説明

航空コンテナ

【課題】簡素且つ軽量な構造により、人力による移動を容易にでき、且つ、軽量で、分解、組立が簡単であり、不使用時における空間占有率を低減できる航空コンテナを提供する。
【解決手段】フォークエントリーを備えたベースパレットと、ベースパレットの上面に設けられるコンテナ本体とを備えた航空コンテナにおいて、ベースパレット101の下面よりも高い収容位置103Aと、ベースパレット101の下面から下方に突出した突出位置103Bとの間を可動するように設けられた複数の走行輪103と、これら複数の走行輪103を、収容位置103Aと突出位置103Bとの間で一斉に可動させる走行輪可動機構120とを備え、コンテナ本体は、合成樹脂材料からなる1枚の、全方向に折り畳み可能な中空パネル材料を折曲して形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークエントリーを備えたベースパレットの上面に、軽量な折り畳み式のコンテナ本体が設けられ、前記ベースパレットの下面から走行輪が出没するようにした航空コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
旅客機等の貨物室に搭載される航空コンテナは、フォークエントリーを備えたベースパレットと、このベースパレットの上面に設けられるコンテナ本体とを備えて構成されている。
【0003】
一般的な航空コンテナでは、コンテナ本体がアルミニューム系の比較的軽量な材料により形成されている。しかし、これをさらに軽量化し、その分多くの貨物を積載可能にしたり、航空機燃料を節約できるようにして、昨今の環境保全化の傾向に適応するべく、より軽量な樹脂材料等を用いた航空コンテナが開発されている。さらに、このような軽量航空コンテナにおいて、特許文献1に開示されているように、コンテナ本体を分解及び折り畳み可能にしたものがある。
【0004】
このようにコンテナ本体を分解及び折り畳み可能にすれば、航空コンテナの不使用時における空間占有率を格段に低減させることができ、倉庫スペース等を多大に節約することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平05-089293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている折り畳み式航空コンテナのような従来の航空コンテナは、航空機の外部においてはフォークリフト及びトレーラーにより搬送し、航空機の貨物室内においては、貨物室の床に設けられたローラーコンベア上を滑らせて搬送することが念頭に置かれていたため、貨物室の床にローラーコンベアが設置されていない航空機の場合には、1t前後も積載量のある航空コンテナを貨物室の床面上で滑らせて移動させるしかなく、時間的な制約もある航空機内においては、多大な労力を強いられていた。
【0007】
また、特許文献1に開示されている折り畳み式航空コンテナは、ベースパレットに対して、サイドパネル、ドアパネル、天井パネル等がそれぞれ別部品として切り離されるようになっているため、分解、組立時における作業性が悪く、特に複数の折り畳み式航空コンテナを同時に分解、組立する場合には、作業が煩雑になるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するべくなされたものであり、簡素且つ軽量な構造により、人力による移動を容易にでき、且つ、軽量で、分解、組立が簡単であり、不使用時における空間占有率を低減することができる航空コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、フォークエントリーを備えたベースパレットと、前記ベースパレットの上面に設けられるコンテナ本体とを備えた航空コンテナにおいて、前記ベースパレットの下面よりも高い収容位置と、前記ベースパレットの下面から下方に突出した突出位置との間を可動するように設けられた複数の走行輪と、前記複数の走行輪を、前記収容位置と前記突出位置との間で一斉に可動させる走行輪可動機構とを有する航空コンテナとしたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加え、前記ベースパレットは、平行に並べられて、その下面に前記走行輪を出没させる走行輪開口部が形成された複数の中空角柱状のベースフレーム材と、該ベースフレーム材の上下両面に固定されるベース板材とを備えた構造であって、前記フォークエントリーは、前記複数のベースフレーム材と前記ベース板材との間を通る方向、及び前記ベースフレーム材を直交する方向に形成され、前記走行輪可動機構は、前記ベースフレーム材の内部空洞に挿通されて該内部空洞の長手方向に延在し、該内部空洞の長手方向に移動自在であり、その下面に前記走行輪が設けられる走行輪駆動部材と、前記走行輪駆動部材の上面側、且つ前記走行輪が設けられた位置の反対面に設けられて該走行輪駆動部材の移動に伴い前記ベースフレーム材の上内面を転動する転動輪と、前記ベースフレーム材の上内面に、下方に向かって突設されて前記転動輪を乗り上げさせるハンプ部と、前記走行輪駆動部材を前記ベースフレーム材の長手方向に移動させて前記走行輪の位置を前記収容位置又は前記突出位置に選択的に移動させる走行輪操作機構とを有して構成され、前記走行輪は垂直面方向に回転自在、且つ水平面方向に回動自在であり、この走行輪は、前記転動輪が前記ハンプ部に乗り上げていない時には前記ベースパレットの下面よりも高い前記収容位置に配置され、前記転動輪が前記ハンプ部に乗り上げた時には前記走行輪開口部から下方に突出して前記突出位置に配置される航空コンテナとしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2の構成に加え、前記走行輪操作機構は、前記複数の走行輪駆動部材に各々設けられた可動側連結部と、前記複数のベースフレーム材に直交する方向に延び、前記各ベースフレーム材に貫通されて回動自在に軸支された操作回動軸と、前記操作回動軸に回動一体に設けられた複数の回動側連結部と、前記可動側連結部と前記回動側連結部との間を連結する複数の連結リンクと、前記操作回動軸を回動させるレバー部材とを備え、前記レバー部材が回動して前記操作回動軸と前記回動側連結部とが回動すると、この動きが前記連結リンクを介して前記可動側連結部に伝達され、これにより前記操作回動軸の回動が前記走行輪駆動部材の長手方向への移動に変換されるように構成された航空コンテナとしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の何れかの構成に加え、前記コンテナ本体は、合成樹脂材料からなる1枚の、全方向に折り畳み可能な中空パネル材料を折曲して形成されている航空コンテナとしたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項4の構成に加え、前記中空パネル材料は、熱可塑性樹脂シートに突設された中空錐台状の凸部同士を突き合せた状態で熱融着してなる芯材の両面に、熱可塑性樹脂シートからなる表面材を貼り合わせた構造である航空コンテナとしたことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項4の構成に加え、前記コンテナ本体は、その折り畳み時に、平面視で前記ベースパレットの外周輪郭線以内に収まる航空コンテナとしたことを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項1の構成に加え、前記ベースパレットは、平行に並べられて、その下面に前記走行輪を出没させる走行輪開口部が形成された複数の中空角柱状のベースフレーム材と、該ベースフレーム材の上下両面に固定されるベース板材とを備えた構造であり、前記フォークエントリーは、前記複数のベースフレーム材と前記ベース板材との間を通る方向、及び前記ベースフレーム材を直交する方向に形成され、前記走行輪可動機構は、前記ベースフレーム材に形成された前記走行輪開口部の各々の位置に整合させて設けられ、前記ベースフレーム