説明

色刺激用肌着及び衣服

【課題】身体に流れる14経絡に対して特定の14色刺激を与えることで経絡の異常により筋力低下したものが回復し身体機能の改善する肌着及び衣服を提供する。
【解決手段】頚部周りの前部正中を通る任脈にはこうろぜん(黄櫨染)色、後部正中を通る督脈にはピアニー色の2色を特定し、上腕部から手関節部を通る肺経、心包経、心経、大腸経、三焦経、小腸経の6つの各経絡にはそれぞれ、白色、スカーレット色、さんご色(珊瑚色)、うすくれない(薄紅)、濃紺(のうこん)、いっこんぞめ(一斤染)の6色を用いた色を特定し、胴回りや下腿部から足関節部を通る肝経、脾経、腎経、膀胱経、胆経、胃経の6つの経絡にはそれぞれ群青色、ベージュ、ミッドナイトブルー、黒、コバルトグリーン、アップルグリーン色の6色を特定し、合計14色の特定した色を用いた色刺激用肌着及び衣服。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は身体に流れている14の経絡に対して特定の色刺激を与える事で、経絡の異常により筋力低下した症状が回復し身体機能を改善する肌着及び衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体に経絡という14本の流れがある。それを図10において説明する、ただ図面ではわかりにくくなる為、経絡の流れを左右対称に表していない、しかし左右対称に流れている経絡が12本、前後の正中部を流れている経絡が2本ある。
【0003】
詳しく説明すると、上肢部では左右対称の6経の流れがあり、手掌側に11,12,13の3経が流れている。11は肺経の流れで左右対称の前胸部から両拇指に流れ12は心包経の流れで左右の前胸部から左右第4指に流れ、13は心経の流れで左右の腋下部から左右の第5指に流れている。
【0004】
また、手背側には14,15,16の3経の流れがあり、14は大腸経の左右の第2指から肩上部、頚部を経由し顔面の左右の鼻翼部に流れ、15は三焦経の流れで左右の第4指から肩上部、頚部を経由し顔面の左右の眉外端部に流れ、16は小腸経の流れで左右の第5指から肩上部、頚部を経由し顔面の耳孔の前に流れている。
【0005】
また下肢部でも左右対称の6経の流れがあり、下腿内側には17,18,19の3経が流れている。17は腎経の流れで左右の足底部から腹部を経由し、左右の鎖骨内端の真下まで流れ、18は脾経の流れ拇趾内側から腹部を経由し、左右の側胸部に流れ、19は肝経の流れで左右の拇趾外側から腹部を経由し、左右の胸部の下端部に流れている。
【0006】
また、下腿外側部には20,21,22の3経の流れがあり、20は胃経の流れで左右の眼科部から頚部、腹部を経由し左右の足の第2指に流れ、21は胆経の流れで左右の眼の外端部から、頚部、肩上部、腹部を経由し左右の足の第5指に流れ、22は膀胱経の流れで左右の眼の内端部から頚部、腰背部を経由し左右の足の第5指に流れている。
【0007】
躯幹中央部には前後一本ずつで23,24の2経の流れがあり、23は任脈の流れで正中下端の会陰部から腹部前面を上下し下唇の中央真下に流れる。24は督脈の流れで正中下端の尾骨先端部から背部を上下し頭部を経由し、上唇の中央真上に流れる。
【0008】
これら身体に流れている経絡に対し、特定の色を与えて身体機能を改善する技術として今までに色々な公報が開示されている。
【0009】
特開平10−118152に記載されている「バンド」は、五色に色分けされた2バンドを身体各部の頚部、手関節、腹部、膝関節部などに別々に装着することにより、プラスの静電気が除去され、血流、リンパ液の流れを改善することを目的として作成されている。
【0010】
特開2002−200085に記載されている「各臓器・経絡の異常の検知及びその健康維持用部材」は、身体の各臓器や14経絡の異常を起こした場合に検知する色や、健康を維持するための色が明記されており、その基準はオーリングテストを使い同一物質に於ける共鳴現象を利用し、判断し決定している。各臓器・各経絡に異常があれば一目で異常時の色や、健康維持に必要な健康維持色が分かるものであり、身体機能を改善する技術として用いられている。
