説明

臭素回収方法およびその装置。

【課題】電解による溶出を抑えた電極材を用いて、電解電圧を適切に制御することにより、塩素の発生が抑えられた高品質の臭素を、低電力及び高効率で選択的に電解回収することができる臭素回収方法を提供する。
【解決手段】陽極及び陰極の電解用電極のうち少なくとも陽極の電解用電極に導電性ダイヤモンド電極を用いて、海水から成る水溶液に含有された臭素を電解回収する臭素回収方法であって、前記電解用電極間に常温常圧で1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)の電解電圧を印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水から臭素を電解回収する臭素回収方法に関し、特に電解電圧を適切に制御することにより塩素の発生を抑えて選択的に臭素を回収できる臭素回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
資源の乏しい我が国にとって、資源の確保は重要な課題である。このような資源のうち、鉱山や地下に埋蔵する陸上資源は、その産出量に限りがあることから近い将来に枯渇してしまう虞がある。その一方で、海水中には、有用な資源としての様々な元素が含まれている。我が国は地理的に海洋に囲まれていることから、海水からこれらの元素を効率的に分離・回収する技術を確立し、資源を安定確保することが長年切望されている。
【0003】
このような海水に含まれている有用な元素として、臭素が挙げられる。臭素は、主に水浄化剤、農薬材料、自動車材料、医薬品の原料及び写真フィルム材料として、現代社会に不可欠な材料として幅広く利用されている重要な資源である。特に近年では、臭素は、難燃剤としての機能に優れていることから、航空機及び新幹線車両などの内装材の材料としても用いられている。
【0004】
臭素は、臭化物イオンを含む水溶液を酸性条件下で塩素を吹き込み、当該吹き込まれた塩素により酸化された臭素単体を蒸留精製することで回収することができる。工業的に海水から臭素を回収する方法としては、電気分解による方法があり、ダウ・ケミカル創業者のハーバート・ダウにより開発された電気分解法(いわゆるダウ手法)が主に用いられている。
【0005】
電気分解法は、処理工程が簡素であることから装置のスケールアップが容易であるという利点を有するが、海水から臭素を電解により分離・回収するためには莫大な電力が必要である。このため、近年では、海水から臭素を効率よく電解回収する方法が盛んに研究されている。
【0006】
従来の臭素回収方法としては、濃縮海水から水素および臭素を生産する方法であって、海水を濃縮して塩の粗結晶を採取した後の濃縮海水、いわゆるにがり(苦汁)を、グラファイト電極及び白金電極を用いて、1.69V〜1.99V(標準水素電極基準)の電解電圧で電気分解して水素と臭素を生産する方法がある(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hydrogen and bromine production from concentrated sea-water, YALCIN H, KOC T, PAMUK V (Gazi Univ., Ankara, TUR), Int J Hydrogen Energy: Vol.22No.10/11Page.967-970(1997.10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の臭素回収方法では、海水から臭素を電解回収する際に、臭素や塩素のような反応性の高いハロゲンを取り扱うことから、グラファイト及びチタンのような電極材の溶出が発生し、新たな環境汚染をもたらし得るという課題がある。それと同時に、海水から臭素を電解により分離・回収するためには依然として莫大な電力が要求されるという課題がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、電解による溶出を抑えた電極材を用いて、電解電圧を適切に制御することにより、塩素の発生が抑えられた高品質の臭素を、低電力及び高効率で選択的に電解回収することができる臭素回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る臭素回収方法は、陽極及び陰極の電解用電極のうち少なくとも陽極の電解用電極に導電性ダイヤモンド電極を用いて、海水から成る水溶液に含有された臭素を電解回収する臭素回収方法であって、前記電解用電極間に常温常圧で1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)の電解電圧を印加するものである。このように本発明によれば、従来よりも低い電解電圧で、導電性ダイヤモンド電極を用いて電解することにより、ハロゲンに対する反応性の低い導電性ダイヤモンド電極を用いて塩素の発生を抑えた電解電圧条件のもとで臭素が生成されることとなり、電解による電極材の溶出を抑えつつ臭素を選択的に電解回収することができる。
