説明

舗装方法、これに用いる舗装用ブロック、および舗装撤去方法

【課題】敷設作業時における舗装用ブロックの重量を敷設後よりも軽量にし、舗装用ブロックの敷設作業および撤去作業を容易にすること。
【解決手段】舗装作業時には、複数個のブロック基体103を被舗装面に隙間なく配置し(配置工程)、その状態でブロック基体103の上面開口UHから空洞部Hに水や土砂などの増重量材201を充填し(充填工程)、上キャップ102で上面開口UHを封止してブロック基体103の上面を平坦面に整えるようにした(路面調製工程)。舗装撤去作業時には、ブロック基体103から上キャップ102を外し(抜蓋工程)、ブロック基体103を持ち上げた状態で下キャップ106を加圧して外して下面開口LHから増重量材201を抜き取り(抜底工程)、ブロック基体103を被舗装面から持ち去るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被舗装面に複数個の舗装用ブロックを敷き詰めて舗装する舗装方法、これに用いる舗装用ブロック、および被舗装面に敷き詰めた舗装用ブロックを撤去する舗装撤去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩道や遊歩道、公園内の広場や各種施設の敷地内などでは、舗装用ブロックを敷き詰めて被舗装面を覆うことがある。舗装用ブロックは、歩行者の歩行をし易くしたり、景観を美しく装ったり、雑草の繁茂を抑制したりする目的で敷設される。
【0003】
特許文献1は、雑草の繁茂の抑制に対して効果的な舗装用ブロックを開示する。舗装用ブロックの最も一般的な形状は矩形形状であり、この形状は、複数個の舗装用ブロックを隙間なく並べるのにうってつけである。ところが、いくら舗装用ブロックを隙間なく並べるように上手く施工しても、実際には僅かな隙間が生じてしまうことは仕方がないことであるし、時間の経過と共に舗装用ブロックが少しずつ動いて隙間を作ってしまうこともある。雑草の繁茂力はたいしたもので、僅かな隙間を見つけて芽を出し伸ばす。このような現象は、多くの人々が経験的によく知るところであろう。特許文献1に記載された舗装用ブロックは、隣接するもの同士で互い違いとなるような段部を側面に形成することで、隣接する舗装用ブロックの間に隙間の発生を許さず、雑草の繁茂を確実に防止するように工夫されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−138337公報
【特許文献2】特開2010−150789公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この出願の出願人のような電力事業者は、送電線を支える鉄塔の足場や変電設備の敷地内などを舗装用ブロックで舗装することがある。舗装用ブロックは、容易にずれてしまってはいけないので、ある程度の重さを備えている。控えめに言って、屈強な肉体を持つ成人男性であっても、片手で手軽に運べるような代物ではない。その上、雑草の繁茂を確実に抑制するために特許文献1に記載されているような舗装用ブロックを用意するとなると、その重さは更に増すものと思われる。段部の強度を維持するために、全体の厚みを厚くせざるを得ないだろうからである。舗装用ブロックの敷設作業は、重労働なのである。
【0006】
舗装用ブロックが重いということは、その敷設作業を大変にするばかりではない。先に述べた送電線を支える鉄塔の足場や変電設備の敷地は、地主などから一時的に借り受けている場合がある。事情の変化で土地を返さなければならないことも珍しくない。この場合、せっかく敷設した舗装を撤去しなければならないわけであるが、前述したとおり、舗装用ブロックは重量物なので、その作業もまた重労働となる。
【0007】
この出願の発明者は、舗装用ブロックの敷設作業を良好にする技術について調査したところ、特許文献2を見出した。この文献は、水を貯めることができる貯水箱の上からキャップ形状の通気穴付きブロックを被せて一体成形し(段落[0021]参照)、通気穴付きブロックの上面に開口する通気穴を貯水箱に連絡させた舗装用ブロックを開示している。同公報の段落[0030]には、通気穴付きブロックの上にかかった雨水が貯水箱に貯えられると記載されている。被舗装面に敷設する際の貯水箱は空なので、少なくとも、貯水箱に水を貯えた場合よりも軽量な状態で敷設作業を行なうことができる。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載されている舗装用ブロックは、貯水箱に貯えた水を蒸発させて通気穴付きブロックの表面を冷却させることを狙いとしている。都市部のヒートアイランド現象の緩和を目的として貯水箱に水を貯えるわけである。軽量化のためではない。このため、貯水箱が空でも相当な重さを有していなければならないはずである。雨が降らなければ貯水箱に水を満たすことができず、その状態でも容易に動いてはならないからである。したがって、特許文献2に記載の舗装用ブロックは、その敷設作業を良好にするものではない。
