説明

臭気除去と組み合わせて空気浄化を行なうためのシステム及びその方法

家庭用又はオフィス用の卓上装置などの単一装置において臭気除去と組み合わせて空気の浄化及び清浄を行なうためのシステム及び方法が開示される。この空気清浄装置は、ハウジング、空気吸入口、空気移動機構、プレ・イオン化装置、フィルタ、ポスト・イオン化装置、空気排出口、及び臭気除去サプライなどの化合物を保持するためのフローチャンバを有する。空気移動機構、オゾン除去機構、及び/又はフィルタ/臭気除去アセンブリがさらに設けられてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄装置に関する。特に、本発明は、臭気除去と組み合わせて空気浄化を行なう空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたる屋外の空気汚染の増加は、屋外の空気汚染が人の健康に引き起こす可能性がある損害のタイプに対して、より大きく認識されつつある。しかしながら、屋内にも空気汚染が存在し、人の健康上へ大きな影響を及ぼす可能性があることは一般には知られていない。米環境保護局の最近の調査では、屋内空気の汚染レベルが屋外空気の汚染レベルの2乃至5倍高い可能性があるということを示している。一部では、ごくまれに、屋内空気の汚染レベルが屋外空気の汚染レベルの100倍である可能性があることも推定される。一部の人、特に幼児や高齢者が時間の90%を屋内ですごすため、これは対応しなければならないますます重要になる問題である。こうした屋内の汚染物質はまた、一般住民内の多数の人々を苦しませる、頻繁で原因不明な頭痛や不眠の要因となり得る。
【0003】
空気を浄化するために多数の従来技術の装置が設計され製造されている。より良く断熱されている住宅及び事務所がさらに多くなるにつれて、空気清浄器の目的は、塵芥、煙、花粉、バクテリア、すす、かび胞子、動物の鱗屑、及び他の微細な刺激物を含む一般の汚染物質から屋内の空気をきれいにし、それによって清浄な健康に良い清潔感のある心地よい環境を作り出すことである。これらの装置の一部は、複雑なワイヤ・グリッド・アレイを用いて、又は高電圧電極アレイによってイオンを生成する。一部では、空気を移動させるためのファンや、同様の複雑な装置が使用されている。こうした従来技術の装置の一部は、ファン及び他の複雑な移動部品とフィルタを含む大きなハウジングに取り付けられる。多くの場合、それらは、汚染物質で詰まるようになり、ファンアセンブリの分解、高電圧生成源の交換及び/又は修理、空気移動を生じさせるのに役立つワイヤ及び電極のアレイの広範囲にわたる清浄、及び清浄されなければ装置を詰まらせるフィルタの交換を必要とする。こうした装置は、ユーザが期待又は要望するものよりも確実に複雑であり、おそらくはもっと高価である。
【0004】
消費者にとって関心のある空気浄化の他の形態は、臭気を除去する構成要素を加えるものである。しかしながら、空気清浄装置は、臭気を除去するための臭気除去(OE)化合物を使用するよりはむしろ、臭気を隠蔽するための揮発性芳香剤を使用するものであるため、空気清浄装置は一般に臭気修飾剤だけである。臭気除去機構を有する効果的な空気清浄装置が必要とされる。
【0005】
さらに、空気清浄装置は当初はバスルーム及びキッチンにおいて使用され、その結果、見栄えのよさよりも機能的であるようにという傾向があった。空気清浄装置が現在、寝室及びリビングルームにおいて使用され、住宅のこれらの領域においてエア・フレッシュナーを使用することを希望する消費者は、これらの領域に見栄えの悪い機能本位の容器を置きたがらないこともある。なおその上に、例えば持ち運びできる卓上用装置のような単一の空気清浄装置に空気浄化と臭気除去の組み合わせを提供する方法が必要とされる。
【0006】
ジボダン・フレグランス・コーポレーション(Givaudan Fragrances Corp.)(マウント・オリーブ、ニュージーランド)及びクエスト・インターナショナル(Quest International)(オランダ)によって提供されるような臭気除去化合物は、室内に心地よい香りを与えるとともに、臭気除去化合物が正常に機能していることを消費者に示す働きをする芳香剤要素を含む。さらに、単一の空気清浄装置内で芳香剤を選択でき、そのため、異なる芳香剤を希望するたびに芳香剤補充品を手動で取り外して交換しなければならない不便さを解消することは、消費者にとって望ましいことである。代替的に、臭気除去化合物は、臭気を生じる分子と反応する揮発性物質でもよい。単一の空気清浄装置において芳香剤要素を含む多数の臭気除去化合物を提供する方法が必要とされる。
【0007】
さらに、住宅内での臭気の強度が一日を通して変化することがあるから、例えば、食事時の料理のにおいがそれ以外の時間帯よりも強いことから、空気清浄装置によって提供される臭気除去レベルを変更できることが有益である。空気清浄装置において臭気除去レベルを調整する能力を提供する方法は必要とされる。
【0008】
長期にわたって、オゾンは、給水を処理し消毒し、プール及び温泉を消毒し、ホテル及び火災で損傷した建物の臭気を除去するために使用されてきた。つい最近では、オゾン生成器が家内における空気を「浄化」する手段として販売されている。オゾンは、3つの酸素原子から成る分子である。不安定な分子として、オゾンは、接触する他の物質に酸素原子の1つを容易に提供する。オゾンが別の物質と接触する場合、酸素原子を共有し、その物質を化学的に変化させる。微生物、糸状菌、カビ、菌類及びバクテリアの化学変換は概して、そうした物質を死滅させ、その臭気を除去する結果につながる。オゾン生成器の製造メーカー及び公衆衛生機関は、住宅内のオゾンの使用について論議中である。公衆衛生機関は、オゾンが人間の健康に対し潜在的に危険であることを主張し、オゾンが呼吸器を刺激するものである可能性があるので生成器を使用しないように提言している。オゾンを空気中の有機材料と反応させ得るのと同じ化学特性により、人体内、特に呼吸器系内でオゾンを同様の有機材料と反応させることもあり得る。多くの人々が限られた危険度に耐え得る一方で、口や喉の乾燥、咳、頭痛、目の炎症、胸部の圧迫感などの症状が、住宅用のオゾン生成器によって生成された集中地点にいる一部の個人に発生することがある。さらに、消費者は概して万能な空気清浄装置を望んではいない。消費者は、それぞれの特定の必要性を満たし、その結果、現在販売されている空気清浄装置の制約を克服し、広範囲な消費者ニーズに対応するような特製の空気清浄装置をむしろ好んでいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、オゾン減少機構を含む有効な空気浄化装置を提供する方法と、特定の消費者のニーズを満たすためにこの装置を再構成する方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の好ましい実施形態は、以下の特徴の少なくとも1つを有する。即ち、臭気除去機構を含む有効な空気浄化装置と、単一空気清浄装置における空気の浄化及び臭気の除去の組み合わせと、単一の空気清浄装置において芳香剤要素を備えた複数の臭気除去化合物と、空気清浄装置において空気流及び臭気除去レベルを調整する能力と、オゾン減少機構を有する有効な空気浄化装置と、臭気除去分散機構を含むフィルタユニットである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下の説明及び添付図面とともに考慮されれば、本発明のこれら及びその他の態様と本発明の目的は良く認識され理解される。しかしながら、以下の説明が、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、例証としてのものであり制限するものではないことを理解されたい。多くの変更及び変形は、発明の趣旨から逸脱しない本発明の範囲内で実施することができ、本発明は、このようなすべての変形を含む。
