒状部の端面には、カム受け部材81に係合する1対の傾斜カム80cが形成されている。傾斜カム80cは、周方向に傾斜した傾斜面で構成されている。
【0051】
カム受け部材81は、図9及び図10に示すように、リング状の部材であり、その内周面には、傾斜カム80cに係合する1対のカム受けピン81aが径方向内方に突出して形成されている。また、一端面(図8奥側端面)には、第3クラッチ爪74を第3ラチェット歯75に噛み合う起立姿勢と第3ラチェット歯75から離反する伏臥姿勢とに切り換える複数(例えば8つ)の制御面81bが形成されている。制御面81bは、周方向に間隔を隔てて配置され周方向及び径方向に傾斜したカム面を有している。
【0052】
カム受け部材81は、図3に示すように、キャリア40との間に配置されたコイルバネ83により軸方向外方(図3右方)に付勢されている。カム受け部材81は、操作機構70の後述する回動部材94が図8の時計回りに回動すると、この回動によりカム部材80の傾斜カム80cにカム受けピン81aが係合してコイルバネ83の付勢力に抗して軸方向内方(図3左方)に移動する。この軸方向内方への移動により制御面81bが第3クラッチ爪74を起立姿勢から伏臥姿勢に向けて押圧する。これにより、第3ワンウェイクラッチ72が連結解除状態になる。また、回動部材94が図8の反時計回りに回動すると、連結状態に戻る。
【0053】
<第2クラッチ機構の構成>
第2クラッチ機構66は、図11及び図12に示すように、軸12と第2太陽ギア44との間に配置された第4ワンウェイクラッチ84と、第4ワンウェイクラッチ84を連結状態と連結解除状態とに制御する第2制御部材85と、を有している。
【0054】
第4ワンウェイクラッチ84は、図11に示す連結状態にあるとき、第2太陽ギア44の進行方向の矢符Dで示す回転を禁止する。第4ワンウェイクラッチ84は、第2太陽ギア44の内周面に形成された複数(例えば2つ)の第4装着凹部44aに起伏自在に装着された第4クラッチ爪86と、第4クラッチ爪86に噛み合うように軸12の外周面に形成された第1突起部28と、を有している。第4クラッチ爪86は、第2太陽ギア44の内周面に装着された環状の第4バネ部材87により、第1突起部28に噛み合う起立姿勢に向けて付勢されている。
【0055】
第2制御部材85は、第2操作筒92に一体形成された円弧状断面の1対の部材である。第2制御部材85は、軸12の第1突起部28の図3右側面に近接して配置されている。第2制御部材85は、第2操作筒92の軸回りの回動により、図11に示す連結位置と、図12に示す連結解除位置との間で回動する。連結解除位置に第2制御部材85が回動すると、第4クラッチ爪86が伏臥姿勢側に押圧されて第4ワンウェイクラッチ84が連結解除状態になり、第2太陽ギア44が進行方向に回転可能になる。
【0056】
<操作機構の構成>
操作機構70は、図3及び図8に示すように、第2操作筒92に連動して回動する回動部材94と、第2操作筒92に連動して回動する復帰部材96と、を有している。また、操作機構70は、第1捩じりバネ97と、第2捩じりバネ98と、を有している。
【0057】
回動部材94は、金属板をプレス成形して形成された円板状の部材である。回動部材94は、カム受け部材81を係止体88の回動に応じて回動させるために設けられている。回動部材94は、略座金状の本体部94aと、本体部94aの外周部両側から90度折り曲げられて突出する1対の係合片94bと、を有している。本体部94aの内周面には、第1操作筒90の第1連結片90bの先端部90dに係合する第1係合凹部94cと、第2操作筒92の第2連結片92aの先端部92bに係合する第2係合凹部94dと、が形成されている。係合片94bの中央部分には、カム受け部材81のカム受けピン81aを軸方向移動自在に挟持する挟持溝94eが形成されている。一方の係合片94bには、第2捩じりバネ98の他端98bを係止するバネ係止孔94fが形成されている。
【0058】
復帰部材96は、金属板をプレス成形して形成された円板状の部材である。復帰部材96は、第1捩じりバネ97の付勢力を第1及び第2操作筒90,92に伝達して第1及び第2操作筒90,92を図8の反時計回りに回動させるために設けられている。復帰部材96は、内周側に第1操作筒90の第1連結片90bの先端部90dに係合する第1係合凹部96aと、第2操作筒92の第2連結片92aの先端部92bに係合する第2係合凹部96bと、を有している。また、側部に、第1捩じりバネ97の一端(図8右端)97aを係止するバネ係止孔96cが形成されている。