【0011】
特許2750088に記載されている「人体表色地図とこれによる治療材料及び治療方法」は身体各部を五行表に沿って青、赤、黄、白、黒の五色に色分けし、疼痛が有ればその疼痛部分の人体表色地図に対応した色のテープを貼付、或いは五色に対応した五味に相当する酢(青)、苦(赤)、甘(黄)、辛(白)、鹹(黒)などの液汁を用いて幹部に塗布することで疼痛の緩解に役立てる方法が用いられている。
【0012】
実登3044306に記載されている「色彩療法用シール」は経絡上の内臓反射点、神経反射点、経穴に対応する色のシールを皮膚に貼着させ、シールを透過した色彩光が生体反応を好転させ、患者の健康状態を改善させる方法を用いている。
【0013】
実登3024433に記載されている「経絡治療用シール」はダイオードを利用し、経絡の流れの早さを正常値に調整することで、病気の緩解を計る方法が用いられている。この際に青、赤、黄、白、黒、桃色に着色されたシールを使用することでより効果を挙げると記載されている。
【0014】
【特許文献1】特開平10−118152号公報
【特許文献2】特開2002−200085号公報
【特許文献3】特許2750088号公報
【特許文献4】実登3044306号公報
【特許文献5】実登3024433号公報
【0015】
各特許文献には身体に対し色彩の影響を与え、経絡の流れや血流、リンパの流れを改善するものや、生体反射点に刺激を与えて健康を維持するもの、健康維持用部材に種々な構成が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特開平10−118152号公報に記載されている「バンド」は頚部、手関節部、腹部、膝関節部など各疼痛部分に、その都度装着しなければならない不便さがあり、14の経絡に対して5色で対応しようとしている為、全ての経絡に対して充分な効果があるとは思えない。
【0017】
また、特開2002−200085号公報に記載されている「各臓器・経絡の異常の検知及びその健康維持用部材」については各経絡、各臓器についての異常検知色や健康維持色についての検知法を公開されているが、取り扱いについては専門の筋力テスト法(オーリングテスト法)の習得が必要であり使用しづらい点があり同時に14の経絡に対してそれぞれ特定の色を採用しているが、一部の色については筋力低下の改善に充分に対応していない点が挙げられる。
【0018】
また、特許2750088号公報に記載されている「人体表色地図とこれによる治療材料及び治療方法」では、身体各部を経絡分布によって5色分けし、人体表色地図に従って5色のテープを貼付することで治療効果を得る方法がとられている。各疼痛部分を人体表色地図に照らし合わせながら貼付色を確定し、その都度テープを貼付しなければならない不便さと、14の経絡に対し5色で対応しようとしている為、全ての経絡に対して充分な効果があるとは思えない点が挙げられる。
【0019】
また、実登3044306号公報に記載されている「色彩療法用シール」については、経絡上の内臓反射点、神経反射点、経穴に対し、15種類の色彩シールを用意し症状に合わせ対応する色のシールを内臓反射点、神経反射点、経穴等に貼着しなければならない。そのため内臓反射点、神経反射点、経穴等の専門知識が必要であること、さらにシール貼着後、貼着部の肌を適当時間露出し自然光にさらさなければならないなど使用しづらい点が挙げられる。
【0020】
また、実登3024433号公報に記載されている「経絡治療用シール」については、シールの貼付する場所によって経絡の流れの方向性が異なるため、各経絡の流れの方向性、経穴の場所を知らなければならない。また皮膚に貼付する等の煩わしさがある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そこで、これらの課題を解決するために、
1)経絡に対して効果的な色を特定する
2)経絡、経穴、反射点などの専門知識が不要であること
3)皮膚に貼付、貼着する必要のないこと
4)オーリングテストなどの技術の習得が不要であること
等を考慮した結果、本発明を考えた。
【0022】