【0012】
本発明を構成する効果及び特徴、及び本発明が設けられる一般的な機構の構造及び動作の明確な概念は、実例、ゆえに添付され本明細書の一部を形成する図面に示される限定されない実施形態を参照することによって、より容易に明白になるであろう。本明細書中で、それぞれの図における同様の参照番号は同一要素を示す。
【0013】
本発明は、住宅やオフィスで使用するための卓上用ユニットなどの単一の空気清浄ユニットにおいて好ましくは臭気の除去と組み合わせて空気の浄化を行なうためのシステム及びその方法を有する。より詳細には、本発明の空気清浄装置は一般的に、好ましくは少なくとも1つの臭気除去化合物をこの装置の濾過された空気の排気流れに入り込ませることによって室内に対する臭気除去処理を行なう。本発明の空気清浄装置のある実施形態は、複数の臭気除去化合物の1つを選択するための機構と、臭気除去レベルを調整するための能力をユーザに提供する。本発明の空気清浄装置のある実施形態はまた、オゾン減少機構と組み合わせて空気の浄化を行なう。
【0014】
図1は、好ましくは本発明の第1の実施形態による臭気除去と組み合わせて空気の浄化を行なう空気清浄装置100の機能図である。本発明の空気清浄装置100は一般に、好ましくはその装置の濾過された空気の排気流れ内に臭気除去化合物を入り込ませることによって、室内に対する臭気除去処理を行なう。
【0015】
空気清浄装置100は好ましくは、空気清浄装置ハウジング110を有し、その内部に、空気吸入口114を介して気流を空気清浄装置ハウジング110内に吸い込むための空気移動機構112が設置されている。空気移動機構112によって生成される気流は、空気移動機構112の吸気側に設置されるフィルタ116に接触し、該フィルタを通して移動する。空気移動機構112及びフィルタ116の前には、任意の上流側の第1の又はプレ・イオン化装置118が配置され、空気移動機構112の排気側には、任意の下流側の第2の又はポスト・イオン化装置120が配置されている。フィルタ116の排気側からの濾過された空気の流れは、空気排出口122を介して空気清浄装置ハウジング110から出る。空気清浄装置100はさらに、空気排出口122に近接して空気清浄装置ハウジング110に好ましくは機械的且つ流動的に接続されるフローチャンバ124と、ヘッドスペース128が臭気消去(OE)サプライ126の周囲に存在するようにフローチャンバ124内に配置されるOEサプライ126と、フローチャンバ124と空気排出口122との間に気流経路を形成する流量調節オリフィス130と、フローチャンバ124からの気流を空気排出口122から出る濾過された空気の気流内に方向付けるための偏向板132とを有する。
【0016】
空気清浄装置ハウジング110は、空気清浄装置100の要素を収容するための軽量プラスチック又は金属格納装置を表す。空気清浄装置ハウジング110は、家庭又はオフィス用の卓上空気浄化装置に好適な大きさ及び形状を有する。空気清浄装置ハウジング110の占有面積(フットプリント)は、限定されないが、例えば、矩形、正方形、楕円、若しくは円形でもよく、例えば、25平方インチ以下の面積であればよい。空気清浄装置ハウジング110の高さは例えば、9.75インチ以下である。空気清浄装置ハウジング110の例は、図2を参照して以下で詳細に説明される。
【0017】
空気移動機構112は、例えば好ましい実施形態において、フィルタ116を通して空気を移動させるための標準的な市販されている軸方向に取り付けられる多段速度AC又はDCファンである。このフィルタ116は、好ましくは9.85立方インチの容積を有する。
【0018】
空気移動機構112は、例えば、30乃至100立方フィート/分(CFM)の気流を提供することができる。多段速度AC電気ファンの一例は、スノン社(Sunon,Inc.、ブレア、カナダ国)から提供されるSunon SP101−4Fである。標準的な多段速度AC又はDC電気ファンの電源(図示せず)及び電子制御(図示せず)が周知であることは当業者によって理解されるだろう。他の実施形態では、かご型のファンが使用されることもある。さらに別の実施形態において、空気移動機構112は、米国特許第5,620,306号公報に記載されたファン・インペラ(名称:インペラ)であってもよい。この米国特許には、気体や液体などの流体を圧縮するために構成される圧力ブースト・インペラが記載されている。この米国特許のインペラは、前方吸気領域、後方排出領域、及びインペラの回転軸を収容するハブを有する。数個のブレードがハブの周囲に延出し、隣接するブレード間の通路を画定するために、ハブの一部は重なり合う関係にある。空気移動機構又はファン112が与えられた図面においてフィルタ116の下流側に示されているが、別の可能な実施形態において、このファンは、フィルタの反対側、又はフィルタの「上流側」にあってもよい。
【0019】
好ましい実施形態において、フィルタ116は、微粒子を沈降させる拘束フィルタである。たとえば、フィルタ116は、清浄空気供給率(CADR)が80以下、圧力損失が10乃至12パスカル未満、さらにオゾン放出が.005ppm未満である、占有面積の小さなフィルタである。CADRは、所定時間にわたってフィルタによって空気中から除去される物質の量に基づく工業規格フィルタの定格である。フィルタ116は、所望の微粒子を濾過するのに十分な微細なメッシュを有する。粒子が微細になるほど、メッシュも微細になり、そのため、スクリーンを通して空気を移動させるのに必要な圧力が大きくなり、これは、可能なCFM及び室内の換気回数に影響を及ぼす。空気清浄装置100の場合に、例えば空気移動機構112が約70CFMの気流をフィルタ116に入るように供給すると、約55CFMの気流がフィルタ116から出る。フィルタ116は例えば従来のフィルタである。他の実施形態では、フィルタ116は、米国特許第6,589,317号(名称:構造化表面濾過媒体アレイ)、米国特許第6,471,746号(名称:電子濾過プロセス)、あるいは米国特許第6,454,839号(名称:電子濾過装置)に関連して記載されるようなスリーエム社(3M;セントポール、ミネソタ州)製造の自動充電式フィルタのように電荷を維持するように設計され得る。さらに別の実施形態において、外部の充電機構(図示せず)がフィルタ116に連結されて、人工的で直接にフィルタを充電し、その能力を向上させることもできる。このようなフィルタ及び充電機構の一例は、カズ社(Kaz,Inc.)(ニューヨーク、NY)から入手できるエンビラケア(Enviracaire;登録商標)エアクリーナにおいて見出されるものである。