【0059】
第1捩じりバネ97は、例えば捩じりコイルバネであり、第1及び第2操作筒90,2のリターンバネとして作用する。すなわち、変速機構用モータユニット140aが高速位置から中速位置、あるいは中速位置から低速位置に向けて位置決めしようとするとき、第1及び第2操作筒90,92並びに係止体88を図8の反時計回りに回動させる。第1捩じりバネ97は、前述したように、一端97aが復帰部材96に、他端97bが軸12に対して回転不能な第2爪支持部58に係止されている。
【0060】
第2捩じりバネ98は、例えば捩じりコイルバネであり、第1操作筒90と第2操作筒92とを連動させるものである。具体的には、第3ワンウェイクラッチ72又は第4ワンウェイクラッチ82が動力伝達状態で切換操作できないときに、動力伝達状態が解除されてから第2操作筒92を回動させるために設けられている。前述したように第2捩じりバネ98は、一端98aが第1操作筒90に他端が回動部材94に係止されている。したがって、第2操作筒92には、第2捩じりバネ98及び回動部材94を介して第1操作筒90の回動が伝達される。
【0061】
<切換機構の動作>
次に、変速機構用モータユニット140aの動作による切換機構20の動作について説明する。
【0062】
変速機構用モータユニット140aの動作により係止体88が高速位置に位置決めされると、第1クラッチ機構64において、第1制御部材73のカム受け部材81は第3ワンウェイクラッチの第3クラッチ爪74から離反して配置される。このため、第3ワンウェイクラッチは連結状態になり、駆動体16の回転がキャリア40に伝達される。したがって、遊星歯車機構32は動作せず、駆動体16の回転が、キャリア40及び第1ワンウェイクラッチ50を介してそのまま出力部14に伝達される。そして、最終的には、駆動体16の回転が、第3歯車142に伝達される。この駆動体16からキャリア40を介して出力部14に伝達される経路が遊星歯車機構32の機能を使用しない等速伝達経路である。
【0063】
変速機構用モータユニット140aの動作により高速位置から中間位置に係止体88が位置決めされると、係止体88が回動し、それに応じて第1操作筒90が図8の反時計回りに回動する。これにより第1クラッチ機構64において、第1制御部材73のカム受け部材81が図8の時計回りに回動しつつ図3左方に移動し、第3ワンウェイクラッチ72の第3クラッチ爪74を伏臥姿勢に押圧しようとする。しかし、乗り手がペダル100をこいでいるときは、第3ワンウェイクラッチ72の第3クラッチ爪74が動力伝動状態になっているため、カム受け部材81が第3クラッチ爪74を押圧できない。したがって、第1操作筒90は回転しても、回動部材94及び第2操作筒92が回転せず、第2捩じりバネ98がたわんでその力が蓄えられる。そして、乗り手がペダル100をこぐのをやめると、第2捩じりバネ98の付勢力により回動部材94及び第2操作筒92が時計回りに回動する。これにより第1クラッチ機構64が連結解除状態になり、駆動体16に設けられたリングギア34により遊星歯車機構32が動作する。
【0064】
この中間位置にあるとき、第2クラッチ機構66は、図11に示す連結状態になっている。このため、第2太陽ギア44は、逆方向の回転が阻止されリングギア34が進行方向に回転したときに第2太陽ギア44が回転せず、第2遊星ギア38及び第2太陽ギア44の噛み合いにより決定される減速比で駆動体16の回転を減速してキャリア40を進行方向に回転する。この回転が第1ワンウェイクラッチ50を介して出力部14に伝達される。このため、高速位置の場合より出力部14の回転が減速する。なお、乗り手がペダル111をこいでいないときには、回動部材94及び第2操作筒92は第1操作筒90と連動して回動する。
【0065】
この駆動体16から第2遊星ギア38及び第2太陽ギア44の作用によりキャリア40が減速する経路が、2つの減速伝達経路のうちの高速側の減速伝達経路である。
【0066】