【0011】
上記の電解電圧である1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)は、常温常圧(25℃、1atm)の値であり、標準水素電極基準に換算した場合には、常温常圧で1.14V〜1.35Vである。このように、本発明に係る臭素回収方法は、従来よりも低い電解電圧を用いて電解を行うことができ、例えば、上記の従来技術(非特許文献1)よりも最大で34%の電解電圧を抑制することができる。
【0012】
なお、上記の電解により生成される塩素(Cl2)とは、常温常圧では気体であり、当該生成後に気体となるもの及び液化するものが含まれる。また、上記の電解により生成される臭素(Br2)とは、常温常圧では液体であり、当該生成後に気体となるもの及び液化するものが含まれる。
【0013】
また、本発明に係る臭素回収方法は、必要に応じて、前記導電性ダイヤモンド電極が、ミラー指数が(110)で示されるダイヤモンド結晶構造から成るものである。
ここで、ミラー指数(Miller index)とは、任意の結晶の格子面を表現するために一般的に使用される指数である。具体的には、結晶の単位格子の原点から面が結晶軸と交わる点までの距離のその軸の単位の長さに対する比の逆数であり、ダイヤモンド構造のような立方晶系結晶の場合、各結晶軸の単位長さをaとすると、ある結晶面が原点から各々a/h、a/k、a/lの長さが離れた点で軸と交わっている場合のミラー指数は(hkl)で表される。
【0014】
このように本発明によれば、他のミラー指数を示すダイヤモンド結晶構造と比較して、電位窓が広く且つ成膜速度が早いダイヤモンド結晶構造を使用することから、導電性ダイヤモンド電極が容易に合成されるとともに高い導電性が得られることとなり、より低コストで電解回収を行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る臭素回収方法は、必要に応じて、電解を行う前記水溶液の比重が、1.21mg/L〜1.34mg/Lであるものである。このように本発明によれば、後述の実施例に示すように塩素を含まずに臭素を生成できる電圧範囲が明確に現れてくる比重であり、且つ海水濃縮に係るコストを抑えた範囲の比重で電解を行うこととなり、より低コストで塩素の生成を抑えて臭素を選択的に電解回収することができる。
【0016】
また、本発明に係る臭素回収方法は、必要に応じて、ネルンストの式に基づいて、前記水溶液の温度及び/又は比重に応じて前記電解電圧を制御するものである。このように本発明によれば、ギブスエネルギーの変化量を反映するネルンストの式により、前記水溶液の温度及び/又は比重が経時的に変化した場合であっても、当該変化した温度及び/又は
比重に応じて最適に補正された電解電圧を印加できることとなり、塩素の生成を精度よく抑えて臭素を選択的に電解回収することができる。
【0017】
また、本発明に係る臭素回収装置は、陽極及び陰極の電解用電極のうち少なくとも陽極の電解用電極に導電性ダイヤモンド電極を用いて、海水から成る水溶液に含有された臭素を電解回収する臭素回収装置であって、前記水溶液を貯蔵するとともに、当該貯蔵された水溶液の少なくとも一部に前記電解用電極の各々が浸漬するように配設された貯蔵手段と、前記電解用電極間に常温常圧で1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)の電解電圧を印加する印加手段とを備えるものである。このように本発明によれば、従来よりも低い電解電圧で、導電性ダイヤモンド電極を用いて電解することにより、ハロゲンに対する反応性の低い導電性ダイヤモンド電極を用いて塩素の発生を抑えた電解電圧条件のもとで臭素が生成されることとなり、電解による電極材の溶出を抑えつつ臭素を選択的に電解回収することができる。
【0018】
また、本発明に係る臭素回収装置は、必要に応じて、前記水溶液貯蔵手段により貯蔵された水溶液の温度及び/又は比重から成る水溶液特性を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記水溶液特性からネルンストの式により導かれる電圧に基づいて、前記電解電圧を制御する制御手段とを備えるものである。このように本発明によれば、ギブスエネルギーの変化量を反映するネルンストの式により、前記水溶液の温度及び/又は比重が経時的に変化した場合であっても、当該変化した温度及び/又は比重に応じて最適に補正された電解電圧を前記印加手段が印加できることとなり、塩素の生成を精度よく抑えて臭素を選択的に電解回収することができる。
【0019】
