説明

臭いの少ないハイドロゲル形成ポリマーの製造方法

本発明はアクリル酸をベースとする臭いの少ないハイドロゲル形成ポリマーを製造する方法に関し、以下の工程からなる。a)水性重合媒体中で少なくとも50質量%のアクリル酸を含有するモノマー組成物をラジカル重合することによりポリマーハイドロゲルを製造し、前記ハイドロゲルを粒子状ハイドロゲルまたはハイドロゲルを形成する粉末に変換し、場合によりb)粒子状ハイドロゲルまたはハイドロゲルを形成する粉末を、ポリマーのカルボキシル基に対して反応性の少なくとも2個の官能基を場合により潜在した形で有する架橋作用する物質で処理する。本発明の方法は工程a)に使用されるアクリル酸がアクリル酸のオリゴマーの全部の含量500ppm未満、有利に400ppm以下、特に300ppm以下を有することを特徴とする。この場合にすべてのppmの表示はアクリル酸に関する質量の割合である。有利にトリアクリル酸(化合物I、x=2)およびアクリル酸の高級オリゴマーの割合は100ppm未満、特に50ppm未満、特に有利に10ppm未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル酸をベースとするハイドロゲル形成付加ポリマーの製造方法に関する。
【0002】
ハイドロゲル形成付加ポリマーとしてまたは超吸収剤ポリマー(これ以後SAPと省略する)として知られている吸水性付加ポリマーはハイドロゲルを形成することにより水性流体を吸収し、結合することができる。従ってSAPは体液を吸収するオムツ、失禁用詰め物およびパンツ、生理用ナプキン等のような衛生用品に使用される。SAPの包括的な概要、その用途および製造は、F.L.Buchholz and A.T.Graham(editors)、Modern Superabsorbent Polymer Technology、Wiley−VCH、New York、1998に記載されている。
【0003】
SAPの中でアクリル酸をベースとするものは特に重要な種類の物質を形成する。その製造方法はこの種のSAPが一般に多くの量の揮発成分または溶離可能な成分、特に未反応モノマー(残留モノマー)および特に未反応アクリル酸モノマーを含有する方法である。しかし衛生用品にまたは食品包装材料にまたは農業分野に助剤として使用されるSAPは原則的に低い含量の揮発性および溶離可能な物質を有するべきである。これらの成分の減少は生態的見地からも望まれる。
【0004】
アクリル酸をベースとするSAP中の揮発性残留モノマーの含量を減少する多くの提案が行われた。概要は例えば欧州特許第372706号に見出すことができる。提案はSAPの紫外線の照射(特開昭62−260906号)、アミンの添加(特開昭50−40649号)または亜硫酸塩または重亜硫酸塩の添加(米国特許第4306955号)、親水性有機溶剤または超臨界COを用いる抽出、特定の開始剤組み合わせ、例えばアゾ開始剤と組み合わせたレドックス開始剤の使用または微生物の使用(米国特許第4742114号)を含む。
【0005】
欧州特許(EP−A)第372706号はアクリル酸溶液をモル過剰の塩基とまず混合し、滞在時間に続いて他のアクリル酸を添加して20〜100%の範囲内に中和の程度を調節することにより得られる水性アクリル酸溶液を使用することによる低い残留モノマー含量を有するアクリル酸ベースポリマーの製造を記載する。
【0006】
欧州特許(EP−A)第574260号は使用されるアクリル酸がβ−ヒドロキシプロピオン酸1000ppm未満を含有することを除いて類似する方法を記載する。この目的のためにアクリル酸を常に新たに蒸留する。
【0007】
技術水準に記載された方法はきわめて費用がかかり、不便であるか、アクリル酸をベースとするSAPの測定可能な残留モノマー含量の減少にあまり有効でない。更にこれらのSAPはしばしば不快な臭いを有する。確かにこの不快な臭いは原則的にポリマーの吸水特性を減少しないが、特に衛生用品に適用する際に顧客の受け入れが減少する。
【0008】
本発明の課題は、アクリル酸をベースとし、低い残留モノマー含量を有する超吸収剤の製造方法を提供することである。更に超吸収剤は不快な臭いを有するべきでない。
【0009】
アクリル酸の全質量に対して500ppm未満のアクリル酸オリゴマーを含有するアクリル酸を反応することにより前記超吸収剤の残留モノマー含量を減少することができる。アクリル酸オリゴマーは一般式I:
CH=CH−C(O)−O−(CH−CH−C(O)−O)H (I)
の化合物であり、式中、Xは1〜10の整数であり、特に1である(ジアクリル酸)かまたは2〜10である(トリアクリル酸および高級オリゴマー)。アクリル酸オリゴマーはアクリル酸の貯蔵の進行中に、アクリル酸の二重結合またはオリゴマーのアクリル酸の二重結合にアクリル酸を1回付加または繰り返して付加することにより形成される。アクリル酸オリゴマーの形成は水によりおよびアクリル酸中のアルカリ性不純物により促進する。
【0010】
従って本発明は臭いの少ないハイドロゲルを形成するアクリル酸をベースとするポリマーの製造方法を提供し、前記方法は以下の工程:
a)水性重合媒体中で、アクリル酸少なくとも50質量%を含有するモノマー組成物をラジカル重合させることによりポリマーハイドロゲルを製造し、前記ハイドロゲルを粒子状ハイドロゲルまたはハイドロゲル形成粉末に変換し、場合により
b)前記粒子状ハイドロゲルまたは前記ハイドロゲル形成粉末を、場合により潜在した形で、ポリマーのカルボキシル基に対して反応性の少なくとも2個の官能基を有する架橋作用する物質を用いて処理する
ことからなり、工程a)に使用されるアクリル酸が全アクリル酸オリゴマー含量500ppm未満、有利に400ppm以下、特に300ppm以下を有することを特徴とする。ここでまたはこれ以後ppm単位はすべてアクリル酸に対する質量に関する。トリアクリル酸(xが2である化合物I)およびアクリル酸の高級オリゴマーの含量が100ppm未満であることが有利であり、特に50ppm未満、特に有利に10ppm未満である。
【0011】
500ppm未満、400ppm未満、特に300ppmm以下の全アクリル酸オリゴマー含量を有するアクリル酸は有利にこれらの不純物の高い含量を有するアクリル酸を晶出することにより製造する。粗製アクリル酸を蒸留することにより前記オリゴマー含量を取得することが原則的に可能である。アクリル酸を晶出する適当な方法は欧州特許(EP−A)第616998号、欧州特許(EP−A)第648520号、欧州特許(EP−A)第730893号、欧州特許(EP−A)第776875号、WO98/25889号、およびWO01/77056号から公知である。前記方法、特にWO01/77056号に記載された方法は粗製アクリル酸を本発明により維持すべきであるアクリル酸オリゴマーの最大濃度を有する純粋アクリル酸に変換することを可能にする。
【0012】
本発明の方法に有効なアクリル酸は5質量%以下の全アクリル酸オリゴマー含量を有する粗製アクリル酸の一工程または多工程の晶出により得られる。粗製アクリル酸のオリゴマー含量は有利に0.07〜3質量%、特に0.1〜0.2質量%の範囲内にある。粗製アクリル酸は更に他の有機不純物を含有することができ、これらは同様に実質的に晶出の進行中に除去する。これらの他の有機不純物の含量は一般に3質量%より多くない。他の不純物の例は脂肪族カルボン酸、特に酢酸およびプロピオン酸、芳香族アルデヒド、例えばフルフラール、およびベンズアルデヒド、アリルアクリレート、アクロレイン、脂肪族アルデヒド、マレイン酸および無水マレイン酸および工程抑制剤(process inhibitor)、例えばフェノチアジン(ジベンゼン−1,4−チアジン;PTZ)および4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−OH−TEMPO)またはアクリル酸にしばしば添加して安定にする類似の安定剤である。
