説明

船舶用転舵装置、及び船舶

【課題】転舵荷重が増大した際のハンドルの応答性を良好に保つことができる船舶用転舵装置及び船舶を提供する。
【解決手段】電動モータによって駆動される船外機12と、操船者により操作され、電動モータに電気的に接続されて駆動信号を電動モータに与えるハンドル17と、ハンドル17の駆動信号に基づいて電動モータを動作させるECU33とを備え、ECU33は、ハンドル操作に従った転舵状態を検出する操舵状態検出手段、船舶の走行状態を検出する走行状態検出手段、船外機12の数量等の状態を認識する船外機状態認識手段、電動モータの状態を検出する電動モータ状態検出手段の少なくとも何れか一つを有する。転舵力演算手段は、当該手段からの検出値に基づいて、電動モータの駆動電流の電流値を大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転舵駆動手段と船舶推進装置作動手段とを電気的に接続させた船舶用転舵装置、及び船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の船舶用転舵装置においては、特許文献1、及び特許文献2に記載されたようなものがある。即ち、特許文献1には、船尾に船外機が設けられ、船外機に転舵力を付与する「電動アクチュエータ」としての電動モータが設けられ、電動モータと操船席に設けられたハンドルとが信号ケーブルによって接続された船舶用転舵装置が記載されている。ここで、船外機を転舵させる際に電動アクチュエータに加わる荷重(本明細書において「転舵荷重」と称する。)は船舶の航行速度に依存する一方、転舵荷重が小さいときに電動モータに過大な駆動電流が供給されると、目標値に対して制御量がオーバーシュートしてしまい、図9の(a)に示すように転舵特性が悪化する恐れがある。そして、引用文献2には、船舶が低速で航行する場合に電動モータに供給する駆動電流を減少させる船舶用転舵装置が記載されている。
【特許文献1】特許第2959044号公報
【特許文献2】特開2006−69408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、例えば船舶が高速航行する場合、低速航行する場合に比べて転舵荷重は大きくなる。そのため、転舵の際電動モータが出力すべきトルク量は低速時に比べて増大する。しかし、引用文献1及び2に記載の発明においては、船舶の航行中に電動モータのトルク量を増大させるための構成を有していない。そのため、引用文献1及び2に記載の発明において船舶が高速航行する場合の応答特性が変化し、図9の(b)に示すようにハンドルを転舵させてから船外機が転舵されるまでに大きなタイムラグが発生するようになる。そのため、引用文献1及び2に記載の発明においては、高速航行時のハンドルの操作性が変わるという問題がある。
【0004】
一方、転舵荷重は、船舶の航行速度以外にも、船外機の回転角や転舵速度等の転舵状態、船外機に設けられたプロペラの回転方向と船外機の転舵方向の関係や船舶の重量等の船舶自体の状態によっても変化し、温度変化等、電動モータの状態の変化によっても事実上変化する。そして、引用文献1及び2に記載の発明においては、これらの状態の変化に伴う転舵荷重の増大によっても応答特性が変化し、ハンドルの操作性が変わるという問題がある。
【0005】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、転舵荷重が増大した際のハンドルの応答性を良好に保つことができる船舶用転舵装置、及び当該船舶用転舵装置を搭載した船舶を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、船体の船尾に配設される船舶推進装置と、船舶の進行方向を変えるための電動アクチュエータによって駆動される舵切り装置と、操船者により操作され、操作量に応じた駆動信号を前記電動アクチュエータに与えるために前記電動アクチュエータに電気的に接続されたハンドルと、該ハンドルの駆動信号に基づいて前記電動アクチュエータを動作させる制御手段とを備えた船舶用転舵装置において、前記制御手段は、ハンドル操作に従った転舵状態を検出する操舵状態検出手段と、船舶の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記船舶推進装置の数量等の状態を認識する船舶推進装置状態認識手段と、前記電動アクチュエータの状態を検出する電動アクチュエータ状態検出手段との少なくとも何れか一つを有し、該少なくとも一つの手段からの検出値に基づいて、前記電動アクチュエータが付与する目標転舵力を大きくする転舵力演算手段と、該転舵力演算手段が演算した目標転舵力に応じて前記電動アクチュエータを制御する電動アクチュエータ制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記電動アクチュエータ制御手段は、目標転舵力が大