説明

船用操舵装置

【課題】ステアバイワイヤ方式の船において、操舵に違和感のない船用操舵装置を提供すること。
【解決手段】舵取り部材としての船外機4を転舵するための転舵機構5は、ステアリングホイール等の操舵部材3とは機械的に連結されていない。目標操舵反力算出部33は、検出された操舵角θに応じて算出された操舵角対応成分に、検出されたヨーレートγに応じて算出されたヨーレート対応成分および検出された横加速度Gyに応じて算出された横加速度対応成分を付加して、目標操舵反力を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船用操舵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
船の推進装置として、船外機と船内機とがある。
船内機では、船体内部に、船に推進力を与える動力装置と舵取り装置が備えられている。動力装置と舵取り装置とは、一体に設けられる場合と、別体に設けられて、互いの間が動力伝達装置を介して連結される場合とがある。
船外機では、船体に対して外付けの船外機本体に、動力装置を備えている。モータボート等の小型船舶を例にとると、独立した舵は設けられておらず、船外機自体に、舵取り機構が備えられている。具体的には、船外機本体の向きを変えることにより、舵取りが行われる。
【0003】
特に小型のモータボートの場合には、船外機本体に取り付けられたハンドルバーを介して、操縦者が直接、操舵するようになっている。また、運転席に設けられたステアリングホイール等の操舵部材の回転を、ロープ、滑車、プッシュプルケーブル等により伝達して、船外機本体を操舵する場合もある(特許文献1,2参照)。
特許文献1の船用操舵装置では、船外機に備えられた電動モータを、操舵部材の操作に応じて駆動することにより、船外機に転舵を行わせるようにしている。
【0004】
特許文献2の船用操舵装置では、操舵部材の操作に応じて駆動された油圧シリンダによって、リンク機構を介して船外機に転舵を行わせるようにしている。
ところで、近年、運転席のステアリングホイール等の操舵部材と船外機とを機械的に連結しない構成の、いわゆるステアバイワイヤ方式の船用操舵装置が提案されている(例えば特許文献3を参照)。
【0005】
特許文献3の船用操舵装置では、ステアリングホイール等の操舵部材の操舵角に基づいて制御された電動モータによって、船外機の転舵力を発生させるようにしている。
【特許文献1】特許第2509015号公報
【特許文献2】特開2004−249791号公報
【特許文献3】特許第2959044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ステアバイワイヤ方式では、操縦者が、操舵部材を介して船の状況を把握することは非常に困難である。すなわち、操舵部材と転舵部材とが機械的に連結されている従来の操舵装置と比較した場合、操縦者は、操舵に違和感を感じることになる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ステアバイワイヤ方式の船において、操縦に違和感のない船用操舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、操舵部材と、操舵部材とは機械的に連結されていない転舵機構と、操舵部材の操舵角を検出する操舵角検出手段と、船体の挙動量を検出する船体挙動量検出手段と、目標操舵反力に応じて操舵部材に反力を与えるための反力用アクチュエータと、操舵角検出手段により検出された操舵角および船体挙動量検出手段により検出された船体挙動量に基づいて目標操舵反力を算出する目標操舵反力算出手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、反力用アクチュエータから操舵部材に与えられる反力に、船体の挙動が反映されているので、操舵部材を操作する操縦者は、船の状況を把握することができる。したがって、操舵部材と転舵機構が機械的に連結されていた従来の操舵装置と同様の操舵感を操縦者に与えることができ、その結果、操縦者が操舵に違和感を感じることがない。
上記目標操舵反力は、操舵角検出手段により検出された操舵角に応じて算出された操舵角対応成分に、船体挙動量検出手段により検出された船体挙動量に応じて算出された船体挙動量対応成分を付加して算出されるようにしてもよい(請求項2)。
【0009】
また、上記船体挙動量検出手段は、船体のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、船体の横加速度を検出する横加速度検出手段とを含み、船体挙動量対応成分は、ヨーレート検出手段によって検出されたヨーレートに応じて算出されたヨーレート対応成分と、横加速度検出手段によって検出された横加速度に応じて算出された横加速度対応成分とを用いて算出される場合がある(請求項3)。この場合、ヨーレートと横加速度という、船体挙動に関する2つのパラメータが、目標操舵反力に反映されるので、操舵部材を操作する操縦者は、船の状況をより確実に把握することができる。