また、本発明に係る臭素回収装置は、必要に応じて、前記導電性ダイヤモンド電極が、ミラー指数が(110)で示されるダイヤモンド結晶構造から成るものである。このように本発明によれば、他のミラー指数を示すダイヤモンド結晶構造と比較して、電位窓が広く且つ成膜速度が早いダイヤモンド結晶構造を使用することから、導電性ダイヤモンド電極が容易に合成されるとともに高い導電性が得られることとなり、装置コストを抑制するとともに、低電力化により運転コストも抑えて臭素を電解回収することができる。
【0020】
また、本発明に係る臭素回収装置は、必要に応じて、前記貯蔵手段に貯蔵された水溶液の比重が、1.21mg/L〜1.34mg/Lであるものである。このように本発明によれば、後述の実施例に示すように塩素を含まずに臭素を生成できる電圧範囲が明確に現れてくる比重であり、且つ海水濃縮に係るコストを抑えた範囲の比重で電解を行うこととなり、より低コストで塩素の生成を抑えて臭素を選択的に電解回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る臭素回収装置のブロック図及びフローチャートを示す。
【図2】本実施形態に係る臭素回収装置で使用される塩化ナトリウムの活量及び電解槽の構成を示す構成図を示す。
【図3】本発明の実施形態に係るダイヤモンド電極の合成に関する実験結果を示す。
【図4】本発明の実施形態に係る比重(海水濃度)が1.26mg/Lの場合の実験結果を示す。
【図5】本発明の実施形態に係る比重(海水濃度)が1.26mg/Lの場合の実験結果及び1.03mg/L〜1.28mg/Lに変更した場合の実験結果を示す。
【図6】本発明の実施形態に係る比重(海水濃度)が1.21mg/L、1.28mg/L及び1.34mg/Lの場合の実験結果を表す一覧表を示す。
【図7】本発明の実施形態に係る比重(海水濃度)1.03mg/L〜1.34mg/Lにおける実験結果を表す一覧表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る臭素回収方法を臭素回収装置と共に図1に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る臭素回収装置のブロック図及びフローチャートを示す。
【0023】
本実施形態に係る臭素回収装置は、図1(a)に示すように、海水を加熱し、海水濃度を調整された海水溶液を生成する海水生成部100と、導電性ダイヤモンド電極から成る陽極電極11と、白金から成る陰極電極12と、この海水生成部100で生成された海水溶液を、コンプレッサー101を経由して受け取って貯蔵するとともに、この貯蔵された海水溶液の少なくとも一部に、この陽極電極11及び陰極電極12の各々が浸漬するように配設された貯蔵手段としての電解槽1と、この陽極電極11及び陰極電極12間に1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)の電解電圧を印加する印加手段としての電源部2と、この電解槽1により貯蔵された海水溶液の温度を検出する温度センサ31及び比重を検出する比重計32から成る検出手段としての検出部3と、この検出部3により検出された温度及び比重からネルンストの式により補正された電圧に基づいて、この電源部2が印加する電解電圧をCPUで制御する制御手段としての制御部4と、この電解槽1の海水溶液を電解して得られた臭素を回収する臭素回収部200とを備える構成である。
【0024】
上記の海水とは、海洋から採取された水を指す。上記の海水溶液とは、この海水を加熱することで水分を除去した水溶液であり、比重の増加とともに、その呼び名が海水、灌水、苦汁と遷移する。
【0025】
この海水生成部100は、海水を加熱して海水溶液を生成するが、この海水溶液の比重としては、1.21〜1.34mg/Lであることが好ましい。比重が1.21mg/Lより小さいと、塩素を含まずに臭素を生成できる電圧範囲が明確に現れず、塩素と臭素の分離が良好に行えなくなる。一方で、比重が1.34mg/Lより大きいと、海水溶液に溶存するNaイオンやClイオンはNaCl結晶として析出するがその析出量の減少が比重(海水密度)の上昇で起こる。一方、溶解度の大きなMgSO4やMgCl2は、その溶存溶液の濃縮と蒸発を繰り返すことで先にMgSO4結晶が析出する。続いて、溶存溶液の濃縮と蒸発を繰り返すことでMgCl2の析出が起こる。それにより、MgCl2が多く含まれた溶存溶液となる。
【0026】
このため、比重が1.21〜1.34mg/Lの海水溶液を用いることで、塩素を含まずに臭素を生成できる電圧範囲が明確に現れてくる比重であって、且つ海水濃縮のコストが低い範囲の比重で電解を行うこととなり、低コストで塩素を抑えて臭素を選択的に回収することができる。
【0027】
この電解槽1は、ステンレス鋼及びチタン等の金属製材料、ポリエチレン、ポリプロピレン及びアクリル等のプラスチック製材料を用いることができるが、絶縁体であることや耐酸性または耐アルカリ性であることが好ましいことから、プラスチック製材料であることが好ましい。
【0028】
この陽極電極11は、導電性ダイヤモンド電極から成るものであり、この導電性ダイヤ