きくなった際に前記電動アクチュエータに供給する駆動電流を増大させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記操舵状態検出手段には、ハンドル操作に従った転舵に必要な転舵力を検出する転舵力検出手段と、前記船舶推進装置にかかる力を検出する負荷検出手段と、ハンドル操舵角、ハンドル操舵速度、ハンドル操舵方向、ハンドル操舵に従って駆動される舵の回転角、舵の回転速度、舵の回転方向を検出する操舵検出手段と、前記ハンドル操作に応じた目標転舵角と舵の転舵角との偏差を検出する偏差検出手段との少なくとも一つが接続されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記走行状態検出手段には、前記船舶の喫水位置、重量を検出する重量検出手段と、前記船舶のトリム角を検出するトリム角検出手段と、前記船舶の速度、加速度、推力、前記船舶推進装置の出力を検出する速度検出手段との少なくとも一つが接続されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の構成に加え、前記船舶推進装置状態認識手段には、前記船舶推進装置の数量、前記船舶推進装置の船舶に対する搭載位置、前記船舶推進装置に設けられたプロペラの回転方向、プロペラ形状、タブトリム角度、タブトリム形状のうちのいずれか1つの情報を記憶した操舵記憶手段が接続されたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一つに記載の構成に加え、前記電動アクチュエータ状態検出手段には、前記電動アクチュエータの温度を検出する温度検出手段と、複数の前記電動アクチュエータのうち駆動する電動アクチュエータ及び該駆動する電動アクチュエータの数を選択する電動アクチュエータ選択手段のうち少なくとも一つの手段が接続されたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一つに記載の構成に加え、前記転舵力演算手段は、前記検出値に基づいてPID制御のゲインを変化させて前記目標転舵力を算出することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか一つに記載の船舶用転舵装置が配設されたことを特徴とする船舶であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ハンドルの駆動信号に基づいて電動アクチュエータを動作させる制御手段は、ハンドル操作に従った転舵状態を検出する操舵状態検出手段と、船舶の走行状態を検出する走行状態検出手段と、船舶推進装置の数量等の状態を認識する船舶推進装置状態認識手段と、電動アクチュエータの状態を検出する電動アクチュエータ状態検出手段との少なくとも何れか一つを有し、少なくとも一つの手段からの検出値に基づいて、電動アクチュエータが付与する目標転舵力を大きくする転舵力演算手段と、転舵力演算手段が演算した目標転舵力に応じて電動アクチュエータを制御する電動アクチュエータ制御手段とを備えたことにより、電動アクチュエータに加わる転舵荷重の増大を、船舶の各種状態変化に基づく所定の物理量の変化によって検出し、転舵荷重が増大した際に、物理量の検出値に基づいて電動アクチュエータが出力するトルク量を増大させる制御を行うことができる。これにより、転舵荷重が増大した際のハンドルの応答性を良好に保つことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、電動アクチュエータ制御手段は、目標転舵力が大きくなった際に電動アクチュエータに供給する駆動電流を増大させることにより、電動アクチュエータに加わる荷重が増大した時に電動アクチュエータが出力するトルク量を確実に増大させ、転舵荷重が増大した際のハンドルの応答性を一層良好に保つことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、操舵状態検出手段には、ハンドル操作に従った転舵に必要な転舵力を検出する転舵力検出手段と、船舶推進装置にかかる力を検出する負荷検出手段と、ハンドル操舵角、ハンドル操舵速度、ハンドル操舵方向、ハンドル操舵に従って駆動される舵の回転角、舵の回転速度、舵の回転方向を検出する操舵検出手段と、前記ハンドル操作に応じた目標転舵角と舵の転舵角との偏差を検出する偏差検出手段との少なくとも一つが接続されたことにより、転舵荷重の大きさに大きな影響を与えるハンドルの転舵状態の変化に基づいて、電動アクチュエータに加わる転舵荷重の変化を検出、算出できる。これにより、電動アクチュエータが出力するトルク量を転舵荷重の増大量に基づいて確実に増大させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、走行状態検出手段には、船舶の喫水位置、重量を検出する重量検出手段と、船舶のトリム角を検出するトリム角検出手段と、船舶の速度、加速度、推力、船舶推進装置の出力を検出する速度検出手段との少なくとも一つが接続されたことにより、走行状態のうち転舵荷重の大きさに大きな影響を与える要因に基づいて、電動アクチュエータに加わる転舵荷重の変化を検出、算出できる。