【0010】
また、上記船体挙動量対応成分は、上記ヨーレート対応成分および上記横加速度対応成分の線形和として算出される場合がある(請求項4)。一般に、ヨーレートは、低い船速での航行においては比較的大きな値となるが、高い船速での航行では、ほとんどヨーレートが発生しない。一方、横加速度は、高い船速での航行においては比較的大きな値となるが、低い船速での航行では、ほとんど横加速度が発生しない。これに対して、本発明では、低速ではヨーレート分解能>横加速度分解能となるためヨーレートに主に応じた操舵反力を発生することができ、高速では横加速度分解能>ヨーレート分解能となるため横加速度に主に応じた操舵反力を発生することができる。したがって、操舵反力に占めるヨーレートと横加速度の寄与する割合が、船速によって自動的に変化するようにでき、横加速度とヨーレートの一方のみを使用する場合や、両方とも使用しない場合よりも、好適な操舵反力が発生することになる。よって、船速の高低にかかわらず好適な操舵反力を発生させることにより良好な操舵フィーリングを確保することができる。
【0011】
また、本発明は、操舵部材と、操舵部材とは機械的に連結されていない転舵機構と、操舵部材の操舵角を検出する操舵角検出手段と、船体の挙動量を検出する船体挙動量検出手段と、目標操舵反力に応じて操舵部材に反力を与えるための反力用アクチュエータと、操舵角検出手段により検出された操舵角に基づいて目標操舵反力を算出する目標操舵反力算出部と、目標操舵反力算出部により算出された目標操舵反力を、船体挙動量検出手段により検出された船体挙動量に応じて補正する目標操舵反力補正部とを備える場合がある(請求項5)。この場合にも、反力用アクチュエータから操舵部材に与えられる反力に、船体の挙動が反映されているので、操舵部材を操作する操縦者は、船の状況を把握することができる。したがって、操縦者が操舵に違和感を感じることがない。
【0012】
上記目標操舵反力に応じた制御電流を出力する電流出力手段を備え、上記反力用アクチュエータは、上記電流出力手段から出力された制御電流の供給を受ける電動モータを含む場合がある(請求項6)。この場合、迅速且つ精度良く操舵部材に操舵反力を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る船用操舵装置1が適用された船の模式図である。図1を参照して、船体2の前部には、ステアリングホイール等の操舵部材3が取り付けられている。また、船体2の後部には、舵取り部材を兼用する推進ユニットとしての船外機4と、船外機4の向きを変えることにより、転舵を達成するための転舵機構5とが設けられている。船外機4は、プロペラ4aと、プロペラ4aを図示しないドライブシャフトを介して駆動するための内燃機関4bを内蔵した船外機本体4cとを備えている。
【0014】
本実施の形態の船用操舵装置1では、操舵部材3と転舵機構5との機械的な結合をなくしている。転舵機構5は、操舵部材3の操作に応じて駆動される、例えば、ブラシレスモータ等の電動モータからなる転舵用アクチュエータ6を有している。転舵機構5は、転舵用アクチュエータ6の駆動力を用いて、船外機4の向きを変えることにより、転舵する。 船体2の幅方向W1(船体2の中心線C1と直交する方向に相当)に沿って延びる軸7の第1の端部7aおよび第2の端部7bが、それぞれ対応する第1の取付ブラケット8(第1の取付部材)および第2の取付ブラケット9(第2の取付部材)を介して、それぞれ船体2に固定されている。
【0015】
軸7には、上記の転舵用アクチュエータ6を内蔵し、軸7の軸長方向(船体2の幅方向W1に相当)に沿って移動可能な移動体10が設けられている。この移動体10と軸7とは、例えばボールねじ機構からなる変換機構11を介して互いに連結されている。一方、船外機本体4cは、転舵中心軸12の回りに回動自在に船体2に取り付けられており、船外機本体4cと移動体10とは、伝達機構としてのリンク機構13を介して、互いに連結されている。
【0016】
リンク機構13は、一端が移動体10に固定された第1ブラケット14と、船外機本体4cに固定された一端(図示せず)を有し、船外機本体4cとともに、転舵中心軸12の回りに回動自在な第2ブラケット15とを備えている。第1ブラケット14の他端と第2ブラケット15の他端とは、連結軸16を介して回動自在に連結されている。