【0013】
本発明により使用されるアクリル酸の製造に原料として有効な典型的な粗製アクリル酸はアクリル酸80〜99.8質量%、特に98.0〜99.7質量%、脂肪族カルボン酸、特に酢酸および/またはプロピオン酸少なくとも500ppmおよびしばしば1000ppmから5質量%まで、特に1000ppm〜1質量%を含有する。芳香族アルデヒドの含量は一般に0.005〜1質量%の範囲、特に0.01〜0.1質量%の範囲内であり、例えばフルフラール0.005〜0,8質量%およびベンズアルデヒド0.001〜0.6質量%である。工程抑制剤、例えばPTZおよび/または4−OH−TEMPOの含量は一般に0.005〜0.3質量%の範囲、特に0.02〜0.1質量%の範囲内であり、それぞれの%は粗製アクリル酸の全部の組成に関する。更に精製すべきアクリル酸はアクリル酸の重合に不利に作用する他の有機不純物、例えばジアクリル酸またはアリルアクリレートを含有することができる。これらの他の不純物の割合は粗製アクリル酸の全部の組成に対して一般に5質量%を上回らず、例えば0.001〜3質量%の範囲内である。ジアクリル酸の割合は当然ながらアクリル酸の熟成、すなわち貯蔵時間に依存し、5質量%まで、しばしば3質量%までであることができる。ジアクリル酸の割合はしばしば0.07〜3質量%、特に0.01〜2質量%の範囲内である。粗製アクリル酸の含水量は一般に5質量%以下、特に3質量%以下である。しかしこれより高い含水量、例えば20質量%までを有するアクリル酸を使用することも可能である。
【0014】
適当な粗製アクリル酸は公知であり、C3炭化水素の接触酸化により、特にプロパン、プロペンおよびこれらの混合物の酸化により大量生産の規模で得られ、粗製アクリル酸を公知の方法で、例えば部分凝縮、全凝縮により、適当な吸収剤、例えば高沸点有機溶剤または水に吸収することにより回収し、引き続きアクリル酸と吸収剤を反応ガスから分離する。例えばジフェニルエーテルおよびビフェニルの混合物への吸収による、高沸点有機吸収剤への吸収による粗製アクリル酸の回収に関してはドイツ特許(DE−A)第2136396号、ドイツ特許(DE−A)第4308087号およびUllmanns Encyclopedia of Ind.Chem.5th ed.CD−ROM.参照、水への吸収による粗製アクリル酸の回収に関しては、例えば欧州特許(EP−A)第511111号およびここで引用された文献を参照、反応ガスの全凝縮および引き続く共沸共留剤を用いる蒸留による粗製アクリル酸の回収に関しては、例えばドイツ特許(DE−A)第3429391号および特開平11−24766号参照、有機溶剤を用いる抽出法による粗製アクリル酸の回収に関しては、例えばドイツ特許(DE−A)第2164767号、特開昭58−140039号、米国特許第3553261号、米国特許第4219389号、英国特許第1427223号、米国特許第3962074号およびドイツ特許第2323328号参照、部分凝縮による粗製アクリル酸の回収に関しては、例えばドイツ特許(EP−A)第19740253号、先願のドイツ特許第10053086.9号参照。有利な粗製アクリル酸は欧州特許(EP−A)第511111号または先願のドイツ特許第10053086.9号の方法により得られる。
【0015】
晶出を実施するために、粗製アクリル酸を晶出器に移し、アクリル酸の一部を冷却により晶出する。このアクリル酸を母液から分離し、引き続き水または水性アルカリ中で更に処理するために溶融または溶解する。この工程で少量の安定剤、有利にヒドロキノンまたはヒドロキノンモノアルキルエーテル、例えばヒドロキノンモノメチルエーテルをアクリル酸に添加することが有利である。安定剤の量は一般に10〜500ppm、特に50〜300ppmの範囲内である。
【0016】
場合によりこうして得られたアクリル酸を、所望の純度を達成するまで、1個または2個以上の、例えば2,3,4,5または6個の他の連続する晶出工程に供給することができる。これを行う場合に、有利に向流原理により行い、すなわち母液または任意の所定の晶出工程を先行する晶出工程のいずれかに供給する。場合によりアクリル酸を単離する前に他の精製工程を実施する。
【0017】
晶出で得られ、アクリル酸を含有する母液を、他のアクリル酸を回収するために、同様に1個または2個以上の連続する他の晶出工程に供給することができる。これを行う場合に、有利に向流原理により行い、すなわち先行する晶出工程、例えば第1晶出工程の母液から得られた結晶化生成物を、先行する晶出工程で晶出されるアクリル酸、例えば第1工程で晶出される粗製アクリル酸に添加する。
【0018】
選択的な実施態様において、晶出で得られた母液(多工程の晶出の場合は、有利に第1工程で得られる母液)を単純な蒸留または分別蒸留で処理する。蒸留の進行中にアクリル酸を頭部で蒸留し、母液のわずかな揮発性不純物、例えばマレイン酸または無水マレイン酸および工程抑制剤を底部生成物として除去する。この目的のための方法はWO00/01657号から公知であり、その内容は引用により本発明に含まれる。有利に単純な蒸留は流下フィルム型蒸発器に送られる母液の形を取る。引き続き母液を更に使用するために供給し、または晶出される粗製アクリル酸に添加することができる。
【0019】
所定の晶出工程での晶出は有利に粗製アクリル酸中のアクリル酸少なくとも20質量%、有利に少なくとも40質量%が晶出するまで継続する。所定の晶出工程で晶出されるアクリル酸の割合は、適当な精製作用を得るために、一般に90質量%以下、有利に80質量%以下、特に70質量%以下である。
【0020】
本発明の方法に使用される晶出器は制限されない。特に有効な晶出器は冷却表面上の結晶の形成にもとづき作業する。この晶出工程は層晶出(layer crystallization)として知られている。適当な装置はドイツ特許(DE−A)第1769123号、ドイツ特許(DE−A)第2606364号、欧州特許(EP−A)第218545号、欧州特許(EP−A)第323377号、スイス特許第645278号、フランス特許第2668946号、欧州特許(EP−A)第616998号、欧州特許第638520号、および米国特許第3597164号に記載されている。
【0021】
層晶出のために、粗製アクリル酸を熱交換機の冷却表面と接触させる。晶出器の熱交換機表面は有利に粗製アクリル酸中のアクリル酸の溶融温度より40Kまで低い温度に冷却する。所望の晶出の程度が達成された場合に、冷却作業を終了し、液状母液を、例えばポンプで排出することによりまたは流し出すことにより除去する。精製し、晶出したアクリル酸は一般に晶出したアクリル酸を溶融することにより、例えば熱交換機表面をアクリル酸の溶融温度より高い温度に加熱することによりおよび/または精製したアクリル酸の溶融物を添加することにより単離する。前記方法において精製したアクリル酸が溶融物として得られ、そのまま単離する。同様に結晶質アクリル酸を水または水性アルカリに溶解し、こうして得られた溶液を、安定剤を添加してまたは添加せずに引き続く重合に直ちに使用することができる。
【0022】
層晶出の場合の付加的な精製工程は、例えば熱交換機表面に沈積した結晶の層を発汗する形を取る。発汗において結晶層の温度が溶融温度よりいくらか高く、例えば0.5〜5Kだけ高く上昇し、結晶層のより汚染された部分が有利に溶け出し、付加的な精製作用を生じる。発汗工程生成物を引き続き母液に添加し、母液と一緒に更に処理する。結晶層を、精製する液体、例えば精製したアクリル酸の溶融物で処理することが可能である。
