色識別装置および色識別方法
【課題】呈色反応の過程で反応面に色むらが生じても、反応面の色を高精度で識別可能な色識別装置および色識別方法を提供する。
【解決手段】ヒストグラム記憶部5aは、ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度とその頻度に関する参照用ヒストグラムと、その反応面のカテゴリとを関連づけて複数保持する。撮像部4は、保持部1内の色サンプル板10の反応面103を撮像して、その反応面のRGBビットマップ画像を生成する。演算部5dは、そのRGBビットマップ画像からRGBそれぞれの信号強度とその頻度に関するヒストグラムを生成し、生成されたヒストグラムと複数の参照用ヒストグラムとを照合して、生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定し、その参照用ヒストグラムと関連するカテゴリを表示部6に出力する。
【解決手段】ヒストグラム記憶部5aは、ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度とその頻度に関する参照用ヒストグラムと、その反応面のカテゴリとを関連づけて複数保持する。撮像部4は、保持部1内の色サンプル板10の反応面103を撮像して、その反応面のRGBビットマップ画像を生成する。演算部5dは、そのRGBビットマップ画像からRGBそれぞれの信号強度とその頻度に関するヒストグラムを生成し、生成されたヒストグラムと複数の参照用ヒストグラムとを照合して、生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定し、その参照用ヒストグラムと関連するカテゴリを表示部6に出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色識別装置および色識別方法に関し、例えば、ガスとの呈色反応にて生じた反応面の色を識別してガスを特定する色識別装置および色識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毒ガス等のガスと試薬とを化学反応させて試薬の色を変化させるガス検知装置が知られている。例えば、特許文献1(USP6228657B1号公報)には、M256キットが記載されている。
【0003】
このガス検知装置は、互いに異なる種類の試薬を内蔵する複数のアンプルと、そのアンプルが破壊されたときにアンプル中の試薬が流れ込む紙等の複数の反応面と、を含む。
【0004】
試薬は、反応面に流れ込むと、反応面に接触しているガスと化学反応する。試薬は、その化学反応により色が変わり、その試薬の色の変化に応じて、反応面の色も変わる。
【0005】
ユーザは、複数の反応面のそれぞれに、異なる試薬を流し込み、各反応面の色の変化に基づいて、ガスの強さを認識する。
【0006】
また、特許文献1には、RGB(赤、緑、青)の色に感度を有する3つのフォトダイオードまたは1つのカラーCCDを用いて、1つの反応面の色に応じた信号を出力する読取装置が記載されている。
【特許文献1】USP6228657B1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
反応面では、呈色反応の過程で色むらが生じる場合がある。例えば、反応面上で、異なる色の領域が発生する場合がある。
【0008】
特許文献1に記載の読取装置には、この色むらへの対策が施されていない。このため、この読取装置は、例えば、反応面上の異なる色を平均化した際に得られる色、つまり、実際の反応面の色とは異なる色を、反応面の色として認識する可能性を有する。
【0009】
本発明の目的は、呈色反応の過程で反応面に色むらが生じても、反応面の色を高精度で識別可能な色識別装置および色識別方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の色識別装置は、特定対象のガスと呈色反応した反応面の色を識別する色識別装置であって、ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関する参照用ヒストグラムと、当該反応面を識別するための識別情報と、を関連づけて複数保持するヒストグラム記憶部と、前記反応面を撮像して当該反応面のRGBビットマップ画像を生成する撮像部と、前記撮像部にて生成されたRGBビットマップ画像からRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを生成し、当該生成されたヒストグラムと前記複数の参照用ヒストグラムとを照合して、当該生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定し、当該特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する演算部と、前記演算部にて特定された識別情報を出力する出力部と、を含む。
【0011】
また、本発明の色識別方法は、ヒストグラム記憶部を含む色識別装置が行う色識別方法であって、ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関する参照用ヒストグラムと、当該反応面を識別するための識別情報と、を関連づけて前記ヒストグラム記憶部に複数保持する保持ステップと、前記反応面を撮像して当該反応面のRGBビットマップ画像を生成する撮像ステップと、前記生成されたRGBビットマップ画像からRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、前記生成されたヒストグラムと前記複数の参照用ヒストグラムとを照合して、当該生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定する参照用ヒストグラム特定ステップと、前記特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する識別情報特定ステップと、前記特定された識別情報を出力する出力ステップと、を含む。
【0012】
上記発明によれば、反応面の色は、反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度とその信号強度の頻度に関するヒストグラムを利用して識別される。このヒストグラムは、反応面上の異なる色の特徴を個別に表す。このため、反応面に色むらが生じても、このヒストグラムは、その反応面の個々の色の特徴を表すことができる。
【0013】
よって、呈色反応の過程で反応面に色むらが生じても、反応面の色を高精度で識別することが可能になる。
【0014】
なお、前記演算部は、前記複数の参照用ヒストグラムの中から、前記頻度のピーク値が現れる信号強度が、前記生成されたヒストグラムと最も似ている参照用ヒストグラムを特定し、当該特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定することが望ましい。
【0015】
頻度のピーク値が現れる信号強度は、反応面に現れる色が同じであれば、その色の面積が変わっても変動しない。
【0016】
このため、上記発明によれば、呈色反応の過程で反応面に現れる色の面積割合が変動しても、その変動の影響を受けずに、反応面の色を高精度で識別することが可能になる。
【0017】
また、前記演算部は、前記参照用ヒストグラムごとに、前記生成されたヒストグラムと当該参照用ヒストグラムでの同一信号強度の頻度同士の積を取り当該積を加算し、当該加算値が最大となる前記参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定することが望ましい。
【0018】
上記発明によれば、ヒストグラム記憶部内の複数の参照用ヒストグラムの中から、頻度のピーク値が現れる信号強度が、撮像部のRGBビットマップ画像のヒストグラムと最も似ている参照用ヒストグラムを、演算によって特定することが可能になる。
【0019】
また、前記ヒストグラム記憶部は、前記参照用ヒストグラムとして、予め、前記撮像部がガスと呈色反応した反応面を撮像した際のRGBビットマップ画像から前記演算部が生成したRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを保持することが望ましい。
【0020】
上記発明によれば、ヒストグラム記憶部内の複数の参照用ヒストグラムは、撮像部の特性に応じた情報となり、ヒストグラム記憶部内の複数の参照用ヒストグラムと撮像部の撮像特性との整合性を容易に取ることが可能になる。
【0021】
また、前記識別情報は、当該識別情報にて識別された反応面で化学反応したガスを識別するためのガス識別情報であることが望ましい。
【0022】
上記発明によれば、反応面で化学反応したガスの識別情報を出力することが可能になる。このため、反応面で化学反応したガスの特定が容易になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、呈色反応の過程で反応面に色むらが生じても、反応面の色を高精度で識別することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態の色識別装置を示したブロック図である。
【0026】
図1において、色識別装置100は、保持部1と、操作部2と、制御部3と、撮像部4と、処理部5と、表示部6とを含む。撮像部4は、発光部4aと、光学系4bと、CCD4cと、CCD駆動部4dと、CCD信号処理部4eとを含む。処理部5は、ヒストグラム記憶部5aと、メモリ5bと、バスライン5cと、演算部5dとを含む。
【0027】
保持部1には、色サンプル板10が所定の位置に搭載される。
【0028】
色サンプル板10には、反応面103が設けられている。反応面103は、色サンプル板10の予め定められた位置に設けられている。
【0029】
図2は、色サンプル板10の一例を示した斜視図である。
【0030】
図2において、色サンプル板10は、複数種類の試薬101と、互いに異なる種類の試薬101を内蔵する複数のアンプル102と、アンプル102が破壊されたときにそのアンプル中の試薬101が流れ込む紙等の複数の媒体103とを含む。なお、各媒体103が反応面103となる。
【0031】
試薬101は、媒体103に流れ込むと、媒体103に接触しているガス(例えば、特定対象のガス)と呈色反応する。なお、色サンプル板10は、例えば、特許文献1に記載のM256キットである。
【0032】
図1に戻って、色識別装置100は、呈色反応した反応面103の色に基づいて、特定対象のガスを特定する。
【0033】
操作部2は、ユーザにて操作可能な操作開始ボタン(不図示)を有する。操作部2は、操作開始ボタンが操作された場合、発光指示を制御部3に提供する。