【0009】
加えて、水入りでなくても相応の重さを有していなければならない特許文献2に記載の舗装用ブロックは、貯水箱に水が貯えられればより一層重量を増す。撤去作業は困難を極めることであろう。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、敷設作業時における舗装用ブロックの重量を敷設後よりも軽量にし、舗装用ブロックの敷設作業および撤去作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の舗装方法は、隙間なく隣接配置可能な側面形状を有する複数個の舗装用のブロック基体を被舗装面に隙間なく配置する配置工程と、前記配置工程後、前記ブロック基体の上面に開口する上面開口から前記ブロック基体内に形成された空洞部に増重量材を充填する充填工程と、前記充填工程後、前記ブロック基体の水平投影面からはみ出さない大きさに形成された上キャップで前記上面開口を封止し、前記ブロック基体の上面を平坦面に整える路面調製工程と、を備えることによって上記課題を解決する。
【0012】
本発明の舗装用ブロックは、隙間なく隣接配置可能な側面形状を有する舗装用のブロック基体と、前記ブロック基体内に形成されて増重量材を収納保持する空洞部と、前記ブロック基体の上面に開口して前記空洞部に連絡する上面開口と、前記ブロック基体の水平投影面からはみ出さない大きさに形成されて前記上面開口を封止する上キャップと、前記上面開口を前記上キャップが封止する状態の前記ブロック基体の上面を平坦面に整える路面調製構造と、を備えることによって上記課題を解決する。
【0013】
本発明の舗装撤去方法は、前記ブロック基体の下面に開口して前記空洞部に連絡する下面開口と、前記ブロック基体の水平投影面からはみ出さない大きさに形成されて前記ブロック基体の外側から前記下面開口を圧入によって封止する下キャップと、を更に備えて敷き詰められた上記舗装用ブロックの前記ブロック基体から、前記上キャップを外す抜蓋工程と、前記抜蓋工程後、前記ブロック基体を持ち上げた状態で加圧することで前記ブロック基体から前記下キャップを外し、前記空洞部内に充填されていた前記増重量材を前記下面開口から抜き取る抜底工程と、前記抜底工程後、前記ブロック基体を前記被舗装面から持ち去る工程と、を備えることによって上記課題を解決する。
【0014】
本発明の別の舗装撤去方法は、前記上面開口から導入されて前記空洞内に収納され、前記増重量材を収納保持する収納籠を更に備えて敷き詰められた上記舗装用ブロックの前記ブロック基体から、前記上キャップを外す抜蓋工程と、前記抜蓋工程後、前記増重量材を収納保持したままの前記収納籠を前記空洞部から取り出し、前記空洞部内に充填されていた前記増重量材を前記上面開口から抜き取る抜籠工程と、前記抜籠工程後、前記ブロック基体を前記被舗装面から持ち去る工程と、を備えることによって上記課題を解決する。
【0015】
本発明の別の舗装撤去方法は、前記ブロック基体の下面に開口して前記空洞部に連絡する排液口と、前記空洞部側から前記排液口を封止する栓体と、を更に備えて敷き詰められた上記舗装用ブロックの前記ブロック基体から、前記上キャップを外す抜蓋工程と、前記抜蓋工程後、前記栓体を引っ張って前記排液口から外し、前記空洞部内に充填されていた流動体である前記増重量材を前記排液口から抜き取る脱栓工程と、前記脱栓工程後、前記ブロック基体を前記被舗装面から持ち去る工程と、を備えることによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、増重量材が充填された敷設後の舗装ブロックよりも敷設作業時あるいは撤去作業時における舗装用ブロック(ブロック基体)の重量を軽量にすることができるので、舗装用ブロックの敷設作業および撤去作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の一形態として、舗装用ブロックを被舗装面に敷設した状態を示す縦断正面図。
【図2】実施の一形態として、舗装用ブロックを示す斜視図。
【図3】その分解状態の縦断正面図。
【図4】上面開口に対する上キャップの封止構造の一例として、(a)は圧入構造を、(b)はねじ構造をそれぞれ示す縦断正面図。
