説明

航空機タイヤ・トレッドのためのゴム組成物

架橋可能なゴム組成物に基づく材料から形成されたタイヤ・トレッド、特に航空機用又は大型車両用のタイヤ・トレッドであり、架橋可能なゴム組成物は、ゴム100重量部に対して、40phrから100phrまでの間のポリイソプレンゴムと、0phrから60phrまでの間の不飽和度の高いジエンゴムと、50℃から120℃までの間のガラス転移温度を有する1phrから25phrまでの間のポリテルペン樹脂とを含有する。ゴム組成物は、式MOS−S−X−S−SOMを有する0.1phrから10phrまでの間のポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤をさらに含み、式中、Xは、アルキレンラジカル、若しくは2つ又はそれ以上のアルキレン単位を含有するラジカルであり、該単位の対は、酸素原子又は硫黄原子を通じて、−SO−基、−NH−基、−NH−基、−N(C1〜16アルキル)−基、又は−COO−基を通じて、若しくはアリーレン又はシクロアルキレン・ラジカルを通じて連結されており、Mは金属である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にゴム組成物に関し、より詳細には、ゴム組成物及びこうしたゴム組成物を含有する航空機タイヤ・トレッドに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機タイヤ・トレッドは、航空機の着陸時にタイヤが地面に触れ、荷重の下で比較的高い速度に即座に加速する際に、タイヤ・トレッドが大きな力に耐えることを必要とする極端な作動条件にさらされる。同様に、トレッドは、荷重の下で比較的高い速度に急加速することを必要とする航空機離陸時に大きな力を経験する。
【0003】
航空機タイヤは、特に、多くの空港の滑走路に横断方向に刻まれた溝によってシェブロンカットを生じることがある。これらの溝は、滑走路からの排水を助け、そうせずに滑走路上に水が残ったままだと起こる可能性があるハイドロプレーニングを防ぐ一助となる。残念なことに、航空機タイヤが接地時に「スピンアップ」する際に溝の縁部がタイヤに切り込みを生じることがある。着陸中にタイヤに荷重がかかり且つ加速される際に、滑走路の溝の中でタイヤに生じる変形とタイヤ上に及ぼされる力が引き裂き作用をもたらし、これがタイヤにシェブロンカットを生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
必要とされるのは、滑走路に刻まれた溝によって典型的に生じるシェブロンカットへの耐性がある航空機タイヤ・トレッドを作製するための改善された材料である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特定の実施形態は、タイヤ・トレッド、特に航空機用のタイヤ・トレッド、並びにこうした組成物で作製されたトレッドを有するタイヤの製造に有用な組成物を含む。幾つかの実施形態は、架橋可能なゴム組成物に基づく材料から形成された航空機タイヤ・トレッドを含み、架橋可能なゴム組成物は、ゴム100重量部に対して、40phrから100phrまでの間のポリイソプレンゴムと、0phrから60phrまでの間の不飽和度の高いジエンゴムと、50℃から120℃までの間のガラス転移温度を有する1phrから25phrまでの間のポリテルペン樹脂を含有する。幾つかの実施形態では、ポリテルペン樹脂はポリリモネン樹脂である。
【0006】
ゴム組成物は、式、すなわち、
MO3S−S−X−S−SO3
を有する0.1phrから10phrまでの間のポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤(anti−reversion agent)をさらに含み、式中、Xは、アルキレンラジカル、若しくは2つ又はそれ以上のアルキレン単位を含有するラジカルであり、該単位の対は、酸素原子又は硫黄原子を通じて、−SO2−基、−NH−基、−NH2+−基、−N(C1~16アルキル)−基、又は−COO−基を通じて、若しくはアリーレン又はシクロアルキレン・ラジカルを通じて連結されており、Mは金属である。
【0007】
本発明を限定することなく、Mは、アルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、コバルト、又はニッケルであってもよく、Xは、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン、又はヘキサデカメチレンのラジカルであってもよく、Mは、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、コバルト、又はニッケルである。
【0008】
特定の実施形態では、上記で説明された材料から製造されたトレッドは、大型車両タイヤに有用な場合がある。
【0009】
特定の実施形態では、トレッドは、ポリテルペン樹脂とポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤との両方を含有する上記で説明された材料で形成されてもよいが、ゴム組成物を構成するゴムエラストマーとして天然ゴムのみを含有することにさらに限定される。