変速機構用モータユニット140aの動作により中速位置から低速位置に係止体88を回動さ出力部と、第1クラッチ機構64は、連結解除状態のままである。また第2クラッチ機構66において図12に示すように、第2制御部材85が軸12の第1突起部28に回動方向で重なるようになる。このため、第4クラッチ爪86が第1突起部28にかみ合えなくなり、第2クラッチ機構66が連結解除状態になる。したがって、第2太陽ギア44が両方向に回動できるようになり、太陽ギアとしての機能を果たせなくなる。この結果、第1遊星ギア36及び第1太陽ギア42の噛み合いにより決定される減速比で駆動体16の回転を減速してキャリア40を進行方向に回転させる。このとき、第1太陽ギア42が第2太陽ギア44より歯数が多いので中間位置よりさらに減速してキャリア40を進行方向に回転させる。
【0067】
この駆動体16から第1遊星ギア36及び第1太陽ギア42の作用によりキャリア40がさらに減速する経路が、2つの減速伝達経路のうちの低速側の減速伝達経路である。
【0068】
一方、変速機構用モータユニット140aの動作により低速位置から高速位置に操作すると、第1捩じりバネ97の付勢力により復帰部材96を介して第2操作筒92が図8の時計回りに回動し、それに応じて第1操作筒90及び回動部材94も図8の反時計回りに回動し、高速位置側に変速動作がなされる。
【0069】
<トルク合成部材>
トルク合成部材131は、クランク軸102の他端部側に設けられる。環状に形成されており、クランク軸102に沿って延びる第1環状部分と、第1環状部分の端部からクランク軸102に関して径方向に延びる第2環状部分とを有する。第2環状部分は、第1環状部分のモータ側の端部に配置される。トルク合成部材131の外周部は歯車131aにより構成されている。歯車131aは、第2環状部分の外周部に形成されている。トルク合成部材131の外周部は、第3歯車142と噛み合っている。トルク合成部材131の内周部は、ワンウェイクラッチ132を介して、トルク伝達部材130に連結されている。第1環状部分の内周部に、ワンウェイクラッチ132のクラッチ溝が形成される。トルク合成部材131には、さらに、トルク伝達部材130の回転を支持する回転支持部133が設けられている。回転支持部133は、第2環状部分に設けられる。トルク合成部材131の内周部には、軸受113が設けられ、トルク合成部材131は、クランク軸102を回転可能に支持している。第1環状部分の内周部に軸受113が設けられる。トルク合成部材131の外周部には、軸受134が設けられ、トルク合成部材131は、ケーシング111によって回転可能に支持されている。第1環状部分の外周部に軸受134が設けられる。軸受113とワンウェイクラッチ132とは、第1環状部分を挟んで近接して設けられている。トルク合成部材131には、トルク合成部材131と一体となって回転可能なようにスプロケット103が取り付けられている。トルク合成部材131の端部(第1環状部分の端部)は、ケーシング111の孔111Aから外部に突出する。このトルク合成部材131の第1環状部分の端部に、たとえばボルトによってスプロケット103が着脱可能に取り付けられる。
【0070】
<駆動ユニットの動作>
次に、本駆動ユニットの動作について説明する。乗り手の踏力によるトルクは、クランク101→クランク軸102→第1歯車114→第2歯車141→変速機構本体140b→第3歯車142→トルク合成部材131へと変速機構を介して伝達される。一方、モータからの出力トルクは、減速機構125→トルク伝達部材130→ワンウェイクラッチ132→トルク合成部材131へと伝達される。トルク合成部材131は、これら2つのトルクを合成し、スプロケット103に合成したトルクを伝達する。これにより、モータによるアシストが実現される。
【0071】
<第1の実施形態の効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態の駆動ユニットは、クランク軸とアシスト用モータの出力軸を同軸としたので、変速機構及び、アシスト走行のためのモータを共に有する軽量且つコンパクトな駆動ユニットを実現することができる。
【0072】
また、変速機構の入力トルクとして、モータの出力トルクがかからないので、変速機構が内装変速機構と同様の遊星歯車機構を備える変速機構であっても、乗り手は、段の切り替えをスムーズに行うことができる。また変速機構によって複数のギア比を選択可能であるので、効率的にモータによる補助駆動を行うことができる。
【0073】
また、本実施形態の変速機構140では、通常使用されるアシスト自転車で比較的使用頻度が高い最も高速の段階で遊星歯車機構32の減速伝達経路が使用されない。このため、構造が複雑な遊星歯車機構を使用する頻度が低くなり、変速機構140の耐久性を高く維持することができる。