【図5】実施の一形態として、(a)は敷設時の舗装用ブロックを、(b)は撤去時の舗装用ブロックをそれぞれ示す縦断正面図。
【図6】実施の一形態として、(a)は敷設作業時の舗装用ブロックを、(b)は敷設後の舗装用ブロックをそれぞれ示す平面図、
【図7】実施の一形態として、舗装用ブロックを被舗装面に敷設した状態を示す平面図。
【図8】別の実施の一形態として、(a)は収納籠の斜視図、(b)は増重量材を収納保持する収納籠を空洞部に収容した敷設時の舗装用ブロックを示す縦断正面図。
【図9】さらに別の実施の一形態として、(a)は敷設時の舗装用ブロックを、(b)は撤去時の舗装用ブロックをそれぞれ示す縦断正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の一形態を図1ないし図7に基づいて説明する。本実施の形態は、歩行者が歩行することができる舗装面への適用例である。
【0019】
舗装用ブロック101を用いて舗装するには、まず、被舗装面を作り出す作業を行なう。被舗装面は、土砂11を掘り起こし、その上に栗石12を敷き詰めて作る。被舗装面を作ったならば、栗石12に複数個の舗装用ブロック101を隙間なく敷き詰めることで、被舗装面を舗装することができる。
【0020】
本実施の形態において特徴的なことは、舗装用ブロック101の内部に空洞部Hが設けられ、この空洞部Hに増重量材201が充填されていることである。増重量材201は、舗装用ブロック101の上面に設けられている上キャップ102を外して充填することができる。図1に示す例では、増重量材201として水が用いられている。水に限らず、例えば土砂を増重量材201として用いることもできる。この場合、被舗装面を作り出す際に掘り出した土砂を利用すれば、土砂をどこかから持って来る必要がなくなり、掘り起こした土砂の処分も不要となる。一挙両得である。
【0021】
増重量材201は、栗石12の上に複数個の舗装用ブロック101を敷き詰めた後に充填される。これにより、舗装用ブロック101の敷設作業時には、舗装用ブロック101の重量を軽くして運搬し易く取り扱いやすい状態とすることができ、敷設後は土砂11および栗石12に重量をかけて容易に動きにくくすることができる。以下、このような舗装用ブロック101を用いた敷設作業、さらにはその撤去作業について、詳細に説明する。
【0022】
図2に示すように、舗装用ブロック101は、ブロック基体103を基本的な構造体としている。ブロック基体103は、平べったい上部基体104aと下部基体104bとを重ねて形成されている。これらの上部基体104aと下部基体104bとは、対角線方向に僅かにずられており、ずれた部分を段部105としている。したがって、一つの舗装用ブロック101の上部基体104aの段部105を別の舗装用ブロック101の下部基体104bの段部105に重ね合わせるようにして複数個の舗装用ブロック101を隣接配置していくと、全ての舗装用ブロック101を隙間なく重ね合わせることができる。
【0023】
図3に示すように、ブロック基体103は、上面に上面開口UHを有し、下面に下面開口LHを有している。これらの上面開口UHおよび下面開口LHは、共に、空洞部Hに連絡している。上面開口UHは上キャップ102によって開閉され、下面開口LHは下キャップ106によって開閉され、これによって、空洞部Hが密閉される。上面開口UHの縁部には上面段部107が形成され、上キャップ102の縁部には上面段部107に位置適合する上蓋段部108が形成されている。下面開口LHの縁部には下面段部109が形成され、下キャップ106の縁部には下面段部109に位置適合する下蓋段部110が形成されている。
【0024】
上キャップ102は、その上蓋段部108が上面段部107に嵌り込んだ状態でブロック基体103に固定的に取り付けられ、上面開口UHを封止する。下キャップ106は、その下蓋段部110が下面段部109に嵌り込んだ状態でブロック基体103に固定的に取り付けられ、下面開口LHを封止する。上キャップ102および下キャップ106をブロック基体103に対して固定的にするのは、封止構造FXである。封止構造FXの詳細を図4(a)および図4(b)に示す。
【0025】
図4(a)は、封止構造FXの一例として、圧入構造を示す。ブロック基体103の上面開口UHの縁部には、ゴムなどの弾性部材によって形成された弾性保持部材111が固定されている。弾性保持部材111は、上方から下方に向かうに従い内径を絞る形状に形成されている。弾性保持部材111の内径は、上キャップ102の上蓋段部108の小径部分と比較して、上部において大径で下部において小径となるように設定されている。これにより、上キャップ102を上面開口UHに取り付ける際、上キャップ102の上蓋段部108が弾性保持部材111を押し潰し、上キャップ102が上面開口UHに圧入されることになる。その結果、上キャップ102は、弾性保持部材111の復元力によって固定状態となる。