これにより、電動アクチュエータが出力するトルク量を転舵荷重の増大量に基づいて確実に増大させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、船舶推進装置状態認識手段には、船舶推進装置の数量、船舶推進装置の船舶に対する搭載位置、船舶推進装置に設けられたプロペラの回転方向、プロペラ形状、タブトリム角度、タブトリム形状のうちのいずれか1つの情報を記憶した操舵記憶手段が接続されたことにより、船舶の各種状態変化に基づいて変動し電動アクチュエータに加わる荷重を変化させうる所定の物理量に関するデータを予め記憶させておき、このデータを用いて電動アクチュエータが出力するトルク量を算出できる。これにより、電動アクチュエータが出力するトルク量を転舵荷重の増大量に基づいて簡易かつ確実に増大させることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、電動アクチュエータ状態検出手段には、前記電動アクチュエータの温度を検出する温度検出手段と、複数の電動アクチュエータのうち駆動する電動アクチュエータ及び駆動する電動アクチュエータの数を選択する電動アクチュエータ選択手段のうち少なくとも一つの手段が接続されたことにより、電動アクチュエータの出力特性に大きな影響を与える温度の変化に基づいて、電動アクチュエータの駆動状態を修正することができる。これにより、電動アクチュエータが出力するトルク量を転舵荷重の増大量に基づいて確実に増大させることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、転舵力演算手段は、検出値に基づいてPID制御のゲインを変化させて目標転舵力を算出することにより、転舵荷重の増大量をフィードバックできトルク量を追従させることができる。これにより、電動アクチュエータが出力するトルク量を転舵荷重の増大量に基づいて確実に増大させることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、上記効果を有する船舶用転舵装置が搭載された船舶を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0023】
図1乃至図9には、この発明の実施の形態を示す。
【0024】
まず構成を説明すると、この実施の形態の船舶は、図1に示すように、船体10の船尾板11に「船舶推進装置」としての船外機12がクランプブラケット13を介して取り付けられ、この船外機12は、上下方向に沿うスイベル軸(転舵ピボット軸)14廻りに回転可能となっている。
【0025】
このスイベル軸14の上端部には、ステアリングブラケット15が固定され、このステアリングブラケット15の前端部15aに舵切り装置16が連結され、この舵切り装置16が、操船席に配設されたハンドル17により操作されて駆動されるようになっている。
【0026】
その舵切り装置16は、図2に示すように、「電動アクチュエータ」としての例えばDD(Direct Drive)型電動モータ20を有し、この電動モータ20が、左右方向に配設されたネジ棒21に装着され、このネジ棒21に沿って左右方向に移動するように構成されている。
【0027】
そのネジ棒21は、両端部が左右一対の支持部材22に支持され、これら支持部材22は、チルト軸23に支持されている。
【0028】
そして、その電動モータ20には、連結ブラケット24が後方に向けて突設され、この連結ブラケット24とステアリングブラケット15とが連結ピン25を介して連結されている。
【0029】
これにより、電動モータ20が駆動して、ネジ棒21に対して左右方向に移動することにより、連結ブラケット24及びクランプブラケット13を介して船外機12が、スイベル軸14を中心として回動するように構成されている。
【0030】
一方、ハンドル17は、図1に示すように、ハンドル軸26に固定され、このハンドル軸26の基端部にハンドル制御部27が設けられ、このハンドル制御部27には、ハンドル17の操舵角を検出するハンドル操舵角センサ28及び、ハンドル17の操作時にこのハンドル17に対して所望の反力を付与する反力モータ29が設けられている。
【0031】
このハンドル制御部27が、信号ケーブル30を介して「制御手段」としてのECU(Engine Control Unit)33に接続され、このECU33が舵切り装置16の電動モータ20に接続され、このECU33にハンドル操舵角センサ28からの信号が入力され、このECU33にて電動モータ20が制御駆動されると共に、このECU33にて反力モータ29が制御されるように構成されている。