材の長手方向に対し直交し、前記走行輪を前記収容位置と前記突出位置との間で回動自在に軸支する複数の支点ピボット軸と、前記複数の走行輪の、前記支点ピボット軸から離間した位置にそれぞれ設けられた力点ピボット軸と、前記複数の力点ピボット軸を、前記ベースフレーム材の長手方向に沿って互いに連結し、各走行輪を前記収容位置と前記突出位置との間で同調させて回動させる同調連結ロッドと、前記走行輪の位置を前記収容位置又は前記突出位置に選択的に移動させる走行輪操作機構とを有して構成され、前記走行輪は垂直面方向に回転自在、且つ水平面方向に回動自在である航空コンテナとしたことを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項7の構成に加え、前記走行輪操作機構は、前記複数のベースフレーム材に直交する方向に延び、前記各ベースフレーム材に貫通されて回動自在に軸支された操作回動軸と、前記操作回動軸を回動させるレバー部材と、前記操作回動軸に回動一体に設けられて、その自由端部に始点ピボット軸を備えた複数の回動ブラケットと、一端が前記始点ピボット軸に連結され、他端が前記複数の力点ピボット軸の少なくとも1つに連結される連動ロッドとを備え、前記操作回動軸と、前記始点ピボット軸と、前記支点ピボット軸と、前記力点ピボット軸とで4点リンク機構をなし、前記レバー部材が回動して前記操作回動軸と前記回動ブラケットとが回動すると、その動きが前記始点ピボット軸と前記連動ロッドとを介して前記力点ピボット軸に伝達され、前記走行輪が前記収容位置と前記突出位置との間を回動するように構成された航空コンテナとしたことを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項2,3,7,8の何れかの構成に加え、前記走行輪及び前記走行輪可動機構の構成部材と、前記ベースフレーム材の上面の高さとの間に所定の広さのスペースを設け、このスペースを貫通するように前記フォークエントリーを前記ベースフレーム材に形成した航空コンテナとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、航空コンテナの下面から走行輪を任意に出没させることができるため、航空機の貨物室の床にローラーコンベアが設置されていない場合であっても、走行輪を突出させれば航空コンテナを容易に移動させることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、市販の中空角柱材を用いてベースフレーム材を形成することができ、簡素で安価、且つ軽量な構造によってベースパレットを構成すると共に、複数の走行輪を出没可能にして、航空コンテナの移動を容易にすることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、簡素且つ軽量な構造と、簡素な操作によって、複数の走行輪を一斉に出没させることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、コンテナ本体を軽量かつ堅牢に形成すると共に、コンテナ本体を折り畳めるため、不使用時における空間占有率を低減することができる。しかも、コンテナ本体が連続した1枚のパネルから成るため、分解、組立作業を簡単にすることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、コンテナ本体を軽量かつ堅牢に形成することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、コンテナ本体を折り畳んだ状態で、ベースパレットごと積み重ねるのが容易になり、不使用時における空間占有率を低減することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、市販の中空角柱材を用いてベースフレーム材を形成することができ、簡素で安価、且つ軽量な構造によってベースパレットを構成すると共に、複数の走行輪を出没可能にして、航空コンテナの移動を容易にすることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、簡素且つ軽量な構造と、簡素な操作によって、複数の走行輪を一斉に出没させることができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、フォークエントリーにフォークリフトのフォークが挿入される際に、フォークが走行輪可動機構の構成部材に衝突することを防止して、各構成部材を破損から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施の形態1に係る航空コンテナの斜視図である。
【図2】同実施の形態1に係る航空コンテナの正面図である。
【図3】同実施の形態1に係る航空コンテナの後面図である。
【図4】同実施の形態1に係る航空コンテナの平面図である。
【図5】同実施の形態1に係る航空コンテナの右側面図である。
【図6】同実施の形態1に係る航空コンテナのコンテナ本体を形成する中空パネル材料の縦断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る航空コンテナの蓋部を開放した状態を示す斜視図である。
【図8】同実施の形態1に係る航空コンテナのコンテナ本体を展開した展開図である。
【図9】同コンテナ本体の別な展開形状例を示す展開図である。
【図10】同コンテナ本体の天井面裏側に補強部材を設けた例を示す平面図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係る図10のXI-XI線に沿う縦断面図である。
【図12】同実施の形態1に係る図10のXII-XII線に沿う縦断面図である。
【図13】同実施の形態1に係る図2のXIII-XIII線に沿う横断面図である。
【図14】同実施の形態1に係る図2のXIV部拡大図である。
【図15】(a)〜(c)は、同実施の形態1に係る航空コンテナのコンテナ本体をベースパレット上で折り畳む手順の一例を概略的に示す斜視図である。
【図16】同実施の形態1に係る図2のXVI-XVI矢視によるベースパレットの下面図である。
【図17】同実施の形態1に係る図2のXVII-XVII線に沿うベースパレット(ベースフレーム材)の縦断面図である。
【図18】同実施の形態1に係る図17のXVIII部拡大図であり、(a)は回動キャスター輪が収容位置にある時の縦断面図であり、(b)は回動キャスター輪が突出位置にある時の縦断面図である。
【図19】同実施の形態1に係る図17のXIX部拡大図であり、(a)は回動キャスター輪が収容位置にある時の縦断面図であり、(b)は回動キャスター輪が突出位置にある時の縦断面図である。
【図20】(a)は、図18(a)又は図19(a)のXXa-XXa線に沿う縦断面図であり、(b)は、図18(b)又は図19(b)のXXb-XXb線に沿う縦断面図である。
【図21】この発明の実施の形態2に係る航空コンテナの斜視図である。
【図22】同実施の形態2に係る航空コンテナの正面図である。
【図23】同実施の形態2に係る航空コンテナの後面図である。
【図24】同実施の形態2に係る航空コンテナの平面図である。
【図25】同実施の形態2に係る航空コンテナの右側面図である。
【図26】同実施の形態2に係る航空コンテナのコンテナ本体を展開した展開図である。
【図27】(a)〜(c)は、同実施の形態2に係る航空コンテナのコンテナ本体をベースパレット上で折り畳む手順の一例を概略的に示す斜視図である。
【図28】この発明の実施の形態3に係るベースパレット(ベースフレーム材)の長手方向に沿う縦断面図である。
【図29】同実施の形態3に係る図28のXXIX部拡大図であり、(a)は回動キャスター輪が収容位置にある時の縦断面図であり、(b)は回動キャスター輪が突出位置にある時の縦断面図である。
【図30】同実施の形態3に係る図29のXXX-XXX線に沿う縦断面図である。