【0026】
図4(a)には、上面開口UHに対する上キャップ102の圧入による封止構造を示すが、下面開口LHに対する下キャップ106の封止構造も、同様の圧入構造を採用している。
【0027】
図4(b)は、封止構造FXの別の一例として、ねじ構造を示す。ブロック基体103の上面開口UHの縁部の小径部分には、雌ねじ112aが切られている。上キャップ102の上蓋段部108の小径部分には、雌ねじ112aにねじ込まれる雄ねじ112bが切られている。そこで、雌ねじ112aに雄ねじ112bをねじ込んでいくことで、上キャップ102が上面開口UHに固定的に取り付けられる。
【0028】
ブロック基体103の上面は、上面段部107に上蓋段部108が嵌り込んで上キャップ102が上面開口UHを封止する状態で、平坦面を形成する(図2、図5(a)参照)。このようなブロック基体103と上キャップ102との関係性は、ブロック基体103の上面を平坦面に整える路面調製構造をなす。ブロック基体103の下面も、下面段部109に下蓋段部110が嵌り込んで下キャップ106が下面開口LHを封止する状態で、平坦面を形成する(図5(a)参照)。
【0029】
ここで、各部の材質について説明する。
【0030】
上キャップ102は、舗装用ブロック101を敷き詰めた舗装面において、歩面の役割を担う。このため、歩行者が歩いたり走ったりした場合にその体重を支えることができる程度の強度が要求される。その反面、詳細は後述するが、舗装用ブロック101を撤去するに際して、上キャップ102をハンマーなどで叩いて割る。したがって、別の一面として、ハンマーで割ることができる程度の強度に抑えておく必要がある。このような事情から、上キャップ102の材質としては、例えばコンクリートが用いられる。
【0031】
もっとも、舗装用ブロック101の撤去に際して上キャップ102をハンマーで割るのは、上キャップ102を外すためである。そこで、上面開口UHに対する連結固定部分のみをコンクリートで形成し、他の部分を例えば強化プラスチックなどの樹脂や鉄板などで形成するようにしてもよい。
【0032】
ブロック基体103は、舗装用ブロック101を敷き詰めた舗装面において、歩面の役割の他、歩面を支える役割を担う。このため、歩行者が歩いたり走ったりした場合にその体重を支えることができる程度の強度が要求される。その反面、軽量であるということも、ブロック基体103に課せられた重要な使命である。これを両立するブロック基体103の材質としては、例えば強化プラスチックなどの樹脂が用いられる。ブロック基体103は、箱形という比較的強固な枠体構造を有しているので、強化プラスチックなどの樹脂を採用したとしても、十分に歩行者の体重を支えることができる。別の一例として、ブロック基体103は、コンクリートを材質としてもよい。
【0033】
もっとも、ブロック基体103は再利用可能であることが望ましい。前述したように、舗装用ブロック101を撤去するに際しては、上キャップ102をハンマーなどで叩いて割るわけであるが、この際、上面段部107が破壊されてしまってはブロック基体103を再利用できなくなる。そこで、ブロック基体103には、上キャップ102をハンマーなどで叩いて割った場合にも、特に上面段部107の部分が破壊されないような工夫を凝らしておく。例えば、ブロック基体103の材質を樹脂とする場合、上面段部107の部分を金属で補強する。あるいは、ブロック基体103の材質を上キャップ102と同様にコンクリートとする場合、ブロック基体103の方を上キャップ102よりも高強度のコンクリートとする。
【0034】
下キャップ106は、栗石12に直接接触し、栗石12から反力を受ける。このため、舗装用ブロック101の上を歩行者が歩いたり走ったりした場合に、栗石12からの反力によって破損しない程度の強度が要求される。この要求に応え得る材質として、下キャップ106には、例えば強化プラスチックなどの樹脂やコンクリートなどが用いられる。
【0035】