本発明は身体に流れている14本の各経絡に対し、色の影響を与える衣服であり、その各経絡に影響を与える色は、任脈にはこうろぜん(黄櫨染)色、督脈にはピアニー色、肺経には白色、心包経にはスカーレット色、心経にはさんご色(珊瑚色)、大腸経にはうすくれない(薄紅)、三焦経には濃紺(のうこん)、小腸経にはいっこんぞめ(一斤染)、肝経には群青色、脾経にはベージュ、腎経にはミッドナイトブルー、膀胱経には黒、胆経にはコバルトグリーン、胃経にはアップルグリーン色の合計14色の特定した色であって、この色を用いて各経絡の通過している頚部回り、肩口、袖口、胴回り、肩上部等の折り返し部に、又は重ね合わさった部分の内部に14の経絡に対応した14色を、配色および配置することで、一定の色刺激を経絡に与えることのできる色刺激用肌着及び衣服を採用し解決を試みた。
【0023】
14の経絡に色の影響を与える衣服であって、
頚部回りの前部を通る任脈にはこうろぜん(黄櫨染)色、胃経にはアップルグリーン色を使用、頚部回りの後部を通る督脈にはピアニー色、膀胱経には黒色を使用し、
頚部回りには、こうろぜん(黄櫨染)、アップルグリーン、ピアニー色、黒色の4色を特定し、経絡の通過している頸から胴回りまでの間で経絡と交わるように色を配色および配置し、
肩上部を通る大腸経にはうすくれない色、三焦経には濃紺、小腸経にはいっこんぞめ色、胆経にはコバルトグリーン色を使用、肩上部には、この4色を特定し、経絡の通過している側頚部から肩峰部までの間で経絡と交わるように色を配色及び配置し、
腕回り部手掌面部を通る肺経には白色、心包経にはスカーレット色、心経にはさんご色(珊瑚色)を使用、腕回り部手背面を通る大腸経にはうすくれない(薄紅)、三焦経には濃紺(のうこん)、小腸経にはいっこんぞめ(一斤染)色を使用し、
腕回り部には、白色、スカーレット色、さんご色(珊瑚色)、うすくれない(薄紅)、濃紺(のうこん)、いっこんぞめ(一斤染)の6色を特定し、経絡が通過している袖口部から肩口部の間で、経絡と交わるように色を配色および配置する、
胴回りを通過する肝経には群青色、脾経にはベージュ、腎経にはミッドナイトブルー、膀胱経には黒、胆経にはコバルトグリーン、胃経にはアップルグリーン色を使用、胴回り部には、この6色を特定し、経絡が通過している臍回りから股関節上端部の間で、経絡と交わるように色を配色および配置する、
14色の特定した色を用いて各経絡に影響を与えることを特徴とする色刺激用肌着及び衣服を採用し解決を試みた。
【0024】
色刺激用肌着及び衣服において、14の経絡の通過する首回り、肩口、腕回り、胴回り、肩上部等の折り返し部に、又は重ね合わさった部分の内部に各経絡に対応した色の糸を挿入した事を特徴とする、色刺激用肌着及び衣服を採用し解決を試みた。
【0025】
また挿入する色の糸が,14の経絡に対して最低各一本であることを特徴とする、色刺激用肌着及び衣服を採用し解決を試みた。
【0026】
なお、色刺激用肌着及び衣服において、14の経絡の通過する首回り、肩口、腕回り、胴回り、肩上部等の折り返し部に、又は重ね合わさった部分の内部に各経絡に対応した色をプリントした事を特徴とする、色刺激用肌着及び衣服を採用し解決を試みた。
【0027】
この発明に於いて特定した経絡に影響を及ぼした14本の糸の色を、京都染色試験場において測色して貰った、その試験方法と結果は次の通りである。
1)測色機はMacbeth Color Eye 3000を使用した
2)測色条件は UV(IN) SCE SAV(OUT)C光源 2度視野
3)測色は各々の色の試料に対して3回ずつ行い、結果はその平均値を示した。

5)表示を4原色の表現にすると下記の通りである


【0028】
また、プリントした色が線状であることを特徴とする、色刺激用肌着及び衣服を採用し解決を試みた。
【発明の効果】
【0029】
このような色刺激用肌着及び衣服を採用することで、
1) 内臓反射点、神経反射点、経穴等の専門知識や筋力テスト法、オーリングテスト法などの専門技術がいらない。
2) テープ及びシールを貼付、貼着する煩わしさがなく、着用するだけで経絡に色刺激効果を連続して与える事ができ、経絡を賦活し皮膚内臓反射によって身体機能が活性化する。