【0034】
制御部3は、操作部2からの発光指示に応じて、撮像部4および処理部5の動作を制御する。具体的には、制御部3は、発光指示を受け付けた場合、発光部4aを発光させ、CCD駆動部4dに駆動信号を提供し、処理部5を動作させる。
【0035】
撮像部4は、制御部3からの指示に基づいて、保持部1に搭載された色サンプル板10の反応面103を撮像して、その反応面のRGBビットマップ画像(以下、「RGBビットマップデータ」と称する。)を生成する。なお、Rは赤を表し、Gは緑を表し、Bは青を表す。
【0036】
発光部4aは、制御部3にて制御され、保持部1に搭載された色サンプル板10の反応面103に光を照射する。発光部4aは、例えば、ハロゲンランプまたはLEDである。なお、発光部4aは、ハロゲンランプまたはLEDに限らず適宜変更可能である。
【0037】
反応面103は、発光部4aから照射された光を反射する。反応面103が特定対象のガスと呈色反応した場合、反応面103にて反射された光は、その呈色反応にて生成された色を示す。反応面103では、呈色反応の過程で、異なる色の領域が発生する色むらが生じる場合がある。
【0038】
なお、保持部1は、発光部4aから発光された照射光と異なる光が色サンプル板10に照射されることを防止する。
【0039】
光学系4bは、例えば、レンズであり、保持部1に搭載された色サンプル板10の反応面103の像をCCD4c上に形成する。
【0040】
CCD4cは、カラー撮像素子の一例である。なお、カラー撮像素子は、CCDに限らず適宜変更可能であり、例えば、CMOSセンサでもよい。
【0041】
CCD駆動部4dは、制御部3からの駆動信号に基づいてCCD4cを動作させて、CCD4c上に形成された反応面103の像をカラーで撮像する。CCD4cは、その撮像された反応面103の像を表すアナログカラー映像信号を、CCD信号処理部4eに提供する。
【0042】
CCD信号処理部4eは、CCD4cからのアナログカラー映像信号をデジタル信号(RGBビットマップデータ)に変換し、そのRGBビットマップデータを処理部5に提供する。
【0043】
なお、RGBビットマップデータでは、1つのビット(画素)が、R、GおよびBの信号からなり、R、GおよびBの信号は、信号強度が0〜255のいずれかの値をとる。なお、R、GおよびBの各信号強度のレンジは、0〜255に限らず適宜変更可能である。
【0044】
処理部5は、CCD信号処理部4eからのRGBビットマップデータを処理して反応面103の色を識別し、その識別結果に応じた情報を出力する。
【0045】
ヒストグラム記憶部5aは、ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップデータから生成されたRGBそれぞれの信号強度とその信号強度の頻度に関する参照用ヒストグラムと、その反応面を識別するための識別情報と、を関連づけて複数保持する。
【0046】
メモリ5bは、演算部5dの作業メモリとして使用される。
【0047】
演算部5dは、例えば、プログラムを実行することによって動作する。また、演算部5dは、バスライン5cを介してヒストグラム記憶部5aおよびメモリ5bと接続する。
【0048】
演算部5dは、撮像部4にて生成されたRGBビットマップデータから、RGBそれぞれの信号強度とその信号強度の頻度に関するヒストグラムを生成する。なお、信号強度は、RGBそれぞれのビッドごとに付与されており、本実施形態では、ある信号強度の頻度は、その信号強度を示すビットの数を示す。
【0049】
演算部5dは、その生成されたヒストグラムと、ヒストグラム記憶部5a内の複数の参照用ヒストグラムとを照合して、その生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定する。
【0050】
例えば、演算部5dは、ヒストグラム記憶部5a内の複数の参照用ヒストグラムの中から、頻度のピーク値が現れる信号強度が、その生成されたヒストグラムと最も似ているヒストグラムを特定する。
【0051】
具体的には、演算部5dは、参照用ヒストグラムごとに、生成されたヒストグラムと参照用ヒストグラムでの同一信号強度の頻度同士の積を取りその積を加算し、その加算値が最大となる参照用ヒストグラムと関連づけられている識別情報を特定する。
【0052】
演算部5dは、その特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている識別情報を特定し、その識別情報を表示部6に出力する。
【0053】
表示部6は、出力部の一例であり、演算部5dにて特定された識別情報を表示する。出力部は、表示部に限らず適宜変更可能であり、例えば、演算部5dにて特定された識別情報を音声報知する音声出力部でもよい。
【0054】
なお、ヒストグラム記憶部5aに保持される参照用ヒストグラムは、予め、撮像部4がガスと呈色反応した反応面を撮像した際のRGBビットマップ画像から演算部5dが生成したRGBそれぞれの信号強度とその信号強度の頻度に関するヒストグラムであることが望ましい。
【0055】
しかしながら、ヒストグラム記憶部5a内の参照用ヒストグラムは、演算部5dが生成したヒストグラムに限るものでない。
【0056】
次に、色サンプル板10の反応面103と、演算部5dが生成するヒストグラムとの関係について説明する。
【0057】
図3は、あるガス(例えば、ガスA)と呈色反応した反応面103の一例を示した説明図である。
【0058】
図3では、ガスAとの呈色反応により、白色の反応面103に、色1Aと色2Aと色3Aとが存在する円形の反応領域(色むら)103aが生じている。以下、反応領域(色むら)103aを、色サンプルAと称する。
【0059】
撮像部4は、色サンプルAを撮像すると、色サンプルAを有する反応面103に応じたRGBビットマップデータを得る。演算部5dは、そのRGBビットマップ画像を、R、G、Bの各領域における各画素の信号強度とその信号強度の頻度のデータであるヒストグラムに変換する。
【0060】
なお、演算部5dは、まず、R、G、Bの各ヒストグラムを生成し、その後、信号強度を共通軸にして、R、G、Bの各ヒストグラムを重ねた1つのヒストグラムを生成する。
【0061】
図4は、色サンプルAの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【0062】
図5は、ガスAとの呈色反応により、図3に示した色1A、色2A、色3Aの面積比が異なる円形の反応領域(色むら)103bが生じた例を示した説明図である。以下、反応領域(色むら)103bを、色サンプルBと称する。
【0063】
図6は、色サンプルBの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【0064】
色サンプルAと色サンプルBでは、双方とも反応面103がガスAと呈色反応したため、反応領域内の色の種類は同じである。このため、図4に示したヒストグラムと図6に示したヒストグラムでは、頻度がピークとなる信号強度は一致する。しかしながら、色サンプルAと色サンプルBでは、反応領域内の各色の面積比が異なるため、頻度の値は異なる。
【0065】
このため、同じガスと呈色反応した複数の反応面の中で、呈色反応の過程で各色の面積比が他の反応面と異なるものがあっても、それらのヒストグラムにおいて、頻度がピークとなる信号強度が一致していれば、各色の面積比が他の反応面と異なるものを、同一の呈色反応をした反応面として特定することが可能になる。
【0066】
一方、図7は、ガスBとの呈色反応により、白色の反応面103に、色4Aと色5Aと色6Aとが存在する円形の反応領域(色むら)103cが生じた例を示した説明図である。以下、反応領域(色むら)103cを、色サンプルCと称する。
【0067】
図8は、色サンプルCの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【0068】
色サンプルCと色サンプルAでは、化学反応したガスが異なるため、呈色反応により生じる色は異なる。よって、図4に示したヒストグラムと、図8に示したヒストグラムでは、頻度がピークとなる信号強度は異なる。
【0069】
図9は、例えば呈色反応の過程により、図5に示した色サンプルCがぼけた状態の反応領域103dを示した説明図である。以下、反応領域(色むら)103dを、色サンプルDと称する。
【0070】
図10は、色サンプルDの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【0071】
色サンプルCと色サンプルDとは、主要な色が同じであるため、頻度のピークとなる信号強度は一致する。しかしながら、色サンプルDには、色サンプルCがぼけて色サンプルCにはない色成分が生じたために、色サンプルDの方が信号強度の値に分散が生じ、ピーク値も小さくなっている。
【0072】
このため、同じガスと呈色反応した複数の反応面の中で、呈色反応の過程で各色がぼけてしまったものがあっても、それらのヒストグラムにおいて、頻度がピークとなる信号強度が一致していれば、各色がぼけてしまったものを、同一の呈色反応をした反応面として特定することが可能になる。
【0073】
図11は、ヒストグラム記憶部5aに保持された色サンプルA(i=1)の参照用ヒストグラムの一例を示した説明図である。この参照用ヒストグラムは、演算部5dにて生成され、色サンプルA(i=1)を識別するための識別情報であるカテゴリ「色サンプルA(i=1)」と関連づけて保持されている。
【0074】
なお、図11に示した参照用ヒストグラムは、色サンプルAに応じたRGBビットマップデータの各信号強度(0〜255)に対する頻度を表している。
【0075】
図11において、信号強度が50の場合は頻度が200となっており、この位置(信号強度50)が頻度のピークとなっている。このため、演算部5dは、参照データD(i=1)の信号強度50の値を1に設定し、その前後のデータを規格化して、参照データD(1)の信号強度49の値を1/200×50=0.25に設定し、参照データD(1)の信号強度が51の値を1/200×30=0.15に設定する。
【0076】
また、図11において、信号強度が180の場合は頻度が800となっており、この位置(信号強度180)も頻度のピークとなっている。このため、演算部5dは、参照データD(1)の信号強度180の値を1に設定し、その前後のデータを規格化して、参照データD(1)の信号強度179の値を1/800×350=0.44に設定し、参照データD(1)の信号強度が181の値を1/800×150=0.19に設定する。
【0077】
