説明

航空機のナセルの空気取り入れ口に更に特に適応した消音処理用構造体

【課題】本発明の対象は、航空力学的流束が上に流動する翼前縁の高さに、とりわけ航空機のナセルの高さに取り付けてある、消音処理のための構造体であり、
【解決手段】消音処理のための同構造体は、外側から内側に、少なくとも1つの耐久性消音用下部構造体(30)、航空力学的流束流動方向に垂直な方向に配置してある小胞の帯状部(32)を備えている少なくとも1つの蜂窩状下部構造体および少なくとも1つの反射層(34)を含んでおり、各帯状部(32)は、長手方向にU字型形状の断面を有し、U字型形状の底部の反対側の口が開いている面が耐久性消音用下部構造体にぴったり付けられている、支承部と呼んでいる、帯状部を相互に隔離する第1部分、ならびに支承部と耐久性消音用下部構造体(30)で画定されている空間を小胞に区画することを許す、仕切りと呼んでいる第2部分を含むことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機のナセルの空気取り入れ口に更に特に適応した消音処理用構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
空港の近接地における騒音公害を制限すべく、国際規定は、騒音発生に関して、制約がますます厳しくなっている。
【0003】
とりわけヘルムホルツ共鳴原理を利用することによって、音響エネルギーの一部を吸収することを狙いとする、導管、パネル、被覆材または構造体を壁面の高さに配置することによって、航空機が発生する騒音、とりわけ推進用集合体から発生される騒音を減らすための技術が開発された。既知の方法で、消音処理のための被覆材は、外方から内方に、耐久性消音用多孔質層、少なくとも1つの蜂窩状下部構造体および反射層すなわち不透過層を含んでいる。
【0004】
層とは、同一性質またはそうではない1または複数の層を指す。
【0005】
耐久性消音用多孔質層は、同層を貫通する音響エネルギーを部分的に熱に変換する分散的役割を有する。同層は、音波を通すことのできる、開放区域と呼ばれている区域および音波を通さないが、同層の力学的強さを確実にする閉鎖区域または充実区域と言われている区域を含んでいる。この耐久性消音用層は、主としてエンジンに応じて、同層を構成している成分の開放面積の比率の相違を特徴としている。
【0006】
蜂窩状下部構造体は、第1仮想表面および第2仮想表面で画定されており、同第1仮想表面の高さに、耐久性消音用多孔質層が直接または間接的に取り付けられることができ、同第2仮想表面の高さに、反射層が直接または間接的に取り付けられることができ、ならびに一方では、第1表面の高さに口が開いており、他方では、第2表面の高さに口が開いている、複数の導管を含んでいる。この導管は、一方では、耐久性消音用多孔質層に閉鎖され、他方では、反射層に閉鎖されて小胞を形成するように閉鎖されている。
【0007】
蜂窩状組織が蜂窩状下部構造体を形成すべく利用される。いろいろなタイプの材料が蜂窩状組織を形成するために利用できる。
【0008】
一実施態様によれば、蜂窩状組織は、第1方向に伸びている垂直面に配置してある帯状部で得られ、各帯状部は、各連結区域間に間隔を空けて、隣接帯状部に交互に連結されている。したがって、集合している帯状部が第1方向に垂直方向に膨張すると、帯状部が六角形導管の側壁を形成して、蜂窩状パネルが得られる。この配置構成によって、圧縮と矯曲に対する大きな機械的強さが得られる。
【0009】
消音処理のための構造体の場合では、複合体は、平らに製作してあり、すなわち耐久性消音用多孔質層と反射層は、平らな配置構成内で蜂窩状下部構造体に連結されている。
【0010】
これから先では、複合体は、処理すべき表面の高さに成形される。平らな壁面または大きな直径のナセルの円柱状壁面の場合、この成形は実施できる。小さい直径の導管または可展面でない複雑な表面、例えば、ナセルの空気取り入れ口のような2つの曲線半径を有する場合には、そのようにはいかない。
【0011】
この成形上の困難は、まず、矯曲に対する大きな抵抗力を有する蜂窩状パネルそのものの性質による。したがって、蜂窩状パネルが、上方に方向付けてあり、第1面にほぼ垂直な面に配置してある第1曲線半径に曲げられると、下方に方向づけられて、第1面にほぼ垂直な面に配置してある曲線半径の原因になる可能性があり、蜂窩状パネルは、馬の鞍状または双曲放物面状になり得る。