【0020】
プレ・イオン化装置118及びポスト・イオン化装置120はいずれも任意であり、フィルタ116の機能を向上させるのに使用される沈降フィルタ機構として機能する。あるいはまた、更なるイオン化装置が存在してもよい。プレ・イオン化装置118及びポスト・イオン化装置120は、例えば、陰電子を形成するために高圧電気を使用する標準的な市販のニードル・イオン化装置である。これらの電子は、先のとがったスパイク又はニードルの長さに沿って流れ、そこで電子は空気中に流れ込み、酸素分子を引き付ける。この時点で、これらの電子は、浮遊微粒子に付加する陰イオンになる。十分な陰イオンが微粒子に付着すると、電子が重くなり空中に浮遊することができず、地上若しくは他の反対の電荷に帯電された表面に落下し(塊状集積として知られているプロセス)、これにより、循環空気から有効に除去される。一例であるニードル・イオン化装置は、コムテック・リサーチ、エルエルシー(Comtech Research,LLC;サウスグリーンフィールド、ミズーリ州)から提供されるIG−133Aに見出されるものである。標準的ニードル・イオン化装置の電源(図示せず)及び電子制御(図示せず)が周知であることは当業者によって認識されるだろう。この装置で使用されるようなイオン化装置の配置が従来の「ニードル」の代わりに「ブラシタイプ」の要素を使用可能であることもまた周知である。さらに、システムが「接地」要素又はプレートを有することは任意である。この「プレート」は、一般に単一平面に配置され、360度であり個々のニードル(又はブラシ)要素と等距離にあるエアースペースによって分離される導体素子である。好ましい間隔及びプレートの構成は、限定されないが、電源、材料の選択、イオン化装置の構成を含む複数の要素に合わせて調整される。「接地プレート」の目的は、イオンの流れが発生し、それによって静電放電(ESD)又はいわゆる「ブラックウォール効果」を生成可能な「漂遊」電荷の発生を管理するスペースを画定することである。接地プレートは動作可能に電源に接続されることが好ましい。
【0021】
フローチャンバ124は、好ましくは、例えば成形プラスチックから形成されるハウジングから構成され、化合物又はOEサプライ126がフローチャンバ124と流体連通するようにフローチャンバ124内に設置される。流体放出機構又はフローチャンバ124は、OEサプライ126を保持するための限られた領域であるが、完全に密封された領域ではなく、好ましくは一面において周囲環境に開放されている。OEサプライ126は、流体、液体、揮発性ゲル、ビーズ、粉末、ポンプ(機械的及び圧電性を含む)及び/又はエアゾールの形態にある臭気除去化合物の任意のサプライである。第1の例として、OEサプライ126は、エスシー・ジョンソン・アンド・サン社(SC Johnson&Son,Inc.;ラシーヌ、ウィスコンシン州)によって供給されるグレード(Glade;登録商標)アウスト(Oust;登録商標)詰め替えボトルに設けられるようなボトルと芯(wick)の構造における液体臭気除去化合物である。第2の例として、OEサプライ126は、エスシー・ジョンソン・アンド・サン社によって供給されるグレード(Glade;登録商標)プラグインス(PlugIns;登録商標)詰め替えカートリッジに設けられるような揮発性ゲル臭気除去化合物である。OEサプライ126の分散要素(例えば、グレード(Glade;登録商標)アウスト(Oust;登録商標)詰め替え芯、又はグレード(Glade;登録商標)プラグインス(PlugIns;登録商標)詰め替えカートリッジの多孔質フィルム)は、ヘッドスペース128によって示される自由な空間に配置される。蒸発により、OEサプライ126の臭気除去化合物は、流量調節オリフィス130を通過することが可能である。処理された空気は、さらに偏向板132によって空気排出口122に方向付けられ、その内部で空気清浄装置100の空気排出口122から出る濾過された空気の流れと混合し、それによって、空気清浄装置100から出る濾過された空気の流れに対し臭気除去処理を行なう。流量調節オリフィス130及び偏向板132の組み合わせは、濾過された空気の流れに送られる臭気除去処理のレベルを制御するための機構を構成する。
【0022】
もう1つの方法として、サプライ126におけるOE化合物が昆虫防除化合物等の他の化合物に置き換えられることを当業者に認識されたい。このような化合物は、防虫剤又は殺虫剤であってもよい。
【0023】
空気清浄装置100用の総電力は、電池、又は、標準的な家庭用110v若しくは220vのACコンセントにプラグ接続される電源を介して供給され得る。
【0024】
作動中、多量の臭気除去化合物を収容しているOEサプライ126は、空気清浄装置100のフローチャンバ124内に設置される。ユーザは、空気清浄装置100を起動させ、それによって空気移動機構112、プレ・イオン化装置118及びポスト・イオン化装置120が起動される。その際、周囲空気は空気吸入口114を経て空気清浄装置100に吸い込まれる。空気移動機構112は、約70CFMの気流をフィルタ116内に移動させる。プレ・イオン化装置118は、空気がフィルタ116の吸気側の方へ移動するとき、気流から微粒子を除去する働きをする。フィルタ116は、さらに、プレ・イオン化装置118の作用によって除去されない微粒子の沈降又は拘束によって、更なるフィルタ処理動作を実行する。あるいはまた、トラッピング式のフィルタを使用することもできる。約55CFMの濾過された空気はフィルタ116の排気側から出て、その後、ポスト・イオン化装置120付近を通過し、最終的な空気浄化イベントとして気流に残留する更なる微粒子を除去する。その結果、濾過された空気は、フローチャンバ124の流量調節オリフィス130を通し、空気排出口122に対して方向付けられる。濾過された空気が高速で流量調節オリフィス130を通過するため、ヘッドスペース128内の処理された空気は濾過された空気の流れに吸い込まれる。これは、偏向板132及び流量調節オリフィス130を通過する空気の流れの速度によってフローチャンバ124内に低圧が生成されるという理由によるものである。空気清浄装置ハウジング110の内部とフローチャンバ124との圧力差は、ベルヌーイ効果(ベンチュリ効果と呼ばれることもある)によって生じられる。この効果は、流体圧力の減少を流体速度(スピード)の増加と関連づける。空気は大気であり、フローチャンバ124に引き込まれ、OEサプライ126の動作によって処理される。したがって、空気は次に、流量調節オリフィス130を介して空気清浄装置100の空気排出口122を出る濾過された空気の流れに導かれる。あるいはまた、その結果、臭気除去(OE)処理は、空気清浄装置100によって清浄空気とともに、周囲に供給される。
【0025】