【0010】
本発明の上記の及び他の目的、特徴、及び利点は、本発明の特定の実施形態の以下のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の特定の実施形態は、ポリテルペン樹脂とポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤との両方を有する架橋可能なゴム組成物に基づくゴム組成物で作製されたトレッドを有する航空機タイヤを含む。航空機タイヤ・トレッドを製造するのに用いられるゴム組成物中のポリテルペン樹脂とポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤との組合せは、シェブロンカットと摩耗との両方に対して驚くほどの耐性があるトレッドを提供することが発見されている。幾つかの実施形態では、ポリテルペン樹脂はポリリモネン樹脂に限定される。
【0012】
以下の記述のほとんどは航空機タイヤに当てはめられるが、以下に開示されるゴム組成物は、特定の実施形態では、大型車両タイヤのトレッドを形成するのに有用である可能性があることを認識されたい。大型車両は、例えば、トラックタイヤ、バスタイヤ、地下鉄タイヤ、トラクタ、トレーラ、農業、アースムーバ、及び他のオフ・ザ・ロード(OTR)タイヤを含み、一般に、例えば乗用車車両及び軽トラックは含まない。
【0013】
典型的に、航空機タイヤは、ゴム組成物を容易に混合し及びさらに処理すること、例えば、タイヤ・トレッドに押し出すことができるように、グリーン(未硬化の)ゴム混合物の粘度を低下させるために、可塑化用オイルを含むゴム組成物で作製される。可塑化用オイルの代わりに樹脂を用いることが公知であるが、ポリテルペン樹脂とポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤との組合せは、シェブロンカットへの耐性の大きな改善を有するタイヤ・トレッドを提供した。
【0014】
ポリテルペン樹脂とポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤に加えて、本発明の特定の実施形態の航空機トレッドは、ポリイソプレンゴムをさらに含む架橋可能なゴム組成物に基づく材料から形成され、且つ不飽和度の高いジエンゴムをさらに含んでもよい。本明細書で用いられる場合の「に基づく」という用語は、トレッドが、それらの組み立ての時点では硬化されていなかった又はグリーンであった、加硫又は硬化されたゴム組成物から作製されることを認識するものである。したがって、硬化された組成物は、硬化されていないゴム組成物「に基づく」。言い換えれば、架橋されたゴム組成物は、架橋可能なゴム組成物に基づく。
【0015】
本発明の実施形態に有用なポリテルペン樹脂は、改質されていないものであってもよく、例えば、ポリリモネン、ポリα−ピネン、ポリβ−ピネン、又はこれらの混合物を含んでもよい。本明細書で用いられる場合の「ポリテルペン樹脂」は、当業者にはα及び/又はβピネン、リモネン、又はこれらの組合せに基づくテルペン樹脂として知られており、特に、トール油誘導体、ロジン誘導体、テルペンフェノール樹脂、及びヒドロキシル化ポリエステルは含まない。改質されていないポリテルペン樹脂は、それらに付加的な官能基(化学分子)を付加することによるさらなる処理を受けていない。
【0016】
ポリリモネンは、リモネン又は4−イソプロペニル1−メチル−シクロヘキセンのホモポリマーである。これは、3つの可能な異性体の形態、すなわちL−リモネン(左旋性エナンチオマー)、D−リモネン(右旋性エナンチオマー)、及びジペンテン、右旋性エナンチオマーと左旋性エナンチオマーのラセミ化合物の形態で存在する。ポリリモネン樹脂(「樹脂」は、周囲条件では固体化合物である)は、食品加工産業では接着剤としてのそれらの用途で本質的に知られている。
【0017】
本発明の特定の実施形態に有用なポリテルペン樹脂は、以下の特徴、すなわち、50℃から120℃までの間のガラス転移温度(Tg)、400から2000g/molまでの間の数平均分子量(Mn)、及び/又は2未満の多分散指数(Ip)のうちの少なくとも1つを含んでもよく、この場合、多分散指数は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である。本発明の他の実施形態は、これらの特徴のうちの少なくとも2つ、又は代替的に、これらの特徴の3つすべてを有するものとして特徴付けられてもよいポリテルペン樹脂を含む。
【0018】
代替的に、ポリテルペン樹脂は、以下の特徴、すなわち、60℃から100℃までの間のTg、500から1000g/molまでの間の分子量Mn、及び/又は1.8未満の多分散指数のうちの少なくとも1つを含んでもよい。本発明の他の実施形態は、これらの特徴のうちの少なくとも2つ、又は代替的に、これらの特徴の3つすべてを有するものとして特徴付けられてもよいポリテルペン樹脂を含む。
【0019】