【0032】
そして、このECU33は、図4に示すように、ハンドル操作に従った転舵状態を検出する操舵状態検出手段38と、船舶の走行状態を検出する走行状態検出手段39と、船外機12の数量等の状態を認識する「船舶推進装置状態認識手段」としての船外機状態認識手段40と、電動モータ20の状態を検出する「電動アクチュエータ状態検出手段」としての電動モータ状態検出手段41とを有している。また、これら操舵状態検出手段38、走行状態検出手段39、船外機状態認識手段40、電動モータ状態検出手段41からの検出値に基づいて電動モータ20が出力すべき転舵力(トルク量)を算出する転舵力演算手段42と、転舵力演算手段42が演算した目標転舵力に応じて電動モータ20を制御する「電動アクチュエータ制御手段」としての電動モータ制御手段43とを有している。転舵力演算手段42は、転舵時に作用する電動モータ20に対する荷重が増加されると判断される時に、電動モータ20が付与する目標転舵力を大きくするようにトルク量の算出を行う(詳しくは後述する。)。
【0033】
その操舵状態検出手段38には、図3に示す、ハンドル操作に従った転舵に必要な転舵力を検出する転舵力検出手段53と、水圧など舵にかかる負荷を検出する負荷検出手段46と、ハンドル操舵角、ハンドル操舵速度、ハンドル操舵方向、ハンドル操舵に従って駆動される舵の回転角、舵の回転速度、舵の回転方向を検出する操舵検出手段47と、ハンドル操作に応じた目標転舵角と舵の転舵角との偏差を検出する偏差検出手段45とが接続され、その操舵検出手段47には、操舵角度を検出するハンドル操舵角センサ28が含まれている。これにより、転舵荷重の大きさに大きな影響を与えるハンドル17の転舵状態の変化に基づいて、電動モータ20に加わる転舵荷重の変化を検出、算出できる。
【0034】
また、その走行状態検出手段39には、図3に示す、船舶の喫水位置、重量を検出する重量検出手段48と、船舶のトリム角を検出するトリム角検出手段49と、船舶の速度、加速度、推力、船外機12の出力を検出する速度検出手段50と、船舶の速度を検出する速度センサ34と、船外機12のエンジン回転数を検出する回転数センサ35とが接続されている。これにより、走行状態のうち転舵荷重の大きさに大きな影響を与える要因に基づいて、電動モータ20に加わる転舵荷重の変化を検出、算出できる。
【0035】
また、そのECU33には、船舶情報(例えばトリム角、プロペラサイズ等)の信号が入力されるように構成されている。
【0036】
さらに、船外機状態認識手段40には、操舵記憶手段51が接続されている。この操舵記憶手段51は磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体であって、船外機12の数量、船外機12の船舶に対する搭載位置、船外機12に設けられたプロペラの回転方向、プロペラ形状、タブトリム角度、タブトリム形状等の情報、及び、当該情報に基づく数値データがテーブルとして記憶されている。この数値データは、前述の情報をはじめとする、船舶の各種状態変化に基づいて変動し電動モータ20に加わる荷重を変化させうる物理量に関するデータであり、後述する通り、電動モータ20の駆動電流の算出に用いられる。なお、操舵記憶手段51はECU33に内蔵されていても良いことは勿論である。
【0037】
さらにまた、電動モータ状態検出手段41には、電動モータ20の温度を検出する温度検出手段52が接続されている。温度検出手段52は例えばサーミスタ、熱電対等を有する温度センサを備え、電動モータ20の温度に基づいて変化する温度信号を出力する。なお、この実施の形態では直接関係しないが、船外機12を転舵させる転舵モータ20が複数存在する場合、電動モータ状態検出手段41には、それら複数の電動モータ20のうち駆動する電動モータ及び駆動する電動モータの数を選択する電動アクチュエータ選択手段が接続されていてもよい。
【0038】
次に、作用について説明する。
【0039】
図5は、この実施の形態に係る制御のフローチャート図である。同図に示す通り、まず、操船者にてハンドル17が所定量回転されると、操舵検出手段47のハンドル操舵角センサ28からECU33に操作信号が送られて、操舵状態検出手段38はこの操作信号に基づいてハンドル17の操作角を検出する(ステップS11)。更に、操舵状態検出手段38は、その操作信号に基づいて目標転舵角を検出し(ステップS12)、また、その操作信号に基づいて目標制御偏差の算出を行う(ステップS13)。
【0040】
また、操舵状態検出手段38は、負荷検出手段46、操舵検出手段47、偏差検出手段45から送られた操舵信号、及び転舵力検出手段53が検出した転舵力により、操舵状態を検出する(ステップS14)。ここで操舵状態とは、船外機12の転舵に必要な転舵トルク、ハンドル操舵角、ハンドル操舵速度、ハンドル操舵方向、ハンドル操舵に従って駆動される舵の回転角、舵の回転速度、舵の回転方向、前記ハンドル操作に応じた目標転舵角と舵の転舵角との偏差等の状態を言う。