図2は、空気清浄装置100の物理的な実施例を示す斜視図である。詳細には、図2は、本発明による空気清浄装置100aの斜視図を示す。空気清浄装置100aは、例えば約25平方インチの断面積を有する略円筒形状の空気清浄装置ハウジング110aを有することが好ましい。空気清浄装置100aは、さらに、空気吸入口114a、排出口122a、フローチャンバ124a、OEサプライ126a、及びこの装置が作動中であることを示し、又は例えばフィルタが交換の必要があることやサプライが減損されたことを示すための任意の表示ライト134aなどを有することが好ましい。空気吸入口114a、排出口122a、フローチャンバ124a、及びOEサプライ126aは、それぞれ図1の空気吸入口114、排出口122、フローチャンバ124、及びOEサプライ126に関して説明されたものである。図2には見えないが、図1に関して記載された空気移動機構112、フィルタ116、プレ・イオン化装置118、ポスト・イオン化装置120、流量調節オリフィス130、及び偏向板132は、空気清浄装置100aの空気清浄装置ハウジング110a内に収容される。
【0026】
空気清浄装置100aの例において、空気吸入口114aは、空気清浄装置ハウジング110aの側壁の下部領域においてフローチャンバ124aの反対側に配置され、フローチャンバ124は、例えば、グレード(Glade;登録商標)アウスト(Oust;登録商標)詰め替えボトルの形状を有し、フローチャンバの内部に配置されるOEサプライ126aを見せている。排出口122aは、空気清浄装置110aの最上部に配置され、清浄な処理済み空気の垂直方向及び水平方向の両方の流れを提供するようにわずかに角度がつけられている。表示ライト134aは、発光ダイオード(LED)などの光源を有し、例えば装置が作動中であること、及び/またはフィルタ及び/またはOEサプライが交換される必要があることを示す。たとえば、このライトは装置が動作中であるとき緑色であり、フィルタの交換が必要であるとき赤色である。任意のファン制御ノブが含まれることもある。これは、ユーザにより、例えば3段速度ファンである空気移動機構112の速度を選択するために操作され得る。さらに、任意の処理制御ノブが含まれることもある。これは、ユーザにより、流量調節オリフィス130を調整することによって臭気除去レベルを選択するために操作され得る。OEサプライ126a用のフローチャンバ124aは、流量調節オリフィス130が排出口122aに流動的に連結されその濾過された空気の流れが流量調節オリフィスを通過してベルヌーイ効果を生成するように、空気清浄装置ハウジング110aの側壁に配置されている。このようして、OEサプライ126aの動作によって処理された周囲空気は、空気清浄装置100aの空気排出口122aから出る濾された過空気の流れに導入される。前方グリル及び後方グリルは好ましくは存在し、気流を著しく制限することなく吸入口及び排出口を覆うことが好ましい。
【0027】
図3は、本発明の第2の実施形態に従って臭気除去処理の選択と結合して空気浄化を行なうマルチプルOE空気清浄装置300の機能図である。本発明のマルチプルOE空気清浄装置300は、概して、臭気除去化合物を装置の濾過空気排出ストリームに入れることによって室内に対し臭気除去処理を提供する。さらに、本発明のマルチプルOE空気清浄装置300は、それぞれ固有の芳香剤を有する少なくとも2つの臭気除去化合物の選択を提供する。
【0028】
マルチプルOE空気清浄装置300は、図1に関して記載されたように、空気清浄装置ハウジング110、空気移動機構112、空気吸入口114、フィルタ116、プレ・イオン化装置118、ポスト・イオン化装置120、空気排出口122、ヘッドスペース128、流量調節オリフィス130及び偏向板132を有する。マルチプルOE空気清浄装置300はさらに、フローチャンバ310及びマルチプルOEサプライ312を有し、フローチャンバ310は、空気排出口122に近接し空気清浄装置ハウジング110に機械的且つ流動的に接続されるのが好ましく、マルチプルOEサプライ312は、ヘッドスペース128がマルチプルOEサプライ312の周囲に存在するようにフローチャンバ310内に配置される。このフローチャンバ310は、マルチプルOEサプライ312を構成する少なくとも2つのそれぞれ固有の芳香剤を有する臭気除去化合物の選択に適応するようなサイズとされる点において、空気清浄装置100のフローチャンバ124と異なる。マルチプルOEサプライ312は、毛細管システム(液体及び芯を含む)、薄膜/フィルムシステム(揮発性ゲル類を含む)、ビーズ、粉末、ポンプ(機械的及び/又は圧電式)、エアゾールなどを含むこともできる。
【0029】
液体及び芯を含む毛細管システムの一例は、図4A乃至図4Eに見られる。
【0030】
図4Aは、マルチプルOE空気清浄装置300のマルチプルOEサプライ312の実施例に従って臭気除去化合物の選択を提供する毛細管システム400の側面図である。さらに、それぞれ、図4B、4C、4D及び4Eは、それぞれ4つの例の動作位置にある毛細管システム400の平面図を示す。毛細管システム400は、臭気除去化合物を気流に供給するための毛細管部材を組み込む芯ベースシステムから形成される。この例において、さらに図4A、4B、4C、4D及び4Eを参照して、毛細管システム400は、例えば、成形プラスチック又はガラスから形成される細長い薄肉の平坦基板410を有する。
【0031】
平坦基板410の形状は、図4A、4B、4C、4D及び4Eに示されるものに限定させず、平坦基板410は、例えば、矩形、正方形、ディスク形状、あるいは円筒形状でもよい。基板410の下面に沿って、1つ以上のOEサプライ126とそれぞれ関連する1つ以上の毛細管領域412(図4B乃至図4Eに示され、図4Aでは図示せず)が配置される。それぞれのOEサプライ126は、基板410の下面と直接接触するように配置されている芯128をさらに有する。
【0032】
毛細管領域412は、臭気除去化合物のマルチプルOE空気清浄装置300の空気の流れへの気化を向上させるための毛細管作用表面を表す。毛細管領域412は、例えば1乃至2平方インチの面積があり、基板410の表面に印刷され、エッチングされ、あるいは成形される1つ以上の露出された毛細管経路(即ち、機械的な溝)によって形成される。毛細管経路の重要な特徴は、特定の臭気除去化合物の表面張力に対し最適化されることもできる。これら特徴は、例えば、溝壁の角度、下側角部の鋭さ、及び最小深度の仕様を有する。
【0033】
好ましい実施形態において、毛細管領域412は、米国特許出願第20040074982号公報(名称:小さい多孔質部分を有する芯を備えた芯ベース供給システム)、米国特許出願第20040065750号公報(名称:可変多孔率の部分を有する芯を備えた芯ベース供給システム)、及び米国特許出願第20040065749号公報(名称:異なる複合材料から作られる芯を備えた芯ベース供給システム)に記載される原理にしたがって形成され、これらの特許出願のすべては、エスシー・ジョンソン・アンド・サン社(ラシーヌ、ウィスコンシン州)に譲渡され、参照として本明細書に組み込まれる。上記の特許出願では、開口部を通して延びる多孔質芯を有する、液体を保持するための容器を含む蒸発装置が記載され、芯の一部が容器内に保持された液体と接触し、芯の一部が周囲環境にさらされることになり、芯は液体を容器から周囲空気に転送し、芯の一部が毛細管部材の表面と接触状態になる。その表面は、1つ以上の露出された毛細管経路を有し、芯によって容器から転送された液体が、毛細管作用によって周囲空気に分散するために、この毛細管経路に沿って引かれる。
【0034】