【図31】同実施の形態3に係る図29のXXXI-XXXI線に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0029】
図1乃至図20には、この発明の実施の形態1に係る航空コンテナを示す。
【0030】
この航空コンテナ1は、フォークエントリー2,3を備えたベースパレット4の上面にコンテナ本体5が設けられた構成であり、コンテナ本体5は、航空機の客室下方に画成される貨物室の形状に適合させて略台形状の正面形状を有している。この航空コンテナ1の積載量は、例えば1000kg程度である。
【0031】
ベースパレット4は、図1〜図3に示すように、例えばアルミ材で形成された中空角柱状のベースフレーム材8を3本平行に並べ、これら3本のベースフレーム材8の上下両面に、例えばハニカム断面を有する樹脂のベース板材9を接着等により固定した構造である。ベースパレット4の内部には後述する走行輪可動機構41が収容される。
【0032】
そして、3本のベースフレーム材8とベース板材9との間を通る方向に2つのフォークエントリー2が形成され、ベースフレーム材8を直交する方向に2つのフォークエントリー3が形成されて、これによりベースフレーム材8に対して四方向から図示しないフォークリフトのフォークを挿入可能になっている。
【0033】
一方、コンテナ本体5は、図6に縦断面を示すように、合成樹脂材料からなる1枚の、全方向に折り畳み可能な中空パネル材料11を折曲して形成されていることが特徴である。この中空パネル材料11は、例えば熱可塑性樹脂シートに突設された中空錐台状の凸部12同士を突き合せた状態で熱融着してなる芯材13の両面に、熱可塑性樹脂シートからなる表面材14を貼り合わせた構造である。なお、この中空パネル材料11は、前述のベースパレット4を構成するベース板材9として使用してもよい。
【0034】
コンテナ本体5は、前面と、後面と、左右の側面と、天井面とを有し、前面と天井面とにかけて、開放可能な蓋パネル15が設けられている。蓋パネル15は、前面の幅方向中央部で前方に開くと共に、天井面の略中央部で上方に折れ曲がる三つ折りの折戸状になっており、図7に示すように、上方に大きく開放することができる。コンテナ本体5の内部には、左右側面の内側の斜面部に対応してベンチ状の棚部材16が着脱可能に設けられ、積載物を水平に載置できるようになっている。
【0035】
図8は、コンテナ本体5の展開形状の一例を示している。このコンテナ本体5は底面パネル17を有し、この底面パネル17の部分がベースパレット4の上面に、接着やボルト止め等によって固定される。なお、例えば図9に示すように底面パネル17を省いた展開形状としてもよい。この場合は、ベースパレット4の上面が底面パネルとして兼用される。
【0036】
コンテナ本体5の前面は、蓋パネル15と、その両側に位置する5角形のフロントサイドパネル20からなり、天井面は、蓋パネル15と、その周囲に位置するコの字形のトップパネル21からなっている。また、後面は、長方形のリヤパネル22の両隣に5角形のリヤサイドパネル23が接続されて構成され、左右の側面はサイドパネル24からなっている。なお、コンテナ本体5の展開形状は、図8、図9に示す形状のみに限らず、各パネルの接続関係を異ならせた形状としてもよい。
【0037】
トップパネル21の周縁部には重ね代21a,21b,21cが設けられ、これらの重ね代21a,21b,21cが、それぞれフロントサイドパネル20、サイドパネル24、及びリヤサイドパネル23の上縁部に外接するように重ねられて締結部材27により固定される。締結部材27としてはボルト及びナットや、クイックファスナー等の貫通型のものが用いられるが、例えば面ファスナー等を適用してもよい。
【0038】
また、同様に、フロントサイドパネル20の下縁部に形成された重ね代20a(図5参照)が、サイドパネル24の下半分の前縁部に内接(又は外接)して締結部材27により固定される。さらに、リヤサイドパネル23の周縁部に形成された重ね代23a,23b(図3、図5参照)が、それぞれリヤパネル22の両側辺と、サイドパネル24の下半分の後縁部とに内接するように重ねられて締結部材27により固定される
【0039】
蓋パネル15の前面両側には、例えば閂状、又はラッチ状、留め金状等のロック機構30が設けられており、蓋パネル15を閉塞した状態でロック及び施錠することができる。蓋パネル15の周縁部内面には、閉塞時の気密性を高めるための帯状で弾力のあるシール部材31が貼着されており(図7参照)、このシール部材31が、フロントサイドパネル20と、トップパネル21の下面に貼着されたシールプレート32との上に密着し、蓋パネル15の気密性が保たれる。また、蓋パネル15の先端は、ベースパレット4側に固定されたL字断面状の差込保持部33に上方から差し込まれて保持される。。
【0040】
なお、図10〜図13に示すように、トップパネル21の裏側や、フロントサイドパネル20、リヤパネル22、リヤサイドパネル23等の内側に、金属材料等で形成されたT字断面、若しくは帯状等の補強部材35をあてがって補強しもよい。この場合、例えば図7に示すシールプレート32を設けずに、図11に示すように、T字断面の補強部材35の上面に蓋パネル15の縁を載せる構造としてもよい。
【0041】
図1〜図3及び図5、図7、図14に示すように、ベースパレット4の端面と、サイドパネル24の下半分とに跨る形で、略くの字断面状に折曲された金属補強板37が複数のボルトナット38等で締結されている。これにより、サイドパネル24の下半分の傾斜板部が金属補強板37によって下方から支持されて補強がなされる。ここで、図14に示すように、金属補強板37の折曲角度θを、サイドパネル24の下半分の傾斜板部とベースパレット4の垂直端面とが織り成す実際の角度よりも2〜3度大きく設定することにより、金属補強板37によってサイドパネル24の下半分を上方に積極的に押し上げることができ、補強効果及び剛性を高めることができる。なお、この金属補強板37は場合に応じて省略することもできる。
【0042】
図15(a)〜(c)は、ベースパレット4上でコンテナ本体5を折り畳む手順の一例を概略的に示す斜視図である。ここでは、判りやすいように各パネル部材の周縁部に設けられた重ね代を省略して記載している。
【0043】
まず、コンテナ本体5を組立てている各部の締結部材27を全て取り外し、図15(a)に示すように、左右のサイドパネル24に繋がっているフロントサイドパネル20及びリヤサイドパネル23を外側(又は内側)に折り畳み、両サイドパネル24をベースパレット4(底面パネル17)の上に倒して重ねる。なお、図7に示す棚部材16は、そのままベースパレット4の上に倒して平坦にすればよい。
【0044】
これと共に、図15(b)に示すように、トップパネル21を上方に開き、例えば折曲線21dの位置(蓋パネル15の付け根のラインと並ぶ位置)でトップパネル21を後方に折り曲げ、次に図15(c)に想像線で示すように、リヤパネル22とトップパネル21と蓋パネル15とを、先に折り畳んだサイドパネル24、フロントサイドパネル20、リヤサイドパネル23の上に倒して重ねれば、コンテナ本体5の折り畳み作業が完了する。
【0045】
このように、コンテナ本体5を折り畳んでベースパレット4の上に重ねることにより、コンテナ本体5の高さ寸法が数分の一に減少するため、航空コンテナ1の不使用時における空間占有率を格段に低減させ、倉庫スペース等を多大に節約することができる。また、このようにコンテナ本体5を折り畳んだ複数の航空コンテナ1を積み重ねてトレーラー等で同時に運搬することができ、運搬効率も良くなる。
【0046】
また、コンテナ本体5が、合成樹脂材料からなる、全方向に折り畳み可能な中空パネル材料11を折曲して形成されており、この中空パネル材料11は、熱可塑性樹脂シートに突設された中空錐台状の凸部12同士を突き合せた状態で熱融着してなる芯材13の両面に、熱可塑性樹脂シートからなる表面材14を貼り合わせた構造であるため、コンテナ本体5を軽量且つ高剛性に形成することができる。
【0047】
