説明

芝刈り機

【課題】簡単な構成で芝の刈り高さを大きく変化させて、芝の刈り高さを調整することができる芝刈り機を提供すること。
【解決手段】前輪には従来の芝の刈り高さの調整機構を装備し、後輪を支えるホルダーに後輪の車軸を軸支する軸支部を複数箇所設け、後輪側の高さを複数段に変更可能とした。このような構成により、芝刈り機の使用者は、前輪に装備された従来の芝の刈り高さの調整機構による芝の刈り高さの調整幅と、後輪を支えるホルダーの軸支位置の選択による後輪側の高さ変更の組み合わせにより、芝の刈り高さを大きく変化させて、芝の刈り高さを調整することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝刈り機にかかり、特に、芝の刈り高さの調整ができる芝刈り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、特許文献1に開示された従来の芝刈り機においては、芝刈り機の前輪に芝の刈り高さを調整する機構が設けられている。図6において、芝刈り機本体の左右の側板に枢軸106を支点にして回動できるレバー部材107がそれぞれ1個ずつ対をなして設けてあり、この対をなすレバー部材107は連結板108によって連結されている。この連結板108には調整ノブ111が設けられており、調整ノブ111を移動させることにより連結板108が移動し、両レバー部材107は枢軸106を中心にして同時に回動するようになっている。レバー部材107には連結板108と平行に設けられた車軸109aが取り付けられており、この車軸109aには前輪109が取り付けられているので、調整ノブ111の移動により前輪109が上下方向に動き、芝の刈り高さが調整できるように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−103634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、短めに芝を育成する場合には、刈り刃の高さが低い状態で刈り刃高さを調整しながら使用し、長めに芝を育成する場合には、刈り刃の高さが高い状態で刈り刃高さを調整しながら使用したいとういう要望があったが、上述した芝刈り機においては、調整ノブの移動範囲は決まっており、それによる芝の刈り高さの調整幅もおのずと決まっているので、上記のような要望に応えられない場合があった。また、その要望に応えるために調整ノブの移動範囲を大きく設計しようとすると、デザイン上の制約が浮上したり、仮に移動範囲を大きくできたとしても、使用者が芝の刈り高さを大きく調整するためには調整ノブを大きく操作しなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、簡単な構成で芝の刈り高さを大きく変化させることができる芝刈り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するために、芝刈り機の後輪側において後輪を支えるホルダーを設け、後輪側の高さを複数段に変更可能とした。すなわち、前輪には従来の芝の刈り高さの調整機構を装備し、後輪を支えるホルダーに後輪の車軸を軸支する軸支部を複数箇所設け、後輪側の高さを複数段に変更可能とすることができる芝刈り機を提供するものである。このような構成により、芝刈り機の使用者は、前輪に装備された従来の芝の刈り高さの調整機構による芝の刈り高さの調整幅と、後輪を支えるホルダーの軸支位置の選択による後輪側の高さ変更の組み合わせにより、芝の刈り高さを大きく変化させて、芝の刈り高さを調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構成で芝の刈り高さを大きく変化させて、芝の刈り高さを調整することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0009】
図1において、1は本発明にかかる芝刈り機で、2は芝刈り作業において芝刈り機1を操作するハンドル、3は芝刈り機1の前輪、4は芝刈り機1の後輪である。5は前輪3の高さを調整する、例えば特許文献1に開示されているような調製機構のノブである。11は刈り込まれた芝草を収集する袋である。
【0010】
図2は本発明にかかる第一の実施例であり、後輪4は車軸4aに回転自在に軸支され、車軸4aは、芝刈り機1のハウジングカバー6の内側にある本体シャシー8の後輪側において下方に突出した取付部8aに図示しないボルト等で固定されるホルダー7に設けられた複数の軸支部7a、7a・・・の一つに挿通されている。
【0011】
次に、本発明の第一の実施例にかかる芝刈り機の高さ調整について説明する。前輪3に装備している図6に示した調整機構については特許文献1に詳しく説明してあるので省略し、本発明にかかる後輪4の高さ調整機構について以下説明する。
【0012】
短めに芝を育成する場合には、芝の刈り高さを低く設定する必要があるので、後輪4の車軸4aをホルダー7のシャシー8に近い方の孔7aに差し込んでホルダー7をシャシー8の取付部8aに図示しないボルト等で取り付ける。また、長めに芝を育成する場合には、芝の刈り高さを高く設定する必要があるので、後輪4の車軸4aをホルダー7のシャシー8から遠い方の孔7aに差し込んでホルダー7をシャシー8の取付部8aに図示しないボルト等で取り付ける。使用者はこの状態でノブ5を移動させ芝刈り作業に最適な刈り刃の高さに調整するのである。
【0013】