OEサプライ126として使用するのに好適な芯ベースOEサプライの一例は、グレード(Glade;登録商標)アウスト(Oust;登録商標)詰め替えボトルである。それぞれのOEサプライ126はまた、その臭気除去化合物内に芳香剤要素を有し得ることが好ましい。芳香剤の例として、シナモン、アップル、柑橘類、バニラ、花の香り及び熱帯果実類の香りが挙げられる。
【0035】
図4A、図4B、図4C、図4D及び図4Eを連続的に参照して、流体放出の芯128a、128b、128c若しくはOEサプライ126a、126b及び126cは、それぞれ線形に基板410の下面と接触して配置されることもできる。毛細管領域412aは芯128aと関連し、毛細管領域412bは芯128bと関連し、毛細管領域412cは芯128cと関連する。一度に1つの芯128だけがその関連する毛細管領域412と接触し係合する。これは、ユーザが、OEサプライ126a、126b及び126cを静止した状態に保持し基板410を移動し、或いは基板410を静止状態に保持しOEサプライ126a、126b及び126cを移動することにより、OEサプライ126a、126b及び126c(及び芯128a、128b及び128c)に対する基板410の相対位置を調整することによって、実現される。前者の方法は本明細書中に記載される。
【0036】
基板410は、マルチプルOE空気清浄装置300のフローチャンバ310内にスライド可能に設置され、それぞれフローチャンバ310内にさらに設置されるOEサプライ126a、126b及び126cの芯128a、128b及び128cに位置合わせて接触することができる。図4Bは第1の位置を示し、芯128a、128b、128cのいずれもがその関連する毛細管領域412a、412b、412cに係合されず、そのため、いずれの臭気除去処理も選択されず、それによって、ユーザがマルチプルOE空気清浄装置300内での臭気除去処理を停止するための手段を提供する。図4Cは第2の位置を示し、芯128aが毛細管領域412aに係合され、芯128b及び128cが毛細管領域412bに係合されず、そのため、OEサプライ126aの臭気除去処理が選択される。図4Dは第3の位置を示し、芯128bが毛細管領域412bと係合され、芯128a及び128cが毛細管領域412a及び412cに係合されず、そのためOEサプライ126bの臭気除去処理が選択される。最後に、図4Eは第4の位置を示し、芯128cが毛細管領域412cと係合され、芯128a及び128bが毛細管領域412a及び412bに係合されず、そのため、OEサプライ126cの臭気除去処理が選択される。この臭気除去処理の選択例は、以下の表1にまとめられる。
【0037】
【表1】

【0038】
作動中、第2、第3及び第4のそれぞれの位置において、空気が基板410の表面を、ゆえに、毛細管領域412a、412b及び412cを流れる時、液体が、芯128a、128b、128cによって、それぞれOEサプライ126a、126b、126cから移送され、毛細管領域412a、412b、412cの毛細管作用によって引かれ、フローチャンバ310内で周囲空気への蒸発によって分散し、その後、流量調節オリフィス130を介して濾過された空気の流れに引き込まれる。濾過され処理された空気は、空気排出口122を介してマルチプルOE空気清浄装置300から出る。ユーザは、OEサプライ126に対して基板410を操作することによって位置を手動で選択することもできる。あるいはまた、標準動作制御システム(図示せず)は毛細管システム400と組み合わせて設けられてもよく、そのため、ユーザは電子制御を使用して所望の芳香剤を選択する。たとえば、ユーザは、種々の処理の選択をスクロールするために番号付けされたダイヤル又は押しボタンを使用して動作制御システムを制御する。
【0039】
代替的な実施形態において、毛細管領域412は、芯128に対する相対位置を変更させることにより、より少ない若しくはより多くの毛細管経路との接触をもたらし、それによって、処理レベルを調整する方法を提供するように、デザインされている。たとえば、「高」処理レベルの設定、「中間」処理レベルの設定、及び「低」処理レベルの設定は、芯の容積及び毛細管溝の間隔を調整することによって行なうことができる。この例の臭気除去処理の選択は以下の表2にまとめられる。
【0040】
【表2】

【0041】
なおまた別の実施形態において、毛細管システム400は、任意に処理の混合を提供するように設計してもよい。これは、例えば、(1)2つのOEサプライ126が単一の共通毛細管領域412と同時に係合されるように基板410上に毛細管領域412のレイアウトを行ない、それにより、共有された毛細管領域412を使用して2つの処理を混合させるような方法、或いは(2)2つのOEサプライ126がそれらの独自の毛細管領域412と同時に係合されるように基板410上に毛細管領域412のレイアウトを行ない、それにより、2つの処理がフローチャンバ310のヘッドスペース128内の周囲空気内で混合されることができ、混合された空気が流量調節オリフィス130を通って濾過された空気の流れに入るような方法により実現できる。この臭気除去処理の選択例は、以下の表3にまとめられる。
【0042】
【表3】

【0043】
マルチプルOE空気清浄装置300は、上述した例の組み合わせに限定されない。当業者は、マルチプルOE空気清浄装置300がいかなる数の処理レベルと処理の混合の組み合わせを提供する毛細管システムで設計され得ることを理解するであろう。
【0044】
図4A乃至図4E、及び、毛細管システム400、薄膜/フィルム、ビーズ、粉末、ポンプ及び/又はエアゾールなどのようなマルチプルOE空気清浄装置300内のマルチプルOEサプライ312のすべての実施形態を参照して、複数の処理の一つを選択すること、あるいは処理を選択しないことは、ユーザによってマルチプルOEサプライ312の要素の手動操作を介して実行され得る。あるいはまた、標準動作制御システム(図示せず)をマルチプルOE空気清浄装置300内に設けてもよい。そこで、ユーザは、電子制御で所望のモードを選択する。マルチプルOE空気清浄装置300内に動作制御システムを含めることにより、装置のタイマー制御も可能である。たとえば、マルチプルOE空気清浄装置300は、すべて自動制御のもとで、いつマルチプルOE空気清浄装置300が自動的にオン・オフされるかを選択させ、さらに所定の日時に所定の量の時間が続く所定の処理を自動的にユーザに選択させる周知の電子回路(図示せず)を含むこともできる。さらに、持続期間にわたって特定の芳香剤にさらされる場合に、ユーザがその特定の芳香剤に対し飽きてしまったり、又は感覚が鈍らされたりするような周知の現象がある。従って、特定のタイミング・シーケンスにより、毛細管領域412を異なるOEサプライ126の異なる芯128に位置合わせする前に、マルチプルOE空気清浄装置300を、臭気除去なしで待機時間を開始させることが可能になる。
【0045】
さらに、図4A乃至図4E、及び毛細管システム400、薄膜/フィルム、ビーズ、粉末、ポンプ及び/又はエアゾールなどのようなマルチプルOE空気清浄装置300内のマルチプルOEサプライ312のすべての実施形態を参照して、マルチプルOEサプライ312を形成する物理的アセンブリは、マルチプルOE空気清浄装置300から容易に着脱可能であり、その結果、ユーザは、臭気除去化合物が減耗されると、容易に且つ都合よく交換することができる。