【0023】
晶出器中の層晶出に必要な粗製アクリル酸の温度は粗製アクリル酸の組成に依存する。必要な温度までの上限は当然ながらすでに晶出したアクリル酸が母液中のアクリル酸と平衡で存在する温度(平衡温度)である。粗製生成物の組成に応じて平衡温度は+5〜+13.5℃の範囲内である。晶出すべき酸の温度は有利に0〜13.5℃の範囲内、特に5〜12℃の範囲内であり、きわめて過冷却した溶融物は一般に回避する。特に有利に動的層晶出における晶出の熱を除去するために必要な冷却媒体は晶出作業の進行中に約+5〜−5℃から約−10〜−25℃に冷却する。静的層晶出において冷却媒体を有利に+5〜−15℃の範囲の開始温度から晶出の終了に向かって約−15〜−30℃に冷却する。
【0024】
晶出工程の1つの実施態様において層晶出を種結晶の存在で実施する。有利に晶出の進行中に結晶が成長する晶出器表面は晶出の前にアクリル酸のシード層で被覆する。精製すべき粗製アクリル酸からだけでなく、精製したアクリル酸の溶融物からも種結晶を取得することができる。例えば結晶成長が行われる晶出器表面に、アクリル酸を含有する溶融皮膜をこれらの表面に形成し、例えば溶融温度より低い温度に冷却することにより皮膜を凍結することにより種結晶を製造することができる。有利にアクリル酸溶融物中のアクリル酸結晶の懸濁液から皮膜を被覆し、引き続きこの皮膜を凍結することにより種結晶を製造する。皮膜は有利に平衡温度の範囲内の温度で凍結する。この種の懸濁液は粗製生成物または精製したアクリル酸の溶融物から過冷却により少量の結晶を凍結することにより製造することができる。種結晶は有利に溶融物0.1〜200g/kg、特に溶融物1〜100g/kgの範囲の量で製造する。
【0025】
冷却表面での晶出は動的工程または静的工程として実施することができる。動的工程または静的工程と動的工程の組み合わせを使用することが有利である。動的工程は前記引用文献から公知である。静的工程は米国特許第3597164号、欧州特許第323377号およびフランス特許第2668946号に記載され、これらはすべて引用することにより本発明に含まれる。静的工程において液相での物質交換は自由な対流により行われる(静的溶融物)。
【0026】
動的晶出工程において晶出すべき粗製生成物は流動状態で維持される。これは例えばドイツ特許第2606364号に記載されるように完全に貫流した熱交換機中の強制的流動によりまたは例えばドイツ特許(DE−B)第1769123号および欧州特許(EP−A)第218545号に記載されるように冷却した壁に少量の薄膜を適用することにより、または冷却ロールまたは冷却ベルトのような撹拌した冷却表面により達成することができる。動的層晶出は有利に完全に貫流した熱交換器、例えば外部冷却管または管束中行う。
【0027】
動的層晶出工程、特に完全に貫流した熱交換器中で実施される動的層晶出工程は、一般に、場合により種結晶の層を晶出器の熱交換機表面に適用した後に、粗製アクリル酸を冷却した熱交換機表面と接触することにより、例えば粗製生成物が晶出器の冷却した管を流動することにより行う。この作業の間にアクリル酸は少なくとも部分的に晶出する。この作業は、晶出したアクリル酸の量により熱交換機を通過する十分な溶融物流がなお可能である場合は、一般に中断する。その後液相(母液)を除去し、引き続き結晶したアクリル酸を前記の方法で、適当な場合は更に精製工程の後に、熱交換機表面をアクリル酸の溶融温度より高い温度に加熱することにより単離する。この作業を粗製生成物から所望の量のアクリル酸が晶出するまで複数回繰り返すことができる。
【0028】
層晶出の代用案として晶出を懸濁晶出(suspension crystalliazation)として行うこともできる。この場合に粗製アクリル酸を冷却し、不純物の多い溶融物中で精製したアクリル酸結晶の懸濁液を製造する。アクリル酸結晶は直接懸濁液(溶融物)中で成長するかまたは冷却壁上に層として沈積することができ、前記冷却壁から結晶を引き続き取り出し、残りの溶融物に懸濁させる。懸濁晶出工程の間に結晶懸濁液を、特にポンプで供給または撹拌することにより有利に撹拌する。アクリル酸を晶出するために必要な溶融物温度に関しては前記の説明を適用する。
【0029】
懸濁晶出において一般に間接的冷却により、例えば撹拌容器または攪拌機のない容器に接続された掻き出し冷却器により熱を除去する。この場合にポンプにより結晶懸濁液の循環が保証される。しかし閉じた隙間のある攪拌機を使用して撹拌容器の壁により熱を除去することも可能である。例えばGMF社、ゴーダ、オランダにより製造された冷却板晶出器の使用も熱を除去するために適している。通常の熱交換機(有利に管束型またはプレート型熱交換機)による冷却により熱を除去できることが認識される。懸濁晶出に適した装置は例えばChem.−Ing.−Techn.57(1985)No.2.91−102頁に記載されている。
【0030】
懸濁晶出はアクリル酸が蓄積された結晶生成物を生じ、結晶生成物は周知の固−液分離法、例えば濾過、沈殿および/または遠心分離により貧化した母液から分離する。結晶生成物が静止している場合は、母液を流出することにより母液を除去することができる。特にアクリル酸の晶出を粗製酸中のアクリル酸に対して0.2〜10質量%、特に0.6〜3質量%の水の存在で行う場合は、結晶懸濁液はWO01/77056号の方法に記載される洗浄カラムに直接移すことができる。
【0031】
固−液分離の間におよび/または後に結晶または結晶ケーキの純度を高める他の処理工程を行うことができる。有利に母液からの結晶の除去の後に結晶または結晶ケーキ上の一工程または多工程の洗浄および/または発汗作業を実施する。使用される洗浄液は有利に母液のアクリル酸より高い純度の液体のアクリル酸である。洗浄はこの目的に通常の装置、例えば遠心分離器または吸入フィルターまたはベルトフィルターで実施することができる。洗浄は1個以上の工程で行い、それぞれの場合に洗浄液が有利に結晶ケーキに向流で流れる。複数の工程の晶出において所定の晶出工程の結晶化生成物の洗浄液が同じ晶出工程への供給物として有利に使用される。洗浄液と結晶化生成物の質量比は有利に0.1〜1洗浄液kg/結晶化生成物kg、より有利に0.2〜0.6洗浄液kg/結晶化生成物kgの範囲内である。
【0032】
懸濁晶出で得られた結晶化生成物は洗浄カラムを使用して有利に精製し、洗浄カラム中で結晶化生成物を有利に例えば濾過または沈殿による予備的濃縮化作業の後に洗浄液に向流で通過する。洗浄カラムに移動した結晶化生成物は有利に結晶化生成物に対して30質量%以下、例えば5〜30質量%の残留溶融物を含有する。洗浄カラムでの精製は連続的にまたは不連続的に行うことができる。使用される洗浄液は有利にすでに精製した結晶化生成物の溶融物である。流動方向に反対の結晶の搬送は一般的な方法で、例えば重力により、しかし有利にアクリル酸結晶の強制的搬送により、例えば機械的輸送または水圧力により行うことができる(例えば結晶堆積物を貫流する際の流動圧力の損失)。適当な洗浄カラムは例えばChem.−Ing.−Techn.57(1985)No2.91−102頁、Chem.−Ing.−Techn.63(1991)No9.881−891、WO99/06458号、欧州特許(EP−A)第97405号、欧州特許(EP−A)第305316号、欧州特許(EP−A)第191194号、欧州特許(EP−A)第193226号、および欧州特許(EP−A)第373720号、欧州特許(EP−A)第398437号、欧州特許(EP−A)第920894号、米国特許第4735781号、米国特許第4787985号、WO00/24491号およびWO01/77056号に記載され、これらのすべては引用により本発明に含まれる。洗浄カラムに循環されるアクリル酸溶融物と洗浄カラムに供給される結晶化生成物の温度の差はしばしば2〜15℃、特に2〜10℃、特に2〜4℃の範囲内である。これに関する詳しい説明は技術水準、特にWO01/77056号を参照。