転舵用アクチュエータ6が駆動されると、その転舵用アクチュエータ6の駆動力は、変換機構11を介して、軸7の軸長方向への、移動体10の直線運動に変換される。さらに、この移動体10の直線運動は、リンク機構13を介して、転舵中心軸12回りの船外機4の、転舵方向X1への回動に変換され、転舵が達成されるようになっている。
【0017】
図1を参照して、操舵部材3は、船体2に対して回転可能に支承された回転シャフト17の一端に連結されている。この回転シャフト17には、操舵部材3に操作反力を与えるための反力用アクチュエータ18が設けられている。反力用アクチュエータ18は、回転シャフト17と一体の出力シャフトを有するブラシレスモータ等の電動モータを含む。
回転シャフト17の他端と船体2との間には、渦巻きばね等からなる弾性部材19が介在しており、この弾性部材19は、回転シャフト17を介して操舵部材3を中立位置に付勢している。反力用アクチュエータ18が回転シャフト17にトルクを付加していないときに、弾性部材19の弾性力によって、操舵部材2が中立位置(直進操舵位置に相当)に復帰させられる。
【0018】
操舵部材3の操作入力値を検出するために、回転シャフト17に関連して、操舵部材3の操舵角を検出する操舵角検出手段としての操舵角センサ20が設けられている。
また、転舵機構5に含まれる、上記の軸7上の移動体10の位置に関連して、転舵角(船外機4の向き)を検出するための転舵角センサ22が設けられている。また、船体2のヨーレート(角速度。回頭速度)を検出するためのヨーレート検出手段としてのヨーレートセンサ23と、船体2の横加速度を検出する横加速度検出手段としての横加速度センサ24とが設けられている。また、船体2の航行速度(船速)を検出する船速センサ25が設けられている。
【0019】
マイクロコンピュータ等を含む電子制御ユニット(ECU)により構成された制御部28には、操舵角センサ20、転舵角センサ22、ヨーレートセンサ23、横加速度センサ24、船速センサ25の出力信号が入力されており、これらの信号に基づいて、制御部28は、転舵用アクチュエータ6および反力用アクチュエータ18をそれぞれ対応する駆動回路29,30を介して適切に制御する。
【0020】
図2は主たる制御の内容を説明するためのブロック図である。制御部28は、コンピュータが所定のプログラム処理を実行することによってソフトウエア的に実現される複数の機能処理部を有している。
すなわち、制御部28は、目標転舵角を算出する目標転舵角算出部31と、目標転舵角および実転舵角(転舵角センサ22により実際に検出された転舵角)に基づいて転舵用アクチュエータ6を制御するための転舵角制御部32と、目標操舵反力を算出する目標操舵反力算出手段としての目標操舵反力算出部33と、目標操舵反力に基づいて反力用アクチュエータ18を制御するための反力制御部34とを有している。
【0021】
目標転舵角算出部31は、操舵角センサ20により検出された操舵角、および船速センサ25により検出された船速を入力し、取得した情報に基づいて目標転舵角を算出する。算出された目標転舵角は転舵角制御部32に与えられる。転舵角制御部32は、取得した情報に基づいて、転舵角センサ22による検出結果(実転舵角)を参照しながら、転舵用アクチュエータ6をフィードバック制御する。
【0022】
目標操舵反力算出部33は、例えば、操舵角センサ20により検出された操舵角θに応じた操舵角対応成分K1・F1、ヨーレートセンサ23により検出されたヨーレートγに応じたヨーレート対応成分K2・F2、および横加速度センサ24により検出された横加速度Gyに応じた横加速度対応成分K3・F3を加算して、目標操舵反力Fが算出される。すなわち、目標操舵反力Fは、
F=K1・F1+K2・F2+K3・F3 …(1)
の式を用いて算出される。
【0023】
ここで、F1は、検出された操舵角θを下記の式(2)に代入して算出される第1の操舵反力であり、K1は第1の操舵反力F1に対応する係数である。
F1=Func1 (θ) …(2)
Func1 (θ)としては、例えば一次式を用いることができる。すなわち、F1=a・θ(aは係数。図3(a)参照)。上記の係数aは、操舵角θの範囲毎に異なる複数の係数a1,a2,…を含むものであってもよい。例えばθが−θ1≦θ≦+θ1(θ1は正)の範囲内で相対的な大きな変化勾配が得られるようにしてもよい(図3(b)参照)。
【0024】
また、F2は、検出されたヨーレートγを下記の式(3)に代入して算出される第2の操舵反力であり、K2は第2の操舵反力F2に対応する係数である。
F2=Func2 (γ) …(3)
Func2 (γ)としては、例えば一次式を用いることができる。すなわち、F2=b・γ(bは係数)。上記の係数bは、ヨーレートγの範囲毎に異なる複数の係数b1,b2,…を含むものであってもよい。例えばγが−γ1≦θ≦+γ1(γ1は正)の範囲内で相対的な大きな変化勾配が得られるようにしてもよい。
【0025】
