説明

芋類植付機の種芋供給装置

【課題】本発明では、種芋容器から種芋を一個ずつ取り出す作業を自動化して作業者の負担を軽減する芋類植付機の種芋供給装置を提供することが課題である。
【解決手段】種芋を収納するホッパ23の取出口24に侵入する槍体25と該槍体25に沿って槍体25の先で出入する押出体26で構成した芋取出し具27を設け、ホッパ23の取出口24に侵入して一個の種芋を槍体25で突き刺しベルトコンベア31の供給位置に戻った槍体25に対して押出体26が槍先に向かって種芋を押し外して落下すべくした芋類植付機の種芋供給装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ジャガイモやサツマイモ等の種芋を畑に植付ける芋類植付機の種芋供給装置に関する
【背景技術】
【0002】
芋類の植付機として、例えば、特開2001−25308号公報に記載の構成が知られている。この芋類の植付機は、畝上を走行する芋類植付機の機体上に設けるベルトコンベヤ上に作業者が種芋を一個ずつ置き、種芋をベルトコンベアから畝に形成した溝中に落下させて植え付ける構成になっている。
【特許文献1】特開2001−25308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記の芋類の植付機は、種芋の大きさがまちまちのために自動的に一個ずつベルトコンベア上に供給することが出来ず、作業者が人手によって種芋を種芋容器から一個ずつ取り出してベルトコンベア上に置く手作業を行っている。
【0004】
そこで、本発明では、種芋容器から種芋を一個ずつ取り出す作業を自動化して作業者の負担を軽減する芋類植付機の種芋供給装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、種芋を収納するホッパ23の取出口24に侵入する槍体25と該槍体25に沿って槍体25の先で出入する押出体26で構成した芋取出し具27を設け、ホッパ23の取出口24に侵入して一個の種芋を槍体25で突き刺し、供給位置に戻った槍体25に対して押出体26が槍先に向かって種芋を押し外して供給する構成とした芋類植付機の種芋供給装置とした。
【0006】
この構成で、ホッパ内の種芋が槍体25で一個ずつ突き刺されて取り出され、供給位置で押出体26で槍体25から外される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のホッパ23内に種芋を取出口24へ送る送り機構30を設けたことを特徴とする芋類植付機の種芋供給装置とした。
【0007】
この構成で、ホッパ23内の種芋が送り機構30で取出口24へ送られて槍体25で残らず取出される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、ホッパ23内の種芋が一個づつ槍体25で取出されて種芋植付機構の供給位置へ供給されて人手による種芋の供給が必要無くなり、芋の植付作業が楽に行えることになる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、ホッパ23内の種芋が送り機構30で取出口24へ送られて槍体25で残すことなく取り出されて種芋植付機構で植付けられることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施例を、図1〜図4で詳細に説明する。説明において、左とは機体の進行方向へ向いた状態で左を言い、右はその逆である。
図1は本発明を実施した芋類植付機の側面図で、図2は同じく平面図である。
【0011】
走行装置1と操縦ハンドル2を備えた機体に昇降駆動するリンク機構3に連結して昇降動作と開閉動作をする芋植付体4を備え、その上側に芋供給装置19を設けた構成である。この芋植付体4は、下方に向かって尖った嘴状の嘴部4a,4bを地面に差し込んで開くようにしている。
【0012】
走行装置1は、転動自在に支持した左右一対の前輪5とエンジン6の動力を伝動して駆動回転する左右一対の後輪7を備えている。
エンジン6の下後部にミッションケース8を装着し、このミッションケース8の左右側部に後方の車軸10に向けて伝動ケース9を装着し、エンジン6の出力軸から伝動ケース9内の伝動機構を介して車軸10に動力を伝動して、車軸10に装着した後輪7を駆動回転する。
【0013】
左右の伝動ケース9は、水平油圧シリンダ11で機体に対して上下回動して機体の左右水平を維持するようにしている。
一対の前輪5,5は、エンジン6の前下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた前輪支持フレーム12の左右両側部で下方に延びるアーム部の下端に固着した車軸13に回動自在に取り付けている。
【0014】
操縦ハンドル2は、ミッションケース8に前端部を固定した機体フレーム14の後端部に取り付けている。この機体フレーム14は機体の左右中央から右側に偏った位置に配置されて後方へ延び、また、前後中間部から斜め上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム14の後端部から左右に延びてその後端部を後方へ延ばしてグリップ部15としている。この左右のグリップ部15は、歩行するオペレータが楽に手で握れる高さに設定している。グリップ部15の前側には、走行装置1の駆動断続を行う走行レバー28と芋植付体4の駆動断続を行う作業レバー29を設けている。
【0015】
リンク機構3は、ミッションケース8内から駆動動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付け伝動ケース16に装着している。このリンク機構3は、公知の構成であるので詳細な説明を省略するが、第一アーム17と第二アーム18で構成し、芋植付体4を側面視で上下に長い略楕円形状の軌跡Tを描いて動かすと共に前後に二分割した嘴部4a,4bを軌跡Tの下端部で前後に開口動作する。
【0016】
芋植付体4の前上方には、種芋を収納するホッパ23を設けている。このホッパ23の前後底面23a,23bは中央に向けて下り傾斜に形成し、前底面23a上にばね20によって押上げ付勢した底板21で構成した送り機構30を設けて、種芋が少なくなると後底面23bの後上に設ける取出口24へ向けて種芋を押上げる。取出口24は後側板44の左右中央に形成し、後底面23bが取出口24に向けて左右から下り傾斜に形成し、前後方向では後記の槍体25の出入方向に沿わしている。(図4参照)