【0012】
成形上のこの困難は、弾性的でない蜂窩状下部構造体と諸層間の連結の性質にも起因する。したがって、強制的に平らに製作された蜂窩状構造体は、加圧下の成形によってもろくなる。
【0013】
どの場合にも、消音処理のための構造体として使用される複合体の成形は、複雑かつ高価な工具類を必要としており、その結果、工程面で時間が掛かる。
【0014】
別の問題として、この複合体を曲げることができたとしても、蜂窩状下部構造体の導管の側壁の偶然による変形を惹き起すので、現在の解決策は満足すべきではないに違いなく、導管の同側壁が反射層と耐久性消音用層に隠されているので、導管の同側壁の位置決定は微妙である。
【0015】
複合体の成形のための困難を考慮すると、消音的に処理される面積の範囲は、ナセルの導管の内部では限られており、同処理面積は、ナセルの空気取り入れ口の唇部の高さに延長されない。
【0016】
重要な別の制約により、長手方向において、間隔が開いている2点間で蜂窩状下部構造体が比較的密閉でなければならないのは、航空力学的表面の高さで擾乱流束の生成の可能性のある消音処理のための構造体の内部で、この2点間に空気の吐出量を生じないためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ゆえに、本発明は、ナセルの長手方向における間隔の開いている2点間で、比較的密閉の航空機の同ナセルの空気取り入れ口のような複合表面に適応しやすい構造を提案することによって、従来の技術の欠点の排除を狙いとしている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そのために、本発明は、とりわけ航空機のナセルの空気取り入れ口で航空力学的流束が流動する翼前縁の高さに取り付けてある消音処理のための構造体を目的としており、同構造体は、外側から内側に、少なくとも1つの耐久性消音性下部構造体、航空力学的流束の流動方向にほぼ垂直に配置してある小胞の帯状部を具えた少なくとも1つの蜂窩状下部構造体および少なくとも1つの反射層を含んでおり、各帯状部が、耐久性消音用下部構造体にぴったり重ね合わせてあるU字型の形状の底部の反対側に開いている面を有する、長手方向にU字型の断面付きの支承部と呼ばれる、帯状部を相互に隔離する第1部分、ならびに支承部と耐久性消音用下部構造体で画定されている空間を小胞に区画する、仕切りと呼ばれる少なくとも1つの第2部分を含むことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
その他の特性と利点は、添付図に照らして、単に例として示した記述である、本発明のこれから先の記述で明らかになるだろう。すなわち、
【図1】航空機のナセルの斜視図である。
【図2】ナセルの前部の長手方向面による断面図である。
【図3A】本発明の第1の変形態様によるナセルの前部の断面図である。
【図3B】本発明の別の変形態様によるナセルの前部の断面図である。
【図4】第1の変形態様による消音のための構造体の部分斜視図である。
【図5】本発明の別の変形態様による消音のための構造体の部分的斜視図である。
【図6】本発明の別の変形態様による消音のための構造体の部分的斜視図である。
【図7】耐久性消音用下部構造体を示す図6の消音処理のための構造体の斜視図である。
【図8】本発明による消音処理のための構造体の部分的な別の配置構成の斜視図である。
【図9】霜処理の各種配置構成を示す断面図である。
【図10】蜂窩状下部構造体の第1部分の斜視図である。
【図11】蜂窩状下部構造体の第2部分の斜視図である。
【図12】図10と図11に見える部分の集合後に得られる蜂窩状下部構造体の帯状部を示す斜視図である。
【図13】蜂窩状下部構造体の帯状部の別の変形態様を示す斜視図である。
【図14】蜂窩状下部構造体の帯状部の別の変形態様を示す斜視図である。
【図15】実施中の蜂窩状下部構造体の小胞の列の斜視図である。
【図16】別の実施態様による蜂窩状下部構造体の小胞の部分的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0020】