なお、図11において、参照データD(1)も信号強度の頻度を表す。
【0078】
図12は、ヒストグラム記憶部5aに保持された色サンプルB(i=2)の参照用ヒストグラムの一例を示した説明図である。この参照用ヒストグラムも、演算部5dにて生成され、色サンプルB(i=2)を識別するための識別情報であるカテゴリ「色サンプルB(i=2)」と関連づけて保持されている。
【0079】
なお、図12に示した参照用ヒストグラムは、色サンプルBに応じたRGBビットマップデータの各信号強度(0〜255)に対する頻度を表している。
【0080】
図12において、信号強度が50の場合は頻度が900となっており、この位置(信号強度50)が頻度のピークとなっている。このため、演算部5dは、参照データD(i=2)の信号強度50の値を1に設定し、その前後のデータを規格化して、参照データD(2)の信号強度49の値を1/900×400=0.44に設定し、参照データD(2)の信号強度が51の値を1/900×300=0.33に設定する。
【0081】
また、図12において、信号強度が180の場合は頻度が250となっており、この位置(信号強度180)も頻度のピークとなっている。このため、演算部5dは、参照データD(2)の信号強度180の値を1に設定し、その前後のデータを規格化して、参照データD(2)の信号強度179の値を1/250×40=0.16に設定し、参照データD(2)の信号強度が181の値を1/250×50=0.2に設定する。
【0082】
なお、図12において、参照データD(2)も信号強度の頻度を表す。
【0083】
図11に示した参照用ヒストグラムと図12に示した参照用ヒストグラムでは、ピークが現れる信号強度の位置は同じであるが、頻度は異なっている。
【0084】
図13は、ヒストグラム記憶部5aに保持された色サンプルC(i=3)の参照用ヒストグラムの一例を示した説明図であり、図14は、ヒストグラム記憶部5aに保持された色サンプルD(i=4)の参照用ヒストグラムの一例を示した説明図である。
【0085】
色サンプルDはぼやけているため、図14に示したヒストグラムは、図13に示したヒストグラムよりも分散が大きくなって(拡がって)いる。
【0086】
図15は、ガスBの濃度が色サンプルC発生時の濃度と異なる場合の反応面103の参照用ヒストグラムの一例を示した説明図である。ガスの濃度は、呈色反応領域の明るさと関係するため、同じガスであっても濃度が異なれば、頻度のピーク値が現れる信号強度は異なる。
【0087】
このため、本実施形態では、ユーザが、反応面103で化学反応したガスおよびそれらの濃度が異なる複数の色サンプル板10を用意し、それら色サンプル板10を順番に保持部1に搭載し、演算部5dが、各色サンプル板10の反応面103のヒストグラムを生成していき、それらのヒストグラムを、参照用ヒストグラムとして、ヒストグラム記憶部5aに保持していく。
【0088】
次に、動作を説明する。
【0089】
本実施形態の色識別装置100は、まず、ヒストグラム記憶部5aに、参照用ヒストグラムと識別情報とを格納し、その後、撮像部4が生成した反応面103のRGBビットマップデータと、ヒストグラム記憶部5a内の参照用ヒストグラムと、に基づいて、反応面103の色を識別し、その識別結果に応じた情報を出力する。
【0090】
まず、ヒストグラム記憶部5aにデータを保持する動作を説明する。この動作は、例えば、操作部2にある参照データ作成ボタン(不図示)が操作されて参照データ作成モードとなった後に実行される。
【0091】
図16は、ヒストグラム記憶部5aにデータを保持する動作を説明するためのフローチャートである。
【0092】
予め特定されているガスと呈色反応した反応面103を有する色サンプル板10が、保持部1内の所定の位置に挿入される。なお、このガスの濃度も予め特定されている。
【0093】
参照データ作成モード下で、操作部2にある操作開始ボタンが、ユーザによって操作されると、操作部2は、発光指示を制御部3に提供する。
【0094】
制御部3は、発光指示を受け付けると、発光部4aを発光させるとともに、CCD駆動部4dに駆動信号を提供し、処理部5を動作させる。
【0095】
反応面103は、発光部4aから照射された光を反射し、光学系4bは、反応面103の像をCCD4c上に形成し、CCD駆動部4dは、制御部3からの駆動信号に基づいてCCD4cを動作させて、CCD4c上に形成された反応面103の像を撮像する。
【0096】
CCD4cは、その撮像された反応面103の像を表すアナログカラー映像信号を、CCD信号処理部4eに提供し、CCD信号処理部4eは、そのアナログカラー映像信号をRGBビットマップデータに変換し、そのRGBビットマップデータを演算部5dに提供する。
【0097】
演算部5dは、そのRGBビットマップデータを取得する(ステップ1601)。
【0098】
続いて、演算部5dは、そのRGBビットマップデータを、R、G、B各領域の信号強度データに分割し、R、G、B各領域の信号強度データを、バスライン5cを経由してメモリ5bに保持する(ステップ1602)。
【0099】
続いて、演算部5dは、R領域における信号強度に対する頻度データ(Rに関するヒストグラム)を得るために、R領域での信号強度のヒストグラムを演算する。例えば、演算部5dは、メモリ5bを参照して、信号強度0〜255の各信号強度を示すR領域のビット(画素)の数を計数して、R領域での信号強度のヒストグラムを演算する(ステップ1603)。
【0100】
続いて、演算部5dは、G領域における信号強度に対する頻度データ(Gに関するヒストグラム)を得るために、G領域での信号強度のヒストグラムを演算する。例えば、演算部5dは、メモリ5bを参照して、信号強度0〜255の各信号強度を示すG領域のビット(画素)の数を計数して、G領域での信号強度のヒストグラムを演算する(ステップ1604)。
【0101】
続いて、演算部5dは、B領域における信号強度に対する頻度データ(Bに関するヒストグラム)を得るために、B領域での信号強度のヒストグラムを演算する。例えば、演算部5dは、メモリ5bを参照して、信号強度0〜255の各信号強度を示すR領域のビット(画素)の数を計数して、R領域での信号強度のヒストグラムを演算する(ステップ1605)。
【0102】
続いて、演算部5dは、信号強度を共通軸にして、R、G、Bの各ヒストグラムを合成して1つのヒストグラムを生成し、その合成されたヒストグラムをメモリ5bに保持する(ステップ1606)。
【0103】
続いて、演算部5dは、メモリ5bを参照して、その合成されたヒストグラムでの頻度のピーク値を検出する(ステップ1607)。
【0104】
続いて、演算部5dは、ピーク値が現れる信号強度の参照データD(i)に「1」を設定し、その前後の信号強度の参照データD(i)については、その信号強度の頻度をピーク値に応じて規格化した値を設定する(ステップ1608)。
【0105】
続いて、演算部5dは、データの名称などのカテゴリを入力する旨のメッセージを表示部6に表示する。ユーザが、そのメッセージに応じて操作部2を操作してカテゴリを入力すると、そのカテゴリは、操作部2から制御部3に提供され、制御部3から演算部5dに提供される(ステップ1609)。
【0106】
なお、このカテゴリは、最終的に識別したデータを表示部6に表示する際に名称として使用される。
【0107】
演算部5dは、カテゴリを受け付けると、そのカテゴリを、ここまでのデータ(ステップ1606で生成したヒストグラムと、ステップ1608で生成した参照データ)と関連づけて一塊にして、バスライン5cを経由してヒストグラム記憶部5aに保存する(ステップ1610)。なお、ステップ1606で生成したヒストグラムと、ステップ1608で生成した参照データとで、参照用ヒストグラムが構成される。
【0108】
以降、ユーザが、保持部1内の色サンプル板10を、反応面103で化学反応したガスおよびそれらの濃度が異なるものに変えながら、図16に示した動作が繰り返えされる。
【0109】
次に、演算部5dが、撮像部4にて生成された反応面103のRGBビットマップデータと、ヒストグラム記憶部5a内の参照用ヒストグラムと、に基づいて、反応面103の色を識別し、その識別結果に応じた情報を出力する動作を説明する。この動作は、例えば、操作部2にある参照データ作成ボタンの操作により参照データ作成モードが解除された後に実行される。
【0110】
図17は、この動作を説明するためのフローチャートである。なお、図17において、図16に示した処理と同一の処理には同一符号を付してある。
【0111】
特定対象のガスと呈色反応した反応面103を有する色サンプル板10が、保持部1内の所定の位置に挿入される。
【0112】
参照データ作成モードが解除された状況で、操作部2にある操作開始ボタンが操作されると、発光部4aは発光し、CCD4cは、反応面103の像を撮像し、その像を表すアナログカラー映像信号をCCD信号処理部4eに提供し、CCD信号処理部4eは、そのアナログカラー映像信号をRGBビットマップデータに変換して演算部5dに提供する。
【0113】
演算部5dは、そのRGBビットマップデータを取得する(ステップ1601)。以降、演算部5dは、ステップ1602からステップ1605を実行する。
【0114】
続いて、演算部5dは、信号強度を共通軸にして、R、G、Bの各ヒストグラムを合成して1つのヒストグラムDxを生成し、ヒストグラムDxをメモリ5bに保持する(ステップ1701)。
【0115】
続いて、演算部5dは、変数iを1に設定し、演算の際の初期値を0(Dmulti(0)=0、Dmulti_max=0)に設定する(ステップ1702)。
【0116】
続いて、演算部5dは、変数iに対応するヒストグラム記憶部5a内のデータを読み出し、そのデータを、バスライン5cを経由してメモリ5bに保持する(ステップ1703)。
【0117】
続いて、演算部5dは、メモリ5bを参照して、同一信号強度ごとに、DxとD(i)の積をとり、その積を加算していく(ステップ1704)。なお、演算部5dは、その加算値をDmulti(i)とする。
【0118】
続いて、演算部5dは、Dmulti(i)がDmulti(i−1)より大きいか判断する(ステップ1705)。
【0119】
Dmulti(i)がDmulti(i−1)より大きい場合、演算部5dは、Dmulti_max=Dmulti(i)とし、Dmatch=iとする(ステップ1706)。
【0120】
続いて、演算部5dは、i=nであるか判断する。なお、nは、ヒストグラム記憶部5a内の参照用ヒストグラムの数を示す。
【0121】
i=nでないと、演算部5dは、変数iに1を加算し(ステップ1708)、ステップ1703の処理を実行する。
【0122】