モンド電極は、例えば、モリブデン(Mo)を下地基板として、ホウ素(B)を添加(ドープ)されたダイヤモンド薄膜の薄膜の電極を使用することができる。このホウ素の添加量としては、製造コストを抑えつつ低電力で効率的な電解を行う観点から、ボロン量が1019〜1021(個/cm3)の範囲で、導電性ダイヤモンド電極に10-2(Ω・cm)程度の導電性を与える量であることが好ましい。
【0029】
この陰極電極12は、白金電極から成るものであるが、この白金電極の他にも、グラファイト電極、導電性セラミック電極、チタン電極、または上記の導電性ダイヤモンド電極から成るものとしてもよい。
【0030】
この電源部2は、交流電源を使用することができるが、その交流周波数は特に制約がなく、例えば、交流周波数60Hzの交流電源を使用することができる。
【0031】
この検出部3を構成する温度センサ31は、サーミスタまたは熱電対で構成されたものを使用することができる。
【0032】
この検出部3を構成する比重計32は、一般的に使用されている比重計を使用することができる。例えば、この比重計32は、おもりを液中に沈め,当該おもりに作用する浮力を天秤で測定することにより、液体の比重を計測することができる。
【0033】
この制御部4は、ネルンストの式に基づいて、経時変化する電解液の温度及び比重に応じた最適な電解電圧値を導出し、前記電源部2が印加する電解電圧を制御する。
【0034】
ネルンストの式は、酸化体(Ox)と還元体(Red)の間の電子授受平衡反応において、系に挿入された不活性電極の持つ電極電位 E(V)を以下の式(1)で記述したものである
【0035】
【数1】

【0036】
上記式中、E0は標準電極電位(V)を示し、Rは気体定数を示し、Tは温度(K)を示し、zは移動電子数を示し、aCは海水のNaCl濃度(mol・dm-3)と活量係数の積である活量を示し、Fはファラデー定数96,485 C mol-1を示す。このネルンストの式を用いることにより、わずかな温度変化であっても、その温度変化が与える電解電圧値の誤差を補正されることとなり、塩素を発生させない電解電圧の範囲を精度よく維持することができる。たとえば、海水の主要成分であるNaClについて25℃と60℃の電極電位を求めてみる。海水のNaCl濃度(1.03mg/L)と濃縮海水のNaCl濃度(1.34mg/L)について活量を求め、(1)式より電極電位を求めると、
E(25℃)
=E0−0.059 log 0.47mol・dm-3
=1.360 + 0.019
=1.379 V
E(25℃)
=E0−0.059 log 5.13mol・dm-3
=1.360 - 0.042
=1.318 V
E(60℃)
=E0−0.066 log 0.47mol・dm-3
=1.36 + 0.0216
=1.382 V
E(60℃)
=E0−0.066 log 5.13mol・dm-3
=1.360 - 0.0467
=1.313 V
となる。
【0037】
上記の活量aCは、図2(a)で示されるように、各海水濃度に応じて定義することができる。
この臭素回収部200は、電気分解により発生した臭素を、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液内でバブリングし、このバブリングにより生成する臭化ナトリウム(NaBr)として臭素を回収する。
【0038】
上記構成による本発明の臭素回収方法を図1(b)に示すフローチャートに従い、以下説明する。
まず、前記電解槽1は、前記海水生成部100で生成された海水溶液を、コンプレッサー101を経由して供給される(S1)。前記温度センサ31は、この電解槽1により貯蔵された前記海水溶液の温度を検出し、前記比重計32は、前記海水溶液の比重を検出する(S2)。
【0039】
前記制御部4は、前記電源部2が前記陽極電極11及び陰極電極12間に常温常圧で1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)の電解電圧を印加するように、この検出部3により検出された温度及び比重からネルンストの式により導かれる電圧に基づいて、この電解電圧をCPUで制御して設定する(S3)。
【0040】
前記電源部2は、このS3で設定された電解電圧を前記陽極電極11及び陰極電極12間に印加する(S4)。前記臭素回収部200は、S4の印加による電気分解により発生した臭素を、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液内でバブリングし、このバブリングにより生成する臭化ナトリウム(NaBr)として回収する(S5)。
【0041】
前記臭素回収部200は、目標量の臭素を回収できたかを確認する(S6)。目標量の臭素を回収できた場合には、処理を終了する。
目標量の臭素を回収できていない場合には、前記電解槽1は、電解槽の海水溶液量が閾値以上であるかを確認する(S7)。前記電解槽1の海水溶液量が閾値以上の場合には、上記S2からの処理を繰り返す。