ホッパ23の後側で芋植付体4の上側には、芋取出装置27とベルトコンベア31を設けている。この芋取出装置27は、前記ホッパ23の取出口24の外側から内部へ侵入する槍体25とこの槍体25に沿って出入する押出体26で構成し、槍体25が取出口24に侵入して種芋を突き刺し、槍体25がベルトコンベア31上に戻った状態でベルトコンベア31上の供給位置へ供給すべく押出体26が槍先へ動いて突き刺した種芋を槍体25から外す動きをする。槍体25は、図3に示すように先端が尖っていて先端近傍に返し32を形成し突き刺した種芋が抜け難くしている。
【0017】
ベルトコンベア31には一定間隔でラグ33を突設しベルト上に載った種芋が転げないようにして、上面が芋取出装置27から進行方向に向かって左に送り移動する。このベルトコンベア31の左端部から芋植付体4の上方にかけてカバー板34で覆い、ベルト上の種芋がベルトの下側へ回って芋植付体4まで落下しないようにしている。
【0018】
芋取出装置27とベルトコンベア31は、植付け伝動ケース16からの動力で駆動されている。
種芋の植付作業は、走行レバー28を走行にして走行装置1を駆動し、作業レバー29を作業作業位置にして芋植付体4と芋取出装置27とベルトコンベア31を駆動する。そして、この芋植付機の後側で操縦ハンドル2のグリップ部15を握って作業者が歩行する。
【0019】
走行装置1の進行に伴って、芋植付体4が降下して畝の土中へ嘴部4a,4bを差し込み、嘴部4a,4bを開き種芋を土中へ残して芋植付体4が上昇する。土中の種芋が鎮圧輪22で軽く固められる。このようなサイクルを繰り返して畝上に所定間隔で種芋を植え付ける。
【0020】
図5と図6は、前記実施例の芋取出装置27とベルトコンベア31に代えて作業者が手で種芋を供給するか少量ずつ流し込みながら供給するコンベア35を設けた別実施例の芋類植付機を示している。
【0021】
コンベア35は機体の左側から中央の芋植付体4上方のシュート40へ向けて張設している。このコンベア35には所定間隔で種芋が入る凹部36を形成し、コンベア35の前後に側部カバー37,38を立ち上げて種芋が落下しないようにして、終端上に傾斜ガイド板39を設けて凹部36には入らなかった余分の種芋を後方の余剰受皿41へ落下させるようにしている。なお、側部カバー37,38とガイド板39は種芋の大きさによって高さの異なるものと交換できるようにしている。また、シュート40は、コンベア35の終端を覆うように立ち上げて種芋が飛び出さないようにしている。
【0022】
この芋植付機は、畝上を走行させながら機体の左側を歩く作業者が種芋を一個ずつコンベア35上に供給するか種芋をコンベア35上に間欠的或いは少量ずつ供給するホッパを設ける。
【0023】
図7と図8に示す芋植付機は、種芋が入る凹部47を形成したコンベア48を機体の左右全幅に設け、その後部に供給台42と種芋容器44を設けた構成で、コンベア48の移送終端から下部中央に位置する芋植付体4に向けてベルト外周に沿ってガイド板46を設け、芋植付体4上に該芋植付体4が上昇すると当たって横方向へ回動するシャッタ45を設け、凹部47に入った種芋が芋植付体4へ供給される。シャッタ45が開かず落下する種芋はシュート49を通って種芋容器44へ戻される。コンベア48と種芋容器44との間には供給板47が左下り傾斜に設けられ、種芋容器44から取出されて供給板47に載せた種芋が転がって終端のガイド板43に当たってコンベア48上に乗り、凹部47に落ち込み送り作用を受ける。
【0024】
コンベア48の送り方向は左から右であるが、これを逆にしても良い。その際はガイド板46を左側に設けることになる。
図9と図10及び図11に示す芋植付機は、降下して畝に溝を切る溝切り50とその後側にあって種芋を溝内へ落下案内するシュート51からなる芋植付装置4を設けた構成である。凹部55を形成したコンベア52の後側で低い位置に種芋容器54を設けて、作業者が種芋容器54から取出した種芋をコンベア52上に供給し、コンベア52の終端からホッパ53内へ種芋を落下して、シュート51から畝の溝内へ置いて行き、鎮圧輪22で土を被せる。
【0025】
溝切り50は、昇降可能にして移動走行時には上昇し植付時に降下して溝を切る。また、コンベア52の駆動断続と溝切り50の昇降はそれぞれ単独で行えるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明実施例の芋植付機を示す側面図
【図2】本発明実施例の芋植付機を示す平面図
【図3】本発明実施例の一部拡大斜視図
【図4】本発明実施例の一部拡大背面図
【図5】別実施例の平面図
【図6】別実施例の一部拡大拡大背面図
【図7】別実施例の平面図
【図8】別実施例の一部拡大背面図
【図9】別実施例の平面図
【図10】別実施例の一部拡大背面図
【図11】別実施例の一部拡大側面図
【符号の説明】
【0027】
23 ホッパ
24 取出口
25 槍体
26 押出体
27 芋取出し具
30 送り機構
31 ベルトコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種芋を収納するホッパ(23)の取出口(24)に侵入する槍体(25)と該槍体(25)に沿って槍体(25)の先で出入する押出体(26)で構成した芋取出し具(27)を設け、ホッパ(23)の取出口(24)に侵入して一個の種芋を槍体(25)で突き刺し、供給位置に戻った槍体(25)に対して押出体(26)が槍先に向かって種芋を押し外して供給する構成とした芋類植付機の種芋供給装置。
【請求項2】
ホッパ(23)内に種芋を取出口(24)へ送る送り機構(30)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の芋類植付機の種芋供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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