【0033】
前記の晶出工程はすべて連続的にまたは不連続的におよび/または互いに組み合わせて行うことができる。有利な動的層晶出工程は特に前記の完全に貫流する熱交換機中で実施する場合は、有利に不連続的に行う。アクリル酸の精製に使用される晶出工程は少なくとも1個の層晶出工程を有する。
【0034】
晶出で生じる母液は前記の方法で蒸留により処理し、晶出に戻すことができる。
【0035】
粗製アクリル酸の精製で得られるアクリル酸は全アクリル酸オリゴマー含量500ppm未満、特に400ppm以下、より有利に300ppm以下を有する。トリアクリル酸(化合物I、x=2)および高級オリゴマー(x=3〜10)の全含量は全アクリル酸含量に対して有利に100ppm以下、特に50ppm以下、特に10ppm以下である。酢酸およびプロピオン酸のような脂肪族カルボン酸の含量は有利に500ppm未満、特に400ppm未満、より有利に300ppm未満である。より高い脂肪族カルボン酸の含量は残留モノマー含量に関して許容される。しかしより低い脂肪族カルボン酸の含量は意想外なことに臭いの少ないSAPを生じる。SAPの不快な臭いがこれらのアクリル酸の揮発性誘導体または前記誘導体の熱分解生成物に起因すると思われる。これらの誘導体はSAPの製造の進行中にこれらの酸と、例えばSAPの熱分解生成物、後架橋に使用される多価アルコール、および/または他のこれまで知られていないSAP製造の副生成物との反応により形成されると思われる。SAP製造工程が表面後架橋工程を有し、この工程で最初に製造されるハイドロゲル形成アクリル酸ポリマー中間生成物を場合により潜在した形でポリマーのカルボキシル基に対して反応性の少なくとも2個の官能基を有する架橋作用する物質で処理する場合に、臭いの問題が激しくなる。臭いの問題は特にSAPを部分的にまたは完全に中和されたアクリル酸を使用して製造する場合に生じる。
【0036】
芳香族アルデヒド、工程抑制剤および他の有機不純物のような水と異なる他の不純物の含量は一般に500ppm以下、特に300ppm以下、特に200ppm以下であり、芳香族アルデヒドの含量は一般に20ppm以下、特に10ppm以下である。特にMEHQと異なる工程抑制剤の含量は10ppm以下である。MEHQおよび匹敵する安定剤の含量は一般に10〜300ppm、特に50〜250ppmの範囲内である。
【0037】
貯蔵中のアクリル酸はオリゴマーを形成するので、本発明の方法に使用される低いオリゴマー含量のアクリル酸を工程a)に使用する直前に用意することが有利である。言い換えるとアクリル酸オリゴマーを、例えば晶出および/または蒸留により、使用する時点でアクリル酸が500ppm未満のオリゴマー含量を有するように、直ちに、すなわち本発明によりアクリル酸を使用する前の48時間以内に、特に24時間以内に除去する。
【0038】
アクリル酸ベースSAPは一般的な方法で、最初にアクリル酸少なくとも50質量%を含有するモノマー組成物を、ハイドロゲルを製造する水性重合媒体中でラジカル重合することにより製造する。この場合に水性重合媒体は水溶液および油中水型エマルジョンである。
【0039】
有効な重合法は特に溶液重合法、すなわち均一の水相での重合、および懸濁重合法を含む。アクリル酸ベースハイドロゲルを製造するために使用される重合法の概要はF.L.Buchholz and A.T.Graham(editors)Modern Superabsorbent Polymer Technology,69〜117頁およびここで引用される文献に記載されている。
【0040】
本発明の方法の1つの実施態様において、重合を溶液重合としてトロムスドルフ−ノリッシュ(Trommsdorf−Norrish)効果を利用することにより(ゲル重合)実施する。この目的のために、一般に10〜70質量%、有利に20〜60質量%のアクリル酸含有モノマー混合物の水性溶液をラジカル形成剤の存在で、適当なグラフト基材の存在または不在で重合する。
【0041】
アクリル酸含有モノマー混合物を本発明による方法に、有利に部分的にまたは完全に重合された形で使用し、すなわちすべての酸官能性モノマーの中和の程度が20〜100%、有利に50〜100%の範囲内である。中和の程度が60〜100%である水溶液の形のモノマー混合物を使用することが特に有利である。
【0042】
有効な中和剤はアルカリ金属塩基、アンモニアおよび/またはアミンを含む。水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは重炭酸カリウムまたは他の炭酸塩または重炭酸塩のようなアルカリ金属塩基を使用することが有利である。
【0043】
酸素それ自体および酸素の存在でアクリル酸に一般に存在する安定剤が重合反応を妨害するので、重合は有利に酸素が大部分または完全に不在で実施する。従って重合を不活性ガス雰囲気下で実施することが有利である。不活性ガスとして特に窒素を使用する。特に有利に水性モノマー溶液を重合するかまたはモノマー含有水性重合媒体を工程a)で重合する前におよび/または間に不活性ガスで洗浄することが有効である。
【0044】
重合を実施する温度は一般に0℃〜150℃の範囲内および有利に10℃〜100℃の範囲内であり、重合は常圧および高圧または減圧下で実施することができる。一般に重合は保護ガス雰囲気、有利に窒素下で実施することができる。
【0045】
重合されるモノマー混合物は一般に以下の成分を全質量に対して以下の量で含有する。
モノマーAとしてアクリル酸50〜99.99質量%、有利に70〜99.9質量%、特に80〜99.8質量%、
アクリル酸と共重合できる1個または複数のモノエチレン系不飽和モノマーB0〜49.99質量%、有利に0〜29.9質量%、特に0〜19.8質量%、および
少なくとも1個の架橋作用する化合物C0.01〜20質量%、有利に0.1〜15質量%、特に0.1〜5質量%、殊に0.2〜3質量%。
【0046】
ここでおよびこれ以前にすべての質量割合は重合されるすべてのモノマーの全質量にもとづき、塩としても存在できる酸官能性モノマーに関する質量の表示は常に酸の形にもとづく。
【0047】
有効なモノマーBの例はアクリル酸と異なる酸官能性モノマーB1、例えば有利に4〜8個の炭素原子を有するモノエチレン系不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸、例えばメタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、およびフマル酸、4〜10個および有利に4〜6個の炭素原子を有するモノエチレン系不飽和ジカルボン酸のモノエステル、例えばマレイン酸のモノエステル、例えばモノメチルマレエート、モノエチレン系不飽和スルホン酸およびホスホン酸、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸およびアリルホスホン酸およびこれらの酸の塩、特にナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩を含む。
【0048】
有利なモノマーB1はメタクリル酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはこれらの混合物である。モノマーB1によって占められる全モノマー量の割合は場合により全部のモノマーの量に対して有利に0.1〜29.9質量%の範囲、特に0.5〜19.8質量%の範囲内である。