【0041】
その転舵トルクは、負荷検出手段46から供給された操舵信号に基づいて検出され、操舵角度、操舵速度及び操舵方向等は操舵検出手段47から供給された操舵信号に基づいて検出される。
【0042】
さらに、走行状態検出手段39は、重量検出手段48、トリム角検出手段49、速度検出手段50、速度センサ34、回転数センサ35から供給された走行信号により、走行状態を検出する(ステップS15)。ここで走行状態とは、船舶の喫水位置、重量、トリム角、速度、加速度、推力、船外機12の出力等の状態を言う。
【0043】
その船舶の喫水位置、重量は重量検出手段48から供給された走行信号により検出され、船舶のトリム角はトリム角検出手段49から供給された走行信号により検出され、船舶の速度、加速度、推力、船外機12の出力は速度検出手段50から供給された走行信号により検出される。
【0044】
さらにまた、船外機状態認識手段40は、船外機12の状態を認識する(ステップS16)。ここで船外機12の状態とは、船外機12の数量(即ち1の船舶に設置された機数)、船外機12の船舶に対する搭載位置、船外機12に設けられたプロペラの回転方向、プロペラ形状、タブトリム角度、タブトリム形状等の状態を言う。
【0045】
船外機状態認識手段40は、船外機12の状態を認識すると、操舵記憶手段51にアクセスし、認識した条件に基づく数値データを取得する。なお、船外機状態認識手段40が認識した情報のうち転舵状態の変化や走行状態の変化によっても変化しないもの(例えば船外機12の設置台数や設置位置、船外機12の重量、プロペラの回転方向等)は操舵記憶手段51にデータとして記憶され、ステップS16が2回以上繰り返される際はこの記憶されたデータを船外機状態認識手段40が読み出して用いてもよい。
【0046】
次いで、電動モータ状態検出手段41は、温度検出手段52から供給された温度信号等により、電動モータ20の状態を検出する(ステップS17)。ここで、電動モータ20の状態とは、電動モータ20の温度や電圧等の状態を言い、電動モータ20が複数設けられている場合には、複数の電動モータ20のうちの駆動している電動モータ20及び駆動している電動モータ20の数も、この状態に含まれる。
【0047】
そして、転舵力演算手段42は、ステップS11〜S17にて検出並びに算出された値に基づいて電動モータ20が出力すべきトルク量(即ち目標転舵力)を算出する(ステップS18)。この実施の形態においては、転舵力演算手段42は、電動モータ20が出力すべきトルク量として、電動モータ20に供給される駆動電流の電流値を算出する。
【0048】
この実施の形態において、転舵力演算手段42は所定の式にステップS11〜S17にて検出並びに算出された値を適用することで電流値を算出する。ここで用いる所定の式は、電流値の算出に適していればどのようなものでもよいが、例えば下記に示すPID制御の式(1)が考えられる。

【0049】
そして、転舵力演算手段42は、ステップS13にて算出した偏差を式(1)に適用すると共に、ステップS12,S14〜S17にて検出した値を補正値として式(1)のk,k,kに加算(又は乗算)することで電流値を算出する。
ステップS12,S14〜S17における検出値に基づいてPID制御のゲインを変化させて電流値を算出することにより、転舵荷重の増大量をフィードバックでき電動モータ20のトルク量を追従させることができる。
【0050】
そして、電動モータ制御手段43はステップS18で算出された電流値の駆動電流を電動モータ20に供給する(ステップS19)。これにより、電動モータ20は回動してステップS18にて算出されたトルク量を出力し、船外機12を転舵させる。
【0051】
ここで、上述のこの実施の形態における電流値の算出は、より詳しくは下記(原理1)〜(原理4)に基づくものである。
【0052】
(原理1)転舵状態に応じた電動モータ20の制御
図6の(a)は、一の船外機12の転舵角と転舵力との関係を示す模式図である。船外機12の転舵方向及び転舵角と転舵力の大きさとの関係は同図に示すようになり、それゆえ、転舵速度が速いとき(図6の(a)に示す“A”参照)は、転舵速度が遅いとき(同図の“A”参照)よりも船外機12を転舵させるために大きな力を要する。又、船外機12の転舵角が大きくなる(同図の“B”参照)程、転舵角が小さいとき“B”参照)よりも、船外機12を転舵させるために大きな力を要する。
【0053】
また、図6の(a)の模式図に示す関係により、船外機12をプロペラの回転による反トルクを受ける方向に転舵する時(同図の“C”参照)は、当該方向とは反対方向に転舵する場合(同図の“C”参照)よりも、船外機12を転舵させるために大きな力を要する。更に、船外機12を特定の転舵角から転舵角を大きくする方向(即ち、舵を切る方向)に転舵する場合(同図の“D”参照)よりも、当該特定の転舵角から転舵角を小さくする方向(即ち、舵を戻す方向)に転舵する場合(図6の“D”参照)の方が船外機12を転舵させるために大きな力を要する。