なお、ステップ1705で、Dmulti(i)がDmulti(i−1)より大きくない場合、演算部5dは、ステップ1708を実行する。
【0123】
また、ステップ1707で、i=nである場合、演算部5dは、保持部1内の反応面103に該当するデータとして、Dmatchに示されたiに対応するカテゴリを表示部6に表示する(ステップ1709)。
【0124】
図18は、D(1)とDxとの信号強度ごとの積算値およびDmulti(1)の算出値を示した説明図であり、図19は、D(5)とDxとの信号強度ごとの積算値およびDmulti(5)の算出値を示した説明図である。
【0125】
図18ではDmulti(1)=2.31であり、図19ではDmulti(5)=0.16であるため、D(1)のほうが保持部1内の反応面103との一致度が高くなる。
【0126】
本実施形態によれば、演算部5dは、撮像部4からのRGBビットマップデータから生成されたヒストグラムと、複数の参照用ヒストグラムとを照合して、その生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定し、その特定された参照用ヒストグラムと関連づけられているカテゴリを特定する。
【0127】
このヒストグラムは、反応面103上の異なる色の特徴を個別に表す。このため、反応面103に色むらが生じても、このヒストグラムは、その反応面の個々の色の特徴を表すことができる。
【0128】
よって、呈色反応の過程で反応面103に色むらが生じても、反応面103の色を高精度で識別することが可能になる。
【0129】
また、本実施形態では、演算部5dは、複数の参照用ヒストグラムの中から、頻度のピーク値が現れる信号強度が、撮像部4からのRGBビットマップデータから生成されたヒストグラムと最も似ている参照用ヒストグラムを特定し、その特定された参照用ヒストグラムと関連づけられているカテゴリを特定する。
【0130】
頻度のピーク値が現れる信号強度は、反応面に現れる色が同じであれば、その色の面積が変わっても変動しない。
【0131】
このため、呈色反応の過程で反応面に現れる色の面積割合が変動しても、その変動の影響を受けずに、反応面の色を高精度で識別することが可能になる。
【0132】
また、本実施形態では、演算部5dは、参照用ヒストグラムごとに、生成されたヒストグラムと参照用ヒストグラムでの同一信号強度の頻度同士の積を取りその積を加算し、その加算値が最大となる参照用ヒストグラムと関連づけられているカテゴリを特定する。
【0133】
この場合、ヒストグラム記憶部5a内の複数のヒストグラムの中から、頻度のピーク値が現れる信号強度が、撮像部4のRGBビットマップ画像のヒストグラムと最も似ているヒストグラムを、演算によって特定することが可能になる。
【0134】
また、本実施形態では、ヒストグラム記憶部5aは、参照用ヒストグラムとして、予め、撮像部4がガスと呈色反応した反応面103を撮像した際のRGBビットマップ画像から演算部5dが生成したRGBそれぞれの信号強度とその信号強度の頻度に関するヒストグラムを保持する。
【0135】
この場合、ヒストグラム記憶部5a内の複数の参照用ヒストグラムは、撮像部4の特性に応じた情報となり、ヒストグラム記憶部5a内の複数の参照用ヒストグラムと撮像部4の撮像特性との整合性を容易に取ることが可能になる。
【0136】
また、ヒストグラム記憶部5a内のカテゴリは、そのカテゴリにて識別された反応面で化学反応したガスを識別するためのガス識別情報(例えば、ガスの名称とその濃度)であってもよい。
【0137】
この場合、反応面103で化学反応したガスの識別情報を出力することが可能になる。このため、反応面で化学反応したガスの特定が容易になる。
【0138】
以上説明した実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の一実施形態の色識別装置を示したブロック図である。
【図2】色サンプル板10の一例を示した斜視図である。
【図3】ガスAと呈色反応した反応面103の一例を示した説明図である。
【図4】色サンプルAの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【図5】ガスAとの呈色反応により反応領域(色むら)103bが生じた例を示した説明図である。
【図6】色サンプルBの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【図7】ガスBとの呈色反応により反応領域(色むら)103cが生じた例を示した説明図である。
【図8】色サンプルCの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【図9】呈色反応の過程により反応領域103dが生じた例を示した説明図である。
【図10】色サンプルDの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【図11】色サンプルAのヒストグラムの一例を示した説明図である。
【図12】色サンプルBのヒストグラムの一例を示した説明図である。
【図13】色サンプルCのヒストグラムの一例を示した説明図である。
【図14】色サンプルDのヒストグラムの一例を示した説明図である。
【図15】ガスBの濃度が色サンプルC発生時の濃度と異なる場合の反応面のヒストグラムの一例を示した説明図である。
【図16】ヒストグラム記憶部5aにデータを保持する動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】反応面103の色を識別する動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】D(1)とDxとの信号強度ごとの積算値およびDmulti(1)の算出値を示した説明図である。
【図19】D(5)とDxとの信号強度ごとの積算値およびDmulti(5)の算出値を示した説明図である。
【符号の説明】
【0140】
100 色識別装置
1 保持部
2 操作部
3 制御部
4 撮像部
4a 発光部
4b 光学系
4c CCD
4d CCD駆動部
4e CCD信号処理部
5 処理部
5a ヒストグラム記憶部
5b メモリ
5c バスライン
5d 演算部
6 表示部
10 色サンプル板
103 反応面
【技術分野】
【0001】
本発明は、色識別装置および色識別方法に関し、例えば、ガスとの呈色反応にて生じた反応面の色を識別してガスを特定する色識別装置および色識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毒ガス等のガスと試薬とを化学反応させて試薬の色を変化させるガス検知装置が知られている。例えば、特許文献1(USP6228657B1号公報)には、M256キットが記載されている。
【0003】
このガス検知装置は、互いに異なる種類の試薬を内蔵する複数のアンプルと、そのアンプルが破壊されたときにアンプル中の試薬が流れ込む紙等の複数の反応面と、を含む。
【0004】
試薬は、反応面に流れ込むと、反応面に接触しているガスと化学反応する。試薬は、その化学反応により色が変わり、その試薬の色の変化に応じて、反応面の色も変わる。
【0005】
ユーザは、複数の反応面のそれぞれに、異なる試薬を流し込み、各反応面の色の変化に基づいて、ガスの強さを認識する。
【0006】
また、特許文献1には、RGB(赤、緑、青)の色に感度を有する3つのフォトダイオードまたは1つのカラーCCDを用いて、1つの反応面の色に応じた信号を出力する読取装置が記載されている。
【特許文献1】USP6228657B1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
反応面では、呈色反応の過程で色むらが生じる場合がある。例えば、反応面上で、異なる色の領域が発生する場合がある。
【0008】
特許文献1に記載の読取装置には、この色むらへの対策が施されていない。このため、この読取装置は、例えば、反応面上の異なる色を平均化した際に得られる色、つまり、実際の反応面の色とは異なる色を、反応面の色として認識する可能性を有する。
【0009】
本発明の目的は、呈色反応の過程で反応面に色むらが生じても、反応面の色を高精度で識別可能な色識別装置および色識別方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の色識別装置は、特定対象のガスと呈色反応した反応面の色を識別する色識別装置であって、ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関する参照用ヒストグラムと、当該反応面を識別するための識別情報と、を関連づけて複数保持するヒストグラム記憶部と、前記反応面を撮像して当該反応面のRGBビットマップ画像を生成する撮像部と、前記撮像部にて生成されたRGBビットマップ画像からRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを生成し、当該生成されたヒストグラムと前記複数の参照用ヒストグラムとを照合して、当該生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定し、当該特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する演算部と、前記演算部にて特定された識別情報を出力する出力部と、を含む。
【0011】
また、本発明の色識別方法は、ヒストグラム記憶部を含む色識別装置が行う色識別方法であって、ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関する参照用ヒストグラムと、当該反応面を識別するための識別情報と、を関連づけて前記ヒストグラム記憶部に複数保持する保持ステップと、前記反応面を撮像して当該反応面のRGBビットマップ画像を生成する撮像ステップと、前記生成されたRGBビットマップ画像からRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、前記生成されたヒストグラムと前記複数の参照用ヒストグラムとを照合して、当該生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定する参照用ヒストグラム特定ステップと、前記特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する識別情報特定ステップと、前記特定された識別情報を出力する出力ステップと、を含む。
【0012】