電解槽の海水溶液量が閾値より少ない場合には、前記海水生成部100は、海水溶液を前記電解槽1に再度供給し(上記S1)、上記S2からの処理を繰り返す。
【0042】
(本発明の第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る臭素回収方法及び臭素回収装置を図2(b)〜(d)に基づいて説明する。図2(b)〜(d)は、本実施形態に係る臭素回収装置の電解槽の構成を示す構成図を示す。
【0043】
本実施形態に係る臭素回収装置では、図2(b)に示すように、前記電解槽1内に3つの電極を用いることができる。この3つの電極は、上記の実施形態における前記陽極電極11及び陰極電極12に加え、銀/塩化銀(Ag/AgCl)から成る参照電極13を備える構成である。また、この各々の電極は、前記電源部2と接続されている。同図に示された以外の構成要素としては、上記実施形態と同一の前記海水生成部100と、前記温度
センサ31と、前記比重計32と、前記検出部3とを備える構成である。
【0044】
このように、前記参照電極13を用いて3電極構成とすることにより、構造が単純で電位の再現性が高い前記参照電極13を用いた電圧調整により、安定的かつ高精度に電圧を調整することができる。なお、この3電極構成において、前記陽極電極11は、いわゆる作用電極(WE;Work Electrode)として機能し、前記陰極電極12は、いわゆる対極(CE;Counter Electrode)として機能する。
【0045】
上記では電解液である海水溶液を一旦電解槽1内に溜め込んで電解を行うバッチ式としたが、同じ3電極構成として、図2(c)に示すように、電解液である海水溶液を絶えず流動させるフロー式を用いることもできる。
【0046】
このフロー式の場合には、図2(c)に示すように、同図(b)に記載した臭素回収装置に加えて、前記海水生成部100から前記電解槽1に海水溶液を注入するために前記電解槽1に配設された注入孔14と、前記電解槽1から前記海水生成部100に海水溶液を排出するために前記電解槽1に配設された排出孔15と、前記電解槽1内部の海水溶液を連続的に攪拌する攪拌器300とを備える構成とすることができる。
【0047】
このように、前記注入孔14、排出孔15及び攪拌器300とを備えることにより、前記電解槽1内部の海水溶液を連続的に電解できることとなり、大量の海水溶液から効率よく臭素を回収することができる。また、前記電解槽1内部の海水溶液を連続的に電解できることから、大量の海水溶液に対する電解を容易に行うことができ、スケールアップの際にも有用となる。
【0048】
また、上記では、電解された海水溶液を前記排出孔15から前記海水生成部100に排出したが、電解により希釈された海水溶液を前記排出孔15から別の槽に排出してもよい。この場合には、希釈された海水溶液を別用途に利用することができ、資源循環の観点からも有益となる。
【0049】
また、同じフロー式の3電極構成として、図2(d)に示すように、隔膜としての高分子電解膜16を前記陽極電極11及び陰極電極12の間に設置することもできる。この高分子電解膜16としては、例えば、一般に使用されているフッ素樹脂系のイオン交換膜を使用することができる。前記注入孔14及び前記排出孔15は、高分子電解膜16で隔てられた前記陽極電極11側及び陰極電極12側の両側に独立して各々配設される。また、高分子電解膜16で隔てられた前記陽極電極11側及び陰極電極12側の両側には、各々、電解により発生ガスを外部に放出するための発生ガス放出口17を備える。前記陽極電極11側の発生ガス放出口17からは主に塩素ガスが放出され、前記陰極電極12側の発生ガス放出口17からは主に水素ガスが放出される。このように、高分子電解膜16を前記陽極電極11及び陰極電極12の間に設置することにより、生成ガスの分離が容易にできることとなり、生成ガス回収の簡素化を図ることができる。
【0050】
また、図2(e)に示すように、縦型の2電極セルを使用することも可能である。この場合には、前記陽極電極11及び陰極電極12の極性を転換させることにより、各電極に付着した物質を除去することができる。また、隔膜としての高分子電解膜16により、陽極電極11側では、発生した臭素及び塩素を循環的に回収することができ、陰極電極12側では、発生した水素及び水酸化ナトリウムを循環的に回収することができる。なお、この場合には、高分子電解膜16は、イオン交換膜を使用することが好ましい。
本発明の特徴を更に具体的に示すため以下に実施例を記すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【実施例】
【0051】
(実施例1)
電極の作成
電解に使用する陽極電極として、導電性ダイヤモンド電極を使用した。導電性ダイヤモンド電極は、ミラー指数が(110)で示されるダイヤモンド結晶構造のダイヤモンド結晶から作成した。図3は、本発明の実施形態に係るダイヤモンド電極の合成に関する実験結果を示す。