【0074】
また、本実施形態では、係止体88及び第1及び第2操作筒が軸回りに回転するタイプの変速機構を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ベルクランクとベルクランクにより軸方向に移動するプッシュロッドを有する内装変速ハブの機構と同様の変速機構を用いて本発明の駆動ユニットを構成することもできる。図14は、このような変速機構を用いた一例を示す。図14に開示された変速機本体140bは、特許第3428559号公報に開示された内装変速ハブであり、この変速機140は、変速機構用モータユニット140aに代えて、ハンドルに装着された変速操作部(図示せず)からの指示を受けて動作するベルクランクを含む変速指示機構140cを備える。また、変速機本体140bは、ベルクランクにより軸方向に移動するプッシュロッド(図示せず)を含む。
【0075】
また、変速機構140は、3段のものを例に挙げて説明したが、変速機構140は、前述したものに限定されない。例えば、変速機構140は、5段、7段、8段、11段、もしくはそれ以外の段数のものであってもよい。図15、16、17、18は、それぞれ、5段、7段、8段、11段の変速機構を図示したものである。なお、図15、16、17、18において、図2の変速機構に対応する部材は、それぞれ同じ符号を付して表示している。
【0076】
なお、5段、7段、8段、11段の変速機構本体140bは、それぞれ、特許第4564978号公報、特許第3184230号公報、特許第3654845公報、特許第4705131号公報に開示されているものと同一である。これらの構成においても、第1の実施形態と同じ効果を奏するのは、当業者には明白である。また上記の変速機構の構成は上記のものに限らず、少なくとも減速機構および増速機構のいずれかを含む変速機構であればよい。
【0077】
以上の実施形態及び変形例の説明において、クランク軸から変速機構140へのトルクの伝達、変速機構140からトルク合成部材131へのトルクの伝達は、歯車を介して行うように説明した。しかし、これらのトルクの伝達は、ベルトまたはチェーンを用いて行われてもよい。
【0078】
また、連結機構は、第1歯車114および第2歯車141によって構成されているが、3つ以上の歯車を用いて、クランク軸102から変速機構140に駆動力を伝達してもよい。また、変速機構の出力部14と、トルク合成部材131との間に、複数の歯車を設けて駆動力を伝達してもよい。
【0079】
また、変速機本体140bは、多段変速機に代えて無段変速機であってもよい。さらには、アシスト用モータ120も、ブラシモータでもブラシレスモータであってもよい。また、アシスト用モータ120が低速に駆動することが可能なのであれば、減速機構125は省略されてもよい。その場合、モータ出力が、そのままワンウェイクラッチ132に伝達される。
【0080】
以上の実施形態では、変速は手動で行っているが、自動で変速を行ってもよい。この場合、自転車の速度検出する速度センサを設けて、速度センサの出力と、トルク検出手段からの出力とに基づいて、制御部が変速機構用モータユニット140aを制御して、変速機構140の変速を行う。
【符号の説明】
【0081】
1 駆動ユニット
12 軸
14 出力部
16 駆動体
18 回転伝達機構
20 切換機構
32 遊星歯車機構
34 リングギア
36 第1遊星ギア
38 第2遊星ギア
40 キャリア
42 第1太陽ギア
44 第2太陽ギア
50 第1ワンウェイクラッチ
52 第2ワンウェイクラッチ
64 第1クラッチ機構
66 第2クラッチ機構
70 操作機構
100 ペダル
101 クランク
102 クランク軸
103 スプロケット
104 チェーン
105 リアスプロケット
106 後車軸
111 ケーシング
112 軸受
113 軸受
114 第1歯車
120 モータ
121 ステータ
122 取付部
123 ロータ
124a、124b 軸受
125 減速機構
126 遊星歯車機構
130 トルク伝達部材
131 トルク合成部材
132 ワンウェイクラッチ
133 回転支持部
134 軸受
140 変速機構
141 第2歯車
142 第3歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランク軸を配置可能な孔を有するモータと、
複数のギア比を選択可能な変速機構と、
前記変速機構の出力と前記モータの出力が合算される出力部と、