上記発明によれば、反応面の色は、反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度とその信号強度の頻度に関するヒストグラムを利用して識別される。このヒストグラムは、反応面上の異なる色の特徴を個別に表す。このため、反応面に色むらが生じても、このヒストグラムは、その反応面の個々の色の特徴を表すことができる。
【0013】
よって、呈色反応の過程で反応面に色むらが生じても、反応面の色を高精度で識別することが可能になる。
【0014】
なお、前記演算部は、前記複数の参照用ヒストグラムの中から、前記頻度のピーク値が現れる信号強度が、前記生成されたヒストグラムと最も似ている参照用ヒストグラムを特定し、当該特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定することが望ましい。
【0015】
頻度のピーク値が現れる信号強度は、反応面に現れる色が同じであれば、その色の面積が変わっても変動しない。
【0016】
このため、上記発明によれば、呈色反応の過程で反応面に現れる色の面積割合が変動しても、その変動の影響を受けずに、反応面の色を高精度で識別することが可能になる。
【0017】
また、前記演算部は、前記参照用ヒストグラムごとに、前記生成されたヒストグラムと当該参照用ヒストグラムでの同一信号強度の頻度同士の積を取り当該積を加算し、当該加算値が最大となる前記参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定することが望ましい。
【0018】
上記発明によれば、ヒストグラム記憶部内の複数の参照用ヒストグラムの中から、頻度のピーク値が現れる信号強度が、撮像部のRGBビットマップ画像のヒストグラムと最も似ている参照用ヒストグラムを、演算によって特定することが可能になる。
【0019】
また、前記ヒストグラム記憶部は、前記参照用ヒストグラムとして、予め、前記撮像部がガスと呈色反応した反応面を撮像した際のRGBビットマップ画像から前記演算部が生成したRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを保持することが望ましい。
【0020】
上記発明によれば、ヒストグラム記憶部内の複数の参照用ヒストグラムは、撮像部の特性に応じた情報となり、ヒストグラム記憶部内の複数の参照用ヒストグラムと撮像部の撮像特性との整合性を容易に取ることが可能になる。
【0021】
また、前記識別情報は、当該識別情報にて識別された反応面で化学反応したガスを識別するためのガス識別情報であることが望ましい。
【0022】
上記発明によれば、反応面で化学反応したガスの識別情報を出力することが可能になる。このため、反応面で化学反応したガスの特定が容易になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、呈色反応の過程で反応面に色むらが生じても、反応面の色を高精度で識別することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態の色識別装置を示したブロック図である。
【0026】
図1において、色識別装置100は、保持部1と、操作部2と、制御部3と、撮像部4と、処理部5と、表示部6とを含む。撮像部4は、発光部4aと、光学系4bと、CCD4cと、CCD駆動部4dと、CCD信号処理部4eとを含む。処理部5は、ヒストグラム記憶部5aと、メモリ5bと、バスライン5cと、演算部5dとを含む。
【0027】
保持部1には、色サンプル板10が所定の位置に搭載される。
【0028】
色サンプル板10には、反応面103が設けられている。反応面103は、色サンプル板10の予め定められた位置に設けられている。
【0029】
図2は、色サンプル板10の一例を示した斜視図である。
【0030】
図2において、色サンプル板10は、複数種類の試薬101と、互いに異なる種類の試薬101を内蔵する複数のアンプル102と、アンプル102が破壊されたときにそのアンプル中の試薬101が流れ込む紙等の複数の媒体103とを含む。なお、各媒体103が反応面103となる。
【0031】
試薬101は、媒体103に流れ込むと、媒体103に接触しているガス(例えば、特定対象のガス)と呈色反応する。なお、色サンプル板10は、例えば、特許文献1に記載のM256キットである。
【0032】
図1に戻って、色識別装置100は、呈色反応した反応面103の色に基づいて、特定対象のガスを特定する。
【0033】
操作部2は、ユーザにて操作可能な操作開始ボタン(不図示)を有する。操作部2は、操作開始ボタンが操作された場合、発光指示を制御部3に提供する。
【0034】
制御部3は、操作部2からの発光指示に応じて、撮像部4および処理部5の動作を制御する。具体的には、制御部3は、発光指示を受け付けた場合、発光部4aを発光させ、CCD駆動部4dに駆動信号を提供し、処理部5を動作させる。
【0035】
撮像部4は、制御部3からの指示に基づいて、保持部1に搭載された色サンプル板10の反応面103を撮像して、その反応面のRGBビットマップ画像(以下、「RGBビットマップデータ」と称する。)を生成する。なお、Rは赤を表し、Gは緑を表し、Bは青を表す。
【0036】
発光部4aは、制御部3にて制御され、保持部1に搭載された色サンプル板10の反応面103に光を照射する。発光部4aは、例えば、ハロゲンランプまたはLEDである。なお、発光部4aは、ハロゲンランプまたはLEDに限らず適宜変更可能である。
【0037】
反応面103は、発光部4aから照射された光を反射する。反応面103が特定対象のガスと呈色反応した場合、反応面103にて反射された光は、その呈色反応にて生成された色を示す。反応面103では、呈色反応の過程で、異なる色の領域が発生する色むらが生じる場合がある。
【0038】
なお、保持部1は、発光部4aから発光された照射光と異なる光が色サンプル板10に照射されることを防止する。
【0039】
光学系4bは、例えば、レンズであり、保持部1に搭載された色サンプル板10の反応面103の像をCCD4c上に形成する。
【0040】
CCD4cは、カラー撮像素子の一例である。なお、カラー撮像素子は、CCDに限らず適宜変更可能であり、例えば、CMOSセンサでもよい。
【0041】
CCD駆動部4dは、制御部3からの駆動信号に基づいてCCD4cを動作させて、CCD4c上に形成された反応面103の像をカラーで撮像する。CCD4cは、その撮像された反応面103の像を表すアナログカラー映像信号を、CCD信号処理部4eに提供する。
【0042】
CCD信号処理部4eは、CCD4cからのアナログカラー映像信号をデジタル信号(RGBビットマップデータ)に変換し、そのRGBビットマップデータを処理部5に提供する。
【0043】
なお、RGBビットマップデータでは、1つのビット(画素)が、R、GおよびBの信号からなり、R、GおよびBの信号は、信号強度が0〜255のいずれかの値をとる。なお、R、GおよびBの各信号強度のレンジは、0〜255に限らず適宜変更可能である。
【0044】
処理部5は、CCD信号処理部4eからのRGBビットマップデータを処理して反応面103の色を識別し、その識別結果に応じた情報を出力する。
【0045】
ヒストグラム記憶部5aは、ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップデータから生成されたRGBそれぞれの信号強度とその信号強度の頻度に関する参照用ヒストグラムと、その反応面を識別するための識別情報と、を関連づけて複数保持する。
【0046】
メモリ5bは、演算部5dの作業メモリとして使用される。
【0047】
演算部5dは、例えば、プログラムを実行することによって動作する。また、演算部5dは、バスライン5cを介してヒストグラム記憶部5aおよびメモリ5bと接続する。
【0048】
演算部5dは、撮像部4にて生成されたRGBビットマップデータから、RGBそれぞれの信号強度とその信号強度の頻度に関するヒストグラムを生成する。なお、信号強度は、RGBそれぞれのビッドごとに付与されており、本実施形態では、ある信号強度の頻度は、その信号強度を示すビットの数を示す。
【0049】
演算部5dは、その生成されたヒストグラムと、ヒストグラム記憶部5a内の複数の参照用ヒストグラムとを照合して、その生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定する。
【0050】
例えば、演算部5dは、ヒストグラム記憶部5a内の複数の参照用ヒストグラムの中から、頻度のピーク値が現れる信号強度が、その生成されたヒストグラムと最も似ているヒストグラムを特定する。
【0051】
具体的には、演算部5dは、参照用ヒストグラムごとに、生成されたヒストグラムと参照用ヒストグラムでの同一信号強度の頻度同士の積を取りその積を加算し、その加算値が最大となる参照用ヒストグラムと関連づけられている識別情報を特定する。
【0052】
演算部5dは、その特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている識別情報を特定し、その識別情報を表示部6に出力する。
【0053】
表示部6は、出力部の一例であり、演算部5dにて特定された識別情報を表示する。出力部は、表示部に限らず適宜変更可能であり、例えば、演算部5dにて特定された識別情報を音声報知する音声出力部でもよい。
【0054】
なお、ヒストグラム記憶部5aに保持される参照用ヒストグラムは、予め、撮像部4がガスと呈色反応した反応面を撮像した際のRGBビットマップ画像から演算部5dが生成したRGBそれぞれの信号強度とその信号強度の頻度に関するヒストグラムであることが望ましい。
【0055】
しかしながら、ヒストグラム記憶部5a内の参照用ヒストグラムは、演算部5dが生成したヒストグラムに限るものでない。
【0056】
次に、色サンプル板10の反応面103と、演算部5dが生成するヒストグラムとの関係について説明する。
【0057】
図3は、あるガス(例えば、ガスA)と呈色反応した反応面103の一例を示した説明図である。
【0058】
図3では、ガスAとの呈色反応により、白色の反応面103に、色1Aと色2Aと色3Aとが存在する円形の反応領域(色むら)103aが生じている。以下、反応領域(色むら)103aを、色サンプルAと称する。
【0059】
撮像部4は、色サンプルAを撮像すると、色サンプルAを有する反応面103に応じたRGBビットマップデータを得る。演算部5dは、そのRGBビットマップ画像を、R、G、Bの各領域における各画素の信号強度とその信号強度の頻度のデータであるヒストグラムに変換する。
【0060】
なお、演算部5dは、まず、R、G、Bの各ヒストグラムを生成し、その後、信号強度を共通軸にして、R、G、Bの各ヒストグラムを重ねた1つのヒストグラムを生成する。