【0049】
本発明によるポリマーの特性を最適にするために、モノマーBとして酸基を有しないが、アクリル酸および場合によりモノマーB1と共重合することができ、架橋しない、モノエチレン系不飽和モノマーB2を使用することが適当である。これらの化合物は、例えばモノエチレン系不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル、前記モノエチレン系不飽和カルボン酸のアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルアミド、例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチルビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、およびN−ビニルカプロラクタムを含む。モノマーB2は飽和C〜C−カルボン酸のビニルエステル、例えばビニルホルメート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、アルキル基に少なくとも2個の炭素原子を有するアルキルビニルエーテル、例えばエチルビニルエーテル、またはブチルビニルエーテル、モノエチレン系不飽和C〜C−カルボン酸のエステル、例えば一価のC〜C18−アルコールとアクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸のエステル、アルコキシル化一価飽和アルコール、例えばアルコール1モル当たりエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド2〜200モルと反応させた10〜25個の炭素原子を有するアルコールのアクリル酸およびメタクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールの分子量(Mn)が例えば2000までである、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのモノアクリレートおよびモノメタクリレートを含む。有効なモノマーB2は更にスチレン、アルキル置換スチレン、例えばエチルスチレン、またはt−ブチルスチレンを含む。モノマーB2に起因する全モノマーの割合は有利に20質量%を上回らず、場合により有利に0.1〜20質量%の範囲である。
【0050】
有効な架橋化合物Cは、分子内に少なくとも2個の、例えば2,3,4または5個のエチレン系不飽和二重結合を有する化合物を含む。これらの化合物は架橋剤モノマーC1とも呼ばれる。化合物C1の例はN,N´−メチレンビスアクリルアミド、分子量106〜8500、有利に400〜2000を有するポリエチレングリコールから誘導されたポリエチレングリコールジアクリレートおよびポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーのジアクリレートおよびジメタクリレート、ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタアクリレート化またはメタクリレート化多価アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、またはジペンタエリスリトール、モノエチレン系不飽和カルボン酸とエチレン系不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、シクロヘキセノールおよびジシクロペンテニルアルコールのエステル、例えばアリルアクリレートおよびアリルメタクリレート、トリアリルアミン、ジアルキルジアリルアンモニウムハロゲニド、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルエチレンジアミン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、分子量106〜4000を有するポリエチレングリコールのポリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテルまたはポリエチレングリコールジグリシジルエーテル1モルとペンタエリスリトールトリアリルエーテルまたはアリルアルコール2モルとの反応生成物、およびジビニルエチレン尿素である。モノマーC1に起因する重合されるモノマー混合物の割合は、有利に0.01〜5質量%、特に0.2〜3質量%の範囲内である。
【0051】
有効な架橋化合物Cは更にポリマーのカルボキシル基に対する反応性を補足する少なくとも2個の、例えば2,3,4または5個の官能基を有する多官能性化合物C2を含む。有効な架橋剤Cは更にエチレン系不飽和二重結合を有すると同様にカルボキシル基に関して補足的である少なくとも1個の他の官能基を有する架橋モノマーC3を含む。これらの官能基を多数有するポリマーも適している。有効な官能基は例えばヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基およびアジリジン基を含み、更にイソシアネート基、エーテル基およびアミド基、およびアルキルオキシシリル基を含む。この種の有効な架橋剤は例えばアミノアルコール、例えばエタノールアミンまたはトリエタノールアミン、ジオールおよびポリオール、例えば1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、澱粉、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、ポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、およびポリエチレンイミンおよびそれぞれ4000000までの分子量を有するポリアミン、エステル、例えばソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリシジルエーテル、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、およびポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアジリジン化合物、例えば2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール、トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、カルボン酸のジアミン、例えば1,6−ヘキサメチレンジエチレン尿素、ジフェニルメタンビス−4,4´−N,N´−ジエチレン尿素、ハロエポキシ化合物、例えばエピクロロヒドリン、およびα−メチルエピフルオロヒドリン、ポリイソシアネート、例えば2,4−トルイレンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート、アルキレンカーボネート、例えば1,3−ジオキソラン−2−オン、および4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、他のビスオキサゾリン、およびオキサゾリドン、ポリアミドアミン、およびそのエピクロロヒドリンとの反応生成物、ポリ四級アミン、例えばジメチルアミンとエピクロロヒドリンの縮合生成物、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーおよびコポリマー、場合により例えば塩化メチレンで四級化されたジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのホモポリマーおよびコポリマーを含む。化合物C3の例はヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレート、および前記エチレン系不飽和カルボン酸のグリシジルエステルおよびエチレン系不飽和グリシジルエーテルを含む。