ガラス転移温度Tgは、ASTM D3418(1999)に従ってDSC(示差走査熱量測定)によって測定される。ポリテルペンのマクロ構造(Mw及びMn)は、ポリスチレンの質量によって校正される示差屈折率計を含む検出器を有するサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によって判定される。SECは、溶媒としてテトラヒドロフランを流速1ml/分及び濃度1g/lで用いて35℃の温度で作動される。
【0020】
本発明の特定の実施形態は、1phrから25phrまでの間の量のポリテルペン樹脂を含む。代替的に、ポリテルペン樹脂の量は、1phrから5phrまでの間、1phrから4phrまでの間、5phrから25phrまでの間、又は5phrから20phrまでの間であってもよい。
【0021】
適切なポリテルペン樹脂は、例えば、フランスのDax Cedex所在のDRTからDercolyte L120(ポリリモネン樹脂)として市販されている。Dercolyte L120は、625g/molのMn、1010g/molのMw、1.6のIp、及び72℃のTgを有するものとして特徴付けられてもよい。適切なポリリモネン樹脂の他の例は、SYLVAGUM TR7125C及びSYLVARES TR5147を含み、両方ともオハイオ州Dover所在のArizona Chemicalsから入手可能である。SYLVAGUM TR7125Cは、630g/molのMn、950g/molのMw、1.5のIp、及び70℃のTgを有するものとして特徴付けられてもよい。別の例は、HerculesからのPICCOLYTE R2495(ポリα−ピネン樹脂)であり、これは、800g/molのMn、1430g/molのMw、1.8のIp、及び88℃のTgを有するものとして特徴付けられてもよい。
【0022】
加硫戻り防止剤は、ゴム産業ではよく知られており、加硫戻りによって引き起こされる物理的特性の低下を防ぐためにジエンベースのゴム組成物にしばしば添加される。加硫戻り現象は、加硫中に形成されるポリスルフィド架橋が時間及び温度と共に劣化するときに起こる。加硫中に形成された架橋のこの減少は、より低いモジュラス及びより高いヒステリシスのようなゴム組成物の幾つかの物理的特性の低下を招く。
【0023】
当業者には公知の加硫戻り防止剤の多くの分類が存在する。例えば、ビス−マレイミドは、加硫戻り防止剤の1つの通例説明されるファミリーを構成し、ビス−シトラコンイミド及びビス−スクシンイミドが加硫戻り防止剤として説明されており、同様に、ジチオカルバミン酸塩も加硫戻り防止剤として知られている。周知の加硫戻り防止剤は、米国特許第4,417,012号で説明されるポリ−チオ硫酸塩化合物をさらに含み、該特許は、こうした化合物及びそれらの合成の具体例を含む、それが開示するすべてのことに関して参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
実際は、上述のように、上記で説明されたポリリモネン樹脂とポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤との両方を有する不飽和度の高いジエンゴム組成物に基づく材料で作製された航空機タイヤ・トレッドは、シェブロンカット及び摩耗への驚くほどの耐性があることが見出されている。本発明の特定の実施形態で用いられるポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤は、次式のものであり、
MO3S−S−X−S−SO3M (1)
式中、Xは、アルキレンラジカル、若しくは2つ又はそれ以上のアルキレン単位を含有するラジカルであり、該単位の対は、酸素原子又は硫黄原子を通じて、−SO2−基、−NH−基、−NH2+−基、−N(C1~16アルキル)−基、又は−COO−基を通じて、若しくはアリーレン又はシクロアルキレン・ラジカルを通じて連結されており、Mは金属である。
【0025】
特定の実施形態では、金属は、アルカリ金属、すなわち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びフランシウムのうちの1つであってもよい。代替的に、本発明を限定しないが、金属は、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、コバルト、又はニッケルであってもよい。
【0026】
特定の実施形態では、Xは、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン、又はヘキサデカメチレンのラジカルであってもよく、Mは、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、コバルト、又はニッケルであってもよい。
【0027】
ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤は、結晶水を含んでもよい。例えば、本発明の特定の実施形態に有用な適切なポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤は、Flexsys(オハイオ州所在)からDURALINK HTSとして入手可能なヘキサメチレン1,6−ビス(チオスルファート)二ナトリウム塩二水和物である。
【0028】
ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤は、本発明の特定の実施形態のゴム組成物に、0.5phrから10phrまでの間、又は代替的に、0.1phrから7phrまでの間、1phrから6phrまでの間、1phrから3phrまでの間、1phrから5phrまでの間、又は0.1から3phrまでの間の量で添加される。
【0029】
本発明の特定の実施形態に有用であるゴムエラストマーは、天然ゴム、合成ゴム、又はこれらの組合せを含む。本発明の特定の実施形態は、不飽和度の高いジエンエラストマーであるゴムエラストマーを含む。ジエンエラストマー又はゴムは、ジエンモノマー(共役又は非共役のいずれかの、2つの炭素−炭素二重結合をもつモノマー)から少なくとも部分的に得られるエラストマー(すなわち、ホモポリマー又はコポリマー)を意味するように理解される。本質的に不飽和のジエンエラストマーは、15モル%よりも多いジエン由来(共役ジエン)員又は単位の含有量を有する共役ジエンモノマーから少なくとも部分的に得られるジエンエラストマーを意味するように理解される。
【0030】
本質的に不飽和のジエンエラストマーのカテゴリに入る、不飽和度の高いジエンエラストマーは、特に、50モル%よりも多いジエン由来(共役ジエン)単位の含有量を有するジエンエラストマーを意味するように理解される。
【0031】
本発明の特定の実施形態と共に用いるのに適したゴムエラストマーは、不飽和度の高いジエンエラストマー、例えば、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、及びこれらのエラストマーの混合物を含む。
【0032】
同じく本発明の特定の実施形態で用いるのに適しているのは、例えば、天然ゴム、合成シス−1,4ポリイソプレン、及びこれらの混合物を含むゴムエラストマーである。これらの合成シス−1,4ポリイソプレンは、90モル%よりも多い、又は代替的に98モル%よりも多いシス−1,4結合を有するものとして特徴付けられてもよい。
【0033】
ブチルゴム、ニトリルゴム、若しくはエチレン−プロピレンジエン・ターポリマー(EPDM)型の又はエチレン−酢酸ビニル・コポリマー型のジエンの及びα−オレフィンのコポリマーのようなジエンエラストマーは、本質的に不飽和のジエンエラストマーの上記の定義には含まれず、特に「本質的に飽和の」ジエンエラストマー(ジエン由来単位の低い又は非常に低い含有量、すなわち、15モル%未満)として説明される場合がある。本発明の特定の実施形態は、本質的に飽和のジエンエラストマーを含まない。
【0034】
航空機タイヤに有用な材料の特定の実施形態は補強フィラーをさらに含み、こうしたフィラーは、無機、有機、又はこれらの組合せである。無機補強フィラーは、本明細書では、その色及びその由来(天然又は合成)を問わずに、カーボンブラックとは対照的に「ホワイト」フィラー又は時々「クリア」フィラーとも呼ばれる、任意の無機又は鉱物フィラーを意味するように理解される。こうした無機フィラーは、それ自身で、介在するカップリング剤以外の任意の他の手段を伴わずに、タイヤ・トレッドの製造を意図されたゴム組成物を補強することができる、すなわち、従来のタイヤグレードのカーボンブラック(トレッド用)のその補強機能と置き換わることができる。こうしたフィラーは、例えば、ケイ酸含有型又はアルミニウム含有型のフィラー、又はこれらの2つのタイプのフィラーの混合物を含んでもよい。
【0035】
有機フィラーであるカーボンブラックは、単独のフィラーとして、若しくは1つ又は複数の無機フィラーと組み合わせて用いられてもよい。エラストマー組成物中のカーボンブラックの配合量は制限されない。本発明の特定の実施形態では、カーボンブラックの配合量は、約200phrまで、又は約10から約180phrまでの間であってもよい。カーボンブラックの他の有用な投入範囲は、本発明の幾つかの実施形態では30から100phrまでの間、又は35から70phrまでの間を含んでもよい。
【0036】
適切なカーボンブラックは、タイヤに、特にトレッドに慣習的に用いられるブラックである任意のカーボンブラックである。カーボンブラックの限定ではない例は、例えば、N115、N134、N234、N330、N339、N343、N347、及びN375カーボンブラックを含む。幾つかの実施形態は、有用なカーボンブラックを、ASTM D6556試験法によって測定した場合に70から150m2/gまでの間又は代替的に100から150m2/gまでの間の平均窒素表面積を有するものに制限する。適切なカーボンブラックのヨウ素吸着数は、幾つかの実施形態では、ASTM D1510試験法による80から160g/kgまでの間又は代替的に100から160g/kgまでの間の範囲にわたる場合がある。
【0037】