【0061】
図4は、色サンプルAの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【0062】
図5は、ガスAとの呈色反応により、図3に示した色1A、色2A、色3Aの面積比が異なる円形の反応領域(色むら)103bが生じた例を示した説明図である。以下、反応領域(色むら)103bを、色サンプルBと称する。
【0063】
図6は、色サンプルBの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【0064】
色サンプルAと色サンプルBでは、双方とも反応面103がガスAと呈色反応したため、反応領域内の色の種類は同じである。このため、図4に示したヒストグラムと図6に示したヒストグラムでは、頻度がピークとなる信号強度は一致する。しかしながら、色サンプルAと色サンプルBでは、反応領域内の各色の面積比が異なるため、頻度の値は異なる。
【0065】
このため、同じガスと呈色反応した複数の反応面の中で、呈色反応の過程で各色の面積比が他の反応面と異なるものがあっても、それらのヒストグラムにおいて、頻度がピークとなる信号強度が一致していれば、各色の面積比が他の反応面と異なるものを、同一の呈色反応をした反応面として特定することが可能になる。
【0066】
一方、図7は、ガスBとの呈色反応により、白色の反応面103に、色4Aと色5Aと色6Aとが存在する円形の反応領域(色むら)103cが生じた例を示した説明図である。以下、反応領域(色むら)103cを、色サンプルCと称する。
【0067】
図8は、色サンプルCの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【0068】
色サンプルCと色サンプルAでは、化学反応したガスが異なるため、呈色反応により生じる色は異なる。よって、図4に示したヒストグラムと、図8に示したヒストグラムでは、頻度がピークとなる信号強度は異なる。
【0069】
図9は、例えば呈色反応の過程により、図5に示した色サンプルCがぼけた状態の反応領域103dを示した説明図である。以下、反応領域(色むら)103dを、色サンプルDと称する。
【0070】
図10は、色サンプルDの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【0071】
色サンプルCと色サンプルDとは、主要な色が同じであるため、頻度のピークとなる信号強度は一致する。しかしながら、色サンプルDには、色サンプルCがぼけて色サンプルCにはない色成分が生じたために、色サンプルDの方が信号強度の値に分散が生じ、ピーク値も小さくなっている。
【0072】
このため、同じガスと呈色反応した複数の反応面の中で、呈色反応の過程で各色がぼけてしまったものがあっても、それらのヒストグラムにおいて、頻度がピークとなる信号強度が一致していれば、各色がぼけてしまったものを、同一の呈色反応をした反応面として特定することが可能になる。
【0073】
図11は、ヒストグラム記憶部5aに保持された色サンプルA(i=1)の参照用ヒストグラムの一例を示した説明図である。この参照用ヒストグラムは、演算部5dにて生成され、色サンプルA(i=1)を識別するための識別情報であるカテゴリ「色サンプルA(i=1)」と関連づけて保持されている。
【0074】
なお、図11に示した参照用ヒストグラムは、色サンプルAに応じたRGBビットマップデータの各信号強度(0〜255)に対する頻度を表している。
【0075】
図11において、信号強度が50の場合は頻度が200となっており、この位置(信号強度50)が頻度のピークとなっている。このため、演算部5dは、参照データD(i=1)の信号強度50の値を1に設定し、その前後のデータを規格化して、参照データD(1)の信号強度49の値を1/200×50=0.25に設定し、参照データD(1)の信号強度が51の値を1/200×30=0.15に設定する。
【0076】
また、図11において、信号強度が180の場合は頻度が800となっており、この位置(信号強度180)も頻度のピークとなっている。このため、演算部5dは、参照データD(1)の信号強度180の値を1に設定し、その前後のデータを規格化して、参照データD(1)の信号強度179の値を1/800×350=0.44に設定し、参照データD(1)の信号強度が181の値を1/800×150=0.19に設定する。
【0077】
なお、図11において、参照データD(1)も信号強度の頻度を表す。
【0078】
図12は、ヒストグラム記憶部5aに保持された色サンプルB(i=2)の参照用ヒストグラムの一例を示した説明図である。この参照用ヒストグラムも、演算部5dにて生成され、色サンプルB(i=2)を識別するための識別情報であるカテゴリ「色サンプルB(i=2)」と関連づけて保持されている。
【0079】
なお、図12に示した参照用ヒストグラムは、色サンプルBに応じたRGBビットマップデータの各信号強度(0〜255)に対する頻度を表している。
【0080】
図12において、信号強度が50の場合は頻度が900となっており、この位置(信号強度50)が頻度のピークとなっている。このため、演算部5dは、参照データD(i=2)の信号強度50の値を1に設定し、その前後のデータを規格化して、参照データD(2)の信号強度49の値を1/900×400=0.44に設定し、参照データD(2)の信号強度が51の値を1/900×300=0.33に設定する。
【0081】
また、図12において、信号強度が180の場合は頻度が250となっており、この位置(信号強度180)も頻度のピークとなっている。このため、演算部5dは、参照データD(2)の信号強度180の値を1に設定し、その前後のデータを規格化して、参照データD(2)の信号強度179の値を1/250×40=0.16に設定し、参照データD(2)の信号強度が181の値を1/250×50=0.2に設定する。
【0082】
なお、図12において、参照データD(2)も信号強度の頻度を表す。
【0083】
図11に示した参照用ヒストグラムと図12に示した参照用ヒストグラムでは、ピークが現れる信号強度の位置は同じであるが、頻度は異なっている。
【0084】
図13は、ヒストグラム記憶部5aに保持された色サンプルC(i=3)の参照用ヒストグラムの一例を示した説明図であり、図14は、ヒストグラム記憶部5aに保持された色サンプルD(i=4)の参照用ヒストグラムの一例を示した説明図である。
【0085】
色サンプルDはぼやけているため、図14に示したヒストグラムは、図13に示したヒストグラムよりも分散が大きくなって(拡がって)いる。
【0086】
図15は、ガスBの濃度が色サンプルC発生時の濃度と異なる場合の反応面103の参照用ヒストグラムの一例を示した説明図である。ガスの濃度は、呈色反応領域の明るさと関係するため、同じガスであっても濃度が異なれば、頻度のピーク値が現れる信号強度は異なる。
【0087】
このため、本実施形態では、ユーザが、反応面103で化学反応したガスおよびそれらの濃度が異なる複数の色サンプル板10を用意し、それら色サンプル板10を順番に保持部1に搭載し、演算部5dが、各色サンプル板10の反応面103のヒストグラムを生成していき、それらのヒストグラムを、参照用ヒストグラムとして、ヒストグラム記憶部5aに保持していく。
【0088】
次に、動作を説明する。
【0089】
本実施形態の色識別装置100は、まず、ヒストグラム記憶部5aに、参照用ヒストグラムと識別情報とを格納し、その後、撮像部4が生成した反応面103のRGBビットマップデータと、ヒストグラム記憶部5a内の参照用ヒストグラムと、に基づいて、反応面103の色を識別し、その識別結果に応じた情報を出力する。
【0090】
まず、ヒストグラム記憶部5aにデータを保持する動作を説明する。この動作は、例えば、操作部2にある参照データ作成ボタン(不図示)が操作されて参照データ作成モードとなった後に実行される。
【0091】
図16は、ヒストグラム記憶部5aにデータを保持する動作を説明するためのフローチャートである。
【0092】
予め特定されているガスと呈色反応した反応面103を有する色サンプル板10が、保持部1内の所定の位置に挿入される。なお、このガスの濃度も予め特定されている。
【0093】
参照データ作成モード下で、操作部2にある操作開始ボタンが、ユーザによって操作されると、操作部2は、発光指示を制御部3に提供する。
【0094】
制御部3は、発光指示を受け付けると、発光部4aを発光させるとともに、CCD駆動部4dに駆動信号を提供し、処理部5を動作させる。
【0095】
反応面103は、発光部4aから照射された光を反射し、光学系4bは、反応面103の像をCCD4c上に形成し、CCD駆動部4dは、制御部3からの駆動信号に基づいてCCD4cを動作させて、CCD4c上に形成された反応面103の像を撮像する。
【0096】
CCD4cは、その撮像された反応面103の像を表すアナログカラー映像信号を、CCD信号処理部4eに提供し、CCD信号処理部4eは、そのアナログカラー映像信号をRGBビットマップデータに変換し、そのRGBビットマップデータを演算部5dに提供する。
【0097】
演算部5dは、そのRGBビットマップデータを取得する(ステップ1601)。
【0098】
続いて、演算部5dは、そのRGBビットマップデータを、R、G、B各領域の信号強度データに分割し、R、G、B各領域の信号強度データを、バスライン5cを経由してメモリ5bに保持する(ステップ1602)。
【0099】
続いて、演算部5dは、R領域における信号強度に対する頻度データ(Rに関するヒストグラム)を得るために、R領域での信号強度のヒストグラムを演算する。例えば、演算部5dは、メモリ5bを参照して、信号強度0〜255の各信号強度を示すR領域のビット(画素)の数を計数して、R領域での信号強度のヒストグラムを演算する(ステップ1603)。
【0100】
続いて、演算部5dは、G領域における信号強度に対する頻度データ(Gに関するヒストグラム)を得るために、G領域での信号強度のヒストグラムを演算する。例えば、演算部5dは、メモリ5bを参照して、信号強度0〜255の各信号強度を示すG領域のビット(画素)の数を計数して、G領域での信号強度のヒストグラムを演算する(ステップ1604)。
【0101】
続いて、演算部5dは、B領域における信号強度に対する頻度データ(Bに関するヒストグラム)を得るために、B領域での信号強度のヒストグラムを演算する。例えば、演算部5dは、メモリ5bを参照して、信号強度0〜255の各信号強度を示すR領域のビット(画素)の数を計数して、R領域での信号強度のヒストグラムを演算する(ステップ1605)。
【0102】