【0052】
モノマーCは有利に少なくとも1個のモノマーC1を前記の量で含有する。重合は有利に化合物C2の不在で行う。
【0053】
適当なグラフト基材は天然または合成の由来であることができる。これらは澱粉、すなわちトウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、小麦澱粉、コメ澱粉、タピオカ澱粉、モロコシ澱粉、キャッサバ澱粉、エンドウ澱粉またはこれらの混合物からなる群からの天然澱粉、変性澱粉、澱粉分解生成物、例えば酸化により、酵素により、または加水分解により分解された澱粉、デキストリン、例えば焼いたデキストリンおよび低級オリゴ糖および多糖類、例えば4〜8個の環員子を有するシクロデキストリンを含む。有効なオリゴ糖および多糖類は更にセルロースおよび澱粉およびセルロース誘導体を含む。ポリビニルアルコール、N−ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリアミン、ポリアミド、親水性ポリエステルまたはポリアルキレンオキシド、特にポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドを使用することも可能である。有効なポリアルキレンオキシドは一般式I:
【0054】
【化1】

を有し、式中、RおよびRは独立に水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、アリール、特にフェニルまたは(メタ)アクリロイルであり、Xは水素またはメチルであり、nは1〜1000の整数であり、特に10〜400である。
【0055】
有効な重合反応器は溶液重合の場合に、通常の製造反応器、特にベルト反応器、押出し機および混練機を含む、Modern Superabsorbent Polymer Technology,3.2.3章を参照。ポリマーは特に有利に連続的または不連続的混練工程により製造する。
【0056】
有効な開始剤は重合温度に加熱する際にラジカルに分解する原則的にすべての化合物を含む。重合は光開始剤の存在で高いエネルギーの放射線、例えばUV線の作用により開始することができる。重合可能な水性混合物上の電子線の作用により重合を開始することも可能である。
【0057】
有効な開始剤は例えばペルオキソ化合物、例えば有機ペルオキシド、有機ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸塩、過ホウ酸塩、アゾ化合物およびレドックス触媒を含む。一部の場合に種々の重合開始剤の混合物、例えば過酸化水素およびペルオキソ二硫酸ナトリウムまたはペルオキソ二硫酸カリウムの混合物を使用することが有利である。有効な有機ペルオキシドは例えばアセチルアセトンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−アミルペルピバレート、t−ブチルペルピバレート、t−ブチルペルネオヘキサノエート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルイソノナノエート、t−ブチルペルマレエート、t−ブチルペルベンゾエート、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジアセチルペルオキシジカーボネート、アリルペルエステル、クメンペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペル−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、アセチルシクロヘキシルスルホニルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、およびt−アミルペルネオデカノエートを含む。特に有効な重合開始剤は水溶性アゾ開始剤、例えば2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレン)イソブチルアミジン二塩酸塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2´−アゾビス[2−(2´−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、および4,4´−アゾビス−(4−シアノバレリアン酸)を含む。前記重合開始剤は一般的な量で、例えば重合されるモノマーに対して0.01〜5質量%、有利に0.05〜2.0質量%の量で使用する。
【0058】
有利なレドックス開始剤は水溶性開始剤であり、酸化成分として少なくとも1つの前記ペルオキソ化合物および還元成分として例えばアスコルビン酸、グルコース、ソルボース、アンモニウムまたはアルカリ金属の亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、次亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩または硫化物、金属塩、例えば鉄(II)イオンまたはナトリウムヒドロキシメチルスルホキシレートを含有する。レドックス触媒の還元成分としてアスコルビン酸または亜硫酸ナトリウムを使用することが有利である。例えば重合に使用されるモノマーの量に対してレドックス触媒系の還元成分3×10−6〜1モル%およびレドックス触媒の酸化成分0.001〜5.0モル%を使用する。
【0059】
高いエネルギーの放射線を使用して重合を開始する場合は、使用される開始剤は通常は光開始剤である。
【0060】
本発明による方法の工程a)でのハイドロゲルの製造は引き続くゲルの架橋を含むことができる。引き続く架橋またはゲル架橋において、アクリル酸および場合によりモノエチレン系不飽和コモノマーBおよび/またはC、特にC1の重合により製造したポリマーを、カルボキシル基に対して反応性の少なくとも2個の基を有する化合物C2と反応させる。この反応は室温でまたは220℃までの高温で行うことができる。後架橋(ゲル架橋)を行うために、架橋剤C2を得られたポリマーに、ポリマーの量に対して0.5〜20質量%、有利に1〜14質量%の量で添加する。
【0061】
工程a)で得られたポリマーは一般にハイドロゲルとして得られる。その水分含量は一般に20〜80質量%の範囲である。こうして得られたハイドロゲルを引続き一般的な方法で粒子状ハイドロゲルにまたはハイドロゲル形成粉末に変換する。
【0062】
このために重合で得られたハイドロゲルを一般に公知の方法により最初に微粉砕する。ハイドロゲルの粗い微粉砕は通常の引き裂きおよび/または切断工具により、例えばシリンダー反応器で重合する場合は排出ポンプの作用によりまたはベルト重合の場合は切断用ロールまたは切断用ロール組み合わせにより行う。
【0063】
モノマー混合物を中和されていない形で使用する場合は、得られた酸性ポリマーを、自体公知の方法により、酸官能性モノマー単位に対して一般に少なくとも25モル%、有利に少なくとも50モル%、特に90〜100モル%の所望の中和の程度にすることができる。選択的に中和の程度を重合の間に例えば混練機中で設定することもできる。
【0064】