補強フィラーとしてシリカを採用する実施形態では、使用されるシリカ(SiO2)は、当業者には公知の任意の補強シリカであってもよい。特定の実施形態は、両方とも450m2/g未満、又は30から400m2/gまでのBET表面積及びCTAB比表面積を有する沈降(precipitated)又は焼成(pyrogenic)シリカを含む。高分散性沈降シリカ(Highly dispersible precipitated silica)(「HD」と呼ばれる)は、特定の実施形態、特に、低い転がり抵抗を有するタイヤの製造に用いられる実施形態に含まれる。「高分散性シリカ」は、エラストマー性マトリクス中に非凝集化(disagglomerate)する及び分散する実質的な能力を有する任意のシリカを意味するように公知の様態で理解され、これは、薄い断面上での電子顕微鏡法又は光学顕微鏡法による公知の様態で観測することができる。こうした好ましい高分散性シリカの限定ではない例として、DegussaからのシリカBV3380及びUltrasil7000、RhodiaからのシリカZeosil1165MP及び1115MP、PPGからのシリカHi−Sil2000、HuberからのシリカZeopol8715又は8745、及び例えばアルミニウム「ドープ」シリカのような処理された沈降シリカが挙げられてもよい。
【0038】
補強無機フィラーが存在する物理的状態は重要ではなく、粉末、ミクロビーズ、顆粒、ボールの形態、又は任意の他の形態のいずれであるかを問わない。
【0039】
補強無機フィラーの量は、0から100phrまでの間、又は代替的に、例えば5phrから10phrまでの間であってもよい。補強無機フィラーの量は、制限されることを意図されず、特定の目的に適した任意の量であってもよい。補強無機フィラーは、幾つかの用途のためにカーボンブラックフィラーと混合されてもよい。こうした用途では、カーボンブラックの量と無機フィラーの量は、当業者には公知のように、特定の目的に合うように適宜調整される。
【0040】
本明細書で開示された航空機タイヤ・トレッドに有用なゴム組成物の特定の実施形態は、加工油を僅かに含む又は含まない。こうした油は、当業者にはよく知られており、一般に石油(しかし植物油、例えば、ひまわり油も有用である)から抽出され、パラフィン系、芳香族系、又はナフテン系加工油として分類され、例えばMES及びTDAE油を含む。ゴム組成物の幾つかの実施形態は、1つ又は複数のこうした加工油と共に油展されるスチレン−ブタジエンゴムのようなエラストマーを含んでもよいが、こうした油は、ゴム組成物中でゴム組成物の全エラストマー含有量の6phr以下、又は代替的に、4phr以下、2phr以下、又は1phrであるように制限される。同様に、油展されたエラストマーを含まない本発明に係る他のゴム組成物は、前述のような油展されたエラストマー中に含有され得る量と同量以下の加工油を含んでもよい。
【0041】
本明細書で開示されたゴム組成物に当該技術分野では公知の他の添加剤を添加することができる。こうした添加剤は、例えば、カップリング剤(無機補強フィラーが用いられる場合)、劣化防止剤(antidegradant)、酸化防止剤、脂肪酸、ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛、及び他の促進剤のうちの幾つか又はすべてを含んでもよい。劣化防止剤及び酸化防止剤の例は、6PPD、77PD、IPPD、及びTMQを含み、ゴム組成物に例えば0.5から5phrまでの間の量で添加されてもよい。酸化亜鉛は、例えば1から6phrまでの間、又は2から4phrまでの間の量で添加されてもよい。ワックスは、例えば1から5phrまでの間の量で添加されてもよい。
【0042】
促進剤は、加硫に要する時間及び/又は温度を制御し、且つ硬化されたゴム組成物の特性を改善するために用いられる。前述のように、本明細書で開示されたゴム組成物における一次促進剤は、添加された硫黄の量と比例した量で添加されるスルフェンアミドである。促進剤の組合せは、硬化されたゴム組成物の特性を改善するためにしばしば有用であり、特定の実施形態は、二次促進剤の添加を含む。
【0043】
特定の実施形態は、例えば、ジフェニルグアニジン(DPG)、トリフェニルグアニジン(TPG)、ジオルトトリルグアニジン(DOTG)、o−トリルビグアニド(o−tolylbigaunide)(OTBG)、又はヘキサメチレンテトラミン(HMTA)のような適度に高速の促進剤の使用を含んでもよい。こうした促進剤は、4phrまで、0.5から3phrまでの間、0.5から2.5phrまでの間、又は1から2phrまでの間の量で添加されてもよい。特定の実施形態は、例えば、高速促進剤:ジスルフィド及びベンゾチアゾール、及び、超高速促進剤:チウラム、キサントゲン酸塩、ジチオカルバミン酸塩、及びジチオリン酸塩のような、高速促進剤及び/又は超高速促進剤の使用を除外する場合がある。
【0044】
本発明は、単なる例証であって本発明を多少なりとも限定するものではないとみなされるべき以下の実施例によってさらに例証される。実施例で開示された組成物の特性を後述のように評価した。
【0045】
ダンベル状試験片に対し、ASTM規格D412に基づいて23℃の温度で10%(MA10)、100%(MA100)、及び300%(MA300)での伸び率(Moduli of elongation)(MPa)を測定した。第2の伸びにおいて、すなわち、適応サイクル後に、測定を行った。これらの測定値は、試験片の本来の断面に基づく単位がMPaのセカント係数である。
【0046】
1999のASTM規格D1646に従って100℃でのムーニー粘度ML(1+4)を測定する。
【0047】