【0052】
ダイヤモンド結晶のミラー指数には、主に(100)、(110)及び(111)がある。図3(a)に、ダイヤモンド結晶のミラー指数が(100)、(110)及び(111)の異なる条件で合成を実施した。合成にはマイクロ波プラズマCVD装置(新日本無線(株))を使用した。合成の実験条件として、マイクロ波出力は600〜750W、合成温度は650〜900℃、合成圧力は8×103(Pa)、ホウ素―炭素源ガス流量は2〜25ccm、希釈用水素ガス流量は200ccm、ホウ素濃度は16wt%、ホウ素溶液温度は15〜30℃、合成時間は35時間とした。下地基板のモリブデンは直径25mmφの円盤、モリブデン円盤表面にはダイヤモンドの核発生を促すためにダイヤモンド粉末(200μm)入りのエタノール溶液で超音波装置による疵付け処理を30分間施した。合成したダイヤモンド薄膜の抵抗率(Ω・cm)を計測した結果を示す。同図(a)は、縦軸に抵抗率(Ω・cm)を示し、横軸にホウ素−炭素源ガス流量(ccm)を示す。
【0053】
同図(a)に示すように、ミラー指数が(110)のダイヤモンド結晶はホウ素―炭素源ガス流量が7.5〜17.5ccmの範囲で作成ができる。その範囲での抵抗率は0.01(Ω・cm)と安定したことから、他のダイヤモンド結晶のなかでも特に導電性に優れた材料であることがわかった。
【0054】
このミラー指数(110)のダイヤモンド結晶を使用して、モリブデン(Mo)を下地基板とし、ホウ素(ボロン)を添加(ドープ)したボロンドープダイヤモンド薄膜から導電性ダイヤモンド電極を作成した。このボロンドープダイヤモンド薄膜は、マイクロ波プラズマCVD法を用いることにより、1019〜1021(個/cm3)の量のホウ素を流量10ccmで導電性ダイヤモンド薄膜に添加し、導電性ダイヤモンド電極に10-2(Ω・cm)程度の導電性を与えた。
【0055】
マイクロ波プラズマCVD法において、炭素源は、メタノール及びアセトンを用いた。メタノール、アセトン、ホウ素とを希釈用水素ガスと共にマイクロ波プラズマCVD装置に供給した。ホウ素濃度は、メタノール、アセトン、ホウ素及び水素ガスの総体積に対して、2〜16.0体積(%)とした。希釈用水素ガス流量は100〜200(ccm)とし、不純物源の水素ガス流量は2〜25(ccm)とした。不純物源として酸化ホウ素を使用し、不純物源を温度15〜30(℃)に維持した。
【0056】
マイクロ波プラズマCVD装置内は、直径24.5(mm)及び長さ1.0(mm)の下地基板を資料ホルダーに載置し、8×103(Pa)の圧力下で基板温度800〜900(℃)に維持し、600〜750(W)のマイクロ波電力を用いて35時間合成を行った。
【0057】
図3(b)に、モリブデン(Mo)を下地基板とし、ホウ素流量が10ccm、5ccm及び3.5ccmと異なる条件でダイヤモンド結晶のミラー指数が(100)、(110)からなる薄膜を作成できる。ダイヤモンド結晶のミラー指数が(100)の合成条件として、ホウ素―炭素源ガス流量は2から5ccm、合成温度は800〜900℃、希釈用水素ガス流量は200ccm、反応圧力は8×103(Pa)の実験条件で作成できる
。また、ダイヤモンド結晶のミラー指数が(110)の合成条件として、ホウ素―炭素源ガス流量は5ccm〜17.5ccm、合成温度は800〜900℃、希釈用水素ガス流量は200ccm、反応圧力は8×103(Pa)の実験条件で作成できる。各々35時間にわたり添加されたダイヤモンド薄膜の電位窓を計測した結果を示す。同図(b)は、縦軸に電流密度(mA/cm2)を示し、横軸に銀/塩化銀電極を基準電極とする電位(V)を示す。この導電性ダイヤモンド薄膜は、同図(b)に示すように、各電位窓は、ホウ素流量が10ccmの場合は3.2V、5ccmの場合は2.7V、3.5ccmの場合は2.1Vという結果が得られた。なお、対照例として、金(Au)の場合の電位窓は、1.8Vであった。この結果から、ホウ素の流量が10ccmの場合には、導電性に優れたダイヤモンド薄膜を生成できることがわかった。
また、作成した導電性ダイヤモンド電極の大きさ及び膜厚は、25mmφ及び20μmとした。
【0058】
臭素の電解回収
比重(海水密度)が1.26mg/Lの海水溶液(にがり)に対して、電解電圧を1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)の範囲内に維持して120時間電解を行った。この電解により発生した臭素を、1M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液175mlを用いてバブリングし、このバブリングにより臭化ナトリウム(NaBr)を生成させて回収した。
【0059】
図4は、本発明の実施形態に係る比重(海水濃度)が1.26mg/Lの場合の実験結果を示す。図4(a)は、この電解に関して、蛍光X線分析装置(島津製作所製RAYNY)を用いた結果を示している。同図(a)は、蛍光X線分析結果を示しており、縦軸にX線強度を示し、横軸に蛍光X線エネルギー(keV)を示している。