本発明は、これから航空機の推進用集合体の空気取り入れ口に適用して記述することにする。しかしながら、消音処理が実施される高さで、航空機の各種翼前縁または航空機の各種表面に適用できる。
【0021】
図1に、支柱12を介して、翼の下に連結されている推進用集合体10を示した。しかしながら、この推進用集合体は、航空機の他の区域に連結されることがあり得るだろう。
【0022】
この推進用集合体は、軸16上に取り付けてある送風機を駆動する動力機構がほぼ同心円的に配置してあるナセル14を含んでいる。長手方向は、18で照合番号を付したナセルの軸の方向に当たる。
【0023】
ナセル14は、前方で空気取り入れ口22と共に導管を画定する内壁20を含んでおり、一次流束と呼ばれている、流入する空気の流束の第1部分が燃焼に加わるために動力機構を貫流し、ならびに二次流束と呼ばれている、空気の流束の第2部分が送風機に駆動されて、ナセルの内壁20と動力機構の外壁に画定されている環状導管内を流動する。
【0024】
空気取り入れ口22の前部24は、長手方向軸18にほぼ垂直な面に、または前部に垂直でなく、12時をほんの少し進んだ位置で伸びているほぼ円形の形状を呈している。しかしながら、空気取り入れ口の他の形状も考慮できる。
【0025】
ナセルの規模に応じて、空気取り入れ口は、長手方向に垂直な面で導管20の半径にほぼ相当する弱い第1曲線半径、およびとりわけナセルの空気取入口22の翼前縁と導管20との間に、長手方向面に、弱い第2曲線半径を含むことがあり得る。
【0026】
これから先の記述では、航空力学的表面とは、航空力学的流束と接触する航空機の外皮を指すことにする。
【0027】
公害の影響を抑えるべく、とりわけヘルムホルツ共鳴原理を利用することによって、音響エネルギーの一部を吸収することを狙いとする消音処理のための構造体26が、主として内壁20の航空力学的表面の高さに設けられている。既知の方法で、消音用パネルとも呼ばれている、消音処理のためのこの構造体は、内側から外側に、反射層、蜂窩状下部構造体および耐久性消音用下部構造体を含んでいる。
【0028】
変形態様では、消音処理のためのこの構造体は、中隔と呼ばれている耐久性消音用下部構造体で隔離してある複数の蜂窩状下部構造体を含むことができる。
【0029】
消音処理のための構造体28は、空気取り入れ口22の高さに設けてある。
【0030】
本発明では、消音処理のための構造体28は、外側から内側に、耐久性消音用下部構造体30、弱い曲線半径を含む面、すなわち空気取り入れ口22の場合、長手方向面にほぼ垂直な方向に隣り合わせに配置してある諸蜂窩状小胞の帯状部32、ならびに少なくとも1つの反射層34を含んでいる。
【0031】
ナセルの空気取り入れ口の場合、諸帯状部32は、別々の2つの帯状部に設けられている、長手方向に間隔が開いている2点間で空気の流通ができるように、相互に隔てられている。したがって、この配置構成は、第1点における減圧、および第2点における同構造体の外部への空気の送り出しの理由で、消音処理のための構造体の内部への空気の吸引の理由で、導管20に入ってくる流束の擾乱の危険を抑制できる。
【0032】
製造を単純化するために、帯状部32は、長手方向面で長方形または正方形断面を有する。帯状部32は、耐久性消音用下部構造体30の曲線状輪郭に適応するために、分離してあり、2つの帯状部間の間隔は、耐久性消音用下部構造体と離れるにつれて短くなる。
【0033】
したがって、本発明による消音処理のための構造体は、ナセルの空気取り入れ口のような小さい曲線半径を含んでいる表面に適応できる。
【0034】
帯状部32は、1つの小胞から他の小胞への空気の流動を抑制すべく、同一帯状部の小胞内の気圧の均衡が得られるために、長手方向面にほぼ垂直な方向に配置してある。
【0035】
別の利点として、この配置構成は、相互にヒンジ連結状になれる帯状部32の能力によって、衝撃、とりわけ鳥の衝突の漸進的緩和を可能にしている。
【0036】
なお、この配置構成は、帯状部間の間隔が空気取り入れ口の外面の高さに、熱気を霜処理のために誘導する目的で、帯状部32間に、導管を耐久性消音用下部構造体の高さに配置することが可能であるので、消音処理を霜処理に配設できる。