次式に従う第6の衝撃における60℃での反発によってヒステリシス損失(HL)をパーセントで測定した:
HL(%)=100(W0−W1)/W1
ここで、W0は、供給されたエネルギーであり、W1は、回復されたエネルギーである。
【0048】
引裂き抵抗指数(TR):100℃での引裂抵抗指数を測定した。それぞれ3mmの深さを有する3つの切り目を付けられた寸法10×142×2.5mmの試験片に対して、厚さN/mmの破壊荷重(FRD)とパーセントの破断伸び(ARD)を測定する。引裂抵抗指数は、次式によって与えられる。
TR=(FRD*ARD)/100
【0049】
実施例1
この実施例は、ポリテルペン樹脂を使用する航空機タイヤ・トレッドに有用なゴム調製物の改善された物理的特性を実証する。
【0050】
表1に示された材料成分(phrで示される量)を有するゴム組成物を調製するために2つの熱化学段階を用いた。硫黄及び硬化剤を除く表1で与えられる成分を実験室規模のバンバリーミキサの中で165℃に混合することによって調製物を調製した。次いで、混合物を取り出し、ほぼ周囲温度に冷却させた。次いで、ロールミル上に硫黄及び硬化剤を添加した。150℃で約25分間加硫させた。次いで、それらの物理的特性を測定するために調製物を試験した。
【表1】

【0051】
ポリブタジエンは、−105℃のTg及び93%のシス1,4−含有量を有するものであった。カーボンブラックはN234であった。ポリテルペン樹脂はHerculesからのPICCOLYTE R2495であった。可塑剤油はナフテン油であった。促進剤はTBBSであった。添加剤は、こうした調製物に典型的に添加される成分、例えば、ワックス、6PPD、及びTMQを含むものであった。
【0052】
これらの実験室データは、より多くの可塑剤油の添加が、結果として減少した引裂き抵抗特性をもたらすことを実証する。しかしながら、可塑剤油をポリテルペン樹脂と置き換えることは、モジュラスの大きな損失なしに改善された引き裂き特性を有するゴム組成物を提供する。
【0053】
実施例2
この実施例は、ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤を使用するゴム調製物及びポリリモネン樹脂とポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤との両方を使用するゴム調製物の物理的特性の変化を実証する。表2に示された調製物は、調製物W3及びF4を工場規模のミキサの中で調製したこと以外は、実施例1で調製した方法と同じ方法で調製した。加えて、ゴム調製物に対するオーバーキュアの影響を判定するために、サンプルのうちの幾つかを、それらの硬化時間を約120分に延ばすことによってオーバーキュアした。
【表2】

【0054】
ポリブタジエンは、−105℃のTg及び93%のシス1,4−含有量を有するものであった。カーボンブラックはN234であった。ポリリモネン樹脂は、Arizona ChemicalからのSYLVARES TR5147であった。可塑剤油はナフテン油であった。促進剤は、W2及びF3に対してはCBSであり、W3及びF4に対してはTBBSであった。添加剤は、こうした調製物に典型的に添加される成分、例えば、ワックス、6PPD、及びTMQを含むものであった。ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤は、FlexsysからのDURALINK HTSであった。
【0055】
表2に示されたW2及びF3に対する結果の比較は、ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤の添加は、組成物のオーバーキュア時のモジュラス特性を改善するという予想された結果をもたらしたが、引裂き抵抗指数の大きな減少(−53%)を代償にしたことを実証する。しかしながら、表2に示されたW3及びF4に対する結果の比較は、驚くことに、ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤とポリリモネン樹脂との両方がゴム組成物に添加されるときに、モジュラス特性のほんの最小限の減少と共に、改善された引き裂き特性(+31%)を実証する。
【0056】
実施例3
この実施例は、ポリリモネン樹脂とポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤との両方を有するゴム組成物で製造された航空機タイヤ・トレッドによって提供されるシェブロンカット及び摩耗への改善された耐性を実証する。
【0057】
表3に示されたゴム調製物を、工場規模のミキサの中で実施例2と同じ様式で同様の材料を用いて混合し、次いで、航空機タイヤ・トレッドを製造するのに使用した。航空機タイヤは、H49X19.0サイズのタイヤであった。次いで、タイヤを航空機に装着し、それらの性能を監視した。前脚上に装着したタイヤ及び主脚上に装着したタイヤを、それらの耐摩耗性及びシェブロンカットに耐えるそれらの能力に関して試験した。
【表3】

【0058】