【0046】
図5は、本発明の第3の実施形態に従って臭気除去と組み合わせて空気浄化を行なう空気清浄装置500の機能図である。本発明の空気清浄装置500は、概して、臭気除去化合物をこの装置の濾過された空気排出ストリームに入れることによって、室内に対し臭気除去処理を行なう。
【0047】
空気清浄装置500は、図1に関して記載されるように、空気清浄装置ハウジング110、空気移動機構112、空気吸入口114、プレ・イオン化装置118、ポスト・イオン化装置120及び空気排出口122を有する。空気清浄装置500は、プレ・イオン化装置118及び空気移動機構112の間に配置されるフィルタ/OEアセンブリ510を更に有する。フィルタ/OEアセンブリ510は、臭気除去機構がフィルタ機構と直接一体化されるという点で空気清浄装置100のフィルタ116と異なり、そのため、図1の空気清浄装置100に示されるような個別のフローチャンバ124とOEサプライ126は必要とされない。フィルタ/OEアセンブリ510の実施例の更なる詳細は、図6A及び図6Bを参照して見出される。
【0048】
図6Aは、フィルタ/OEアセンブリ510の第1の例の物理的実施の斜視図である。詳細には、図6Aは、本発明によるフィルタ機構に直接一体化される臭気除去機構を設けるためのフィルタ/OEアセンブリ510aの斜視図を示す。
【0049】
フィルタ/OEアセンブリ510aはフィルタ・フレーム612aを有し、このフィルタ・フレーム612aは、スリーエム社(3M Company、セントポール、ミネソタ州)によって製造されるような、微粒子を除去するための濾過媒体(フィルタ・メディア)614aを収容する。濾過媒体614aはフィルタ・フレーム612a内に永久に固定され、あるいはまた、濾過媒体614aはフィルタ・フレーム612a内にスライド可能に固定され、これにより、濾過媒体614aが除去可能となり、フィルタ・フレーム612aが再利用若しくは交換されることも可能である。フィルタ・フレーム612aには、グレード(Glade;登録商標)アウスト(Oust;登録商標)詰め替えボトルのような、芯128を有する少なくとも1つのOEサプライ126を保持するためのOEサプライハウジング616aが取り付けられることが好ましい。フィルタ・フレーム612a及びOEサプライハウジング616aは成形プラスチックなどの剛性軽量材料から形成される。好ましくは、OEサプライ126内の大量の液体臭気除去化合物は、その液体が消耗されるのにかかる時間が濾過媒体614aの予想耐用期間とほぼ同一であるように設けられる。このように、OEサプライ126及び濾過媒体614aのいずれも同時に点検修理及び/又は交換され得る。
【0050】
この例において、OEサプライ126が液体臭気除去化合物を含む芯ベースのサプライであるから、フィルタ/OEアセンブリ510aは、その適切な動作を保証するために空気清浄装置500の空気清浄装置ハウジング110内で特定の配向を有する。特に、設置されるときに、OEサプライ126の芯128がフィルタ/OEアセンブリ510aの排出側に位置され、流量調節機構(図示せず)を有するキャビティ(図示せず)内に配置される。それによって、急速に通過する濾過された空気により低圧が生成される。OEサプライ126の芯128から放出する臭気除去化合物は、図1に記載されたように、ベルヌーイ効果のために好ましくはマニホールド若しくは通路を介して濾過された空気の流れの中に引き込まれる。このように、臭気除去処理は濾過された空気の流れに導入され、そのため、濾過され処理された空気は空気清浄装置500の排出口122から出て、周囲環境に送り出される。
【0051】
図6Bは、フィルタ/OEアセンブリ510の第2の例の物理的実施を示す斜視図である。詳細には、図6Bは、本発明によりフィルタ機構に直接一体化される臭気除去機構を設けるためのフィルタ/OEアセンブリ510bの斜視図を示す。
【0052】
フィルタ/OEアセンブリ510bは、フィルタ・フレーム612bを有し、これは、スリーエム社(3M Company、セントポール、ミネソタ州)によって製造されるような、微粒子を沈殿させるための濾過媒体614bを収容する。濾過媒体614bはフィルタ・フレーム612b内に永久に固定され、あるいはまた、濾過媒体614bは、該濾過媒体が除去可能となりフィルタ・フレーム612bが再利用できるように、フィルタ・フレーム612b内にスライド可能に固定される。さらに、濾過媒体614bは一般に、プリーツ形、波形、若しくはハニカム構造を有し、そのため、その領域全体にわたって複数のフィルタ・ポケット618bが形成されている。図6Bは、化合物用の分散機構を有する濾過媒体614b内におけるいくらかのフィルタ・ポケット618bを示している。たとえば、フィルタ・ポケットにOE化合物620bを詰めてもよいが、一方、濾過媒体614b内のかなり多数のフィルタ・ポケット618bにはOE化合物620bは入っていない。
【0053】
第1の例において、OE化合物620bは、グレード(Glade;登録商標)プラグインス(PlugIns;登録商標)詰め替えカートリッジ内で使用される揮発性ゲルなどの揮発性ゲルである。シール622bは、OE化合物620bを収容するフィルタ・ポケット618bのみを被覆する濾過媒体614bの表面に取り付けられる。揮発性ゲルの場合、シール622bは、グレード(Glade;登録商標)プラグインス(PlugIns;登録商標)詰め替えカートリッジ内で使用されるような多層構造であり、その内部において、使用時に、外側フォイル・シールが剥離されて、所定率でOE化合物620bをメータアウトする働きをする多孔性フィルムを露出させる。
【0054】
第2の例において、OE化合物620bは、フィルタ・ポケット618bに個々に圧入されるようなサイズとされる複数の芯である。それぞれの芯には、グレード(Glade;登録商標)アウスト(Oust;登録商標)詰め替えボトル内で使用されるような液体臭気除去化合物が含浸される。さらにまた、シール622bは、OE化合物620bを収容するフィルタ・ポケット618bのみを被覆する濾過媒体614bの表面に取り付けられる。使用時に、シール622bが剥離されてOE化合物620bを露出させ、それにより芯材料に含まれている液体が蒸発によって分散されることを可能にする。
【0055】
OE化合物620bは、フィルタ/OEアセンブリ510bの排出側に位置され、流量調節機構(図示せず)を有するキャビティ(図示せず)内に配置され、これにより、低圧がその付近を急速に通過する濾過された空気によって生成される。OE化合物620bから放出する臭気除去化合物は、図1に記載されるように、ベルヌーイ効果のために濾過された空気の流れに吸い込まれる。OE化合物620bがない濾過媒体614b内のフィルタ・ポケット618bは、空気濾過機能を実行している。このように、臭気除去処理は濾過された空気の流れに導入される。したがって、濾過され処理された空気は空気清浄装置500の排出口122から出て、周囲環境へと送り出される。好ましくは、フィルタ・ポケット618b内の大量のOE化合物620bは、該OE化合物620bが消耗される時間が濾過媒体614bの予想される耐久期間とほぼ同一であるように設けられる。
【0056】