このような構成において、舗装用ブロック101は、ブロック基体103単体では軽量であり、増重量材201を充填すると重量を増す。そこで、舗装用ブロック101の敷設時には、軽量であるというブロック基体103の特質を生かして、その作業性を向上させることができる。敷設後には、図5(a)に示すように、上キャップ102および下キャップ106を閉じて密閉した空洞部H内に増重量材201を充填し、容易に動かないようにすることができる。撤去時には、図5(b)に示すように、上キャップ102と下キャップ106とを外して増重量材201を抜き、軽量であるというブロック基体103の特質を再び生かして、その作業性を向上させることができる。以下、舗装用ブロック101を敷設する舗装作業について説明し、その後、舗装用ブロック101を撤去する舗装撤去作業について説明する。
【0036】
まず、舗装作業について説明する。
【0037】
(配置工程)
図6(a)に示すように、下キャップ106のみを装着した一つのブロック基体103を、被舗装面をなす栗石12の上に配置する。その後、互いの段部105を重ね合わせるようにして、別のブロック基体103を次々と隙間なく隣接配置していく。これが、複数個の舗装用のブロック基体103を被舗装面に隙間なく配置する配置工程である。
【0038】
(充填工程)
配置工程後、隙間なく配置したブロック基体103の上面開口UHから、空洞部H内に増重量材201を充填する。この際、増重量材201としては、水などの液体や土砂などを用いることができる。図5(a)、(b)は、増重量材201として土砂を用いた一例を示している。これが、配置工程後、ブロック基体103の上面に開口する上面開口からブロック基体103内に形成された空洞部Hに増重量材201を充填する充填工程である。
【0039】
(路面調製工程)
充填工程後、図6(b)に示すように、ブロック基体103の上面開口UHを上キャップ102で閉じる。上キャップ102の封止構造FXとして、図4(a)に示すような圧入構造を用いる場合には、上面開口UHの上面段部107に上キャップ102の上蓋段部108を位置合わせして嵌め込み、上キャップ102の上から圧力を加える。圧力を加えるには、例えば、作業員が上キャップ102の上に体重をかければよい。こうすることで、上面開口UHを上キャップ102で確実に封止することができる。上キャップ102の封止構造FXとして、図4(b)に示すようなねじ構造を用いる場合には、上面開口UHの雌ねじ112aに上キャップ102の雄ねじ112bをねじ込む。これにより、上面開口UHを上キャップ102で確実に封止することができる。その結果、ブロック基体103の上面が平坦面に整えられる。これが、充填工程後、ブロック基体103の水平投影面からはみ出さない大きさに形成された上キャップ102で上面開口UHを封止し、ブロック基体103の上面を平坦面に整える路面調製工程である。
【0040】
以上で、舗装用ブロック101の敷設作業が完了する。この作業に際しては、増重量材201を充填する前のブロック基体103の状態で運搬や配置等の作業を行なうことになるため、その作業性が良好である。それでいながら、被舗装面に敷設されて舗装状態をなしている舗装用ブロック101は、空洞部Hに増重量材201が充填されているので重量が増し、その上を歩行者が歩行したり走ったりしてもずれにくく、舗装路としての強度を維持する。
【0041】
なお、実施に際しては、全ての舗装用ブロック101について、配置工程、充填工程、路面調製工程という順番を遵守する必要はない。これらの工程は、舗装用ブロック101の一つずつについてその都度行なっても、複数単位についてその都度で行なってもよい。作業者がやり易いように、あるいは、舗装面が綺麗に仕上がるように、自由に施工すればよい。
【0042】
次に、舗装撤去作業について説明する。
【0043】
(抜蓋工程)
図5(a)に示す状態のブロック基体103から上キャップ102を外す。この場合の作業は、ハンマーで上キャップ102を叩いて壊す作業である。上キャップ102はコンクリート製なので、ハンマーで叩けば割れる。割れた破片は、容易に回収することができる。あるいは、周縁部のみコンクリート製の上キャップ102を用いた場合には、上キャップ102をハンマーで叩くと、上キャップ102の周縁部が破壊され、上キャップ102を外すことができる。これが、敷き詰められた舗装用ブロック101のブロック基体103から、上キャップ102を外す抜蓋工程である。
【0044】
(抜底工程)