トレッド着陸(landing per tread)(LPT)指数は、タイヤが「摩耗した」と考えられる前にタイヤのグループが経験することができる着陸回数の主観的測定である。タイヤが摩耗する前に各タイヤが何回の着陸に耐えることができたかを判定するために、前脚及び主脚上に装着された航空機タイヤを監視及び点検した。タイヤが遂行することができた着陸回数がより多くなると、LPT指数がより高くなる。指数は、witnessゴムで製造されたタイヤに対して正規化させて報告される。
【0059】
主脚タイヤもまた、シェブロンカットの程度を判定するために点検した。フィールド・シェブロンカット指数は、カット・ランキングと逆比例するものとして計算し、次いで、W2 witnessに対して正規化させた。したがって、指数がより高くなると、カット耐性がより良好になる。シェブロンカット・ランキングは、カット幅及び深さを含むカットのひどさに基づく主観的試験であり、1から4までのランキングで、4が最もひどいカットである。表3に示された結果の比較は、ポリリモネン樹脂とポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤との両方を含有するゴム組成物で製造された航空機タイヤが、シェブロンカットへのより顕著な耐性があり、且つより顕著に改善された摩耗特性を有したことを実証する。
【0060】
本発明の特許請求の範囲と明細書で用いられる場合の「含有する」、「含む」、及び「有する」という用語は、指定されない他の要素を含む場合がある開かれたグループを示していると考えられるものである。本発明の特許請求の範囲と明細書で用いられる場合の「本質的に、〜なる」という用語は、これらの他の要素が特許請求される発明の基本的な及び新規な特徴を物質的に変化させない限り、指定されない他の要素を含む場合がある部分的に開かれたグループを示していると考えられるものである。「ひとつの(a、an)」という用語、及び単語の単数形は、該用語が1つ又は複数の何かが提供されることを意味するように、同じ単語の複数形を含むように受け取られるものである。「少なくとも1つ」及び「1つ又は複数」という用語は交換可能に用いられる。「1つの」又は「単一の」という用語は、1つ及び1つのみの何かが意図されることを示すために用いられるものである。同様に、「2つの」のような他の特定の整数値は、特定の数のものが意図されるときに用いられる。「好ましくは」、「好ましい」、「好む」、「随意的に」、「であってもよい」という用語、及びそれと類似の用語は、言及される項目、条件、又はステップが本発明の随意的な(要求されない)特徴であることを示すために用いられる。「aからbまでの間」と説明される範囲は、「a」及び「b」の値を含む。
【0061】
本発明の真の精神から逸脱することなく本発明の実施形態に種々の修正及び変化を加えてもよいことが、上記の説明から理解されるべきである。上記の説明は、説明の目的のためにのみ与えられるものであって、限定する意味で解釈されるべきではない。以下の請求項の文言のみが、本発明の範囲を制限するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋可能なゴム組成物に基づく材料から形成された航空機タイヤ・トレッドであって、前記架橋可能なゴム組成物が、ゴム100重量部に対して、
40phrから100phrまでの間のポリイソプレンゴムと、
0phrから60phrまでの間の不飽和度の高いジエンゴムと、
50℃から120℃までの間のガラス転移温度を有する1phrから25phrまでの間のポリテルペン樹脂と、
式、すなわち、
MO3S−S−X−S−SO3
を有する0.1phrから10phrまでの間のポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤と、
を含有し、前記式中、Xは、アルキレンラジカル、若しくは2つ又はそれ以上のアルキレン単位を含有するラジカルであり、前記単位の対は、酸素原子又は硫黄原子を通じて、−SO2−基、−NH−基、−NH2+−基、−N(C1~16アルキル)−基、又は−COO−基を通じて、若しくはアリーレン又はシクロアルキレン・ラジカルを通じて連結されており、Mは金属である、
航空機タイヤ・トレッド。
【請求項2】
前記ポリイソプレンゴムが天然ゴムである、請求項1に記載の航空機タイヤ・トレッド。
【請求項3】
前記航空機トレッドが100phrの天然ゴムを含有する、請求項2に記載の航空機タイヤ・トレッド。
【請求項4】
前記不飽和度の高いジエンゴムがポリブタジエンゴムである、請求項1に記載の航空機タイヤ・トレッド。
【請求項5】
前記不飽和度の高いジエンゴムが、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、又はこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の航空機タイヤ・トレッド。
【請求項6】
前記ポリテルペン樹脂の数平均分子量が400から2000g/molまでの間である、請求項1に記載の航空機タイヤ・トレッド。
【請求項7】
前記Mが、アルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、コバルト、又はニッケルである、請求項1に記載の航空機タイヤ・トレッド。
【請求項8】