3) 一経絡に対し一色の色でよく、その太さは糸一本分でよいため、着色部が限りなく少なく、色彩やファッション性に影響を与えない。
4) どの様な色彩の服と重ね着しても効果が減少しない。
5) 経絡の異常によって起因した筋力の弱化が改善され、経絡に関連した筋肉の筋力が安定し、身体バランスが良くなり筋力の不安定によって引き起こされていた身体各部の痛みなどが改善される。
6) 着脱が簡単である。
7) 折り目の内部に糸を挿入、或いはプリントするため表面から着色部がみえない。
等の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
【0031】
以下、本発明の実施例を図1〜図9で説明する。
【0032】
図1、図2に示しているのはTシャツを正面から見たものと背面から見たものであって、頚部前面部の1、腕回り部の3、胴回り部の4、頚部後面部の5には生地の折り返し部が設けられており、肩上部の2には生地の継ぎ目部で内側から当て布が施されている(あて布が施されて無い場合もある)Tシャツである。
【0033】
使用した糸は筋反射テストを使って、経絡にどの様な色が適しているかを判断し、一番筋肉に力が入った色の糸を選択しTシャツに挿入した。
【0034】
14経絡に対応する最適な色として、合計14色を特定した選択方法は、胆経であれば胆経に異常がでれば弱くなる三角筋(前部)、膝窩筋を検査筋として選択し、これらの筋肉が一番強くなる糸の色を選びながら胆経に最適な色を特定していった。
【0035】
具体的な方法としては、後に記載してある最大筋力測定装置「トレマックス」を使用して最大筋力の変化を測定した方法と同様、棒磁石を胆経の流れに沿うよう上流にN極、下流にS極を貼付し筋力を測定した。この場合、胆経に関連している筋肉、即ち三角筋(全部) 膝窩筋の筋力は落ちない。しかし胆経の流れに逆らうように上流にS極、下流にN極を貼付すると胆経に関連している二つの筋肉の筋力は極端に低下する。この状態に於いて色の豊富な各ミシン糸メーカーのミシン糸を経絡に当てながら筋力が強くなる色を探していくと、特定の色の糸にのみ反応することが判った。何度も繰り返し実験をした結果、胆経では弱った筋力が一番強くなる色としてコバルトグリーンを特定した。
【0036】
以下同様に肺経では烏口腕筋または前鋸筋、大腸経では大腿筋膜張筋、脾経では広背筋、胃経では大胸筋鎖骨部、心包経では中・小臀筋、三焦経では小円筋、心経では肩甲下筋、小腸経では大腿四頭筋、肝経では大胸筋胸肋部、胆経では三角筋(前部)、腎経では大腰筋、膀胱経では腓骨筋、任脈では棘上筋、督脈では大円筋を主たる筋肉として実験し、14の経絡に関連する特定の糸を選択していった。
【0037】
特定した糸を京都染色試験場において測色して貰い、結果を経絡に影響する色として記載した。
【0038】
経絡の通過している部分に経絡に対応した色の糸を挿入したTシャツを作製した。頚部前面部1を通過する経路は任脈の23と胃経の20で、この2経に関係する色はそれぞれ113のこうろぜん(黄櫨染)色と110のピアニー色の2色である。この2色を図3の部分に左右の側頚間の幅で、図7のように折り返し部分に2本の糸を挿入した。
【0039】
肩上部2を通過する経絡は大腸経の14、小腸経の16、胆経の21、三焦経の15の4経で、この経絡に関係する色はそれぞれ104のうすくれない(薄紅)色、106のいっこんぞめ(一斤染)色、111のコバルトグリーン色、105の濃紺(のうこん)色の4色である。この4色を図1−2・図2−2の部分で側頚部から肩峰部の間で左右の肩上部に、図9のように肩上部の当て布部分の間に4本の糸を挿入した。
【0040】
腕回り部3を通過する経絡は肺経の11、大腸経の14、心包経の12、三焦経の15、心経の13、小腸経の16の6経で、この経絡に関係する色はそれぞれ101の白色、104のうすくれない(薄紅)色、102のスカーレット色、105の濃紺(のうこん)色、103のさんご色(珊瑚色)色、106のいっこんぞめ(一斤染)色の6色である。この6色を左右の腕回り図5の部分に、図8のように折り返し部分に6本の糸を腕周りを一周するように挿入した。