【0060】
電解前と電解後では、臭素のKa線に対応するピーク強度の低下が見られた。また、回収用の水酸化ナトリウム水溶液では、臭素のKa線に対応するピークが確認され、塩素のKa線に対応するピークは確認されなかった。このことから、塩素を含まずに臭素を選択的に回収できたことがわかった。
【0061】
また、図4(b)〜(d)は、同図(a)の実験において、サイクリックボルタンメトリー測定で電流−電圧の関係を得た結果を示す。サイクリックボルタンメトリー測定(CV測定)には北斗電工(株)オートマチック ポラリゼーションシステム HSV−110
装置を用いた。CV測定条件として、最大出力電流は100mA、走査速度は200mV/sec、走査電圧幅は−1.1〜2.3V、スキャン回数は1サイクルとした。同図(b)〜(d)は、縦軸に差微分曲線と電流密度(mA/cm2)を示し、横軸に電位(銀/塩化銀電極基準)を示す。
【0062】
また、比重(海水濃度)が1.26mg/Lの場合のサイクリックボルタンメトリー測定結果である図5(a)に示すように、海水溶液の電解により、塩素を含まずに臭素を発生する領域Aと、塩素及び臭素を発生する領域Bと、塩素を含まずに臭素を発生する領域Cが示された。この結果から、比重(海水密度)が1.26mg/Lの海水溶液に対して、1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)の範囲であれば、塩素を含まずに臭素を選択的に回収できることがわかった。
【0063】
(実施例2)比重(海水密度)の変更
比重(海水密度)を変更した各海水溶液に対して、電解処理を行った。図5(b)は、本発明の実施形態に係る比重(海水濃度)を1.03mg/L〜1.28mg/Lに変更した場合のサイクリックボルタンメトリー測定により得た電流−電圧の実験結果を示す。CV測定条件として、最大出力電流は100mA、走査速度は200mV/sec、走査電圧幅は
−1.1〜2.3V、スキャン回数は1サイクルとした。同図(b)は、縦軸が差微分曲線と電流密度(mA/cm2)を示し、横軸が電位(銀/塩化銀電極基準)を示す。
【0064】
各比重(海水密度)が1.03mg/L〜1.105mg/Lの範囲の海水溶液は、いわゆる海水〜灌水と呼ばれる濃度であり、前述の図5(a)に示したような、塩素を含まずに臭素を発生する領域(領域A)が出現しなかった。
【0065】
また、各比重(海水密度)が1.21mg/L〜1.28mg/Lの範囲の海水溶液は、いわゆる灌水〜苦汁と呼ばれる濃度であり、前述の図5(a)に示したような、塩素を含まずに臭素を発生する領域(領域A)が出現した。
【0066】
このような塩素を含まずに臭素を発生する領域(領域A)が出現した1.21mg/L、1.28mg/および1.34mg/の各比重(海水密度)の海水溶液の詳細な電解結果を、前述の図5(a)と同じ実験条件でのサイクリックボルタンメトリー測定を用いて電流−電圧の関係を得た結果を図6に示す(比重(海水密度)が1.26mg/Lの場合の結果は前述の図5(a)で示されている)。図6は、縦軸に差微分曲線と電流密度(mA/cm2)を示し、横軸に電位(銀/塩化銀電極基準)を示す。
【0067】
図6の結果から、比重(海水密度)が1.21mg/L〜1.34mg/Lの範囲の海水溶液に対して、図5(a)と同様に1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)の電解電圧を印加することにより、前記実施例1と同手順で、塩素を含まずに臭素を選択的に回収することができることがわかった。
【0068】
図6(a)から、比重(海水密度)が1.34mg/Lの海水溶液は、図5(a)に示したような、塩素を含まずに臭素を発生する領域(領域A)が、1.38V〜1.65V(銀/塩化銀電極基準)の電解電圧で出現した。この場合には、塩素を含まずに臭素を発生する領域(領域A)の電解電圧の電圧上昇が見られた。
【0069】
また、比重(海水密度)が1.34mg/Lより大きいと、海水溶液に溶存するNaイオンやClイオンはNaCl結晶として析出するがその析出量の減少が比重(海水密度)の上昇で起こる。一方、溶解度の大きなMgSO4やMgCl2は、その溶存溶液の濃縮と蒸発を繰り返すことで先にMgSO4結晶が析出する。続いて、溶存溶液の濃縮と蒸発を繰り返すことでMgCl2の析出が起こる。それにより、MgCl2が多く含まれた溶存溶液となり、臭素の選択的回収の効率が低下してしまう。
【0070】
本実施例の結果を一覧表に示したものを図7に示す。同図に記載の数値は、電位(銀/塩化銀電極基準)を示している。図中の文献値は、上述した非特許文献1に基づくものである。当該文献では、基準電極をNHE(標準水素電極)とした数値(表の括弧内に示した)が記載されていたために、基準電極を銀/塩化銀電極に換算して示している。