続いて、演算部5dは、信号強度を共通軸にして、R、G、Bの各ヒストグラムを合成して1つのヒストグラムを生成し、その合成されたヒストグラムをメモリ5bに保持する(ステップ1606)。
【0103】
続いて、演算部5dは、メモリ5bを参照して、その合成されたヒストグラムでの頻度のピーク値を検出する(ステップ1607)。
【0104】
続いて、演算部5dは、ピーク値が現れる信号強度の参照データD(i)に「1」を設定し、その前後の信号強度の参照データD(i)については、その信号強度の頻度をピーク値に応じて規格化した値を設定する(ステップ1608)。
【0105】
続いて、演算部5dは、データの名称などのカテゴリを入力する旨のメッセージを表示部6に表示する。ユーザが、そのメッセージに応じて操作部2を操作してカテゴリを入力すると、そのカテゴリは、操作部2から制御部3に提供され、制御部3から演算部5dに提供される(ステップ1609)。
【0106】
なお、このカテゴリは、最終的に識別したデータを表示部6に表示する際に名称として使用される。
【0107】
演算部5dは、カテゴリを受け付けると、そのカテゴリを、ここまでのデータ(ステップ1606で生成したヒストグラムと、ステップ1608で生成した参照データ)と関連づけて一塊にして、バスライン5cを経由してヒストグラム記憶部5aに保存する(ステップ1610)。なお、ステップ1606で生成したヒストグラムと、ステップ1608で生成した参照データとで、参照用ヒストグラムが構成される。
【0108】
以降、ユーザが、保持部1内の色サンプル板10を、反応面103で化学反応したガスおよびそれらの濃度が異なるものに変えながら、図16に示した動作が繰り返えされる。
【0109】
次に、演算部5dが、撮像部4にて生成された反応面103のRGBビットマップデータと、ヒストグラム記憶部5a内の参照用ヒストグラムと、に基づいて、反応面103の色を識別し、その識別結果に応じた情報を出力する動作を説明する。この動作は、例えば、操作部2にある参照データ作成ボタンの操作により参照データ作成モードが解除された後に実行される。
【0110】
図17は、この動作を説明するためのフローチャートである。なお、図17において、図16に示した処理と同一の処理には同一符号を付してある。
【0111】
特定対象のガスと呈色反応した反応面103を有する色サンプル板10が、保持部1内の所定の位置に挿入される。
【0112】
参照データ作成モードが解除された状況で、操作部2にある操作開始ボタンが操作されると、発光部4aは発光し、CCD4cは、反応面103の像を撮像し、その像を表すアナログカラー映像信号をCCD信号処理部4eに提供し、CCD信号処理部4eは、そのアナログカラー映像信号をRGBビットマップデータに変換して演算部5dに提供する。
【0113】
演算部5dは、そのRGBビットマップデータを取得する(ステップ1601)。以降、演算部5dは、ステップ1602からステップ1605を実行する。
【0114】
続いて、演算部5dは、信号強度を共通軸にして、R、G、Bの各ヒストグラムを合成して1つのヒストグラムDxを生成し、ヒストグラムDxをメモリ5bに保持する(ステップ1701)。
【0115】
続いて、演算部5dは、変数iを1に設定し、演算の際の初期値を0(Dmulti(0)=0、Dmulti_max=0)に設定する(ステップ1702)。
【0116】
続いて、演算部5dは、変数iに対応するヒストグラム記憶部5a内のデータを読み出し、そのデータを、バスライン5cを経由してメモリ5bに保持する(ステップ1703)。
【0117】
続いて、演算部5dは、メモリ5bを参照して、同一信号強度ごとに、DxとD(i)の積をとり、その積を加算していく(ステップ1704)。なお、演算部5dは、その加算値をDmulti(i)とする。
【0118】
続いて、演算部5dは、Dmulti(i)がDmulti(i−1)より大きいか判断する(ステップ1705)。
【0119】
Dmulti(i)がDmulti(i−1)より大きい場合、演算部5dは、Dmulti_max=Dmulti(i)とし、Dmatch=iとする(ステップ1706)。
【0120】
続いて、演算部5dは、i=nであるか判断する。なお、nは、ヒストグラム記憶部5a内の参照用ヒストグラムの数を示す。
【0121】
i=nでないと、演算部5dは、変数iに1を加算し(ステップ1708)、ステップ1703の処理を実行する。
【0122】
なお、ステップ1705で、Dmulti(i)がDmulti(i−1)より大きくない場合、演算部5dは、ステップ1708を実行する。
【0123】
また、ステップ1707で、i=nである場合、演算部5dは、保持部1内の反応面103に該当するデータとして、Dmatchに示されたiに対応するカテゴリを表示部6に表示する(ステップ1709)。
【0124】
図18は、D(1)とDxとの信号強度ごとの積算値およびDmulti(1)の算出値を示した説明図であり、図19は、D(5)とDxとの信号強度ごとの積算値およびDmulti(5)の算出値を示した説明図である。
【0125】
図18ではDmulti(1)=2.31であり、図19ではDmulti(5)=0.16であるため、D(1)のほうが保持部1内の反応面103との一致度が高くなる。
【0126】
本実施形態によれば、演算部5dは、撮像部4からのRGBビットマップデータから生成されたヒストグラムと、複数の参照用ヒストグラムとを照合して、その生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定し、その特定された参照用ヒストグラムと関連づけられているカテゴリを特定する。
【0127】
このヒストグラムは、反応面103上の異なる色の特徴を個別に表す。このため、反応面103に色むらが生じても、このヒストグラムは、その反応面の個々の色の特徴を表すことができる。
【0128】
よって、呈色反応の過程で反応面103に色むらが生じても、反応面103の色を高精度で識別することが可能になる。
【0129】
また、本実施形態では、演算部5dは、複数の参照用ヒストグラムの中から、頻度のピーク値が現れる信号強度が、撮像部4からのRGBビットマップデータから生成されたヒストグラムと最も似ている参照用ヒストグラムを特定し、その特定された参照用ヒストグラムと関連づけられているカテゴリを特定する。
【0130】
頻度のピーク値が現れる信号強度は、反応面に現れる色が同じであれば、その色の面積が変わっても変動しない。
【0131】
このため、呈色反応の過程で反応面に現れる色の面積割合が変動しても、その変動の影響を受けずに、反応面の色を高精度で識別することが可能になる。
【0132】
また、本実施形態では、演算部5dは、参照用ヒストグラムごとに、生成されたヒストグラムと参照用ヒストグラムでの同一信号強度の頻度同士の積を取りその積を加算し、その加算値が最大となる参照用ヒストグラムと関連づけられているカテゴリを特定する。
【0133】
この場合、ヒストグラム記憶部5a内の複数のヒストグラムの中から、頻度のピーク値が現れる信号強度が、撮像部4のRGBビットマップ画像のヒストグラムと最も似ているヒストグラムを、演算によって特定することが可能になる。
【0134】
また、本実施形態では、ヒストグラム記憶部5aは、参照用ヒストグラムとして、予め、撮像部4がガスと呈色反応した反応面103を撮像した際のRGBビットマップ画像から演算部5dが生成したRGBそれぞれの信号強度とその信号強度の頻度に関するヒストグラムを保持する。
【0135】
この場合、ヒストグラム記憶部5a内の複数の参照用ヒストグラムは、撮像部4の特性に応じた情報となり、ヒストグラム記憶部5a内の複数の参照用ヒストグラムと撮像部4の撮像特性との整合性を容易に取ることが可能になる。
【0136】
また、ヒストグラム記憶部5a内のカテゴリは、そのカテゴリにて識別された反応面で化学反応したガスを識別するためのガス識別情報(例えば、ガスの名称とその濃度)であってもよい。
【0137】
この場合、反応面103で化学反応したガスの識別情報を出力することが可能になる。このため、反応面で化学反応したガスの特定が容易になる。
【0138】
以上説明した実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の一実施形態の色識別装置を示したブロック図である。
【図2】色サンプル板10の一例を示した斜視図である。
【図3】ガスAと呈色反応した反応面103の一例を示した説明図である。
【図4】色サンプルAの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【図5】ガスAとの呈色反応により反応領域(色むら)103bが生じた例を示した説明図である。
【図6】色サンプルBの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【図7】ガスBとの呈色反応により反応領域(色むら)103cが生じた例を示した説明図である。
【図8】色サンプルCの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【図9】呈色反応の過程により反応領域103dが生じた例を示した説明図である。
【図10】色サンプルDの信号強度に関するヒストグラムを示した説明図である。
【図11】色サンプルAのヒストグラムの一例を示した説明図である。
【図12】色サンプルBのヒストグラムの一例を示した説明図である。
【図13】色サンプルCのヒストグラムの一例を示した説明図である。
【図14】色サンプルDのヒストグラムの一例を示した説明図である。
【図15】ガスBの濃度が色サンプルC発生時の濃度と異なる場合の反応面のヒストグラムの一例を示した説明図である。
【図16】ヒストグラム記憶部5aにデータを保持する動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】反応面103の色を識別する動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】D(1)とDxとの信号強度ごとの積算値およびDmulti(1)の算出値を示した説明図である。
【図19】D(5)とDxとの信号強度ごとの積算値およびDmulti(5)の算出値を示した説明図である。
【符号の説明】
【0140】
100 色識別装置
1 保持部
2 操作部
3 制御部
4 撮像部
4a 発光部
4b 光学系
4c CCD
4d CCD駆動部
4e CCD信号処理部
5 処理部
5a ヒストグラム記憶部
5b メモリ
5c バスライン
5d 演算部
6 表示部
10 色サンプル板