【0041】
胴回り前面部4を通過する経絡には肝経の19、腎経の17、脾経の18、胆経21、任脈の23と胃経の6経が関係しそれらに関連する色はそれぞれ109の群青色、107のミッドナイトブルー色、108のベージュ色、111のコバルトグリーン色、113のこうろぜん(黄櫨染)色、110のアップルグリーン色の6色である。この6色を図4の部分に両腋下線間の幅で、図8のように折り返し部分に6本の糸を挿入した。
【0042】
頚部後面部5を通過する経絡は膀胱系22と督脈の24でこの2経に関係する色はそれぞれ112の黒色と114のピアにー色の2色である。この2色を図4の部分に左右の側頚部の幅で、図7のように折り返し部分に2本の糸を挿入した。
【0043】
経絡に対応する14色で加工したこの肌着を着用し、兵庫県立総合体育館に設置されている最大筋力測定装置「トレマックス」を使用して最大筋力の変化を測定した。測定した実験の結果は、表1の通りである。
【0044】
測定の仕方はそれぞれ、i、ii、iiiの状態にて測定したものである。
i−通常の状態にて測定した最大筋力。
ii−ストレスを加えた状態で測定したものである、即ち、経絡の流れの方向性に逆らい上流にS極、下流にN極がくるように棒磁石を測定したものである。
iii−iiのストレスを加えた状態で、肌着を着用し筋力テストをしたものである。
【表1】

【0045】
表1の見方を説明する。例えばA氏の測定結果について見ると、後大腿筋の場合、i)の通常の筋力の測定結果は32.7kgであった。次にii)の後大腿筋に関連する経絡に負担を掛けた状態で測定すると、30.2kgになり2.5kg筋力が低下した。さらにiii)では経絡に負担の掛った状態で、色加工した肌着を着用し筋力を測定すると37.2kgになった。結果は経絡に負担の掛った状態においても筋力が7kg増加した。このように各筋肉に於いて、同様の方法で測定したところ上記のような結果が得られた。
【0046】
この実験結果を全体的に見ると、i)の結果に対し、ii)の測定結果は、3.7%上昇したものから最大27%まで下がった筋肉があった、平均では14.5%下がり。測定筋に対応する経絡に負担が掛ると、筋力の低下を招くことが実証された。
【0047】
次に、ii)の測定した結果に対しiii)の肌着を着用した後の測定結果は、筋力が下がったものはなく、最大19.5%上昇し、平均では13.4%筋力の上昇があった。
【0048】
これらのことから経絡に負担が加わった状態でも、経絡に対応した色刺激を加えることで、筋力が落ちることなく影響を受けにくくなる。と同時に負担のかかった経絡、即ち身体に対する負担を軽減するひとつの方法として色刺激が有効であることが判明した。
【0049】
この肌着を着用し実験した結果、個人差は生じるものの、14の経絡に関連した主たる筋肉(肺経−烏口腕筋または前鋸筋、大腸経−大腿筋膜張筋、脾経−広背筋、胃経−大胸筋鎖骨部、心包経−中・小臀筋、三焦経−小円筋、心経−肩甲下筋、小腸経−大腿四頭筋、肝経−大胸筋胸肋部、胆経−三角筋(前部)、腎経−大腰筋、膀胱経−腓骨筋、任脈−棘上筋、督脈−大円筋)の左右の筋力テストをした結果、着用前に差のあった筋力が、着用後ではその差が減少、もしくは消失した効果があった。
【0050】
今回、実験に使用した肌着は14色の糸を挿入した肌着を採用したが、各経絡に対応した色を生地直接にプリントしても良いし、生地にプリントした布を該当部分に貼り付けても良い。この様に図1・図2の1〜5の該当部分に各経絡に対応した色彩を加工するが、経絡通過部によって重複する色があるが、この中から全ての部分に14色を選択しても良い。また1経絡に1色だけ対応し14色だけを選択しても良い。
【0051】
尚、肌着及び衣服とは、Tシャツ、ランニングシャツ、ブラジャー、タンクトップ、スポーツブラ、カッターシャツ等を総称しているものであり、本文では肌着(Tシャツ)を作製し説明した。
【0052】
また、色の位置であるが、頚部の前面部分を通過する経絡に関連する色の位置は両側頚間の幅で頚周りから胴回り下端までの間であれば、どの高さの位置の部分でも良く、長さは側頚間の幅だけでも、頚回りまたは胴回りを一周しても良い。