【0037】
図3Aと図3Bに示したように、ナセルの空気取り入れ口は、軸流的形状を有するのではなく、底部の高さで処理される区域は、高部の長さよりも大きい長さ(長手方向における)を有する。したがって、図3Aでは、諸帯状部32は、全周縁に平均的断面を有することができるが、相互に平行しているのではなく、周縁上で異なる間隔を有することができ、相次ぐ2つの帯状部間で、間隔は、高部よりも底部で、より大きい。変形態様では、帯状部32は、周縁でより大きい断面を有することができるが、周縁で平均的間隔にすることもできる。ゆえに、帯状部の断面は、高部よりも底部で、より大きい。
【0038】
図3Bに示したように、帯状部は平行していて、平均した断面を有し、間隔は平均であり得る。この場合、少なくとも1つの帯状部は、全周縁に広がっているのではなく、周縁の下半分だけに広がっている。
【0039】
変形態様では、帯状部32は、側壁が並行している、または図8に示したように、並行していないことができる。
【0040】
有利なことに、各帯状部32は、反射層を含んでおり、諸反射層は、相互に独立している。この配置構成で、帯状部32が曲線状輪郭によりよく適応できる。
【0041】
一実施態様では、各帯状部32は、長手方向にU字型断面を有する、
支承部と呼んでいる第1部分36を含んでおり、同第1部分は、U字型形状の底部の反対側に開いている面が耐久性消音用下部構造体30にぴったり重ね合わされており、および支承部36と耐久性消音用下部構造体30によって画定されている空間を小胞に区画することを可能にする、隔壁と呼んでいる少なくとも1つの第2部分38を含んでいる。
【0042】
U字型形状で、長手方向で消音処理のための構造体の内側に空気の流束の伝播を制限する密閉な小室が得られる。
【0043】
諸変形態様では、U字型形状の側壁の開きは、全周縁で一定であり得ることができ、または図8に示したように、変化することができる。
【0044】
諸変形態様では、支承部36は、金属製または合成材料製であり得る。
【0045】
諸変形態様では、支承部36は、反射層34の機能を確実にする反射面になる。
【0046】
場合によって、諸帯状部32の支承部36は、図5、図6、図7、図15に示したように、相互に独立しているか、または図4と図16に示したように、耐久性消音用下部構造体の高さに連結してある。
【0047】
この場合、消音処理のための構造体は、図16に示したように、溝形状の支承部を含んでおり、そのとき帯状部32は、耐久性消音用下部構造体の高さで相互に連結されているが、耐久性消音用下部構造体と接触している支承部の稜の高さで、単一支承部が変形できるので、とにかく相互にヒンジ連結的に変形できる。
【0048】
どの場合にも、支承部36のU字型形状の2つの枝部は、その基部の末端に、U字型の支承部の内側に位置している区域を、より気密にするために、耐久性消音用下部構造体にぴったり重ね合わさることのできる支承面を提供する縁部を備えている。この配置構成で、別々の2つの帯状部32の2点間の消音処理のための構造体の内部への空気の流入の危険を抑制することを可能にしている。
【0049】
諸変形態様では、相次ぐ2つの支承部間の折り返し縁部39は、別々であり、または図16に示したように、連結されている。
【0050】
諸変形態様では、折り返し縁部39は、U字型形状の支承部の外側に方向づけることができ、またはU字型形状の支承部の内側に方向づけることが可能である。
【0051】
図13に示した変形態様では、仕切り38は、例えば、相次いで配置してある独立の複数の円筒形形状の相互に独立している複数の壁面を含むことができ、または支承部の側壁と消音性小胞を画定するために、長手方向面に伸びているプレートの形状で、相互に独立している複数の壁面を含むことができる。
【0052】
図8、図10、図11、図12、図14および図15に示した、好ましい実施態様では、仕切り38は、図8に示したように、少なくとも1つの波状プレート40、図10に示したように溝状、または図14に示したように鋸の歯状のプレートを含んでおり、同プレートは、図8、図12および図14に示したように、支承部36のU字型の底部に垂直に配置してあり、U字型の2つの枝部を交互に連結してある。