こうして得られた、有利に完全にまたは部分的に中和した付加ポリマーを引続き高温で、例えば80〜250℃の範囲、特に100〜180℃の範囲で、公知方法により乾燥する(Modern Superabsorbent Polymer Technology,3.2.5章参照)。これにより場合により粒度を調節するために付加的に複数の粉砕作業または分級作業で処理して粉末またはグラニュールの形の付加ポリマーを生じる(Modern Superabsorbent Polymer Technology,3.2.6および3.2.7章参照)。
【0065】
本発明の方法は有利に表面後架橋工程を有する。表面後架橋は通常の方法で乾燥し、有利に粉砕し、分級したポリマー粒子を使用してまたはハイドロゲルを使用して行う。表面架橋は工程a)で得られたポリマーの官能基、有利にカルボキシル基と架橋により反応することができる少なくとも2個の官能基を有し、従って後架橋剤として知られている化合物を利用する。官能基は後架橋剤に潜在した形で存在することができ、すなわち表面後架橋工程の反応条件下でのみ遊離する。後架橋剤中の有効な官能基はヒドロキシル基、グリシジル基、アルコキシシリル基、アジリジン基、第一および第二アミノ基、N−メチロール基(=N−ヒドロキシメチル基、N−CH−OH基)、オキサゾリジン基、尿素基およびチオ尿素基、可逆的または不可逆的ブロックドイソシアネート基およびエチレンカーボネートのような環状カーボネート基を含む。表面後架橋を行うために、後架橋剤を有利に水溶液の形で付加ポリマー粒子の表面に適用する。水溶液は水と混合する有機溶剤を含有することができる。有効な溶剤は例えばC〜C−アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールまたはケトン、例えばアセトンおよびメチルエチルケトンを含む。
【0066】
有効な後架橋剤は例えば以下のものが含まれる。
ジグリシジルまたはポリグリシジル化合物、例えばトリグリシジルホスフェート、およびジグリシジルホスホネート、またはエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールのビスクロロヒドリンエーテル、
アルコキシシリル化合物、
ポリアジリジン、ポリエーテルまたは置換された炭化水素をベースとするアジリジン化合物、例えばビス−N−アジリジノメタン、
ポリアミンまたはポリアミドアミンおよびそのエピクロロヒドリンとの反応生成物、
ジオールおよびポリオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、メチルトリグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、平均分子量Mw200〜10000を有するポリエチレングリコール、ジグリセリンおよびポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、これらのポリオールのエトキシレートおよびそのカルボン酸または炭酸とのエステル、例えばエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネート、
炭酸誘導体、例えば尿素、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、2−オキサゾリジノン、およびその誘導体、ビスオキサゾリン、ポリオキサゾリン、ジイソシアネートおよびポリイソシアネート、
ジ−N−メチロールおよびポリ−N−メチロール化合物、例えばメチレンビス(N−メチロールメタクリルアミド)またはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、
2個以上のブロックされたイソシアネート基を有する化合物、例えば2,2,3,6−テトラメチルピペリジン−4−オンでブロックされたトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート。
【0067】
本発明による方法の1つの特別な実施態様は付加ポリマーのカルボキシル基とエステル基を形成する後架橋剤を利用する。その例は前記ジオールおよびポリオール、そのカルボン酸または炭酸とのエステルおよびジグリシジルおよびポリグリシジル化合物およびその混合物である。
【0068】
必要により酸性触媒、例えばp−トルエンスルホン酸、燐酸、ホウ酸または燐酸二水素アンモニウムを添加することができる。
【0069】
架橋剤溶液は有利に通常の反応混合機または混合および乾燥装置、例えばPatterson−Kellyミキサー、DRAIS乱流混合機、Loedigeミキサー、スクリューミキサー、プレートミキサー、流動床混合機、およびSchugi−Mix中で架橋剤の溶液を噴霧することにより適用する。架橋剤溶液の噴霧の後に有利に流れを下る乾燥機中で、80〜230℃で、有利に80〜190℃で、より有利に100〜160℃で、5分〜6時間、有利に10分〜2時間、より有利に10分〜1時間、熱処理工程を行うことができ、この間に分解生成物だけでなく、溶剤部分も除去することができる。しかし乾燥を混合機自体中でジャケットを加熱することによりまたは予熱したキャリアガスを吹き込むことにより行うこともできる。
【0070】
本発明の方法により得られたアクリル酸ベースSAPは低い残留モノマー含量が注目すべきであり、更に一般に特別な臭いがなく、すなわち技術水準のSAPと異なり、きわめてわずかな臭いを発するかまたは不快な臭いがもはやない。本発明のSAPは従って衛生用品を製造するために特に有用である。
【0071】
従って本発明はこの方法により得られるSAPを提供し、オムツ、失禁用詰め物およびパンツ、タンポンまたは生理用ナプキンのような衛生用品を製造するために使用される。本発明は更に本発明による少なくとも1種の吸水材を含む吸収剤コアを有する衛生用品を提供する。
【0072】
衛生用品、特にオムツ、ナプキンおよび成人用失禁詰め物およびパンツの構造および形状は一般に知られており、例えば欧州特許(EP−A)第0316518号、欧州特許(EP−A)第0202127号、ドイツ特許第19737434号、WO00/65084号、特に6〜15頁、WO00/65348号、特に4〜17頁およびWO00/35502号、特に3〜9頁に記載されている。
【0073】
オムツ、ナプキンおよび失禁用詰め物およびパンツの形の代表的な衛生用品は以下のものからなる。
(A)液体透過性トップシート
(B)液体不透過性バックシート、
(C)(A)と(B)の間に配置された
(C1)本発明によるSAP10〜100質量%、
(C2)親水性繊維材料0〜90質量%
からなるコア、
(D)場合により前記コア(C)の上および下に直接配置された織物層および
(E)場合により(A)と(C)の間に配置された取り入れ層。
【0074】
液体透過性トップシート(A)は皮膚に直接接触する層である。この材料は通常はポリエステル、ポリオレフィン、レーヨンの合成繊維または半合成繊維または皮膜または綿のような天然繊維からなる。不織材料の場合は繊維を一般にポリアクリレートのような結合剤により一緒に結合する。有利な材料はポリエステル、レーヨンおよびこれらの混合物、ポリエチレンおよびポリプロピレンである。
【0075】
液体不透過性層(B)は一般に例えばポリエチレンまたはポリプロピレンのシートである。
【0076】
コア(C)は本発明のハイドロゲル形成グラフトポリマー(C1)だけでなく、親水性繊維材料(C2)を含む。親水性は水性液体が繊維に急速に分配されることである。繊維材料は通常はセルロース、変性セルロース、レーヨン、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルである。パルプのようなセルロース繊維が特に有利である。繊維は一般に1〜200μm、有利に10〜100μmの直径を有する。繊維は最小長さ2mmを有する。