【0053】
また、腕回りを通過する経絡に関連する色の位置は、腕周りを一周しても良いし経絡部分掛るのであれば部分的な加工でも良い、その位置は肩口部分から袖口までの間であればどの位置でも良い。
【0054】
また、胴回り前面部を通過する経絡に関連する色の位置は、臍の高さから股関節上端までの間であればどの高さの位置でもよく、また胴回りの前面部だけども胴回りを一周しても良い。
【0055】
また、頚部後面部を通過する経絡に関連する色の位置は、両側頚間の幅で頸周りから胴回り下端までの間であれば、どの位置でもよく、長さは側頚間の幅だけでも頸周りまたは胴回りを一周しても良い。
【0056】
これらの構成によって作製した肌着は、肌着の折り目、又は生地の重なった部分に糸を挿入しているため、外部から着色部が見えず、ファンション性に影響を与えず、重ね着してもかさばらず、またテープ及びシールを貼付、貼着する煩わしさがなく、着用するだけで経絡に色刺激効果を連続して与えられ、また着脱が簡単であるなどの効果があり、特に経絡の異常によって生じた、経絡に関連する筋肉の筋力低下が修正されるなどの効果が高かった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
身体における経絡と筋肉、そして色との関連に於いて、どのような利用ができるか、実験を行った結果14経絡には少なくとも14色の色との関係が存在することが判明した。色によって経絡が影響を受け、経絡に関連している筋力が回復すれば、これまで、あらゆる治療体系に於いて、傷病や疾病の根幹と考えられてきた、身体の筋肉などの支持組織における前後・左右・捻れ方向のアンバランスが軽減される。例えば、関節運動に関しては上記の方向性を持った支持組織の筋肉が安定することで、関節全体がスムーズな動きをし、各関節の痛み等が軽減すると共に、障害を引き起こす可能性が低くなり怪我の予防につながる。事実この実験中に何人もの人が腰痛や、膝関節痛、肩凝り、の症状の軽減を経験している。更には、内臓疾患に関しても、体幹部の筋肉のアンバランスを軽減することにより、背骨の歪みに対し矯正補助される。その結果、自律神経(交感神経・副交感神経)の緊張の緩和が生じ、内臓器官や内分泌器官に影響を及ぼし、消化・代謝・ホルモンバランス等の生理的に活動の改善が見込まれる。以上の理論・考察を実際に作用させるには、先の実験で判明した色彩を肌着、カッターシャツ、衣服等に活用し、スポーツの現場や日常生活などのTPOに左右されることなく簡単に利用できるものとした。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例としての肌着を示す正面図
【図2】本発明の実施例としての肌着を示す後面図
【図3】頚部前面部配色図
【図4】頚部後面部配色図
【図5】腕回り部配色図
【図6】胴回り部前面部配色図
【図7】頚部前面部及び後面部の断面図
【図8】腕回り部及び胴回り部の断面図
【図9】肩上部の断面図
【図10】経絡の概略図
【符号の説明】
【0059】
1 頚部前面部
2 肩上部分
3 腕回り部分
4 胴回り部分
5 頚部後面部
11 肺経(左右対称)
12 心包経(左右対称)
13 心経(左右対称)
14 大腸経(左右対称)
15 三焦経(左右対称)
16 小腸経(左右対称)
17 腎経(左右対称)
18 脾経(左右対称)
19 肝経(左右対称)
20 胃経(左右対称)
21 胆経(左右対称)
22 膀胱経(左右対称)
23 任脈(正中部のみ)
24 督脈(正中部のみ)
101 肺経に対応する白色の糸
102 心包経に対応するスカーレット色の糸
103 心経に対応するさんご(珊瑚色)色の糸
104 大腸経に対応するうすくれない(薄紅)色の糸
105 三焦経に対応する濃紺(のうこん)色の糸
106 小腸経に対応するいっこんぞめ(一斤染)色の糸
107 腎経に対応するミッドナイトブルー色の糸
108 脾経に対応するベージュ色の糸
109 肝経に対応する群青色の糸
110 胃経に対応するアップルグリーン色の糸
111 胆経に対応するコバルトグリーン色の糸