図5(b)に示すように、抜蓋工程後、ブロック基体103を持ち上げた状態で下キャップ106を加圧する。下キャップ106の加圧は、空洞部Hに充填されている増重量材201の自重によって行なわれるし、それだけでは下キャップ106を外すのに不十分であれば、作業者が下キャップ106を上から押すことによって行なわれる。作業者が下キャップ106を上から押す場合、増重量材201が水である場合には、下キャップ106を直接加圧して行なうことになり、増重量材201が土砂である場合には、土砂の上から間接的に下キャップ106を加圧することになる。いずれにしても、ブロック基体103を持ち上げた状態で下キャップ106を加圧すれば、ブロック基体103から下キャップ106が外れる。下キャップ106が外れれば、下面開口LHから増重量材201が流れ出す。これが、抜蓋工程後、ブロック基体103から下キャップ106を外し、空洞部H内に充填されていた増重量材201を下面開口LHから抜き取る抜底工程である。
【0045】
(復元工程)
抜底工程後、ブロック基体103を被舗装面から持ち去る。破壊した上キャップ102の残骸と、残された下キャップ106も同様に持ち去る。全ての舗装用ブロック101を被舗装面から持ち去れば、被舗装面が現状に復する。これが、復元工程である。
【0046】
以上で、舗装用ブロック101の撤去作業が完了する。この作業に際しては、舗装用ブロック101から増重量材201を抜き、比較的軽量なブロック基体103の状態で運搬等の作業を行なうことになるため、その作業性が良好である。
【0047】
なお、実施に際しては、全ての舗装用ブロック101について、抜蓋工程、抜底工程、復元工程という順番を遵守する必要はない。これらの工程は、舗装用ブロック101の一つずつについてその都度行なっても、複数単位についてその都度で行なってもよい。作業者がやり易いように、自由に行なえばよい。
【0048】
図7は、舗装用ブロック101を被舗装面に敷設した状態を示す平面図である。道路RDの脇の敷地に設置されている送電線鉄塔の脚部を固定構造物FSとし、その周囲を舗装した一例を示している。図7に示す一例では、固定構造物FSが邪魔となり、舗装用ブロック101を綺麗に並べられない。道路RDと敷地との間の境界線も傾斜しているので、やはり舗装用ブロック101を綺麗に並べられない。そこで、図7に示す一例では、固定構造物FSや道路RDとの境界線に沿わせてブロック基体103を切断し、固定構造物FSや道路RDを上手く回避している。この場合、ブロック基体103の切断部分が上面開口UHにまで至らないようであれば、空洞部Hに土砂等の固形の増重量材201を充填して上キャップ102を閉じている。ブロック基体103の切断部分が上面開口UHにまでいたる場合には、上キャップ102を閉じることができないので、空洞部Hにコンクリートを流し込み固めている。その他、舗装用ブロック101を配置するまでもない狭い空間には、コンクリートを直接流し込んで固めている。もしも舗装用ブロック101を撤去しなければならない事情が生じた場合、空洞部Hにコンクリートを流し込んだブロック基体103は重くなるので撤去作業を難儀にする。隙間にコンクリートを流し込んだ部分も、同様に撤去作業を難儀にする。しかしながら、その面積は然程大きくないので、全体としてみれば、撤去作業の作業性が良好である。
【0049】
本実施の形態において、個々のブロック基体103は、段部105を重ね合わせて隙間なく配置できるようになっている。この意味で、ブロック基体103は、隙間なく隣接配置可能な側面形状を有している。これに対して、隙間なく隣接配置可能な側面形状を実現する上では、必ずしも段部105を必要としない。隣接するブロック基体103の側面が互いに平坦面同士で接触するような形状であっても、隙間なく隣接配置可能な側面形状をなす。つまり、ここでいう「隙間なく」というのは、mm単位で隙間がないというような隙間自体の精度を問題とする概念ではなく、複数個のブロック基体103をきちんと並べることができる程度の意味である。
【0050】
また、本実施の形態において、上キャップ102は、丸形状に形成されており、その直径はブロック基体103の一辺の長さよりも小さく形成されている。これに対して、上キャップ102は、必ずしも丸形状である必要はなく、矩形、楕円、多角形等であってもよい。また、ブロック基体103の水平投影面からはみ出さない限り、より大きく形成されていてもよい。上キャップ102の大きさに関して本実施の形態で重要なことは、上キャップ102が、ブロック基体103の水平投影面からはみ出さないということである。これは、複数個のブロック基体103を隙間なく隣接配置した状態で、後から上面開口UHを上キャップ102で封止する必要があるからである。
【0051】
別の実施の一形態を図8に基づいて説明する。図1ないし図7に基づいて説明した部分と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0052】