【0077】
コアの全量に対する親水性繊維材料の割合は有利に20〜80質量%、より有利に40〜70質量%である。
【0078】
本発明の方法により製造される超吸収剤および超吸収剤を使用して製造される衛生用品は意想外にもハイドロゲル形成ポリマーの乾燥質量に対して一般に100ppm以下、特に50ppm以下の特に低い残留モノマー含量が注目すべきである。更に前記超吸収剤は固有の臭いが少ない。
【0079】
以下の実施例により本発明を説明するが、実施例に限定されない。
【0080】
すべての場合にドイツ特許(DE−A)第4308087号の方法により製造した粗製アクリル酸生成物から晶出または蒸留により得られた純粋アクリル酸を使用し、すべての場合に芳香族アルデヒドの含量は5ppm未満であり、工程抑制剤の含量は5ppm未満であった。ジアクリル酸およびアクリル酸の高級オリゴマーの含量および脂肪族カルボン酸の含量は純粋アクリル酸にそれぞれの不純物を加えることにより調節した。不純物の濃度は表1に記載する。
【0081】
一般的製造方法
純粋アクリル酸A1735g、50質量%水酸化ナトリウム水溶液1445gおよび水2760gから部分的に中和されたアクリル酸/アクリル酸ナトリウム溶液を製造し、一般的な方法で、ストリッピングカラム中で、向流の窒素で処理することにより酸素を分離した。実質的に酸素不含の溶液をWerner and Pfleiderer社 LUK8の、ジャケット加熱手段を有する混合機に移し、ポリエチレングリコールジアクリレート7.8gと完全に混合することにより混合した。全反応時間にわたり反応器を窒素で覆った。攪拌機の軸が作動している間に、ペルオキソ二硫酸ナトリウム33.12gを15質量%水溶液として添加し、引き続きアスコルビン酸20.79gを0.5質量%溶液として添加した。添加が終了した際に、混合機の内容物を74℃の加熱液体温度に加熱した。内容物が自発的に加熱を開始し、だんだんと粘着性になった。混合機内容物の最高温度を上回るとすぐに加熱を中断し、内容物を15分間追加重合させた。混合機の内容物を50〜60℃に冷却し、薄い層の形で乾燥ふるいに排出し、160℃で90分間乾燥した。乾燥した付加ポリマーを引き続き粉砕および篩い分けにより最終粒度100〜850μmに微粉砕した。
【0082】
こうして製造した粉末1.8kgを5lの容量のLoedigeすき刃ミキサーに導入した。水59gおよび1,2−プロパンジオール29g中のエチレングリコールジグリシジルエーテル1.4gの溶液を5分から10分経過して粉末に噴霧した。生成物を120℃に加熱し、溶剤を蒸留分離するために、この温度で60分間維持した。これに続いて冷却し、100〜850μmの粒度部分にふるい分けした。
【0083】
こうして得られた生成物を残留モノマー(アクリル酸およびβ−ヒドロキシプロピオン酸)に関して以下の方法により分析した。前記方法により得られたポリマー1gを脱イオン水中で3時間撹拌し、引き続き懸濁液を濾過した。水性濾液をクロマトグラフィー(HPLC)により分析して残留モノマー(アクリル酸)含量を測定した。測定した値を表1に記載する。
【0084】
こうして製造した超吸収剤を更に臭い試験を実施した。このために、それぞれの吸収剤の15gの5個の試料を、気密に封止された試料容器中で、30℃で5時間熱処理した。その後5人の試験者が試料の臭いを1〜5の規模で評価し、その際1は固有の臭いを全くまたはほとんど認識できないことを示し、2はわずかな固有の臭いを有することを示し、3は明らかな固有の臭いを有することを示し、4は強い固有の臭いを有することを示し、5はきわめて強い固有の臭いを有することを示す。それぞれのSAPに関する個々の臭いの結果の平均値を表1に示す。
【0085】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a)水性重合媒体中で、アクリル酸少なくとも50質量%を含有するモノマー組成物をラジカル重合させることによりポリマーハイドロゲルを製造し、前記ハイドロゲルを粒子状ハイドロゲルまたはハイドロゲル形成粉末に変換し、場合により
b)前記粒子状ハイドロゲルまたは前記ハイドロゲル形成粉末を、場合により潜在した形でポリマーのカルボキシル基に対して反応性の少なくとも2個の官能基を有する架橋作用する物質を用いて処理する
ことからなる臭いの少ないハイドロゲルを形成するアクリル酸をベースとするポリマーの製造方法において、工程a)に使用されるアクリル酸がアクリル酸のオリゴマー500ppm未満(アクリル酸に対する質量割合)を有することを特徴とする臭いの少ないハイドロゲルを形成するアクリル酸をベースとするポリマーの製造方法。
【請求項2】
工程a)において、トリアクリル酸およびアクリル酸の高級オリゴマーの全含量が100ppm未満、特に50ppm未満であるアクリル酸を使用する請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程a)において、0.07〜3質量%の範囲内のアクリル酸のオリゴマーの含量を有する粗製アクリル酸の1工程または多工程の晶出により得られたアクリル酸を使用する請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
工程a)において、0〜13℃の範囲内の温度で粗製アクリル酸の1工程または多工程の晶出により得られたアクリル酸を使用する請求項3記載の方法。
【請求項5】
工程a)において、アクリル酸の質量に対して500ppm未満の脂肪族カルボン酸を含有するアクリル酸を使用する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
工程a)において、アクリル酸を、部分的または完全に中和された水性アクリル酸溶液の形で使用する請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
工程c)において架橋作用する物質がポリマーのカルボキシル基とエステル基を形成する化合物から選択される請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
工程a)において重合されるモノマー混合物が、混合物の全質量に対して、
モノマーAとしてアクリル酸50〜99.99質量%、
アクリル酸と共重合可能な1個以上のモノエチレン系不飽和モノマーB0〜49.99質量%、および
少なくとも1個の架橋作用する化合物C0.01〜30質量%
を含有する請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
アクリル酸のオリゴマー含量500ppm未満を有するアクリル酸を工程a)で使用する直前に用意する請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
アクリル酸をベースとする臭いの少ないハイドロゲル形成ポリマーを製造するための500ppm未満のアクリル酸のオリゴマー含量を有するアクリル酸の使用。

【公表番号】特表2006−509085(P2006−509085A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558022(P2004−558022)
【出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013883
【国際公開番号】WO2004/052949
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】