112 膀胱経に対応する黒色の糸
113 任脈に対応するこうろぜん(黄櫨染)色の糸
114 督脈に対応するピアニー色の糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に流れている14本の各経絡に対し、色の影響を与える衣服であり、その各経絡に影響を与える色は、任脈にはこうろぜん(黄櫨染)色、督脈にはピアニー色、肺経には白色、心包経にはスカーレット色、心経にはさんご色(珊瑚色)、大腸経にはうすくれない(薄紅)、三焦経には濃紺(のうこん)、小腸経にはいっこんぞめ(一斤染)、肝経には群青色、脾経にはベージュ、腎経にはミッドナイトブルー、膀胱経には黒、胆経にはコバルトグリーン、胃経にはアップルグリーン色の合計14色の特定した色であって、この色を用いて各経絡の通過している頚部回り、肩口、袖口、胴回り、肩上部等の折り返し部に、又は重ね合わさった部分の内部に14の経絡に対応した14色を、配色および配置することで、一定の色刺激を経絡に与えることのできる色刺激用肌着及び衣服。
【請求項2】
14の経絡に色の影響を与える衣服であって、
頚部回りの前部を通る任脈にはこうろぜん(黄櫨染)色、胃経にはアップルグリーン色を使用、頚部回りの後部を通る督脈にはピアニー色、膀胱経には黒色を使用し、
頚部回りには、こうろぜん(黄櫨染)、アップルグリーン、ピアニー色、黒色の4色を特定し、経絡の通過している頸から胴回りまでの間で経絡と交わるように色を配色および配置し、
肩上部を通る大腸経にはうすくれない色、三焦経には濃紺、小腸経にはいっこんぞめ色、胆経にはコバルトグリーン色を使用、肩上部には、この4色を特定し、経絡の通過している側頚部から肩峰部までの間で経絡と交わるように色を配色及び配置し、
腕回り部手掌面部を通る肺経には白色、心包経にはスカーレット色、心経にはさんご色(珊瑚色)を使用、腕回り部手背面を通る大腸経にはうすくれない(薄紅)、三焦経には濃紺(のうこん)、小腸経にはいっこんぞめ(一斤染)色を使用し、
腕回り部には、白色、スカーレット色、さんご色(珊瑚色)、うすくれない(薄紅)、濃紺(のうこん)、いっこんぞめ(一斤染)の6色を特定し、経絡が通過している袖口部から肩口部の間で、経絡と交わるように色を配色および配置する、
胴回りを通過する肝経には群青色、脾経にはベージュ、腎経にはミッドナイトブルー、膀胱経には黒、胆経にはコバルトグリーン、胃経にはアップルグリーン色を使用、胴回り部には、この6色を特定し、経絡が通過している臍回りから股関節上端部の間で、経絡と交わるように色を配色および配置する、
14色の特定した色を用いて各経絡に影響を与えることを特徴とする色刺激用肌着及び衣服。
【請求項3】
色刺激用肌着及び衣服において、14の経絡が通過している首回り、肩口、袖口、胴回り、肩上部等の折返し部に、又は重ね合わさった部分の内部に、各経絡に対応した色の糸を挿入した事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の色刺激用肌着及び衣服。
【請求項4】
挿入する色の糸が、14の経絡に対して最低各一本であることを特徴とする請求項3に記載の色刺激用肌着及び衣服。
【請求項5】
色刺激用肌着及び衣服において、14の経絡の通過している首回り、肩口、袖口、胴回り、肩上部等の折返し部に、又は重ね合わさった部分に、各経絡に対応した色をプリントした事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の色刺激用肌着及び衣服。
【請求項6】
プリントした色が線状であることを特徴とする請求項5記載の色刺激用肌着及び衣服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−6251(P2008−6251A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203909(P2006−203909)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(500556720)
【Fターム(参考)】