図3は本発明にかかる第二の実施例を構成するホルダー9の部品図で、軸支部9aは後輪4の車軸4aを軸支するようにホルダー9に穿設した孔であり、軸支部9bbも後輪4の車軸4aを軸支する他の軸支部であり、平面9bの中央において、軸支部9aの軸方向に半円筒状にえぐって形成してある。
また、9c、9dはホルダー9を取付部8aに取り付けるときに取付部8aに当接する当接面であり、9eはホルダー9を取付部8aに取り付けるためのボルトが入る孔である。
【0014】
図4は車軸4aと本体シャシー8との距離を小さくして、芝刈り機1の後部の高さを低くした状態を表し、ホルダー9の当接面9cと取付部8aの側面8dが当接するように図示しないボルト等で固定され、車軸4aが、ホルダー9の平面9bの中央に形成された軸支部9bbと本体シャシー8の取付部8aの最下端面8cに形成された半円筒状の軸支部8ccとで挟持されて軸支されている。
【0015】
図5は車軸4aと本体シャシー8との距離を大きくとって、芝刈り機1の後部の高さを高くした状態を表し、ホルダー9の当接面9dと取付部8aの最下端面8cが当接するようホルダー9は図示しないボルト等で取付部8aに固定され、車軸4aがホルダー9の軸支部9aに挿通されて軸支されている。
【0016】
次に、本発明の第二の実施例にかかる芝刈り機の高さ調整について説明する。前輪3に装備している図6に示した調整機構については特許文献1に詳しく説明してあるので省略し、本発明にかかる後輪4の高さ調整機構について以下説明する。
【0017】
短めに芝を育成する場合には、芝の刈り高さを低く設定する必要があるので、図4に示すように、後輪4の車軸4aをホルダー9の平面9bの中央に形成された軸支部9bbで軸支させた状態で、ホルダー9の当接面9cと取付部8aの側面8dが当接するよう本体シャシー8の取付部8aに図示しないボルト等でホルダー9を取り付ける。このように取り付けることにより、後輪4の車軸4aは本体シャシー8の取付部8aの最下端面8cに形成された軸支部8ccとホルダー9の平面9bの中央に形成された軸支部9bbとで挟持され、本体シャシー8の取付部8aの最下端面8cと後輪4の車軸4aとの間にはホルダー9は存在していないので、車軸4aと本体シャシー8との距離は最小となり、本体シャシー8の後輪側は地面から低く位置づけられ、芝刈り機1の後部は低くなる。使用者はこの状態でノブ5を移動させ芝刈り作業に最適な刈り刃の高さに調整するのである。測定の結果、刈り刃の高さを約5mmから約25mmに調整することができた。
【0018】
長めに芝を育成する場合には、芝の刈り高さを高く設定する必要があるので、図5に示すように、後輪4の車軸4aをホルダー9の軸支部9aに挿通させた状態で、ホルダー9の当接面9dと取付部8aの最下端面8cが当接するよう本体シャシー8の取付部8aに図示しないボルトでホルダー9を取り付ける。このとき、本体シャシー8の取付部8aの最下端面8cと後輪4の車軸4aとの間には、図中Lで示すホルダー9の一部が存在している。すなわち、最下端面8cと車軸4aの距離は長さLだけ離れることとなり、車軸4aと本体シャシー8との距離がその分大きくなり、本体シャシー8の後輪側は地面から長さLだけ高い位置に位置づけられ、芝刈り機1の後部は高くなる。使用者はこの状態でノブ5を移動させ芝刈り作業に最適な刈り刃の高さに調整するのである。測定の結果、刈り刃の高さを約30mmから約50mmに調整することができた。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明にかかる芝刈り機は、簡単な構成で芝の刈り高さを大きく変化させて、芝の刈り高さを調整することができるので、一台の芝刈り機で長めに芝を育成する場合にも短めに芝を育成する場合にも対応でき極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態にかかる芝刈り機の側面図である。
【図2】第一の実施例の図1に示した側面図の破断線A−Aにおける部分断面図である。
【図3】第二の実施例のホルダー部品の部品図である。
【図4】第二の実施例の図1に示した側面図の破断線A−Aにおける部分断面図である。
【図5】第二の実施例の図1に示した側面図の破断線A−Aにおける部分断面図である。
【図6】特許文献1に開示されている前輪の高さ調整機構の断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 芝刈り機
2 ハンドル
3 前輪
4 後輪
4a 車軸
5 ノブ
6 ハウジングカバー
7,9 ホルダー
8 本体シャシー
8a 取付部
8c 最下端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪側に芝の刈り刃の高さ調整機構を備えた芝刈り機であって、該芝刈り機の後輪側において本体シャシーの下部に取付部を設け、後輪の車軸を軸支する軸支部を複数箇所設けたホルダーを該取付部に取り付け、前記後輪側の高さを調整できるようにしたことを特徴とする芝刈り機。
【請求項2】
上記取付部の最下端面と上記車軸との間に上記ホルダーの一部が存在する場合と存在しない場合の少なくとも二通りの取り付け方が可能であるホルダーを備えた請求項1の芝刈り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−57397(P2010−57397A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225375(P2008−225375)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】