【0053】
この配置構成で、溶接点のような固定手段に依存することなく、その形状で、底部に垂直に維持される単純な方法による小胞の分割壁面が得られる。
【0054】
したがって、図10、図12.図15に示した変形態様では、プレート40の第1壁面40.1は、U字型の支承部の側壁36.1に垂直に配置してあり、同プレートの第2壁面40.2は、側壁36.1に平行に配置してあり、仕切り38が支承部36内に位置づけてあるとき、U字型の支承部の側壁36.1に隣り合わせにぴったり重ね合わされている。したがって、2つの壁面40.1内の空間は、1つの小胞39に当たる。
【0055】
仕切り38を支承部36内に固定させるために、溶接点を設けられる。
【0056】
この配置構成では、各帯状部32の小胞は、外側に対して完全に密閉である。同一帯状部の小胞が相互に完全に密閉でなくても、消音面ではマイナスではなく、たまたま必要があれば、小胞内に溜まった水を排除することが可能である。
【0057】
霜処理方式(除霜または防霜)に関連して、帯状部32は、隣り合わせに耐久性消音用下部構造体32の上に取り付けることができ、または有利なことに、相互に空間を空けて、空気圧除霜方式の場合に熱気を誘導する導管を配置できるようにすることができる。
【0058】
本発明では、耐久性消音用下部構造体30は、充実した区域および音波を透過させておく孔部または微小孔部を有する区域を含んでいる。
【0059】
好ましいことに、穿孔の無い充実した区域は、図7に示したように、帯状部の形状、すなわち第1方向における第1組の帯状部42および第1方向に垂直な第2方向における第2組の帯状部44状を呈している。
【0060】
一実施態様では、耐久性消音用下部構造体30は、複数の層、例えばワイヤメッシュのように微小孔を含む少なくとも1つの耐久性層、および図7に示した耐久性層の微小孔を露出させる開口部46、すなわち帯状部42と44で画定されている開口部46を含む少なくとも1つの構造体層を含むことができる。
【0061】
帯状部32は、支承部36の底部の反対側の開口面と、構造体層の開口部46とを一致させるように、耐久性消音用下部構造体30上に取り付けてある。構造体層の若干の帯状部42は、巾がより広く、諸帯状部32間に設けられている間隔用区域に直角に配置してある。
【0062】
好ましいことに、耐久性消音用下部構造体は、消音処理のための構造体が、帯状部32を取り付ける前に、表面の形状に応じて、同形状の高さで、予め形成しておくこと、または予め形成しないことを予定できる。
【0063】
本発明では、ある程度の柔軟性を許す帯状部32の形状の蜂窩状下部構造体によって、弱い曲線半径で消音処理のための構造体を曲げることが可能である。
【0064】
本発明では、消音処理のための構造体は、消音処理と霜処理の共存も同じく許している。
【0065】
したがって、導管48を耐久性消音用下部構造体30の高さに設けられる。この導管48は、図5、図6および図7に示したように、帯状部32と同一方向に伸びることができ、または図4に示したように、同帯状部32に垂直な方向に伸びることができる。
【0066】
図9に示した諸変形態様では、導管48は、帯状部32間に設けてある間隔区域に直角に配置でき、または諸帯状部の側壁36の高さに配置できる。
【0067】
図6と図7に示した一実施態様では、耐久性消音用下部構造体30は、少なくとも2つの層、すなわち平らな第1層または消音処理のための構造体が設けてある表面の高さで同層の輪郭を有する第1層50、ならびに2つの層50と52が相互にぴったり重ね合わされているとき、導管48になる溝54を含む第1層50と帯状部32との間に介在する第2層52を含んでいる。
【0068】
図9に示したように、霜処理は、耐久性消音用下部構造体30を貫流し、または貫流しない、帯状部間の熱気の流動で得られる。
【0069】
空気取り入れ口用に記述してきたが、本発明では、消音処理のための構造体は、この適用例に限定されていない。したがって、この構造体は、例えば翼の翼前縁のような航空機の他の表面に適応できるだろう。
【0070】
本発明による消音処理のための構造体は、少なくとも弱い曲線半径を有する表面に特に適応している。