図7は、本発明の第4の実施形態に従ってオゾンの減少と組み合わせて空気浄化を行なうオゾン減少空気清浄装置700の機能図である。本発明のオゾン減少空気清浄装置700は概して、この装置の要素にコーティングを付加することによって室内に対しオゾン減少処理を行なう。このコーティングは、空気浄化ユニットの空気の流れからオゾンを洗浄する働きをする。
【0057】
オゾン減少空気清浄装置700は、図1を参照して記載されるように、空気清浄装置ハウジング110、空気移動機構112、空気吸入口114、フィルタ116、プレ・イオン化装置118、ポスト・イオン化装置120及び空気排出口122を有する。オゾン減少空気清浄装置700は、スクリーン状部材710に加えられポスト・イオン化装置120と空気排出口122との間に配置されるオゾン除去化学物質をさらに有する。
【0058】
図7は任意の1組のルーバー712をさらに示し、これらのルーバー(louvers)は、空気排出口122を形成する空気清浄装置ハウジング110内の開口部を示している。
【0059】
オゾン除去スクリーン710は、例えばエンゲルハルド社(Engelhard Corporation、イーゼリン、ニュージャージー州)から提供されるプレムエアー(PremAir、登録商標)触媒などの、市販のオゾン洗浄物質でコーティングされたメッシュスクリーンである。オゾン除去スクリーン710のメッシュは、濾過された空気の流れの流量を制限しないように適切な多孔質である。コーティングされたオゾン除去スクリーン710に加えて、あるいはその代わりに、空気吸入口114及び空気排出口122間の気流チャネル内にあるオゾン減少空気清浄装置700のすべての要素の表面もまた、上記のオゾン洗浄物質又は触媒でコーティングされてもよい。たとえば、空気清浄装置ハウジング110の内側面、空気移動機構112と関連するすべてのファンブレードの表面、及びオプションのルーバー712の表面はコーティングされてもよい。さらに、ほとんどの触媒型除去剤が、加熱されると、より有効に性能を発揮する。空気清浄装置700は、ユニット動作中に周囲条件よりも大きな温度上昇を達成し、それによってオゾン洗浄化合物のより有効的な使用を供給する成形された表面を組み込む。選択された表面は、標準モータ/ファン動作から熱エネルギーを吸収することによって加熱されるようになる。
【0060】
オゾン除去はさらに、専門化された化合物、例えば揮発性物質で気流を処理することを含む他の手段によって達成することもできる。「無オゾン(Nozone)」などの技術は、清浄装置700及びOEサプライ126によって定義されるような装置及び補充システムを使用して行なうことができる。
【0061】
作動中、オゾン減少空気清浄装置700は、図1の空気清浄装置100を参照して記載されるように空気浄化プロセスを実行する。さらに、吸入口114から入る周囲空気内にあるオゾン、及び空気浄化プロセス中にプレ・イオン化装置118及びポスト・イオン化装置120によって生成されるイオンは、オゾン除去スクリーン710を通過し、オゾン洗浄物質でコーティングされたオゾン減少空気清浄装置700の表面にわたって通過する空気の作用によって減少される。このようにして、オゾン減少空気清浄装置700は、周囲空気内のオゾンのレベルを上昇させることなくイオン化装置を備えた空気清浄装置の使用を可能にする。
【0062】
当業者は、図7のオゾン減少空気清浄装置を参照して記載されたようなオゾン減少機構が、図1乃至図6Bを参照して記載された臭気除去処理機構のいずれかと組み合わせて使用できることを認識するであろう。
【0063】
発明者らが本発明を実行することによって意図される最良の形態が上記に示されているが、本発明の実行はそれに制限されない。本発明の特徴の種々の追加、変更、及び再編成が根本的な発明の概念の精神及び範囲から逸脱することなく行なってもよいことは明白である。さらに、個々の構成要素が開示された材料から作られる必要はなく、実質的には適切な材料から作られるのがよい。
【0064】
なおさらに、個々の構成要素が開示された形状に作られ、又は開示された構成に組み立てられる必要はなく、実質的には任意の形状で設けられ、実質的に任意の構成に組み立てられることもできる。また、本明細書中に記載された種々の構成要素が物理的に別個のモジュールであるが、関連する装置と一体化されてもよいことは明白である。またその上に、それぞれ開示された実施形態の開示された特徴のすべてが、こうした特徴が相互に排他的である場合を除いて他のすべての開示された実施形態の開示された特徴と組み合わせたり、又は置き換えたりすることができる。
【0065】
添付された請求の範囲はこうしたすべての追加、変更、及び再編成を包括することが意図される。本発明の適切な実施形態は添付された請求の範囲によって分化される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施形態により臭気除去と組み合わせて空気浄化を行なう空気清浄装置の機能図である。
【図2】図1の空気清浄装置の物理的実施の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態により臭気除去処理の選択と組み合わせて空気浄化を行なうマルチOE空気清浄装置の機能図である。
【図4A】図3のマルチOE空気清浄装置で使用するための臭気除去化合物の選択を行なう毛細管システムの側面図である。
【図4B】それぞれ一例の動作位置における図4Aの毛細管システムの平面図である。
【図4C】それぞれ一例の動作位置における図4Aの毛細管システムの平面図である。
【図4D】それぞれ一例の動作位置における図4Aの毛細管システムの平面図である。
【図4E】それぞれ一例の動作位置における図4Aの毛細管システムの平面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態により臭気除去と組み合わせて空気浄化を行なう空気清浄装置の機能図である。
【図6A】図5の空気清浄装置で使用するためのフィルタ/OEアセンブリの第1の例の物理的実施を示す斜視図である。
【図6B】図5の空気清浄装置で使用するためのフィルタ/OEアセンブリの第2の例の物理的実施を示す斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施形態によりオゾンの減少と組み合わせて空気浄化を行なうオゾン減少空気清浄装置の機能図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングと動作可能に連通するフィルタと、
前記ハウジングと連通する第1のイオン化装置と、
前記ハウジング内を通る気流を方向付けるための空気移動機構と、
前記空気移動機構と流体的に連通する第2のイオン化装置と、
を含む、空気浄化システム。
【請求項2】
前記空気移動機構からの気流と流体的に連通する流体放出機構をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハウジング内を通る気流と流体的に連通する臭気除去サプライをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記フィルタがフィルタ・フレームと一体的な分散機構を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ハウジングに動作可能に取り付けられる前方グリルプレートと、