【0054】
そこで、この実施の形態においては、転舵速度が速い程、また、船外機12の転舵角が大きい程、電動モータ20に大きな駆動電流を供給する。また、プロペラの回転による反トルクを受ける方向に転舵する時は、反トルクを受けない方向に転舵する場合よりも電動モータ20に大きな駆動電流を供給する。
【0055】
更に、この実施の形態においては、船外機12を特定の転舵角から転舵角を大きくする方向に転舵する場合よりも、当該特定の転舵角から転舵角を小さくする方向に転舵する場合の方が電動モータ20に大きな駆動電流が供給されるように制御する。
【0056】
このようにして、転舵荷重が大きくなるときに電動モータ20が出力するトルク量を的確に増大させることができる。
【0057】
(原理2)走行状態に応じた電動モータ20の制御
(2-1)図7は、転舵力と転舵速度等の関係を示す模式図である。同図に示す通り、転舵力と船舶重量との関係は、船舶重量が大きくなると転舵力が大きくなるような比例関係を示す。同様に、転舵力とトリム角との関係、転舵力と船速との関係、転舵力と加速度(及び減速度)との関係等も、それぞれが大きく(トリム角の場合は小さく)なると転舵力が大きくなるような関係を示す。
【0058】
そこで、この実施の形態においては、船舶重量が大きいほど、また、船外機12のトリム角が小さいほど(即ち船外機12の水没深さが深いほど)、また、船舶の航行速度が速いほど、また、船舶の加速度(又は減速度)が大きいほど、電動モータ20に大きな駆動電流が供給されるように制御する。
(2-2)一の船舶に船外機12が複数搭載されている場合(この実施の形態において図示せず)においては、搭載された複数の船外機12のうち実際には一部の船外機12のみで走行しているとき、又は各船外機12のトリム状態が異なるとき(船外機12下部の水没深さが異なる場合)には、左転舵と右転舵の際の転舵荷重特性が同一にならない。
【0059】
そこで、この実施の形態においては、推力を発生している船外機12が船体10の幅方向で右側か左側かに応じて電動モータ20に供給する駆動電流の大きさを調整し、転舵負荷が大きくなるときに大きな駆動電流を供給する。
【0060】
また、複数の船外機12において、船舶が旋回するときに旋回内側の船外機12は旋回外側の船外機12よりも水没量が大きくなる。そのため、旋回内側の船外機12は旋回外側の船外機12よりも大きな転舵力を要する。また、この転舵力は旋回中心に近いほど大きくなり、更に、水没量が大きくなるほど大きな転舵力を要する。そして、図7の模式図に示す通り、複数の船外機12の設置位置が外側寄り(即ち、船尾板11の両端部寄り)であるほど旋回内側の船外機12の転舵力が大きくなるような比例関係を示す。また、図7の模式図に示す通り、船舶の旋回時のロール角が大きくなると旋回内側の船外機12の転舵力が大きくなる比例関係を示す。
【0061】
そこで、この実施の形態においては、船外機12が複数設置されている場合、旋回内側の船外機12は旋回外側の船外機12よりも大きな駆動電流を供給する。更に、船外機12が複数設置されている場合、各船外機12が外側寄り(即ち、船尾板11の両端部寄り)に設置されている場合の方が内側寄り(即ち、船尾板11の中央寄り)に設置されている場合よりも旋回内側の船外機12に大きな駆動電流を供給し、旋回時の船舶のロール角が大きいほど旋回内側の船外機12に大きな駆動電流が供給されるように制御する。このようにして、転舵荷重が大きくなるときに電動モータ20が出力するトルク量を的確に増大させることができる。
(2-3)一の船舶に船外機12が複数設置され、それぞれのプロペラが異なる方向に回転する場合、それぞれの船外機12の反トルクを受ける方向が相違し、その結果各船外機12を転舵させる際の転舵力が相違する。例えば、図6の(b)の模式図には一の船舶に2基の船外機12を設置した場合を示しているが、一方側に転舵する際は一方側の船外機12における転舵力(同図のE参照)は他方側の船外機12における転舵力(同図のE参照)よりも大きくなり、逆に他方側に転舵する際は他方側の船外機12における転舵力(同図のF参照)は一方側の船外機12における転舵力(同図のF参照)よりも大きくなる。
【0062】
そこで、この実施の形態においては、複数の船外機12が設置され、それぞれのプロペラの回転方向が相違する場合には、転舵時に反トルクを受ける方向に転舵する船外機12を転舵させる電動モータ20にのみ大きな駆動電流が供給されるように制御する。このようにして、転舵荷重が大きくなるときに電動モータ20が出力するトルク量を的確に増大させることができる。
【0063】
(原理3)電動モータ20の状態に応じた電動モータ20の制御