を備える自転車の駆動ユニット。
【請求項2】
前記クランク軸の回転軸と、前記モータの回転軸とは、同軸に設けられる、請求項1に記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項3】
前記クランク軸をさらに備える、請求項1または2に記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項4】
前記出力部には、スプロケットが接続される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項5】
前記モータの出力は、ワンウェイクラッチを介して、前記出力部に伝達される、請求項1から4のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項6】
減速機構をさらに有し、
前記モータの出力は、減速機構を介して、前記出力部に伝達される、請求項1〜5のいずれか1つ記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項7】
減速機構をさらに有し、
前記モータの出力は、減速機構に入力され、
前記減速機構の出力は、ワンウェイクラッチを介して、前記出力部に伝達される、請求項1〜4のいずれか1つ記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項8】
前記クランク軸は、前記変速機構の入力部に結合される、請求項1から6のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項9】
前記変速機構は、遊星歯車機構を有する、請求項1から8のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項10】
前記遊星歯車機構は、遊星歯車を有するキャリアを有し、
前記キャリアは、前記出力部に支持される請求項1から9のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項11】
前記クランク軸および前記モータが回転する第1回転軸と
前記変速機構が回転する第2回転軸とを有する、請求項1から10のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項12】
前記変速機構の入力部および出力部は、前記第2回転軸まわりに回転する、請求項11に記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項13】
前記モータの回転軸線方向の一方に前記出力部が配置され、前記モータの回転軸線方向の他方に、前記クランク軸および前記変速機構を連結する連結機構が配置される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項14】
前記連結機構は、歯車を有する、請求項13に記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項15】
前記変速機構の入力部は、歯車を有し、
前記連結機構の前記歯車と噛み合う、請求項14に記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項16】
前記出力部の回転軸は、前記クランク軸の回転軸と同軸に設けられる、請求項1〜15のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項17】
前記出力部は、
前記変速機構の出力部に結合される第1結合部と、
前記モータに結合される第2結合部とを有する、請求項1〜16のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項18】
前記第1結合部は、外歯車を有する、請求項17に記載の自転車の駆動ユニット。
【請求項19】
前記第2結合部は、内歯車を有する、請求項17に記載の自転車の駆動ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−86562(P2013−86562A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226207(P2011−226207)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)