本実施の形態の舗装用ブロック101は、ブロック基体103の下面を閉じている。下面開口LHや下キャップ106を設けていない。その代わりに、空洞部Hに収納籠131を入れるようにしている(図8(a)参照)。収納籠131は、増重量材201を収納保持した状態で、空洞部Hに収容される(図8(b)参照)。
【0053】
このような構成において、舗装作業時の充填工程では、ブロック基体103の空洞部Hに、予め増重量材201を入れる。この場合の増重量材201は、水などの液体でも土砂でも、いずれでもよい。液体の場合、その後に空洞部Hに収納籠131を入れた場合に、丁度満杯となる程度の分量を入れる。土砂の場合、その後に空洞部Hに収納籠131を入れることができるよう、収納籠131の形の空間を残しておく。ブロック基体103の空洞部Hに予め増重量材201を入れ終わったならば、上面開口UHから空洞部Hに収納籠131を入れる。増重量材201は、水などの液体でも土砂でも、いずれでもよい。また、収納籠131は、予め増重量材201を満杯にした状態でも、増重量材201をいくらか入れた状態でも、あるいは空の状態でも、いずれでもよい。空洞部Hに収めた後の収納籠131が増重量材201で満杯でなければ、後から収納籠131に増重量材201を入れて満杯とする。その後、ブロック基体103の上面開口UHを上キャップ102で閉じる路面調製工程に入る。
【0054】
舗装撤去作業では、抜底工程を実行しない。その代わりに、抜籠工程を実行する。つまり、抜蓋工程後、増重量材201を収納保持したままの収納籠131を空洞部Hから取り出す。そして、上面開口UHから、空洞部H内に充填されていた残りの増重量材201を抜き取る。残りの増重量材201は、増重量材201が水などの液体の場合には、ブロック基体103をひっくり返すことによって抜き取ることができる。増重量材201が土砂の場合には、シャベルで掬い出すことができる。この際、空洞部Hに充填されている増重量材201は、収納籠131の内部と外部とに分散されているので、一度に全部を抜き出す必要がなくなり、その作業性が良好である。空洞部Hを空にしたならば、ブロック基体103を被舗装面から持ち去る復元工程に入る。
【0055】
本実施の形態によれば、図1ないし図7に基づいて説明した実施の形態のように、増重量材201の下に下キャップ106が残ってしまうことがないので、下キャップ106の処分に要する作業負担を軽減することができる。また、ブロック基体103の構造も簡略化することができる。
【0056】
さらに別の実施の一形態を図9に基づいて説明する。図1ないし図7に基づいて説明した部分と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0057】
本実施の形態の舗装用ブロック101は、下面開口LHや下キャップ106を設けていない。その代わりに、ブロック基体103の底部に排液口151を設け、この排液口151を栓体152で封止している(図9(a)参照)。排液口151は、増重量材201である水などの液体を排液することができる(図9(b)参照)。栓体152は、排液口151を封止して液体である増重量材201の流出を阻止する。栓体152による封止状態をより確実なものとするために、排液口151にはパッキングPKが取り付けられ、栓体152との間の密着性を高めている。栓体152は、取り外す作業を容易にするために、摘み153を有している。ブロック基体103の再利用を考慮し、栓体152が何処かに無くなってしまわないように、舗装用ブロック101と栓体152とを連結部材154で連結している。連結部材154としては、チェーンや紐状部材を用いることができる。
【0058】
このような構成において、本実施の形態では、増重量材201として、水などの流動体を用いる。そして、舗装作業時の充填工程では、排液口151を栓体152で封止した状態で、増重量材201として水などの液体を空洞部Hに導入する。その後、ブロック基体103の上面開口UHを上キャップ102で閉じる路面調製工程に入る。
【0059】
舗装撤去作業では、抜底工程を実行しない。その代わりに、脱栓工程を実行する。つまり、抜蓋工程後、摘み153を掴んだ状態で栓体152を引っ張り、排液口151から外す。すると、排液口151から増重量材201である水などの液体が流出する。増重量材201が全部流出すれば、空洞部H内に充填されていた増重量材201を排液口151から抜き取ることができる。この際、ブロック基体103を僅かに持ち上げるだけで、排液口151からの増重量材201の流出をより一層促進することができる。空洞部Hを空にしたならば、ブロック基体103を被舗装面から持ち去る復元工程に入る。
【0060】