通常、モータは温度が上昇するに伴ってモータ特性が変化する。そして、電動モータ20も、温度が高くなるほど図8の(a)の模式図に破線で示すようなモータ特性を示すようになる。即ち、特定の回転数において出力される転舵トルクは、電動モータ20の温度が上昇するほど低下することになる(同図におけるG,G参照)。
【0064】
ここで、電動モータ20の回転数は駆動電流の大きさと略線形の関係にある。そこで、この実施の形態においては、電動モータ20の温度が上昇するほど、当該電動モータ20に大きな駆動電流が供給されるように制御し、電動モータ20の駆動状態を修正して低温時と同等のトルク量が出力されるようにする(図8におけるG参照)。
【0065】
また、一の船外機12を複数の電動モータ20を用いて転舵駆動させる場合(この実施の形態では図示せず)、駆動可能な電動モータ20の数が少なくなるほど、図8の(b)の模式図に破線で示すように、転舵に際し個々の電動モータ20が出力すべきトルク量が増大する(同図におけるH,H参照)。
【0066】
そこで、この実施の形態においては、一の船外機12を複数の電動モータ20を用いて転舵駆動させる場合、駆動可能な電動モータ20の数が少なくなるほど個々の電動モータ20に大きな駆動電流が供給されるように制御する(図8の(b)におけるH参照)。このようにして、個々の電動モータ20に加わる転舵荷重が大きくなるときに個々の電動モータ20が出力するトルク量を的確に増大させることができる。
【0067】
(原理4)線外機12の状態に応じた電動モータ20の制御
船外機12自体の状態、例えば、船外機12の基数や、各船外機12に設けられたプロペラやタブトリム(図示せず)等の大きさや位置等も、転舵させる際の抵抗の大きさに影響を及ぼす。
【0068】
そこで、この実施の形態においては、一の船体10に搭載された船外機12の基数が多いほど電動モータ20に大きな駆動電流が供給されるように制御する。また、船外機12に設けられたプロペラやタブトリムの大きさが大きいほど電動モータ20に大きな駆動電流が供給されるように制御する。また、タブトリムの角度が、航行速度や、トリム角や、喫水に応じた基準位置からずれている場合、ずれ具合が大きいほど電動モータ20に大きな駆動電流が供給されるように制御する。このようにして、個々の電動モータ20に加わる転舵荷重が大きくなるときに個々の電動モータ20が出力するトルク量を的確に増大させることができる。
【0069】
図9の(c)は、上記(原理1)〜(原理4)に基づいて電動モータ20の制御を行った結果としての転舵応答性の模式図である。上記(原理1)〜(原理4)に基づいて、転舵荷重が大きくなったときに電動モータ20に大きな駆動電流が供給されることにより、トルク量が増大し、ハンドル17の操舵状態と船外機12の転舵状態をほぼ一致した状態とすることができる。
【0070】
このように、この実施の形態では、電動モータ制御手段43が、目標転舵力が大きくなった際に電動モータ20に供給する駆動電流を増大させることにより、電動モータ20に加わる荷重が増大した時に電動モータ20が出力するトルク量を確実に増大させることができる。
【0071】
以上、この実施の形態においては、船舶の各種状態変化に基づいて変動し電動モータ20に加わる荷重を変化させうる所定の物理量を検出して、荷重が増大した際に、物理量の検出値に基づいて電動モータ20が出力するトルク量を増大させる制御を行うことができる。これにより、船舶の各種状態変化に基づいて転舵荷重が増大した際のハンドル17の応答性を良好に保つことができる。
【0072】
なお、上記実施の形態では、「船舶推進装置」について船外機12を適用したが、これに限らず、船内外機でも良いことは勿論である。また、上記実施の形態では、操舵状態検出手段38、走行状態検出手段39、船外機状態認識手段40及び電動モータ状態検出手段41を有しているが、これら手段の少なくとも一つを備えていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】この発明の実施の形態に係る船舶の平面図である。
【図2】同実施の形態に係る船舶の舵切り装置の拡大平面図である。
【図3】同実施の形態に係る船舶のブロック図である。
【図4】同実施の形態に係るECUを示すブロック図である。
【図5】同実施の形態に係る制御のフローチャート図である。
【図6】(a)同実施の形態に係る一の船外機の転舵角と転舵トルクとの関係を示す模式図、(b)同実施の形態に係る複数の船外機の転舵角と転舵力との関係を示す模式図である。
【図7】同実施の形態に係る転舵力と転舵速度等の関係を示す模式図である。
【図8】同実施の形態に係る走行状態に応じた反力制御の状態を示すグラフ図である。
【図9】(a),(b)従来の船舶用転舵装置におけるハンドルの操舵角と船外機の転舵角との関係を示す模式図、(c)この発明の実施の形態におけるハンドルの操舵角と船外機の転舵角との関係を示す摸式図である。
【符号の説明】
【0074】
10 船体
12 船外機(船舶推進装置)
16 舵切り装置