しかも、コンテナ本体5が、連続した1枚のパネルからなるため、航空コンテナ1の分解、組立時において各パネル部材が離散することがなく、これによって分解、組立時における作業性を良くすることができ、例えば複数の航空コンテナ1を同時に分解、組立する場合でも、作業が煩雑になることがない。
【0048】
図16〜図20は、走行輪可動機構41の構成を示している。図16は、図2のXVI-XVI矢視によるベースパレット4の下面図であり、図17は図2のXVII-XVII線に沿うベースパレット4(ベースフレーム材8)の縦断面図であり、図18(a),(b)と図19(a),(b)は、それぞれ図17のXVIII部拡大図、XIX部拡大図であり、図20(a)は、図18(a)又は図19(a)のXXa-XXa線に沿う縦断面図、図20(b)は、図18(b)又は図19(b)のXXb-XXb線に沿う縦断面図である。
【0049】
前述したように、ベースパレット4は、アルミ材で形成された中空角柱状のベースフレーム材8を3本平行に並べ、それらの上下両面にベース板材9を固着させた構造である。そして、各ベースフレーム材8の内部に走行輪可動機構41が収容されている。この走行輪可動機構41は、ベースパレット4の下面に開口する複数の走行輪開口部42(図16等参照)から、それぞれ走行輪としての回動キャスター輪44を一斉に出没させる機構である。
【0050】
走行輪開口部42は、各ベースフレーム材8の下面の、例えば両端部付近と中間部との3箇所にあり、これにより合計9個箇所の走行輪開口部42がベースパレット4の下面に開口し、これらの走行輪開口部42から回動キャスター輪44が出没する。なお、走行輪開口部42は、ベースフレーム材8の下面に重なるベース板材9にも同一形状で穿設されている。走行輪可動機構41は、以下のように構成されている。
【0051】
まず、それぞれのベースフレーム材8の内部空洞には、その長手方向に延在し、後述する走行輪操作機構60によって長手方向に移動操作される略平板状の走行輪駆動部材46が設けられている。この走行輪駆動部材46は、例えばアルミ二ウム等の剛性材料でなる板材により形成された2枚の駆動プレート47a,47bと、これらの駆動プレート47a,47bの各端部に連結された、同じくアルミ二ウム板材をプレス成形してなる3個のキャスターブラケット48a,48b,48cとを備えて構成されている。
【0052】
キャスターブラケット48a,48b,48cは、側面視(図17〜図19参照)で上方に向かって台形状、又は半台形状に凸となる形状にプレス成形され、さらに、図20にも示すように、その左右両側に、上方に向かって直角に起立する側方ガイドプレート48dが形成されている。この側方ガイドプレート48dは、ベースフレーム材8の内側面に内側から摺動自在に接し、これによって各キャスターブラケット48a,48b,48cが、ベースフレーム材8の長手方向に自由に移動することを可能にされつつ、ベースフレーム材8の内部で傾くことが規制される。
【0053】
キャスターブラケット48a,48b,48cは、駆動プレート47a,47bの端部上面側にリベット49等で連結される。リベット49としては皿リベットが用いられ、リベット49を駆動プレート47a,47bの下面側から挿通して頭部をカシメて締結することにより、リベット49の下端が駆動プレート47a,47bの下面から突出しないようにされている。なお、駆動プレート47a,47bとキャスターブラケット48a,48b,48cとを一体に構成すれば、これらを別体に構成にするよりも軽量化できる。
【0054】
キャスターブラケット48a,48b,48cの下面には筒状スペーサー52を挟んで回動キャスター輪44が固定され、キャスターブラケット48a,48b,48cの上面側、且つ回動キャスター輪44が設けられた位置の反対面には固定キャスター輪51が固定されている。ここでは、上方から4方のボルト53が固定キャスター輪51とキャスターブラケット48a,48b,48cと筒状スペーサー52と回動キャスター輪44とを貫通し、下方からナット54が締結されて各部材が共締めされる構造である。
【0055】
固定キャスター輪51は、走行輪駆動部材46の長手方向への移動に伴いベースフレーム材8の上内面を転動する転動輪として機能し、その転がり方向は、ベースフレーム材8の長手方向に沿って固定されている。一方、回動キャスター輪44は、その車輪が垂直面方向に回転自在、且つ水平面方向に360°回動自在である。固定キャスター輪51及び回動キャスター輪44の車輪は、例えば直径32mmの小径なものである。
【0056】
他方、ベースフレーム材8の上内面には、側面視で円弧状のハンプ部56が下方に向かって突設されている。このハンプ部56は、アルミ中空角柱であるベースフレーム材8の上面をプレス成形することにより形成されているが、例えばハンプ部56を硬質樹脂材料等によってベースフレーム材8とは別体に形成し、これをベースフレーム材8の上内面にボルト等で固定してもよい。このハンプ部56の曲面半径は、例えば100mm程度であり、ハンプ部56の突出高さは、例えば20mmであり、ハンプ部56の幅は、固定キャスター輪51の車輪幅よりも充分に広く設定されている。このハンプ部56には、走行輪駆動部材46がスライド移動した時に固定キャスター輪51が乗り上げる部分となる。
【0057】
図18(a)、図19(a)、又は図20(a)に示すように、固定キャスター輪51がハンプ部56に乗り上げていない時には、走行輪駆動部材46を構成する駆動プレート47a,47bがベースフレーム材8の下内面から浮き上がっており、例えばベースパレット4が床面上に置かれている場合には、床面によって回動キャスター輪44が上方に押し上げられ、ベースパレット4の下面よりも下方に突出することはない。この時の回動キャスター輪44の位置を収容位置44Aと呼ぶ。
【0058】
また、図18(b)、図19(b)、又は図20(b)に示すように、固定キャスター輪51がハンプ部56に乗り上げた時には、駆動プレート47a,47bがベースフレーム材8の下内面に近接若しくは接すると共に、回動キャスター輪44が走行輪開口部42からベースパレット4の下面よりも下方に突出する。この時の回動キャスター輪44の位置を突出位置44Bと呼ぶ。回動キャスター輪44のベースパレット4下面からの突出量は、例えば15〜20mm程度に設定されている。
【0059】
そして、走行輪駆動部材46をベースフレーム材8の長手方向にスライド移動させて回動キャスター輪44の位置を収容位置44A又は突出位置44Bに選択的に移動させる走行輪操作機構60が設けられている。この走行輪操作機構60は、1本の操作回動軸61と、3つの可動側連結部62と、3つの回動側連結部63と、3本の連結リンク64と、1本のレバー部材65とを備えて構成されている。
【0060】
図1〜図3、図5、図7、図17、図19等に示すように、操作回動軸61は、ベースパレット4の一端側において、3本のベースフレーム材8に直交する方向に延び、各ベースフレーム材8に貫通されて回動自在に軸支されている。この操作回動軸61の軸支高さは、図19(a)に示すように、操作回動軸61の上縁61aが、フォークエントリー3の下辺3aよりも低くなるように設定されている。
【0061】
可動側連結部62は、各走行輪駆動部材46の、操作回動軸61がある側の端部、即ちここでは各キャスターブラケット48aに設けられており、図17及び図19に示すように、キャスターブラケット48aの端部上面に軸受状の部品として固着されている。回動側連結部63は、操作回動軸61の軸方向に沿って3箇所に固定されたレバー状の部品であり、3本のベースフレーム材8の内部にて、操作回動軸61に回動一体に固定されている。そして、連結リンク64は、可動側連結部62と回動側連結部63との間を、支軸66,67を介して連結している。
【0062】
図17及び図19に示すように、レバー部材65は、操作回動軸61の一端に固定、又は着脱可能に設けられる棒ハンドル状の部材である。本実施形態では、例えば自動車のジャッキのように、操作回動軸61の一端に固定されたコの字形のリセプター61b(図1〜図3参照)に、レバー部材65が係脱可能に連結されるようになっており、このレバー部材65を回動させることにより、操作回動軸61を回転させるようになっている。