前記ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤が結晶水を含む、請求項1に記載の航空機タイヤ・トレッド。
【請求項9】
前記Xが、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン、又はヘキサデカメチレンのラジカルであり、前記Mが、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、コバルト、又はニッケルである、請求項1に記載の航空機タイヤ。
【請求項10】
前記ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤が、ヘキサメチレン1,6−ビス(チオスルファート)二ナトリウム塩二水和物である、請求項1に記載の航空機タイヤ。
【請求項11】
前記ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤が0.1phrから7phrまでの間の量である、請求項1に記載の航空機タイヤ。
【請求項12】
前記ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤が1phrから6phrまでの間の量である、請求項1に記載の航空機タイヤ。
【請求項13】
前記ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤が1phrから3phrまでの間の量である、請求項1に記載の航空機タイヤ。
【請求項14】
架橋可能なゴム組成物に基づく材料から形成された航空機タイヤ・トレッドであって、前記架橋可能なゴム組成物が、ゴム100重量部に対して、
天然ゴムと、
50℃から120℃までの間のガラス転移温度を有する1phrから25phrまでの間のポリテルペン樹脂と、
式、すなわち、
MO3S−S−X−S−SO3
を有する1phrから5phrまでの間のポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤と、
を含有し、前記式中、Xは、アルキレンラジカル、若しくは2つ又はそれ以上のアルキレン単位を含有するラジカルであり、前記単位の対は、酸素原子又は硫黄原子を通じて、−SO2−基、−NH−基、−NH2+−基、−N(C1~16アルキル)−基、又は−COO−基を通じて、若しくはアリーレン又はシクロアルキレン・ラジカルを通じて連結されており、Mは金属である、
航空機タイヤ・トレッド。
【請求項15】
前記ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤が結晶水を含む、請求項14に記載の航空機タイヤ・トレッド。
【請求項16】
前記Xが、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン、又はヘキサデカメチレンのラジカルであり、前記Mが、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、コバルト、又はニッケルである、請求項14に記載の航空機タイヤ。
【請求項17】
前記ポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤が、ヘキサメチレン1,6−ビス(チオスルファート)二ナトリウム塩二水和物である、請求項14に記載の航空機タイヤ。
【請求項18】
前記ポリテルペン樹脂の数平均分子量が400から2000g/molまでの間である、請求項1に記載の航空機タイヤ・トレッド。
【請求項19】
前記ポリテルペン樹脂が1phrから15phrまでの間である、トレッド14の航空機タイヤ。
【請求項20】
架橋可能なゴム組成物に基づく材料から形成された大型車両タイヤ・トレッドであって、前記架橋可能なゴム組成物が、ゴム100重量部に対して、
40phrから100phrまでの間のポリイソプレンゴムと、
0phrから60phrまでの間の不飽和度の高いジエンゴムと、
50℃から120℃までの間のガラス転移温度を有する1phrから25phrまでの間のポリテルペン樹脂と、
式、すなわち、
MO3S−S−X−S−SO3
を有する0.1phrから10phrまでの間のポリ−チオ硫酸塩加硫戻り防止剤と、
を含有し、式中、Xは、アルキレンラジカル、若しくは2つ又はそれ以上のアルキレン単位を含有するラジカルであり、該単位の対は、酸素原子又は硫黄原子を通じて、−SO2−基、−NH−基、−NH2+−基、−N(C1~16アルキル)−基、又は−COO−基を通じて、若しくはアリーレン又はシクロアルキレン・ラジカルを通じて連結されており、Mは金属である、
大型車両タイヤ・トレッド。

【公表番号】特表2013−515817(P2013−515817A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545921(P2012−545921)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/069375
【国際公開番号】WO2011/078859
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】