17 ハンドル
20 電動モータ(電動アクチュエータ)
33 ECU(制御手段)
38 操舵状態検出手段
39 走行状態検出手段
40 船外機状態認識手段(船舶推進装置状態認識手段)
41 電動モータ状態検出手段(電動アクチュエータ状態検出手段)
42 転舵力演算手段
43 電動モータ制御手段(電動アクチュエータ制御手段)
45 偏差検出手段
46 負荷検出手段
47 操舵検出手段
48 重量検出手段
49 トリム角検出手段
50 速度検出手段
51 操舵記憶手段
52 温度検出手段
53 転舵力検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体の船尾に配設される船舶推進装置と、船舶の進行方向を変えるための電動アクチュエータによって駆動される舵切り装置と、操船者により操作され、操作量に応じた駆動信号を前記電動アクチュエータに与えるために前記電動アクチュエータに電気的に接続されたハンドルと、該ハンドルの駆動信号に基づいて前記電動アクチュエータを動作させる制御手段とを備えた船舶用転舵装置において、
前記制御手段は、
ハンドル操作に従った転舵状態を検出する操舵状態検出手段と、船舶の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記船舶推進装置の数量等の状態を認識する船舶推進装置状態認識手段と、前記電動アクチュエータの状態を検出する電動アクチュエータ状態検出手段との少なくとも何れか一つを有し、
該少なくとも一つの手段からの検出値に基づいて、前記電動アクチュエータが付与する目標転舵力を大きくする転舵力演算手段と、
該転舵力演算手段が演算した目標転舵力に応じて前記電動アクチュエータを制御する電動アクチュエータ制御手段とを備えたことを特徴とする船舶用転舵装置。
【請求項2】
前記電動アクチュエータ制御手段は、目標転舵力が大きくなった際に前記電動アクチュエータに供給する駆動電流を増大させることを特徴とする請求項1に記載の船舶用転舵装置。
【請求項3】
前記操舵状態検出手段には、
ハンドル操作に従った転舵に必要な転舵力を検出する転舵力検出手段と、前記船舶推進装置にかかる力を検出する負荷検出手段と、ハンドル操舵角、ハンドル操舵速度、ハンドル操舵方向、ハンドル操舵に従って駆動される舵の回転角、舵の回転速度、舵の回転方向を検出する操舵検出手段と、前記ハンドル操作に応じた目標転舵角と舵の転舵角との偏差を検出する偏差検出手段との少なくとも一つが接続されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶用転舵装置。
【請求項4】
前記走行状態検出手段には、
前記船舶の喫水位置、重量を検出する重量検出手段と、前記船舶のトリム角を検出するトリム角検出手段と、前記船舶の速度、加速度、推力、前記船舶推進装置の出力を検出する速度検出手段との少なくとも一つが接続されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の船舶用転舵装置。
【請求項5】
前記船舶推進装置状態認識手段には、
前記船舶推進装置の数量、前記船舶推進装置の船舶に対する搭載位置、前記船舶推進装置に設けられたプロペラの回転方向、プロペラ形状、タブトリム角度、タブトリム形状のうちのいずれか1つの情報を記憶した操舵記憶手段が接続されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の船舶用転舵装置。
【請求項6】
前記電動アクチュエータ状態検出手段には、前記電動アクチュエータの温度を検出する温度検出手段と、複数の前記電動アクチュエータのうち駆動する電動アクチュエータ及び該駆動する電動アクチュエータの数を選択する電動アクチュエータ選択手段のうち少なくとも一つの手段が接続されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の船舶用転舵装置。
【請求項7】
前記転舵力演算手段は、前記検出値に基づいてPID制御のゲインを変化させることで前記目標転舵力を算出することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の船舶用転舵装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一つに記載の船舶用転舵装置が配設されたことを特徴とする船舶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−126777(P2008−126777A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312238(P2006−312238)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000176213)ヤマハマリン株式会社 (256)