また、F3は、検出された横加速度Gyを下記の式(4)に代入して算出される第3の操舵反力であり、K3は第3の操舵反力F3に対応する係数である。
F3=Func3 (θ) …(4)
Func3 (Gy)としては、例えば一次式を用いることができる。すなわち、F3=c・Gy(cは係数)。上記の係数cは、横加速度Gyの範囲毎に異なる複数の係数c1,c2,…を含むものであってもよい。例えばGyが−Gy1≦Gy≦+Gy1(Gy1は正)の範囲内で相対的な大きな変化勾配が得られるようにしてもよい。
【0026】
目標操舵反力算出部33は、算出した目標操舵反力Fに応じた反力指示信号を、反力制御部34に出力する。反力制御部34は、目標操舵反力算出部33から出力される目標操舵反力値に応じて反力用アクチュエータ18に対する目標電流を決定する目標電流設定部35と、その目標電流に応じて反力用アクチュエータ18に出力する電流を制御する出力電流制御部36とを含んでいる。出力電流制御部36からの電流制御信号が、駆動回路30に入力され、駆動回路30は、反力用アクチュエータ18を例えばPWM制御によって駆動するようになっている。また、駆動回路30と出力電流制御部36との間で出力電流のフィードバック制御が行われるようになっている。
【0027】
このようにして駆動された反力用アクチュエータ18が、操舵部材3に、その操作方向と逆方向の力(反力)を付与する動作をなす。
本実施の形態によれば、反力用アクチュエータ18から操舵部材3に与えられる反力に、船体2の挙動が反映されているので、操舵部材3を操作する操縦者は、船の状況を把握することができる。したがって、操舵部材と転舵機構が機械的に連結されていた従来の操舵装置と同様の操舵感を操縦者に与えることができ、その結果、操縦者が操舵に違和感を感じることがない。
【0028】
特に、ヨーレートと横加速度という、船体挙動に関する2つのパラメータが、操舵反力に反映されるので、操舵部材3を操作する操縦者は、船の状況をより確実に把握することができる。
また、操舵反力Fの船体挙動量対応成分(K2・F2+K3・F3)が、ヨーレート対応成分K2・F2および横加速度対応成分K3・F3の線形和として算出されるので、下記の利点がある。
【0029】
すなわち、低速ではヨーレート分解能>横加速度分解能となるためヨーレートに主に応じた操舵反力を発生することができ、高速では横加速度分解能>ヨーレート分解能となるため横加速度に主に応じた操舵反力を発生することができる。したがって、操舵反力に占めるヨーレートと横加速度の寄与する割合が、船速によって自動的に変化するようにでき、横加速度とヨーレートの一方のみを使用する場合や、両方とも使用しない場合よりも、好適な操舵反力が発生することになる。よって、船速の高低にかかわらず好適な操舵反力を発生させることにより良好な操舵フィーリングを確保することができる。
【0030】
なお、第1、第2および第3の操舵反力F1,F2,F3にそれぞれ対応する係数K1,K2,K3は、それぞれ予め定められる値を用いてもよいし、船速センサ25により検出された船速に応じて、予め定めるマップ、或いは関数式を用いて求められる値であってもよい。
次いで、図4は本発明の別の実施の形態の制御の内容を示すためのブロック図である。図4を参照して、本実施の形態では、制御部28が、操舵角センサ20により検出された操舵角に基づいて目標操舵反力を算出する目標操舵反力算出部37と、ヨーレートセンサ23により検出されたヨーレートおよび横加速度センサ24により検出された横加速度に応じて目標操舵反力補正量を算出する目標操舵反力補正量算出部38と、目標操舵反力算出部37により算出された目標操舵反力を、目標操舵反力補正量算出部38により算出された補正量を用いて補正する目標操舵反力補正部39とを備えている。
【0031】
目標操舵反力算出部37は、下記の式(5)を用いて、目標操舵反力Fを算出する。
F=Func1 (θ) …(5)
目標操舵反力補正量算出部38は、下記の式(6)を用いて、補正量δを算出する。
δ=K4・Func2 (γ)+K5・Func3 (Gy) …(6)
ここで、K4、K5は係数である。また、各関数式Func1 (θ)、Func2 (γ)、Func3 (Gy)としては、先の実施の形態で用いたものと同様のものを用いることができる。
【0032】
目標操舵反力補正部39では、目標操舵反力算出部37により算出された目標操舵反力F、および目標操舵反力補正量算出部38により算出された補正量δを下記の式(7)に代入して、目標操舵反力Fを補正し、補正された目標操舵反力Faを得る。
Fa=F+γ …(7)
本実施の形態においても、反力用アクチュエータ18から操舵部材3に与えられる反力に、船体2の挙動が反映されているので、操舵部材3を操作する操縦者は、船の状況を把握することができる。したがって、操縦者が操舵に違和感を感じることがない。