本実施の形態によれば、図1ないし図7に基づいて説明した実施の形態のように、増重量材201の下に下キャップ106が残ってしまうことがないので、下キャップ106の処分に要する作業負担を軽減することができる。また、ブロック基体103の構造も簡略化することができる。
【符号の説明】
【0061】
102 上キャップ
103 ブロック基体
106 下キャップ
131 収納籠
151 排液口
152 栓体
201 増重量材
H 空洞部
LH 下面開口
UH 上面開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間なく隣接配置可能な側面形状を有する複数個の舗装用のブロック基体を被舗装面に隙間なく配置する配置工程と、
前記配置工程後、前記ブロック基体の上面に開口する上面開口から前記ブロック基体内に形成された空洞部に増重量材を充填する充填工程と、
前記充填工程後、前記ブロック基体の水平投影面からはみ出さない大きさに形成された上キャップで前記上面開口を封止し、前記ブロック基体の上面を平坦面に整える路面調製工程と、
を備えることを特徴とする舗装方法。
【請求項2】
前記増重量材として、水を充填することを特徴とする、請求項1に記載の舗装方法。
【請求項3】
前記増重量材として、土砂を充填することを特徴とする、請求項1に記載の舗装方法。
【請求項4】
前記土砂は、前記被舗装面を作り出すために掘り起こした土砂を利用したものである、ことを特徴とする請求項3に記載の舗装方法。
【請求項5】
隙間なく隣接配置可能な側面形状を有する舗装用のブロック基体と、
前記ブロック基体内に形成されて増重量材を収納保持する空洞部と、
前記ブロック基体の上面に開口して前記空洞部に連絡する上面開口と、
前記ブロック基体の水平投影面からはみ出さない大きさに形成されて前記上面開口を封止する上キャップと、
前記上面開口を前記上キャップが封止する状態の前記ブロック基体の上面を平坦面に整える路面調製構造と、
を備えることを特徴とする舗装用ブロック。
【請求項6】
前記ブロック基体は、樹脂によって形成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の舗装用ブロック。
【請求項7】
前記ブロック基体の下面に開口して前記空洞部に連絡する下面開口と、
前記ブロック基体の水平投影面からはみ出さない大きさに形成されて前記ブロック基体の外側から前記下面開口を圧入によって封止する下キャップと、
を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の舗装用ブロック。
【請求項8】
前記上面開口から導入されて前記空洞内に収納され、前記増重量材を収納保持する収納籠を備える、ことを特徴とする請求項5または6に記載の舗装用ブロック。
【請求項9】
前記ブロック基体の下面に開口して前記空洞部に連絡する排液口と、
前記空洞部側から前記排液口を封止する栓体と、
を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の舗装用ブロック。
【請求項10】
敷き詰められた請求項7に記載の舗装用ブロックの前記ブロック基体から、前記上キャップを外す抜蓋工程と、
前記抜蓋工程後、前記ブロック基体を持ち上げた状態で前記下キャップを加圧することで前記ブロック基体から前記下キャップを外し、前記空洞部内に充填されていた前記増重量材を前記下面開口から抜き取る抜底工程と、
前記抜底工程後、前記ブロック基体を前記被舗装面から持ち去る工程と、
を備えることを特徴とする舗装撤去方法。
【請求項11】
敷き詰められた請求項8に記載の舗装用ブロックの前記ブロック基体から、前記上キャップを外す抜蓋工程と、
前記抜蓋工程後、前記増重量材を収納保持したままの前記収納籠を前記空洞部から取り出し、前記空洞部内に充填されていた残りの前記増重量材を前記上面開口から抜き取る抜籠工程と、
前記抜籠工程後、前記ブロック基体を前記被舗装面から持ち去る工程と、
を備えることを特徴とする舗装撤去方法。
【請求項12】
敷き詰められた請求項9に記載の舗装用ブロックの前記ブロック基体から、前記上キャップを外す抜蓋工程と、
前記抜蓋工程後、前記栓体を引っ張って前記排液口から外し、前記空洞部内に充填されていた流動体である前記増重量材を前記排液口から抜き取る脱栓工程と、
前記脱栓工程後、前記ブロック基体を前記被舗装面から持ち去る工程と、
を備えることを特徴とする舗装撤去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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