【0063】
レバー部材65は、図19(a)に示す水平位置65aと、図17及び図19(b)に示す直立位置65bとの間を90度回動させることができ、図19(a)のようにレバー部材65が水平位置65aにある時には、操作回動軸61に固定された回動側連結部63が固定キャスター輪51に向かって水平に倒れており、このため連結リンク64を介して走行輪駆動部材46が遠方側に押されて固定キャスター輪51がハンプ部56に乗り上げていない位置に置かれ、前述したように回動キャスター輪44が収容位置44Aに置かれる。
【0064】
また、図19(b)のようにレバー部材65が直立位置65bに回動すると、操作回動軸61が後転して3つの回動側連結部63が同時に直立し、これらの回動側連結部63の動きが連結リンク64を介して3つの可動側連結部62に伝達される。即ち、操作回動軸61の回動が走行輪駆動部材46の長手方向へのスライド移動に変換される。そして、走行輪駆動部材46が操作回動軸61側に牽引されて固定キャスター輪51がハンプ部56に乗り上げ、9個の回動キャスター輪44が一斉に突出位置44Bに突出する。このように、レバー部材65を回動操作することによって回動キャスター輪44を任意に出没させることができる。
【0065】
回動キャスター輪44を突出位置44Bに保持するために、例えばコンテナ本体5の側面等に図示しないレバー保持ブラケットを設け、直立位置65bに回動させたレバー部材65をこのレバー保持ブラケットに保持させることが考えられる。或いは、操作回動軸61に、回転をロックする機構を設けてもよい。さらに、ハンプ部56の頂部に小さな凹部を設け、この凹部に固定キャスター輪51を入り込ませることによって回動キャスター輪44を突出位置44Bに節度良く位置決めさせるようにしてもよい。
【0066】
走行輪可動機構41は、以上のように構成されている。なお、図17〜図19に示すように、走行輪可動機構41を構成する走行輪駆動部材46(駆動プレート47a,47b、キャスターブラケット48a,48b,48c)と、回動キャスター輪44と、固定キャスター輪51と、筒状スペーサー52と、ハンプ部56と、走行輪操作機構60(操作回動軸61、可動側連結部62、回動側連結部63、連結リンク64、支軸66,67)等の構成部材、及びこれら各構成部材の移動範囲と、ベースフレーム材8の上面の高さとの間にはスペースSが設けられ、このスペースSを貫通するようにフォークエントリー3が形成されている。無論、フォークエントリー3はフォークリフトのフォークが余裕を持って挿入可能な大きさとなっている。
【0067】
以上のように構成された航空コンテナ1をフォークリフトで搬送する場合は、回動キャスター輪44が収容位置44Aにあっても突出位置44Bにあっても良く、フォークリフトのフォークをフォークエントリー2又は3に挿入して航空コンテナ1をリフトし、所定の位置に搬送する。
【0068】
また、例えば倉庫内や、床にローラーコンベアが設置されていない航空機の貨物室内等で航空コンテナ1を移動させる場合は、レバー部材65を水平位置65aから直立位置65bに回動させて回動キャスター輪44を収容位置44Aから突出位置44Bに突出させれば、航空コンテナ1を全方向に自在且つ容易に移動させることができる。所定の場所まで移動させたら、レバー部材65を直立位置65bから水平位置65aに回動させて回動キャスター輪44を突出位置44Bから収容位置44Aに収容し、ベースパレット4の下面を床面に接地させれば航空コンテナ1の動きが阻止される。
【0069】
この航空コンテナ1は、そのベースパレット4を、アルミ材で形成された3本の中空角柱状のベースフレーム材8を平行に並べ、その上下両面に樹脂のベース板材9を接着等により固定した構造であり、各ベースフレーム材8の内部に走行輪可動機構41の主要部を収容させた構成であるため、市販の中空角柱材を用いてベースフレーム材8を形成することができ、簡素で安価、且つ軽量な構造によってベースパレット4を構成し、且つ強靭なベースフレーム材8によって走行輪可動機構41の主要部を破損から保護することができる。
【0070】
また、走行輪操作機構60を、各走行輪駆動部材46に各々設けた可動側連結部62と、操作回動軸61と、回動側連結部63と、連結リンク64と、レバー部材65とを備えた構成とし、操作回動軸61の回動が走行輪駆動部材46の長手方向への移動に変換されるように構成したため、非常に簡素且つ軽量な構造と、簡素な操作によって、複数の回動キャスター輪44を一斉にベースパレット4の下面から出没させることができる。
【0071】
さらに、走行輪可動機構41の構成部材及びその移動範囲と、ベースフレーム材8の上面の高さとの間にスペースSを設け、このスペースSを貫通するようにフォークエントリー3をベースフレーム材8に形成したため、フォークエントリー3にフォークリフトのフォークが挿入される際に、フォークが走行輪可動機構41の構成部材に衝突することを確実に防止し、各構成部材を破損から保護することができる。
【0072】
なお、図2に示すように、操作回動軸61はフォークエントリー2の開口範囲の下寄りを横切るように軸支されているが、この方向から見て、操作回動軸61を隠蔽するようなガード部材71(図19参照)をフォークエントリー2の開口部下縁付近に設ければ、フォークリフトのフォークがフォークエントリー2に挿入される際に操作回動軸61に衝突することを防止することができる。
[発明の実施の形態2]
【0073】
図21乃至図27には、この発明の実施の形態2に係る航空コンテナを示す。この航空コンテナ81の基本構造は、実施の形態1に係る航空コンテナ1とほぼ同様であるため、同様な箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
ベースパレット4の構造及び大きさと、フォークエントリー2,3の位置関係等は実施の形態1と同様である。ベースパレット4の上面に設置されるコンテナ本体82は、実施の形態1に係る航空コンテナ1と同様な合成樹脂材料からなる1枚の、全方向に折り畳み可能な中空パネル材料を折曲して形成されているが、その形状は異なっており四角いキューブ状である。その分、積載容積が少なく、例えば800kg程度の積載量となっている。
【0075】
コンテナ本体82は、前面及び上面の前半部(折曲線84aまでの範囲)を形成する蓋パネル84と、上面の後半部を形成するトップパネル85と、後面を形成するリヤパネル86と、左右の側面を形成するサイドパネル87とを備えて構成されている。蓋パネル84は三つ折りの折戸状になっており、前方及び上方に向かって大きく開放することができる。
【0076】
図26は、コンテナ本体82の展開形状の一例を示している。このコンテナ本体82は底面を有しておらず、リヤパネル86の下縁部に形成された重ね代86aと、左右のサイドパネル87の下縁部に形成された重ね代87aとが、それぞれベースパレット4上面の後縁部と左右側縁部とに重ねられて図示しない締結部材等により固定される。
【0077】
また、左右のサイドパネル87の上縁部に形成された重ね代87bが、それぞれトップパネル21の左右縁部に重ねられて締結部材27によって固定される。さらに、左右のサイドパネル87の前縁部に形成された重ね代87cには、閉塞された蓋パネル84の左右縁部が重ねられる。なお、コンテナ本体5の展開形状は、図26に示す形状のみに限らず、各パネルの接続関係を異ならせてもよい。
【0078】
蓋パネル84の前面両側には実施の形態1と同様なロック機構30が設けられており、蓋パネル84を閉塞した状態でロック及び施錠することができる。また、蓋パネル84の周縁部内面には図示しないシール部材が貼着されて閉塞時における気密性が高められている。蓋パネル84の閉塞時には、その先端がベースパレット4側に固定されたL字断面状の差込保持部33に上方から差し込まれて保持される点は実施の形態1と同様である。また、各パネル部材の裏側に、金属材料等で形成された補強部材(非図示)をあてがって補強してもよい。