前記ハウジングに動作可能に取り付けられる後方グリルプレートと、
前記後方グリルプレートを通して空気を取り込み、前記前方グリルプレートを通して空気を押し出す、前記ハウジングを貫通する気流チャネルと、
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記フィルタが静電電荷を有するHAFフィルタであり、フィルタを交換すべきことを示すための手段を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記フィルタが9.85立方インチの容積を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記フィルタが動作可能にファンと連通状態にあり、濾過された空気が偏向板によって空気排出口へと方向付けられ、前記偏向板による偏向がさらに空気排出口から出る濾過された空気を臭気除去処理と混合させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
化合物を前記システムの濾過された気流中に導入するための臭気除去サプライをさらに含み、
前記フィルタが、気流からの微粒子を沈降させ、電荷を維持する拘束フィルタであり、
空気移動機構が、フィルタに入る約70CFMの気流を供給すると、約55CFMの気流が前記フィルタから出る、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
内部ハウジング・キャビティを有するハウジングと、
前記ハウジングの内部キャビティと流体的に連通する空気吸入口と、
前記空気吸入口と流体的に連通する上流側イオン化装置と、
前記上流側イオン化装置の後部にあるフィルタと、
前記フィルタの後部にある空気移動機構と、
前記キャビティ内にある下流側イオン化装置と、
ヘッドスペースと、前記ヘッドスペース及び前記キャビティと流体的に連通する流量調節オリフィスとを有し、前記キャビティに接続されるフローチャンバと、
臭気除去化合物を有し、前記フローチャンバと流体的に連通する臭気除去サプライと、
前記フローチャンバからの臭気除去材料の流れを偏向させるためのキャビティ内における偏向板と、
前記キャビティと流体的に連通する空気排出口と、
を含む空気清浄装置。
【請求項11】
室内から空気を取り入れるための第1のポート、前記第1のポートと流体的に連通する内部キャビティ、及び前記内部キャビティと流体的に連通する第2のポートを有するハウジングと、
前記第1のポートに入る空気をイオン化するための機構と、
前記キャビティ内の空気を濾過するためのフィルタと、
前記キャビティ内を通して空気を引き出す空気移動機構と、
臭気除去サプライからの臭気除去材料の流れを、ヘッドスペースへ、更に前記キャビティ内に入る流れを制御するオリフィス内を通るように導入するためのチャンバと、
前記キャビティ内の空気をイオン化する第2の機構と、
を含み、
濾過され処理された空気が前記第2のポートを介して排出される、
空気清浄装置。
【請求項12】
オゾン除去機構をさらに含む、請求項11に記載の空気清浄装置。
【請求項13】
前記フィルタがその能力を向上させるために外部充電機構によって充電される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記イオン化装置の少なくとも1つがブラシタイプのイオン化装置である、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記イオン化装置の少なくとも1つがニードル・イオン化装置である、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記電源装置に動作可能に取り付けられる接地表面をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
ボトルと芯の構造に空気浄化液体を有するサプライをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
サプライにある臭気除去(OE)化合物と、
前記フィルタが変更必要であるか、又は前記OEサプライが減耗されたことを示すためのライトと、
濾過された空気の流れに供給される臭気除去処理のレベルを制御するための機構を提供する流量調節オリフィス及び偏向板と、
前記流量調節オリフィスを調整することによって臭気除去レベルを選択するためにユーザにより操作される処理制御ノブと、
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
直線的に配列され基板と接触状態にある複数のボトルを有する流体放出サプライをさらに含み、
前記フィルタがフィルタ・フレーム内にスライド可能に固定される濾過媒体であって、濾過媒体が着脱可能でありフィルタ・フレームが再使用可能である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記フィルタが、芯及びボトルを有する付属OEサプライを有するフィルタ・フレームを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記フィルタが、複数のフィルタ・ポケットを有する波形構造を備えた濾過媒体を有し、前記フィルタ・ポケットの一部にはOE化合物が充填され、前記OE化合物を収容するフィルタ・ポケットを被覆するように前記濾過媒体上にシールが取り付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記フィルタはカートリッジを有し、前記カーとリッジの内部において、使用時に外側フォイル・シールが剥離され、所定率でOE化合物をメータアウトする働きをする多孔質フィルムを露出させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
シールが前記フィルタから剥離され、芯材料に収容されるOE液体を露出させ、これにより、前記OE液体が蒸発によって分散され得る、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
少なくとも2つの臭気除去(OE)化合物が供給されOEサプライを形成し、それぞれの前記化合物が固有の芳香剤を有し、前記OEサプライが、液体と芯、揮発性ゲルを有する薄膜システム、ビーズ、粉末、ポンプ、及びエアゾールの少なくとも1つを備えた毛細管システムを含む、請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−543561(P2008−543561A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518205(P2008−518205)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/022186
【国際公開番号】WO2007/001778
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】