【符号の説明】
【0071】
10.推進用集合体
12.支柱
14.ナセル
16.動力機構の軸
18.ナセルの軸
20.ナセルの内壁
22.空気取り入れ口
24.空気取り入れ口の前部
26.消音処理のための構造体
28.消音処理のための構造体
30.耐久性消音用下部構造体
32.蜂窩状小胞の帯状部
34.反射層
36.支承部(第1部分)
36.1.側壁
38.仕切り(第2部分)
39.折り返し縁部
40.プレート
40.1.第1壁面
40.2.第2壁面
42.帯状部空間
44.帯状部空間
46.構造体層の開口部
48.導管
50.第1層
52.第2層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消音処理のための構造体が、外側から内側に、少なくとも1つの耐久性消音用下部構造体(30)、航空力学的流束の流動方向にほぼ垂直な方向に配置してある、小胞の帯状部(32)を有する少なくとも1つの蜂窩状下部構造体および少なくとも1つの反射層を含んでおり、各帯状部(32)が、U字型形状の底部の反対側が開いている面が耐久性消音用下部構造体(30)にぴったり重ね合わされている、長手方向におけるU字型形状を有する、支承部と呼んでいる、帯状部を相互に隔離する第1部分(36)、ならびに支承部(36)と耐久性消音用下部構造体(30)で画定された空間を小胞に区画することのできる、仕切りと呼んでいる第2部分(38)を含むことを特徴とする、航空力学的流束が上を流動する、翼前縁の高さに取り付けられた、消音処理のための構造体。
【請求項2】
支承部(36)のU字型形状の2つの枝部が、その基部の末端の高さに、耐久性消音用下部構造体(30)にぴったり付けられる支承面を形成する折り返し縁部(39)を含むことを特徴とする、請求項1による消音処理のための構造体。
【請求項3】
帯状部の支承部(36)が、耐久性消音用下部構造体(30)の高さに連結されていることを特徴とする、請求項1または請求項2による消音処理のための構造体。
【請求項4】
仕切り(38)が、支承部(36)の底部に垂直に配置してある、U字型の支承部(36)の側壁の形状によって交互に連結することを許すプレート(40)を含むことを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1の請求項による消音処理のための構造体。
【請求項5】
耐久性消音用下部構造体(30)が複数の層、すなわち微小穿孔を含む少なくとも1つの耐久性層、ならびに同耐久性層の微小穿孔を露出させる開口部(46)を画定する、応力の引き受けのための充実区域を含む少なくとも1つの構造層を含んでおり、帯状部(32)が、帯状部(32)間の空間を充実区域と合致させるように耐久性消音用下部構造体(30)上に取り付けてあることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか一項による消音処理のための構造体。
【請求項6】
耐久性消音用下部構造体(30)が除霜システムの熱気のための導管(48)を含むことを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか1の請求項による消音処理のための構造体。
【請求項7】
ナセルの表面の少なくとも1つの部分の高さに、請求項1から請求項6までのいずれか1の請求項による、消音処理のための構造体が備えてある、空気取り入れ口を含んでいる航空機のナセル。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−506852(P2011−506852A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538859(P2010−538859)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/FR2008/052312
【国際公開番号】WO2009/081020
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(509323440)エアバス オペレイションズ エスエーエス (13)
【出願人】(510158451)