【0079】
図27(a)〜(c)は、ベースパレット4上でコンテナ本体82を折り畳む手順の一例を概略的に示す斜視図である。まず、リヤパネル86の下縁部をベースパレット4上面の後縁部に固定している締結部材以外の締結部材を全て取り外し、図27(a)に示すように、蓋パネル84とトップパネル85とを上方に開いてリヤパネル86の後面側に折り重ねると共に、左右のサイドパネル87を、その中間位置に設けた折曲線87d(図21、図25も参照)の位置で折り畳んでから外側に開いてリヤパネル86の後面側に折り重ね、図27(b)に示すように各パネル84,85,86,87を重ね合わせた後、これらの重ね合わせたパネルを図27(c)に示すようにベースパレット4の上面に倒して重ねれば、コンテナ本体5の折り畳み作業が完了する。
【0080】
これにより、コンテナ本体82の高さ寸法が数分の一に減少し、航空コンテナ81の不使用時における空間占有率を格段に低減させると共に、運搬効率を向上させることができる。なお、コンテナ本体82は、実施の形態1の場合と同様に、軽量且つ高剛性に形成でき、しかも連続した1枚の中空パネル材料からなるため、分解、組立作業が容易である。
【0081】
ここで、コンテナ本体82は、その折り畳み時に、平面視でベースパレット4の外周輪郭線以内に収まることが特徴である(図27(c)参照)。こうすることにより、コンテナ本体82を折り畳んだ状態で、ベースパレット4ごと積み重ねるのが容易になり、不使用時における空間占有率をさらに低減することができ、また、コンテナ本体82を形成する中空パネル材料が他の物品に触れて破損してしまうことを効果的に防止できる。
【0082】
なお、ベースパレット4の下面から複数の回動キャスター輪を出没させる走行輪可動機構41と走行輪操作機構60の基本構成は実施の形態1と同様であるが、走行輪操作機構60を操作する操作回動軸61の一端に固定されたレバー部材90は、直立位置にある時に、例えばサイドパネル87の端部に設けられたレバー保持ブラケット91に保持され、これにより回動キャスター輪が突出位置に保持される。
[発明の実施の形態3]
【0083】
図28乃至図31には、この発明の実施の形態3に係る航空コンテナのベースパレット101と、走行輪可動機構120の構成を示す。図28はベースパレット101(ベースフレーム材8)の長手方向に沿う縦断面図であり、図29(a),(b)は図28のXXIX部拡大図であり、図30は図29のXXX-XXX線に沿う縦断面図であり、図31は図29のXXXI-XXXI線に沿う縦断面図である。なお、図29(a),(b)は、それぞれ図30と図31のXXIX-XXIX線に沿う縦断面図である。
【0084】
このベースパレット101の基本構造は、実施の形態1に示すベースパレット4と同様であり(図16等参照)、アルミ材で形成された中空角柱状のベースフレーム材8が3本平行に並べられ、これら3本のベースフレーム材8の上下両面に、ハニカム断面を有する樹脂のベース板材9が接着等により固定された構造である。
【0085】
そして、3本のベースフレーム材8とベース板材9との間を通る方向に図示しない2つのフォークエントリーが形成され、ベースフレーム材8を直交する方向に2つのフォークエントリー3が形成されて、これによりベースフレーム材8に対して四方向から図示しないフォークリフトのフォークを挿入可能である。なお、フォークエントリー3は、ベースフレーム材8の上面を切り欠くように形成されている。
【0086】
ベースパレット101の下面には、実施の形態1に示すベースパレット4(図16参照)と同様に、1本のベースフレーム材8あたり3箇所、合計9箇所の走行輪開口部42が開口しており、これら9箇所の走行輪開口部42から、後に説明する走行輪可動機構120によって、それぞれ走行輪103が一斉に出没するようになっている。
【0087】
走行輪103は、例えば鋼板材をコの字断面状に折曲した走行輪ブラケット104と、この走行輪ブラケット104の下面に固定された回動キャスター輪105とから構成されている。回動キャスター輪105は高荷重用の汎用品であり、その上部から突出する固定ボルト106が走行輪ブラケット104の下面を貫通して上方から固定ナット107で締結される。回動キャスター輪105の車輪は、垂直面方向に回転自在、且つ水平面方向に360°回動自在である。
【0088】
走行輪可動機構120は、以下のように構成されている。
【0089】
まず、それぞれのベースフレーム材8の内部には、走行輪開口部42及び走行輪103の各々の位置に整合させて、ベースフレーム材8の長手方向に対して直交する支点ピボット軸121が設けられており、これらの支点ピボット軸121に、走行輪ブラケット104の側面部分が回動自在に軸支され、これによって走行輪103全体が、ベースパレット101の下面よりも高い収容位置103Aと、ベースパレット101の下面から下方に突出した突出位置103Bとの間を回動可能である。
【0090】
支点ピボット軸121は、回動キャスター輪105の固定ボルト106と固定ナット107を避けて左右に二分割されており、側面視(図29参照)で支点ピボット軸121と固定ボルト106と固定ナット107とが重なるように配置され、これによって支点ピボット軸121の位置、即ち走行輪103の回動中心点が極力下方に下げられている。これにより、走行輪可動機構120を構成する各部材の位置を低くしてフォークエントリー3の縦寸法を大きく確保することができる。
【0091】
図30に示すように、支点ピボット軸121は、例えば走行輪ブラケット104の側面に内側から圧入固定されたインナーカラー121aと、ベースフレーム材8の側面に外側から圧入固定されてインナーカラー121aの外側を覆うアウターカラー121bと、このアウターカラー121bの内径部に外側から挿入されてインナーカラー121aに突き当てられるインナーカラー121cと、ベースフレーム材8の外側からインナーカラー121c,121aに挿入されてインナーカラー121aに締結されるピボットボルト121dとから構成されている。ピボットボルト121dとインナーカラー121a,121cとは一体の軸状になってアウターカラー121bの内周で相対回転自在になるため、走行輪103(走行輪ブラケット104+回動キャスター輪105)が自在に回動できる。
【0092】
また、走行輪ブラケット104の側面の、支点ピボット軸121から上方に離間した位置に力点ピボット軸122が設けられている。この力点ピボット軸122は、例えば走行輪ブラケット104の両側面を貫通するように架設されたピボットカラー122aと、このピボットカラー122aの内部に挿通されたピボットボルト122b及びナット122cから構成されている。
【0093】
さらに、1本のベースフレーム材8あたり3箇所に設けられた走行輪103(走行輪ブラケット104)の、各力点ピボット軸122を、ベースフレーム材8の長手方向に沿って互いに連接する同調連結ロッド123が、各ベースフレーム材8の内部に2本ずつ設けられている。この同調連結ロッド123は、例えば金属パイプ材の両端と中間部とを平らに潰して3つの平坦部123a,123b,123cを形成し(図28参照)、これらの平坦部123a,123b,123cに穴を穿設したものである。3つの平坦部123a,123b,123cの穴の間隔寸法は、3つの支点ピボット軸121の間隔寸法に等しく設定されている。なお、この同調連結ロッド123は、コの字断面状に折曲した走行輪ブラケット104の両側面に1本配設されているが、例えば走行輪ブラケット104をL字断面状に形成して、その一側面に1本のみ配設する構成としてもよい。
【0094】