【0071】
本実施例の結果から、好ましくは比重(海水密度)が1.21〜1.34mg/Lの海水溶液を用いることで、塩素を含まずに臭素を生成できる明確な電圧範囲(領域Aが存在する範囲)が現れ、この海水溶液に対して1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)という従来よりも低い電解電圧で電解を行うことで、海水濃縮のコストを抑え、塩素を抑えて臭素を選択的に回収することができることがわかった。
【0072】
なお、上記の実施例では、3電極方式による電解を行ったが、同様に2電極方式による電解を行うことも可能である。また、上記の実施例では、陽極の電解用電極のみに導電性ダイヤモンド電極を用いたが、陰極の電解用電極も導電性ダイヤモンド電極を用いることができる。
【0073】
両電極に導電性ダイヤモンドを利用することによって、本実施形態での電極の極性転換が可能となり、両極表面に付着した有機物質や金属等の分解や溶解が促されて電流効率の低下を防ぐこともできる。
【符号の説明】
【0074】
1 電解槽
11 陽極電極
12 陰極電極
13 参照電極
14 注入孔
15 排出孔
16 高分子電解膜
17 発生ガス放出口
2 電源部
3 検出部
31 温度センサ
32 比重計
4 制御部
100 海水生成部
101 コンプレッサー
200 臭素回収部
300 攪拌器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極及び陰極の電解用電極のうち少なくとも陽極の電解用電極に導電性ダイヤモンド電極を用いて、海水から成る水溶液に含有された臭素を電解回収する臭素回収方法であって、
前記電解用電極間に常温常圧で1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)の電解電圧を印加することを
特徴とする臭素回収方法。
【請求項2】
請求項1に記載の臭素回収方法において、
前記導電性ダイヤモンド電極が、ミラー指数が(110)で示されるダイヤモンド結晶構造から成ることを特徴とする臭素回収方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の臭素回収方法において、
前記水溶液の比重が、1.21mg/L〜1.34mg/Lであることを
特徴とする臭素回収方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の臭素回収方法において、
ネルンストの式に基づいて、前記水溶液の温度及び/又は比重に応じて前記電解電圧を制御することを
特徴とする臭素回収方法。
【請求項5】
陽極及び陰極の電解用電極のうち少なくとも陽極の電解用電極に導電性ダイヤモンド電極を用いて、海水から成る水溶液に含有された臭素を電解回収する臭素回収装置であって、
前記水溶液を貯蔵するとともに、当該貯蔵された水溶液の少なくとも一部に前記電解用電極の各々が浸漬するように配設された貯蔵手段と、
前記電解用電極間に常温常圧で1.38V〜1.55V(銀/塩化銀電極基準)の電解電圧を印加する印加手段とを備えることを
特徴とする臭素回収装置。
【請求項6】
請求項5に記載の臭素回収装置において、
前記水溶液貯蔵手段により貯蔵された水溶液の温度及び/又は比重から成る水溶液特性を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記水溶液特性からネルンストの式により導かれる電圧に基づいて、前記電解電圧を制御する制御手段とを備えることを
特徴とする臭素回収装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の臭素回収装置において、
前記導電性ダイヤモンド電極が、ミラー指数が(110)で示されるダイヤモンド結晶構造から成ることを
特徴とする臭素回収装置。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の臭素回収装置において、
前記貯蔵手段に貯蔵された水溶液の比重が、1.21mg/L〜1.34mg/Lであることを特徴とする臭素回収装置。

【図1】
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【図3】
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【図7】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−97334(P2012−97334A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247477(P2010−247477)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(504209655)国立大学法人佐賀大学 (176)
【Fターム(参考)】