103 反応面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定対象のガスと呈色反応した反応面の色を識別する色識別装置であって、
ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関する参照用ヒストグラムと、当該反応面を識別するための識別情報と、を関連づけて複数保持するヒストグラム記憶部と、
前記反応面を撮像して当該反応面のRGBビットマップ画像を生成する撮像部と、
前記撮像部にて生成されたRGBビットマップ画像からRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを生成し、当該生成されたヒストグラムと前記複数の参照用ヒストグラムとを照合して、当該生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定し、当該特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する演算部と、
前記演算部にて特定された識別情報を出力する出力部と、を含む色識別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の色識別装置において、
前記演算部は、前記複数の参照用ヒストグラムの中から、前記頻度のピーク値が現れる信号強度が、前記生成されたヒストグラムと最も似ている参照用ヒストグラムを特定し、当該特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する、色識別装置。
【請求項3】
請求項2に記載の色識別装置において、
前記演算部は、前記参照用ヒストグラムごとに、前記生成されたヒストグラムと当該参照用ヒストグラムでの同一信号強度の頻度同士の積を取り当該積を加算し、当該加算値が最大となる前記参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する、色識別装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の色識別装置において、
前記ヒストグラム記憶部は、前記参照用ヒストグラムとして、予め、前記撮像部がガスと呈色反応した反応面を撮像した際のRGBビットマップ画像から前記演算部が生成したRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを保持する、色識別装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の色識別装置において、
前記識別情報は、当該識別情報にて識別された反応面で化学反応したガスを識別するためのガス識別情報である、色識別装置。
【請求項6】
ヒストグラム記憶部を含む色識別装置が行う色識別方法であって、
ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関する参照用ヒストグラムと、当該反応面を識別するための識別情報と、を関連づけて前記ヒストグラム記憶部に複数保持する保持ステップと、
前記反応面を撮像して当該反応面のRGBビットマップ画像を生成する撮像ステップと、
前記生成されたRGBビットマップ画像からRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、
前記生成されたヒストグラムと前記複数の参照用ヒストグラムとを照合して、当該生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定する参照用ヒストグラム特定ステップと、
前記特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する識別情報特定ステップと、
前記特定された識別情報を出力する出力ステップと、を含む色識別方法。
【請求項7】
請求項6に記載の色識別方法において、
前記参照用ヒストグラム特定ステップでは、前記複数の参照用ヒストグラムの中から、前記頻度のピーク値が現れる信号強度が、前記生成されたヒストグラムと最も似ている参照用ヒストグラムを特定する、色識別方法。
【請求項8】
請求項7に記載の色識別方法において、
前記参照用ヒストグラム特定ステップでは、前記参照用ヒストグラムごとに、前記生成されたヒストグラムと当該参照用ヒストグラムでの同一信号強度の頻度同士の積を取り当該積を加算し、当該加算値が最大となる前記参照用ヒストグラムを特定する、色識別方法。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれか1項に記載の色識別方法において、
前記保持ステップでは、前記参照用ヒストグラムとして、予め、前記色識別装置が生成したRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを保持する、色識別方法。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれか1項に記載の色識別方法において、
前記識別情報は、当該識別情報にて識別された反応面で化学反応したガスを識別するためのガス識別情報である、色識別方法。
【請求項1】
特定対象のガスと呈色反応した反応面の色を識別する色識別装置であって、
ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関する参照用ヒストグラムと、当該反応面を識別するための識別情報と、を関連づけて複数保持するヒストグラム記憶部と、
前記反応面を撮像して当該反応面のRGBビットマップ画像を生成する撮像部と、
前記撮像部にて生成されたRGBビットマップ画像からRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを生成し、当該生成されたヒストグラムと前記複数の参照用ヒストグラムとを照合して、当該生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定し、当該特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する演算部と、
前記演算部にて特定された識別情報を出力する出力部と、を含む色識別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の色識別装置において、
前記演算部は、前記複数の参照用ヒストグラムの中から、前記頻度のピーク値が現れる信号強度が、前記生成されたヒストグラムと最も似ている参照用ヒストグラムを特定し、当該特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する、色識別装置。
【請求項3】
請求項2に記載の色識別装置において、
前記演算部は、前記参照用ヒストグラムごとに、前記生成されたヒストグラムと当該参照用ヒストグラムでの同一信号強度の頻度同士の積を取り当該積を加算し、当該加算値が最大となる前記参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する、色識別装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の色識別装置において、
前記ヒストグラム記憶部は、前記参照用ヒストグラムとして、予め、前記撮像部がガスと呈色反応した反応面を撮像した際のRGBビットマップ画像から前記演算部が生成したRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを保持する、色識別装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の色識別装置において、
前記識別情報は、当該識別情報にて識別された反応面で化学反応したガスを識別するためのガス識別情報である、色識別装置。
【請求項6】
ヒストグラム記憶部を含む色識別装置が行う色識別方法であって、
ガスと呈色反応した反応面のRGBビットマップ画像から生成されたRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関する参照用ヒストグラムと、当該反応面を識別するための識別情報と、を関連づけて前記ヒストグラム記憶部に複数保持する保持ステップと、
前記反応面を撮像して当該反応面のRGBビットマップ画像を生成する撮像ステップと、
前記生成されたRGBビットマップ画像からRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、
前記生成されたヒストグラムと前記複数の参照用ヒストグラムとを照合して、当該生成されたヒストグラムに該当する参照用ヒストグラムを特定する参照用ヒストグラム特定ステップと、
前記特定された参照用ヒストグラムと関連づけられている前記識別情報を特定する識別情報特定ステップと、
前記特定された識別情報を出力する出力ステップと、を含む色識別方法。
【請求項7】
請求項6に記載の色識別方法において、
前記参照用ヒストグラム特定ステップでは、前記複数の参照用ヒストグラムの中から、前記頻度のピーク値が現れる信号強度が、前記生成されたヒストグラムと最も似ている参照用ヒストグラムを特定する、色識別方法。
【請求項8】
請求項7に記載の色識別方法において、
前記参照用ヒストグラム特定ステップでは、前記参照用ヒストグラムごとに、前記生成されたヒストグラムと当該参照用ヒストグラムでの同一信号強度の頻度同士の積を取り当該積を加算し、当該加算値が最大となる前記参照用ヒストグラムを特定する、色識別方法。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれか1項に記載の色識別方法において、
前記保持ステップでは、前記参照用ヒストグラムとして、予め、前記色識別装置が生成したRGBそれぞれの信号強度と当該信号強度の頻度に関するヒストグラムを保持する、色識別方法。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれか1項に記載の色識別方法において、
前記識別情報は、当該識別情報にて識別された反応面で化学反応したガスを識別するためのガス識別情報である、色識別方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−185352(P2008−185352A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16641(P2007−16641)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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