図30に示すように、走行輪ブラケット104の力点ピボット軸122において、ピボットカラー122aの長さ寸法は走行輪ブラケット104の外幅寸法よりも大きく、ピボットカラー122aの両端部が走行輪ブラケット104の側面からはみ出しており、このはみ出した部分に同調連結ロッド123の平坦部123a,123b,123cが軸支され、ピボットボルト122bとナット122cが締結される。この締結力はピボットカラー122aにのみ加わって走行輪ブラケット104や平坦部123a,123b,123cには加わらないため、同調連結ロッド123が走行輪ブラケット104に対して相対回動自在に保たれる。なお、図30において、同調連結ロッド123の平坦部123aに重なって力点ピボット軸122に軸支されている部材128bは、後述する連動ロッド128の平坦部である。他の2つの力点ピボット軸122においては同調連結ロッド123の平坦部123b,123cのみが軸支される。
【0095】
こうして、同調連結ロッド123により、1本のベースフレーム材8あたり3箇所に設けられた走行輪ブラケット104の力点ピボット軸122が等間隔で連結されるため、仮に1つの走行輪103が支点ピボット軸121を中心に収容位置103Aと突出位置103Bとの間を回動した場合、他の2つの走行輪103もこれに同調して連動し、3つの走行輪103が同時に収容位置103Aと突出位置103Bとの間を回動する。
【0096】
さらに、合計9つの走行輪103を、収容位置103A又は突出位置103Bに選択的に、且つ一斉に移動させる走行輪操作機構125が設けられている。この走行輪操作機構125は、1本の操作回動軸126と、3つの回動ブラケット127と、6本の連動ロッド128と、1本のレバー部材129とを備えて構成されている。
【0097】
操作回動軸126は、実施の形態1における操作回動軸61(図16等参照)と同様に、ベースパレット101の一端側において、3本のベースフレーム材8に直交する方向に延び、図31に示すように、各ベースフレーム材8に貫通されて回動自在に軸支されている。この操作回動軸126の軸支高さは、図29(a)に示すように、操作回動軸126の上縁126aが、フォークエントリー3の下辺3aよりも低くなるように設定され、フォークエントリー3に挿入されるフォークが操作回動軸126に衝突しないようにされている。なお、各ベースフレーム材8には操作回動軸126用の軸受ブッシュ126bが圧入固定され、操作回動軸126には軸方向への動きを規制するスラストストッパー126cが固定されている(図31参照)。
【0098】
3つの回動ブラケット127は、それぞれ3本のベースフレーム材8の内部にて操作回動軸126に2本のボルト127cで回動一体に固定されたコの字断面のブラケットベース127aの上に、同じくコの字断面の短い回動レバー部材127bが固着されたものであり、回動レバー部材127bの自由端部には始点ピボット軸131が設けられている。始点ピボット軸131は、例えば回動レバー部材127bの両側面を貫通するように架設されたピボットカラー131aと、このピボットカラー131aの内部に挿通されたピボットボルト131b及びナット131cから構成されており、始点ピボット軸131の軸方向は操作回動軸126の軸方向と平行である。
【0099】
一方、連動ロッド128は、例えば先述の同調連結ロッド123と同様に、金属パイプ材の両端を平らに潰して平坦部128a,128bを形成し、この平坦部128a,128bに穴を穿設したものである。図28、図29、図31に示すように、連動ロッド128の一方の平坦部128aは回動ブラケット127(回動レバー部材127b)の始点ピボット軸131に連結される。図31に示すように、始点ピボット軸131において、ピボットカラー131aの長さ寸法は回動レバー部材127bの外幅寸法よりも大きいため、ピボットカラー131aの両端部が回動レバー部材127bの側面からはみ出しており、このはみ出した部分に連動ロッド128の一方の平坦部128aが軸支され、ピボットボルト131bとナット131cが締結される。
【0100】
ピボットボルト131bとナット131cの締結力はピボットカラー131aにのみ加わって回動レバー部材127bや平坦部128aには加わらないため、連動ロッド128は回動レバー部材127bに対して相対回動自在である。また、連動ロッド128の他方の平坦部128bは、図28、図29、図30に示すように、最も操作回動軸126に近い走行輪103(走行輪ブラケット104)の力点ピボット軸122に連結され、先述したように同調連結ロッド123の平坦部123aに重ねて力点ピボット軸122に軸支される。
【0101】
そして、図29(a),(b)に示すように、支点ピボット軸121と、力点ピボット軸122と、操作回動軸126と、始点ピボット軸131とによって、側面視で4点リンク機構が構成されている。
【0102】
レバー部材129は、図28、図29及び図31に示すように、操作回動軸126の一端に固定、又は着脱可能に設けられる棒ハンドル状の部材であり、例えば操作回動軸126の一端に固着されたレバーボス133に2本の固定ボルト134で締結されている(図31参照)。このレバー部材129は、図29(b)に示す水平位置129aと、図28、図29(a)及び図31に示す直立位置129bとの間を約90度回動させることができる。
【0103】
レバー部材129と3つの回動ブラケット127は、操作回動軸126の軸方向視で相対角度を45°ずらされて操作回動軸126に固定されており、図29(a)に示すようにレバー部材129が直立位置129bにある時には各回動ブラケット127が走行輪103の反対側に向かって45°傾斜し、図29(b)に示すようにレバー部材129が水平位置aにある時には、各回動ブラケット127が走行輪103側に向かって45°傾斜した姿勢となる。
【0104】
例えばレバー部材129が図29(b)に示す水平位置129aから図29(a)に示す直立位置129bまで90°回動すると、操作回動軸126が反時計回りに90°回動し、操作回動軸126に固定された3つの回動ブラケット127が、走行輪103側に45°傾いた角度から反走行輪103側に45°傾いた角度まで回動する。そして、この回動ブラケット127の動きが始点ピボット軸131と連動ロッド128とを介して、操作回動軸126に一番近い走行輪103の力点ピボット軸122に伝達され、この走行輪103が連動ロッド128に牽引される形で時計回りに回動して収容位置103Aから突出位置103Bに回動し、同調連結ロッド123により連結された他の走行輪103も収容位置103Aから突出位置103Bに同調して回動する。このようにして、3本のベースフレーム材8にそれぞれ3個ずつ設けられた合計9個の走行輪103が全て同期して収容位置103Aから突出位置103Bに回動する。逆に、レバー部材129が直立位置129bから水平位置129aに回動した場合には、9個の走行輪103が全て突出位置103Bから収容位置103Aに回動する。
【0105】
走行輪可動機構120は、以上のように構成されている。なお、図29(b)に示すように、各走行輪103が収容位置103Aにある時において、走行輪103を構成する走行輪ブラケット104、回動キャスター輪105等の部材と、走行輪可動機構120を構成する支点ピボット軸121、力点ピボット軸122、同調連結ロッド123、走行輪操作機構125(操作回動軸126、回動ブラケット127、連動ロッド128、レバー部材129)等の構成部材と、ベースフレーム材8の上面の高さとの間には所定の広さのスペースSが設けられ、このスペースSを貫通するようにフォークエントリー3が形成されている。
【0106】
この発明の実施の形態3に係る航空コンテナのベースパレット101及び走行輪可動機構120の構成によれば、実施の形態1に係る走行輪可動機構41と同様に、市販の中空角柱材を用いてベースフレーム材8を形成することができ、簡素で安価、且つ軽量な構造によってベースパレット101を構成し、且つ強靭なベースフレーム材8によって走行輪可動機構120の主要部を破損から保護することができる。
【0107】
また、実施の形態1に係る走行輪可動機構41よりもさらに簡単、且つ軽量な構造により、複数の走行輪103を一斉にベースパレット101の下面から出没可能にして、航空コンテナの移動を容易にすることができる。
【0108】