【0033】
なお、上記の係数K4,K5は、それぞれ予め定められる値を用いてもよいし、船速センサ25により検出された船速に応じて、予め定めるマップ、或いは関数式を用いて求められる値であってもよい。
また、本発明の船用操舵装置を、いわゆる船内機によって推進力を得る船に適用するようにしてもよい。その他、請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態の船用操舵装置が適用された船の模式図である。
【図2】船用操舵装置の要部のブロック図である。
【図3】(a)および(b)は、それぞれ、検出された操舵角とこれに基づく操舵反力との関係を示すグラフ図である。
【図4】本発明の別の実施の形態の船用操舵装置の要部のブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
1…船用操舵装置、2…船体、3…操舵部材、4…船外機(舵取り部材)、5…転舵機構、6…転舵用アクチュエータ、18…反力用アクチュエータ、20…操舵角センサ(操舵角検出手段)、23…ヨーレートセンサ(ヨーレート検出手段。船体挙動量検出手段)、24…横加速度センサ(横加速度検出手段。船体挙動量検出手段)、28…転舵角制御部、33…目標操舵反力算出部、34…反力制御部、35…目標電流設定部、36…出力電流制御部(電流出力手段)、θ…操舵角、γ…ヨーレート(船体挙動量)、Gy…横加速度(船体挙動量)、F…目標操舵反力、K1・F1…操舵角対応成分、K2・F2…ヨーレート対応成分(船体挙動量対応成分)、K3・F3…横加速度対応成分(船体挙動量対応成分)、37…目標操舵反力算出部、38…目標操舵反力補正量算出部、39…目標操舵反力補正部、Fa…補正された目標操舵反力、δ…補正量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵部材と、操舵部材とは機械的に連結されていない転舵機構と、操舵部材の操舵角を検出する操舵角検出手段と、船体の挙動量を検出する船体挙動量検出手段と、目標操舵反力に応じて操舵部材に反力を与えるための反力用アクチュエータと、操舵角検出手段により検出された操舵角および船体挙動量検出手段により検出された船体挙動量に基づいて目標操舵反力を算出する目標操舵反力算出部とを備えたことを特徴とする船用操舵装置。
【請求項2】
請求項1において、上記目標操舵反力は、操舵角検出手段により検出された操舵角に応じて算出された操舵角対応成分に、船体挙動量検出手段により検出された船体挙動量に応じて算出された船体挙動量対応成分を付加して算出されることを特徴とする船用操舵装置。
【請求項3】
請求項2において、上記船体挙動量検出手段は、船体のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、船体の横加速度を検出する横加速度検出手段とを含み、
船体挙動量対応成分は、ヨーレート検出手段によって検出されたヨーレートに応じて算出されたヨーレート対応成分と、横加速度検出手段によって検出された横加速度に応じて算出された横加速度対応成分とを含むことを特徴とする船用操舵装置。
【請求項4】
請求項3において、上記船体挙動量対応成分は、上記ヨーレート対応成分および上記横加速度対応成分の線形和として算出されることを特徴とする船用操舵装置。
【請求項5】
操舵部材と、操舵部材とは機械的に連結されていない転舵機構と、操舵部材の操舵角を検出する操舵角検出手段と、船体の挙動量を検出する船体挙動量検出手段と、目標操舵反力に応じて操舵部材に反力を与えるための反力用アクチュエータと、操舵角検出手段により検出された操舵角に基づいて目標操舵反力を算出する目標操舵反力算出部と、目標操舵反力算出部により算出された目標操舵反力を、船体挙動量検出手段により検出された船体挙動量に応じて補正する目標操舵反力補正部とを備えたことを特徴とする船用操舵装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1項において、上記目標操舵反力に応じた制御電流を出力する電流出力手段を備え、上記反力用アクチュエータは、上記電流出力手段から出力された制御電流の供給を受ける電動モータを含むことを特徴とする船用操舵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−1206(P2008−1206A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171825(P2006−171825)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【出願人】(000176213)ヤマハマリン株式会社 (256)