さらに、走行輪103及び走行輪可動機構120の構成部材と、ベースフレーム材8の上面の高さとの間に所定の広さのスペースSを設け、このスペースSを貫通するようにフォークエントリー3をベースフレーム材8に形成したため、フォークエントリー3にフォークリフトのフォークが挿入される際に、フォークが走行輪可動機構120の構成部材に衝突することを確実に防止し、各構成部材を破損から保護することができる。
【0109】
なお、このベースパレット101に設置されるコンテナ本体は、実施の形態1のコンテナ本体5でも、実施の形態2のコンテナ本体82でもよく、さらには他の種類のコンテナ本体を設置することもできる。
【符号の説明】
【0110】
1 航空コンテナ
2,3 フォークエントリー
4,101 ベースパレット
5 コンテナ本体
8 ベースフレーム材
9 ベース板材
11 中空パネル材料
12 中空錐台状の凸部
13 芯材
14 表面材
41,120 走行輪可動機構
42 走行輪開口部
44 走行輪である回動キャスター輪
44A 収容位置
44B 突出位置
46 走行輪駆動部材
51 転動輪である固定キャスター輪
56 ハンプ部
60,125 走行輪操作機構
61 操作回動軸
62 可動側連結部
63 回動側連結部
64 連結リンク
65 レバー部材
103 走行輪
103A 収容位置
103B 突出位置
121 支点ピボット軸
122 力点ピボット軸
123 同調連結ロッド
126 操作回動軸
127 回動ブラケット
128 連動ロッド
129 レバー部材
131 始点ピボット軸
S スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークエントリーを備えたベースパレットと、前記ベースパレットの上面に設けられるコンテナ本体とを備えた航空コンテナにおいて、
前記ベースパレットの下面よりも高い収容位置と、前記ベースパレットの下面から下方に突出した突出位置との間を可動するように設けられた複数の走行輪と、
前記複数の走行輪を、前記収容位置と前記突出位置との間で一斉に可動させる走行輪可動機構とを有することを特徴とする航空コンテナ。
【請求項2】
前記ベースパレットは、
平行に並べられて、その下面に前記走行輪を出没させる走行輪開口部が形成された複数の中空角柱状のベースフレーム材と、
該ベースフレーム材の上下両面に固定されるベース板材とを備えた構造であり、
前記フォークエントリーは、前記複数のベースフレーム材と前記ベース板材との間を通る方向、及び前記ベースフレーム材を直交する方向に形成され、
前記走行輪可動機構は、
前記ベースフレーム材の内部空洞に挿通されて該内部空洞の長手方向に延在し、該内部空洞の長手方向に移動自在であり、その下面に前記走行輪が設けられる走行輪駆動部材と、
前記走行輪駆動部材の上面側、且つ前記走行輪が設けられた位置の反対面に設けられて該走行輪駆動部材の移動に伴い前記ベースフレーム材の上内面を転動する転動輪と、
前記ベースフレーム材の上内面に、下方に向かって突設されて前記転動輪を乗り上げさせるハンプ部と、
前記走行輪駆動部材を前記ベースフレーム材の長手方向に移動させて前記走行輪の位置を前記収容位置又は前記突出位置に選択的に移動させる走行輪操作機構とを有して構成され、
前記走行輪は垂直面方向に回転自在、且つ水平面方向に回動自在であり、この走行輪は、前記転動輪が前記ハンプ部に乗り上げていない時には前記収容位置に配置され、前記転動輪が前記ハンプ部に乗り上げた時には前記走行輪開口部から下方に突出して前記突出位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の航空コンテナ。
【請求項3】
前記走行輪操作機構は、
前記複数の走行輪駆動部材に各々設けられた可動側連結部と、
前記複数のベースフレーム材に直交する方向に延び、前記各ベースフレーム材に貫通されて回動自在に軸支された操作回動軸と、
前記操作回動軸に回動一体に設けられた複数の回動側連結部と、
前記可動側連結部と前記回動側連結部との間を連結する複数の連結リンクと、
前記操作回動軸を回動させるレバー部材とを備え、
前記レバー部材が回動して前記操作回動軸と前記回動側連結部とが回動すると、この動きが前記連結リンクを介して前記可動側連結部に伝達され、これにより前記操作回動軸の回動が前記走行輪駆動部材の長手方向への移動に変換されるように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の航空コンテナ。
【請求項4】
前記コンテナ本体は、合成樹脂材料からなる1枚の、全方向に折り畳み可能な中空パネル材料を折曲して形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の航空コンテナ。
【請求項5】
前記中空パネル材料は、熱可塑性樹脂シートに突設された中空錐台状の凸部同士を突き合せた状態で熱融着してなる芯材の両面に、熱可塑性樹脂シートからなる表面材を貼り合わせた構造であることを特徴とする請求項4に記載の航空コンテナ。
【請求項6】
前記コンテナ本体は、その折り畳み時に、平面視で前記ベースパレットの外周輪郭線以内に収まることを特徴とする請求項4に記載の航空コンテナ。
【請求項7】
前記ベースパレットは、
平行に並べられて、その下面に前記走行輪を出没させる走行輪開口部が形成された複数の中空角柱状のベースフレーム材と、
該ベースフレーム材の上下両面に固定されるベース板材とを備えた構造であり、
前記フォークエントリーは、前記複数のベースフレーム材と前記ベース板材との間を通る方向、及び前記ベースフレーム材を直交する方向に形成され、
前記走行輪可動機構は、
前記ベースフレーム材に形成された前記走行輪開口部の各々の位置に整合させて設けられ、前記ベースフレーム材の長手方向に対し直交し、前記走行輪を前記収容位置と前記突出位置との間で回動自在に軸支する複数の支点ピボット軸と、
前記複数の走行輪の、前記支点ピボット軸から離間した位置にそれぞれ設けられた力点ピボット軸と、
前記複数の力点ピボット軸を、前記ベースフレーム材の長手方向に沿って互いに連結し、各走行輪を前記収容位置と前記突出位置との間で同調させて回動させる同調連結ロッドと、
前記走行輪の位置を前記収容位置又は前記突出位置に選択的に移動させる走行輪操作機構とを有して構成され、
前記走行輪は垂直面方向に回転自在、且つ水平面方向に回動自在であることを特徴とする請求項1に記載の航空コンテナ。
【請求項8】
前記走行輪操作機構は、
前記複数のベースフレーム材に直交する方向に延び、前記各ベースフレーム材に貫通されて回動自在に軸支された操作回動軸と、
前記操作回動軸を回動させるレバー部材と、
前記操作回動軸に回動一体に設けられて、その自由端部に始点ピボット軸を備えた複数の回動ブラケットと、
一端が前記始点ピボット軸に連結され、他端が前記複数の力点ピボット軸の少なくとも1つに連結される連動ロッドとを備え、
前記操作回動軸と、前記始点ピボット軸と、前記支点ピボット軸と、前記力点ピボット軸とで4点リンク機構をなし、
前記レバー部材が回動して前記操作回動軸と前記回動ブラケットとが回動すると、その動きが前記始点ピボット軸と前記連動ロッドとを介して前記力点ピボット軸に伝達され、前記走行輪が前記収容位置と前記突出位置との間を回動するように構成されたことを特徴とする請求項7に記載の航空コンテナ。
【請求項9】
前記走行輪及び前記走行輪可動機構の構成部材と、前記ベースフレーム材の上面の高さとの間に所定の広さのスペースを設け、このスペースを貫通するように前記フォークエントリーを前記ベースフレーム材に形成したことを特徴とする請求項2,3,7,8の何れかに記載の航空コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2011−116451(P2011−116451A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297807(P2009−297807)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(591017065)株式会社松田技術研究所 (11)
【Fターム(参考)】